せきかわ活動日誌「ICTモデル事業実証試験を実施中」
当事業所では、揚水ポンプ及びほ場に設置されている末端給水栓を遠隔操作・自動化して、揚水ポンプの運転及び農作業の負担軽減や、限りある用水の有効活用を目的としたICTモデル事業の実証試験を行っています。
場所は、中江幹線用水路の受益地である津有南部第1地区です。この地区では、揚水ポンプから用水を6ブロックに分かれた合計215haの水田にパイプラインで送水しています。多くの農家が水を必要とする5月の代かき期や7月下旬の中干し後の再たん水時などには需要が集中するため、末端給水栓から水が出にくくなるほ場があるという悩みを抱えています。
津有南部地区第1揚水機場
(左側はポンプの安定的な運転のために用水路からの水を一時的に貯留する調整池)
津有南部第1地区
今年度は、以下の3つの取り組みを行っています。
- 揚水機場からの用水を各ブロックの面積に応じ、均等に配水するよう揚水ポンプの流量調整弁を自動制御。
- 第4、第5ブロックにおいて、ほ場の末端給水栓を自動制御。
- 揚水ポンプと流量調整弁及びほ場の末端給水栓を遠隔操作。
各ブロックへの送水量を見える化
揚水ポンプの能力は最大毎分43.2立方メートルで、24時間かけて全ブロックに均等に配水する計画になっています。一方で、農家が水を必要とする時間帯は様々なため、水需要が1日のうち昼に集中すると水が出にくくなるほ場が発生します。その度にポンプ運転員に送水量を増やすよう要望があり、揚水機場の流量調整弁を各自の感覚と経験で調整するなど対応に苦慮していました。そのため、各ブロックへの送水量を「見える化」し、流量調整弁の開度調整を自動で行うようにしました。
各ブロックへの現在の送水量と調整弁開度が瞬時にわかる
グラフや表で各ブロックの送水量の変化やポンプ始動からの積算量も把握
各ほ場の水位を自動制御
第4、第5ブロックでは、ほ場に設置されている水位計により水位を計測し、水位の低下・上昇に合わせて自動で末端給水栓を開閉するシステムを導入しました。これにより、貴重な水を無駄にせず、水が出にくくなるほ場にも安定して水が行き渡るようにすることを目指します。
末端自動給水栓とシステム画面
いつでもどこでも操作可能
揚水機場と末端給水栓のシステムは、インターネットサイトで閲覧でき、パソコンやスマートフォン・タブレットがあれば、どこでも揚水機場や末端給水栓を操作することが可能です。これまで操作のために現場に行っていた時間を削減し、ポンプ運転員や農家の労力を軽減できます。
ポンプ運転員12名、末端給水栓自動制御システムの導入に協力していただいた農家約20名の方々に丁寧に説明し、スマートフォンで上図のシステム画面をスムーズに操作していただけるように実証試験を進めています。ICTを活用した取り組みはまだ始まったばかりですが、大規模経営の進展や人口減少に伴う労働力不足により、水管理にかかる労力を削減していく必要があることから、そのニーズはますます高まっていくものと思われます。
農家の方への説明会
ポンプ運転員の方への説明会
お問合せ先
関川用水土地改良建設事業所
〒943-0154 新潟県上越市稲田1-1-7
電話:025-521-6040(代表)
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