コラム―2つの吉野川四国の吉野川と奈良の吉野川(和歌山県内に入ってからは「紀の川」)は、名前も同じですが、その特徴も双子のようによく似ています。四国は瓶ヶ森(かめがもり)、奈良は大台ヶ原(おおだいがはら)という日本でも有数の多雨地帯を水源に持つこと、まず北に向かって流れ、中央構造線の谷間に出会うとほぼ90度向きを変えること、向きを変えた後は、中央構造線に沿って紀伊水道(きいすいどう)まで真っ直ぐに流れていくことなど、ざっと挙げるだけでも多くの共通点を持ちます。 両河川の河口部には、徳島平野と和歌山平野がそれぞれ広がっていますが、いずれも雨の少ない気候にも関わらず、水源地に豪雨が降るたびに、一挙に押し寄せる洪水に苦しみ続けてきました。また、川の北側にそびえる山地を越えたところには、それぞれ讃岐(さぬき)平野、大和平野という大平野がありますが、こちらは恒常的な水不足に悩まされ続けてきました。 以上のように地形的、歴史的にも良く似た2つの吉野川は、いずれも戦後、総合開発計画区域に指定され、調査が行われることになります。結果、四国は四国4県が、奈良は和歌山との2県が、行政区分を超えて治水・利水・分水を行う計画が決定し、ほぼ同時期に「香川分水(昭和49年(1974))」、「吉野川分水(昭和51年(1976))」という大事業が実現しています。 【図】四国の吉野川と奈良の吉野川 |
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