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東海農政局

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10.仮設工

技術の名称

技術の概要

名称 概要 会社名 登録日

ハイブリッド・山辰サイフォン放流装置

【概要】

〇「ハイブリッド・山辰サイフォン」放流装置とは。
1.天然ダムの湛水をサイフォン作用で低コストに排水して天然ダムの決壊を防止する排水装置として、平成27年度国土交通省次世代会社インフラ用ロボット(災害応急復旧・排水部門)技術に認定された。このサイフォン排水技術を老朽化した「ため池」で放流装置として活用する。
2.前述の老朽化した「ため池」では事前放流のための放流ができないため、洪水吐まで満水状態となる場合が多い。豪雨が予報された場合でも、洪水吐からの自然流下で対応できる雨量の範囲であることを祈るしか方法が無かった。このような場合に「ハイブリッド・山辰サイフォン放流装置」を緊急的に取水施設の代用として活用し水位を下げることで提体が決壊しないよう防災・減災に取り組むことができる。
3.取水施設改修までの間、暫定的に使用し「渇水」⇔「放流」を実施し「良好な提体の維持管理」に活用する。

〇「ハイブリッド・山辰サイフォン」放流装置の特長
1.口径は4インチ(口径100ミリメートル)から8インチ(口径200ミリメートル)。4インチ山辰サイフォンは車両や重機が無くても、人が歩けるスペースが有れば、全ての機材が人力で運搬・設置が簡単。(車両やクレーンなど重機が進入できる場合は8インチ山辰サイフォンを活用することより大容量の放流が可能となる)
2.従来の水中ポンプで4インチ以上を稼働する場合は、200ボルトの電源が必要であったが、山辰サイフォンは4インチ~8インチでも100ボルトの電源でサイフォン作用を起動することができる。
3.山辰サイフォン起動方法は100ボルト発電機の電源スイッチのON⇔OFFだけで操作が簡単。起動後は燃料不要のため燃料補給作業も省略できる。
4.燃料比較は従来の水中ポンプの燃料比率を仮に「10,000」とすると、山辰サイフォンの比率はわずか「7」。「10,000:7」となる。
5.水頭差4メートルで同じ口径の水中ポンプと同等の放流能力。ホース延長により一定ではないが揚程10メートルで同口径水中ポンプの2~3倍の放流能力。
6.老朽化し取水施設が放流機能不全となった「ため池」でも「事前放流」、「低水位管理」を緊急的に行なうため備蓄することで、下流地域の人々の精神的な「安全と安心」を確保することができる。
7.稼働中に燃料を燃焼しないため、異常気象等の一因とされる温室効果ガスの排出も大幅に削減して低炭素社会の構築にも貢献する放流装置。

〇「ハイブリッド・山辰サイフォン」放流装置の活用例
国土交通省近畿地方整備局発注の河道掘削工事で発生した土を利用して、老朽化した「ため池」を埋め立て盛土する工事が発注された。盛土に先駆けて、湛水を放流しなければならなかったが、取水施設が機能不全で放流できなかった。水中ポンプが検討されたが、車両や重機が寄り付けず必要な機材を搬入することが出来ない「ため池」であった。
この放流作業に、全ての機材を人力運搬・設置が可能な「4インチ(口径100ミリメートル)山辰サイフォン」を1日で搬入・設置を行ない約20,000立方メートルの排水作業を開始した。
効果:山辰サイフォン1台(1条配管)で、水頭差は約10メートル。約2.2立方メートル/分の排水量を計測した。同じ口径の水中ポンプ(1.0立方メートル/分)2台分以上の能力を確認した。搬入・設置手間も半減できた。サイフォン起動後は燃料補給作業は不要。排水作業中に2度の豪雨に遭い水位が急激に上昇したが「事前放流」的効果で被害の発生は無かった。

 

(株)山辰組
(外部リンク)

 

平成30年12月20日

お問合せ先

土地改良技術事務所企画情報課

〒460-0001 愛知県名古屋市中区三の丸1丁目2−2
電話:052-232-1057

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