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農林水産政策研究所

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都市住民等による農業・農村の価値・魅力の発揮を支える多様な取組に関する研究(プロジェクト研究)

1. 研究の背景

  我が国の農業・農村は、食料を安定的に供給するとともに、地域の経済を支える役割を担い、また伝統的な食文化、美しい農村風景等、多面的な価値・魅力を有している。しかしながら、農村、とりわけ中山間地域等においては、都市部に先駆けて高齢化や人口減少が進行しており、農業・農村の活力が減退し、多面的な価値や魅力の源泉となる地域資源・環境の維持が困難な状況となっている。

  こうした中、農村において、ICTや農村に賦存する地域資源等を活用して、インバウンド等農村への人の呼び込み、就労の場の確保、地域の高齢者に対する見守り、買い物サービス等、農村の活性化や地域資源・環境の維持、発揮を支えようとする取組が見られる。また、近年都市住民等が求める農業・農村の価値・魅力は多様化しており、農村とつながりを持ったり、農村へ移住したりする等の取組も見られる。このような取組を面的に拡大させて、農村への定住条件の整備、新たな就労の場の確保、農村の魅力の向上に結び付け、農村の活性化につなげることは、今後一層重要になってくる。

  このため、ICT等を活用して農村を活性化させたり地域資源・環境を保全しようとする多様な取組等について、ICT等がどのような効果を発揮しているのか等、現状を把握し、今後取組を拡大する上での課題等を明らかにする。

2. 研究内容

(1)ICT等を活用した定住促進に関する研究

 1)ICT等を活用した農村の定住条件の整備に取り組んでいる地域を対象に、現時点でICT等がどのような効果を発揮して、今後どのようなICT等が期待されているかを解明する。

 2)農村への移住・定住の促進に向けた取組に関する調査により、移住者の増加や定着を促す施策等の方向性・課題を整理する。また、農業を営む移住者等の移住・定着までの基盤構築過程や定着を可能とした条件等について明らかにする。

 3)都市に居住しながら農業・農村への支援活動については、都市住民に対するアンケート調査データ分析等により、農業・農村に対する価値観等との関係を解明する。

(2)ICT等を活用した交流人口の増加に関する研究 

 1)農泊に関する専門家等によるプラットホームを構築し、農泊地域創出のために必要な取組や課題を明らかにする。その際、ICT等の活用による農泊ビジネス等の推進に当たっての課題等についても検討する。

 - インバウンド需要を取り込みつつ、観光資源を磨きあげ、ビジネスとして取り組む農泊地域に対する調査等を実施し、農泊地域の実態、自立した農泊地域推進の現状を把握する。

 - 海外(イタリア、フランス等)において農村への人の呼び込み等にビジネスとして取り組む農家等の実態を把握する。

 - 6次産業化総合調査の統計(2015年)のデータ分析により、農業経営とツーリズム(農家民宿、観光農園、直売所等)の関係性について解明する。

 2)世界農業遺産認定地域等、独自の資源が維持され観光客の誘致や地域振興に活用されている事例を対象として、農村部の観光客の誘致や地域振興に関連した多様な社会組織の関係を社会ネットワーク分析手法を用いて解明した、昨年度までの研究成果について、調査先の関係者にフィードバックし、より現場に即した提言となるよう検討を深め、とりまとめを行う。

(3)地域資源の持続的活用に関する研究

 1)農業生産活動を通じた生物多様性の保全や持続可能な利用を推進するため、環境配慮型商品(有機農産物を含む)の購買について、情報提供による行動変容を実証によって検証し、当該商品購買層の特徴を抽出するとともに、効果的な情報発信方策等を提示する。

 2)家畜排せつ物を原料とするバイオガスの生産と利用に関する主体間の関係性に関する昨年度までの研究成果について、調査先の関係者にフィードバックし、国外を含めた他地域の状況も踏まえ、より現場に即した提言となるよう検討を深め、とりまとめを行う。

 3)IRENAとの共同開発したバイオエネルギーの持続可能性評価ツールのナイジェリア事例への試行的適用に関して、データ解析を終了させる。また、IRENAから共同研究について提案があった場合、可能な範囲で協力する。

お問合せ先

企画広報室広報資料課

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FAX番号:03-6737-9600