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関東農政局

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イベント概要

平成30年7月6日

平成30年度関東農政局「食育月間セミナー」(概要)


テーマ   「バランスの良い日本型食生活が強い選手を作る!」

日   時   平成30年6月13日(水曜日) 13時30分~15時45分

場   所   さいたま新都心合同庁舎1号館講堂 (さいたま市中央区新都心1-1)

参加者   451名


【開会挨拶(浅川局長)】




【講演】株式会社ヤクルト球団  チーム運営部  コンディショニングサポートグループ
管理栄養士  天方 一匡  氏      プロフィール(PDF : 55KB)
テーマ 「今日から実践!スポーツ栄養!~食事を選ぶこともトレーニング~」 (PDF : 1,369KB)


天方一匡氏
   まず、ヤクルト球団についてお話しします。株式会社ヤクルト球団の1軍は神宮球場、東京都新宿区にあり、ファームの球場は埼玉県戸田市にあります。
   戸田寮ではヤクルト飲料が飲み放題です。1軍も飲み放題ですが、ファームとは飲み物の種類が違います。1軍は種類においても環境においても全て良くなくてはいけません。なぜならファームで、「もうこれでいいや」、「もうこれで十分だ」という気持ちを持たせないためです。選手を伸ばすために環境や飲料も含めて差別化を図っています。
   次に、テーマの2つめ「今日から実践すること」です。勝つ食事とは?   これを食べて絶対に勝つという料理や食品は存在しません。昨年チームは最下位でした。もし勝つ食事があるならば96敗もしません。ナイスゲームをしたいと監督もコーチも選手も思っており、もしそんなスーパーフードがあるならあやかりたいところです。今シーズンの交流戦の成績はチームが頑張った結果ですが、食事が整っているからといって勝てるわけではありません。食事で勝つことより試合で最大限のパフォーマンスができるようにコンディションを整えることが一番大切だと思っています。
   肘を痛めた選手から、肘が治る食材や食事はあるかと聞かれますが、身体を増量・減量したり貧血には食事が大きく関わってきますが、肘や肩や腰を治すために食事でどうこうなるということはありません。ですから、選手に一番言いたいのは、何事もバランスよく食べるということです。
   会場にはリトルやシニアの選手の保護者の方がいらっしゃると思うので、「家庭で教育すること」としてやってもらいたいことがいくつかあります。まず、食事のマナーとして、いただきます・ごちそうさまの挨拶です。野球にルールがあるように食事にもルールがあります。私には保育園で5歳の娘がいますが、挨拶は幼稚園でも保育園でも子供でもできることです。今回ターゲットがリトルやシニアの小学生高学年から中学生ぐらいまでの保護者の方なので、再度、いただきます、ごちそうさまですを料理を作ってくれる方に対しての感謝の心を込めて挨拶してもらえたらと思います。
   次に箸の持ち方です。箸の持ち方は子供が成長していく過程で最初に親から厳しく躾される場面ではないかと思います。
   3番目、魚の食べ方です。これはプロ野球選手にも言えることですが、骨のない魚を好む選手が多いです。魚には骨があるんだということを家庭でも教えていただけたらと思います。
   4番目、1人で食べないこと。同じテーブルに座って会話をしながら食べることです。5番目は4番目と似たような感じになりますが、もし選手が1人で食べていたら、話し相手とまではいきませんが、一緒にテレビを見たり、栄養の話しや世間話などもします。そうした環境づくりが必要ではないかと思ってやってきました。今、お話ししたことは、プロ野球選手や大学生や高校生にかかわらずどなたでもできることだと思います。
   「弁当のポイント」です。弁当はどのようなものを持って行くかということで、私の中学、高校時代は野球部の方針で基本的におにぎりのみでした。今はプロの仕事に関わっていますので、プロのお弁当のポイントを紹介します。まず、食中毒予防のために安全・安心なものを使います。当たり前のことですが、危険なものは入れないということが大切です。コンディションを整えるために安全・安心なものを入れてあげたほうがパフォーマンスを発揮できるのではないかと思っています。
   次に挨拶をさせるということ。弁当を作ってくれた人、用意してくれた人にありがとう、ごちそうさまと挨拶をさせるようにしてもらいたいという思いがあります。
   次に食べやすいもの。資料の写真は実際にプロ野球選手が食べている弁当です。実は選手にとっては食べにくい弁当となっています。なぜ食べにくいか。シニアや中学生ぐらいの軟式野球ですと、一日ダブルヘッダーで2試合くらいやると思いますけれど、休憩がおそらく1時間はないと思います。プロ野球選手も同じ事が言えて、この写真はファームの弁当なんですが、選手が食べるのはバッティング、シートノックが終わってだいたい試合開始45分間前です。先発キャッチャーは、なかなか食べる時間がありません。先発投手は試合前なので早めに練習を終えることができますが、先発キャッチャーはシートノックまで出てからお弁当を食べ始め、食べる時間は15分くらいしかなく、食べられて3分の2くらいというのが現状です。これをどうするかということでおにぎりをプラスした方がいいのか、サンドイッチを増やした方がいいのかは今後の課題となっています。
   アマチュアスポーツ、シニア、リトル、ボーイズリーグなどでは余計に試合間の時間が取れないことも多いので、先ほどのおにぎりが全てではありませんが、食べやすいものがあるといいのかと思います。
   「ファームにおける補食」です。おにぎり、バナナは一般的です。ホームゲームの場合はジョア、ソフールがいつでもショーケースに入っており、カルシウムも摂れ補食には丁度いいのでこういったものを摂ることが多いです。
   遠征の場合は個包装のカステラです。なぜ、個包装にしているのかというと、ちぎってすぐ食べられ、手を洗う時間も節約でき衛生の面でも個包装が良いということです。球団のバスの中には冷蔵庫が付いており、その中にグレープフルーツ100%のジュースを入れています。これぐらいしか補食の部分は出来ませんが、皆さんは遠くへ遠征するような場面がそんなにないと思うので、コンビニなどで手軽に買えるようなものが補食として一番良いいのではないかと感じています。
   「休養」です。うちの子痩せちゃうんですと親御さんに言われたことがあります。それは休んでないというのが大きな理由だと思います。痩せている選手ほどうまく休養が取れていないと思います。大体、1日7時間から8時間の睡眠をとるようにしてもらえたらと思います。
   体作りにトレーニングは当たり前ですが、トレーニング、食事、休養の三つが大切です。どれか一つでも欠けるとせっかくの体作りの悪影響となるためバランスが必要です。
   「今日からできる実践レシピ」です。戸田寮でも人気で、私も厨房に入っていた頃作っていた肉巻きおにぎりとドレッシングです。小さいお子さんでも作れるものなので、作り方は資料を見ていただければと思います。
   ここからが本題で、テーマの3つ目「食事を選ぶこともトレーニング」です。そもそも戸田寮の目的は、野球を職業とする者が、野球技術の向上と、団体生活を通じて社会人としての教養と良識を身に付けるための場を提供し、野球技術向上の便宜を図ることを目的としています。この一文は、新人の選手が1月に戸田寮に入寮する際に選手に配る「プロ野球選手の心得」に書かれているものです。プロ野球選手として、一社会人として野球以外の事も身につける場としてこの戸田寮があります。その中にこの栄養という部分も入っており、この戸田寮で学んだことを糧として1軍で活躍してもらいたいというのが一番の大きな目的です。
   戸田寮の食事形態は、朝食、昼食、夕食が大体ビュッフェ形式です。理由は、1軍、ファームともにキャンプ遠征先ホテル全てがビュッフェ形式になっているからです。出された料理をただ食べるだけでは意味がありません。自分で考えて選ぶことができるということが全てにおいて必要です。選手自身にも考えて食事を摂ってもらいたいということでビュッフェ形式にして、何を選択したらバランスが良くなるかというような栄養教育を行っています。
   戸田寮の栄養教育を簡単に言うと、全てが1軍で活躍するためです。ファームにいては1円のお金にもなりません。1軍で活躍するために自己管理が出来るようにビュッフェ形式で適切にメニュー内容・量を選択できる知識とスキルの獲得が目的となります。
   ファームは自分を調整する場で、自分の身体と向き合っていれば良く、勝ち負けよりも野球の技術であったりトレーニングであったり、栄養であったりそのようなことを学ぶ場でもあるので、全ては1軍で活躍するため、自分がお客様を呼べる、そういった選手になってもらうために戸田寮で栄養教育を行っています。  
   ここからは、選手がどのような食生活に気を付けているのかを紹介したいと思います。
まず、チーム最年長のピッチャーの石川選手です。私が2002年に入社した時に寮にいたのが石川選手です。身長はチームで一番低いですが、身体にはものすごく気を遣っています。人間的にも素晴らしく私も尊敬しています。プロ野球選手で誰を尊敬していますかと問われたら、石川選手の名前を挙げます。もちろん、好き嫌いをせずに食べること、バランス良く食べることを心がけていると言っています。そんな中でピッチャーとしてチームを引っ張っており、石川選手がいるかいないかでチームの雰囲気が違うということを感じています。
   次に由規選手です。試合前日には消化の良い炭水化物を摂る傾向があります。サプリメントも世の中にはありますが、それにあまり頼らず食事で身体を大きくしてきた選手なので紹介しました。 
   次に中村選手です。ファームにいる時、夕食後、1軍の試合を見てからバッティング練習を行っていました。なぜやっているのかと聞いたら、いつでも1軍に呼ばれていいようにという答えが返ってきたので、そこが意識の差として、レギュラーを取る伸びしろとなっているのだと思っています。また、夜食として、ご飯に卵と納豆をかけてよく食べていました。
   次に山田哲人選手です。寮にいた頃は、身体も細く食事量も少ないため、すぐに痩せてしまうのが悩みでした。今でもあまり身体は大きくないですが、トリプルスリーを達成できるぐらいの身体があり、正直、栄養士泣かせです。夕食後によくおにぎりを二つ作って夜食として食べていたのが思い出になっています。
   次に青木選手です。私と同い年です。日本とメジャーの違いについて、メジャーは朝食、昼食、夕食を球団がクラブハウスで用意してくれているとのことです。また、どんな食事が用意されているのかと聞いたとき、日本食はあまり出ず、これが日本食かというのもあったそうです。一番良かったのは、試合後、夕食をクラブハウスで食べられたことだと話してくれました。試合後すぐに食べるから体調が良くて翌日の試合にすぐに臨めたとのことです。あとは移動時間が全然違うということです。
   次に名前は明かせない選手の一人目です。試合前日にゲン担ぎで脂っぽいトンカツを食べてもよいかと聞かれました。前日でも試合時間までに12時間以上もあり、1軍なのでゲン担ぎも必要かと思います。前日に脂っぽいものは勧めませんが、それでチームが勝てるのならいいじゃないかと話しました。
   次に名前は明かせない選手の二人目です。思うように結果が出ない選手でした。朝食をしっかり食べてから練習をしようと思い、起きる時間を30分早めて朝食をバランスよく食べるようになった結果、筋肉量は増加し、将来が楽しみな選手として活躍しています。
   次に名前は明かせない選手の三人目です。日々の試合後に練習やトレーニングを行い、夕食後さらにマシンを使って打撃練習を行っている選手です。日々の食事もトレーニングとして、夜間練習後も補食をして身体を大きくしようとしています。補食の内容はジョアやソフールなどの乳製品とバナナなどを摂るようにしています。その程度で十分だと思っています。補食をたくさん摂り過ぎたために食事が食べられなくなってしまうと困ってしまうので、それくらいの量が丁度いいのかと思います。
   ここからは、家庭内でもやっていただきたい「大切な事」ことです。練習前や試合前には必ず食事を食べてから行くようにしてもらいたいと思います。プロ野球選手にも練習前や試合前にそんなに食べられない選手もいますが、まず、食べる習慣をジュニアの時代から付けてもらいたいと思います。朝早い練習や試合前なども野球に限らず 必ず食べてから行かせて欲しいと思います。
   次に子供の前で喫煙はしないということです。私が高校時代の監督はグランドでタバコを吸っていましたが、スポーツをする場なので、子供の前での喫煙は個人的に反対として書かせて頂きました。
   次に自分の身体に興味を持つことです。食べると身体にいいんだと言うようなことでいいと思います。そのようなところから食育につながると思います。よく、好き嫌いをしている子供をどうしていますかと聞かれます。私の子供は家でプチトマトとキュウリを育てています。キュウリはもともと好きでしたが、プチトマトを選んだ理由は、子供がトマトをあまり好きではなかったからです。そこで、家で苗を植え、水をやり、花を咲かせ実を採る作業を近所の子とともにやっています。育てたものを収穫して食べるという一連の流れを小さい頃からやっておくと好き嫌いがなくなると思います。今ではトマトが好きになり食べています。
   「実際に必要なご飯の量」についてです。シニアの体重60kgの子供に必要なご飯の量はどれくらいですかと聞かれたことがあり計算してみました。資料には1食270gのご飯が必要と書きましたが、実際には、エネルギー消費量を計算しなければ本当に必要な量は分かりません。あくまで目安と考えてください。栄養士や公認スポーツ栄養士の方に相談して頂ければと思います。
   「サプリメント」です。子供にサプリメントは必要ですかと聞かれます。うちの子、飲ませないと痩せちゃうんですと。それは単に練習のやらせすぎですと答えました。サプリメントが必要な時は、試合が1日に何度もあるときや、海外遠征で安全な食材が手に入らず栄養が偏るなどのときなどです。ここ埼玉県で野球を行う場合はほとんどのお子様が必要はないと思います。また、なぜ必要なのかを考えて欲しいと思います。それは、サプリメントで怪我が治ることはないからです。もし直るとしたらそれは薬です。
   「今日のまとめ」です。子供用と保護者用にまとめを作成しました。
   まず子供は、食事のマナーを守ること。好き嫌いをしないことが食事を選ぶトレーニングの第一歩になります。先ほどお話しした、好き嫌いをさせないために苗を植えて収穫するということも大事だと思います。サプリメントは飲まない。私自身、飲む必要性を感じていません。
   保護者用のまとめです。まず、食事を楽しませることです。親として、バーベキューをやるとか外食するといったところでいいと思いますので、子供と楽しんで食べるという機会を作ってもらえればと思っています。
   次に情報の真意を判断することです。最近SNSなどで、何が正しくて何が嘘か分からないという状態になっているので、親がきちんと見極めることです。誰々選手が言っているからやるとか、その選手の言葉が正しいのか、サプリメントを摂っているがどうなのか、あれは身体に効くのかなどを踏まえて、3番目になりますが、自分の子供のためなら買ってしまうのが親心かもしれませんが、サプリメントを簡単に与えないほうがいいと個人的に思っています。
   この写真は、2015年のチャンピオンフラッグを掲げた写真です。今シーズンは優勝を狙える位置にいますので、これからも継続して選手をサポートしていきたい思っています。やはり勝つことが一番の目的でプロの世界で仕事をしていますので、お話しできないこともいくつかありましたが、今日、お話ししたことを家庭でいくつか実行して頂き、そういったお子さんがいつか東京ヤクルトスワローズに入団してくれたらと思って今日のお話を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

【事例紹介1】
花咲徳栄高等学校  食育実践科  科長補佐  會田 友紀  氏      プロフィール(PDF : 37KB)
テーマ 「食でつながる人々の環 ~若い世代が担い手となる食育推進~」 (PDF : 5,177KB)


會田友紀氏
   私は、本校に勤務して約20年、花咲徳栄高校が初めて甲子園に出場した時も、昨年、全国制覇した時も、球場に行かせていただき非常に貴重な経験をさせていただきました。今日は食育に関するお話ということで、野球とは少しずれてしまう内容もあるかとは思いますがよろしくお願いします。
   本校は周囲が緑に囲まれた自然豊かな加須市にあり、開校からまだ37年という新しい学校です。
   施設ですが野球部のグランドや野球部の室内練習場、その他400mトラック、温水プール、体育館も2棟、柔道、レスリング、剣道、空手、ボクシングと各々に武道館があり、テニスコートも6面あります。1クラブ1施設という非常に恵まれた環境で、生徒たちは部活動に勉強に励んでいます。野球部だけが有名だと思われますが、昨年は女子サッカー部もインターハイに出場、女子硬式野球部などいろいろな部活が活躍しております。
   本校ですが、普通科と食育実践科とありまして、普通科は1学年約16クラス、3学年で47クラスです。全校生徒数1,883人の大きな学校です。 
   本校の食育実践科ですが、調理師養成施設校ですので、卒業と同時に調理師免許が取れる学校です。
   また、部活動の加入率は全体で76.6%、運動部生は1,100人程度、野球部は120人ぐらい在籍しています。
   平成26年から28年の3年間、文部科学省事業の「スーパー食育スクール」の指定を受けまして、食とスポーツというテーマでいろいろな取組をして、その結果と食育との関連を調査してきました。また、昨年平成29年度には、「つながる食育推進事業」モデル校で、食をテーマにいろいろな世代と繋がる食育を展開してきました。今日はこの話を少しさせていただく予定です。
   ちなみに、4年連続で指定を受けたのは全国でも本校のみ、高等学校も全国で1校だけでしたので、今日は高等学校の取組ということでもお話をさせていただきます。
   私がここ数年、この取組に関わる中で強く感じることは、小中学校では学校給食や体験授業などを通して、食に絡む体験の機会が非常に多いと思います。また、大人になると、今日のように食育セミナーや料理教室などもあり、食に関する体験は盛んに行われているようです。
   実際、高等学校においては学校給食もなくなり、食育推進が途切れてしまう期間だなと感じております。是非、この期間においても充実した食育推進が行われるようにすることが今後の課題かなと実感しております。
   そこで、本校はこの4年間継続して生活習慣のアンケート調査、スポーツテストの実施、また、後ほどご紹介しますが、生徒全員に骨密度やヘモグロビンを計測してもらい各自の状態を認識してもらう取組を行ってきました。
   それから4番目、本校独自のアスメシ、スタメシ、CaFe(カフェ)メシという料理の提供です。普通科と食育実践科があるので学科間の連携や同世代に向けた食育指導、また、今日のような食育の講演会、そして、異年齢との交流ということで、小中学校との交流授業などを積極的に行っております。
   今日は時間の関係で一部しかご紹介できませんが、若い世代である高校生が中心となって実践した食育推進の事例をご紹介したいと思います。
   本校では、さきほど紹介した、アスメシ、スタディメシ、CaFeメシの提供を行っております。これらの名称はNHKの「サラメシ」という番組からヒントを得ました。
   まずは、アスリートメシ、略してアスメシです。競技力の体力向上に有効と考えられる食事ということで成長期に必要なカルシウム、鉄分はもちろんですが、高タンパク・低カロリーを強化栄養素としてメニューを構成しています。
   2つめは、スタディメシ、略してスタメシです。スタメシというとスタミナのあるご飯だと勘違いされるのですが、運動だけではなくて勉強にも力を入れているということで、あくまでも学力向上、記憶力、集中力に有効と考えられる食事でDHCやレシチンが豊富なメニューとなっています。
   そして、3つめはCaFeメシです。このメニューはおしゃれなカフェ風という意味ではなく、カルシウム元素記号のCa(カルシウム)とFe(鉄分)でカフェと読み、略してカフェメシです。よりカルシウムと鉄分を豊富に含んだメニューとなっています。
   これらの食事は一食500円で、すべて手づくりで作成しております。
   つい先日、提供したアスメシの内容は、炭水化物がちょっと多めになっておりますが、きちんと生のフルーツを使ったり、本日、ヤクルトさんいらっしゃるんですが、ジョアを使っています。牛乳にしようか迷ったのですが、ジョアの方がカルシウム量が多くビタミンDも含まれています。飲みやすく、味も多様にあるので愛用させていただいています。また、5月でしたので旬のメニューとして若竹汁を提供しております。
   本校卒業生の元プロボクシング選手である内山氏も食べに来ていただきました。彼も野菜ソムリエの資格を持っており、食に興味がありましたので講演をしていただいたり、生徒と一緒に食べていただくことでアスリートの選手たちや野球部に限らず、多くの生徒が興味を持ってくれるようになりました。
   また、今週、実施されるスタメシのメニューはお魚です。先程も魚の骨のあるお魚は食べないというお話がありましたが、やはり食いつきは少し悪いです。お肉の時は申し込み状況も多いのですが、お魚というだけで申し込みが伸び悩んでしまう傾向がありますので、メニュー構成は他の食事より工夫しております。
   すべて食育実践科の生徒が手作りをしておりますので、冷凍食品は一切使わずに原材料費のみで行っています。給食ではここまで考えられないと思うのですが、本校の生徒の勉強も含めて行っております。
   カフェメシは来週行われますが、地元のゼリーフライです。ご存知でしょうか。行田の地元のものを入れながら、地産地消や郷土食などを考えながらメニューの構成をしております。先程ご紹介したように、料理作成から提供、片付けまで全て本校の食育実践科の生徒たちが実施しております。
   同じ空間において同じものを一緒に食べるというのは、中学の学校給食以来ということもあるので、高校生になってからのこのような機会では和やかな雰囲気の中、生徒や教員との会話も弾みます。良い機会と思っております。
   また、ただ食べるだけではなく、スクリーンを使って食育に関するクイズを出しながら勉強するという活動も行っております。この中で、生徒が生徒に質問するなどの機会を設けることにより、コミュニケーション能力も高まります。なかなか最初はうまくいかないのですが、慣れてくると同世代ですので非常に話が弾みます。
   しっかりと噛むことや20分以上の時間をかけて、ゆっくりと食べる指導もしていますが、4年目にしてやっと時間を言わなくてもできるようになってきました。最初の頃は「20分かけて食べてください。」と言っても早食いに慣れている運動部生は、パパパッと食べ終わってしまい、ジーっと待っているという姿が見られたのですが、最近はよく周りを見ながらゆっくり食べる意識を持つようになりました。今、食育の中で話題になってるこの「共食」はとても大事だなと感じております。
   全校朝礼や学科間連携の食育指導についてです。
   全校朝礼は体育館などにおいて実施します。全校生徒を前に本校の生徒が食中毒予防の食材の話や、食育についてのデータをとった調査結果の報告などを同じ学生同士で発表し合い、食に関する興味・関心を深めています。
   学科間連携については、それぞれのホームルームにおいて、カルシウムと鉄分の話などをしています。やはり、栄養素について意識をしないと身体に必要な量が摂取できない時期だと思いますので、成長期にカルシウム、鉄分がいかに大事かという事を話しながら、実際にどういうものをどのように摂ったらいいのか、たどたどしくても生徒たちが自分たちで伝えようとする取組は非常に良いと感じています。アンケートからも「このような授業がよかった。」という結果も出ていることから、毎年実践をしております。
   また、年2回、生徒や保護者にもご協力いただき、食に関するアンケートを実施し、そのデータ分析を4年間行ってきました。
   スポーツテストについても、実施するだけではなく、その結果を生徒に反映しています。参考資料に入れさせていただきましたが、3年間で体力向上5%アップという目標値を達成することもできました。
   先程ご紹介した骨密度計ですが、踵を乗せて測ります。なかなかこのような機械は普通の学校には無いので、本校は県立大学さんよりお借りをして1人1人のデータを測っています。同世代の生徒の平均値が100%としています。数値を見ると、やはり運動をしている生徒たちは100%超えが非常に多いです。私が見た中で一番高い数値は166%、驚きました。生徒だけでなく、文化祭など様々な機会をとらえて一般の方の計測も実施すると、50代、60代、70代においても非常に骨がしっかりされていて骨密度が高い方がおられます。私が今まで見た中で、74%という生徒がいました。その生徒に対し、「20歳ぐらいまでの間は骨量は蓄えられる、今からしっかりカルシウムを摂ればまだ大丈夫」と話したところ、骨を育てると書いて「骨育」がんばります!と宣言し、取り組んだ結果、半年後の計測時には数%の上昇がみられました。このように目に見える結果が出ることによって自分の体のことを考え、食事をどのように変えようかという興味を持つようになってきています。
   同様にヘモグロビンの測定も実施するのですが、特に踵に衝撃を受けるスポーツ、剣道やバスケット、長距離のマラソンもそうなのですが、生徒の中にはとても数値が低い者もおりました。ヘモグロビンが壊れてしまうと、スポーツ貧血が起こりやすくなります。先日、NHKの番組でも放送していたのですが、ヘモグロビン値が低いと非常に疲れやすくなるということです。実際に計測した結果により、数値が低い生徒は、カルシウムや鉄分などの必要な栄養素を摂取できるよう、バランスの良い食事への意識を持つことも食育なのかなと思っております。
   それから、異年齢とつながる食育ということで、小中学生との交流授業や、各学校にお邪魔をして体験授業などを実施しています。
   私がいろいろ説明をしても伝わりにくいと思うので、時間の許す限り映像を見ていただこうと思います。
   まず、一つめが幼稚園生と一緒に『ピザ作り』をした時の様子です。
   高校生自らが幼稚園生と同じ目線になり、自分たちで考えた手洗いの歌を一緒に歌うことで、しっかり手洗いしてピザを作りましょうね、と促しました。
   保護者の方は手を出さず、高校生と幼稚園生とで直径10cmぐらいのピザを作っています。そして、焼きたてを皆でいただきます。食べ終わったあとも、高校生が考えた歯磨きの歌で歯磨きをしています。
   もう一つの映像は中学生との『いわしのつみれ汁作り』の様子です。
   お魚嫌いが多いと言われていますが、手開きで簡単に作業できるので多少ぐちゃぐちゃになっても、潰してつみれになってしまえば出来栄えは上々です。約1時間でできる実習なので度々、中学生と実施します。これは、いわしを手開きしているところです。今は、兄弟の数も少なくなってきていますので、実習の初めはコミュニケーションがぎこちないですが、年齢が近いこともあり時間が経つにつれ、とても楽しい雰囲気の中で行われています。
   4年間、私たちが取り組んできて思ったこと、それは食を通しいろいろなつながりが見え、様々な相乗効果が生まれていることです。学校だけではなく家族との関係、親子との関係というコミュニケーションが増加しています。地道な努力ではありましたが、4年継続して実践してきたことにより、やっと少しずつ意識は向上し、また実践度も向上してきていると感じています。取組を継続することの大切さや意義を実感しながら、今、5年目に入っております。
   最後に、今、私が担当しているのは高校生です。高校生を中心とし、様々な世代の方や保護者、生産者、そして地域の皆さんなど関係者全体が食育をとおしてトータルウィンとなるような活動ができればと考えております
   今後に向けては、ライフステージに応じた間断なき食育の推進を進めて行きたいと考えています。小中学校まではどちらかというと「保護者主体の食」です。高校生期には多様な体験や授業をとおし「自らが主体の食」という意識を持てるよう活動を進め、担い手となる食育をと考えております。
   実践までの道のりはまだまだ長いですが日々、前に進んでいけるよう、頑張ってきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
 

【事例紹介2】 
大宮東リトルシニア  事務局長兼コーチ  飯田 秀一  氏      プロフィール(PDF : 55KB)
テーマ 「中学硬式野球リトルシニアの食育の取り組みについて」 (PDF : 5,214KB)

   大宮東リトルシニアには自分の息子が在籍していました。今、息子は27歳となりますので、15年ぐらい前です。当時、リトルリーグの選手だった息子がリトルシニアでやりたいと言い出したので親父としてサポートしました。体が非常に細く、リトルシニアの他の選手に比べ貧弱な体格をしていました。今では自分よりも背が高くて非常に大柄な体になりましたが、中学のときにはなかなか結果が出せなくて、本人も随分悔しい思いをしたということが基礎になっています。そのような中で、子供をなんとか応援して強くできないかという想いで、チームにその後も残って運営に携わり、いろいろな練習に取組んでいます。
   チームのプロフィールですが、昭和54年、1979年に創設されました。リトルシニアとしては歴史があり古いチームとなります。また、野球の練習だけではなく、礼儀としてグランドでの挨拶を行っています。グランド近くにいる方にも必ず立ち止まって挨拶をし、散歩にきた方にも選手は挨拶しています。そのようなことを含めて体作りをし、高校以降で活躍してもらうということを目的に活動しています。
   チームは大宮東という名前がついていますが、さいたま市を中心に桶川市、上尾市などの地域から選手が集まってきています。さいたま市は硬式のクラブチームが沢山ある地域なので、そのチームの中では体格的には決して大型のチームではありません。伝統的に体のあまり大きくない子が集まってきています。 
 
飯田秀一氏
   写真はグランドの様子です。場所は上尾市の領家という場所で練習をしています。一番奥に見えるのが荒川の河川敷で、牧草地になっており、自然環境に恵まれた場所で練習しています。
   写真はバッティングケージです。このような感じで打ち込みの練習をしています。
   次の写真は専用のブルペンで投げ込みの練習をしています。写真に写っている子はピッチャーで3年生です。うちのチームの中では一番体格の良いほうの選手です。キャッチャーは2年生です。この子もうちのチームの中では体の立派な選手になりました。
   食事トレーニングを開始した理由ですが、体の小さい子が多く、背が高くても細身の子が多いからです。リトルシニアの場合には中学生ということで体格差が非常に大きく、早熟な子は体が早く出来上がっていますので力もあります。大宮東というチームは体格的にまだまだ出来上がってない選手が多く、そのために大型のチームと対抗するために体作りに時間をかけているのです。食事トレーニングを開始する以前でも、それなりに厳しい練習をして3年生になってくると体ができてきます。そうするとボールの扱いや、体にキレが出てきます。非常にうまくなったと私も練習している選手を見て思いましたが、公式戦に臨み大型のチームとの試合をしてみるとやはり体の圧力が違うことが分かりました。本当に自力の勝負となった時に打球の強さ、球際の強さが及ばず、やはりこれは何かが足りないと感じるようになりました。夏の最後にチームができ上がって試合をしても善戦するようにはなるのですが、やはり勝ちきれない、何かが足りないということは常に感じていました。
   また、食事トレーニングする前までの夏は特にそうですが、炎天下で練習をする場合に午後、選手の動きが低下しバテるのです。特に午後3時を過ぎるとそういうことがすごく見られたと思います。やはり今になって分かるのですが、その当時、「気持ちの問題だ」とか、「根性がない」とか、選手に言ってしまいましたが、今になってエネルギーが不足していたということが分かりました。選手に上手い下手と簡単に言ってしまいますが、一番指導者が言ってはいけないことだと思うのです。
   親御さんも選手の技量を決めてしまうことがあると思います。うちの子は下手だから、小さい体だからとか、それは本当に上手い子はいくらでもいるので、比べてしまうとそのように思ってしまうことは自然なことです。しかし、長くやってきて気付いたことがあります。運動神経の違いは生まれ持ったもので、野球選手として素晴らしいか、素晴らしくないかということは運動神経の違いとかそういうものではないということです。それは、中学生が特にそうですが、やはり体の発達の度合いによって、選手がその技術を頭にインプットしても、そのように体が動かせないのです。動かすための体の強さというものが無い子が多いのです。出来る子は何も言わなくても出来てしまうのです。そういう子は一部おりますが、多くの場合はそうではないことに気付いてきました。
   また、中学生の早生まれ遅生まれという問題があり、同一学年でもやはり一年違うのです。そうすると早熟、そうではない晩生の子と考えた上で、一年間のタイムギャップによる課題について今出来ていないことに対する評価が正当かどうかという考え方をするようになりました。体のレベルが大事だということに気づき、何月に生まれた子なのかということをすごく意識するようになりました。やはり、4月、5月に生まれた子は、早く芽が出てくることが多いです。
   選手育成の概念とありますが、「選手としての成長の前に健康体であることが必要」から「戦術の理解」に順番に行くという感じです。「選手としての成長の前に健康体であることが必要」は野球選手である前に健康体であるのかどうかです。硬式野球はそれなりに体の強さが求められますので、体の準備ができているのかということです。本当に初歩の段階です。
   次に、練習は朝8時から開始し、日が暮れるまでやります。夏場は夕方7時くらいまでやりますが、暑い中やりますので、相当の体力が必要になります。ですから、体力がないと練習もやりきれません。
   先ほど申し上げたとおり、体に強さが身に付かなければ技術まで行けないのです。硬式バットは小学校で扱っているバットより200g以上は重いです。ボールも当然硬式なので重くなります。ボールは弾まないので、金属のバットでへこまないボールを打つようなものです。ですから力と力の激突です。
   リトルシニアでも大柄の子で130km/h投げる子がいますので、そういった球を打ち返すためには、単純に130km/hのバットスピードが出ていないと負けるということだと思います。それだけのベースを持たせてあげるようにすることが大事なのです。そうでないと技術うんぬんといっても、やはり子供はそのとおりに体を動かせないということが分かってきました。
   体をしっかりと作った上で技術的なことを教えてあげないと、子供は「下手だから」、「能力がないからできない」と思ってしまいます。決してそうではなくて、技術を体で表現できる段階にないということだと思います。それだけのベースができれば言われたことができるようになっていくというのが経験上分かってきたことです。
   最後に個々の技術ですが、守る、打つ、走ることだと思うので、それが出来て試合の中で経験を積んで本当に素晴らしい選手になるということだと思います。
   正直なところリトルシニアでできる期間というのは2年半しかないのです。3年生は6月、7月で終わってしまうので、その短い期間の中でできることは「技術習得、技術向上」の途中ということだと思いますし、「戦術の理解」ができれば、それなりに成績が残せるということだと思います。
   食事のトレーニングをするにあたり、何を食べるべきかということを父兄に説明しています。私たちは栄養、食事の内容については素人ですが、以前、高校でセミナーがあり、うちの監督、指導者が参加させていただきました。その中で「国立スポーツ科学センターわいわいレシピ」というものが紹介されました。こちらのサイト上にいろいろな栄養とかスポーツに関連する食事のことが掲載されています。私たちとしては、どんなものを作ってくださいということを、お母さん方には申し上げていません。これを参考にしてくださいと入部の時に説明してお願いしています。
   難しいのは、仕事等でお弁当をなかなか作ることができないケースてす。食事についての注文はチームからお願いすることはありません。おまかせすることは伝えますが、大きなガイダンスとして、この「わいわいレシピ」というサイトを紹介しています。
   食事の量ですが、まず何を食べるかというのを決め、次に量を決めます。当チームのコーチの中に、大学、大学院までスポーツを勉強し、いろいろな体のことを勉強している方がいますので、その方に計算をしてもらい、どの位食べたら良いのかということを、数字に出してもらいました。この表はそれに基づいています。お弁当箱をまずチームで決め、どの位食べるのかを体重別に設定しています。食べきれない子は、午後の練習には参加させないということを徹底しています。最初食べるのが苦しいけど、子供はすぐ順応して、普段の食の量も増えてきます。また、昼食の他、午前10時と午後3時に10分間程度で簡単な補食を摂っています。食事のトレーニングをすることで、子供が食べることに関心を持つようになりました。お母さん方からは、家庭においてもご飯のことについて子供からお母さんに尋ねてくることにより、家庭内でのコミュニケーションが改善されたと言う話を聞きました。また、プロテインは使用しておりません。基本的にはご飯の量で補っております。
   弁当の量ですが、うちのチームは小柄な子が多く、体重35kgの中学1年生もいますので、かなりバラツキがあります。大きい子は70kgを超える子もいますから、おおよその量を決めて食べています。これが相当な量で、大人はとても食べきれる量ではないのですが、子供はお昼の時間が40分ありその中で食べています。実績としては、一年間で小柄な子で5kg体重が増えています。大柄な子は10kg以上増えています。もちろん贅肉ではなく、動ける体として大きくなっています。
   写真は実際に食べている弁当箱です。かなり大きなものです。大人ではとても食べきれませんが子供はペロッと食べてしまいます。
   写真は当チームの会長です。子供たちが弁当箱を持って全部食べたかどうかを見せにきます。全部食べたらOKで!午後の練習に参加できます。
   写真の補食ですが、内容は指定していません。スポーツゼリーやあんぱん、ドーナツ、バナナ、おにぎり等おまかせしています。ただ食べ終わった後は、バテてた子が回復してますし、元気が出ていると感じています。
   写真はトレーニングですが、お昼休みの前に丸太を持って、30分~40分走っています。足腰とか、体幹、腕、手首すべて鍛えることが出来るということで取組んでいます。
   写真は雨の日でも練習できる室内場で、フィジカルトレーニングを行っています。
   食事トレーニングの効果ですが、1年生の時スイングスピードが85km/hだった子が、先週の土曜日に測定したら、119km/hと34km/hアップしていました。また、身長179cmの子は、スイングスピードが95km/hだったのが、132km/hまでアップしていました。相当、力が付いてきたと感じますが、体格差だけではなく、それなりに能力も向上しています。平均で球速がピッチャーの場合は20km/h以上速くなっています。スイングスピートを測定したら平均で28km/h、一番上がった子で、40km/h速くなりました。
   その他に見られることは、体を作っていく中で、守備が安定してくることと、単純に走りが良くなってくることです。入ってきた時は、左右のバランスも取れてない子がトレーニングと食事をして体を作るということで、全てにバランスが取れてくるということです。
   体が強くなり、試合で押されなくなると一番大事なことは子供の顔が変わります。やはり自信を持つということで、技術というよりも体が負けなくなると子供の顔付きが変わってきます。
   最後ですが、はっきり言って強いチームではなく、上手ではない子が多いですが、高校以降で、当時レギュラーでなかった子も大きく伸びています。高校でレギュラーを取って、さらに大学で野球をやる子が増えてきました。まだプロになった子はいないですが、大学でもそれなりのレベルのリーグで早くからレギュラーを取る選手が出てきたので、これも食事を中心にしたトレーニングにして以降、そういった傾向が顕著になってきているのは間違いないと思います。ですから、中学生の時に体を作って、自信をつけることです。それが、高校以降の活動に繋がって伸びてきているのではないかと感じています。 

【意見交換】 コーディネーター   関東農政局地域食品課長   鶴岡 佳則
(鶴岡)天方様、會田様、飯田様、講演及び事例紹介をいただきありがとうございました。これより、意見交換に移らせていただきます。初めに私と3名の方と先ほどお話いただいた内容について意見交換を行い、その後、会場の皆様と意見交換を行います。
   まずは天方様、はじめの部分で「いただきます、ごちそうさま、ありがとう」と言うことが大切との説明でしたが、私は他のスポーツでも同様であると教えてもらいました。スポーツ食育では、サッカー日本代表の料理人をしている西芳照氏、あるいは卓球を教えている木村典代(みちよ)氏、その方たちも感謝を気持ちに出せる人は選手としても強いと言っています。感謝を表現できる人は食への意識・モチベーションが高いと感じており、プロ野球でも同様とのことですが、選手による差はありますか。 

(天方氏)どの競技でも言えることかと思いますが、プロ野球選手の中でも意識が高い人、低い人がいます。公認スポーツ栄養士として、もう実際に料理を作ることは無くなり、選手の試合やトレーニングを見ているのですが、その中で何が違うのかというと、ウォーミングアップから違っています。例えば体の使い方、股割りなどもしっかり腰を落としてできているかどうかです。意識の高い選手のことは周りも見ています。ベテラン選手の方が比較的できているという印象です。

(鶴岡)會田様の学校もスポーツが盛んです。全国レベルの部活動から県内レベルのものもあるとは思いますが、部活間に食意識の差というものはありますか。

(會田氏)結果が出て食に興味を持ったのか、食への取組みで結果がでたのか、どちらが先と言うことは一概には言えませんが、最終的には食が重要だと考えています。部活の顧問があらゆるトレーニングを行いますが、最後の粘りであったり、ここぞという時に差が出るのは食によるものだと思っていて、言われなくても本人達が気づき始めると行動に出てくると感じています。 

(鶴岡)飯田様、中学生でも明確な意識の差というのはありますか。

(飯田氏)先程もお話しましたが、あれだけの量を食べると、最初は食習慣が違うので子供には苦痛です。可哀そうに感じ弁当の量を減らす親もいることからチェックはしますが、大事なのは食事の増量とトレーニングに取組むと数字に表れてくるということです。そのことに子供たちが興味を持ち、競争心が生まれます。

(鶴岡)弁当箱をチームで指定したとのお話でしたが、容量はどのくらいですか。

(飯田氏)正確には把握しておりませんが、弁当箱の売り場で買える一番大きい容量だと思います。

(鶴岡)先ほど控室で天方様、會田様とも話したのですが、自分や子供がどのくらいカロリーを使うのかということを分かっていないと、食べる量も分からないと思います。飯田様も体重により食べる量を決めているとのお話でした。ここに例を作ってみたのですが、

50kg × 6時間 × 5(運動強度) × 1.05(指数)=1,575kcal(消費エネルギー)

50kgの子供が6時間練習し、運動強度について、ここでは野球を5としますが、それに指数1.05を掛けると1,500キロ強のカロリーを使うことになります。天方様、このような考えになりますでしょうか。 

(天方氏)はい、このような考えです。

 
 
(鶴岡)運動強度はピッチャーは高めになるなど、守備位置によっても違うということでよろしいですか。

(天方氏)練習日と試合日など、若干差はあると思いますが、このようになると思います。

(鶴岡)続いて弁当の内容ですが、会場の皆様、弁当の黄金比率というものはご存知ですか。まず主食を半分入れ、残りの3分の2が副菜で主菜が3分の1。これが大体の目安になります。スポーツの時は炭水化物を多めに。おにぎりでも良いと思います。會田様、いかがでしょうか。

(會田氏)カロリーも重要ですが、彩りも大事です。主食はご飯が良いと思います。

(鶴岡)飯田様、中学生への弁当指導も体重に応じ、主食・副菜・主菜を3・2・1の割合で入れてもらうと良い弁当になると思います。
   もう1点、お聞きしたいのは試合の前後に何を食べるかです。プロ野球選手は連日試合があり、あまり参考にならないと思いますが、仮に天方様が父親として指導するとすれば、前日はどのような食事を勧めますか。

(天方氏)試合前日だと糖質中心の消化に良い食事と言われていますが、翌日の先発投手がカツを食べたいということで、食べさせたこともあります。プロ野球の場合は、試合まで少し時間が空くのでそのようにしたのですが、試合の1時間前ではバナナを食べ、試合後はおにぎりやサンドイッチで使ったエネルギーを補給するのが良いと思います。

(鶴岡)学生だと1日2試合もありますが、その場合もインターバル(間隔)に応じ食べるものは微妙に変えた方が良いでしょうか。

(天方氏)実際、インターバルでは多くのものは食べられないと思いますが、チームの状況に応じて補食をうまく利用するのが、今の時代にも合っていると思います。 

 
(鶴岡)試合の1~2時間前では、例えば果物やゼリー系飲料など。それ以上の時間がある場合は炭水化物という考えで良いでしょうか。

(天方氏)はい。

(鶴岡)先ほど2軍でバナナとカステラの話をされましたが、私がヤクルトの寮にお伺いした時も、テーブルの上にバナナとカステラが置いてありました。1軍と2軍で補食の内容に違いはありますか。

(天方氏)実際、1軍と2軍で違いはあります。ヤクルトは健康食品を扱う会社なので、他社の商品を補食に使うことはあまりありません。主におにぎり、バナナ、カステラとチーム指定のものを2点です。

(鶴岡)チーム事情で言いづらいこともある思います。會田様の参考資料にも運動部の補食率が上がっていると記載されていますが、どのような食品を利用していますか。

(會田氏)強制ではないのですが、運動部の顧問の先生方に運動後30分、遅くとも1時間後までに補食を摂った方が良いということは話しており、今までは何も食べていなかった生徒がおにぎり1個だけでも食べると疲れにくくなったと話しています。数値化されたデータがある訳ではなく感じ方だけかも知れませんが、食べるように指導しているクラブも多いです。おにぎりは時期により食中毒が心配なので、学校でご飯を炊きクラブのマネージャーや当番がふりかけなどで作っています。

(鶴岡)飯田様のところではどうでしょうか。

(飯田氏)午前10時と午後3時に10分しか時間を取っていないので、ゼリー系飲料やあんぱん、ドーナツなどを食べていますが、食べるものを特に決めてはいません。ただ、食べると元気になっているので、気分転換プラス栄養の補充はできていると思います。

(鶴岡)天方様、勝つための食事は無いとのことでしたが、スランプ時にリフレッシュできる食事はありますか。

(天方氏)例えばシーズン開幕前などチーム全体で決起集会を行っています。その際に食べるものは焼肉が多いのですが、翌日試合がない場合は自分たちが好きなものを食べ、そこで補えないものは各家庭や個人で摂取できるよう栄養教育をしているつもりですので、大勢で賑やかに食べることも良い方法だと思います。

  (鶴岡)會田様は食とスポーツをテーマとした「スーパー食育スクール」を4年間取組んで来られました。高校生1,800名、4年分のデータを企業・大学・行政と連携し活用することを希望していると聞いておりますが、どのように考えていますでしょうか。

(會田氏)食育というのは大事だと分かっていても、抽象的であまり注目されませんでしたが、文部科学省事業となったことにより、今日のセミナーに呼ばれたり多くの方から興味を持ってもらいました。本校では運動部の選手だけではなく高校生全員に継続して食育の指導をしていきたいと考えています。企業や関係団体の方とのコラボや繋がりが持てたらと思いますので、興味がありましたら是非お声掛けください。

(鶴岡)農林水産省にも食育関係の交付金があります。分析に掛かる経費や本の印刷費など、協力できる部分もありますので、ご相談いただければと思います。
 
   では、これから会場の方と意見交換を行います。内容はスポーツ食育に関係したものとします。会場の皆様で共有できる質問をお願いします。

(質問者)ボーイズリーグで指導者をしています。私のチームでも体を大きくしたいと考え、お昼は2合のご飯を食べさせているのですが、お茶漬けにしてる子は、そのような食べ方でも良いでしょうか。
   また、ジュースや紅茶を飲みながら食べる子は、食べ終えるまでに時間が掛かるので怒ったことがあるのですが、良かったでしょうか。

(天方氏)チーム全員が同じ体格ではないので、同じ2合のご飯を食べさせるのは違うと思います。個人ごとに身長や体重、生活、活動などを把握した上で、公認スポーツ栄養士などの専門家に計算をしてもらう方が良いかと個人的には思います。ジュースを飲みながらということに関しては、ジュースを摂っても良いタイミングがあると思います。私は静岡県静岡市のお茶処で育ったので、食事をするときはお茶をはじめとして水、麦茶、また宣伝になりますが、いつも蕃爽麗茶が置いてあるので、そちらで食べるよう指導しています。

(質問者)天方さん、飯田さんの話を聞いたところ大きい体を作ることに関心を払っていると感じました。カロリーを摂るための炭水化物のほか、バランスの点では野菜の摂取も必要だと思います。カロリーの面では食材として野菜は難しいと思いますが、野菜メニューで注力された点、困った点などはありますでしょうか。
   また、會田さんにお伺いしたいのはアスメシ、スタメシ、カフェメシ、どのメニューが生徒には人気でしょうか。若い世代への食育が手薄だと思うので、関心のあるメニューが気になりました。

(天方氏)気を遣っているのはフレッシュな野菜を使用すること。冷凍野菜はスイートコーン、里芋くらいです。冷凍食品が良い悪いではなく、野菜の持つ旨味を生かして食べさせたいという理由です。なお、選手の出身が北海道から沖縄県までいますので、差し入れも全国から届きます。北海道出身の選手に聞いたところ、アスパラは茹でただけで十分においしいと言っていたことなど、野菜の旨味を考え食べさせるようにしています。下処理は面倒ですが、丁寧に行うことが重要です。

(會田氏)一番人気はアスメシです。疲労回復の豚肉メニューが多いので、やはり肉料理は生徒に人気です。一番人気がないのがスタメシです。魚と聞いただけで拒否反応があるので、例えばシシャモを具材に春巻きを作るなど工夫をしてメニューを考えています。カフェメシはデザートを1品付けるので女子生徒に人気があります。

(質問者)スポーツを行っている成長過程の小中学生、高校生の親は、子供の体を大きくしたいと思っており、寝ている間に体は成長すると言われていることから、夕食後の補食も重要だと思います。どのような食品をどのタイミングで摂らせれば良いでしょうか。

(天方氏)夜食の必要性について、1番重要なのは1日に必要なカロリーを摂取させることですが、夜食を食べたことにより朝食が食べられなくなるのでは意味がありません。実際、ヤクルトスワローズの選手寮でも夜食を提供していますが、朝食を食べられない選手には与えないよう制限しています。子供が朝からしっかり食べられるのか見てもらいたいです。また、何を食べるのかということでは、寝る前なので消化の負担にならないもの。量も多くは必要ないので、おにぎり1個でも十分かと思います。
   プロ野球選手は勝っている時、体が大きく見えますが、それが強い・正しいという風潮は好きではありません。子供の成長度合い、特に身長が伸びてからご飯の量を増やすことで十分だと思います。成長過程でいきなり体重を増やしてもケガに繋がりやすくなるので、夜食についてもたくさんの量は必要ないと感じています。

(會田氏)私もほぼ同感で、胃に負担が掛かる夜食よりも、お腹を空かせて朝ごはんという生活リズムが良いと思います。お腹が空き過ぎて寝られない場合は、乳製品やおにぎり1個程度。夜食に力を入れるよりも朝昼晩の食事が重要です。また、補食に力を入れるなら朝昼の間、昼夜の間に目線を持って行った方が良いと思います。

(質問者)摂取をすることで、胃腸に食物が残留することになりますが、力が発揮できる食物の残留位置はどの辺りになるでしょうか。
   また、摂取することで必ず排泄もありますが、排泄のタイミングの指導もされているのでしょうか。リトルシニアの子供たちの実態もお聞かせください。

(天方氏)排泄について基本的にこちらから促すことはありません。尿については、脱水状態の色を示すポスターをトイレに掲示しています。

(會田氏)質問の答えにはならないかも知れませんが、食物繊維をしっかり摂ろうという話しはします。排便が不調だとコンディショニングも悪くなります。バランス良く食べること、しっかり噛むこと、水分も適量摂ることなど生活リズムを整えることができない生徒も多いです。運動部に限らず高校生は夜型で、深夜まで起きていて朝ごはん抜きにより体のリズムがずれていくので、生活リズムを正すことから始めています。

(飯田氏)私のチームは、先ほど見ていただいたように昼ご飯を大量に食べるので、食べたら直ぐにトイレに並んでおり、腸が健全に動いていると感じています。

(鶴岡)時間になりましたので、最後にメッセージをいただけたらと思います。

(天方氏)セ・パ交流戦は現在首位なので優勝を目指すということと、私自身、入社してから日本一になったことがないので、日本一を目指して頑張ります。

(會田氏)高校生を対象に食育を進めており、一番重要な時期だと考えています。これからも多くの方と繋がりを持って食育を進めて行きたいと思います。

(飯田氏)中学生は一番体ができあがる時期であり、その根幹は食事にあると感じています。
以上

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   概要(PDF : 763KB)
資料

   講演「今日から実践!スポーツ栄養!~食事を選ぶこともトレーニング~」 天方一匡 氏(PDF : 1,369KB)
   事例紹介1「食でつながる人々の環 ~若い世代が担い手となる食育推進~」 會田友紀 氏(PDF : 5,177KB)
   事例紹介2「中学硬式野球リトルシニアの食育の取り組みについて」 飯田秀一 氏(PDF : 5,214KB)
アンケート  
   アンケート結果(PDF : 280KB)

お問合せ先

経営・事業支援部地域食品課

ダイヤルイン:048-740-5276
FAX番号:048-740-0081

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