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【取組の背景と具体的内容】

山形市にある農業生産法人(株)モス山形は、平成10年頃から山形市の中山間地域にある耕作放棄地を活用し、コケ植物の栽培に取り組んでいる。
中山間地域では、農家の高齢化や、耕作面積が小さく整備も進んでいないため耕作放棄となっている場所は、県外からの観光客が行き交う観光道路の沿道にあるため、雑草だらけでは観光客の印象も悪く、地元集落の住民も活用方法を模索していた。
コケ植物の栽培には、日照時間が平地より短く、霧や朝露などが発生しやすい中山間地域が適していることから、地主からの協力も得て、耕作放棄地の有効活用が行われることとなった。
現在、約15haの土地にコケ植物を栽培しているが、その中の約80パーセントが耕作放棄地を活用しての栽培である。
栽培方法は、網目状の繊維マットや種苗パレットにコケ植物がまかれ、製品として出荷できるまでに1年程度が必要で、20年は約3ha分のコケ植物を首都圏に向け出荷した。
成長したコケ植物は、独自に開発した高強度発泡スチロールのボードに大型ミシンで縫い込まれ、屋上や屋根用コケボードとして出荷されており、ヒートアイランド現象や地球温暖化の緩和対策として、建物の屋上や屋根、壁面緑化資材として施工されている。
【取組の効果、課題と今後の展開方向】
中山間地域の耕作放棄地を活用してのコケ植物栽培は、自然環境の保全と集落機能の維持と発展に寄与しているほか、高齢者でも栽培・管理が可能なことから、地元農家を含む幅広い年齢層の雇用を創出している。
このほか、コケ植物の管理は、乾燥に強く水やりなど管理の手間もかからないため、ビルの屋上や壁面緑化に適しており、冷暖房費用の20パーセント程度を削減することが可能とされている。
農村地域は、人口減少の影響で深刻な問題が起こり始めているため、都市部に集中した人口を地方に分散させるためにも、耕作放棄地を有効活用した新たな産業を創設し、農村地域の振興や雇用拡大につなげるとともに、山形県の「農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業」を活用し、耕作放棄地でのコケ植物栽培面積の拡大を図りたいとしている。
また、コケ植物の栽培は農業の技術であり、転作用作物として栽培すれば、農家が工業製品を作ることになり、農業の複合経営として活性化の一つとなればと考えている。
現在の科学技術がもたらした環境破壊を、コケ植物による自然の力を利用し、少しでも環境復元に貢献でき、今後、環境問題解決の一翼を担えればと期待している。
(平成21年12月の情報)
連絡先:山形農政事務所農政推進課 023-622-7247