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近畿農政局

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平成30年度「食育シンポジウム」概要

  近畿農政局は、平成30年10月2日(火曜日)、京都市において、平成30年度「食育シンポジウム」~健全な食生活を送るために~を開催しました。
  このシンポジウムは、栄養バランスに優れた食生活である「日本型食生活」の大切さを知ってもらい、それを実行して広めていく取組を参加者と考えることを目的として開催し、131名の参加がありました。
(注)日本型食生活とは、ごはんを中心に、魚、肉、牛乳・乳製品、野菜、海藻、豆類・果物、茶など多様な副食などを組み合わせ、栄養のバランスにも優れた食生活です。


  以下にシンポジウムの概要をご紹介します。

基調講演
   ゆる和食研究家 栗山 小夜子 氏

講演
  武庫川女子大学 短期大学部 幼児教育学科 講師  藤本 勇二 氏

パネルディスカッション
 「おいしく、楽しく日本型食生活を実践し、広めていくために」
   コーディネーター  武庫川女子大学 短期大学部 幼児教育学科 講師  藤本 勇二 氏
   パネリスト           ゆる和食研究家 栗山 小夜子 氏
                          京都府連合婦人会 事務局  藤原 公子 氏
                          京都生活協同組合 副理事長  川村 幸子 氏

基調講演

ゆる和食研究家  栗山 小夜子 氏

『頑張らないゆる和食のすすめ~ちょっとの工夫で毎日を健やかに~』

 

今年は災難が続くが、私はどんな時も強い心と丈夫な体があれば、どんな困難も乗り切れると信じている。日本型食生活はまさしく強靱な精神力を創る先人からの素晴らしい宝物だと思う。次世代の子供たちにつなぐため私の話が皆様の食生活に少しでも役立てればよいと思う。私は、自宅で子供親子料理教室をスタートさせた時から食育を始めて、今年で24年目に入る。医療費削減型食育を軸にした食育を実践し、今まで年間800人、延べ1万人以上を指導してきた。長男のアトピー性皮膚炎発症をきっかけに、食べ物で人はできているという、この当たり前のことを気づかせてくれたことが、今の私の原点となっている。
今、子供たちに何を伝えたいかと問われたら、成人するまでに、自分の食を選び自分で健康を作れる食を選ぶ力、いわゆる「食選力」を付けてほしい。それこそ本当の意味での自立であると考え、食の大切さを知る人が愛する人に伝えてほしい。
私たち日本人の食生活は、様々な食にあふれていて、世界中の食生活が取り入れられている。一方で、いつ、どこで、何を、どのようにして選択して食べればいいのか分からなくなっている。日本人が日本人として生活していくことで、何を食べていけばいいのかをもう一度学び直す時期に来ている。
「ゆる和食」とは、日本に馴染んだカタカナ食であるパン、ハム、サンドイッチなどを日本人の体に合うようにアレンジすることで、食人生が健やかになる提案のことである。「ゆる和食」の看板メニューとして「ルーなしカレー」がある。野菜と塩とみそとスパイスだけを加え、炒めずに、食材を重ね煮し、30分以内にできる簡単なメニューである。
本日は、食材をおいしく効率よく食べられる調理法、病気から身を守る簡単実践型手法を皆様に持ち帰ってもらいたい。

   ゆる和食研究家 栗山小夜子 氏による基調講演
 

簡単実践型手法の一つに毎日の舌磨き習慣があるが、やさしく舌のコケを取り体内の未消化物を洗い流す習慣である。また、お白湯習慣は、朝と就寝前に習慣でお白湯を飲むと、腸も適度に刺激されて活発に動くことで、体の水分を入れ替えることにつながる。
そして、手の親指の間に「合谷」というツボがあり、頭痛をはじめ色々な症状に効果がある。朝の起床時などに刺激し、試して頂けたらと思う。自分でツボを押してみて「気持ちがいいな」という程度に3秒ほど押してみて活用してほしい。
次に、季節に合わせた食べ方についてであるが、旬を知ることはとても大切です。難しい話だが、人の感情は四季と体の臓器につながっているという考え方があり、季節に合わせた旬の食材と味覚を組み合わせ、うまく体に取り入れ活用していくことが大事である。肝臓は怒り、心臓は喜び、肺は悲しみ、脾臓は思いと感情につながっているといわれている。臓器では、肝臓は目、心臓は舌、肺は鼻、脾臓は口につながっていて、腎臓は耳と深く関係している。
春は、土から出る野菜がいっぱい出回る季節である。苦みのある旬の野菜は、肝臓の解毒作用に役立つと期待される。
次に、夏はたくさん汗をかく時期であり、汗をかくことによる貧血に注意していただきたい。夏野菜のトマトやキュウリは、かえって夏に身体に冷えを作ることがあるので注意が必要である。夏でもあたたかい鍋を食べることもよいと思う。
次に秋、感情でいえば悲しみの季節にあたる。何となく何でも悲観的に考える方や、マイナス思考の方はもしかしたら、肺の弱りのサインかもしれない。季節の野菜では、レンコンがよく、特に気管が弱い、すぐに喉に詰まってしまうと思う方には、努めてレンコンを食べてみてほしい。また、その他にも季節の野菜は白くて辛くて丸いもの、タマネギ、ショウガ、大根、白ねぎなど、鍋やみそ汁用の具材に使用するとよい。秋に出るブドウは夏で乾いた身体を潤してくれるといわれている。
自然の甘味をきちんと体に覚えさせると、余計なおやつや甘いものがそんなに欲しくなくなる。具体的な食材としては、サツマイモ、カボチャなどの根菜類や穀類などがよい。子供たちに積極的に与え自然な甘みを教えてほしい。
次に冬、体の冷えを考慮し、腎臓と肝臓に意識を向けて、赤みそ、海苔などの海藻類などミネラルの多いものを摂取することがよいので、青菜に海苔の組合せは、たいへんよい。
日本型食生活のご飯や食物をしっかり食べてもらい、それに合わせて発酵食品の大根のぬか漬けを食後に2、3切れ食べてもらうと、腸内環境が整えられると思う。また、ショウガは先入れと後入れで効果が違い、先にスライスして入れると体の温かさが持続、後入れすると瞬時に温まり汗が出て、即効性が期待される。
お魚、お肉もバランスよく食べてほしい。成長期の子供は動物性と植物性のタンパク質を同量の割合で取ることが望ましい。特に植物性のタンパク質を高野豆腐などで週に2、3回取り入れることで体の調子が整うと思う。高野豆腐は、みそ汁やお鍋、麻婆豆腐にも合う。他に、ヒジキとレンコンを炊き合わせて動物性タンパク質の鳥や豚を合わせたものは貧血の改善につながる。寒さを感じる季節になると、お鍋を日常に取入れるとよい。植物性タンパク質、動物性タンパク質、野菜を取るようにしてほしい。豚肉にはショウガ、鶏肉にはニラやタマネギが食材の相性としてよく、そこに他の野菜も豊富に取入れるとよい。
次に野菜を長持ちさせる方法として、「ミラクル50度洗い」について紹介する。野菜を長持ちさせる保存法だが、50度のお湯に野菜をつけると、気孔が開き、水分を抱え込み、細胞間にあるペクチンの変化で歯ごたえがよくなり、野菜が甘くなる。菌の増殖も抑える効果も期待できるため、忙しい方には、取り入れてほしい方法である。
次にみそ汁について、みそ汁は、日本人の知恵が詰まった素晴らしい食べ方で、朝は身体を温めてくれて、おみその効果としては抗酸化作用があり、美肌作用とか若返り効果もあるといわれている。粉末にしたいりこをお椀に入れ、赤みそベース、合わせみそベースのみそをくわえ、野菜を入れた熱いお出汁を注いで混ぜると、「マイインスタントみそ汁」ができるので試してほしい。みそ汁は、毎日同じ具材で作らないことが大事である。季節の具材や、何より自分の体調に合わせて具材を選んでほしい。みそ汁は熱くて嫌だという子供には、少し蒸した野菜に「健脳みそ」(みそに、唐辛子、ごま油、クルミ、はちみつ等を混ぜたもの)をかけて食べさせると本当によく食べる。生きた酵素をたくさん取ると、腸の調子がよくなることも期待できるので、試してほしい。
日本はアクア文化で、西洋はオイル文化であるとの考え方があり、日本では、ご飯も水で炊き、みそ汁も出汁で炊き、煮物も出汁で炊いている。水からの調理方法が、日本人の身体には合っていると思う。
昔から食べてきた煮物を活用し、蒸す調理を採り入れていただきたい。蒸すことにより、余分な油脂分も落ちて柔らかくなり、うまみを閉じ込めるなど、過度の酸化防止に効能がある。
最後に、料理教室でのことだが、子供たちに「お母さんを見て一番好きなところは、どんなところ?」と聞くと、「お料理をしているところ」と返答があった。子供たちは、お料理をしているお母さんの姿が非常に好きであり、料理は愛情表現だと思う。子供たちは、料理を通してお母さんの愛情を感じているということを意識してもらいたい。そして、食育のために一つでも役立つ情報を取り入れていただけたらありがたい。

講演

武庫川女子大学 短期大学部 幼児教育学科 講師  藤本 勇二 氏

『子どもが学ぶ日本型食生活』

 

私は、武庫川女子大学で将来、小学校の先生になる大学生を教えているが、大学生の食生活をチェックしてみると、これではいけないことに気づいた。まず、学生に日本型食生活の良さに気づいてもらわなければならないと思った。さらに、学生が日本型食生活に関わることによって、はじめて暮らし方も変わると思った。
日本型食生活の認知度については43%となっている。ポイントは、男性よりも女性の方の認知度が高いということと、若い人よりもベテランの人の方が認知度はよくなっているということ。栄養バランスに配慮した食事の摂取という点では、4割を切っている状況。このような状況をどうやって解決していくかが大きな課題である。

  武庫川女子大学 講師 藤本 勇二 氏による講演
     

日本型食生活というからには、型であるので、唯一、決まったことがあるとの考えでは、広まっていかないのではないかと考える。様々な考えが、ネットワークを通じて実現していくことが大切であり、ベテランの人こそがネットワークになれると考える。
若い世代の成人では、朝食を2割しか食べていないという調査結果があるが、勤務先の大学生の中にも、朝ご飯を食べていない子もおり、朝ご飯を食べなくても生活ができていることに不安がある。成人の朝食欠食が始まった時期は、調査によると高校を卒業した頃から29歳までに習慣付けされている。関西において、小学校の食育は、栄養教諭を中心として熱心に行われ、中学校も学校給食とセットになりながら充実している。しかし、その後の高校と大学が野放しの状態であり、そこをどのように解決していくかが、今後の食習慣に関わる大きな課題である。
食育、日本型食生活を考える上で、学校の授業では「暮らし学習」になる。暮らし学習の考え方について、上智大学の奈須正裕氏が論文の中で、「知識や体験の成就はとても大切なことだが、残念ながら、それだけでは越えていけないことがある。野菜を好き嫌いなく食べましょうといわれても、なかなか人は変わらない。分かっているのにやめられないということをどうやって解決していくかが問題なのである。もう一つは、躾による行動強制のことである。躾による行動強制は大変大切なことなのだが、農家の方は、八十八の手間をかけてお米を育てているのだよと伝えても、農家の方の八十八の手間を知らない子供たちは、それを伝える方がいなくなれば影響力はなくなる。もちろん継続する影響力を上手に気づきとともに作っていくことは大切なことだと思うが、この知識や体験の成就と躾による行動強制だけでは、なかなか日本型食生活には踏み込めないのではないかと思う。そうであるなら、暮らしが変わることであれば、自分事となると思う。」という形で整理してくれている。
どうすれば、問題意識として残っていくのか。中学校なら部活と受験。この二つの競争に関することは、大切なこととして認識されている。生徒は、競争に勝ちたいので、勝つためにはしっかり食べなければならない。ということになれば自分事につながる。気づくということをどうやって作っていくかである。日本型食生活をしなければいけないと単に伝えるのでなく、生徒自身が日本型食生活のプログラムや授業を作っていくことにより、日本型食生活のよさに気づいていくことが大切なことである。
この気づきという点で、日本型食生活をそれぞれの方がそれぞれの立場でアプローチすることにより、考えて継続させていくことが大切なことなのである。気づいたことが、日本型食生活を実践するきっかけにつながるのではないかと考えている。私は、教員を養成する立場から、将来、生徒が先生になって食生活の価値やよさを伝えるスピーカーの役割を担ってもらいたいと考えている。多様な人たちが、あらゆるデータや手法を使い、子供たちの暮らしを変えていくことにつなげていくこと、そして気づきを共有できたらよいと思っている。


パネルディスカッション

コーディネーター:武庫川女子大学 短期大学部 幼児教育学科 講師  藤本 勇二 氏
パネリスト         :ゆる和食研究家 栗山 小夜子 氏
                      :京都府連合婦人会 事務局  藤原 公子 氏
                      :京都生活協同組合 副理事長  川村 幸子 氏

  『おいしく、楽しく日本型食生活を実践し、広めていくために』

 

(武庫川女子大学 藤本氏)

日本型食生活の実践に関わるディスカッションを進める前に、パネリストの方が普段どのような食育活動をされているのかを伺いたい。

(京都府連合婦人会 藤原氏)
福知山連合婦人会で取組んできた食育について報告する。日本の食文化が変わり、地域の文化や家庭の味が忘れられることに危機感を感じ、地域の行事食や郷土料理を調査し、親子料理教室と大人向けの婦人会料理サークルを立ち上げ、7年目となる。平成26年度に福知山市の教育委員会から和食を中心に食の体験活動の依頼を受け、今では中学校を含む19校で47講座を担当し、1講座で2時間の実習を行う。実習では配膳や日本型食生活の基本の話、地産地消や旬の物を使う大切さ、栄養のバランスの大切さを伝え活動している。

(京都生活協同組合 川村氏)
京都生協は、食育をテーマとして、組合員から募集した15名の食育サポーターが地域に密着した活動に取組み、料理教室や学習会を行っている。学んで会得することで、大人も子供も食べることの大切さを知り、健全な食生活を送れる人を育てる食育が広がればよいと思う。

(武庫川女子大学 藤本氏)
農水省の調査では、日本型食生活を認知できている人は42.3%で日本人の2人に1人、若い世代が栄養バランスに配慮した食生活ができているのは、58.0%となっている。若い世代を意識した課題や日本型食生活について伺いたい。

(京都府連合婦人会 藤原氏)
私たちが食の体験授業を行うときは、住んでいる地域に近い学校に入るが、子供たちは、嬉しそうにいろんな話をしてくれる。話の中で子供たちが育つ家庭の姿が見える。親の姿勢は非常に大事で、食育体験は子供に役立ち、親たちの考えも変えるのではと期待する。活動は、京都府及び福知山市の「女性活躍応援事業」の補助を受けて進めたが、今年は財政的な補助がない。

(武庫川女子大学 藤本氏)
課題を解決するヒントは「子供を通して」、「頼れるベテランの女性の必要性」、そして、「行政がしっかり機能しているか」ということにある。次に栄養バランスに配慮した食生活をするための課題を伺う。

   パネルディスカッションの様子1
    

(京都生活協同組合 川村氏)
日本生協連では3年に1度「全国生協意識調査」を実施しているが、調査の中では、特に30代から40代の層では、普段の生活で注意しているところは何かとの設問で、「栄養バランスが偏らないように」との回答が75%あった。しかし、働くお母さんが増え、「手料理する時間がない」、「家族が喜ぶメニューを作りたい、でもどうしたらいい?」との声が多くある。

(武庫川女子大学 藤本氏)
課題に関して気がついているが、解決策がない状況がある。課題は様々な層に分かれており、各層に対して小さい単位で課題に対応する取組が必要であると思う。

(ゆる和食研究家 栗山氏)
お母さんが変われば子供も変わると思い、体験型の教室料理を意識してきた。参加された親御さんは「親子で一緒に楽しむというのが大事だ」と言われる。親子で体験する食育は大事だと思う。

(武庫川女子大学 藤本氏)
料理教室をされていて、親子の意識の変化や、日本型食生活を実践するための課題について伺いたい。

(京都生活協同組合 川村氏)
感想文などから、親と子が料理という共通の話題ができることにより、日本型食生活や栄養バランスに関することを語れるきっかけになると思う。

(ゆる和食研究家 栗山氏)
外国の子供に比べ、日本の子供は、自分の衣食住のことができないと感じている。

   パネルディスカッションの様子2
 

(武庫川女子大学 藤本氏)
以前、私が小学校6年の担任の時、1年間、味噌汁を作り続けたが、ひとりの女の子が、家族の味噌汁を作るようになった。体験が意識や行動につながるきっかけになったのではと思う。長く活動を続けてこられたことや、活動の中で手応えのあったことについて伺いたい。

(京都府連合婦人会 藤原氏)
地域のおばちゃんとして子供に関わるのは、とても楽しいことで、行政や学校の協力があってできたことだと思う。そして、学校で採れた食材を料理実習で使うと、家で料理を作るきっかけとなる。子供たちの生活に密着した実習をすると、自分たちで育てるものについて関心をもつことができ、親や祖父母と話をする機会へと広がる。これこそが食育ではないか思う。

(京都生活協同組合 川村氏)
毎年行っている親子キャンプで、生きものの命をいただいたことや、親子で参加したことの大切さに気づかせてくれたと感想がある。その気づきが食育につながればと思う。

(ゆる和食研究家 栗山氏)
料理は作ることだけが目的ではなく、料理を通して総合的にいろんなことを学んでほしいとの思いがある。

 会場の様子
 

(武庫川女子大学 藤本氏)
生きものを思う気持ちやコミュニケーション、活動したことにまつわる様々な物語を語る等、我々が何か子供たちと関わる時に、広く間口を持って子供の気づきに関わって行くことに大事な意味がある。
地域の食育の活動を若い世代に広めて行くこと、若者の栄養バランスの偏りのこと、日本型食生活の良さについて、何か意見があれば、会場の方も含めて伺いたい。

(会場の参加者)
今、小学校の低学年の4人に1人は便秘であるといわれている。便秘の子供は元気がない。その他にも日常の学業などに影響があると知ると、お母さんは便秘の解消に真剣になると思う。

(武庫川女子大学 藤本氏)
学校では、栄養士や養護教員がその事実をしっかり親御さんに伝え、情報共有が大事である。便秘ということから日本型食生活を考えてみるのもよいと思う。

(会場の参加者)
子供に「なぜ、朝ご飯を食べなければいけないのか。」と聞かれたらどう答えたらいいのか、その理由や答え方を聞きたい。

(武庫川女子大学 藤本氏)
「なぜ、朝ごはんを食べなければいけないのか。」と聞く子供を育てないようにすることが大事な教育だと思う。なぜ、子供がそういうのかという子供の思いを知ることが大事である。

(京都府連合婦人会 藤原氏)
去年から私たちは活動を広めるため、地域で活動する方々や、福知山の食生活改善推進協議会に働きかけ、活動への協力要請を行った。その結果、たくさんの方が一緒に活動することになった。

(京都生活協同組合 川村氏)
京都府美山町で親子による黒豆の収穫体験を行った。実際に、収穫、ゆでる等作業を行い、その中で、生産者の様子も見えた。生協独自の取組だけでなく、他の団体と一緒に関わることによって、食育の広がる可能性を実感した。

(武庫川女子大学 藤本氏)
最後に、まとめの話をしたい。「アイゼン」という人が提唱した計画行動理論では、人が行動するためには意思が必要であり、何かをやってみようという意思を形成するのは、今の所3つあるといわれている。1つ目は態度である。態度に対する肯定的な感情で考えると、「日本型食生活はよい」、「大事である」と形成しておけば、将来、結果において行動の変容につながる可能性がある。2つ目はコントロールである。誰かの手伝いがあれば日本型食生活ができる。いうなれば、小さい頃に日本型食生活をやったという手応えがあれば、年を取っても、もう一度日本型食生活ができる。そういったコントロール感である。そして、3つ目が主観的批判である。誰かがやるなら私もやる。その人に影響力があるならやる。そのような場合である。
日本型食生活はトップダウンではなくて、ムーブメントで広めるものと考える。トップダウンは、日本型食生活は大事だから皆さんやりましょうということ。生協の場合は、大事であるがどうやったらいいか分からない。だったら、それに合うものを作って提案していく。現場で必然性をもって継続して活動されている方が、そういったアイテムにより、相手の需要に合わせていくことで、他者の行動が変わっていくことになる。
後は、現場で食育活動する人たちのエネルギーが切れないようにする必要がある。そのため、広がる、つながることは大事であり、どこに知恵があるか、どこにつながっていけば何か新しいことが生まれるかをネットワークとして構築しておくべきである。ネットワークをシェアすると、それぞれの人がそれぞれの地域で行っていることが広がり、今までに無かった組み合わせが生まれていくことにもつながる。
自分たちが育てた野菜を巡って、若い世代と話し合いをすることこそ食育の本質ではないのかとの意見をいただいたが、そのとおりであると思う。将来、学生が教員となって、一緒に子供たちのことを支えてもらえることを期待している。

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