令和4年度消費者団体等との意見交換会(香川県)の概要
中国四国農政局では、消費者団体等との意見交換会を高松市で開催しました。 |
1. 開催日時、場所
令和4年11月14日(月曜日) 13時30分~15時50分
高松サンポート合同庁舎南館会議室
2. テーマ
環境にやさしい持続可能な消費
3. 中国四国農政局からの情報提供
(1)みどりの食料システム戦略について
(2)第4次食育推進基本計画について
(3)食料・農業・農村基本法の検証・見直しについて
4. 出席者(順不同)
- 香川県漁協女性部連合会
- JA香川県女性部
- 香川県消費者団体連絡協議会
- 香川県食生活改善推進連絡協議会
- 一般社団法人 香川県婦人団体連絡協議会
- 香川県生活協同組合連合会
- 高松市消費者団体連絡協議会
- 公益社団法人 香川県栄養士会
- 株式会社さぬき有機(話題提供:有機農業生産者)
- 四国地方ESD活動支援センター(話題提供:環境活動実践者)
出席者計 | 16名 |
消費者団体等 | 10名 |
農政局 | 6名 |
5. 取組紹介等
(1)株式会社さぬき有機
昭和50年代、みかんの防除作業をしていた母に体調不良が生じたことを機に、減農薬栽培への取組を開始。その後、有機JASの認証制度ができた2000(平成12)年に有機JAS認証を取得。平成28年に法人化し、現在は坂出市で野菜約3.5ha、柑橘約7ha)を栽培。主に根菜類、たまねぎ、にんじん、葉物、坂出市特産の金時いも、金時にんじん、金時みかん(小原極早生)などを有機栽培している。また、野菜苗が売上げの約半分を占め、さつまいもやたまねぎの苗を有機栽培農家や家庭菜園向けに販売している。取引先は、関東圏(7
割)、中部圏、関西圏等で、企業間取引(B to B)が中心。
農産物生産において安全・安心というのは当たり前であり、今後は環境に配慮した農業が最重要になっていく。生産コストを抑えて取引先や消費者等が購入しやすい価格で提供・販売していきたい。一方で、資材が高騰し、昨今では豪雨や高温などの異常気象の発生など、農業の継続には危機的な状況。農業者ひとりひとりが農薬の量を減らすなど環境に配慮した農業に取り組むことが必要。
有機農産物を生産する上で一番手間暇がかかるのは除草作業。人海戦術により手作業で除草しているため人件費の割合が高くなる。これを考慮し採算性のとれる価格設定で販売するため、有機農産物の価格は慣行栽培に比べて高くなる。現行で1%に満たない有機農産物のマーケットの拡大、有機農業の取組面積の拡大のためには、生産規模の拡大やコスト削減につながる除草技術の開発・実装が望まれる。
(2)四国地方ESD活動支援センター
SDGsの認知度は8割を超えたと言われているが、当センターではSDGs達成にとても重要な役割を果たす「教育」を推進(EはEducation。E+SDでESD。)。SDGsの推進には、経済と環境と社会の3つのバランスが取れていることが必要であり、それを支えるのが教育。センターではESDに関する窓口として情報を提供したり、勉強会やネットワークづくり、相談業務、人材育成を実施している。
ESDの活動は、パートナーとなる団体、企業、市民団体、教育委員会などとともに進めており、四国には17の地域ESD拠点がある。新型コロナで修学旅行の行き先が大きく変わったことなどにより、旅行代理店等からの問い合わせが増えた。少人数で体験ができ、学びができるような企画へのニーズがあり、例えば農業体験や地域の特産品に触れるプログラムを入れることにより持続可能な地域づくりにつながる。
また、地域の事例として「うどんまるごと循環コンソーシアム」の取組を紹介する。香川県は、うどんの生産量も消費量も日本一だが、廃棄量も多くもったいないという観点から、残ったうどんを活用し循環させる活動「うどんまるごと循環プロジェクト」にも取り組んでいる。廃棄予定のうどんをタンクに入れて発酵させ、発生したメタンガスにより発電して電力会社に売電するとともに、タンクの下にたまった汚泥を肥料化して小麦畑に散布し、そこで収穫した小麦からうどんを作っている。そもそもうどんを残さないことが大事なので、残ったうどんでもまだ食べられるものを届けるフードバンクの支援や、学校で食品ロスのことを伝える活動も行っている。
6. 出席者からの主な意見等
- 食料自給率が低い中、消費者として日本の農業・農産物を大事にし、国産国消に取り組む必要があることがよくわかった。一方、日本のような多湿の国で有機農業に取り組むのはなかなか難しく、慣行栽培に比べてコストがかかり、生産量も少なくなり、値段が高くなるのではないか。
- 有機農産物の値段が少々高くても買いたいところだが、家計維持のためお財布との相談になってくる。消費者は、有機農産物の価格が割高であっても、買う価値があると判断できれば買うと思う。その価値がどう伝えられるかにかかっている。
- 消費者の食への関心は年々高まっており、地産地消という言葉は若い世代にも浸透しているし、食品表示を見て購入する人も多い。産直コーナーを設けるスーパーも多く見かける。将来を担う子供への食育教育はこれからも続けていくべき。私たちが食べるものは私たちで作るという意識が地産地消に結び付く。地産地消について学校教育の中でもとりあげてもらいたい。
- 調理済み食品を購入する人が増えるなど、消費者の消費行動が変わってきており、農業との繋がりや、農場から食卓までの入口と出口の状況が変化してきている。生産者や流通側も消費者の行動が変化していることを意識して生産するとよいのではないか。
- ペットボトルのお茶の浸透で、お茶の淹れ方、急須の使い方を知らない若い世代の親が見受けられる。核家族化の影響か、スーパーで調理済み食品を買うことが多くなっており、祖母から母へ、母から子供へなど、昔からの食の伝承が薄れていると感じる。
- 学校、保育園、福祉施設等での給食の外部委託が進む中で、全国規模の大手企業が受託した場合、東京・関東ベースのレシピや味付けによるメニューばかりとなりがち。郷土食のメニューを給食で提供したくても、全国チェーンの業者では郷土の特色ある食材の調達が困難で、他の野菜等に変更せざるを得ないこともある。
- 農薬や除草剤に使われている化学物質による人間の体や子どもの発育への影響、将来にわたる影響などが懸念される。話題として取り上げる機会を増やし、情報発信してほしい。
7. その他(意見交換会写真等)
![]() 意見交換会の様子 |
![]() 株式会社さぬき有機(宮下代表取締役) による取組紹介 |
![]() 四国地方ESD活動支援センター(宇賀神 事務局長)による取組紹介 |
お問合せ先
消費・安全部消費生活課
代表:086-224-4511(内線2322)
ダイヤルイン:086-224-9428
FAX番号:086-224-4530