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近畿農政局

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近畿地域食育実践者等の交流会」概要
~食育への理解と関心を深めよう~

平成26年6月25日(水曜日)、コープ.イン.京都(京都市中京区)において、「近畿地域食育実践者等の交流会~食育への理解と関心を深めよう~」を開催しました。

交流会では、近畿の各地域で食育実践する方々をはじめとして、食育に関心をもつ100余名の皆様に参加いただき、食育セミナーやそれぞれの活動に関する情報交換が行われました。

 以下に交流会の概要をご紹介します。

  会場の様子

食育セミナー

 『食文化と食育について』    

大谷 貴美子 氏(京都府立大学大学院 教授)  

  • 食べるという語源は、相手の命を賜わるという“賜る”から派生してきたといわれている。私たちは、他者の命を賜わって自分の命をつないでいるわけで、そういうものに対して「い大谷先生ただきます」と敬意を表して食事に入る。自分の食にかかわってくれたすべて、犠牲となってくれた命すべてに感謝の心を表すのが、「ごちそうさまでしたと」いうこと。これを宗教的なことは一切関係なしに、自然と私たちがそんなことを言いながら食事をするというのが、日本人の食の美学だと思う。こういった精神性は今後も引き継いでいきたい。

 

  • 食育というのは、自分の食を正しくデザインできる力を育むこと。デザインとは意匠。意匠とは、相手のニーズに耳を傾け、その人ために斧という道具を使って箱をつくること。食にあてはめるならば、食べる人のニーズにしっかり耳を傾けて、その人に必要な料理を作ってあげる。または、自分が食べ物を選ぶのであれば、食べ物を選択するということ。

 

  • 心の発達や癒やしのための食事は家庭でしかできない。基本的な食習慣については90%が家庭の食事に依存している。幼少期にいちばん大事なことは、その子のためにデザインされた食を提供することによって、その子の家での居場所をつくるということ。いざとなったら自分を助けてくれるという信頼感が重要で、家庭の食卓は家族の人間関係を食べる場所でもある。

 

  • 京都の食文化は、中国・韓国を通して運ばれてきた陰陽五行(いんようごぎょう)の考え方の影響を受けている。五色と五方というのは、青 東・赤 南・黄 中央・白 西・黒 北。平安京は、真ん中黄色は天皇が住まわれ、北は黒の玄武、南は赤の朱雀、東は青の青龍、西は白の白虎が守る呪術空間として作られた。食事もその思想を受け継いでいる。それが、和食で言えば、五味 (いろいろな味付けのものをそろえましょう。)、五色( 食材の色をそろえましょう。)、五法(いろんな調理方法を用いましょう。)という考え方に活かされている。

 

  • 京都の食文化を生かした食育活動を10年以上やってきたのでその一部を紹介する。京都市内の小学校で、京料理を体感してほしいと思い、系統立てて(おいしさを感じるしくみ、世界と日本の食文化、食べるプロになろう、京料理を味わおう、まとめ)、京都の食文化を生かす食育活動を行った。

 

  • 「おいしさを感じるしくみ」では、子ども達に、視覚と嗅覚を使わずに食べることにより五感の大切さを体感してもらった。昆布と鰹でとっただしとインスタントだしの味比べ、同じ食材を赤と黒のお椀に盛りつける椀盛りに挑戦してもらうことで経験してもらった。

 

  • 「世界と日本の食文化」では、京都の食文化を支えている水の大切さを理解させるために、“利き水”として、染井の井戸水と市販の硬水と小学校の水道の水の飲み比べを行った。また、しつらえもテーブルコーディネイトを通じ学んでもらった。

 

  • 「食べるプロになろう」では、季節感を味わう・茶道体験・和食のマナーを実施した。
    まず季節を味わうことは和菓子を通じて学習した。和菓子は、目でも愛で、舌でも味わえ、耳でも聞くお菓子。銘(めい)が付けられている 。例えば、柿の形をしていても、柿という銘はつかず、「里の秋」となっている。この銘を聞いて、頭の中で想像する風景は全員違うはず。そこまで含めて味わうのが和菓子。子ども達と銘をつける遊びを行った。
    お茶を飲むだけが茶道ではなく、茶道の和敬清寂(わけいせいじゃく)という精神性があるということを伝え、その後、小学校の和室で、茶道体験を行った。
    おもてなしの心への感謝を言葉だけでなく態度でも伝えるために、マナー講座も行った。これだけの準備をして、実際に京料理店へ行った。

 

  • 「京料理を味わおう」は、京料理店で、打ち水や、和包丁の説明をうけ、すばらしい技やしつらえをみせていただいた。五法をつかった点心を提供していただいた。それらすべてが子ども達にとって感動体験だった。

 

  • 「まとめ学習」では、自分が学んできた中で興味もったことの調べ学習を行った。近くにインタビューにいったりして、各グループごとに発表し、京料理の中のおもてなしの心を発見してくれた。
    最後に、子ども達にイメージマップを書いてもらった。中心に京料理があり、どんどん連想する言葉を書いてもらう。最初全然書けなかった子ども達が、いろいろな教えた言葉をちりばめることができており、子どもの食の世界が広がったと実感した。こういった体験が、子ども達にすごくいい影響を与えると思った。

 

  • (食育は)ぜひ、楽しんでやってほしい。楽しい目標をつくって、事前学習してから、実際に、子どもに感動させてあげる。それが、こどもたちの興味、関心、言葉になって現れる。それがまた次のものにつながっていくというループが非常に大事だと思う。本物を経験させて、感動を与えてあげることが大事。
    目的に達するまでの過程が大事で、心脳体食育、感動・知識・体験これが食育三本柱ではないかと思う。 

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『食育と農政に思うこと』  

渡辺 好明 氏(公益社団法人全国農地保有合理化協会会長)

 

(食育と学校給食について)渡辺先生
  • 「3つの分断」の修復が急がれる。何がばらばらになっているのか?農業、林業、水産業が別々の分野に見られているが、行政も農業行政、林業行政、水産行政とばらばらになっている。もう一回、農、林、水を「森は海の恋人」という形で大きな循環の中で再構築・再統合する。都市と農村というのは、相対立するのではなくお互いに助け合い、協力を行う。生産者と消費者も同じで、最終的には、消費を意識して生産しない限りは発展は生まれない。

  • 学校給食は、いまや単なる栄養補給ではなく、食事というものは、どのように作られて、どのように加工されて、どのようにお母さんやお父さんが調理をして、そしてみんなで楽しめるのか、それが食文化である。食文化は、食事である。食育も、学校、国、市町村にまかせるのではなく、家庭はもちろん、地域社会の中でも食育を行おうというのが私の思いである。

  • 食事というのは、良い材料を使って良い調理すればおいしいわけではない。農林水産省が、インターネットでアンケートを実施したが、「どんな時に食事が楽しいか」と聞くと答えが沢山出てくるが、「どんな時に食事が楽しくないですか」と聞くと、嫌いなものが一番に出て来て、その次は、お父さんやお母さんに食事の時に怒られると楽しくないと答えが出てくる。これは、食育の食事での位置付けの実態を表している。食育は、家庭、学校、地域がすべてセットとなることが不可欠である。

  • 学校に給食のすべてをまかせるのではなく、一部を高知県南国市で実施しているような児童が行う炊飯体験を実施すればよい。食育は、いいものを食べさせるということもあるが、自分で作ることもおもしろいと思う。その時、同時にうつわにも触れる。うつわを持って食べるのは、日本の文化である。

 

  • 日本人の暮らしに深く関わる稲・米について。今、日本人は、米と言うと粒で、この粒でご飯を炊く。60年前から100年前には、粉にすることが多かった。今のように米粒がお米の大部分を占めるような状況ではなかった。米を粉にして使う文化は、本当に盛んであっ た。

  • 米の粉が、小麦の粉になぜ変わったのか。理由は2つ、1つは、米の技術、品質が向上して、粒で食べるのが主流となった。もう1つは、粉の技術を怠った。小麦粉は、消費者が調理に使う時、好まれる便利なものの開発に力を注いだ結果、小麦粉が米粉を上回った。

  • 日本の食文化の根っこには、米があるので、米粉についても、もう一度、値段も品質も、用途別、作り方、仕立て方も考えたものになれば幅広く使われる道ができてくる。

(農政について)
  • 日本の農地面積は、450万haで、そのうち250万haが水田。この水田で米と麦を植える二毛作を行えるような農業政策に切りかえないと自給率向上と言っても進まない。輸出などで日本の農業が、日本だけでなく世界にも貢献できることになる。

  • 水田面積250万haのうち90万haは減反で米が植えられていない。日本の最適作物である米を精一杯作れるようにすべきである。また、450万㏊の農地のうち耕作放棄地は40万haで、二度と農地に戻らないとされる農地が25万haぐらいある。残りの15万haぐらいは農地に戻すことが大事である。

  • 今回の農政改革では、減反、耕作放棄地を解消していこうというのがポイントである。米の価格は、マーケットの価格形成に委ねて、その結果、需給調整を自らの選択とし、農業者や農業団体が行う。これを選択するもしないも自由である。しかし、それでは所得が減る場合がある。ヨーロッパやアメリカが行っている直接支払いのような国際的手法で、農家経営全体の底支えを図る。価格を調整することで需給調整する強制色をやめて行こうということが大事なコンセンサスである。

  • 農地中間管理機構が全国に作られ、農地を持っている人、耕していない人、耕したくない人は、農地中間管理機構に預けてもらい、農地の嫁入り先を探す。貸す相手先がいてもいなくてもしばらくの間、国が地代を払う。何年か繰り返して行くうちに農地をまとめて、効率のいい農業ができるようになれば、長期の貸し借り契約に移すか、あるいは買取る時期がやってくるというのが今回の政策であり、農地が、本当に農業で生きていける人に集まるようにするのが今回の農政改革である。

  • 私が考える農政転換のポイントは、1つは土俵を広くする。消費者が払っているお金は74兆円で、そこから遡って農業生産を考えること、これが、マーケット・イン、バリュー・チェーンという言葉である。川上から川下まで、消費者サイドのことを考える。2番目は、消費者に軸足を置くということで、価格をマーケットの判断で自由にさせて、その結果、農業経営が成り立っていかない状況になれば、所得政策、直接支払いという形で、ヨーロッパなどで行っている手法で農家全体を支えていく政策に切りかえていく。

  • 自給率を言うならば、日本の農地は表も裏も耕すことができる。昭和35年ごろの耕地利用率は135%で二毛作や三毛作が行われていた。今の耕作利用率は、94%程度で、いざというときは野菜を作っているところが米に切りかえ、野菜を作っているところが麦に切りかえ、このような農地利用にしていけば日本中の水田や畑がフルに活用されていく、これが国力、自給力だと思う。  

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会場の様子  

                                                                                                                                  


セミナー受講の様子
セミナー受講の様子                    


交流会の様子
 交流会の様子 


交流会の様子
 交流会の様子  


パネル展示の様子
パネル展示

                                                                                                  

                                                                                                                                                                                     

 

                                                                                                                                             

                                                                                                                                                                                                                                

 

お問合せ先

経営・事業支援部地域食品課
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代表:075-451-9161(内線2767)
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