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近畿農政局

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「近畿地域食育実践者等の交流会」概要

  平成29年2月22日にコープイン京都(京都市)において、「近畿地域食育実践者等の交流会」を開催しました。
  交流会では、近畿の各地で食育を実践する方をはじめ81名の皆様にご参加いただき、豊田歯科医院院長の豊田裕章氏の基調講演、食育実践者の活動事例の発表のほか、パネル展示による活動紹介及び参加者間の交流を行いました。


 以下に交流会の概要をご紹介します。 

 
基調講演

      『歯医者さんに学ぶ日本人の食生活』 

      豊田 裕章氏(豊田歯科医院院長)

 
 活動事例の発表 

      山口 力氏(株式会社サンプラザ 代表取締役社長)

      松下 智明氏(日本料理店「千代菊」店主)

      赤松佐恵子氏(JAおうみ冨士 ファ-マ-ズ・マ-ケットおうみんち)

パネル展示等による活動紹介及び参加者間の交流の様子

  基調講演

豊田  裕章氏(豊田歯科医院 院長)

『歯医者さんに学ぶ日本人の食生活』

  世界の人口は増加し73億人を超え、うち約8億人は飢餓で苦しんでいる。今後、日本の人口は減少傾向にあるものの、世界の人口は増加し続けていくことが確実視されている。農水省資料では、92億人を養うためには、食料生産を現在の1.5倍に増やす必要があると予測されている。近隣の中国は大豆、とうもろこしの純輸入国となり、今後も輸入を止めることはなく、食料輸入大国であり続けるだろう。人口が増える近隣諸国と人口が減る日本、このような状況でどのような食べ方をし、生き方を考えていけばいいのか。
  近年、糖質制限食が注目されているが、食料供給の1/2近くを占めている穀物を食べないでやりくりできるのか?不可能である。糖質制限食では人類を養うことはできないし、健康にもなれない。なぜなら、糖質制限食をカロリー栄養不足の弊害を出さずに継続するためには、たくさんの肉を食べる必要があるからだ。その肉となる家畜は、人間が食べることのできる穀物を大量に消費して育てている。よって、糖質制限食は無駄が多く、贅沢な食べ方なのだ。だから、このスタイルが人間の食生活の柱になれるわけがない。わたしたちの食の基本は、『日本型食生活』を守っていくことであり、その日本型食生活を守るためには、ごはんを主食にすることである。
  
  次に歯科医から見た食育の視点であるが、一つめは、歯・口腔(歯肉・歯槽骨)を守ることである。ごはん食はパン食より噛む回数が多く、砂糖を含まず虫歯になりにくい。虫歯を作る主な原因は砂糖だが、日本のほとんどのパンにはしっとりさせるために砂糖が入っている。ごはんには砂糖は含まれておらず、ごはんに含まれるブドウ糖は、砂糖よりむし歯になりにくいからである。
  二つめは、咀嚼・唾液の大切さを語ること。同志社大学の西岡名誉教授の研究から、唾液には毒消しの作用があることが分かり、ここから、ひと口30回噛むように言われるようになった。唾液は、生きている限り無料の副作用のない抗がん剤であり、最高のはみがき剤でもある。食べながら唾を出すのは、食べながら歯磨きをしていることにもつながる。
  噛むことの重要性から、ひと口30回噛めるような食事、一回の食事で1000回ぐらい噛めるような食事をすることが大切だ。白米を雑穀米にすることも一つの方法である。食材の種類が増えると、噛む回数が増える食べ方になりやすい。よく噛むことを意識しなくても、噛む回数が増えることにつながるのだ。食事の形態としては、定食型が良く、朝は一汁一菜、夜は一汁三菜(多菜)という日本型の食生活がおすすめである。
  食育の基本的な考え方を個人で実行したときに、成果の判断基準となるものに、BMI(体格指数)と血糖値(とくに食後1時間前後)がある。この2つは自分で測定できコントロールできる。特にBMIは簡単に測ることができ、BMI値22で疾病率が一番低く、24で死亡率が一番低くなっているから、BMIを18~25以内に維持することが重要となってくる。
  では、日本では何をどのくらい食べていったらよいのか?
  生き方や食べ方は、気候・風土により異なる。パリ・ロンドン・ベルリンとは気候・風土が異なり、学校で学ぶドイツの栄養学とも全く異なる。北緯50度あたりの欧州では、小麦やじゃがいもは育つが米と大豆は育たない。しかし、北緯35度の日本では、米・大豆がよく育つから、米が育たない土地の食べ方を参考にする必要はほとんど無い。また、日本は軟水、欧州は硬水が基本であり、硬水では出汁をとることはできず、食材の調理法には違いがある。
  もうひとつ、日本には「口中調味」という食べ方がある。ごはんとおかずを交互に食べて口の中で混ぜ合わせる、例えば牛丼のようにごはんとお肉を一品で食べるのではなく、ごはんとおかずのお肉とに分かれた物を食べることだ。食感の違うものを、口の中に入れてから噛んで混ぜ合わせる方が噛む回数も増える。
   また、欧米人に合う健康法も日本人には合わないこともあるので、注意が必要だ。西洋・欧米人と日本人では、ピロリ菌の種類や胃の形態も異なる。人種による違いを認識して生き方・食べ方を考えていくことも重要である。
  東北大学の都築先生の動物実験の研究にあるように、様々な科学的根拠からみて私たちの食生活が一番良かったのは1975年頃であると考えられる。米の消費量も1975年より現在の方が激減している。また、味噌の使用量も減り、朝の味噌汁などは絶滅に向かっているような状態である。1975年頃が最も一日の摂取カロリーが多かったが、BMIの平均値は現在より低く肥満が少なく、また低体重出産が最も少なかった時期でもある。
  科学的根拠にも基づいているこの時代の生き方・食べ方を参考にするのが良いのではないか。持続的かつグローバル的にマッチした生き方・食べ方を目指すべきである。
  先述の都築先生の最新の研究では、1975年頃の食生活で人間にも健康効果も出ているとのことである。血糖値が正常な人は、定食型の食事で、いろいろな種類のものを食べること、白米だけにならず雑穀や麦を混ぜたごはんにするなど主食のグレードをアップすること、卵は1日1~2個、1日2回は味噌汁、魚は毎日、肉は2日に1回程度、食後のデザートとして果物を、以上を意識することが重要である。
  糖質制限食も、病気の人には役立つのではないかと思う場合もある。糖質制限食を選択すべきか判断するためには、血糖値がひとつの基準となる。その中でも目安となるのが食後血糖値で、食後(1時間前後の)血糖値が140mg/dlを超えると血管障害が起きやすいと判ってきており注意が必要である。BMIとともに一つの重要な判断基準となる。自分に合った食事法を考える時に、糖質制限食は一つの選択肢にはなる。まずは、ドラッグストアでも購入できる尿糖試験紙で血糖値の異常の有無を調べることを奨める。
  血管障害のリスクが高まる食後血糖値が180mg/dlを超える場合、糖尿病であること、またBMIが25を超える場合、これらに該当する人は糖質制限食の導入を検討する。糖質制限食を実行することで、自閉症・多動症の子どもの症状が改善されたという報告もあるが、現時点では科学的根拠も不十分であり、こうした特別なケースでの導入は個人の責任の中で行う、という認識をもつことが大切である。
  食後血糖値はフラットに近い状態が良いが、人それぞれ差がある。食後血糖値が140mg/dlを超えることが多い人は、食べ方の順番に注意すべきである。まず始めに野菜・サラダ、そして肉・魚のタンパク質、最後にごはんの順だと、血糖値の上昇が緩やかであることがデーターからも判っている。若い時は口中調味、中年からは会席料理の食べ方、というのも一つの方法であるが、メニューが定食型であるということが大切だ。
  糖質制限においてさらに注意することは、健康な子どもに糖質制限を応用することの不確かさ・怖さである。子どもへの糖質制限の影響は、現在まだ判明していない。子どもを丈夫に育てることは、子どもが30代・40代・50代になったときにも元気であるか、ということである。
  成長期である子どもに糖質制限をして、糖質の消化システムを発達不足にして狂わせてしまうことで、その子どもが30代から50代になった時にどのような影響があるのか、というデーターはまだ出ていない。データーがない中で、子どもに糖質制限を行うのが良いことなのか、大人も含めて糖質制限が一切不要ということではなく、ケースバイケースで考えていくべきであり、基本的には糖質制限を避ける食べ方・生き方をしていくことが望ましい。
  では、現実を変えていくにはどのようにしたら良いか。賢い糖質の摂り方をして歯を守ってほしいし、糖尿病や歯周病にも注意してほしい。低体重出産の子どもは、成人後に成人病になりやすいとのデーターも出ているため、若い女性は過度に痩せることは絶対避けて、きちんと食べて低体重出産を減らすべきである。良い食生活を身に付ける方法として、現時点で一番効果が期待できるのが、「弁当の日」である。自分の家の台所で調理したものを弁当箱に詰めて、学校などでみんなで一緒に食べることがポイントで、実施することで家庭の食事が変わる。家の台所を使うことが重要だ。実施する際、年度内に最低2回は行うこと。なぜなら、1回目で失敗しても次のチャンスがあることが大事だから。弁当の日は、地域・学校・職場・家庭、どこでも実施できる。弁当を作る・調理するだけでなく、弁当箱に詰めることで企画力もアップする。これから日本は超高齢社会の時代、男子も厨房に立つことを、子ども時代から経験させておくことは重要である。そして、1日1回、夕食は家庭で調理した定食型の料理を食べること、朝は、ごはん・味噌汁を食べること。
  大人になるまでに、朝食でごはん・味噌汁を食べたことがない、家族(または自分)の手作りお弁当を食べたことが無かったとしたら恐ろしいことである。このようなことがないように、正しい食生活のあり方をしっかり伝えていきたいと思っている。



 活動事例発表

山口    力氏(株式会社サンプラザ  代表取締役社長)

    (株)サンプラザでは、「食卓に安心と健康をお届けするスーパーマーケット」を目指し、平成17年に食育基本法が制定されて以降、地域に根ざした食品小売業者として、様々な食育に取り組んでおり、その一部を紹介させていただく。
  ・「1日3食をどうやってバランスをとっていただくのか」をテ-マに、毎月19日の食育の日に、バランスのとれたメニュ-の提案を行っている。何をどのように摂取すれば1日のバランスが良くなるか、具体的な献立を10年以上にわたって折り込みチラシに掲載し、ホームペ-ジにおいては、過去のものも閲覧可能としている。
  また、来店される皆様に食について考えていただくきっかけになればと、食育コミュニケーション協会で研修を受けた社員が、各店舗において商品の説明や料理をする際のアドバイスなどを実施。同時に、店内にディスプレイを設置し、各店舗で創意工夫し、季節感を出したり、わかりやすい説明となるよう試行錯誤を繰り返し取り組んでいる。
  ・よりからだにやさしいものを提供することを目的に、製造メーカーと共同開発した商品や、自社の惣菜工場において添加物を極力削減し素材本来の味を味わっていただくための商品を製造。
  
  また、より素材にこだわり、地場で採れたものを味わっていただこうとの思いから、素材の開発にも取り組んでいる。
  ・食育基本法の目的にもあるが、食を通じて地域の皆様にどういう貢献ができるか、様々な食育活動を通じて、店舗で働く従業員にも「食」の重要性を認識してもらい、それを来店される地域の皆様とともに「育」んでもらいたいと思っている。



松下  智明氏(日本料理店「千代菊」店主)

  食育活動報告として、(1)日本料理を通じての食育活動、(2)各種団体からの依頼による活動、(3)自身が立ちあげた松下食育農業塾による地域密着活動の3つを紹介させていただく。


 (1) 日本料理から学ぶ食育とは、日本料理アカデミーの食育事業部の方針でもある食育の五本柱で、一つめは食材を知ること、二つめは味覚を養うこと、三つめは実際に料理をすること、四つめはマナーを身に付けること。食事マナーを身に付けることは、他のことでも周りへの気遣いができる心が育つとの考えから、重点を置いている。五つめは食の世界事情を知ること。自分は料理人なので、特に味覚を養うことに重点を置いて活動をしている。
 (2) 各種団体からの依頼による活動としては、高校生食育リーダー養成講座で、南大阪の高等学校各校の生徒の代表を対象に、出汁の引き方の実演、出汁の試飲、出汁の味付け、どうすれば飲みやすいか等、お椀の盛り付けも含め実施している。
  もうひとつは、高校の家庭科や栄養関係の教員を対象とした食育講座である。実際に料理人から講義を受けたいとの大阪府の保健所からの要請により、2年に1回程度実施している。内容は学生に対して行うものと同様である。
  
 (3)松下食育農業塾では、地元NPO法人や大学生たちの協力を得て親子でのじゃがいもの栽培体験を行っている。日々の世話は各自で行ってもらうが、特に芽欠き作業(間引き)は、是非参加してほしい大切な作業だと思っている。大きな良いじゃがいもを収穫するために犠牲になるじゃがいものことを伝えると、参加者の目が変わり、収穫時に手にしたじゃがいもは、とても大切に洗い、そのようなことを感じとるようだ。収穫後はすぐに調理体験をし、調理後は全員揃っていただいている。
  「頂きます」は、食材となる命、料理になるまでに関わった人、物への感謝。「ご馳走」は、尊い命を頂いたということ、料理ができるまでに必要だった尊い努力に対しての感謝の気持ちである。つまり、感謝を忘れずにということだが、食の世界では感謝も人間のエゴである。食材は感謝されても喜ばない。むしろ感謝されるより、海で泳いでいたり、引き抜かれるよりも大地で育っていたい、生きていたいはずだ。そのような考えが少しでもあれば人間は謙虚になれる。「謙虚があってこそ、感謝が意味を持つ」ということを伝えている。





赤松佐恵子氏(JAおうみ冨士  ファ-マ-ズ・マ-ケットおうみんち)

   滋賀県南部に位置する守山市にある、JAおうみ冨士ファーマーズ・マーケット「おうみんち」を拠点とした直売所で、野菜の販売はもちろん、バイキングレストランも併せて展開している。
  「青空フィットネスクラブ」は、収穫までの1年を通して畑仕事を体験していただく取組で、野菜の成り立ちや様々な体験をしていただくことを目的に実施しており、生産者との交流などミニイベントも開催している。
  バイキングレストランでは、料理とは別に和菓子部門やジェラート部門を開設している。現在は春菊やほうれん草などの野菜を使ったジェラート作りを行っている。ジェラート作りを楽しみながらパフェを作ったり、自分で飾りつけをするという体験をしてもらっている。他に和菓子部門もあり、あんこや大福、ジェラートとあんこの意外な組み合わせも楽しんでいただいている。
  このように野菜を使うことで、野菜嫌いの子どもも、「おいしく食べられるね」と話したり、ほうれん草が嫌いだった子どもが、「ほうれん草おいしい」と話したりと、変化してきている。
  
  つるくびかぼちゃのジャム作りでは、水分が多くスープには向いているが、煮くずれしやすいので煮炊きするには不向きなど、野菜の説明も交えてジャム作りを行っている。
  他にも、参加した親子と農家との交流を行い、一緒に菜花のピンクの寿司作りも行った。
  体験を通じて、子どもはもちろん大人の方にも、新しい野菜のことや、楽しみながらおやつが簡単に作れることを知っていただいている。





パネル展示等による活動紹介及び参加者間の交流の様子

      

 

お問合せ先

経営・事業支援部地域食品課
担当者:未来につなぐ食育倶楽部事務局
代表:075-451-9161(内線2739)
ダイヤルイン:075-414-9025
FAX:075-414-7345

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