1. 地域の自然
位置
下総(北総)の位置 |
「北総」とは昔の国名である「下総(しもうさ)」の別名で、現在では千葉県の北部を指します。この地域は、ほとんどが北総台地(下総台地)とよばれる広大な台地上に位置しており、現在では、千葉県有数の農業地帯となっています。特に野菜の栽培は全国でも有数の生産高を誇り、隣接する首都圏への食料供給基地として重要な役割を担っています。
北総中央農業水利事業は、この台地のちょうど中央部、千葉市、成田市、佐倉市、東金市、八街市(やちまたし)、富里市、山武市(さんむし)にまたがる地区で行われています。
地形
北総台地の地形 |
千葉県は、全体的に平坦な地形が特徴で、全国でも珍しい山地の無い県です。北総台地も、標高20~50mの地域が多く、ほぼ平坦な地形となっています。
しかし、この台地には、周辺から伸びるように幾筋もの細長い谷が刻まれており、一段低い低地を形成しています。現在の台地上に川らしい川はありませんが、太古、台地に降った雨水が小川となり、長い年月をかけて台地を削り、谷を形成してきたのでしょう。
当事業地区には、印旛沼(いんばぬま)に注ぐ鹿島川、その支流である高崎川、利根川に注ぐ根木名川(ねこながわ)があります。いずれも小さな川ですが、これらの川とその支流が台地に複雑な谷を刻んできました。
土壌
関東ローム層の土壌 |
台地を覆う土壌は、関東ローム層とよばれる火山灰土です。これは数万年も昔、富士山や箱根の山々が噴火した際に運ばれてきました。粒子が細かいため、乾燥すると風で舞い上がってしまいます。また、火山灰土は一般に水を通しやすく、水田には向きません。川が無いことと相まって、台地上は開発の難しい条件にありました。
一方、台地に刻まれた谷は、小河川によって形成された沖積地であり、土壌は肥沃です。台地のへりを流れる小川や湧き水が豊富なこともあり、古くから谷津田が造られ、稲作が営まれてきました。
気候
太平洋に面した千葉県は、黒潮(暖流)の影響を受けるため、比較的温暖な気候下にあります。北総台地も全体的に温暖ですが、当事業地区は、海に面していない中央部に位置するため、冬と夏の気温差が大きい、いわゆる内陸性気候の特徴があります。。
また、年平均降水量は1,355mmと日本の平均値(約1,700mm)より少なくなっています。冬は特に雨が少なく乾燥する上、西からの季節風が強いため、関東ローム層の土ぼこりが巻き上がることも多くなります。風をさえぎるものが少ない台地は、風害にも悩まされるものでした。
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