ホーム > 政策情報 > 分野別情報 > 農業 > 農産物の生産流通 > 東海の茶 > 岐阜県揖斐川町・池田町「美濃いび茶」


ここから本文です。

岐阜県揖斐川町・池田町「美濃いび茶」

平成19年度作成

岐阜県で生産される「美濃茶」は、西濃地域でつくられる「美濃いび茶」と中東濃地域でつくられる「美濃白川茶」の二大銘柄としての販売が行われており、各地域には他にも個性的な銘柄が数多く存在します。
岐阜県では食の安全・安心を求める消費者の声に応えるとともに、環境への負荷に配慮した人と環境にやさしい農業「ぎふクリーン農業」を推進しています。茶生産においても、生産者の努力と工夫によって積極的な取組が行われています。

美濃いび茶の歴史

古くは室町時代の池田町の茶園の記録が残っており、江戸時代に幕府御用番茶となったことにより「美濃茶」が誕生したといわれています。また、開国から明治初頭にかけて輸出産物として生産面積、生産量ともに増大し、「美濃いび茶」の名は広く知られるようになりました。
その後、製茶機械の導入を比較的早期に行い、養蚕景気の変動、戦争や食糧増産優先の施策などの影響を受けながら何度かの茶園の増減を繰り返し、現在に至っています。昭和43年には揖斐川町の桂区で、昭和50〜60年代には池田町(3か所)で生産組合による共同加工施設が設置され、現在の生産体制を築きました。

ぎふクリーン農業とは

岐阜県では、食の安全・安心確保と環境との調和を図った農業を推進するため、たい肥等を適切に使用した土づくりを基本として、従来の栽培に比べて化学合成農薬・化学肥料をそれぞれ30%以上削減する栽培法を「ぎふクリーン農業」と定め、推進しています。
従来の栽培方法と同等の収量・品質を確保するため、生産現場では耕種的防除法、非化学合成農薬、性フェロモン剤(害虫の交尾を阻害し、次世代の密度を減少させる資材)、微生物農薬、有機質肥料、緩効性肥料(長期にわたり肥料がしみ出すため流亡が少ない肥料)等の代替技術・資材の導入と、技術の組み立てが進められています。
これらの取組は、労働時間やコストの増大がネックで、生産者の工夫と絶え間ない努力のもとに成り立っています。

桂茶生産組合(揖斐川町)

揖斐川町の茶生産は、農業産出額で水稲に次いで第2位と重要な地位を担っています。三方を山に囲まれた水はけのよい平坦部に、「農事組合法人桂茶生産組合」は68haの茶園を展開しています。
桂茶生産組合では、せん茶の加工施設とてん茶の加工施設を併設しており、幅広い茶種の生産を行っています。昭和40年代から集団茶園の造成に取り組み、平成3年には乗用摘採機が導入されました。現在では、30台を超える乗用摘採機がほぼ全域で稼働し、効率的な生産体制の整備による集約化が行われています。
販売はほとんどが共販となっていますが、加工施設敷地内に組合員の女性後継者が経営する直売所が設置されており、直売所での販売のほか、道の駅などで委託販売を行うなど、産地直詰めのメリットを活かした販売展開により順調に売上げをのばしています。なお、従業員のうち3名は、日本茶アドバイザーの資格を取得しており、消費者との顔の見えるやりとりの中で得られる需要などの情報を茶生産に反映しています。

桂茶生産組合が取り組むぎふクリーン農業

桂茶生産組合の「ぎふクリーン農業」への取組では、化学合成農薬を減らすために、害虫防除に用いる性フェロモン剤を活用しています。性フェロモン剤は害虫を直接殺傷するわけではないため、小面積や飛び地で行うと効果が安定しません。桂茶生産組合では茶園の大規模なまとまりを活かして取り組み、高い効果を得ています。
また、化学肥料の使用量を低減するために、有機質肥料を施用しています。現在、全世界的な原油価格の高騰や、バイオ燃料用作物生産の増加等の影響を受けて、有機質肥料が値上がりしています。このため、地域資源を用いた肥料活用が検討されています。

乗用摘採機(写真提供:揖斐農林事務所) 美濃いび茶直売所
乗用摘採機(写真提供:揖斐農林事務所) 美濃いび茶直売所

美濃いび茶宮地生産組合(池田町)

池田町の茶生産も、水稲に次ぐ第2位の農業産出額をあげています。池田山麓の傾斜地を中心に茶園が広がっており、主に3つの生産組合で、113haの茶栽培が行われています。扇状地特有の石の多い茶園での管理作業は労力を要しますが、水はけのよさ等から、生産されるお茶の美しい水色と香りが好評を得ています。
「農事組合法人美濃いび茶宮地生産組合」は、兼業農家、高齢農家を含めて27戸の生産農家からなり、46.7haの茶園を維持しています。傾斜地という課題もありますが、将来の産地維持に向けた乗用摘採機の導入も少しずつ進められています。

美濃いび茶宮地生産組合が取り組むぎふクリーン農業

美濃いび茶宮地生産組合でも、「ぎふクリーン農業」への取組を開始し、本年登録申請を行いました。有機質肥料と緩効性肥料を組み合わせた施肥体系を導入し、たい肥投入を積極的に行うことによって収量と品質の維持を図る努力を進めています。
また、荒茶加工段階での衛生管理を徹底するために、新たに生葉異物除去装置を導入するとともに、衛生管理の徹底を進め、さらなる茶の品質向上を目指しています。

池田町茶園 生葉異物除去装置
池田町茶園 生葉異物除去装置

取材を終えて

近年、食の安全・安心への関心が高まっており、お茶についても、飲用や食品原料として用いられるため、その例外ではありません。こういった消費者のニーズに沿うお茶をつくるために、「美濃いび茶」の産地でも、「ぎふクリーン農業」に取り組んでいます。また、この取組は地域環境の保護にも有効です。
こうして生産される「美濃いび茶」は、労働時間、生産コストが増加するという中で、これまでのおいしさを損なわないお茶を生産するための工夫、努力のたまものです。一杯のお茶が生み出される背景に、農家の意欲的な取組・挑戦があることを実感しながら飲んでみると、「美濃いび茶」にまた新たな味わいが加わるのではないでしょうか。
その上で、こうしたお茶や生産農家に対する消費者からの理解と応援があれば、今後この生産方式はますます広がっていくと思われます。逆の言い方をすると、消費者の求めるこうした新たな方式を継続していくには、消費者からの応援が不可欠なのではないでしょうか。
消費者と農家、双方の熱意による「ぎふクリーン農業」のような新たな茶生産の高まりを期待しています。


取材協力:
桂茶生産組合、美濃いび茶宮地生産組合
岐阜県農産園芸課、岐阜県西濃地域揖斐農業改良普及センター、揖斐農林事務所農林振興課

ページトップへ

お問い合わせ先

生産部園芸特産課 
担当者:農政調整官(畑作経営)
代表:052-201-7271(内線2426)
ダイヤルイン:052-223-4624
FAX:052-218-2793

リンク集