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更新日:23年8月26日

担当:企画調整室

平成23年度第3回地域リーダー・有識者との意見交換会の概要

関東農政局では、施策の推進に当たって、現地での取組や経験を十分に学びつつ進めることが重要との考えから、各地域で先進的、独創的な取組を進めている地域リーダーや有識者を招聘し、講演を聞き、関東農政局職員及び一般参加者等との意見交換を行う会を定期的に開催することとしています。

第3回は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構  農村工学研究所  資源循環研究領域  上席研究員(資源循環システム総括)柚山義人氏を講師として開催しました。

開催内容

開催日時

 平成23年7月19日(火曜日) 16時00分から17時30分

開催場所

 さいたま新都心合同庁舎2号館共用研修室501

テーマ

 「バイオマス利用で築く、絆つながる夢ふるさと」

講師

  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所資源循環研究領域

上席研究員(資源循環システム総括)柚山義人氏

参加者

 関東農政局長ほか局職員、県、市等

講演概要

 

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講演資料1(PDF:6,768KB)       

講演資料2(PDF:2,264KB)

 

 

 

 私は、いつも行政部局の皆様のお仕事に直接的に役立つということを目標にしています。
私のふるさとは愛媛県の菊間町、合併して今治市になったところです。4軒で住んでいましたが、今は限界集落を越え、田畑は耕作放棄されています。2年前に久々に村まつりに出かけたら、文化が継承されていたことに感激しました。
私が、JICAの専門家の任務を終えタイ国から帰ってきたら、宿舎周りがごみ捨て場、やぶのようになっていました。これではいけないということで、まず開墾というのは少し大げさですが、ごみを拾い、生えている木々、竹を切り、花壇を整備しました。そうすると、今や小学校の子どもたちが集まる花壇、メダカたちが住むビオトープとなりました。また、家庭の生ごみをコンポスターで集めて、それを花壇の堆肥にするという小さな循環ができるような、憩いの場所にすることができました。新しいふるさとでの取組です。
私が今思うことを「夢見る世界」と題する詩にしました。
「澄んだ広い空、清らかな水、緑の大地、自然の恵みが巧みに利用され、行き交う人々の微笑みが輝いている。
輝く未来には、技術革新により機能・効率を徹底的に追求した部分と、心の豊かさを重視した部分が共存している。お金が第1とは誰も思わなくなっている。朝から午後4時までは目いっぱい仕事をし、その後は趣味と社会貢献に精を出す。種を存続させるという生命体の本能が人間にもよみがえった。協力して信頼しあうことを実体験で学んだからだ。市民が身の丈にあった健康的な暮らしの中で、自らの役割を果たすことに喜びと達成感を得た。平和維持とリスク管理に浪費していた社会コスト、エネルギー、マンパワーが、新しい価値観、環境スタイルによって、自立力があり、子どもたちの歓声が響き渡る社会づくりに向けられている。
21世紀初頭に悩まされていた食糧、エネルギー、環境、貧困、衛生、紛争の問題が解決され、学者たちが期待を込めて呼んだ『水と農の時代』が実現されている。バイオマスリファイナリーが達成され、さらに太陽光、風力、小水力、地熱などのベストミックスによる自然エネルギータウンが誕生する。車は全てクリーンエネルギーを燃料に自動制御でき、交通事故がなくなった。
モノは、必要な量が必要な時期に、環境への悪い影響を小さくする方法が選ばれて製造され、使われている。微生物の力による自浄作用が強化され、水と土が健全な状態になっている。江戸時代のよきところを科学と人類の叡智で再現した。現代社会の機能を維持して、化石資源由来のモノがバイオマスを含む自然エネルギー由来のものに置き換わったのだ。」
私がイメージする、水田農業と持続的社会の時代評価資料を作りました。皆さん方のご経験、感覚と照らし合わせていかがでしょうか。水田農業を意識して、その生産、食、暮らし、社会、これらが私が生まれた年の1960年、それから現在、2030年でどう変わるであろうか、どう変わってほしいかなどというのを定性的に示しています。
生産に関しては、生産基盤の維持、低投入で自然と共生できる生産システムを構築していきたいと思います。食に関しては、もちろん安全、安心、質の高い食をできるだけ地産地消、旬産旬消で楽しみたいと思います。暮らしはといえば徹底的に効率を追求した部分と、心の豊かさを重視した部分を、時間と空間を別にして使い分けたいと思っています。そして社会は、共通の利益、幸福のために高い理念の下、社会像をデザインし、その一翼を担えればと思っています。
色々な社会像が提示されています。よくいわれる話ですが、左側が「ドラえもん型」、右側が「メイとサツキ型」であります。同じように2050年には、温室効果ガス排出量を70%削減できるとします。そういう場合にどちらを選ぶでしょうか。
ここで、未来のサイバーワールドを紹介したいと思います。
(ビデオ上映)
これは、私の子どもの同級生のお母さんに作ってもらいました。つくばには、このようなことをできる人が多くいるので、地域の力を使い、楽しみながら活動をしています。
バイオマスをやり始めて10年目になります。私は特別な専門技術を持っているわけではないし、何か画期的な技術開発をするには、少し年を取りすぎたかなということがあり、研究職の立場ではありますけれども、人と技術と制度をつなげるという仕事で貢献しようと思いました。バイオマス利活用を考えるには、バイオマスといっても廃棄物系バイオマス、未利用系バイオマスなど様々ありますけれども、その生産あるいは発生、それから原料の収集と運搬、貯蔵、エネルギーやモノへの変換、できた資材やエネルギーの貯蔵、利用、そして廃棄等、これらをうまく組合せなくてはなりません。法制度、手続きも恐らく20から30ぐらい突破しなければなりません。これをいかに地域に定着する形にできるか、実証してみたいと思いました。
現時点での研究のよりどころは、「バイオマス活用推進基本計画」です。特に、農水省が「市町村バイオマス活用推進計画」の策定を2020年までに600の市町村でということを言っていますから、着実に計画し、運営されることを、一番に意識しています。私は外に出かけると「柚山さんは研究者というよりもNPOの人のようですね。」とよく言われるので、今日はボランティアでの活動をまず紹介いたします。
「つくば3Eフォーラム」の中で活動しています。3Eというのは「Environment、Energy、Economy」の3つのEを取ったものです。つくばは、はっきり言ってばらばらでしたが、ここ最近になって研究者が団結するようになりました。それは私もそうですが、自分の子どもたちが見事に茨城弁を話し、そこがふるさとになると、子どものふるさとを親としてもいいふるさとにしようという思いがあるのだろうと思います。私は4つのタスクフォースの中で、バイオマスタスクフォースの座長を仰せ付かっています。いろいろな研究機関、学生をメンバーにしまして、活動しています。
色々な活動目標がありますが、方針としては多くの市民が決断さえすれば、すぐにでも実行できるような取組、それから、つくばならではのチャレンジ的な技術に取り組んでみようという、2本立てでやっております。農水省の施策も意識して、バイオマスタウン構想をしっかりした診断の下で作り上げようと取り組んでいます。いきなり大きいことをやっては失敗しますから、つくば市の100分の1とか1000分の1のスケールで、社会実験を行ってみようということにしました。
つくば市でも、バイオマス利活用だけでは人が集まってきません。バイオマス利活用でつくばをどう変えるかというビジョンをしっかり立てた上で、いわゆる作戦としてのシナリオ、プログラムを作っていきます。研究学園都市として注目されていますが、この地図を見たらわかるようにつくば市は農業の町であります。「つくば環境スタイル」というキャッチの下で施策を進めており、「環境教育」、「交通」、「田園空間」、「実験タウン」という4つの柱があります。環境教育では、声がかかれば、色々な場所に出向きますが、このときは中学生たちに登場してもらい、楽しみながらバイオマスついて学ぶというようなイベントをしました。
去年は、私ども農村工学研究所が校区となっている谷田部中学校に出向きまして、3つのクラスの生徒さんを対象に地域密着型でバイオマスをどのように使うかを勉強しました。つくば市の温室効果ガス排出量は、1年間1人当たり8.3トンです。つくば市はバイオマス利活用の目的を地球温暖化対策に置いています。これを2030年までに半減させようという、チャレンジ的な目標を示しており、バイオマス利活用でもその5%に貢献しようとしております。
「田園空間」という柱の中では、微細藻類の活用によるエネルギーの創出、それからほのぼのとした取組も含めまして、バイオマス利活用を通したまちづくりの推進というのを、課題として挙げております。私たちが絡んでおりますから、真面目につくば市の統計データ、ヒアリング、現地調査などを踏まえまして、つくば市には具体的にどのぐらいの量のバイオマスが存在しているか、現在利用されているかというような調査をしました。
それで、ロードマップなるものを作りました。バイオマスタウン構想の後継として、市町村バイオマス活用推進計画の策定が叫ばれておりますから、私も住民の一人として、つくば市でやってみたいと思っています。というのは、全国で行政部局の人、あるいは研究者が進めようと言っていて、自分らが行動をおこさないのでは、あまりにも説得力がないからです。今年は震災復興のためにエネルギーを費やしているので、2011年のプログラムが遅れ気味ではありますが、何とかこちらにも力を入れていこうと思っております。ロードマップに基づき、CO2削減がどれぐらいできるかというような、試算もしております。
景気づけにイベントは大切だと思っており、一昨年は筑波大学で農業農村工学会があったので、そのときに世代協同をキャッチフレーズに、すなわち小学校、中学校、高校、大学、一般市民の方々に集まっていただき、「ゴーゴーバイオマス」というワークショップを行いました。この中で、関東農政局の企画調整室、関東バイオマス活用推進協議会の中で作られた、バイオマスの紙芝居をやったりしました。
標語を募集しましたところ、素晴らしい標語が幾つかできました。1例だけご紹介しますと、これは子ども会の皆さんからのもので、「美しい未来へ飛ぶぞ地球号、燃料もちろんバイオマス」です。「もちろん」というところと「燃料」というところがいいです。「燃料」というのは単にバイオガスとかエタノールとかそういうものではなくて、何か人々をやる気にさせるような駆動力という意味あいが入っているのでないかなと思った次第です。
去年は、バイオマスタスクフォースのメンバーが中心になりまして、こちらは市民の方に呼びかけ、市役所でワークショップを行いました。つくばが抱える問題として生ごみ、剪定枝、刈り芝を対象にしました。これは、つくば市は芝の生産が日本一の町だからです。従って刈り芝をいかに有効利用するかというのが、大きな問題でした。さらに連携支援の方法をとりあげました。藻類バイオマス利活用の社会実験をいかに進めるかも、もう1つテーマとして設定しました。
そうしますと、集まった34名の方々がいろいろな知恵を出してくれました。まず、連携支援の仕組みづくりとして、つくばバイオマス利用推進センター「みらい」、という名前まで考えてくれました。「みらい」を造りましょうということです。生ごみについても、いろいろ生活実感があふれるようなアイデアが出ました。刈り芝は私たちの情報が少なかったものですから、芝の生産農家の方々から学ぶことを始めて、どのぐらいだったら生産農家にあまり大きな負担を掛けることなく、バイオ燃料ができるかというような話をしました。
こういう話は、よくワークショップでやり、「皆さん、お疲れさまでした」で終わることが多いのですが、市役所の方もメンバーですので、一緒にやることによって、10個の提案の中で1つでも2つでも、実際に市の税金を使って施策が展開されることになると、市民のやる気が出るということで、粘り強く今後とも続けることにしております。
いろんなアイデアがあります。1つめは、「つくばの子どもたちに地元有機農産物給食を提供せよ」です。過去の意見交換会を調べますと、学校給食の問題が取り上げられているのに気づきました。私の出身は、学校給食で究極の地産地消を行なっているところです。わがふるさと愛媛県今治市のように、つくば市の学校給食もなればと思っております。学校給食の費用は1食どのくらいかかるか、皆さんご存知でしょうか。大体230円ぐらいなのです。本当にいいものを作ろうと思ったら、さすがに230円ではできません。少々お金がかかったとしても、未来を担う子どもたちのために、いいものを提供できないかというものです。
私は、面白い夢を持っていまして、つくば市の特色を生かしまして、この有機農産物学校給食を、つくばの特色である、1人目、オリンピックのメダリスト、2人目、宇宙飛行士、3人目、ノーベル賞受賞者、この3者が一堂に会して汗を流して野菜を作り、その野菜が給食に提供され、そして、大ブレークできないものかというものです。
次は「ウッディー(木の)自転車道を整備せよ」です。自転車を中心としたまちづくりが進められていますけど、自転車道の整備がないと実際はなかなか展開をするのが難しいのが現状です。マグホワイトという技術を用いて簡易自転車道の整備をしよう、市民が自転車道を造って管理までできないかと考えています。それから、バイオ燃料で動く自転車です。やはり長い距離を自転車で走ろうと思ったら、ママチャリでは正直言って苦しいので、多少科学技術の力も借りようというようなコンセプトです。実際に公園とか街路樹がたくさんあり、産廃として処分しているので、これを何とか市民参加型で利用できないかと考えております。
私も天気のいい日は職場に自転車で行くのですが、でこぼこ道が多くて、朝の爽やかなときはいいのですが、帰りは街灯もなく、本当にもう命懸けなのです。本当に怖いです。これは農村工学研究所内に、木質バイオマスチップとマグホワイトで造った道路です。このように整備できたらつくばは本当に、自転車のまちづくりになると思います。みんな自転車のことだけ考えるのですが、自転車道の整備、維持についての考えが希薄な人が多いので、ここは私たちの出番かなと思っています。
ただ、それだけで人を引きつけるのは非常に難しいと感じています。いろいろな活動とのコラボが必要であろうと考えています。自転車用の燃料をつくりたい人、防犯パトロールを自転車を使ってやりたい人、買い物で爽やかな健康維持をしようという人、いろんな人と組んでみたいと思っています。私の似顔絵らしいのですが、つくば市の市議会議員の方が作ってくれました。「これってエコと防犯と健康とバイオマスのコラボじゃね?」ということで作ってくれました。
次に社会実験ですけれども、縁あって筑波大学の渡邉信教授とともに藻類バイオマス利用、これは単位面積、単位時間当たりのエネルギー生産量が、うまくいけば普通のヒマワリとかそういうものよりも100倍増えると言われています。メインのプロダクツは重油相当のオイルなのですが、現在は石油資源が安いものですから、オイルを作っても、もうけになりません。大事なことは、副産物というふうに呼ばれるかもしれませんが、同時にできるいろいろなものに付加価値をつけて売るということです。
渡邉先生たちは、休耕田あるいは耕作放棄地で、この実験をやりたいと言っています。私も大いにメンバーとしてやるつもりですが、少し残念なのは、理学系の先生なので、土木的なセンスには欠けていると言わざるを得ないところです。そこで、このプロジェクトの中では藻類からオイルを作る、付加価値物質を作るというのが花形ではあるのですが、私も周辺技術でもいいから協力をしようと思っております。
これがその藻類、ボトリオコッカスというものです。これよりももっとすごいものが見つかっているそうです。油みたいなものが出てきまして、これをまず回収しようということです。これも社会実験で、失敗を教訓にできるような社会実験にするためにはということで、まずは大学の構内で実験が始まりました。大学の使われなくなったプールを使ってというところまで進んでいます。このようなことを現場でとなると、皆さん方のお仕事の一部になるでしょう。私たちとしては、できればつくば市での展開が望ましいのですが、関東農政局管内のどこかでこのようなテストできれば、非常にありがたいと思っています。
それで、私が渡邉先生に注文と言っては大変失礼なのですが、本当に耕作放棄地でやろうと思ったら必要になるリストを用意しました。このチェックリストをクリアしないといけないということで、準備したものです。コンセプトから始まり、推進体制、達成目標、その他、お配りしているプリントで見ていただければと思います。場所であるとか、原料、あるいは栄養源をどこから取ってくるか、使われない時にどう廃棄処分するか、法制度の手続きがとれるかなどということです。あとは、延々とやっていても仕方がないので、見切りをつけるタイミングも、初めから決めておくというようなことです。
次に農林水産省のプロジェクト研究の話をさせていただきます。農水省からの委託研究で、北海道の十勝から沖縄の南西諸島まで全国6つの地域で昨年度まで仕事をしていました。私が全体のリーダーを務めながら、直接的な担当者として行なったのが千葉県香取市での、メタン発酵を中核とする実証研究であります。
まずは地域診断ということで、地域を資源循環眼鏡で見て現状を診断します。色々な人が色々なアイデアを出したときに、様々な面に絡む優劣を診断していきます。民間のコンサルタントさんなどに参集いただいてワークショップ形式で、このツールの使い方をマスターしていただきました。
千葉県香取市で「山田バイオマスプラント」としてやっているところですが、おかげさまで7月14日に1万人目のお客さんを、迎えることができました。私たちの取組を見たい、あるいは参考にしたいという方々がやってきてくれます。原料は牛糞尿と野菜残さです。合わせて1日5トンから8トンです。バイオガスができるのですが、バイオガス中のメタンが60%で、それをさらに98%までPSAという装置で精製してやりますと、車の燃料にもすることができます。また、液体肥料もできます。
牛糞尿の1日5トンというとどのぐらいの量かというと、牛の数で言うと大体100頭です。そうすると、メタンが約60立米できます。この60立米を燃料として軽トラックで千葉県から走っていきますと、1立米がガソリン1リットルと一緒で大体燃費がリッター20キロなもんですから、九州ぐらいまで走っていくことができます。1,200キロぐらいの距離でしょうか。
このメタン発酵という技術は、天然ガスとよく対比されます。天然ガスというのは恐竜時代にさかのぼる、もう何十億年と時間のたった化石資源で、再生可能エネルギーではありません。このメタン発酵は科学技術を少し使って、20日サイクルで新しい再生可能エネルギーを作るというものになっております。実はメインのプロダクツはメタンガスではなくて液体肥料なんです。かつてこのメタン発酵消化液、液体肥料はなかなか利用ができないと言われていましたけれども、ここ10年で様相がすっかり変わりました。私たちの実証もそうですし、多くの人たちが実証的に農地で利用し尽くせるということを、示してくれております。
私たちのプロジェクトでは、年間1,500トンぐらい消化液ができるのですけれども、これを25以上の作物で利用し尽くしております。キーポイントは土壌診断技術です。消化液は作物にとって完全な形の肥料ではありませんので、土壌診断で施肥設計を行って、追加的に必要な養分を化学肥料で補うということをしております。ご存じの方も多いかと思いますが、共同研究先の1つが農事組合法人和郷園です。この和郷園が液肥を100%利用し尽くしてくれています。
和郷園の取組は、このバイオマスの中で言うと、ここに山田バイオマスプラントがあるんですけれども、バイオマス利活用も含めて、地域経済の活性化に貢献しています。何が言いたいかというと、バイオマス利活用をするためには支出を伴います。ポイントは、支出が地域の収入になるか、どこか別の方の収入になるかということです。できるだけ、支出であってもその支出が千葉県香取市のどなたかの収入になるようにというようなシステムを構築しております。
この図は時間があるときにじっくり見ていただきたいのですが、市町村バイオマス活用推進基本計画の策定と運営をする上で、例えばメタン発酵プラントの寿命が15年だとすると、計画を立てて事業を実施する、その中で必要に応じて山田バイオマスプラントのような社会実験を行う。毎年度モニタリングをして、よりよいバイオマス利活用にレベルアップをしていく、そうはいっても耐用年数は15年ですから、そのうちにはまた新たな技術でやるというふうに、プロジェクトサイクルマネジメントをしっかり実施しようということを示しています。常にレベルアップを図っていくということを、模索したいと思っております。
それから、つくば市では温室効果ガス削減が目標と言いましたが、バイオマス利活用の目的というのは市町村によって大きく違います。循環型社会形成、あるいは地域活性化等、さまざまな目的があります。事業仕分けなどを受け、新しい基本計画では着実な事業の実施が求められておりまして、その中で指標を設定することが必要です。バイオマス利活用の推進の進捗状況を測る指標も設定して、それで事業の進捗度を求めることとしております。しかし、私はこれは絶対に一律にやってはいけないと思っております。
それぞれの地域にそれぞれのバイオマス利活用の目的があるわけですから、何を重点的に評価をするかというのを絞り込んだ上で、優先順位をつけて評価をして、集中的に目標に向かうというのが大切だと思っております。地域活性化、地域を元気にするというのは大きなキーワードだと思っております。バイオマス利活用で地域がにぎわうように、そのようにもっていかなくてはいけないと思っております。
そういう意味で、私がイメージするバイオマスタウンというのは、ここに11項目挙げましたが、この11項目のような条件が整っている、全部とは言いませんけれども、11項目の多くにチェックがつくことが大事だと思っております。これを進めることができるかどうかを考えてみた場合、自分が住んでいるところ、あるいは自分のふるさと、自分の親が住んでいる場所で技術者としてゴーサインを出せるかどうか、これが大事だと思っております。
「事業計画をどう立案するか」と本を読みますと、大事なキーワードが出てきました。「持続的競争優位を発揮すべき」というのですね。すなわち、いろいろな分析をして事業を立ち上げるんですけども、5年で終わってはいけないと。5年後にも10年後にも持続的に何か成長し続けるものが必要であるということでした。
それからMOT、マネジメント・オブ・テクノロジーというのが、農水省の研修でも出てまいります。研究開発をしたら成果を事業化に結びつけようというものです。いろいろ克服しなくてはいけないものがあるのですが、例えば最近、農水省でも「6次産業化」、あるいは「緑と水の環境技術革命」ということで言われてますが、5000億円ぐらいのバイオマスの産業にするためには、どうしなくてはいけないかということを考えたいと思っています。
さて、次に空欄が8つあります。これからクイズを出しますので、皆さん解答して1、2、3を上げていただけますでしょうか。 問題は1回しか読みません。注意してください。
問題1、植物が二酸化炭素を吸って炭水化物を作る反応を何と言うでしょうか。1番「酸化」、2番「光合成」、3番「呼吸」。正解は2番です。
問題2、お米1キログラムを作るのに必要な水の量はどれぐらいでしょうか。1番「5リットル」、2番「50リットル」、3番「5,000リットル」。正解は3番です。
問題3、二酸化炭素とメタンでは分子サイズが大きいのはどちらでしょうか。1番「同じ」、2番「二酸化炭素(CO2)」、3番「メタン(CH4)」。正解は2番でした。
問題4、私たちが使っている天然ガスができるまでにかかった時間は、紹介したバイオガスができる時間の何倍くらいでしょうか。1番「3~5倍」、2番「30万~50万倍」、3番「それ以上」。正解は3番「それ以上」でした。
問題5、日本で発生するバイオマスで一番量が多いのはどれでしょうか。1番「生ごみ」、2番「下水汚泥」、3番「家畜排せつ物」。正解は3番でした。
問題6、研究紹介しましたように、100頭の牛が出す糞尿から作ったバイオガスを燃料にして走っている軽トラックがあります。1日分の燃料ガスで何キロ走れるでしょうか。1番「12キロ」、2番「120キロ」、3番「1,200キロ」。正解は3番です。
問題7、つくば市ではつくば3Eフォーラム委員会を設置して、地球温暖化問題に取り組んでいます。3つのEの組み合わせで正しいものはどれでしょうか。1番「Environment、Energy、Economy」、2番「Environment、Elegant、Excellent」、3番「Elegant、Excellent、Experiment」。正解は1番。
最後の問題です。これは難しいですね。池の中で毎年2倍ずつ水面を覆っていく水草があります。今年29年かかって池の半面を覆い尽くしました。後何年たったら池一面を覆うことになるでしょうか。1番「1年」、2番「3年」、3番「29年」。正解は1番でした。
さて、この本を読まれたでしょうか、『までいの力』、私は名前を知らなかったんですけど福島県飯舘村、いろいろ聞くと本当に良いまちづくりをされている美しい村だった、だったという過去形ではいけないのですが、そうだったんですね。何とか復興にということで農水省行政部局の人たちとともに、農村工学研究所でも土壌除染ができないか取り組んでいるんです。
私も地震があり、本当に居ても立ってもいられなくなりまして、若い人が機会をつくってくれたのでボランティアに連れていってもらいました。沿岸部をレンタカーで1日目に回って、2日目は「遠野まごころネット」のボランティア受け入れ団体から、釜石市の半島の方に派遣いただいて、遺体安置所になっていたお寺の清掃活動をやりました。テレビで見るのと現場では大違いで、どう振る舞ったらいいか、ボランティア参加は正直言って勇気が必要でした。体力的にがれき処理ができるのかという不安もあったし、写真を撮ることもためらいました。一緒に行っていた同僚に後押しされて何とか撮りました。少しでも何か役立ちたいと、常々思います。
農村工学研究所でも津波の対象地域、特に岩手県のリアス式海岸では、減災農地という考え方で、これも考えることはみな一緒で、同じような提案が世の中にありますが、集落の機能をどこにどのように配置すべきか、災害の100%防御は無理なので、農地の配置や農道の配置辺りを工夫することによって、減災をできないかというふうに、取組に貢献したいと思っております。
私は今はバイオマス利活用が担当なので、私の分野から言うと、農水省が打ち出していますスマート・ビレッジ構想、バイオマスも含めて何とかふるさと復興に、しかも皆さんがおっしゃってますように復旧じゃなくて、自慢できるようなふるさにというようなことで、何かお手伝いをしようと思いました。
地震の後は気分が落ち込んでいましたけど、私が思ったことは、被害を受けられた地域のために何か貢献したいという気持ちとともに、ふるさと愛媛県の今治のことを思いました。私も50才を過ぎて、普通にしておけば、農村工学研究所であと10年弱勤めることができるんですけど、そういう生き方でいいのか、もう少し体に元気があるうちに、ふるさとのために何かできるようなことに舵を切るべきか、とにかくふるさとが思い浮かんでいる日々であります。
やはり、ふるさとを考えると、そこに住んでいる人、自然、文化、歴史、未来を素直な気持ちで愛せることが大事なのではないかと思いました。山田バイオマスプラントには、いろいろな教訓が壁にも貼られたりしております。ときどきその教訓が変わったりするのですが、最近貼られているものにはこんなのがありました。読売巨人軍の監督を長く務められた川上哲治さんの言葉ですが、「中途半端だと愚痴が出る。いいかげんだと言い訳が出る。真剣にやれば知恵が出る」と。日ごろ、もどかしいことも多いのですが、真剣にやれば知恵が出る部分で、何とか自らも奮い立たせようと思っています。
ボランティア活動に参加して思ったのは、私は正直言ってこわごわ参加しましたが、他に参加している方々は、気合が入っているんですね。それと、真剣で明るいボランティア活動をされているということに、多くを学びました。「Seneca21」というのをご存じの方はいらっしいますか。その震災後のことも含めまして、農業、農村のエネルギー問題をどう次に展開するかというのを、間もなくまとめてアップする予定です。よろしければ、まだアップされてないんですけども、この「Seneca」で私たちの主張もご覧いただければと思います。
政権がどうなろうと、再生可能エネルギーというものを日本の政策にきちんと位置づけるのは、間違いないことだろうと思います。しかし、冷静に見てみると太陽光、風力、小水力、バイオマスをフル活用したとしても、現在私たちが使っている化石エネルギーと比べると、20%というのは相当大きなハードルです。本当に大きいハードルだと思います。しかし、大きなハードルでもそれに進むんだということを決断をしたら、これはできるものだろうと思っております。しかし、本当にこういうことをやろうということができるのは、こういう震災に遭って価値観が変わって、このときだというタイミングでないと、できないのだろうと思います。
この再生可能エネルギーは報道だけを見る限りでは、いろいろ政争の具にされているところもありますが、こういうのは本当に日本の未来のために、大いにしっかり診断した上でやるべきと思っております。私は家の環境家計簿をつけてみるとつくづく分かるのですが、私が生まれた1960年代と今の電力消費量を比べてみると、もう30倍ぐらいになっています。私が幼い頃は、本当に薪でご飯も炊いてお風呂も沸かしてましたし、車も持ってなかったものですから、本当に化石エネルギーは、あまり使用していませんでした。
家族一家で6畳の間で45ワットの裸電球、ちょっとぜいたくになって60ワットになりました。これだけで30倍のエネルギーを使うようになったわけですから、なかなか難しいなと思う次第です。しかし、この図にありますように、投入エネルギーは変わらないけれども、化石エネルギーの投入量を減らして、再生可能エネルギーの投入を多くすることによって、投入に対する産出を、1.3倍ぐらいまでにはすべきだろうと思います。
このためには、いろんな技術を組み合わせる必要があります。1.3倍にするためにはということで、これは強い行政施策の推進によるところが大きいと思いますけれども、私も研究機関に勤めるものとして、こういうのが行政部局で、あるいは政治家の方が示されたならば得意分野をうまく組み合わせることによって、システム化することによって、農業あるいは農村のエネルギー自給度を高めたいなと思っています。
五木寛之さんの本で、『林住期』という本があるのを最近知りました。人生100年を4つに分けているのですね。25歳までの「学生期」、それから50までは家を支え仕事を精いっぱいやる「家住期」。私はちょうど「林住期」、「林住期」ってご臨終の「臨終」ではありません。「林」、「住む」、「期」の「林住」なのですが、研究をやってきたこと、仕事をやってきたことを生かして、素直に世の中のためになるというようなことを展開しようという「期」です。
そういうこともあり、私は意識していろんな方々、地域の人たちと、しかも今まで面識がなかった人と交流を持つように努力しています。昨年は「夢追いサロンつくば」というサロンに出掛けまして、ワークショップ形式でアイデアを出しました。すると、「楽農ランドつくば」を造ろうということで、意見が出ました。エネルギー問題、IT問題、それから福祉とか環境教育とか、全部ミックスするようなアイデアです。
共に学びながらつながり、新しいものをつくりだすという挑戦を、「人」、「制度」、「技術」、「資金」を意識しながら展開したいと思っています。バイオマス利活用というのはツール、手段に過ぎないものですが、大きく人の動きを変えるツールになると思っています。バイオマス利活用で子どもたちの歓声が響き、にぎわいのあるまちづくりをしていこうと思っております。そのために、税金を使って仕事としての研究とともに、ふるさと愛媛、それから今住んでいるつくば市のためにも、色々な方策を駆使してやりたいと思っています。
そういう中で私が作詞したのが、「ゴーゴーバイオマス」という歌です。バイオマス利活用の原理原則を、まず、第1節にて、光合成でバイオマスができ、温暖化防止にもつながります、2節目はエネルギーをつくり出し、環境スタイルを実践します、3節目は私たちの暮らしを、私たちの力で変えていくんだよという思いを込めて、作りました。グーグルで、「バイオマスの歌」と入力すると検索でき、また、ホームページでアップしております。
きょうは、PTAのお母さんバージョンを聴いて頂きたいと思います。
(ビデオ上映/0時55分17秒~0時57分52秒)
ご清聴ありがとうございました。これで、最初に練習した「パン、パン、パン、パン、パパパパパン」、これが最後の歌のフレーズの「ゴーゴーゴーゴー、バイオマス」のところで、手拍子を自主的に打っていただけると、もっと幸せだったということでした。また次の機会に練習して盛り上げていただきたいと思います。
楽しみながら、イベントもしながら、学び、地域のため、子どもたちのために、そして自分たちのために何かをしようという動きだしをしております。これで、私の話は以上です。ご清聴ありがとうございました。

意見交換


Q:1つ質問というかご意見を頂ければと思うのですが、バイオマスの利活用について、ここまでのレベルに到達していない私の住んでる町の状況について、ぜひアドバイスいただければと思います。確か私の住んでる町はバイオマスタウンのはずなのですが、プラントを1つ造って、その後、市長が替わったら、バイオマスタウンらしいことを何一つやってなくて、そういう市民活動も誰もやろうとしていないというところから、農協も含めて何もできてないという状態なんです。
そういう人材にも恵まれてない、何もやってないところから新しく活動なりを起こすには、どういうきっかけがあれば始まるものなのか、ぜひ教えていただければと思います。
A:つくばも別にバイオマスにみんな熱心だというわけではなくて、小さなバイオマスタスクフォースから盛り上げようというところです。農水省等からの様々な激励もあって、これまでに318の市町村でバイオマスタウン構想が公表されました。しかし、これは作った多くの担当者から言うと、激励されて夢をやりなさいということで紙を作ったということで、予算の裏づけとか人員配置上の約束があって作ったものではないので、これまでのやり方からすると、これは事業仕分けとかでも総務省の政策評価でも言われましたが、仕方のないことだと思います。市町村の担当者に、あるいは地域の人たちに公表したタウン構想が進んでいないことを責めるというのは、酷であると思っています。
従って、2020年までにバイオマスタウンを600とするという目標は、単なる数を達成するのではなく、今度は、夢は夢で残す部分と着実に実行する部分に分けて、私が示したような進捗と評価の指標なども盛り込みながら、やるべきであると思っています。駆動力は、農水省がうまくいっている事例ということで、よく全国で20ぐらいの事例を示されるのですが、それを考察すると、強烈に情熱のある人がやはり1人必要ということです。
「人」、「技術」、「制度」、それから「資金」と申し上げましたけれども、1人いるということが、まずは最低条件かなと思います。参考例として挙げられるのを見ても、担当者が2年ぐらいで替わるのではなく、場合によっては、10年間それにかかりっきりの人がいるとか、ある大学の先生がもうそれが好きでやっているということが必要かと思います。
つくば市は私が持ち上げられていることもありますけれど、しばらく粘り強くやるつもりです。
まずそういう人たちがあって、その次にその人とともに行動をする人、誰か言い出しっぺがやったときに、その反応がクールにみんなが冷めた反応を示したら、悲しいですよね。誰かが少しでも応援演説をする、この部分を私がやりましょうという、夢追い人が続くということが大切だと思います。
願わくば、ご質問された方ご自身が、これはやりがいがありますから、もう名物のバイオマスの推進者になっていただくことです。お手伝いできることがありましたら、何でもいたします。

Q:3つ質問させていただきます。1つ目はバイオマスの取組を定量的に客観的に評価して、費用対効果がどうなったかというようなことを把握する上で、今、理科離れとかいうのが言われてますけども、理科教育と地域振興とを結びつけるような取組というのは、できないものかと思っています。取組の中に、地域振興、産業振興と理科教育を結びつけるというような、取組がされているかということについて、お伺いします。
2つ目が、室内実験について筑波大の渡邉先生が、室内実験についてもっと農村工学的な発想を、取り入れたほうがいいというお話がありましたが、例えばバイオマスの培養ですとよくコンタミ、微生物の培養で異物が混入すると、駄目になってしまうというのがあると聞いたことがあるのですが、室内から野外に実用化するときに、農村工学の知見というのがどのように役立つものでしょうか、というのが2つ目の質問です。
それから、3つ目がバイオマスの取組はメリットが多いのですが、ただ一方で、いい品質のものを作ろうとしたらプラントのコストがかかり過ぎることや、償却費用が賄えないとか、いろんなトレードオフがあると思うのですが、取組の中で直面しておられるトレードオフとしてどういうものがあって、それについてどういうふうに、例えば完璧な品質のものではなくて、ほどほどの品質のものを作るとか、消化液みたいにちゃんと需要先を確保してから取組とか、そのようなトレードオフにどのように向き合って、対応されていくのかどうか伺います。以上3つです。
A:ありがとうございます。昔、バイオマス利活用を始めたころは、費用対効果は気にしなくていいと言われてたらしいのですが、最近は、やはり費用対効果はきちんと見なさいと、農水省からも指導されていると聞いています。農村振興局のホームページを拝見すると、外部経済あるいは公益的な機能というのは、こういう方法だったらこのぐらいはカウントしてもいい、こういうふうに評価をする、というようなマニュアルなども出てきておりますので、そういうのをよりどころにして外部経済の評価、あるいは外部不経済の評価というのを取込むというのはいい手だと思います。
外部経済を評価するというのは市町村が事業主体、あるいは関与することを正当化する理由にもなろうと思うんです。例えば家畜糞尿の処分において、豚糞尿なんかは水処理するんですけれども、現在の基準は窒素の放流基準が900mg/ℓなんですね。900mg/ℓ といったら、もう農業集落排水の原水よりもはるかに濃くて、これが100になるかどうか分かりませんけど、これをメタン発酵のほうに持っていけば、もうそれが放流じゃなくて完全に利用できる、完全にいい資源になるわけなんですね。そういうのも発揮できると思っております。とにかくいろんな方法が使える段階になってきたと思います。
理科教育は、筑波大学もやってますけど地方大学も危機感があって、環境教育を小学校、中学校に向けて乗り出してきております。つくばでは私も、谷田部中学校での事例を紹介しましたけれども、総合学習の時間を利用した理科教育の環境カリキュラム、教材を作っておりまして、よろしければ全国の理科の先生に活用くださいというふうにしております。その中でも抽象的にメタン発酵をと言ってもなかなか身に入りませんので、特に小学生、中学生は身に入りませんので、題材を自分のところの町で発生する、あるいは生産されるバイオマス資源を使ったらどうなるかというようなシナリオを示して、一部体験する、実験をする、観察する、見学をするというような方策を考えております。
2つ目の、筑波大学は室内実験でいい成績を上げているんですけど、筑波大学においても、コンタミという問題が生じたというように話を伺っています。野外でとなるとそのコンタミが発生する危険性は、大いにあります。藻類でできたもののうち、エネルギーのほうにコンタミが行ってもそれはいいのですが、やはり連続で運転していると1回生物がおかしなことになると、それはもう残念ながらコンタミした部分を廃棄物として処分して、もう1回新たに系を立ち上げなくていけないので、コンタミ対策は不可欠です。
これを解消するためには、ラインを複数設定するのと、バルブを幾つか設けておいて、コンタミというのに気がついたら、そこの一部分で食い止めるという方策ぐらいしかないかなと思います。培養のほうは筑波大学あるいは民間の方で進んできているので、農業土木的に応援するとすれば、地域の中で微細藻類に栄養を与える、栄養がどこから来るか、その1つは私たちが作っているメタン発酵消化液も1つ栄養になると。食品加工排水もいいでしょう、集落排水の処理水もいいでしょうと、要は窒素とリンとCOD、炭素を、うまく藻類の成長に合うような形で与えてやるというのがいいかと思います。
それから、エネルギー、重油ができるわけですが、普通一般に考えられるのは、できた重油をハウス、施設園芸で利用するということですので、いい立地場所が見つかったら原料、栄養源があるところ、耕作放棄地あるいは休耕田があるところ、プラスできたエネルギーを施設園芸で利用できるところ、それからそういう社会実験というのは失敗がつきものですから、失敗したときにリカバリーできる、一番望ましいのは下水処理場が近くにあって、うまくいかなかったら下水処理場で最後は処分をやってもらえる、まあ、幾つか考えられますけど、そういう意味で立地条件があればと思っています。
それから、トレードオフですが、この問題は、あらゆるところで直面します。ハイテクを用いるとハイリスクハイリターンになります。その地域で適応する場合には専門技術者が配置できませんから、小規模分散型で専門技術者、資格を持っている人たちが巡回で点検整備をできるようなものが、いいかと思っています。
それから、できた液体肥料の輸送にエネルギーコストがかかりますので、やはり圏域、範囲としては20キロ範囲の中で、システムを組むのがいいだろうと思っています。技術との関係で例を申し上げると、私たちは60%のメタンを98%に濃縮してメタンを車でも利用できるようにしているのですが、最近都市型のメタン発酵施設を見ると、例えば東京ガスとか、既存のライフラインに乗せているような事例も見られます。
まあ、農村型だったら年のライフラインには乗せないので、私たちがやっているのと同じように、ボンベ方式でやるのがいいと思っているのですが、例えば、私たちの変換技術では98%にする場合の回収率が90%です。ところが、先日東京スーパーエコタウンの施設を見学したら、90%が可能であるのだが、あえて70%の回収率に、わざと低く抑えているということでした。逆に言うと、メタンの回収率をわざと落としている、ということはオフガスと称されるガス、大気中に捨ててしまうガスにメタンを残しています。二酸化炭素だけにすると、燃えないのです。従って、少しエネルギーがあるメタンを回収率を上げないでとどめることによって、燃やして大気中に持っていく、そういう意味で二酸化炭素にメタンを加えて空中に飛ばすことによって、残存するメタン、温室効果ガスの係数でいうと21倍も悪い悪さをする、メタンという大気放出を最小化するために、わざわざ回収率を犠牲にするというようなことをしています。
その他、やはり液体肥料、メタン発酵消化液の利用では、散布サービスを誰が担うかということを地域の実情に応じて、プラント側が担うか、耕種農家側が担うかということを慎重に検討する必要があります。それから、原料のバイオマスは固液分離をきちんとしないと、技術として成立しないです。こういう研究にお金がつかないからほとんどの人がやらないですが、固液分離を畜産農家側でやるか、食品加工業者側でやるか、プラント側でやるか、これも大きな境目です。
従って、物質のフロー、エネルギーのフロー、お金のフローというものを、バイオマス利活用にかかわる生産者、輸送収集者、貯蔵する人、変換する人、利用する人、これのマトリックスを組んで、トレードオフが生じているか、ウィンウィンにするためにはどうすればいいかというのを、調整していくということになるかと思います。

(以上)

 

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