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フランス共和国産りんご生果実に関する植物検疫実施細則

  植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)別表2の付表第31に掲げるフランス共和国産のゴールデンデリシャス種のりんごの生果実に係る植物検疫の実施については、平成9年9月10日農林水産省告示第1417号(以下「告示」という。)で規定するもののほか、この細則に定めるところによる。
 
1  生産地域
(1)告示1のフランス植物防疫機関(以下「フランス機関」という。)が、適切な時期に火傷病の発生の有無に関する調査が行われている地区として指定した地域(以下「指定地域」という。)は、次の条件を満たすこと。
ア フランス機関が火傷病が発生していないと認定している地域(以下「保護地域」という。)内にある場合
(ア)りんご以外の火傷病菌の寄主植物がないこと。
(イ)フランス機関により幼果期及び収穫期において各1回行われる実地検査の結果、火傷病の発生がないこと。
イ 保護地域以外にある場合
(ア)りんご以外の火傷病菌の寄主植物がないこと。
(イ)指定地域の周囲に500メートル以上の幅の帯状に緩衝地区が設置されていること。
(ウ)フランス機関による開花期、幼果期及び収穫期において各1回行われる実地検査の結果、指定地域及び緩衝地区に火傷病の発生がないこと。
(エ)暴風雨、降雹等があった場合には、それが(ウ)の検査の実施の直前である時を除き、別途フランス機関により実地検査が行われ、その結果、指定地域及び緩衝地区に火傷病の発生がないこと。
(2)指定地域は、毎年、当該指定地域におけるりんごの収穫開始前に、フランス機関により一覧表に取りまとめられ、植物防疫官あてに提出されるものとする。
(3)植物防疫官は、毎年、指定地域について、当該指定地域におけるりんご生果実の収穫期に、フランス機関と共同して確認調査を行うものとする。
(4)指定地域の条件を満足していないことが判明した地域については、指定が取り消されるものとし、その旨植物防疫官あてに通知されるものとする。
 
2  収穫用の容器
告示1の生果実の収穫には、使用前に次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で消毒が行われ、日本向けの表示がなされた専用の容器を用いること。
 
3  消毒施設
告示4の生産地における消毒のための低温処理施設及びくん蒸施設は、次の条件を満たしているものとする。
(1)低温処理施設
ア 部屋ごとに±0.6℃の精度で所定温度に保持できるものであること。
イ 部屋内の温度(冷却風の入り口及び出口の2か所)及び果実内の温度(部屋中央の積荷の中心部及び最上部の角並びに冷却風の出口付近の積荷の中心部及び最上部の角の4か所)について外部から随時確認できる自動温度記録装置を有すること。
(2)くん蒸施設
ア くん蒸中一定のガス濃度を保持しうる気密性を有するものであること。
イ くん蒸施設内のガス濃度を外部から測定できる構造であること。
ウ くん蒸施設内のガス濃度を均一にする装置及び消毒終了後速やかにガスを排出する装置を有するものであること。
エ 臭化メチルの投薬装置が設置されていること。
 
4  こん包及びこん包場所
(1)こん包
告示6の(1)のこん包には過去に使用されていないこん包及びこん包材料を使用するものとし、通気孔を設ける場合には、次のいずれかの条件を満たしているものとする。
ア こん包に収納する前に生果実をポリエチレン製の包装材料で包み込んでいること。
イ 通気孔に網(孔の直径が1.6ミリメートル以下のものに限る。以下同じ。)が張られているものを使用すること。
(2)こん包場所
告示6の(2)のこん包場所は、次の条件を満たしているものとする。
ア 窓等の開口部にはすべて網が張られている等、チチュウカイミバエ及びコドリンガの侵入を防止するための設備があること。
イ 消毒済みのりんご生果実の専用のこん包場所であること。
ウ 使用開始前に内部が殺虫剤で消毒及び清掃され、さらに、必要に応じて消毒が行われること。並びに使用開始前及び必要に応じて内部を次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で消毒されること。
(3)こん包前の生果実の移動
こん包前の生果実を一時保管する場合並びに低温処理施設、くん蒸施設及びこん包場所の間で移動させる場合には、チチュウカイミバエ、コドリンガ及び火傷病の再汚染を防止する措置を講じること。
 
5  消毒施設及びこん包場所の調査
(1)植物防疫官は、消毒施設及びこん包場所について、それぞれ3及び4の(2)の条件を満足するものであることを確認するため、当該施設及び当該場所の使用開始前に調査を行うものとする。ただし、植物防疫官が必要と認めたときは、使用期間中においても随時調査することができるものとする。
(2)(1)の調査は、原則として、フランス機関が行う日本向けりんご生果実の消毒施設及びこん包場所の指定のための調査と共同して行うものとする。
(3)くん蒸施設の気密性の確認は、当該施設の内容積1立方メートル当たり臭化メチル10グラムを使用して空くん蒸を行い、48時間後における施設内空間の上、中、下3点のガス濃度を測定し、その平均測定値が使用量の70パーセント以上であることをもって行うこと。
 
6  検査及び消毒の確認
(1)告示5の消毒の確認は、次により、原則としてフランス機関と共同して、行うものとする。
ア くん蒸による消毒
(ア)告示4の(2)に定められた薬量、温度条件等の下に所定の時間くん蒸が行われたことを確認すること。
(イ)1回に処理する生果実の量がくん蒸施設の内容積の49パーセントを超えず、かつ、積付けがガスの濃度の均一化を阻害しないように行われたことを確認すること。
(ウ)くん蒸中は常時ガスの循環が行われたことを確認すること。
イ 低温処理による消毒
(ア)日本向け生果実の消毒は他の生果実と隔離されていることを確認すること。
(イ)予備冷蔵により生果実の中心部の温度が1℃以下であることを、部屋ごとに4か所以上の生果実について確認すること。
(ウ)(イ)の確認後、引き続き生果実の中心部の温度が50日間、1℃以下であることを確認すること。
(エ)消毒の開始直前に温度計の示度が正確であるかどうかを確認すること。
ウ 殺菌消毒
(ア)保護地域以外で生産された生果実について、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素濃度100ppm以上)に1分以上浸漬されたことを確認すること。
(イ)処理中、随時塩素濃度が100ppm以上であることを確認すること。
(2)告示5の検査の確認は、生果実のこん包数の5パーセント以上について、フランス機関が行う検査に立ち会い、検疫有害動植物(特にチチュウカイミバエ、コドリンガ及び火傷病)が付着していないことを確認すること。
(3)(2)の確認の結果、チチュウカイミバエ、コドリンガ又は火傷病が発見された場合には、それが付着した原因についてフランス機関と共同して調査し、その原因が判明するまでは以後の告示5の消毒の確認を行わないものとする。
(4)植物防疫官は、(1)により消毒が完全に行われたこと並びに(2)により検疫有害動植物が付着していないことを確認したときには、別記様式に必要事項を記入し、当該荷口を担当する植物防疫所に送付すること。
 
7  保管
6の確認を終了したこん包は、次の条件の下に保管されるものとする。
(1)保管場所は、日本向け以外の荷口と分離している区画であること。
(2)(1)の区画の管理責任者が定められていること。
(3)フランス機関により、定期的に保管状況について確認され、その状況が記録されていること。
 
8  輸入検査
(1)輸入検査は、輸入港において、当該生果実及び添付されている植物検疫証明書を確認することにより行うものとする。
(2)植物検疫証明書が添付されていない場合、告示5の植物防疫官による確認が行われていない場合、こん包又はこん包を積み込んだコンテナーに告示6の(3)の封印がなされていない場合若しくは告示7の表示がなされていない場合又はこん包が破損している場合には、当該生果実の廃棄又は返送を命ずるものとする。
(3)(1)及び(2)以外の輸入検査の手続及び方法は、規則及び輸入植物検疫規程(昭和25年7月8日農林省告示206号)によるものとする。
(4)チチュウカイミバエ、コドリンガ又は火傷病菌が発見された場合には、次により措置するものとする。
ア 当該荷口全量の廃棄又は返送を命じること。
イ チチュウカイミバエ、コドリンガ又は火傷病菌が付着した原因について、フランス機関と共同して調査し、その原因が判明するまでは以後の輸入検査を中止すること。


別記様式