クローズアップ北陸農政局長賞
平成28年度に北陸農政局長賞を受賞された方々の取組や現在の様子をご紹介します。 |
邑知潟水土里(おうちがたみどり)ネットワーク(石川県羽咋市・鹿島郡中能登町・羽咋郡宝達志水町(※1))
(※1)羽咋郡宝達志水町については、受賞後に6町会が参加。
【表彰目的】「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律(平成26年法律第78号)」に基づき、北陸農政局の管内において取り組まれている「多面的機能発揮促進事業」のうち、優良な活動を表彰し、関係者の意欲の高揚を図るとともに、同事業による各種の取組の推進に資することを目的としています。 |
1.受賞概要

今回、お話を伺った
邑知潟水土里ネットワーク会長の原 潔さん
邑知潟水土里ネットワーク(以下「当ネットワーク」と言う。)は、石川県能登半島のほぼ中央に位置する羽咋市のほぼ全域と中能登町南部で活動しており、農業者の高齢化や混住化(※2)が進む中、担い手への農地集積を図り、地域住民と一体となって、農村環境資源の保全管理に取り組んでいます。
邑知潟土地改良区事務局を中心として49集落で広域組織化を図り、地域ごとに農業者や集落代表等を集めた意見交換会を開催することで、草刈りや泥上げ等の共同作業を集落間の人員等の融通や隣接集落と合同で実施するなど、地域間での保全管理体制を構築しており、共同作業を通じて集落間の交流につながっています。
また、自治会や女性の会、子供会、学校等の多様な団体と連携し、絶滅が危慎されるホクリクサンショウウオの生息地の整備や保育園との生き物調査による生態系保全に取組むほか、地域住民の参加による農道や水路のゴミ拾い、水路・法面への花の植栽等を通じて活動参加者が増加し、非農家への活動の理解が進んでいます。
(※2) 農業集落において農家と農家以外(土地持ち非農家及び非農家)が混在して存在すること。
2.組織の立ち上げにあたりご苦労された点や受賞に対する思いをお聞かせください。

これまで当地区でも江堀り・草刈り等は、農家が行っていましたが、末端までの管理は充分ではありませんでした。平成19年度に農地・水・環境保全向上対策(現多面的機能支払交付金)制度が創設されたことを機に、平成18年から19年にかけ全ての町会の集まりに出向き、町会長・生産組合長さん同席の下で、この事業の優位性について説明し参加するよう要請して回りました。
当初は、なかなか理解してもらえず、まとめるのは大変でしたが、全町会で1活動組織が出来ないか協議を重ねた結果、各町会と管理協定書を締結することにより、1活動組織とすることが出来ました。
今回の受賞は大変喜ばしいことですが、当ネットワークにとっては、当たり前の作業をしているだけなので、あまり実感はありません。今後も引き続き地区の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
3.組織体制において工夫した点を教えてください。
当ネットワークは、管理区方式を採用し、各町会・団体と個別に管理協定を結ぶことにより、個人ではなく町会等に交付金が入るような体制にしたので、個人へ直接支払うことはなく事務の軽減になりました。農地維持支払いは町会単位、資源向上支払いは公民館単位で活動資金を確保することにより、各地区が自ら計画を作り取り組んでいます。
その他、広域になったため、地区の小学校や幼稚園から、田植え体験、生き物調査、花を植えたい等、競争するように話を持ってきてくれます。
また、羽咋市が行政として参加してくれているので、材料は市が購入し施設費はこちらで支払うこと等、分担しながら事業を効率よく進めています。

邑知潟水土里ネットワーク組織図
4.1活動組織のメリットや今後の課題をお聞かせください。
当地区を1活動組織にすることにより、町会間で共同作業が出来るようになりました。また、農家数が減少していくなか、非農家の方も参加してくれるようになり、年一回の草刈りでも、参加することによって農地に関心を持ってくれます。
特に、農村環境保全活動は、参加者の多くが非農家であり、町会として取り組むことにより非農家が参加しやすい体制となっています。地区がまとまれば当然交付金も多くなるので、色々な事に取り組めることも大きなメリットです。
当ネットワークを立ち上げ後、脱退する町会はなく、新しく宝達志水地区の6町会も参加することで、土地改良区内すべての58町会になったことが当ネットワークが成功している証だと思っています。
最初は苦労しますが1活動組織にするメリットは大きいので、ぜひ他の土地改良区でも取り組むべきだと思います。
今後の課題としては、今の用水路は大きくなり、人の力では維持管理が出来なくなってきているので、土地改良区で作業等を実施することを考えています。
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