ホーム > 大津地域センター、東近江地域センター > 再発見!滋賀の伝統野菜 > 滋賀の伝統野菜:山田ねずみだいこん
|
山田ねずみだいこんは、漬物用の小振りで色白の上品なだいこんです。名前のとおり、少し前までは草津市北山田が主な産地でした。山田ねずみだいこんの起源は、伊吹山の自生だいこんに由来するとされています。種子の伝播は、伊吹地方からいったん京都に移り、さらに京都から草津などの湖南地域に入り、現在の山田ねずみだいこんになったといわれています。主産地となった草津市北山田には、大正初期の頃に桑園の後地に作付けされたのが始まりで、大正中期に入り、京都の漬物店との契約栽培を契機に作付が大幅に増え、山田ねずみだいこんの名前も広く知られるようになりました。今でも滋賀県を発祥とする野菜の品種の中では知名度のある品種です。
|
![]() |
| 山田ねずみだいこんは、一般的な青首だいこんに比べて小さく、長さ15~20cm、直径が4cmほど、白首で、尻の部分が少し膨らんでいます。葉は、茎の部分が細く緑色が薄く、立性で柔らかい葉をしています。山田ねずみだいこんは、根の先がねずみのしっぽのように、細くなっています。根の細くのびた先の部分と尻が膨れた胴の部分が名前のとおりねずみのようにも見えます。全体的な印象は、普段見慣れている、青首だいこんに比べて、柔らかくやさしい印象をうけます。また、昔は今のものよりも一回り小さく、いまよりももっとねずみのようだったそうです。
栽培方法は、他のだいこんと大きな違いはなく、9月10日までに播種、11月中旬から出荷が始まります。山田ねずみだいこんは、比較的乾燥には強いものの、湿害には弱く、排水の悪いほ場では、畝を高くしたりしなくてはいけないそうです。また、先が割れやすいため施肥には注意が必要だそうです。 |
![]() |
|
出荷は、主な用途が漬物用であることから、昔と変わらず、10本を束にしてわらでくくり、出荷します。出荷先は、京都を中心に漬物業者がたくあん漬の材料として使います。今では、少なくなったとはいえ、一般の家庭用にも出荷しています。ほんの短い期間ですが、師走になると大津市の商店街などでも、漬物の材料の山田ねずみだいこんが、束で売られているのを見ることができます。
山田ねずみだいこんの最大の特徴は、漬物にしたときの味の良さです。肉質の柔らかさやきめの細かさから、たくあん漬にすると、ぱりっとした歯触りに仕上がります。香りもよく、山田ねずみだいこんで漬けた漬物は、青首だいこんのものとは、見た目、味とも違いがあります。
|
![]() |
|
山田ねずみだいこんは小振りであることから、輪切りにしたものを二つに切ると、小さな半円形になり、美しく上品で、ぱりっとしていながら緻密で繊維質が少ない歯触りは、都会的な洗練されたものを感じます。見た目、味ともこのだいこんが京都の漬物業者向けに出荷されていることがよくわかります。また、山田ねずみだいこんのもう一つの特徴は、葉の柔らかさです。普通のだいこんに比べて葉の軸が細く柔らかいため、漬物にしたときの葉が柔らかくおいしく食べられます。山田ねずみだいこんの葉の漬物も、根の部分とは違った、味わいがありおいしいものです。また、生産農家の方も葉の柔らかさを大切にしており、自家採取の際も、種を取るだいこんは、葉の軸が白く柔らかい物を選んで残します。また、山田ねずみだいこんは、小さな姿のため「すずしろ」として七草がゆの材料として利用されたり、正月の雑煮にいれるだいこんとしても利用されてきました。見た目の上品さや味の良さから滋賀県にある京野菜と言えるかもしれません。 |
|
| このように漬物にすると大変おいしい山田ねずみだいこんですが、現在では作付する農家が少なくなり、草津市で市場に出荷するために作っているのは数戸ほどで、栽培面積は1haに満たない面積しか作られていません。減少の原因はだいこんの漬物を作る家庭が少なくなり、漬物専用種である山田ねずみだいこんの需要が少なくなったためです。また、形が小さく、収穫量が多くないことも作られなくなった理由です。しかし、漬物業者などでは山田ねずみだいこんでなければという根強い需要もあり、また、家庭でも昔のように家で漬けることは少なくなったものの、農家に漬けてもらい、樽ごと分けてもらっている家庭もあるなど、山田ねずみだいこんの漬物には根強い人気があります。山田ねずみだいこんは、生産量は激減しました。しかし、これからも山田ねずみだいこんを漬物にしたときの品質と味の良さから、受け継がれていく滋賀県の伝統野菜だと思います。 | ![]() |