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東北農政局

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森は海の恋人

とうほく 食のもの知り隊

かき養殖業畠山さんのお話(宮城県気仙沼市)

畠山重篤さん

1. 赤く変色したカキ

「大変です。かきが血の色のように赤いんです。だれも買ってくれません。」

今から35年も前の秋に、東京の築地魚市場からそんな電話がかかってきたのです。

浜は大さわぎになりました。

売れなくて送り返されたかきを見てびっくりしました。

魚市場の人たちが「血がき」と名づけたように確かに赤いのです。

これでは生産者でも気味が悪く食べたくありません。

せっかく手をかけて育ててきたかきが売れないのですから、本当に困ってしまいました。

水産試験場の研究員の方々が、さっそく調べ始めました。

かきのおなかを開けて、どんなプランクトンを食べているか顕微鏡で観察しました。

すると、プロロセントラムミカンスという、赤潮プランクトンを食べていたのです。

かきは、1日にドラム缶1本、約200リットルの水を吸い込み、その中にいるプランクトンを食べて大きくなります。

このプランクトンは、汚い海で増える種類です。

かきは、仕方なくそのプランクトンを食べたのです。だから赤くなってしまったのでした。

2. 原因は何だ?

気仙沼で取れたかき

かきが好きなのは、ケイソウ類という種類のプランクトンです。

森の落ち葉がくさってできる腐葉土の中に、植物プランクトンを育てる養分が含まれています。

森が荒れ、川の水が流れると、赤潮プランクトンが増えるのです。

気仙沼湾に流れ込んでいる川は、岩手県の室根山が源流の大川です。

大川を河口から上流まで歩いて観察してみました。

河口には水産加工場がたくさんあり、その工場からは排水がそのまま流されていました。

まちの中を流れる側溝もとても汚い水が流れていました。

やがて、水田が広がっていました。昔にくらべて、田んぼが静かなことに気がつきました。

草を刈っているおじさんに聞いてみると、農薬や除草剤を使うようになって、どじょう、タニシ、ゲンゴロウなどがいなくなったというのです。

山に行ってみました。

昔は、雑木林が広がっていたのに、どこをみても杉山ばかりです。

中へ入ってみると、枝と枝がぶつかっていて、光が差し込まず暗いのです。

地面はパサパサで草が生えていません。

雨が降るとすぐに赤土が流れてくるのは、山の手入れが悪いからだと気がつきました。

3. 漁師たちの森づくり

海をきれいにするには、川のそばに住んでいる人々に、自然を大切にする気持ちを持ってもらわなければいけないことに気がつきました。

川の上流に、漁師が広葉樹の森をつくろう。

そうすればみんなそのことを考えてくれるはずだ。


1989年、漁師の森づくりがこうして始まりました。

合い言葉は、「森は海の恋人」。ブナ、ミズナラ、ウリハダカエデなど、3万本の木を植え、そこを「かきの森」と名づけました。

植樹祭で木を植える畠山さん
植樹祭の様子

上流から川のそばに住んでいる人たちが少しずつ自然のことを考えるようになり、大川がきれいになると海もきれいになってきたのです。漁師たちの森づくりは人の心に木を植えることでもありました。

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