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平成22年10月21日(木曜日)に、滋賀県長浜市において、近畿地域大豆現地検討会を開催し、近畿内で初めて導入された『地下水位制御システム「FOEAS(フォアス)」』の導入調査や意見交換を実施した。 22年3月に公表された食料・農業・農村基本計画において、大豆の生産量を、32年度には60万トン(現行26万トン)に向上を目指し、近畿各地の生産者、生産者団体、行政関係者等の大豆生産に携わっている関係者約60名が参加したものです。 |
水田を対象とした戸別所得補償モデル対策は、大豆・麦等の戦略作物に対し主食用並みの所得を確保することを目指すもので、23年度以降は本格的な戸別所得補償制度の導入を推進。
地域の特性を活かした農林水産物を生産・加工し、流通・販売を図るため、第1次産業の農林水産業と第2次・第3次産業を融合することで6次産業化を進め農業者の所得増大を図ることとしている。
大豆の生産量については、基本計画の目標として、現在の26万トンから32年度には60万トンに増加させるめ、水田の有効利用や作付拡大、新たな技術普及を通じ、単収・品質向上等を推進する必要がある。
農業・農村6次産業化は、近畿農政局独自の取組として、7月に全国に先駆けて6次産業倶楽部を設立。現在農業者、企業等全体で550名余りが参加。大豆の新商品開発、需要拡大も本倶楽部の中で一体的に推進したい。
大豆の需給は、20年の大豆高騰の際の在庫があり、供給過剰や価格低下の懸念から、安定生産と品質向上や需要拡大を図ることが今後のポイント。
国産大豆の湿害等の影響から、収量低下を防ぐ重要な技術と位置づけ、(独)農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)が開発した、いわゆる「大豆300A技術」導入、普及を目指している。
本日は、管内で初めて設置されたFOEASの導入ほ場を調査し、関係者から説明。
活発な意見交換、現地の調査をしていただき、大豆の生産振興へ更なる協力をお願いする。
全農は、農研機構と宮城のパディ研究所が共同開発したFOEASを、農研機構と連携協定を結び、普及するため取り組んでいる。
本日現地検討会が行われる長浜市のほ場では、JAレイク伊吹とJA全農の共同試験として設置し、県農業技術センターの協力のもと、有効性の実証を進めている。
FOEASは、稲・麦・大豆を中心に試験が行われ、大豆は21年度末までに52ほ場で試験が行われ、平均単収300kg以上、対象区に比べ1.4倍以上の収量を実現。全ての水田に適用できる技術ではないため、本技術の課題を明らかにし、対策を行うこととしている。
具体的には、心土層以下が砂地等で降下透水が大きい水田においては、水位制御が困難であり、畦畔からの漏水や、周辺からの侵入水があるような水田では遮水シートを入れるなどの対策が必要。コスト的に従来の暗きょと変わらないが、遮水シート等の対策を行う必要があるような場合は、それ以上のコストが必要。
今回のほ場は、昭和40年代にほ場整備を終えた30a区画のほ場に、試験導入したもので、構造は、縦方向に幹線パイプを10m間隔で、支線パイプを深さ60cmに埋設している。これは、従来
暗きょ管に相当するもので、それにプラスして、補助孔と呼ばれる穴を1m間隔であけていき、給排水機能を高め、水位を制御することが可能。
従来の暗きょは、10m間隔で埋設されており、地下給水を行っても管の周辺しか用水分が回らなかったが、FOEASは、口径10cmの幹線パイプまで到達すると、口径5cmの支線パイプに用水が流れる構造で、補助孔から、ほ場全体に給水が可能となっている。 
試験では、1日30mm以上の大雨が降った場合、無対策ほ場ではかなり長い間地下水位の高い状態が続き、逆に10日間程度雨が降らない場合には、地下水位がマイナス80cmとなる場合もあった。一方FOEASほ場では、一時的に上下するものの、ほぼ均一に設定水位を保持できるという結果が得られている。
具体的に大豆生育の見ると地下水位が、マイナス20cm以上になると、湿害を受け、マイナス50cm以下になると、干害の影響を受けることが判明。
暗きょと比べコストがほぼ変わらず、FOEASの場合のベストドレーン工法では、作業員4人で処理できるため、従来のトレンチャー工法に比べ人件費の大幅な削減につながる上、工期も短くなる。
22年9月現在の施工実績は、65地区で、採択面積は2,515ha、施工済み面積は1,260haで、主な補助事業としては、経営体育成基盤整備事業、農地有効利用支援整備事業、炭素貯留関連基盤整備実験事業などを活用。
県産大豆は主に転作田で作付けされ、基幹品目として昭和の後半から推進し、21年産の作付面積は5,430ha、生産量は8,360トン。
22年に近畿内で初めてFOEASを導入し、大豆がどのような生育をするのか、全農の協力を得ながら、調査を実施。
ほ場は、(有)グリーンパワー長浜が管理している長浜市石田町赤坂のほ場で、22年6月に施工し、面積は96.9aで「ことゆたか」を用いた狭条無中耕無倍土栽培。
「ことゆたか」は、18年から滋賀が奨励品種として指定し、22年の作付見込面積は、約800haと年々増加。播種は、当初7月中旬に計画していたが、梅雨の末期の大雨で、7月21日にずれ込んだ。 
播種時のほ場は、乾燥していたため、FOEASほ場は、播種直後に田面からマイナス2cmに設定し、種子周辺の土壌水分を高め発芽促進を図り、種子が給水後には当初の計画であるマイナス20cmに設定し、下層の水分管理を実施。
播種以降は、猛暑で雨が降らない状況が続き、出芽に時間を要した。耕起播種のほ場は、出芽期から開花期にかけて草丈がやや低くほ場の被覆もやや遅れ、栽植密度は不耕起区と比べやや上回った。一方、慣行ほ場は、生育のばらつきが見られた。
着莢期から粒肥大期については、着莢始めにおいて、ハスモンヨトウが発生し定期的に防除。また、8月の第4半期から9月の第1半期にかけ用水の確保ができない日が続き、地下水位がマイナス30cm以下となる日もあった。
今後の状況により、粒の大きさとか、一莢あたりの粒数などで収量に影響してくると思慮。
滋賀の耕地面積は、約5万ha。水稲作が中心で、転作に主に麦を作付けし、麦跡作として大豆を生産。
21年産の大豆の実績は5,300ha、県内水田の11%で、麦跡が4,800ha。
大豆の作付品種は、昭和から平成の始め頃には、タマホマレ、エンレイが多く作付けていたが、タマホマレは、加工適正が悪く、エンレイは収量が不安定であることが原因で減少に転じ、5年の水稲の大不作による生産調整の緩和により、大豆の作付面積は大きく減少。
その後は生産調整の増加により、大粒で煮豆用の品種で評判が良いオオツルの面積が増加し、10年頃からは、豆腐用の加工適正が非常によいフクユタカが年々増加。
フクユタカは、通常の生育体型では蔓化するが、一般的に滋賀で6月中に播種するするものを7月以降に行うと、回避できることが分かり、作付面積の増加に拍車がかかった。
また、18年には、品質、収量も安定し、倒伏しににくい大粒の「ことゆたか」を、奨励品種に採用し徐々に増加。
22年産の大豆の作付面積は、5,271haで、品種はオオツル、フクユタカがそれぞれ約40%弱で、次いでことゆたかが15%で年々増加。
経営規模別の生産状況は、19年度からの経営所得安定対策に対応し、認定農業者または集落営農組織という担い手の農家に作付けが集積。白大豆は
、集団的に10ha、20haの規模で作付けされているのが特徴で、中には100haを超える大規模な組織もある。
新たな大豆の栽培方法として、浅耕畦立同時播種栽培が24%、狭条無中耕・無倍土栽培、いわゆる密植栽培が近年急速に増加し、21年で約30%。
この密植栽培は、播種時期を早くすると蔓化してしまうため、通常栽培よりは播種を少し遅くする必要があるが、21年は、梅雨が長引き、播種が8月のところもあり、生育が悪く、減収したことから、22年の作付けは減少。
播種期が、梅雨と重なり湿害となることや、雨で中耕倍土の作業に入れず除草が実施できないことから、FOEASの技術はかなり有効で、これらが改善できると期待。
23年度からは、新たな制度の導入により、高品質・高単収を上げることで、農家の収入の増加が期待できるので、本技術も活用し、大豆の安定生産に取り組んでいきたいと考えている。
近畿中国四国地域での大豆栽培の地理的な条件としては、平坦地から中山間地まで、また太平洋側から日本海側まで幅広く栽培。
気象条件は、生育期間の気温が比較的高く日射量も多い。さらに冬も比較的温暖で、大豆の栽培可能期間が長いため、麦類と組み合わせた作付体系が可能。
問題点としては、播種期が梅雨期と重なり、梅雨明け後は、降水量が少ない地域が多い。具体的には、全国の主生産地で、梅雨時期に一番降水量が多いのが福岡の朝倉で、次いで滋賀の東近江が2番目。しかし、梅雨明け後7月の後半から9月にかけては、各地域とも降水量が少なくなり、特に滋賀は他の地域よりも少ない。この時期は、一番水分が必要な開花期に相当する。
この開花期の、各地域のかん水の実施率を見ると、北陸、中国四国、近畿において実施率が高い。この時期に水分が不足するためかん水を実施せざるを得ない状況。
一方、単収を見ると、近畿の単収は全国平均に比べ低い。これは、開花期の水分不足がその要因の一つ。開花期にかん水を実施し土壌水分をあげることが重要な要素で、この時期に水分不足になると、落花、落莢によりシンク・ソースバランスが崩れ青立ちが発生する原因となる。 
どのような条件下で青立ちが発生するか、どの時期に水分が不足すると発生しやすいのかを、18年に農研センターの調査では、開花~莢伸張始め、莢伸張始め~粒肥大始め、粒肥大始め~粒最大の各期間に土壌乾燥させた場合、莢伸張始め~粒肥大始めに水分不足すると青立ちが発生しやすくなり、収量に最も影響を及ぼすことが判明。土壌水分PF値でみると、PF2.8以上のかなり乾燥している条件が、4日以上続くと青立ちを招き収量に影響。
土壌乾燥がどの程度進めば、かん水するのかは、通常の観測では分かりにくいが、農研センターが開発した簡易土壌水分計を用いれば分かりやすい。
品種で見ると、農研センターで開発した四国1号が青立ちの少ない系統として注目されており、開花期はサチユタカとほぼ同程度で、成熟期は1週間程度早くなるが、収量的には同程度。豆腐加工適正についても、サチユタカ、フクユタカと比較し、各凝固剤を使用した試験においても同程度又はそれ以上の結果。官能評価では、しっかりとした食感で、甘味、コクが感じられたとの評価を得ている。
このような優れた特性を持っているため、23年度の品種登録に向けて調査や現地ほ場で現在試験を実施している。
FOEASほ場においての生育状況調査と 土壌水分と青立ちの発生及びその対策について、8月第4半旬から9月第1半旬に地下水位がマイナス30cmとなる日があるとの記載だが、3日に1回はマイナス20cmを上回る給水ができたということで、一株あたりの莢数が多く確保できたと考えられるのか。
調査の結果、土壌水分が上昇していることを確認。今回は紹介していないが、土壌水分計TDRを埋設しているため、実際の土壌水分の変化と併せて考えてみたい。乾燥による影響は、FOEASにより最小限に抑えることができたと考えている。
降水の少ない時期において、FOEASでの水分コントロールにより、増収に結び付けることが可能と考えてよいか。
夏の時期の水分は非常に重要で、FOEASで自由に水分をコントロールできることは大きなメリット。安定生産を確保する上では有用なシステム。
FOEASを導入するためには、どの位の費用がかかるのか
圃場整備が終え、附帯設備も整い、礫が少なく漏水しないほ場で、FOEASだけだと20万円程度で施工が可能
30aのほ場3枚に、試験的に施行。
農業生産法人グリーンパワー長浜とJAレイク伊吹の職員、全農職員が1日平均8人から10人程度の2班体制で6月14日から5日間で実施。重機は2台で、オ
ペレーターは地元の暗きょ業者。
遮水シート等の追加工事が必要になったため、7月の上旬に2日間かけて追加工事を実施し、計7日間で工事を実施。
ほ場真ん中の取水口から幹線パイプを通し、反対側には、排水側の水位制御器を設置。幹線パイプから10mのところに、直径5cmの支線パイプを埋設し、立ち上がり管を設置。
耕種概要としては、播種直後にエコトップ乳剤を散布。ここが水田であり、早くからヒエが出たため、ナブ乳剤を8月4日に全面施用、8月の下旬からカメムシ、ハスモンヨトウ、ヨモギエダシャクの防除を、計4回実施。今年は、ハスモンヨトウが県下で非常に多く発生し、このほ場でも発生した。