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永源寺こんにゃく(東近江市永源寺)

門前のこんにゃく

 

    東近江市永源寺は、県の東南部にあり、県の最も東部、東側を三重県と接し、鈴鹿山脈の西面にあたり、永源寺は地区の90%以上を森林が占めます。ほぼ中央を東西に愛知川がながれ、西部に水田地帯、東部に山林が広がります。

    永源寺のこんにゃくの歴史は古く、臨済宗永源寺を1361年に開祖した寂室元光禅師が中国から種芋を持ち帰り、禅僧達の食事として作られるようになったのが始まりと伝えられています。この永源寺で作られていたこんにゃくが、門前の農家に広まり、それを70年ほど前から永源寺にお参りに来る人の土産として販売が始まり、味が良いことから永源寺のこんにゃくとして名前が知られるようになりました。

東近江市永源寺

茶畑の間で栽培

 

    永源寺町でのこんにゃくいもは、茶畑の間で栽培されています。こんにゃくいもとお茶との混植は、滋賀ではこのあたりだけではなく、お茶を栽培しているところでは広く行われていました。永源寺には有名な「政所茶」があり、昔から永源寺周辺はお茶の栽培が盛んでした。その茶畑の間でこんにゃくいもも栽培されていました。現在では、出荷するためのこんにゃくいもの栽培は、休耕田などで行われており、茶との混作は少なくなっていますが永源寺の門前の高野地域などでは、今も自家用として茶畑の間にこんにゃくいもが栽培されています。

    昔ながらのこんにゃくいもの作り方は、茶畑の木と木の間、お茶の木の根元に植え付けます。こんにゃくいもは、転作で大規模に作ると病気が出やすく何度も薬剤散布も行わなければなりませんが、昔のように、お茶の木の間に作ると消毒などをしなくても病気も出ずに、育ちもよいそうです。こんにゃくいもは、葉が上の方で広がるため風に弱いのですが、茶の木の間で作ると防風になって茎を守ってくれます。また、こんにゃくいもは、強い日差しが苦手で、茶の木の影ぐらいがちょうどよいそうです。

永源寺の茶畑

収穫には3年から5年

 

    こんにゃくいもがこんにゃくに加工できるほど大きくなるのは、3年から5年かかります。秋、9月~10月頃、こんにゃくの葉が、黄色くなり始めた頃、大きないもがとれそうな太い茎のものから掘り起こします。掘り起こした後、茶の根元にわらを敷きます。こんにゃくいもは寒さには弱く、お茶のために敷くわらは、こんにゃくいもにとっても寒さから身をまもる役目をはたします。しかし、寒さに弱いことから、秋に掘り起こし冬の間小屋で保存し春にもう一度植え付ける方法も行われています。肥料もお茶と一緒で、特別にこんにゃくいものためには与えません。こんにゃくいもの種は、収穫時にとれる小さな芋を、4月下旬頃植え付けます。こんにゃくいもは他のいもと同じように、植え付けたいもがしぼみ、新しくできた芋が大きくなります。品種は、転作の休耕田で作るようになって、群馬から導入した品種なども利用していますが、茶畑で作っているものは今も地域に伝わる在来のものが多く使われています。在来のものは、いもの成長が遅いものの、こんにゃくにしたときの歩留まりがよく、品質もよいそうです。

茶畑のこんにゃく(秋)

こんにゃくは正月のごちそう

 

    こんにゃくいもは、寒さに弱いことから、昔は、収穫したいもを、小屋には入れず、かまどの暖かみが上がる「つし」とよばれる土間の屋根裏に保存しておきました。この地域では、こんにゃくは、正月のごちそうとして食べます。年末に正月用の餅つきが終わった後、こんどはこんにゃくいもを茹で、餅つきに使ったうすをそのまま使って、つぶします。この、つぶしたこんにゃくに、茶の木やわらの灰から作ったを灰あく入れてこねます。形に入れて、大きさをそろえ、あく汁でゆでると固まり、こんにゃくができあがります。これを水に入れておき正月の煮しめなどの料理に使います。水に入れておけば腐らないので、正月があけた後も、しばらくの間食べます。現在では、凝固剤として石灰を使うのがふつうですが、いまでも永源寺町の蓼畑などでは灰あくを利用したこんにゃくが作られています。灰汁を使ったこんにゃくは、独特のやわらかさと腰の強さがあり大変おいしいそうです。

    残念ながら、昔ながらの灰汁を使ったこんにゃくを食べることはできませんでしたが、永源寺の農産加工グループである「ひばりグループ」が作っておられる地元のこんにゃくいもを使った手作りこんにゃくをいただきました。煮物にして食べてみたところ、普段食べているこんにゃくとは違い、ぷりぷりと堅いばかりではなく、歯触りがありながらも適度に柔らかく、こんにゃく味がありました。豆腐と違い、おいしいこんにゃくはなかなか想像しにくいものですが、手作りこんにゃくは、こどもでもおいしいと思える味がします。このこんにゃくを食べると、昔の人がおいしいと思った味は、きっとこれに近い味だったのではないかと思います。

    永源寺周辺で栽培されているお茶の多くは在来の品種のままです。他の茶の産地のように整然とはしていません。混植されているこんにゃくを探すために、茶畑の中をあるくと、茶畑の中に小さな畑が点在しており、大根などの自家用の野菜が作られています。茶の木の間には、こんにゃくいもだけでなく、らっきょうなども混植されています。永源寺周辺は、手作りこんにゃくに代表されるように、昔ながらの農村の面影が残っている地域です。

茶畑のこんにゃく(秋)
こんにゃくいも
(平成13年11月取材)

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