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南大隈町バイオマスタウン構想

 
1.提出日 平成17年6月30日
2.提出者 鹿児島県南大隅町役場企画課
担当者名:企画課 係長 田中 輝政
〒893-2501
鹿児島県肝属郡南大隅町根占川北226
電話 :(0994)24-3111
FAX :(0994)24-3119
Mail : kikakuka@town.minamiosumi.lg.jp
3. 対象地域 鹿児島県南大隅町
4. 構想の実施主体 鹿児島県南大隅町
5.地域の現状  
経済的特色: 産業別就業者数は第1次産業36%、第2次産業20%、第3次産業44%となっている。第1次産業については、就業者数が減少しているが、肉牛6,570頭、豚68,600頭、ブロイラー353千羽を有するため、人口の減少と高齢化が進んでいる一方で、産業別純生産は農業分野が最も大きくなっており、全体に対する農業分野の比率は全国、鹿児島県平均を上回っている。
社会的特色: 人口は年々減少の傾向にあり、平成12年には10,741人となっている。また、老齢人口が全体の37%を占めており、高齢化が進んでいる。
環境問題について南大隅町では早くから新エネルギーに取り組んでおり、旧根占町、旧佐多町時に新エネルギービジョンの策定、中学校への太陽光発電導入や通学路への太陽光・風力発電の導入、また地元企業による大規模風力発電の設置など、環境問題への取り組みが盛んに行われており、南大隅町における環境問題への意識は高くなっている。
地理的特色: 南大隅町は日本本土最南端に位置し、総面積は213.59km2で田畑8%、山林81%、その他11%となっている。野首嶽から連なる肝属山塊が南北に走っており、町北部は2級河川の雄川が流れ、その流域に平地が開けている。町東南部は太平洋に面し、晴天日は種子・屋久島を遥かに望むことができる。
行政上の地域指定: 一部霧島屋久国立公園地域
平成17年3月31日に根占町と佐多町が合併し南大隅町が誕生。
6.バイオマスタウン形成上の基本的な構想
(1)地域のバイオマス利活用方法
  ・バイオマスの収集・輸送・変換・利用の概要
   【収集・輸送方法】
  ・家畜排せつ物については、各事業者の持込み。
・生ごみ・紙・可燃ごみについては、完全な分別による清掃回収車の持込み。
 (ビニール系ごみの完全除去)
・廃食油については各事業者の持込み、家庭用廃食油については収集。
・浄化槽汚泥は処分場へ運搬している分を汚泥収集車にて乾式メタン発酵施設へ搬送。
・製材工場等残材についてはベネフィット森林資源協同組合、製材業者等からの持込み。
・稲わら、もみがらについては処理希望農家による持込み。
   【変換・利用方法】
  ・家畜排せつ物(牛・豚・鶏糞尿)は一部たい肥化、残りの家畜排せつ物および生ごみ、紙等の可燃ごみ、浄化槽汚泥については乾式メタン発酵による変換熱利用と炭化物の製造。
・廃食油については、バイオディーゼルフューエル(以後:BDF)を製造し、グリセリンを乾式メタン発酵システムに投入し、メタン発酵の促進材とする。このBDFはディーゼルトラック、耕運機など農業用の機械設備に活用する。
・製材工場等残材については、木質ペレットに加工し、冷暖房・発電機のエネルギー源とする。また、一部はチップ化して乾式メタン発酵システムの水分調整材としても活用する。
・稲わら・もみがらは、乾式メタン発酵システムの水分調整材として活用する。
・ 定量的なバイオマスフローやエネルギー収支などの利活用の全体像
 (別紙1 バイオマス資源の利活用フロー図)
・施設設備の規模・概要、副産物の処理
   【乾式メタン発酵システム】
  家畜排せつ物・生ごみ等の有機性廃棄物をメタン発酵させた後、発酵残渣を炭化処理することで、バイオガスと有価物(炭化物)を回収する。ここで得られたバイオガスはボイラーと発電機で熱と電気に変換し、プラント内で利用、もしくは他施設への供給や売電等を行う。メタン発酵残渣物から炭化物が創製されるが、土壌改良材等として利用し、農産物の収量増加ができる。
   【BDF製造システム】
  町内から発生する廃食油よりBDFを製造する。反応により侠雑物(きょうざつぶつ)として粗製グリセリンが発生するが、乾式メタン発酵に投入することによりメタンガスの発生量を増加させることができる。このことはゼロエミッションを目標とする完全な地域資源循環型資材となる。
   【木質ペレット製造システム】
  木片の粉砕物を直径6?8mm程度の円筒形に成形固化し、これを燃焼させて冷暖房、発電機のエネルギー源とする。残渣物として発生する微細な木くずは土壌改良材、乾式メタン発酵の水分調整材として利活用できる。
(2)バイオマスの利活用推進体制 
 ・地域の協議会等の推進体制(別紙2)
 ・関係者間の役割分担(コストや役務の負担、施設運営主体等)
    別紙2に示す南大隅町バイオマス推進協議会構成団体の役割
  ◎南大隅町・・・地域住民及び各事業者とのパイプ役。
  ◎鹿児島大学・・・バイオマス有効利用に関する技術的助言・監修
  ◎九州経済産業局・・・バイオマスに関する各種補助制度の紹介、技術的助言
  ◎鹿児島県・・・バイオマスに関する助言・指導
  ◎鹿児島県工業倶楽部・・・南大隅町においてバイオマス有効利用施設の事業化を検討
  ◎県工業技術センター・・・地元事情に則した技術的助言
  ◎南州農場・・・家畜排せつ物の提供、バイオマス利用調査への協力
  ◎地域生協・・・バイオマス由来のたい肥を用いた農作物の販売、各店舗にて発生している廃食油の提供
  ◎ベネフィット森林資源協同組合・・・製材屑等の提供、バイオマス利用調査への協力
  ◎鹿児島きもつき農業協同組合・・・地域農業関係者とのパイプ役、生成物の利用促進
(3)取組工程
 ・平成10年度 根占町地域新エネルギービジョン策定等事業 
 ・平成11年度 佐多町地域新エネルギービジョン策定等事業
  (バイオマス賦存量、利活用方法について調査)
 ・平成16年度 バイオマスタウン構想の発足
 ・平成17年度 南大隅町誕生、バイオマスタウン構想の申請
          バイオマスの賦存量、収集、利活用、処理について調査をするため、NEDOの新エネルギービ
          ジョン策定等調査[重点テーマに係る詳細ビジョン調査(バイオマスに係るもの)]に申請
 ・平成18年度 メタン発酵プラントの詳細設計(メタン発酵を優先)
 ・平成19年度 メタン発酵プラントの建設、ペレット・BDF製造システムの詳細設計
 ・平成20年度 バイオマス循環システムの稼動(メタン発酵プラント)
          ペレット・BDF製造システムの建設
 ・平成20年度以降 ペレット・BDF製造システムの稼動
(4)その他(別紙3、4)
 別紙3は南大隅町の目指すバイオマス循環型社会の理想形を表している。今回は理想の段階だが、菜の花を食用油用に栽培し、利用後の廃食油をBDFとして利用することをバイオマス油田として表現している。
別紙4は上段に屋久島における乾式メタン発酵のパイロットプラントのフローシートを示している。現在、屋久島ではバイオマス循環の実証試験が行われている。畜産業の盛んな南大隅町では規模を拡大し、実用化を目標に取組んで行く。
下段はバイオマスの利用による化石燃料の消費量削減、それに伴う雇用の創生、リサイクルによるゼロエミッション、自動車・家具・電化製品等の共同利用やレンタルシステムによる耐久消費財化をすることによる、持続可能な南大隅町を含む大隅半島の姿を示している(鹿児島大学が提案)。南大隅町はこれらの形を現段階でのバイオマスタウンの最終形として、関係各機関・団体と連携し取組んで行く。
7.バイオマスタウン構想の利活用目標及び実施により期待される効果
(1)利活用目標  南大隅町におけるバイオマスの賦存量は170,854t/年、炭素量換算で11,027t-c/年あると想定される。バイオマス資源の収集・運搬、エネルギー変換、利用における損失を考慮し、町内に賦存する廃棄物系バイオマス資源の炭素量換算の90%以上、未利用バイオマス資源のうち稲わら及び籾殻を炭素量換算で80%以上を利活用し、南大隅町の全エネルギー消費量に相当する量を利活用目標とする。
【利活用目標】  
● 廃棄物系バイオマス・・・ 90%以上 9,402-c /年以上

(2)期待される効果
 家畜排せつ物・製材工場等残材・廃食油の有効利用による化石燃料消費の削減、また農林業分野の活性化だけでなく、バイオマスの有効活用がもたらすCO2削減効果が大きい。
 メタン発酵により発生した炭化物などの有価物を利用した農作物を販売するにあたり、'新エネルギーを利用した商品'としてブランド化を図り、現在までに太陽光発電、風力発電と新エネルギーに取り組んできた南大隅町を新エネルギー導入先進地として町内外にアピールすることが可能である。
8.対象地域における関係者を含めたこれまでの検討状況

○鹿児島大学及び(社)鹿児島県工業倶楽部
 鹿児島大学(藤田 晋輔 農学部名誉教授)と(社)鹿児島県工業倶楽部は平成16年度より連携をとり、大隅半島におけるバイオマスエネルギーの有効利用について研究を進めている。具体的には、家畜排せつ物・製材工場等残材の利活用方法の調査、事業化の検討を行ってきており、家畜排せつ物のメタン発酵を軸として、製材工場等残材や廃食油の利用を考えている。今回、主に家畜排せつ物の処理に困窮していた南大隅町と目的が一致し、協力していくこととなった。(社)鹿児島県工業倶楽部によるバイオマス有効活用施設の事業化も視野に入れ、最適な事業導入方法やバイオマス利用法を検討していく。

○町の取り組み
 旧根占町は他の市町村に先駆けて平成10年度に根占町地域新エネルギービジョンを策定し、その後の根占中学校への太陽光発電の導入や太陽光・風力発電ハイブリッド灯の導入を行っている他、平成15年度には地元企業による大規模風力発電所(根占発電所)の設置が行われるなど、先駆的な新エネルギーへの取り組みを行ってきた。今後は町の産業の一つである畜産を活かしたバイオマスエネルギーの利活用について、検討を行おうとしている。
また、旧佐多町においても平成11年度に佐多町地域新エネルギービジョンを、平成14年度には佐多町地域省エネルギービジョンを策定するなど新エネ導入・省エネ化に取組んでいる。
平成16年度には大規模風力発電所(佐多発電所)が操業を開始しており、南大隅町として環境問題への先駆的な取り組みがされている。
9.地域のバイオマス賦存量及び現在の利用状況

バイオマス

賦存量

変換・処理方法

仕向量

利用・販売

利用率

(廃棄物系バイオマス)

168,826t/年

 

 

 

53%

牛排せつ物

47,961t/年

たい肥化

33,570t

たい肥

70%

豚排せつ物

96,040t/年

たい肥化

48,020t

たい肥

50%

鶏排せつ物

17,650t/年

たい肥化

8,825t

たい肥

50%

一般ごみ

(生ごみ・可燃ごみ)

1,355t/年

焼却処分

1,355t

なし

0%

廃食油

(全国平均からの推計値)

35kL/年

なし

0%

浄化槽汚泥

 4,514t/年

焼却処分

?

なし

0%

製材工場等残材

1,271t/年

燃料・たい肥化等

  636t

たい肥・敷料

50%

(未利用バイオマス)

2,028t/年

 

 

 

0%

稲わら

1,639t/年

0%

もみがら

389t/年

0%

10.地域のこれまでのバイオマス利活用の取組状況
(1)経緯
 平成3年度、旧佐多町においてメタン発酵施設、消化ガス発電・熱供給システムの検討が行われたが、事業化には至らなかった。その後、旧根占町、旧佐多町において平成10年度、11年度に地域新エネルギービジョンを策定し、家畜排せつ物エネルギーが180,215百万kcal/年あるということが確認された。現在家畜排せつ物はたい肥化されているが半分程度しか利用されていないのが現状である。エネルギー源としての利用方法については技術が確立しつつある現在の段階での検討が必要と考えられていた。

(2)推進体制
 平成16年度においては、新エネルギーの一つである家畜排せつ物エネルギーの有効利用方法や、事業化に向けて協議(鹿児島大学、鹿児島県工業倶楽部、旧根占町)を実施した。

(3)関連事業・計画
 ・事業としては南州農場のたい肥化施設にて、場内発生の家畜排せつ物の全量たい肥化を実施しているが、
  約50%のたい肥が未利用となっている。
 ・平成3年度 旧佐多町にてメタン発酵施設、消化ガス発電・熱供給システムの導入の検討
  →採算が合わなかったため、予算化出来ず。今後現在の技術での再検討を実施予定。
 ・平成10年度 旧根占町地域新エネルギービジョン策定
 ・平成11年度 旧佐多町地域新エネルギービジョン策定
 ・平成14年度 旧佐多町地域省エネルギービジョン策定
  →これらのビジョン策定により、新エネルギー導入・省エネルギー化の気運が高まり、後の太陽光発電導入
   や、ウィンドファーム誘致等に至る。

(4)既存施設
 ・南州農場の家畜排せつ物たい肥化施設
  現在たい肥化をしているが、利用率が約50%程度しか無い。今後メタン発酵により発生した生成物を付加
  価値の高い炭化物にすることにより利用率を高めることを目標とする。

(別紙1)バイオマス資源の利活用フロー図
(別紙2)
【地域の協議会等の推進体制】
【事業実施体制】
(別紙3)
(別紙4)

お問い合わせ先

経営・事業支援部事業戦略課
担当者:バイオマス事業係
代表:096-211-9111(内線4389)
ダイヤルイン:096-211-9345
FAX:096-211-9825

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