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所長挨拶

2012年初頭挨拶「危機を乗り越えて-我が国の食と農林漁業の再生と発展に向けて-」

新年に当たり一言ご挨拶を申し上げます。

農林水産政策研究所長 武本俊彦

 農林水産政策研究所長  武本俊彦

昨年3月に発生した東日本大震災は被災された方々には改めてお見舞いを申し上げます。今年が再建・復興に向けた新たな年となることを願っております。当研究所においても、この災害を受けて本年度前半には震災対応を優先事項とし、震災対応特別プロジェクトを設けて各種研究に取り組んで参りました。1月22日には仙台市内でシンポジウムを行うこととしています。被災地における農漁業再編と集落コミュニティの再生についての過去の災害復興事例からの教訓や6次産業化の推進、バイオマスエネルギーの導入促進など、復興対応の視点に立った調査研究の成果を、東日本大震災からの農山漁村の復興・活性化に向けて本格的な取組を始める被災地の関係者の皆様に直接提供し、意見交換を通じて、今後の地域の復興と発展に寄与したいと考えています。 

他方、平成23年度も残り少なくなっています。今年度は、冒頭にあげた震災対応の研究を優先いたしましたが、他にも、農業生産体質強化に向けて農業生産主体の形成・再編に関する研究、農業・農村活性化に向けて6次産業化、福祉・NPO法人など多様な主体との連携、地理的表示の保護制度に関する研究、農業分野での地球温暖化対策の導入に関する研究、我が国農業・農政に影響を及ぼす諸外国の制度・施策の実情についての情報収集・分析などに鋭意取り組んで来ました。

 そのうち部分的に成果がまとまった課題については、研究成果報告会や隔月刊行誌農林水産政策研究所レビューでご報告してきたところであり、それぞれの課題について、年度末に向けて、最終仕上げ、とりまとめを進めております。今後来年度にかけて、順次、研究資料の発行とホームページへの掲載、それに研究成果報告会の開催などにより、必要な情報の提供に努めてまいります。 

それと並行して、来年度に向けて行政部局と連携しつつ研究課題を策定する作業も進めてまいります。行政対応特別研究については新たに行政部局の課題提案も踏まえて検討しますし、予算要求している継続中及び新規のプロジェクト研究についても、行政部局の問題意識や昨今の情勢に応じてその具体的内容の調整や詰めを行い、より効果的な研究内容となるよう努めます。 

世界の中での日本は、世界金融危機、最近頻発しているエネルギー・食料価格の高騰やそれに伴う食料の輸出規制などの危機、地球温暖化などの重大な危機にさらされています。その中で発生した3月の震災・原発事故も加わって、日本経済・社会は極めて深刻な状況に置かれています。食料・農業に関して言えば、所得の減少、担い手不足の深刻化や高齢化といった厳しい状況が続いてきたなかで、原子力災害により我が国農林水産物の信認が大きく低下するなど多大な影響を受けているところです。また、昨今ではTPPへの交渉参加に向けての動きなど、経済連携協定の推進も農林水産業に影響を及ぼすことが懸念されています。 

 こうした状況に対処して、食料と農山漁村の再生・活性化を図るには、そのための直接支払い制度などによる競争力と体質の強化、生産物の加工・流通に加えて農山漁村での資源を活用した再生可能エネルギーの生産なども含めた6次産業化による付加価値の増大、食の安全・消費者の信頼の確保を通じた農産物・食品の差別化などが必要となると考えられます。

これらの諸側面には、当研究所がこれまでの研究課題のなかで取り組んできているところであり、今後ともそうした課題への取組は必要になると考えられるところ、取組の継続と深化、必要に応じた内容の調整を行いつつ進めて参ります。 

当研究所が農林水産行政に資する研究を行うことは言わずもがなでありますが、なかんずく農政の大きな枠組みに貢献するような、また、先導的・基盤的な骨太の研究の比重を高めていくこともめざしたいと考えています。そして、そのような客観的・科学的な分析を行った研究成果というものは、国民共有の資産とすべく、刊行物、研究成果報告会、プレスリリース、ホームページ、政策研レビューといった各種の方法により遅滞なく公表するよう引き続き努めて参ります。本年も、皆様方のご理解とご支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。 

 


 

武本  俊彦 (たけもと  としひこ)

農林水産政策研究所長(Director General)

略歴:  昭和27年生まれ

昭和51年  東京大学法学部卒業、農林省入省

平成13年  大臣官房企画評価課長

平成15年  食糧庁計画流通部長、総合食料局食糧部長

平成16年  水産庁漁政部長

平成17年  衆議院調査局農林水産調査室首席調査員

平成22年  大臣官房審議官

平成23年8月~  現職 

 

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