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農林水産政策研究所

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クローズアップ研究者 田中 淳志


農林水産政策研究所 研究員(食料・環境領域)

専門: 森林政策、環境経済、渓流生態

これまでどのような研究に取り組んできたのですか?

学生時代までは、山地渓流の生態系や自然環境について、森林政策や環境経済を用いて、いかに保全し、地域で活用するかというようなテーマを持っていました。

研究所に入ってからは、農業の生物多様性の保全に係る取組を推進するための研究や、地球温暖化に関わる農業分野の取組の研究を行っています。

具体的にはどのような研究ですか?

学生の頃は、特に山形県の西川町と朝日村をフィールドにして、渓流の自然再生の取組の社会経済効果を研究していました。論文ではまず、今までの治水・利水の歴史を振り返り、渓流の生態系とはどういうものかという生態学のまとめをし、調査フィールドでの自然再生の経済効果を、データを集めてTCM(旅行費用法)とCVM(仮想評価法)で明らかにし、そのような活動が続いてきた要因をステークホルダー分析で明らかにしました。最後に、理論的なモデルを示しました。

また学生のころは、学会誌以外にも市販の雑誌にたくさん寄稿したりして、これからの渓流をどうしていけばいいのか、どういう制度があるのか、どこが問題なのか、といった視点で執筆や発表を繰り返していました。失われていく自然をどうにかしたいという焦燥感から、ジャーナリスティックな活動を大事にしていました。

研究所に入ってからは、琵琶湖での水田魚道設置による費用効果分析、生きものマーク米の取組の調査、農産物生産の際のバーチャルウォーターの計算や、余剰農作物やセルロースからのバイオエタノール生産政策の各国調査等を実施してきました。特に生物多様性の保全や持続可能な生態系サービスの発揮を図りながら、どうやって農産物に高付加価値をつけたり、農山村を振興していくのかという点に興味を持っています。 

今後の抱負は?

農林水産業に係る自然環境や生物多様性、あるいは生態系サービスは、農地、河川、森林や海岸というような、公共財やそれに近い性質を持つ環境と密接に関わっています。そのような環境が保全されることで、食料生産、水やエネルギーの供給などの生態系サービスが持続的に得られると考えています。

この環境は、誰か個人や研究者が良くしたいと思ってすぐに良くなるというものでなく、公的管理の性格が非常に強いもので、公共団体が中・長期的な視野に立って、あるべき大枠を決めていく必要があると思います。私が農林水産省の職場で働きたいと思っている理由もそこにあります。ですので、人々の生活に必要なサービスを生み出す基本となる農地、林地や河川などの基盤の部分の自然環境に、これからも関わっていければいいなと思います。

生物多様性国家戦略で大きく目標が掲げられているように、我が国の生物多様性は急速に失われてきておりその回復が急務です。またTEEBやミレニアム生態系評価といった国際的な舞台で、持続可能な利用がされないために劣化が続いている生態系サービスの評価とその保全に向けた政策インプリケーションが議論されています。特にこのような問題に貢献するために、農業や林業の分野での生物多様性の保全や温暖化の取組と、農山村の振興を結びつけられる研究に取り組んでいければと思っています。

略歴      研究員紹介のページを見る

大阪府出身。東京工業大学工学部情報工学科、東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻博士課程修了。平成16年4月農林水産政策研究所入所。環境省自然環境局野生生物課保護増殖係(平成17年~平成18年)、農林水産省農村振興局農村環境課生物多様性保全班(平成23年~平成24年)に勤務。

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