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近畿農政局

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平成29年度第1回「食育シンポジウム」概要

  平成29年6月28日(水曜日)にキャンパスプラザ京都(京都市)において、平成29年度第1回「食育シンポジウム」を開催しました。
  このシンポジウムは、安心で豊かな食生活を営んでいけるよう、消費者・生産者・食品流通事業者等が「食」の現状と課題を共有し、それぞれの役割や相互に協働した取組について考えるために開催し、128名の参加がありました。


  以下にシンポジウムの概要をご紹介します。

情報提供
   農林水産省 大臣官房 広報評価課 情報分析室    課長補佐(年次報告班担当) 阿部 哲

各方面からの講演
  株式会社 関西スーパーマーケット 総務グループ 総務チーム シニアスタッフ  間 秀生 氏

  認定NPO法人 フードバンク関西   理事長       浅葉 めぐみ 氏

  株式会社 近江園田ふぁーむ       代表取締役   園田 耕一 氏

パネルディスカッション
 「安心な食生活を送るために私たちにできること」
   コーディネーター  奈良県生活協同組合連合会 専務理事  辻 由子 氏
   パネリスト           情報提供及び講演各氏 

情報提供

阿部哲 (農林水産省 大臣官房 広報評価課 情報分析室 課長補佐(年次報告班担当))

私たちの食べ物はどうなっているの?

 

昔ながらの日本の食事は「一汁三菜」といって、ごはんを中心に汁ものと主菜、副菜からなる、栄養バランスの良い食事となっている。日本の伝統的食文化である和食は、海や山からたくさんの種類の新鮮な食材がとれること、自然の美しさを表現する心を大切にしていること、食と年中行事が密接に関わっていることなどから、平成25年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

ただ、伝統的な和食を今も皆が食べているというわけではない。昭和40年と平成27年で食生活を比べてみると、昭和40年はご飯を1人あたり1日約5杯食べていたが、今は約2.5杯と半分になっている。消費量については、日本で自給可能な米が減り、畜産物や油が増加、野菜、果物、魚はそれほど増えてはいないが加工食品が増えている。昔に比べると非常に多様な物を食べており、そのかなりの部分を輸入している。

   阿部氏による講演の様子
 

私たちが食べているものがどこで作られているのかを考えてみる。例えばステーキとパンでは、牛肉は国産の割合が40%であるが、牛のえさはほとんど輸入で、飼料も考慮すると自給率は11%しかない。 パンの原料の小麦については、国産は15%で残りは輸入している。和食はどうかというと、マグロのお寿司を食べた場合、マグロの自給率は40%で残りは輸入している。米だけはほとんど国産というのが現状である。

私たちが食べているものがどこで作られているのかを考えてみる。例えばステーキとパンでは、牛肉は国産の割合が40%であるが、牛のえさはほとんど輸入で、飼料も考慮すると自給率は11%しかない。 パンの原料の小麦については、国産は15%で残りは輸入している。和食はどうかというと、マグロのお寿司を食べた場合、マグロの自給率は40%で残りは輸入している。米だけはほとんど国産というのが現状である。

食料自給率を国際的に比べてみると、日本の食料自給率はカロリーベースで39%、生産額ベースで言うと66%となっている。つまり、価格が安くてカロリーの高い物を輸入し、価格が高い物を国内で作っていることになる。カナダやオーストラリアは輸出量が多く、カロリーベースの自給率は200%を超えている。アメリカはカロリーベース127%で輸出国だか、価格の高い加工品を輸入しているので生産額ベースだと輸入国になっている。ヨーロッパの国々はカロリーベースも生産額ベースもだいたい輸入国だが、いずれにしても日本は自給率が非常に低い。

こんなに自給率が低くて、いざという時、日本は大丈夫かということで試算したのが、食料自給力である。これは、日本の農地をすべて使用して1人1日あたりどれくらいのカロリーを供給できるか試算したもので、米麦大豆を中心に作った場合1463kcal、芋中心に作った場合2687kcaとなる。日本人が1日必要なカロリーは2146kcalなので、米麦大豆ではカロリーをまかないきれない、芋類ならカロリーとしてまかなうことは可能だが、毎日芋ばかり食べているのはつらい。現状は、作れる物は日本で作り、作れない物は輸入して豊かな食生活を送っている。

では、農業の現状はどうなっているのか。農地は減少しており、平成5年は約500万haあったのが今は約450万ha. この20年くらいで農地面積は約1割減っている。減少の原因で1番多いのは荒廃農地の増加である。

では、農家(農業経営体)はどうなっているのか。家族で経営している販売農家は約133万戸であるが、この10年で3割程度減少している。販売農家は昭和一桁世代が多く、その昭和一桁世代が80代になってリタイアしたため、農業経営体の数はこの10年間に60万戸くらい大きく減少している。そのかわり、会社で農業を行っている法人経営体が、この10年間で倍以上に増えている。
家族経営体の基幹的農業従事者(主に農業をやっている人)の平均年齢は平成27年で67才、一方、会社に就職して雇われて農業している人の年齢構成は半分弱が44才以下である。農産物販売金額全体にしめる会社組織のシェアは27%となっており。約2万弱の会社組織が全体の約1/4の農業生産をあげていることになる。

国は食料自給率39%を45%にする目標を立てており、その実現のために、消費量が増加しているおにぎり等や外食に対応する米を作ったり、小麦についてはパンに向く品種や、梅雨の前に刈り取れる品種を開発するなど品目別の食料自給率を上げていく取組を行っている。また、品目横断的な取組として、消費者や食品産業事業者の皆様による積極的な国産農産物の消費拡大、国内外での国産農産物の需要拡大、食育の推進などの取組を行っている。

たとえば、全国民が1年間、1日にごはんをもう1口食べると食料自給率は1%増加する。同様に、国産の米粉で作った米粉パンを月にもう6枚、国産大豆100%の豆腐を月にもう約2丁、国産小麦のうどんを月にもう約2玉、食べることを続けると食料自給率はそれぞれ1%増加する。消費者の皆様に積極的に国産を選んでいただくことも大事である。

世界の農産物の輸出入の状況を純輸入額からみると、最も輸入が多いのは人口の多い中国だが、日本は世界で2番目に輸入が多い国になる。輸入した作物を作るのにどれくらい農地を使っているのかを試算すると、日本の農地が約450万haであるのに対して日本が輸入した農産物を作るために必要となる農地は1088万haになり、国内農地の約2.4倍の農地を海外に依存していることになる。

 世界の人口は増え続けて2050年には97億人になるという試算があり、今後も世界の食料消費は増加する。また、経済発展すると肉を食べるようになるため、畜産物の消費が増える。肉を食べるということは、牛肉を1kg生産するのに飼料用としてトウモロコシが11kg必要というように、飼料用のトウモロコシを作るために広大な畑が必要になってくる。

1960年と比べると世界の穀物の生産量は3倍くらいに増えているが、収穫面積は約1割しか増えておらず、単収を増やすことで食料を増産してきた。単収の伸び率は1960年代は年率2.78%だったのが、最近は1.%台と下がってきている。単収の伸び率は鈍化し、収穫面積はあまり増加していない。また、砂漠化の進行や鶏インフルエンザなどの問題もある。人口は増加し、穀物の消費は増えるが生産が増え続ける保証はない。

国連の推計によると、世界では約8億人、全体の12.9%、約9人に1人が栄養不足で、発展途上国では5才になる前に死んでしまう子供の数が年間約500万人にのぼっている。
そうした中で日本は大量の食料を輸入しているが、日本の食品ロスは年間約621万トンという試算がある。国連が世界全体に年間320万トン食料援助をしているが、日本の食品ロスはその約2倍で、国民1人あたりにすると1日134g、だいたい茶碗1杯の量を捨てていることになる。
                                                                
食品ロスの発生には、いろんな要因がある。たとえば、製造、卸、小売りという段階で言えば、作っても消費者までわたらずに捨てててしまうロス。外食では、材料を仕入れて余らせてしまうロス。宴会などで食べられずに捨てられるロス。家庭では冷蔵庫からしなびた野菜が出てくるといったロス。また、日本は、世界から大量の農産物を輸入し、世界の農地をたくさん使って、世界には飢えている人がたくさんいる中で大量の食品ロスを出しているという実態を知っていただき、それぞれの立場で協力しながら食品ロスの削減に取り組むことが重要である。フードチェーン全体でロスを減らすための取組を進めフードバンクの活用をするといったことも必要である。

環境に配慮した循環型社会形成のために循環型社会形成推進基本法が定められている。その中の食品リサイクル法では、まず食品廃棄物の発生抑制を優先して取組み、次に飼料、肥料の順に再生利用するということを定めている。また、食品関連事業者には、業種ごとに再生利用等の実施率目標を定めて取組を推進している。
                     
フードバンク活動は、まだ食べられるのに廃棄される食品を、必要としている人に提供する取組。近年、その活動は広がりをみせ、2013年には約4525トンの取扱いがあり、60から70団体がその活動に取り組んでいる。
この他、食品関連事業者からの食品ロスをリサイクル業者が肥飼料にし、農業者がその肥飼料を使用して作った農畜産物を食品関連事業者に販売するという食品リサイクルループの取組も推進している。
                         
食料・農業・農村白書からの話題を紹介すると、食料の消費は横ばいであるが、エンゲル係数が上がっている。 エンゲル係数は消費全体に対する食費の割合で、上がる場合は我が国は貧困化しているということになるが、現状は必ずしもそうではない。高齢化が進むと食料以外の消費が減り、単価の高い物を食べるようになるためエンゲル係数が上がってきている。また、共働き世帯やお年寄りの世帯で調理食品の利用が増加することでエンゲル係数が上がっている。

以上、農林水産省の立場から世界と日本の現在の食品の状況、食品ロスの事情について情報提供させていただく。

各方面からの講演

間 秀生 氏 (株式会社 関西スーパーマーケット 総務グループ 総務チーム シニアスタッフ)

食品の流通段階における持続可能性の取組

 

関西スーパーマーケットは、阪神間と奈良で計65店舗を展開する、地元密着型の食品スーパーである。
食品の流通段階における持続可能性の取組とは「それ、ほかしたら(捨てたら)もったいないやん」ということなのかなと思っている。食品ロスを減らす施策には3つの柱があり、「仕入れ、生産・製造の時点での発注・製造の工夫とコントロール(需要予測精度の向上)」、「食品リサイクルループ」、「フードバンクの活用」と考える。

店舗の工夫では「発注の工夫」、「製造の工夫」がある、これは店舗それぞれで事情も変わるので、その店々の担当者でやり方が変わる。そこで大きく左右してくるのが、経験値、天候、時間、地域、年齢層である。店によって様々なロケーションがあるのでそれを加味した上で販売をおこなう。たとえば、学生の街であると、総菜がよく売れ、お菓子も売れる、また、引越時期の4月の第1週目は雑貨が山ほど売れるというようなこともある。 

  間氏による講演の様子
     

また、天気ももちろんだが、「今日は忙しくなるだろうなぁ・・・」というざっくりした肌の感じ方の違いで、夕方たくさん作るとたくさん売れるというような経験値もある。
ただ、時には予想が外れ、商品が売れず、閉店間際まで値引きシールを貼り、数量を減らす事もある。「もったいない精神」では閉店前に何もない事は良いことだが、店舗の営業時間内は閉店まで品揃えが必要であり、そこでのバランス感が非常に難しい。
例えば、コロッケ1つ売るのに1つ置いても売れない、1つでは選べないし、買わない。1つ売るために3つ作り、残りを廃棄することも必要となる。
できるだけ閉店に向けて廃棄しないように努力し、値下げ等で販売をするが、ある程度は残す必要があり、お客様に満足いただくための品揃えであることを理解いただきたい。

鮮魚、精肉、野菜なども、できるだけ残り物が出ないように工夫している。
営業する上では、商品としての食品ロス以外にお客様にお渡しすることの無い「魚アラ」「牛脂」などの食品廃棄物は、店舗で集めてリサイクル業者に委託し再生利用している。
関西スーパーの食品リサイクル率は50%を超えている。また、リサイクルループの取組として、トリミングした野菜くずなどを店舗で集めて回収し、リサイクル業者により液体堆肥を製造し、氷上農協様協力の元、稲作を行い、そのお米を神戸市内の関西スーパーの1部店舗で販売している。野菜くず等を集めるのにあたっては様々なルールがあるが、基本的には人間が食べられるものを集め、堆肥にし、田んぼに散布をする。リサイクル堆肥は土を良くする役割を果している。

フードバンク活動は、フードバンク関西さんと4月に契約を交わし、少しお手伝いさせていただく状態になった。
本日は関西ス-パ-の取組を少しでもご理解いただけたら幸いである。 


浅葉 めぐみ 氏 (認定NPO法人フードバンク関西 理事長)

フードバンクって何

 

食べ物として、何ら問題のないものが沢山廃棄されている。その一方で困っている人も沢山いる。フードバンクは、企業や個人で使い切れない食べ物を寄付してもらい、支援を必要とする人達に無償で届けて使ってもらうボランティア活動である。フードバンク関西は2003年からこの活動を始め、専従職員がいない約70名のボランティア活動集団である。

日本で食品ロスが大量に発生する原因は、日本人は鮮度に神経質で、1日でも賞味期限の多く残っているものを買い求める傾向がある。商習慣で1/3ルールというのがある。賞味期間を1/3に区切って考え、卸売業者は最初の1/3までに小売業者に売らなければならない。越えると小売業者に買ってもらえない。その次の1/3、小売業者は、販売期間を設定し、過ぎると店の棚から下ろしてしまい、商品は廃棄となる。フードバンクにとっては、これらの食品の提供を受けるのはありがたいが、食品流通過程で、品質に問題のない食品が大量にロスとなる商い慣習が是正されないのは大きな問題だと考える。
日本には、約600万トンの食品ロスがあると言われている。年間20兆円くらい捨てていることになる。家庭から約10兆円分、企業から約10兆円分、企業からの食品ロス10兆円分は食品価格に上乗せされている。簡単ではないが食品ロスを減らせば食品価格は下がるかもしれない。

   浅葉氏による講演の様子

先進国は、大量に穀物を買い付け、加工食品を大量生産し、大量に食品を捨てている。捨てる分を生産から減らせば、原料の穀物を買う量が減り、穀物相場価格が下がるだろう。後進国や発展途上国などのお金のない国も価格が下がれば穀物をより多く買うことができるようになり、国民の栄養状態の改善を図ることが出来る。世界の栄養不足人口は、約8億人と言われている。アメリカ一国の食品ロスを約8億人の人達に分けると、全部栄養失調状態を脱却することができるそうである。「もったいない」だけの問題ではない。地球全体の問題である。

フードバンク活動が始まったのはアメリカで、1960年代にアリゾナ州の牧師が始めた。アメリカでは今200団体以上のフードバンクが活動し、食品ロスを約200万トン減量することに成功している。EUには80年代にこの活動が伝わり、主に環境問題としてとらえられている。2016年2月フランスで「エネルギー転換法」という画期的な法律ができた。それは、スーパーマーケットによる食品の廃棄が禁止され、売れ残りはフードバンク等に寄付が義務づけられている。さらに、賞味期限が長い商品は期限を印字してはいけないという。
韓国は、1998年にフードバンクの考え方が実践され、公的な「中央フードバンク」を作った。韓国全土に424カ所のフードバンクがあって、企業に対して余った食品はフードバンク等に出しなさいという法律を作り、食中毒が発生したときは国が賠償する制度をつくり、国策としての「フードバンク」になっている。韓国は世界の国の中で食品ロスが一番少ない国になっている。

日本では、2000年に東京のセカンドハーベストジャパンがフードバンク活動を始めた。現在、全国で約77団体のフードバンクがあるそうだが、全て合わせても4000トン位の食品取扱量しかない。日本の食品ロス全体量からすると氷山の一角にも達していない。
フードバンク関西は、兵庫県芦屋市に事務所を置き、年間の食品取扱量が約180トン。食品は納品期限切れ、販売期限切れや製造業者の「検品落ち」などの理由で捨てられていた品質に問題ない食品を企業から寄付してもらい集めている。

どんな商品を扱っているかだが、例えば、スモークが「まだら」になった「スモークチーズ」、製造工程で皮が剥がれた「豚まん」、箱が壊れた「レトルトカレー」、輸入検疫時に開封された「鶏肉の唐揚げ」「焼き鳥」、受注量に波がある「パックサラダ」。売れ残った野菜や果物、3月3日の夜に棚から下ろされ返品された「ひなあられ」、販売期限切れの様々な食品、袋が破れたり販売期限を過ぎ、ディスカウントして売れ残った「お米」などである。パンは消費期限日に引き取って、その日のうちに福祉施設に運んでいる。

それらの食品の使われ方には4つある。
1つ目は、年間取扱量の8割程度が福祉施設等への食糧提供である。
2つ目は、生活保護を受給できるまでの期間あるいは保護に至らないが緊急食支援が必要となった市民への支援食糧を行政担当者を通じて渡す活動。
3つ目は、母子への生活支援しているNPO2法人、フードバンク関西、衣服を扱っているNPO法人、四者が協力して、危機的状況にある母子家庭に対し、「子ども元気ネットワーク」として食、衣服、教育を支援する活動。
4つ目は、「子ども食堂」支援。子ども食堂とは、共働きや片親家庭が増えた事に伴い、夜まで親が帰宅できない家庭の子ども達を地域で支えようと、地域のボランテイアが温かいご飯を作り、みんなで一緒に食べ、団欒の時間を一緒に過ごそうという地域の子育て活動である。フードバンクは必要な子ども食堂に食材の支援をしている。

フードバンク活動を長期継続するためには、食糧の確保と運営費の確保が必要である。ところが、日本にはフードバンク活動を支える法律がない。アメリカでもEUでも韓国でもフードバンク活動を支える法律があり、EU、アメリカでは運営費の1/3は公的支援、韓国では全額の公的支援が出来ている。そういう意味では日本は後進国と言わざるを得ない。
困難な状況にある人には、お金よりも食べ物を渡すのが非常に有効な支援になる時がある。そのようなことから、フードバンク活動は日本でもっと拡大・発展しなくてはならないと思う。企業には食品の提供をお願いしたい。市民の方は賛助会員としてフードバンクをサポートして欲しい。フードバンクは、皆さんに喜ばれるやりがいのある活動なので、機会があればボランティアとして参加して欲しい。


園田耕一 氏 (株式会社 近江園田ふぁーむ 代表取締役)

食品資源の循環「食の一巡」命の源「土づくり・作物づくり」!

 

「近江園田ふぁーむ」は、近江八幡市を拠点とし、2市15集落の地主から田んぼを預かって「借地農業」を行っている。11名で総面積194ヘクタールを栽培し、米が78ヘクタール、大豆が60ヘクタール、麦が56ヘクタールである。

「当社の基本姿勢」は、地主の皆さんに「一つ上の満足を届けたい」と思っている。生きた土が生命を育むとし、有機堆肥を利用した農業を行っている。「田作りは畔作り」とし、琵琶湖に濁水を流さず、人間が食するもの以外は農地に返し、草は草で抑える目的で「リュウノヒゲ」を畔に植栽して畔を保護している。
このようにしていると「わしらが作っているときより良いものを納めてくれる」と評判になって、「この思いを消費者にも届けたい」という気持ちになり、「えんこう米」という名前を付けて消費者に届けるようになった。32歳の時に脱サラして就農、2002年エコファーマーに認定、2003年環境こだわり農産物に認証されている。2004年に食品廃棄物堆肥の栽培テストを行い、翌年に循環農業として企業で食品残さを堆肥にしてもらい、当方で堆肥を調整し、農地に投入し、収穫物は企業の食堂に納める事を始めた。2008年には「えんこう米」を商標登録し、2013年に法人化した。2015年には「フードリサイクルエコ農法」として、立命館大学と提携するようになり、「フードリサイクルコンポスト」を使った農法をできるだけ早く確立したいと考えている。 

   園田耕一氏による講演の様子
 

福祉施設・総合医療センター、養護学校、ビジネスホテル、企業社員食堂の8カ所から15トン程の堆肥の生成物を引き取って、作った農産物を納品している。食品ロスの堆肥化は、企業から引き取った堆肥の生成物を異物除去、混合調整、米ぬか・糖蜜等の投入、計量、ドラム缶に容器詰め等を自社ハウス内で行い1月まで保管し、2~3月に圃場に投入している。

苦労したことは、肥料の散布時に風が吹いて隣の圃場に飛んだ量の方が多かった事や、散布した圃場に集まったカラスに近くの圃場が被害を受け、近隣の農家から相当叱られた経験がある。排出者は当初、食品残さは産業廃棄物としていた経緯があり、割れた茶碗、スプーンや割り箸などが入っていたこともあるが、今はない。現在、企業から糖蜜が集まってきており、堆肥散布時に飛散しないよう水分調整のために使っている。

そのようにして栽培された米を「えんこう米」として販売している。毎年食味値、食味テストを行っているが、食品リサイクルの堆肥を利用した米は、食味値が平均80以上90台も記録している。一般は平均72と聞いている。この米は、食品リサイクルに取り組んでいる企業の社員食堂やホテルに納めている。

「他団体との連携」ということで、日本食品リサイクルネットワークに仲立ちいただき、処理機の販売業者、立命館大学での土壌分析、地元の市民団体が行っている幼稚園や小学校でのゴーヤ栽培にコンポストの提供、小学校が行っている体験学習の受け入れ、ホテルで使用した割り箸で炭作りし、堆肥に加えている。また、滋賀県の「環境こだわり会員」は施設見学やご飯食べ比べ、大阪の「消費者クラブ」は田植え体験などを行っている。

「立命館大学との共同研究」では、化学肥料・農薬で作られた土壌は1~2億の微生物が生息している。大学では6億以上微生物が生息している土壌を「SOFIX(土壌肥沃度指標)農産」として認定していこうとしている。大学で土壌分析してもらった結果、当社の圃場は27年度の計測時は10億7千万、28年度には24億となった。大学からも「6億以上なら生きた土壌の圃場」とのこと。結果、農薬も減らせ、安全な農産物作りができていると思っている。

関西消費者クラブの方々と田植え体験、草刈り体験なども行っている。また、地元の中学2年生の職場体験で、毎年7~8名の生徒を受け入れて農業体験も行っている。さらに、「食の一巡」ということで、小学生や園児に給食の食べ残しを段ボールコンポストで堆肥化し、大根やゴーヤの種を蒔き育て、自分たちで食べて、食の一巡や命の大切さを学んでもらっている。

当社の取組に関心がある方が県の内外から大勢視察に来て下さる。この方々と食品残さ堆肥の利用方法を考えて行こうと思っている。一般の方々にも広げたフードリサイクルエコ農法を確立したいと考えている。堆肥のペレット化も考え、糖蜜を活用したいと考えている。

当社は現在11名体制で稲作を78ヘクタール行っているが、100ヘクタールへ拡大し、一人当たりの生産量をアップさせたい。しかし、省力はしても省略はしない。
今後の課題は、食育の「安心・安全」の数値化、産・官・学の連携と共同研究を進め、後継者の育成も行いたい。

行政へのお願いは、環境保全型農業の枠に食品ロス堆肥の利用の取組も含めて欲しいこと。
また、食品ロス・エコ堆肥が不足している。多くの方々に協力してもらい食品ロスの堆肥を田んぼに戻したい。食品ロスも廃棄・焼却せずに一手間かけて堆肥にしたら圃場に微生物が生まれ、食味が上がり、農薬も減らせ、素晴らしい資源になると思う。



パネルディスカッション

コーディネーター:辻 由子 氏(奈良県生活協同組合連合会 専務理事)
パネリスト         :情報提供及び講演各氏

『安心な食生活を送るために私たちにできること』

 

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
  30年近く生協で様々な活動を行い、食の安全安心の活動を中心に行ってきた。地球上では貧困、自然災害、飢餓人口が増大する一方、日本では大量消費大量廃棄を行っている。生協としても流通事業を営んでいる責任があり、倉庫管理の問題、廃棄の回避、食品の有効活動なども考えていきたいと常日頃感じている。食品ロスは世界的な課題であり、消費者も事業者もそれぞれに解決に向けた問題意識を持つ必要がある。
これまでのパネリストの報告を簡単に整理させてもらう。
株式会社関西スーパーマーケットからは、スーパーの裏側、品揃えと食品ロス削減の苦労について詳しく説明があった。
認定NPO法人フードバンク関西からは、食品ロスの発生要因だとか、海外の状況なども情報提供いただいた。食品企業の余剰食品を必要とする人達に提供していくという志と、関係主体の協働なくして成り立たない取組だと感じている。そのようなフードバンクの事業について説明があった。
株式会社園田ふぁーむからは、食品ロスの生成物が堆肥として土に還元され、収穫物として食卓に戻ってくるという持続可能な食べ物の一巡ができているという取組であった。消費者、事業者、教育現場、市民団体の方など様々な立場の方がこのグループの輪に参加しているという説明があった。
3者の取組は、先進的なことを進めるには苦労も絶えないと思うが、それはどのような点であったり、どう克服していったのかをそれぞれ伺いたい。

   辻由子氏による講演の様子
    

(関西スーパーマーケット 間氏)
苦労は、先ほど話した我々の思いと消費者の思いに若干のすれ違いがあること。また、廃棄物として処理するよりもリサイクルループ等で堆肥処理を行なう方が、処理料金が高くなり、簡単にまた積極的に堆肥化を進めていくことが難しく感じる。

(フードバンク関西 浅葉氏)
苦労しているのは、食べ物を集めること。渉外担当ボランティアが、企業を100社訪問しても会ってくれるのは20社程度で、そのうち話しが前に進むのが1社。企業はリスクを考え、なかなか話しが前に進まない。余剰食品をフードバンクに出す合理的な筋道(法律)を作って欲しいと思う。今は「寄付」しかない。余剰食品、検品落ちのようなものはフードバンクや福祉団体に寄付しても良いなどの特例をつくって欲しい。法律に記述があると企業の対応が全く違ってくると思う。

   パネルディスカッションの様子
 

(近江園田ふぁーむ 園田氏)
苦労は、カラスに田畑を荒らされたこと、堆肥の施用でガスが発生したなどで苦情をもらったが、東京農大から指導を受け、ほぼ克服できたように思う。

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
それぞれ苦労されていると思うが、食品ロスを発生させないのが経営上望ましいということになる。そのために企業として消費者に望みたいことがあれば一言願いたい。

(関西スーパーマーケット 間氏)
当社には、いつ行っても同じ商品が同じ鮮度で販売されているという、安心安全の品揃えをしたいという思いがある。早く行かないと売り切れてしまう…これもやり方の一つではあると思うが、当社はそうでは無い。営業時間中にはしっかりとした品揃えが必要であり、そうでない場合はお客様にお叱りを受けることがあることもご理解いただきたい。 

 パネルディスカッション会場の様子
 

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
品切れと品揃えもいたちごっこかと思う。
浅葉様から説明があったように消費者の鮮度志向がある。棚の奥からむやみに新しい物を取り出す消費者がいるので、どうしたらよいかと常々考える。そのような行為はお店に過度な負担をかけたり、食品ロスを発生させてしまう。フードバンクは、現場で感じていることはどのようなことか。

(フードバンク関西 浅葉氏)
私たちの一番根本的なモチベーションは、「食べ物は命の糧、食べ物自体も生命そのもの」ということ。米は「稲の種」、ソーセージは豚肉で「豚の命」だった。その意味からも、食べ物は余ったから捨ててしまってよいものではない。だから今捨てられているものを少しでも減らす方向で、余っているところから困っているところに運ぼうというのが私たちのモチベーションである。

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
園田さんも食べ物を「命の恵み」としてとらえていると思うが、それをリサイクルループで循環している。それは地域との協力が欠かせないと思う。カラスの問題、苦情など近所との関係は克服できているのか。

(近江園田ふぁーむ 園田氏)
地域の方と接し、生ゴミの堆肥を使用している件を伝えながら、「1年だけ何とか堪えてもらえないか」とお願いすると「様子を見ようか」と温かい声もいただき、12年間続けさせてもらっている。

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
消費者が、皆さんの努力や志を理解し、食べ物を無駄にしない取組が進んでいる事を踏まえれば、もう少し賢く行動しなければならないと感じる。食べ物を無駄にすることなく安心でより良い食生活を送るために消費者や関係者に求めたいことがあればお願いしたい。

(農林水産省大臣官房広報評価課 阿部課長補佐)
農林水産省は「食育白書」を出しているが、色々情報提供を行う必要がある。
個人的意見だが、食と農の現場の距離が開いてしまっていると感じる。それはあまり好ましい状況とは言えない。そのため農業体験を進めていく必要があるかと思う。それが食に対する考え方、命をいただいて命をつないでいるということに結びつくと思う。
フードバンクの法的な話もあった。農林水産省は昨年11月「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」で企業から食の寄付を促すような手引きを公表し、応援しているところ。食品ロスを減らす取組についてもできることから進めて行きたい。

(関西スーパーマーケット 間氏)
これは個人の思いだが、我々が教えられた「いただきます」、「ごちそうさま」と、平成の子どもが食べるときのそれは若干違うような思いがある。良い意味でも悪い意味でも豊かになりすぎているのかと思う。我が家でも不要になれば、罪悪感を覚えず、すぐ捨てる、賞味期限が過ぎれば捨ててしまうことがある。個人個人がもっと気をつけて食の大切さを意識すべきではないかと感じる。関西スーパーでも食育を進めているが、食べるありがたさ「いただきます」、「ごちそうさま」を大事にすべきと考える。

(フードバンク関西 浅葉氏)
家庭からの食品ロスは、生ゴミ袋に入れられて焼却炉に一直線。途中でまだ食べられる物を救い出す手段はない。生ゴミ袋の中身を分析すると60%が調理ゴミ、17%が作りすぎ、あとの1/4が手つかずの食品。手つかずの食品のうち1/4が賞味期限が切れていない。毎年度調査をされているがほぼ同じ。
フードバンクとしては、「フードドライブ」という取組を行っている。町内でも学校でも仲良しサークルでも良いが、半年に1回とか自宅で使い忘れている食品を1度調べ、賞味期限が切れていない物は皆で持ち寄りフードバンクに寄付して下さいという取組。例えばお中元やお歳暮は自宅で使わないものが来ることもある。賞味期限が切れ、仕方なく捨てることも多い。自宅に眠っている食品をゴミ袋に入れないで、フードドライブとして食べ物の値打ちを発揮できるよう是非取り組んでいただきたい。

(近江園田ふぁーむ 園田氏)
我が国の肥料資源は殆ど0とされ、海外からの輸入に頼っている。しかし、唯一600万トンという食品ロスがある。その生ゴミが工夫によって宝の山(堆肥)になるように感じている。それを散布することによって微生物が育てた美味しく農薬も少ない安全な農産物が皆さんに届けられる。農業者としてはできるだけ安心安全なものを皆さんに届けたい。焼却処分するよりは堆肥化は高くなると聞いたが、一気に大量の堆肥を作って欲しいと言うつもりはない。コンポストなどを利用して自宅の食品残さを堆肥化し、植木であったり家庭菜園などで利用して欲しい。

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
私は以前、食品残さを自宅の庭に埋めていたが、いつの間にか土になっていた。それでも良いと思っていた。それは、土になっただけで食べ物に還元されていない。
話しは戻るが、生産の現場、農業の現場を消費者はあまりにも知らなくなってきている。食べ物を作る現場を見て感じることができれば、捨てたりすることも少なくなるし、土に戻せばまた食べ物になる。それが食育になると感じた。地域での取組が進むように思う。
様々な話題を提供してもらったが、どうしても伝えたいことがあれば一言お願いしたい。

(農林水産省大臣官房広報評価課 阿部課長補佐)
農業白書及び食育白書に色々な事例が示されている。農林水産省のホームページに掲載されているので、ご覧いただき「食育」を考える第一歩にして欲しい。

(フードバンク関西 浅葉氏)
フードドライブについて、フードバンク関西のホームページから問い合わせをもらったら、どうやったら良いかなどフードドライブ用のパンフレットやチラシを準備しており、提供することができる。それぞれのグループ・団体で取り組んで欲しい。

(奈良県生活協同組合連合会 辻氏)
時間の制限があるので、論点をまとめたい。
世界の中で約8億人の人が飢えている状況の中、日本の食糧自給率は4割を切っており、大半の食料を外国から輸入しなければならない。この状況で大量の食品ロスが発生している。一方では個人や団体の努力で食品ロスの削減、リサイクルの取組が進んできている。しかし、これには大変な苦労・コストがかかる。まずは食品ロスの発生抑制が先決である。
その中で重要になるのが、消費者の問題意識である。「もったいない」という言葉を意識しながら、消費者一人一人が主体的に行動するのが大切だと思う。それにはフードバンクへの寄付の取組もあるが、まずは食品ロスの削減が必要。まずは生活を見つめることが必要。過剰に野菜などの皮をむきすぎるとか、賞味期限が来たらすぐ捨てる、賞味期限が切れていないのに捨てるなどの無駄が私たちの生活にはかなりある。作り過ぎて食べ残すことも行っている。消費期限と賞味期限の違いも理解し、賢く活用することも必要。行き過ぎた鮮度志向も少し考え直す必要もある。消費者自身の問題意識、意識改革が必要。
一方、フードバンクを支える法的な整備とか、事業者も工夫の余地があるような気もする。消費者と事業者の双方向のやりとりができていれば、消費者も無駄に新しい商品を選ばない。そのような取組を行えば良いと思う。
消費者は、広く生産現場、国際社会、世界の経済状況にも目を向けて、食料事情・経済環境を思いやるという幅広い視点から倫理的な選択ができるようになりたい。消費者自身がもっと勉強し、一人ではなく共に協力しながら賢い消費者になって行ければと考える。
今日集まっていただいた方も、今日の晩ご飯から作りすぎず、残さず食べきることを取り組んでいただきたい。

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