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安代りんどうの輸出における課題克服の取組

-八幡平市花き研究開発センター所長日影孝志氏-

安代りんどう生産流通の概要

最近の国内の花き生産流通の動向は、ホームユース需要の拡大が見られるものの、全体的には花き需要が鈍化しており、これに伴いりんどうの需要も減少している。また、輸入切り花が増加している。日本は、花き消費に対して100%以上の栽培面積があるが、キク、カーネーション、バラ等が輸入され、単価が落ちているのが現状である。

八幡平市のりんどうも影響を受け、平成7年バブルの崩壊を機に販売金額が落ち込み、栽培面積は9年の125haをピークに101haまで減少した。販売金額は落ち込んでいるが、生産本数は技術で維持されている。八幡平市の安代りんどう生産者は185名で、本年度の販売本数は2600万本、販売単価は非常に良くて42円。お盆と彼岸にしっかりと出荷できたのが良かった。前年非常に悪くて平均単価35円。昔は平均単価50円を保っていたが、近年は厳しい状況であり、今後も平均単価は上がらないと思う。一般的なりんどうの他にオリジナル品種も栽培しており、その割合は70%で、品種の競争力はだいぶ力をつけてきている。

八幡平市と安代りんどう生産者全員が社員となる会社を設立し、社員自らお金を出し合って、「有限責任中間法人安代りんどう開発」と共同で、新品目の開発や生産者の技術研修を行っている。研究費等は生産者が出している。

りんどう輸出へのきっかけ

海外、国内で生産して、日本市場において夏も冬も需要を作ろうと、平成11年からニュージーランドでの生産を始めた。
13年頃、ニュージーランドの生産者から「日本に出荷しても安い。アメリカやヨーロッパに出した方がずっと高く売れる。」と言われた。それでも契約だから日本出してくれと説得しているときに、「なぜ日本は輸出しないのか。」と指摘を受け、輸出にも挑戦しなければならないと思った。

りんどう輸出コストダウンへの挑戦へ

日本には花きの輸出業者がなかったので輸入業者に話を聞いてみると、輸出は絶対に不可能という。原因は航空運賃が高いため。りんどう1本(50g)が135円であった。しかも、500kg以上の輸送の場合であり、それ以下だと1本200円である。しかし、オランダから日本へ輸入されるものは1kg当たり400円と安く、この格差は国際的な差により生じるものだけではなく、努力で埋められると考えた。

ニュージーランドの輸出業者に依頼して、オランダの業者を捜し輸出した。この2業者からは、「航空運賃を心配するな。ビジネスとして成り立つようになれば他の2倍ほどにはなるが、その程度に収まる。」と話してくれた。この話はとても大きな力になった。

また、行政の援助がもう一つ大きな力になった。海外の販売価格が国内の販売価格を下回った場合、航空運賃のみが補助されるものであるが、航空運賃がどのように安くなるかタイムスケジュールを作ることという条件を提示され、試行錯誤してタイムスケジュールを作成した。

平成17年には航空運賃が1本24.5円

平成14年に、1本135円で輸送した時は大きな赤字だったが、「乾燥して輸出すればいい。」と思いついた。各生産者にりんどうを一日乾かしてもらって重さを半分にしてから飛行機に詰め、向こうに着いたらすぐに水揚げをする方式にしたところ、1本135円から60円に下がった。(なお、現在は乾燥させていない。)

りんどうは多少萎れても水揚げが良いので、オランダの業者もこれならビジネスになると納得した。さらに航空業者を変えると料金が下がると助言を受け、航空業者を変更したところ、135円から30円まで下がった。オランダ業者にビジネスだと思わせたところがコストダウンのかぎであった。

30円からもっとさげるには輸送ボックスをかえることが必要だった。10kgでもっとも詰められる形態のボックスの作製を試行錯誤し、10kg当たり200本入る箱を作った。10kgで200本入ると効率がかなり良くなり、1本当たりの航空運賃を下げることができた。ぎゅうぎゅうにつめると箱が盛り上がり丸くなってしまうという性質に、品質に影響がでるのではという懸念があったが、オランダに着いたときは箱の1月3日の大きさになっていた。

りんどう輸出技術の改善への挑戦

日本でのりんどうの単価はお盆や彼岸が一番安いので、この時期に輸出した。7月23日から輸出を開始したが、7、8月はオランダの夏休み期間で、オフィスが営業していないため、業務用、プレゼント用の需要が無く、売れなかった。結局、航空運賃は下がったが、FOBの価格で1本あたりマイナスになった。しかし、この取組で市場価格が8月に下がり9月に上がることが分かった。

平成16年には9月から輸出を開始したが、3番目の便で500ケース以上(トラック換算一台分、パレット換算3個分)がダメになり廃棄処分した。飛行機内でりんどうが発熱(45.5度に達した)し、オランダに着いたときには箱がつぶれ、葉花は商品価値を失っていた。

保障交渉をしたが、原因がわからないとどうにもならないので、航空会社、運送会社等と連携してシミュレーションを行った。するとコンテナ輸送に問題を発見した。コンテナ輸送は箱の中にりんどうを詰めて、密閉された箱をまた密閉するという仕組みであり、発熱が始まると止まらないということであった。

この改善策として、パレット輸送という輸送形態に転換した。パレット輸送は低面積、内容物のつめ方、輸送機での積み方を決められる等、移動方法の柔軟性があり、熱を逃がす詰め方や、飛行機の一番温度の低い場所へ置くという指定もできた。
それでも、温度の上がる場合があるので、運送時の温度管理をこれまでの磁器温度計ではなく、人が直接温度計をセットして温度確認し、サインして次の輸送段階に移る方式にした。トラック、西鉄航空、JAL全ての受け渡しでサイン、温度チェック行うようにした。オランダのコペックでも、輸入業者がサインチェックしている。このチェックは、ファックスで当社に送られることになっており、17年は各業者が熱心に取り組んでくれたおかげで1本のロスもなかった。

また、県の農業研究センターでは、オランダに着いてからの鮮度保持方法の改善を研究しており、どのような水揚げ剤を使用すれば良いか、成田でリパックするときの方法等のノウハウが蓄積され、コールドチェーンが確立された。これには冷蔵庫が必要なので、温度が高くなるときはどこの冷蔵庫に入れるかを事前に決めている。オランダの業者も冷蔵庫のあるところに変えた。コストは上がったが事故がないのでトータルでは良くなった。

ブランド戦略

輸入業者がブランド戦略を行った。地図に安代の位置を記載し、品質安定を強調。販売では、オランダの切花よりも0.2ユーロ(約20円)ほど高い価格差となっている。17年は販売金額平均で、0.506ユーロ(約70円)で売れて、FOB価格は生産者の20.35円(国内運送費3円を引くと生産者の手取りとなる。)であった。9月には、FOB価格で4~5円という非常に安い時期があった。原因はオランダのりんどうの生産が急激に増えたため。輸出を開始した当初、オランダ国内のりんどう生産は50万本程度だったが、翌年には200万本、300万本、450万本、700万本と急激に増え、競合が激しくなった。私たちのりんどうは、0.363ユーロ、オランダの生産者のりんどうは0.1ユーロほどである。オランダから見れば、日本からの輸出は想定外。日本が割り込んだと思われ、オランダ生産者は怒っている。今後は、どのように折り合いをつけるかが課題となる。

品種別に見ると、17年のオータムスノー(白色)は安かったが、18年は評価され高くなった。みやび、安代の秋、安代の風(青色)は、オランダの  品種と形態が似ているため、単価が安い。ささ白(白色)は、オランダに似たものがないので単価は高い。安代ささリンドウ、さわ風(青色)は、オランダと同じ青だが、オランダのりんどうが出回らなくなるといい値段で取引される。また、安代ささリンドウ、さわ風はほぼ同じ形態だが、前者は「安代」という名前がついてるだけで値段が上がる。ラブリーアシロ(ピンク色)はオランダにないため、約100円で売れる。

戦略としては、白色やピンク色のりんどうを増やし、まず白色やピンクを輸出し、その後、青色りんどうを輸出するのが妥当と考えている。

これからのりんどう輸出展望

単価0.5ユーロでも成り立つようなコスト構造にしなければと取り組んできた。国内輸送運賃は1本当たり3円だが目標2円は直送することにより可能になった。成田でのリパックは1本1円だが、必要であれば、これを3円にしてでも品質を良くしようと思っている。通関手数料は1本約1円で変わらない。りんどうの本数が決まっていれば、車上通関が可能で、冷凍車で直接飛行場まで運べるようになり、倉庫使用量2円がゼロになる。全てのりんどうではできないので、半分だけ車上通関にして2円を1円にしようと考えている。このような1本1円ずつの積み重ねでコストを減らすことができると考えている。

航空運賃24.5円を14円にするにはパレット当たりの単価とし、パレットにたくさん詰め、1本当たりの単価を下げることにより実現する。またパレット単価にするには20パレットで1000万円ほどの運賃を払えばパレット単価制にすることができる。17年、チリからの日本への輸送で1kg当たり2.5ドル(300円)でいけた。500kg以上であればこの運賃でいける。これで200本入れると1本当たり約14円になる。これは、航空会社と話し合いながら進めている。

オランダの輸入税は12%で、市場手数料、オランダの輸送コスト、輸入業者の手数料はあまり変わらない。年間、「Lサイズ」を出すことによって生産者の手取り額を増やすことができる。また、品種構成等を変えることには挑戦していないので、利益を上げる可能性はまだまだある。目標を高く持ち、取り組んでいくこととしている。これからは、遅い品種を開発することが必要である。10月の最終週にキリスト教のお墓参りで需要がある。青色が使われるがこれに会わせた品種開発、輸出を行いたい。

オランダの販売促進と日本での販売。競合をどうするか。オランダでは、切り花ではなく鉢での需要が多いが、規制によって輸出できない。何十億という需要がある苗の輸出もしたい。これらを解決するために国と連携を図っていきたい。日本から、チリとニュージーランドへは、りんどうの苗と種を供給している。チリからはアメリカ市場へ、ニュージーからはEU市場を開拓しているが、アメリカはまだ開拓が進んでいない。

独自の品種開発と輸出

オランダの生産者も独自にりんどうの品種を開発し、日本市場を対象に、ニュージーランドにりんどうの種と苗を持ち込み生産していた。もし、オランダが競争に勝っていたら大量のりんどうが日本に輸入されていたと思う。私たちの品種が、オランダにおいて早く品種登録されたことが好転した。もし遅ければオランダの生産者が先に登録をして、日本のりんどうの登録を拒否されるところだった。独自の品種など知的財産を手に入れたら世界に飛び出すべきだと強く感じた。

 

 

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