平成20年7月29日(火曜日) 14時~16時
須田 文明 (農林水産政策研究所 国際領域)
1996年と2000年のBSE危機時に、フランスの量販店は国内産牛肉の調達に努力し、また生産者団体との密接な協調により各種の品質行動に取り組んだ。現在、激安店との競合もあり、量販店はその安売り用としてEU域内産の牛肉を調達するようになっているほか、カルフールなどのいくつかの例外を除いて、こうした品質行動から離脱する傾向が指摘されている。こうして、例えば量販店のオーシャンはそのBSA(「適合性認証製品CCP」付きのプライベートブランド)のセグメントを半減させている。しかし、オーシャンは量販店間の競争を意識して、その品揃えのために、AOC牛肉を導入するようになっている。よく知られているように、食品安全規則や民間自主基準などにより最低限品質が向上すると、差別化のコストが著しく上昇するため、量販店は生産者とのパートナーシップを解消する傾向が見られる。スポット市場で安全な製品を安価に調達できるからである。BSE危機が終息した後の量販店の行動を総括し、理論的に検討してみることは、今後の農産物の生産・流通・消費を考察する上での興味深い見取り図を与えてくれよう。「安全性」のテストから「近接性(製品と地域との結合、生産者と消費者の近さ)」のテストへの移行、という我々の仮説について、本報告で検証を試みたい。
大橋めぐみ(農林水産政策研究所 農業・農村領域)