ホーム > 基本政策 > 各種懇談会概要 > 地域リーダー・有識者との意見交換会 > 平成22年度第6回地域リーダー・有識者との意見交換会の概要
更新日:23年4月11日
担当:整備部設計課
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関東農政局では、施策の推進に当たって、現地での取組や経験を十分に学びつつ進めることが重要との考えから、各地域で先進的、独創的な取組を進めている地域リーダーや有識者を招聘し、講演を聞き、関東農政局職員及び一般参加者等との意見交換を行う会を定期的に開催することとしています。 |
平成22年12月9日(木曜日)16時00分~17時30分
さいたま新都心合同庁舎1号館1階 多目的室1-1
「畑地かんがいの効果と今後の展望」
茨城県畑地かんがい先駆的実践者(畑かんマイスター)連絡協議会
会長 染野 芳郎 氏
関東農政局長、局次長ほか局職員、県、市職員、報道関係者等
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自己紹介
茨城県の八千代町から参りました、染野です。私は茨城県から委嘱されて、畑かんマイスターとして、その連絡協議会の会長を承っております。
今まで長い年月ではありましたが、畑地帯総合整備事業(以下、畑総事業)そして霞ヶ浦用水(以下、霞用水)の畑地かんがい営農(以下、畑かん営農)に携わった際は、いろいろな苦労をし、本当にどうしたらいいのかと悩んだこともありました。しかし今は、私達の地域に後継者がたくさん残っておりますし、専業農家も多くいるため、私達の地域は皆さんにお世話になって本当にいい地域になりました。
安静地区の概要
安静地区は平坦地のように見えますが、起伏が多くて、排水路がほとんどなかった地域でした。そのような場所なので、大雨が降るといたるところで水害があり、少しの水害で作物は壊滅的になってしまい、またその反対に、干ばつに遭うと大きな被害が出る地域でした。さらに、そのような被害だけでなく、圃場が小さかったり、道路が狭くて曲がりくねったり、さらに全然道路に面していない畑がかなりの面積でありました。そのような状況ですから、このままではこの安静地区はどうにもならない、農業で生活できなくなってしまうおそれがあったため、県の土地改良事務所、あるいは町の担当課の皆さん等から指導を受けながら、私達の安静地区の畑総事業そして畑かん営農を実施してきました。畑総事業に取り組んでからもう28年になります。
現在の農業経営は経営者の頭の改革が必要
今まで事業を進めながら、農業経営をしてきた中で、私は常々現在の農業経営は経営者の頭の改革が一番必要なのではないかということを申し上げております。それでは、なぜ頭の改革が必要なのかと申しますと、農業経営をしていくためには、常に消費者から信頼される産地であると同時に、災害に強い産地になる必要があります。そのためには、予定通りに農作物の収穫・出荷ができるようにするとともに、安全で美味しくて新鮮な農産物を、安定して出荷・販売ができるようにしなければ、産地として生き残っていけなくなってしまうからです。何が何でもこれからはそういう人的な改革をする必要があると思っております。
○産地を維持するためには条件整備が重要
安定した収穫・出荷が出来るようにするためには、それなりの条件整備も必要だと思っております。
例えば、畑総事業の実施により基盤整備をして作業効率を良くしたり、台風や集中豪雨などによる水害にも遭わないように、排水溝を完備する。また、畑地かんがい施設を整備することによって、干ばつの被害にも遭わないように作物を守る。このような基盤整備ができていなければ、安定した収穫・出荷ができません。これから私達は、市場や消費者から信頼される産地の維持をしなければならないですし、収益の増加もしなければならないと思っております。
○条件整備(ア)国産農産物の安定供給と生産コストの低減
条件整備をすることは生産コストを大きく下げる手段でもあると思っております。今の時代は、生産コストを下げる努力をしなければ、外国の安い輸入農産物に対抗できなくなってしまうのではないでしょうか。
また、マスコミ等でよく報道されております外国の輸入農産物の残留農薬問題などについて常に消費者は恐れている印象を持っていると思います。外交問題で海外から農産物が輸出されなくなってしまう恐れもあると思います。
そういう時でも安全で美味くて新鮮な農産物を安定して供給できるようにすれば、消費者は必ず国産の農産物を食べてくれるはずです。私達農家は国産農産物の安定供給は常に私達の責任だと考えていかなければならないと思っております。
○条件整備(イ)天候に左右されない農業体制づくり
今の農業経営は、全天候型の経営でなければ成り立たないと思っております。どんな天候にも左右されずに、いつでも新鮮で安全な食料品を生産・出荷・販売ができるような体制づくりが必要です。無駄を出さずに安定した生産と出荷・販売ができるようにすることが一番大事ですし、それが消費者に一番であり、消費者から信頼される産地であると共に、生産コストを大幅に下げることにもつながると思っております。今の時代は、台風や干ばつの被害で高値になても、儲けられる時代ではないと思っております。今はそんなことがあると必ず外国に農産物を研究されてしまい、そして自分達の生産した農産物を売る場所がなくなってしまう結果になる懸念があります。そのような事態にならないように、基盤整備や畑地かんがい施設の整備をして、年間を通して労力の無駄をなくすことと、1年中休みなく出荷・販売ができるように体制を整えることが一番大事だと思っております。また、私達の地域では露地栽培ばかりでなく、ハウス栽培も取り入れた方がいいと考え、ハウス栽培にも一生懸命に取り組んでおります。ハウス栽培は、前進栽培と抑制栽培の両方にも向くので、労力の配分ができますし、地域の収益を大幅に高める結果になると思っております。
○畑総事業と畑かん営農の効果
私たちの安静地区は、畑総事業、そして畑かん営農によって大きく変わりました。先ほども申し上げましたように、事業実施前の安静地区は耕作条件がとても悪い地域でしたが、それを今では災害にも遭わずに、作業効率を大幅に向上でき、安定した農業経営ができるようになってきています。私たちの安静地区の畑総事業は、茨城県内の第一号で、また、一番大きい面積で取り組んできました。災害にも遭わないような、農業経営ができるようにすることが目的で畑総事業を担ってきたわけですが、実際に事業に取り組むまでの地権者への説明、地権者から事業についての同意を取得することは、本当に大変でした。地権者のうち、7、8割くらいの方までは比較的円滑に同意を取得できたものの、残りの2、3割の方から同意を取得することは本当に大変でした。朝、昼、晩、地権者に対して説明をして同意の取得に努めてきました。よく安静地区の役員さんが頑張ってくれたと今でも感謝しております。そのような中で、いくら説明をしても、頭を下げても絶対に話に応じてくれない方も複数おりました。説明を繰り返して、なんとか工事を許可してもらう状態になりましたが、換地の問題で行き詰まってしまいました。本当にどうしようもならないので、換地委員ばかりでなく、その地域の耕作者全員に集まってもらって、いろいろ話し合いを行い、100%地権者の要求を受け入れ、工事を実施しました。その結果、立派なほ場ができて、大部分の農家は農地がよくなったと喜んでいます。その良い影響、今の安静地区において農業経営が良くなったことが事業の成果だと思っております。
その後、私達の安静地区では、基盤整備の工事が終わり、霞用水の畑かんを推進しました。安静地区は全国的に水質が悪いと言われる霞ヶ浦の水を一番先に使うため、畑かんの推進で同意を得る際は、水質の問題が上がり、本当に苦労しました。「こんな汚い水を使って、そこで作った野菜や果物が売れるのか」、「売れなかったらどうしてくれるのか」という話をされました。しかし、私達は6年間実験ほ場において、霞用水の水を使って、いろいろな地域で作付けしている作物を、いろいろな方法で試したところ、全く問題がないということが分かり、そこで初めて、本格的に畑かんの霞用水の推進をしたのです。その結果、畑かん施設の整備について、多くの方から同意を得ることができましたが、中には賛同していただけない地域もありました。
しかし、その翌年の春、干ばつによる農作物の収益の違いによって、賛同していただけるようになりました。翌年の1月から4月頃にかけて、今年の夏のようにほとんど雨が降らなかったため、八千代町のあたりでは特産物であるメロンやスイカあるいは春白菜、レタス、キャベツ等の作付けをしても、枯れてしまう、または成長が遅い状態でした。また、春白菜の早いものは収穫期に入っていましたが、干ばつの被害を受けて、芯の部分が黒くなって販売できない状態になってしまいました。それに対して、畑地かんがい施設が整備されて、霞用水の水を使える地域では、作付けができて作物が立派に成長し大幅に儲けが出ている状態でした。このことから、当初畑かん事業に反対していた地域の方々は考え直して、この事業が完了しないうちに「反対した決議文を取り下げるから何とかうちの集落にも(畑かん施設を整備して霞用水の水を)使わせてほしい」と要望してきました。その結果、土地改良事務所あるいは霞用水の事務所にお願いして、その地域にも水を供給することになりました。
このような経緯を経て、畑かん事業を契機に、私達の安静地区は大きく変わりました。基盤整備によって区画が大きくなり、大型の農業用機械をどの畑でも使えるようになりました。また、三角形や菱形の畑ばかりだと難しいのですが、畑総事業で畑の形が良くなったので、いろいろな農業資材もかなり節約できます。果樹の栽培に使うビニルやマルチング等の農業資材は隅から隅まで無駄なく使えて、節約ができます。その上、作業能率が大幅に上がります。今のビニルあるいはマルチングはほとんど200mで1巻になってるものが多いのですが、安静地区は畑の区画が100mで整備されていますから、1巻のビニルを引いて戻ってくればビニル1巻終わります。無駄がなくて本当に能率が上がります。その上、生産コストを下げることになり、いろいろな面でプラスになります。畑総事業の同意を得る段階では、地権者の方から様々な文句やおしかりを受けて、役員が大変苦労したわけですが、今そういう畑で生産された作物の運び出し、それも大型トラックから4トン半くらいのトラックまで自由に出入りできるようになりましたから、大幅に労力が軽減されています。労力が軽減されれば、生産コストを下げる結果になります。これからの農業経営は、やれるところはどこでも基盤整備をして、とりわけ畑かんの整備もしておかなければ成り立たないと考えております。
○災害時の基盤整備の必要性
基盤整備によって、今安静地区は、排水路の完備のおかげで2、3年おきに発生する水害にも遭わなくなり、さらに畑地かんがいの設備のおかげで干ばつの被害にも遭わなくなったことから、計画通り農作物の収穫・出荷ができます。しかも新鮮な農作物の出荷ができるので、市場や消費者から必ず信頼され、優位販売につながって売り上げが上がることにより、それが最終的には産地の意義にもつながると思っております。
今日ここに出席されている皆様の中にもまだ記憶に残っている方もいるかもしれませんが、平成16年10月の台風による集中豪雨で私たちの八千代町も大きな被害を受けました。同じ八千代町の中でも安静地区のすぐ隣の集落では、水害で白菜、キャベツ、レタス等の野菜が冠水して全滅する状況であり、茨城県知事をはじめ衆議院議員あるいは県議会議員も大勢視察に来て、基盤整備の必要性を理解していただけました。一方、隣の地域が大きな被害を受けた時に、私達の安静地区は、基盤整備のおかげで水害の被害が全く無く、逆に水害による野菜価格の暴騰のため、安静地区の農家は儲かる状況でした。そのような災害時には、輸入業者が農作物を緊急輸入を行い、農作物の売り場を占領されてしまう懸念もあるため、常日頃そのような災害に遭わないように準備しておくことが大事だと思います。昔から、災害は忘れた頃にやってくると言いますが、今は忘れた頃にやってくるのではなく、災害は忘れないうちに必ずやってくるという時代になってしまったと思います。だから必ず災害に遭わないような準備が必要だと思っております。
今年も同じような災害がお盆過ぎにありました。数年ぶりの大干ばつであり、私達の安静地区はちょうど秋野菜の植え付け時期であったため、畑かんの整備がされたところと整備されなかったところで、大きな差がついてしまいました。あれほど長く続いた干ばつですから、畑かんの設備がないところでは、農作物を植えても枯れてしまう、又は枯れなくても育たないので農作業が遅れてしまう状況でした。しかし、安静地区の畑かん設備のある地域は、どんどん好きなように農作業ができましたから、その結果は秋になって収益の差として現れて、安静地区の農家のみなさんは大喜びの結果となりました。そのような状況ですので、せっかく国・県・町が一生懸命になって推進している事業には諸手を挙げて、一番先にうちの方をやってくださいと言うような地域にならなければ損してしまうと思っています。
○生産意欲の向上と後継者・研修生受け入れの取組み
幸い私達の安静地区はここにいる大勢のみなさんに指導を受けながら、いろいろな基盤整備、あるいは畑かんの事業に取り組ませていただいたので、多くの農家の収益が上がりました。農業でもこうして一生懸命にやれば必ず儲かる、と宣伝していくことが私達の責任だとみんなで考えています。このようなことから、安静地区の農家のみなさんは、本当にこの畑総事業の途中から生産意欲が大きく出始めて、その結果、遊休農地は私達の地区には一枚もありません。今、地区内には耕作する農地が余っていないため、通える範囲内であればどこでも行って畑を借りて耕作しています。大規模に耕作している農家では10町、20町、30町、さらに大きい農家では60町程で耕作しています。このため、売り上げの金額も億に上る農家がかなりの数あります。安静地区の農家の方の生産意欲は今がピークになっています。また、安静地区では農業の後継者は100%と言うわけにはいきませんが、他の地域と比べて何倍も残っております。それと同時に専業地域も他の地域の何倍も残っています。そのため、安静地区内では耕作する面積が足りず、貸してくれる農地があれば10里や15里まで行って耕作しております。また、そこまで規模拡大をするようになったのは、もう1つ理由があります。それは農協が外国人研修生受け入れの事業に取り組んでくれたことです。私どもの安静地区がある常総ひかり農協では、県内で2番目か3番目ぐらいの早さで、研修生受け入れの事業に取り組み始めました。この常総ひかり農協が受け入れた研修生の7~8割が私達の八千代町にいて、さらにその7、8割を安静地区が受け入れています。そういうことですから、農協がそういう研修生の事業に取り組んでくれたことも規模拡大につながった要因と思っております。
○1年を通して作物が収穫・販売できる栽培体制づくりの必要性
私達の地域では、基盤整備ができ、水が使えるようになったため、常に1年12ヶ月まんべんなく作物を収穫して販売できるハウス栽培にもかなり取り組んでおります。ハウス栽培は前進栽培や抑制栽培もできますし、雨が降っても仕事ができるといういい面もあります。また、寒い日や風の強い日には農地で仕事をするのは大変なため、ハウスの中で仕事をする、つまり労力の配分ができます。安静地区には、町あるいは農協の指導を受けているハウス施設がたくさんあります。私は、1年、12ヶ月間、休みなく収穫・出荷ができるような生産現場が必要と思っております。そうすることによって市場や消費者の信頼関係にもつながりますし、安静地区は畑かん事業と基盤整備をしたことにより、営農に対する計画というのが大きく変わりました。安静地区では作物生産が主流ですが、価格変動が激しい作物もあります。価格変動ばかり気にしておりますと、今の時代に作物栽培をやっていられないという気にもなるかもしれませんが、とにかく1年、12ヶ月間まんべんなく休みなく出荷ができるような栽培体制にしておけば、農作物の価格が安い時も高い時もありますが、高い時も安い時も年間を平均してみますと結構の儲けになります。だから、年間1年、12ヶ月まんべんなく栽培して販売できるように栽培体制を組んでいくことも大切と思っております。
○これからの農業・農村の課題について
専業農家の減少の問題、また後継者の減少の問題、決して安静地区も例外ではありませんが、農家の後継者あるいは専業農家の比率が他の地域よりは何倍も大きいということは声を大にして言えると思います。農家が後を継ぎたくなるような経営をしなければ後継者に農業を継いでもらえません。だから、今の農家経営者が頭の改革をして、子どもに「父ちゃん、俺が百姓やるよ」と言ってもらうように改善しならなければ、農家の後継者は減少すると思います。安静地区はいろんな条件整備を行いましたので、若い元気な後継者も他の地区に比べて何倍も残っており、その若い後継者のグループがいろんな作物の栽培に取り組んでおります。そして、そのグループが本当に結構いい実績を上げております。安静地区でいろいろ取り組んでる作物は数えきれないほどあり、どの品目もかなりのウェイトを占めております。相当の量に取り組んでおります。そういうことですから、まだまだ安静地区はこれからいくらでも伸びていくと私も考えております。そのような状況にならなければ、私達一生懸命みんなにお願いして皆様の指導を受けながら実施してきた安静地区が「あぁ、あの地区は良かったな」と言ってもらえる地区ではなくなってしまうと思っております。今、10町、20町、30町という大きな面積を耕作するようになって、億単位の売り上げのある農家も出てきており、このような安静地区の農地の規模拡大については、畑総事業あるいは畑かん事業に取り組んだこと、研修生の受け入れ事業に取り組んでもらえたことが大きな要因になっていると思います。若い後継者がいるということはまだまだ地域が伸びられる、他の地域が困ったと言っても私の地域は困らない、その結果、農作物の売り上げが伸びて儲かるようになると思っております。今日はいろいろ話をしましたけれども、今日はここにおいでになってる皆様方には農業問題の統括的な立場であり、また指導的立場の方々ばかりでありますので、せっかくの機会でありますから、ちょっとお願いがあります。新聞で読んだことですが、日本の農業人口は、平成になってからの20年間で半減してしまいました。また、それだけではなく農業者の平均年齢が66歳となり、耕作放棄地も年々増加の一途を辿っています。平成になってから農家人口が半減し、その上農業者が平均年齢66歳と高齢化していることは、今後農業を実施していくにはちょっと心細いと思っております。66歳というと、みんな定年を過ぎてしまった人ばかりであり、老人会の会員ばかりが農業をやっているのかなと思わざるを得なくなると思うんです。また、日本の食料自給率を何が何でも50%にしたいということを報道されていますけれども、このままでは50%の確保は難しいのではないのかなと思っております。現在の日本の農業は基礎から改革しなければならないと思います。日本の農業の基礎的問題ですが、私達の安静地区でも畑の土地改良は茨城県の第1号ということですから、他の地域に行っても畑の土地改良などはまだまだそんなに進んでいないと思っています。そのような中で、22年度予算の中で、土地改良に関係した予算が大幅に削られてしまいました。だから事業がどんどん先送りされてしまって、何とか改革しなければならないと思っていた地域での事業ができなくなってしまうのではないかと私は思っております。もう少し国もそういう農業予算を減らさずにどこの地区にも、若者が「父ちゃん、俺も百姓やるよ」と「農業の後継者になるよ」と、そういう言葉を聞かせてもらえるような地域にしていかなければならないと思います。土地改良の予算が大幅に削られると、このようなことを言い出せなくなるのではないかと不安があります。ですから、ぜひ土地改良の予算は、これからの農業経営者が「親父、俺も百姓やるよ」と言い出すような事業が展開できるようにぜひ1つお願いしたいと思います。今日はいろいろ無駄な口ばかりきいて、あの親父つまんないことを言っていたと思うかもしれませんが、私も全くの農家の親父ですので、いろいろお聞き苦しい点もあったと思いますが、これで私の話は終わりにさせていただきます。本当にありがとうございました。
質問(ア)茨城県畑かんマイスターという方がどれくらいいるのでしょうか。また、活動内容あるいはその活動をするに当たってのご苦労があればお聞かせいただきたい。
回答(ア)(茨城県)畑かんマイスターの数は22人ほどです。茨城県から委嘱させていただいており、畑地かんがいの推進に携わってもらっております。畑かんマイスターの制度は、平成16年度に畑かんを推進しなければならないという政策の一環として始まりました。この制度は、茨城県内で畑総事業によって畑かんを活用した先駆的実践者の方々に、畑かん未実施区域の農業者等に実践的な話をしていただく制度であり、この方々を畑かんマイスターと呼んでいます。活動の内容は、例えば霞ヶ浦用水事業の畑かん地域において畑総事業を実施するに当たって、畑かんマイスターから、今日講義いただいたような内容をその地区に行きまして講演してもらう等の活動であり、この講演については年16回実施しております。この事業費は全て県費で支出しております。このような活動が平成16年から毎年16回ずつ実施していますので、延べ2000人近くの方々が畑かんマイスターの講義を聞いています。
質問(イ)ホウレンソウを安静地区で5作作られているとのことですが、ホウレンソウは夏場の高温に非常に弱い作物のため、収量が落ちることもあるかと思いますが、何か対策をされているのでしょうか。また、連作障害等を防ぐような手立てを講じているのでしょうか。
回答(イ)(染野氏)ホウレンソウの作付けの問題ですね。ホウレンソウを専門に栽培している農家も何人かおりますので、その方々の話を聞くと、ホウレンソウをハウス等で栽培する場合には暑さ対策として、ハウスに水をたくさんかけたり、ハウスの屋根の上に遮光ネットをかぶせたりしています。しかし、今年は猛暑だったので、遮光ネットだけでは対応しきれなかったせいか、真夏の時期にはあまりいいホウレンソウができなかったそうです。でも、ホウレンソウは30~35日くらいで、播いてから収穫できるます。また、安静地区では個人個人の経営面積が大きく、ホウレンソウの場合だと2、3町の面積で栽培していることから年に5~6回播きます。1作くらいダメになっても、そんなにビクビクしていないです。やはり、天候と常に競争している訳ですから、天候に負けないように頑張らなければいけないと考えています。なお、安静地区では、若者がみんな一生懸命にやっておりますから、若い連中同士でハウスのビニルの掛け替えやネットをかける時は話し合って助け合って作業しているという状態です。
連作障害対策については、安静地区ではいろいろな方策を実施しています。例えば、連作障害を回避するため、畑を消毒したり、堆肥の投入を十分に実施したりしています。なお、畑総事業が始まってからですが、安静地区では補助事業で堆肥盤を設置し、そこで乾燥鶏糞等を活用しています。
質問(ウ)これだけ大きな面積で農作物を作られていると相当ブランド力と言いますか、非常に大きな量が出荷されることになるので、売り方を工夫されると非常に強い力になると思います。そこで、売り方で何か、系統出荷だけではなく、こういう点に工夫している、あるいは、もう少し進んで加工に挑戦等、そのような取組を検討されていることは何かあるのでしょうか。
回答(ウ)(染野氏)販売面でどんな方法をとっているのかという質問ですが、大規模な面積で栽培している人は、農協の集荷所に持っていくと集荷所で対応しきれなくなることがあるので、農協だけでなく自分で販路を開拓して個々に加工業者と契約出荷しています。私の家でも漬け物会社と5社くらい契約しています。なお、いろいろな業者と契約すると、業者からいろいろな注文を受けます。私達の地域では、秋野菜は白菜、キャベツ、レタスがメインですが、業者からその他の農作物も作ってもらえないかと注文をされますから葉物類ばかりでなくてナス等もかなり大きい面積で作っています。それからここ3、4年のことですが、加工トマト、ショウガもかなりの面積で作っています。それをほとんど研修生を使って、多くの農家は、大規模に数えきれないくらいの品目を栽培しています。来春に作付けするレタス、白菜、キャベツの苗を今どんどん仕立てていますので、来年の3月頃まではずっと植え続けます。植えるのも収穫も毎日やってます。植え付けも収穫も経理もやっているため、ほとんど暇無く働いています。だから当然儲けも上がります。そのくらい頑張っています。でもやはり、いろんな安静畑総の事業をそれほど大規模にやってくれている人ほど先に立ってやってくれ、そのような人達は本当に大事です。本当に「俺は農業経営でやってるんだよ」という考えの人は、土地改良事業も積極的に参加してくれています。そういう人達がいなければ、土地改良事業を推進するのは骨が折れます。だからやはり、これからの農業経営者はいくらか頭の改革をしなければできないというのはそのへんだと思います。
また、大規模農家の中でも更に規模の大きい農家は60町くらいの畑農地で実施しており、その農家では研修生を5、6人から10人ぐらい受け入れています。私の家でも5人の研修生がおり、農地についても何十町歩にもなり、土地を購入しきれないので、みんな借りてやっています。
質問(エ)先ほどの研修生というのは外国人の方ですか。
回答(エ)そうです。
質問(オ)ある程度遠くても農地を借りているという話がありましたが、借りている農地は、基盤整備されている農地のことでしょうか。
回答(オ)そうです。基盤整備された農地の方が排水路もあり、道路も広く整備されていて一番いいのですが、そういう場所ばかりにはいきません。近くで面積が大きく基盤整備されている農地は、つくば市あたりが多いのですが、つくば市は芝の産地のため、芝の植え替え時期を考慮する必要があります。芝は、育成を休み、植え替えをするのに2、3年かかります。芝は何年かおきに植え替えをしないといい芝ができなくなってしまいます。これは野菜作りでも同じです。
質問(カ)その期間、農地を借りているということですね。
回答(カ)(染野氏)芝は植えると、ローラをかけて固めます。そうしなければ芝の根付きが悪くなります。しかし、ローラで固めるとその農地ではなかなかいい作物ができなくなってしまいます。芝の後に野菜づくりの農家が借りる際は、逆に、大きなトラクターですいて天地替えを行い、その後よく整地して植え付けます。(芝と野菜を栽培することで、)土地を肥やす、土地をいい方向に切り替えていく、お互いに助け合う結果につながると思っています。
質問(キ)事業の実施に当たって、地域をまとめることは相当大変だったと思うのですが、地域をまとめる動機で一番大きなものはどのようなものでしょうか。
回答(キ)(染野氏)7、8割くらいまではなんとか納得してもらえましたが、あとの2、3割を説得させるのが容易ではありませんでした。私があちこちの地区に行って講演をする際には、事業の実施に当たっては役員の人選が重要であり、役員を決める時には、真剣になって農業経営をやっていくという気概を持った人達に先頭に立ってもらわなかったら成功しないということをよく申し上げます。これは事実です。農業以外の収入が多い人は土地改良にそんなに一所懸命になる必要がないので、事業の実施に当たっては、そのような気概を持った人達に拝み倒して協力してもらうことが大事だと思います。
質問(ク)今後の農業経営に当たっては、人の頭を改革しなければいけないという話がありましたが、頭を改革するというのはどういうことかもう少し具体的に教えていただきたい。また、どういう方法で改革できるのか、アイデアがあれば教えてください。
回答(ク)(染野氏)私も勉強不足ですから、どの方法が一番いいと明確に申し上げることはできませんが、とにかく農地の基盤整備等をしていかなければこれからの農業経営はできないと思います。
以上
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