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北海道農政事務所

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第1回食品安全セミナー(食品安全の基礎知識)

【時期】平成30年7月10~20日
【場所】北海道札幌東高等学校1階被服教室(札幌市白石区)
【主催】農林水産省北海道農政事務所、北海道札幌東高等学校

   農林水産省北海道農政事務所では、生命を支える「食」と安心して暮らせる「環境」を未来の子どもたちに継承していくことを使命としており、将来、日本の社会と食料消費を担う若年層を対象に、食品安全等の理解を深めることを目的として、食品安全をテーマとしたセミナーを開催しています。
   今回は、北海道札幌東高等学校の1年生(受講者合計:312名)を対象に、家庭科の時間を利用し、北海道農政事務所消費・安全部消費生活課 消費経済係長 高橋 誉志行から「食品安全の基礎知識」として情報提供を行いました。

   教室全体の様子
   (教室全体の様子)

1  情報提供の概要

    (1)食品安全とは

   食品が安全であるとは、国際機関のコーデックス委員会において、「予期された方法や意図された方法で作ったり、食べたりした場合に、その食品が食べた人に害を与えないという保証」と定義されている。
   食品安全に係る危害要因(ハザード)とは、健康に悪影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物質又は食品の状態であり、生物学的危害要因、化学的危害要因、物理的危害要因の3つに分類される。
   食品安全に係るリスクとは、食品中に危害要因が存在する結果として生じる健康への悪影響が発生する確率と影響の程度のことであり、リスクの大きさは、危害要因の毒性とその摂取量で決まる。
   したがって、栄養素などの必要な物質であっても、多量に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、どんな物質・食品も健康に影響する可能性があることから、「安全な食品」と「危険な食品」を明確に区別することはできず、絶対安全(リスクがゼロ)はない。

    (2)ADIとは

   化学物質の量と健康影響を調べるため、マウスやラットなどの実験動物へ化学物質の投与量を増やしていくと、ある摂取量までは健康影響はないが、更に摂取量を増やしていくと、体の機能に影響が生じるなどの症状が現れる。
   更に摂取量を増やしていくと、短期間や1回の摂取で症状が現れる中毒症状が見られ、更に増やすと死亡するという摂取量と健康影響の関係性が得られる。
   このとき、健康影響が出ない最大摂取量が無毒性量となる。
   人と実験動物との差を「10」、人と人の間でも感受性の違いがあるので「10」、掛け合わせて「100」を安全係数として、無毒性量を安全係数で割った値がADI(一日摂取許容量)となる。
   ADIは、人がある物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康に悪影響がないと推定される一日当たりの量で、単位はmg/kg体重/日などで表される。
   そして、私たちが実際に食品から摂取している量は、ADIと比べてかなり少ない量となる。
   また、健康への急性影響を判断する指標としてARfD(急性参照用量)があり、人がある物質を短期間(1日以内)に摂取しても健康に悪影響を示さないと推定される量である。

    (3)食品の安全を守るしくみ

   食品安全委員会は、食品中に含まれる危害要因などによる健康影響を科学的な根拠に基づき「リスク評価」を行い、農林水産省や厚生労働省は、食べても健康影響の可能性が低くなるような基準や指針を定める「リスク管理」を行う。
   そして、リスク評価やリスク管理を決める際、関係者との間で相互理解や意見交換のための「リスクコミュニケーション」を行う。  

    (4)ADI(一日摂取許容量)、ARfD(急性参照用量)を用いての食品安全の判断

   食品衛生法で定められた農薬の残留基準値を超えた食品の場合でも、その危害要因が含まれている濃度(ppm)とその危害要因ごとに評価されたADI、ARfDを用いて計算することによって、健康影響の可能性が高いのか低いのかを判断することが可能である。 

授業の様子
     (授業の様子)


計算演習の様子
     (計算演習の様子)
  

   (5)まとめ

ア   食品のリスクの大きさは、危害要因(ハザード)の摂取量とその毒性で決まる。
イ   健康への影響を判断する指標として、ADIやARfDがあり、残留農薬基準は、農家が農薬を使用基準に従って適正に使ったかどうかを確かめ
   るための指標である。
ウ   食品からのリスクを低減するためには、過度な偏食に注意し、バランスの良い食生活を心がけることが大切である。

2  授業を受けての感想

   アンケートでは、以下のような感想をいただきました。
・健康に影響が出ないと推定される量を私たちでも計算すれば求められることに驚きました。
   また、残留農薬基準値を超えても必ずしも健康に影響があるわけではないということは初めて知りました。
特に興味深かったのは、ビタミンや食塩は摂取しすぎても健康に悪影響だということです。
   私はビタミンは摂取しすぎても問題ないと思っていたので衝撃を受けました。

   ○×クイズの様子
   (○×クイズの様子)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

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