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農林水産政策研究所

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「日本型持続可能な開発目標(SDGs)モデル」の構築に資する農業分野における成長市場の創出やイノベーション推進に関する研究

日本農業の生産性向上、イノベーション推進に向けた農業ICTの社会実装と農地集積の市場デザインに関する実証的研究―日本型持続可能な開発目標(SDGs)の構築を目指して―

研究総括者

学校法人 明治大学農学部食料環境政策学科 専任講師 中嶋 晋作

共同研究機関

国立大学法人 京都大学
公立大学法人 石川県立大学

研究の背景と目的

  農業・農村をめぐる超高齢化等の課題を克服し、国民に食料を安定的に供給し続けるためには、日本農業の生産性の向上が不可欠である。本研究では、(1)公的統計を中心とするミクロ・パネルデータを用いた日本農業の生産効率性の評価、(2)より望ましい農地集積のマーケットデザインの構築によるコスト低減、(3)ドローンの生産性向上効果の定量的評価と普及条件の解明などの分析を通じて、「日本型持続可能な開発目標(SDGs)モデル」の構築に関する政策的示唆を得ることを目的とする。

研究の内容

(1)ミクロ・パネルデータを用いた日本農業の生産効率性(総合生産性)の計測

  公的統計を中心とするミクロ・パネルデータを用いて、日本農業全体及び先進的農業経営の生産効率性(総合生産性)の計測・分析を行う。

(2)農地集積のマーケットデザインの構築

  実際の農村現場における農地集積の円滑な実施に資するため、より望ましい農地集積のマーケットデザインの開発・提案を行う。

(3)農業ICTの社会実装に向けた実証研究

  ドローンの利活用(生育モニタリング、収量予測等)による生産性向上の効果を定量的に検証する。また、既存の研究成果等も踏まえ、農業ICTにおけるドローンの位置づけを整理し、農業ICTの普及条件を解明する。

(4)「日本型SDGsモデル」の構築に関する政策的示唆の抽出

  上記小課題の成果を通じて、総括・取りまとめを行い、「日本型SDGsモデル」構築に向けての政策的含意を抽出する。

期待される成果

  日本農業の生産効率性を測定し、その向上に向けた課題を抽出するとともに、生産効率性向上の有効な手段である、農地集積のマーケットデザインの構築や農業ICTの社会実装の効果や普及条件を解明することで、日本農業の持続可能性を高め、成長市場の創出や科学技術イノベーションの推進など「日本型SDGsモデル」の構築に資することが期待される。


農業分野におけるイノベーションが持続可能な社会を実現するプロセスおよびそれを後押しする政策に関する研究

研究総括者

学校法人 早稲田大学地域・地域間研究機構 次席研究員/研究院講師 西原 是良

研究の背景と目的

  日本経済が「society5.0」へ移行する過程の中で、新技術によるイノベーションや公共サービス供給の民営化等の変化が生じているが、農業・農村分野においても、従来は関連の薄かった社会福祉企業・卸売企業・ITベンチャー企業などが参入し始めている。本研究では、こうした農外との取組や、農村地域を支える組織・サービスの在り方、また、それらの価値計測に関する分析を行い、農業・農村における持続可能なモデルの構築を目的とする。

研究の内容

(1)農業を通じた地域イノベーションの研究

  農外分野と農業を連携させた食料産業クラスターを形成するための投資行動の主体が形成される過程や、Iターン等外部からの農村定住の促進と担い手育成が、新たなビジネスを創造していく過程を分析する。

(2)広域システムを通じた地域イノベーションの研究

  広域経営法人を中軸とし、収益部門の開拓や拡大の戦略、集落営農との連携・役割分担のプロセスを分析するほか、広域経営システムを支援する農業・農村政策や公民連携、コスト分担のあり方の解明を行う。

(3)農村の資源におけるイノベーションの研究

  農村地域における資源管理組織である土地改良区による小水力発電事業に着目し、農業用水路を用いた独自財源の確保や、更新投資のための積立金の形成過程を分析する。また、水・農地などの資本ストックを用いて行われる農業部門をInclusive wealthのフレームワークで捉え、農林業センサス等を通じた資本データの整理を行い、社会資本の持続的な管理を実現する経済モデルを構築する。

(4)農村における日本版SDGsモデルの構築

  (1)から(3)の成果を総括するとともに、広島県をフィールドとして実証と社会的実装を行い、日本版SDGsモデルの構築を行う。

期待される成果

  (1)農外からの投資を活用したイノベーション、(2)農村地域を支える組織・サービスのイノベーション、(3)農村の資源管理組織や価値計測のイノベーションといった幅広い視点から見たイノベーションを分析・検討することにより、日本型SDGsモデルの検討に資することが期待される。

お問合せ先

農林水産政策科学研究委託事業推進事務局

ダイヤルイン:03-6737-9042
FAX番号:03-6737-9098