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東海農政局

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「前川農産」を訪ねました

平成29年2月27日(月曜日)に、三重県津市の(株)前川農産を訪ね、取締役会長の前川さんに話を伺いました。 前川農産は、国営施設機能保全事業中勢用水地区の受益地内にあります。この地域では、前川さんが幼少の頃まで番水制(注1)のため、夜中は水番(注2)が行われていたそうです。しかし、現在は、国営中勢用水土地改良事業(昭和47年度~平成2年度)により用水路等が新設され、そのおかげで番水制もなくなりました。前川さんは、「中勢用水土地改良事業のおかげで、農作業で必要な時にいつでも水を使えるようになりありがたい。」とおっしゃっていました。  

前川さんは津市消防署に勤めながら農作業を行ってきましたが、平成9年12月に消防署を退職し、平成10年1月から専業農家となり、そして平成20年に「株式会社前川農産」を設立しました。設立当初は、役員3人と従業員1人でスタートし、現在は役員3人・従業員5人となり経営規模も拡大しています。

作付している作物は、米(コシヒカリ、みえのえみ、三重23号(結びの神)、キヌヒカリ他)、小麦(ニシノカオリ)、大豆(フクユタカ)、WCS、飼料米、飼料小麦です。以前は、キャベツも栽培していましたが、面積が増えたこともあり、この6種に絞り込んだとのことです。

面積は、米43ha、小麦32ha、大豆15ha、WCSは18ha、飼料米18ha、飼料麦5.7haです。


 

〈訪問日の作業風景〉

播種

専用農機による不耕起V溝直播(注3)

不耕起V溝直播(左記写真)後の拡大写真
小麦の間に、飼料米が直播されている様子
白い粒が肥料、ピンク色の粒が種籾

 

前川農産では、4~5年前から堆肥を利用し、化学肥料使用量を3割以上削減し作物を栽培しています。これにより「人と自然にやさしいみえの安心食材表示制度(注4)」の水稲の部で「コシヒカリ」と「三重23号」が認定されています。コシヒカリに代わる新しいブランド米「結びの神」は、この制度に認定された「三重23号」であることが条件の1つとなっています。

また前川農産は、平成25年からうるち米を津市へ寄贈していす。子供から「餅米を食べたい!」という声を聞き、平成27年から餅米5俵(約300kg)、うるち米10俵(600kg)を寄贈しています。寄贈先は、津市役所が子供関係で寄贈場所を5箇所決定しているそうです。

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終始笑顔で応対して下さった前川ご夫妻

奥様の前川さんは、三重県農村女性アドバイザーに選出され、アドバイザーの活動として学校から依頼があると米・麦・大豆などに関する食育の授業を行っています。小学校低学年には紙芝居での学習、高学年にはクイズや写真、実際の農産物を使う学習など学年に応じて授業を工夫しています。また、アドバイザー研修会では、津市内の旧市町村の各地区アドバイザーが郷土料理を紹介し情報交換するなど地域への理解を深めています。

平成29年は、ほ場のローテーションを考慮し新たに早生品種の「あきたこまち」、晩生の「どんとこい」の作付を計画するなど常に前向きに農業を取り組む姿勢が伺えます。専業農家に慣れるまで大変だったそうですが、「農業は気持ちに余裕ができる」と、素敵な笑顔でインタビューに答えてくださいました。

注1:水利用の時間による交代制度。配水面積、減水深などにより水がまんべんなく掛かる時間を算出し、それを元に配水時間割を作り、配水を実施すること

注2:水の番人

注3:乾田状態の水田にV字状の溝を掘り、肥料と一緒に種籾をは種すること

注4:消費者が安心して三重県産品を購入できるよう生産方法や生産履歴を第三者機関が確認し、要件を満たした生産物に「みえの安心食材」マークを表示する制度。 詳細は、(公財)三重県農林水産支援センターWebサイトを参照(http://www.mie-ansinsyokuzai.org/htm/about.htm

お問合せ先

木曽川水系土地改良調査管理事務所企画課

電話:052-761-3191