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愛知県西尾市「てん茶」

平成18年度作成

深い緑、上品な香り、穏やかなうまみとコクが特徴の西尾のてん茶は、全国生産量の約2割を占める日本有数の生産地です。てん茶を茶臼(ちゃうす)で超微粉末状に挽(ひ)いたものが抹茶(まっちゃ)になります。
西尾市の北西部の矢作川左岸一帯にある小高い丘陵地を中心に広大な茶園が広がり、市全体で約150ヘクタールになります。西尾のてん茶が量も質もトップクラスの地位を築いている理由は、この地域一帯の土地は、水はけの良い砂が混ざった赤土の層となっている地質であるため、てん茶に必要な艶のある葉をつくるのに適していること。さらに矢作川の流れに沿って常に適当な湿度が茶畑一帯を覆っていることによるものといわれています。

愛知県西尾市「てん茶」

西尾市の茶の歴史

西尾の茶は、鎌倉時代の文永8年に実相寺(じっそうじ)の境内に開祖の聖一国師(しょういちこくし)が宋から持ち帰った茶種を播いたことから始まったと伝えられています。
明治5年には紅樹院(こうじゅいん)住職足立順道師(あだちじゅんどうし)が宇治より茶種と栽培技術を導入し、周囲の人達に茶栽培を勧めたことから本格的に広まっていきました。現在も紅樹院には、順道師が播いた茶の原樹が大切に植えられており、毎年、12月には茶祖祭が行われています。
昭和10年前後には西尾のてん茶生産は県下でトップレベルに達しています。戦前戦後の混乱期を経て、栽培技術や加工技術、設備などレベルアップが急速に進み現在の発展につながりました。最近では、省力化とコストダウンを図るため棚下用乗用型摘採機の開発、導入が進められています。

実相寺(じっそうじ) 実相寺(じっそうじ)

西尾で茶生産に取り組んでいる認定農業者『晴香園製茶(せいこうえんせいちゃ)杉田伸治さん』

約3.5ヘクタールの茶園と茶の一次加工施設を経営する杉田さんは、晴香園製茶の3代目です。平成12年に認定農業者(注)の認定を受けました。

晴香園製茶(せいこうえんせいちゃ) 杉田伸治さん

お茶の生産は、3月〜10月頃が繁忙期です。特にてん茶は手間をかけて育てます。新芽をふく4月上・中旬頃から茶園全体を寒冷紗等でしっかり覆い、一ヶ月ほど葉を日光から遮って育てます(遮光率約95%)。これにより、葉が薄く広がり、色合いも良く、テアニンを多く含む葉が仕上がります。細心の気配りにより育てた新芽を5月上旬から下旬にかけて手摘みします。摘み取られた茶葉は、揉(も)みや捻(よ)りなどを加えないで乾燥させます。生産者の担当する段階はここまでです(茶の生産〜一次加工)。

その後は、茶商さん達に委ねられます。茶商さん達はてん茶に独特の香りをつけるため、一次加工で乾燥させた茶葉を火入れ等を行った後で、温度・湿度が一定に保たれたクリーンルームで熱によって香りが飛ばないように低速で回転する茶臼で超微粉末状に挽き、抹茶として販売します(茶の精製仕上げ〜製品化)。

最近は生産者の高齢化による労働力不足が課題になってきていますが、地域の担い手も育ってきています。現在、杉田さんの息子さんが後継者として茶生産や経営のノウハウを習得するため、お父さんの元で頑張っています。小さい頃からお茶の生産を手伝っているうちに自然と跡を継ごうと思ったそうです。平成18年に全国でも初めて導入された棚下用乗用型摘採機(県単事業活用)のオペレーターとして頑張っています。

杉田さんの息子さん

最近の緑茶ブームから緑茶製品用に仕向けられる加工用抹茶の生産が増えています。この状況について、「西尾のてん茶の品質は棚下生産にあります。全国的にてん茶の生産は増加傾向ですが、棚下生産による高品質なてん茶で差別化を図っていきたいと思います。また、海外で同じ品質のてん茶は作れないと思います。味と香りが全然違います。(良品のてん茶の輸入はあり得ません)」と、力強く語られました。

愛知県では愛知県茶業連合会とともに「顔の見えるあいちのお茶づくり運動」を実施しています。生産者と販売者が一体となって安心安全な茶の生産・製造・流通に努め、これらの過程における施肥や防除、茶の一次加工などの情報を管理し、提供できる体制づくりをしています。消費者に対して顔の見える愛知の茶業をアピールし、高品質なお茶づくりを行っています。

注:認定農業者とは、自ら経営改善に取り組むやる気と能力のある農業者が、農業経営のスペシャリストを目指して「農業経営改善計画」を作成し、市町村の認定を受けた者。

西尾市とお茶

西尾市では、市民大茶会のほか、四季折々にお茶会や野点(のだて)が開かれるなど、日頃から「お茶」に親しんでもらうようなイベントが開催されています。

また、市内の小・中学生や保育園等では、体験学習として、5月上旬から下旬にかけてお茶の手摘みを行ったり、学校茶会等が催されています。また、お茶は健康にも良いことから給食にも抹茶を使った献立が提供されています。小さい頃からお茶に接することで興味を持つことができると考えられています。


取材協力:西尾市茶業組合
参考資料:西尾市市役所、西尾市観光協会、西尾市茶業振興協議会「日本一の抹茶の里・西尾」

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ダイヤルイン:052-223-4624
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