3.農業・水に関わる祭り【水系の歴史と「農」の文化】
水田を基軸に社会が成り立ってきた日本では、祭りや行事の多くが「農」に深い関わりを持っています。そして、都市化が進む現在でも、農村には、農作業と共に古くから継承されてきた文化が数多く残っています。ここでは、管内で行われている農業や水に関わる祭りを紹介します。
青龍祭(神奈川県清川村)
清川村で行われている青龍祭は、江戸時代天保のころから昭和初期にかけて、煤ヶ谷(すすがや)地区で行われてた雨乞い(あまごい)の「雌龍・雄龍」を再現した行事です。
その昔、煤ヶ谷村を流れる大川(小鮎川)の天王めいと寺鐘の深い淵(ふち)に、体長20メートルもある大きな雌龍、雄龍がそれぞれ住んでいました。2頭の龍は大変仲がよく、雨を降らせては川を水でいっぱいにし、お互い会う機会を作っていましたが、やがて結婚して天に昇ってしまいました。
江戸時代天保の頃、日照りが続き稲が枯れ果て穀物は実らず、煤ヶ谷村の人びとは困り果てましたが、龍の伝説を思い出し藁にもすがる思いで、竹で雌雄(しゆう)の龍を作りそれぞれの淵に沈めました。すると、その後、三日三晩雨が降り続いたといいます。それ以来、日照りの続く年には、村人は竹で編んだ夫婦の龍を作り雨乞いの行事をするようになりました。
現在この青龍祭は、昭和の始めに一時は途絶えてしまいましたが、昭和61年に「ふれあい教育」の一環として進めてきた子供の会の地域学習活動が発端となって復元され、現在、清川村の伝統行事として守り継がれています。
写真提供:清川村 総務課
西浦の田楽(静岡県浜松市)
浜松市天竜区水窪町にある西浦観音堂で、毎年旧暦1月18日の夜から翌朝まで行われる「西浦の田楽」は、国の重要無形民俗文化財にも指定されている伝統ある行事です。
奈良時代の719年、行基がこの地を訪れ、作った仏像と仮面を観音堂に納めたのが始まりといい、以後、代々この仮面を使った田楽が受け継がれるようになったといいます。
演目は、「地能」33番、「はね能」12番、「獅子舞」「しずめ」の番外2番の全部47番で、夜を徹して舞い続けられます。「地能」の舞は、家内安全、無病息災、五穀豊穣の祈願、「はね能」の舞は神へのお礼、番外の舞は水火の難を除くという意味が、それぞれ込められているといいます。
写真提供:浜松市教育委員会天竜教育事務所
藤守の田遊び(静岡県大井川町)
大井川町藤守にある大井八幡宮では、3月17日に「藤守の田遊び」と呼ばれる伝統神事が行われています。
神事では、開墾や田植えから刈り入れまでの稲作の様子が華やかな舞によって表現されます。神事の始められた歴史は古く、平安時代にその年の五穀豊穣を祈願する ために行われたものが、現在まで受け継がれているといわれています。
「藤守の田遊び」は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
写真提供:大井川町
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