平成30年度中国四国農政局国営土地改良事業地区営農推進功労者表彰 有限会社あぐり
1.所在地及び営農の概要
・所在地 : | 愛媛県伊予郡松前町 |
・耕作面積: | 水田 :51.8ヘクタール 普通畑:0.7ヘクタール |
・主要作物: | 水稲:38.8ヘクタール、じゃがいも:2.7ヘクタール、ブロッコリー:1.7ヘクタール、 サニーレタス:1.6ヘクタール、かぶ・だいこん:2.3ヘクタール、白ねぎ:0.6ヘクタール さといも:1.0ヘクタール、トマト:0.1ヘクタール |
2.具体的な活動内容等
(1)国営かんがい排水事業による安定的な用水を活用し、企業の農業参入の愛媛県最初の優良事例
有限会社あぐりの母体企業は、株式会社愛亀で土木工事等の社会基盤整備を行う企業で、有限会社あぐりを含め、数社からなる愛亀グループを形成している。有限会社あぐりを設立したきっかけは、平成9年以降の公共事業が減少していることであり、このことに危機感をいだいた社長が従業員の働く場所の確保の必要性と国営かんがい排水事業「道前道後平野地区」による安定的な用水が供給されているという有利さを活用し、新たなビジネス展開として農業参入するため、平成12年に有限会社あぐりを設立した。営農に当たっては、安定的な用水供給される有利さをいかし、年間を通して、水稲を中心にレタス、じゃがいもなど高収益作物を新規作物として導入し栽培している。
(2)ICTを活用して土壌成分測定、食味値をほ場ごとに把握し、品質の確保を実現
東京農工大学との連携により、科学的な栽培方法として精密農業を目指し、平成16年度からはトラクターで牽引しながら土壌成分を測定できる装置(分光計)により、土壌情報とトラクター位置のGPS情報からほ場ごとに土壌マップを作成している。土壌成分測定と水稲の食味値をほ場ごとに行い、データを蓄積することにより、ほ場の水稲の食味値の分布が均質に一定以上となるような施肥管理を行い、経費の節減と品質向上に役立てている。食味については愛媛大学との連携によりほ場ごとに食味値を測定して適切なほ場管理に向け取り組んでいる。水稲については、ほ場ごとの番号管理により、施肥量、栽培履歴、収量、食味値を管理している。出荷の段階でもある程度、それらの管理履歴を追う事ができトレーサビリティーとしての管理も行っている。施肥については、自社製造の堆肥により環境にやさしい農業を実践している。このようにほ場ごとの土壌成分、食味値、栽培履歴等のデータを科学的に結び付るICT活用型の農業により、精密農業を実践した今後の農業振興のモデルとなっている。
(3)地域と協調しながら農地の借地により規模拡大・農地集積を進め、耕作放棄地の発生防止
有限会社あぐりの設立時には、農地所有面積は0.8ヘクタールであったが、平成13年度から農地の借り入れを行い、平成13年8ヘクタール、平成14年16ヘクタールと面積を増やしている。平成14年12月には、農地募集の折り込みチラシ約15,000枚を地元新聞紙に入れ企業参入としてマスコミにも取り上げられた。このため、平成15年以降大幅に借り入れ面積を伸ばし、設立から5年後の平成17年には32ヘクタール、平成18年以降は、約50ヘクタール前後となるように計画的に借り入れ面積を調整し、大規模な土地利用型農業の経営を行うに至った。愛媛大学が行った有限会社あぐりに農地を貸し付けている農家に対する調査結果によれば、貸し手農家の多くは高齢農家であった。高齢化した農家等から農地を借り受けることにより、耕作放棄地の発生を防止し、国営かんがい排水事業「道前道後平野地区」の用水有効活用に役立っている。農地の借り入れにあたっては、農業経営基盤強化促進法の利用権設定等促進事業を活用して、農業委員会を通して賃貸借契約を締結して行っている。その際、松前町の集落営農組織が主体的に活動している集落からは、積極的な借り入れは行わないなど、地域農業者との協調を図っており、地域全体の農業振興にとって望ましい事例となっている。
3.契機となった国営土地改良事業の概要
・事業種名 : | 国営かんがい排水事業 |
・事業地区 : | 道前道後平野地区(平成元年度~平成22年度、施設機能監視:平成23~25年度) |
・関係市町村: | 愛媛県西条市、松山市、伊予市、東温市、伊予郡松前町、砥部町 |
・受益面積 : | 10,318ヘクタール |
トラクター牽引による土壌成分測定 | 自社製造の堆肥散布状況 |
雑草を抑制するための紙マルチを敷設しながらの田植 | じゃがいも栽培状況 |
お問合せ先
農村振興部農地整備課
担当者:営農推進係
代表:086-224-4511(内線2562)
FAX番号:086-234-7445