ホーム > 大津地域センター、東近江地域センター > 再発見!滋賀の伝統野菜 > 滋賀の伝統野菜:余呉山かぶら
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余呉の山かぶらは、山間部で行われていた焼き畑農業の伝統を残す貴重なかぶです。 山かぶが受け継がれてきた余呉町は滋賀県の最北端に位置しています。北部を福井県に東部を岐阜県に面し、ほとんどが山林で占められています。冬期は県内指折りの積雪地帯です。山かぶらが栽培されている余呉町摺墨は、余呉町の中央部「湖国の奇祭」と言われる茶わん祭りで有名な丹生のとなり、山間部の谷すじの集落です。 山間部で水田の少ないこのあたりは、昔は山の斜面を利用した焼き畑が行われていたそうです。その焼き畑で作られていたのがこの山かぶらです。 |
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このあたりでは、昭和40年頃までは、炭焼きや養蚕が行われていました。山深い、急傾斜のところでも蚕を飼うための桑が植えられていました。平野部の桑園とは違い、この地域の桑は3年に一度、枝を切り払い、生い茂った雑木や下草とともに火をかけ焼き払い、桑枝の更新を行いました。焼き払った後に、山かぶらを作りました。夏の7月20日頃までに枝などを払い、お盆の前に山に火を入れます。そして、8月の23日から9月上旬までに焼き払った後最初に、山かぶらを播きます。山かぶらを収穫した後、2年目は、そばや小豆を作ります。3年目になると桑の葉は茂り、蚕のために桑の葉をとりました。そして、再び火をかけるというサイクルで山の桑畑を守ってきました。現在では、焼き畑は、養蚕の衰退や火を入れるのに県の許可がいることなどから今ではほとんど行われていないそうです。 |
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焼き畑は、焼くことによりそこで作った作物に虫が発生しないそうです。また、焼き畑の灰が肥料になるため、新たに肥料になるようなものを入れる必要がなかったそうです。焼き払った後に、山かぶらの種をばらまき水もまきません。そのまま、発芽し成長します。収穫は、10月下旬から3月下旬まで行います。山かぶらは寒くなっても大きくなるため、雪に隠れても雪を掘りながら収穫を行ったそうです。
今では、山かぶらは主に休耕田で栽培されていますが、焼き畑で作った山かぶらは、今と違い葉が小さく、香りが強いそうです。 やまかぶらは、20~30cmほどの小型のかぶで、葉も根も赤黒い色をしています。根の部分は、10cmほどでドラム缶型やだるま型をしており根の部分の肉質は大変堅く、葉にも細かな毛があります。切ると、中は外ほどは赤くはありませんが、実の中に赤い色素の粒が点在しています。漬物にしたとき、この赤い粒から色がでて全体を赤くするといわれています。 |
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山かぶらは、集落によって形は違い、摺墨のものは他の集落に比べて根っこの部分がまるいのが特徴だそうです。 栽培には肥料分を入れなくても良く、肥料が効き過ぎると葉ばかりが茂り、根が大きくならないそうです。転作田で作る場合にも、無肥料、無農薬で作れます。 山かぶらは、主にぬか漬けにして食べます。収穫後、漬物にするために軒下などで干します。干すことによってかぶの色赤い色はより濃くなります。 赤かぶのぬか漬けは、このあたりの冬の保存食でした。雪に閉ざされる長い冬の間の家族や来客の団らんの口慰みとしてお茶うけにも利用しました。また、春になり、畑に取り残したかぶをもう一度収穫し漬物にしました。 摺墨では今も、生産加工組合を作りこの古くから伝わる山かぶらを栽培し、昔のままの製法でぬか漬けにして、販売しています。高速道路のサービスエリアやスキー場の土産物店、丹生の「茶わん祭り資料館」などで販売しています。組合ではあくまで昔の味にこだわり、小さな樽で昔ながらの方法でぬか漬けをつくっています。 |
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地元では山かぶらを守るため、このかぶの種を取る際にも他のかぶの花粉が混じらないよう十分注意をしているそうです。採種は、まず収穫したやまかぶらの中から形質の良さそうなものを選び出します。選び出したかぶの根の部分の下半分を切りとり、葉のついた方をもう一度畑に植えます。このかぶから種を採取します。これは、根を切ることにより勢力を弱めて自家受粉をさせるためだそうです。今では、防虫ネットで他の品種と混ざらないようにもしています。 山かぶらのぬか漬けを食べてみると、昔の作り方からか少し塩分が強いものの、独特の風味があります。かぶの渋みも強く、見た目どおりの自然に近い味がします、歯触りもこりこりというよりはねちっこく、味わい深い複雑な味がします。 |
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山かぶらのぬか漬け。滋賀県でほんの数十年前までは焼き畑が行われており、そこでかぶが作られていたとは驚きです。そして、その焼き畑で作るための品種である山かぶらがいまでも栽培されているのも驚きました。山かぶらのぬか漬けは、同じ赤かぶでも万木かぶのぬか漬のように洗練されておらず、素朴で自然のままの味がします。組合の人の話では、その素朴な味が、山村生活をまったく知らない都会の人にも好評だそうです。余呉の山かぶらは、根は堅く見るからに野性的です。もしかしたら、このかぶは、焼き畑が広く行われてきた時代から大きく形質を変えず伝えられてきたのかもしれません。余呉の山かぶらは、中世の味を現代に味わうことができる貴重な滋賀の伝統野菜です。 |
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