平成9年8月18日
食品流通局企画課

 

第3回食品産業地域活性化研究会の議事概要について

 

 第3回食品産業地域活性化研究会の概要は以下の通り。

 

 

  1. 日時
     平成9年8月8日(金) 13:30〜15:30
  2. 場所
     農林水産省第2特別会議室
  3. 議事概要
     別紙の通り

 

問い合わせ先:

食品流通局企画課

計画調整班 和田・中出

03-3502-8111(内線4744・4745)

03-3502-0767(直通)

 

 

平成9年8月8日(金) 13:30〜15:30
於:農林水産省第2特別会議室

 

第3回食品産業地域活性化研究会議事概要

 

<食品産業による地域活性化の実態について(事例報告)>

1(1)「農村における経済循環構造の課題−我が国最初の食材供給施設:株式会社赤坂天然ライスの果たす役割について−」

 地方自治体として、地域活性化のため何をなすべきかということで、まず、特産品をはじめとする農産物・食品の流通がどのような働きをしているか、産業連関表に関連するような考え方で経済循環構造を調べた。

 一方で、株式会社赤坂天然ライスを町でつくった。この目的は、町の基盤産業である農業の振興を図るということにつきる。

 

・ 経済循環構造について

 町のとる様々な政策の効果は次のようである。公共土木工事では工事費の1割しか町に落ちていない。企業誘致については、雇用効果はほとんどなく、見るべき成果はあがっていない。

 平成6年の赤坂町の総生産額は158億円、町民所得は131億円であるが、町民所得は町外に働きに出ている人の所得が中心であり、総生産額としてはそれなりの数字があるものの、それが町民への分配所得となっていない。ここに地域の問題がある。

 町内総生産額が一番多い製造業が赤坂町の基盤産業なのかというと、そうではない。他市町村から働きに来ている人が多く、町に与える影響は非常に小さい。

また、赤坂町での販売はわずか6%であるため、町民の得る所得は、労働賃金程度にとどまっている。つまり、町内で経済が循環しておらず、製造業は基盤産業とは言えない。

 では町の基盤産業は何かというと、農業である。農業の町内総生産額は14億円で、農業からの町民所得は7億1千万円ということからわかるように、数字は小さいながらも所得に与えている影響が非常に大きい。このことから、赤坂天然ライスを設立することとした。

 

・ 株式会社赤坂天然ライスについて

 平成7年3月に設立し、10月から操業を開始した。町有地に工場をつくり、第3セクターに管理を委託している。@地域の米を使う、A農家の主婦の働き場所を確保する、これが行政目的である。

 工場長、製造長は芙蓉物産から来てもらっている。また、従業員はすべて芙蓉の社員として採用し、赤坂天然ライスへ出向という形をとっている。労働条件としても、芙蓉の社員管理をそのまま採用し、民間企業の持つ厳しさの中に身をおいて働いてもらっている。

 販売については、芙蓉物産の持っている販売ルートにのせるとともに、独自のルートを開拓した。

 現在、売上高は12億円であるが、町内の他産業への生産波及効果は1億2,564万円である。発泡スチロール、包装容器等をすでに町内に進出している企業から買い入れているためである。また、所得誘発効果は1億3,135万円である。現在、農家の主婦を37名雇っており、これを50人や60人にしたいのだが、高齢化の進展やすでに働く場所を持っているという理由から、なかなか増えないでいる。

 同規模の売上をあげる赤坂町での従来型製造業を誘致したと仮定した場合に比べると、町内の他産業への生産波及効果や所得誘発効果、雇用誘発効果が大きく、一応の所期の目的は達成できたと考えている。

 平成9年3月からは、県経済連と協力し米の販売も始めた。町の米は全量買い取り、他町村(赤磐郡等)からも米を買い取っている。利益を多く得ることではなく、米の継続的な販路を得ることが目標である。赤坂天然ライス設立前7億1,000万円であった農業総生産が8億9,000万円となった。会社の利益を町に還元し、作付け前の奨励金等にそのお金を使うことと、会社での労働賃金として町民へ還元されている。

 共通作物である米に着目し、加工、販売を行っているのだが、思い切って民間と提携し、ノウハウを得ることも良いことだと思っている。それが正しいかどうかは将来決定されるだろう。

 農家の意欲が出てきたことは確かである。Uターンで農業を始める人もわずかながら出てきた。

 行政が食品の流通をどう位置づけるか。民間のノウハウを借りるか、一緒にやるか、方法はいろいろあるだろうが、赤坂町では町としての考え方を現在実践しているところである。

 

(2)「商社が取り組む地域活性化とミニ産業」

赤坂町において商社として参画しているが、商社としては地域への提案活動として「ニューふぁーむ21」のコンセプトの下で取り組んでおり、併せて、その事例も報告したい。

 

・ 北海道由仁町の事例

 米、じゃがいも、たまねぎ等を生産している、特段の特徴がない町であった由仁町と、平成6年5月19日に農業活性化の業務提携を結んだ。

 この頃、都市ではハーブが出てきた頃で、ハーブガーデンに関心が集まり始めていた。由仁町に「ハーブのあるまちづくり」を提案し、その事業を町民側から支える「ゆにハーブの会」が発足した。発足当時52人であったこの会は現在150人の会員からなっている。

 「ハーブガーデン事業」が「風薫る健康のまち・由仁 ハーブのあるまちづくり事業」のメインであり、第3セクター方式(由仁町、JA、東武鉄道、三井物産出資)で取り組まれている。

 ガーデニングブームが起こり、資格制度もたくさん出来てきた。このブームを、ミニ産業として、文化として日本に定着させる必要がある。21世紀村づくり塾の中に「ガーデン研究会」が発足した。末端(消費者側)からあがってきたブームをとらえて、ミニ産業、文化として定着を図っていきたい。

 

・ 岡山県赤坂町の事例

 都市部において、回転寿司が活況を呈し、宅配寿司がにわかに出てきたころ、赤坂町の「朝日米」を地元の水で炊きあげ、酢飯にして出荷しようということで、赤坂天然ライスが設立された(管理運営は第3セクター方式)。注目すべきことは、小学生中高学年の好きな食べ物の1位がすしであり、刺し身も10位以内に入ったということである(平成7年度漁業白書)。これは、回転寿司、持ち帰り寿司の影響が大きいと考えられる。現在10歳の子供が10年たてば20歳で、そのころにはお寿司というのは回転あるいは宅配が当たり前、という文化になっているだろう。お寿司1つに米が20〜22g使われており、1皿に2つ、1人10皿食べたとして、1回の米消費量は400g。日本で1億人が、1週間に1度お寿司を食べるとすると米だけで年間200万t、魚については100〜150万tの消費である。ミニ産業といえどもばかにならない。というより、大きい産業になる。持ち帰り寿司、宅配寿司、回転寿司がひとまとまりになって業界となり、地位の向上、品質の向上、安全等、業界として取り組んでいければと考えている。

 沖縄県の魚、鹿児島県の肉、岩手県の水を利用してミニ産業が出来ればと考えているところである。

 

2.「夢ある農村産業をめざして−内発型アグリビジネスから地域づくりに取り組んで−」(農事組合法人伊賀の里モクモク手づくりファーム)

 700団体の視察を受け、また、25都道府県に講演会に行ったが、農家の出席が少ないこと、出席があっても高齢の方が多いことが気になっている。農業が職業選択の一つになっていない。三重県においても新規就農者は10名にすぎない。

 モクモクの考え方は次のようである。@安定的に御飯が食べられて夢のある農業にしよう、A地域のすべての資源(文化、生産物、人)をいかす、B生産、加工、販売を一体化し(農、工、商の一体化)、下請け的農業をやめる、C組織でスペシャリストを育てる、D自然環境と人の健康を守る、ということである。

 3名の養豚農家で始めたモクモクも、現在は210名のスタッフ(パート110名、正社員100名)がいる。年間約30万人が訪れ、客単価が4,000円(一般に同種の施設では客単価500〜1,200円程度)なので12億円程の売上げがある。なお、同施設は全国2番目の規模である。

 俗っぽいものをやめるというのが方針で、例えば施設内に自動販売機は1台もおいていない。それは、「地元産品の利用」と言いながら、施設内で中国のウーロン茶を売るのは矛盾だと考えるからである。従って、施設内では、「ミーロン茶」(地元の試験場でできたお茶)を置いている。

 米については、ファーム内で15町歩、地域で25町歩生産している。どんな荒れ地でも耕作するというのを方針としている。

 地ビールをつくっている。他の施設ではたいてい輸入麦芽を使用しているが、モクモクでは全部地域のものを利用している。

 パン、パスタ、ピザについては農林61号を利用している。

 その他、いちごハウスでとれたいちごを使っていちご大福を作ったり、ファーマーズマーケットを設け(当初15軒だったが現在は100軒の農家の生産物を販売している)、年間5,000万円の売上げをあげている。

 また、ネイチャークラブをつくっている。情報化が進展した現在、卸を通す必要はなく、生産者もしくは消費者がメーカーを組織する時代であると考えている。

 山間部に30万人がやってくる、これは@情報発信力、A企画力、B組織力、があるからであると考えている。ものを売る側と買う側とではふれあいは成り立たない。イベントを通して同じ経験をするところにふれあいが成り立つのである。

 モクモクで心がけていることは次のようである。@生活者の発想、つまり自分たちの考え方でものをつくりあげる。Aナショナルブランドにあこがれるな、迎合するな。B商品価格は3割高程度に。C商品構成はサザエさん一家をつくる(主役と脇役が必要)。D「とびつきは婦人、継続は子供、運転手は旦那」(パッケージ、ネーミング等、女性に合わせる)。Eグローバルな視点を持ちつつ、原料は地元のものを。F商品に意味づけをする。G職員自身が楽しむ。

 阿山町は人口8,000人、2000世帯の町であるが、うち400世帯がアルバイト、ヘルパーという形でモクモクと関連している。

 モクモクの、社会での役割は@正しい食べ物と環境を後世に伝える、A消費者をハッピーな気持ちにさせるということだと考えている。今後は「農村マーケット」をつくりたい。ドラマチックな取り組みをするのではない。「私がつくりました」という写真入りの大根を売るのではなく、大根は大根畑でとる、ということである。また、農業を語る「語り部」をつくりたい。

 

<質疑応答>

○ 赤坂町の事例について

委員:お米を利用されているということで、農協との関係が気になる。赤坂天然ライスの出資に関係していないが、経済連がタッチしていたり、米の直販をしているということで、系統との関わりはどうなっているのか。

委員:赤磐郡では、3年前に5つの町の農協が合併して、あかいわ農協ができた。しかし、5つの町の行政は独立しており、共通政策をとりにくいというのが現状である。私個人としては、小さい農家が集まって米を作るのだから、個々が農協へ米を出してもらうという基本は守らなければと思い、JAに参加を呼びかけた。しかし、5町の方針がばらばらなので、出資はしなくていいから米は供給してくれるようにということで、常務理事を取締役に迎えるという形になった。精米の施設を経済連が持っていて、そこにお米を集めているので、経済連と契約をした。こういう形で農協と関わっている。

 会社の将来がわからないのに農協も出資はしないだろう。責任を持たせないから、出荷という形で協力をしてもらっている。

委員:米の価格決定はどのようか。

委員:経済連が決定した価格を採用している。使う米の半分は朝日米であり、これは1kgあたり30円〜35円と単価が高く、採算的には厳しいものがある。しかし「優良米の定着」ということで町単独で補助を出している。赤坂天然ライスに米を出すことを町としてお願いしている。会社に行政が参加することで地域の振興を図っている。

委員:行政の参加はどういう意味でメリットがあるのか。町として、補助金を出したり価格補填をしているか。

委員:管理運営は第3セクター方式である。また、赤字補填はしていない。決算上黒字経営となるべき経営のあり方を三井物産と話し合っている。流通経費をどう見るか。販路確定の必要があり、相当部分を芙蓉物産の販路にのせてもらった。

設立から2年たって赤坂天然ライス独自の販路ができてきて利益は倍近くになった。初年度1,500万円あった利益のうち800万円を町に寄付してもらった。

本年は1,500万円寄付予定である。

 民間企業と組むというのは、公民癒着構造にもつながるもので、そのへんをどうクリアするか。地元デパートと組むとあらぬ誤解を招くため、信頼性を高めるためにも赤坂町は三井物産と組んだ。

委員:赤坂天然ライスの場合、外部環境がこういうものを要求したという点が、モクモクとの大きな違いである。モクモクは商社や量販店とのリンクを否定している。お客さんに来ていただくことによって快適な施設とものを提供できる。しかし、都市圏から1時間半という立地は全国どこにでもあるわけではない。

 今後の課題は両者ともにある。米は量を炊くことによって価格差が出るのであって、今使っている人も今後のますますの競争社会の中で赤坂天然ライスのお米を使い続けてくれるか。モクモクの場合、デリバリーコストをどのように理解してもらうか。大いに検討に値する問題である。

講師:赤坂天然ライスでは、商社などが入っていない簡素化したルートで仕入れている。米の価格そのものが下がってきた時に、「従来と同じ値段で買ってほしい」と言われたときどうするか、が問題である。町からは、他より良い条件で販売できる方策だけはとっておいてと言われている。

委員:赤坂天然ライスをつくった目的は、農業の地位の回復であり、そのため共通作物である米の販売をしている。

 他と競争し得るのは、設備投資に公金を投入するため、会社自体が減価償却を考えずにすむからである。これは赤字補填とは性格が違うものであり、赤字の備えには経営安定化基金を用意している。基金は、米を売るため、農業を守るため町が支出している。

 農業に対する判断は首長ごとに様々なものであり、自分の政治理念、哲学をそのまま誰にでも勧められるものではないと思っている。

講師:地域の活性化といっても、地域資源には限りがある。モクモクについても同じことが言えるが、持続的にやっていくという観点からすると、大量生産、大量販売を念頭に置いているわけではないため、価格だけの勝負ではなく品質の勝負もある。そうでなければ地域資源を最大限いかすことはできない。赤坂町では朝日米の特色をいかしてやっている。

 地域の経済循環について、市町村では所得の推計はどこでもやっているが、なぜやっているのかを充分考えていない。計画的な地域経営にとってそういった統計は最大限いかされるべきである。

 従来の誘致企業は、岡山市から30分ぐらいという立地条件から、岡山市から進出したものが多いが、赤坂町からは労働力の一部だけ調達するという場合がほとんどであった。物流はあるが所得として地域に残っていない。米を素材で出していたものを製品化(高付加価値化)することで所得、雇用が生まれた。物流だけでは基盤産業になり得ない、農業こそが基盤産業になり得る。

○ モクモクの事例について

委員:モクモクの場合、自由奔放にやっている感じを受けたが、田舎だから制約を受けることが多いのでは。農協、役場との関係はどうなっているか。

講師:正直言って農協とはあまりうまくいっていない。米も、農協の勧めるコシヒカリではなくアミロ17を生産している。去年まで精米は滋賀県の農協にお願いしていた。しかし、違う視点があるということはまた活性化につながるものである。

事務局:モクモクみたいに活力を持って展開しているところはコンセプトがはっきりしていること、差別化ができていることが特徴である。先ほど「これからも挑戦し続けます」とおっしゃったが、成長の論理、規模の論理というものがある。

 規模が大きくなると差別化は難しくなる。

 ナショナルブランドのように規模の大きい商品を供給しているところ、チェーン展開しているところの考え方を聞きたい。差別化するための工夫を念頭に置いたコメントがほしい。

委員:農業中心の村づくりということで、農家の方にやりがいを持たせるため、大豆の生産、加工、販売をやっている段階である。農協とは、やはりぶつかるところもある。

委員:人材が我が組織でいかされていない。ボーダレスとなり、国外のお客様をどう引っぱるかという時代である。

 阿山町、赤坂町は比較的大都市に近い。都市圏から遠いところはどうするか。ファーマーズマーケットの話があったが、地域経済内で都市圏との距離をにらみながらいろんなパターンがある。

講師:経済連が輸入牛肉を扱うようになったことが、経済連をやめるきっかけとなった。現在、仲間が増え、純粋に農業を考えられる、これが生きがいだ。

講師:地域の特性を見て、それを最大限生かせるものは何か。それぞれのところでぎりぎりの商品化をし、どういう形で流通にのせていくか。大量につくる必要もなく、またつくろうと思っても資源がない。伝統産業も資源が枯渇したら終わりという例が多い。

 JAは規格品でなければならないが地元の場合は規格外でも構わない。地域の知恵を結集して、地域に来てもらうか、限られているかもしれないがどうやって流通にのせるか。

委員:阿山町は条件がよいから、それだけのお客さんが来るのか。

講師:モクモクをつくったときはお客さんは日曜日でも5人ぐらいしかいなかった。情報発信の効果と考えている。

 現在、FAX仲間があって、FAXで注文を受けるのだが、1回で100万円の売上げがある。県内はペリカンに配送をお願いしているが、通販箱で商品を届け、帰りに牛乳パックやビール瓶を入れてもらうという回収システムをとっている。今は、前日の17時に出て翌日朝6時から8時ぐらいにお客様のところについているが、今後、それを14時に出て、近隣の市にはその日のうちに届けられないかと考えている。

委員:つまり立地条件による差はないと考えているのか。

講師:それはない。むしろ口コミ効果が重要である。