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食料・農業・農村政策審議会 第32回家畜衛生部会 議事録

1. 日時及び場所

平成30年3月22日(木曜日) 13時30分~15時24分
農林水産省本省   第2特別会議室

2. 議事次第

  1. 開会
  2. あいさつ
  3. 議事
    (1) アルゼンチン・パタゴニア地域について口蹄疫の地域主義を適用して牛肉・羊肉を輸入することについて
    (2) ウルグアイ(口蹄疫ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めることについて
    (3)その他
  4. 閉会

3. 概要

午後1時30分   開会

  • 熊谷動物衛生課長
    定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会第32回家畜衛生部会を開催いたします。
    委員の皆様方におかれましては、本日は、年度末のご多忙中の中お集まりいただき、まことにありがとうございます。私は、当部会の事務局を担当しております、動物衛生課長の熊谷でございます。よろしくお願いいたします。
    それでは、開会に当たりまして、消費・安全局審議官の小川からご挨拶申し上げます。
  • 小川審議官
    皆さん、こんにちは。第32回の家畜衛生部会の開催に当たりまして、一言挨拶申し上げます。
    委員の皆様におかれましては、日ごろから農林水産行政の推進にご理解、ご協力賜りましてありがとうございます。また、熊谷課長からもありましたとおり年度末の時期でございますが、ご参加いただきましてありがとうございました。
    皆さんもご存じのとおり、本年1月、香川県で高病原性鳥インフルエンザが発生いたしました。関係する都道府県、市町村、あるいは関係行政機関が24時間体制で防疫作業に当たっていただいたところでございます。また、農研機構の動物衛生研究部門の専門家の皆様にもご協力をいただき、あとはもう皆さんご存じのとおり、早期に収束することができた次第でございます。
    ただ、周りの国、中国、韓国を初めとするアジアの諸国を見ていただきますと、高病原性鳥インフルエンザはもとより口蹄疫もまだまだ発生しているところでございます。地域を広げてロシア、ヨーロッパを見てみますと、我が国未侵入のアフリカ豚コレラの発生がまだ続いているということで、ここは緊張感を持って、国際連携を進めながらも水際対策を強化して、万が一のときには国内防疫の徹底を図っていくということが引き続き重要になっていると考えております。
    同時に、我が国は、これも新聞等々でも時々出てまいりますが、農林水産物、食品の輸出促進ということに力を入れております。具体的には平成31年までに1兆円ということで目標を掲げているところでございます。中でも、この家畜衛生部会で対象としております畜産物は、いい成績を伸ばしているところでございます。特に牛肉は前年比で4割以上アップということで伸びてきているところでございます。昨年には16年ぶりになりますけれども、台湾への牛肉の輸出再開にまでこぎ着けることができた次第でございます。やはりこの分野、まさに家畜衛生部会で取り扱うというテーマと共通するんですけれども、この種の話というのは、やはり国際ルールに整合している日ごろの行政、さらに個別の判断については科学に基づいて判断していくということが重要で、その成果が出てきているものだというふうに理解しております。
    本日ご審議いただくものは2つ、主としてございます。アルゼンチン・パタゴニア地域についての口蹄疫の地域主義を適用して牛肉、羊肉を輸入することについて、それから、ウルグアイ(口蹄疫ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めることについてということが議題になっております。
    それぞれ平成28年3月、あるいは平成29年5月の諮問以降、牛豚等疾病小委員会の委員の皆様方で議論をいただいてきたところでございます。また、昨年10月には、この小委員会を代表して西委員に、ウルグアイにおけるリスク管理措置に係る現地調査を実施していただきました。本日は、牛豚等疾病小委員会のご検討の結果を村上委員長からご報告いただきたいと思っております。
    なお、委員の皆様におかれましては、家畜衛生行政の推進のため、それぞれのお立場で忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
    本日はよろしくお願いいたします。
  • 熊谷動物衛生課長
    小川審議官、ありがとうございました。
    さて、現在、家畜衛生部会の委員は18名でございます。本日は13名のご出席をいただいておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定により、定足数6名を満たしていることをご報告いたします。
    続きまして、本日出席しております事務局を紹介させていただきます。
    国際衛生対策室長の伊藤でございます。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
  • 熊谷動物衛生課長
    家畜防疫対策室長の石川です。
  • 石川家畜防疫対策室長
    石川でございます。よろしくお願いします。
  • 熊谷動物衛生課長
    課長補佐の林。
  • 林課長補佐
    林でございます。よろしくお願いします。
  • 熊谷動物衛生課長
    課長補佐の近藤。
  • 近藤課長補佐
    近藤でございます。よろしくお願いいたします。
  • 熊谷動物衛生課長
    専門官の髙木です。
  • 髙木専門官
    髙木と申します。よろしくお願いいたします。
  • 熊谷動物衛生課長
    よろしくお願いいたします。
    なお、本日の会議でございますけれども、予定を15時半をめどということで考えてございます。
    恐れ入りますけれども、ここでカメラのほうは退出というか、写真撮影は遠慮していただけばと思っております。
    それでは、お手元の配付布資料を確認させていただきます。
    配付資料は、枝番になっておりますけれども、資料1-1から1-4まで、それから資料2-1から資料2-4まで、さらに資料3と、参考資料といたしまして1から3ということで配付させていただいております。お手元の資料をご確認いただければと思っております。
    また、落丁なり不足分があれば事務局に申し出ていただければと思います。
    それでは、本日の会議の進め方についてですが、まず事務局から最近の家畜衛生をめぐる情勢について説明いたします。その後、議事に入りまして、昨年5月12日付で農林水産大臣から諮問しましたアルゼンチン・パタゴニア地域について、口蹄疫の地域主義を適用して牛肉及び羊肉を輸入することについて、続きまして、2016年3月17日日付で農林水産大臣から諮問しましたウルグアイ(口蹄疫ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めることについて、それぞれ牛豚等疾病小委員会におけるこれまでの議論の結果を踏まえ、事務局からの説明と、牛豚等疾病小委員会、村上小委員長からのご報告をいただいた後にご審議をいただきたいと思っております。
    最後に、筒井委員から、新たなサーベイランス制度の検討に関するレギュラトリーサイエンス研究事業の成果をご紹介いたします。レギュラトリーサイエンス事業とは、科学的根拠に基づいた行政施策、あるいは措置の検討判断をするための事業でございます。非常に有益な報告になると考えておりますので、この場でご紹介させていただきたいというふうに考えております。
    それでは、まず議事に入る前に、最近の家畜衛生をめぐる情勢について、私のほうから最近のトピックスをご紹介したいと思っております。
    お手元の資料、参考資料1ということでカラー刷りの資料になっております。お手元にご用意いただければと思っております。
    まず2ページ目です。
    ページを開いていただきますと、中国、あるいは日本の地図が入っております。きょうの議論にもなります口蹄疫の東アジアでの発生状況になります。中国、モンゴル、あるいはロシアということで、それぞれの国境付近を中心として口蹄疫の発生が見られるということ。それから、口蹄疫のタイプとしては、血清型としてはO型、あるいは最近ではA型の発生の確認も見られるということで、そういった意味ではアジアの地域、非常に口蹄疫の侵入に対して警戒すべき、あるいは注意すべき状況になっているということでございます。
    2ページ目の下には、中国全土を地図にして、州ごとの発生状況などもお示ししております。ご参照いただければと思っております。
    また、お隣のページになりますけれども、3ページの韓国におきましては昨年の2月までの発生確認がございますけれども、その後はコントロールができているという状況になっております。
    それから、3ページの下の段ですけれども、これは病気が違います。アフリカ豚コレラということで、こちらのほう、もともとはアフリカに定着していた風土病のような病気だったわけですけれども、ロシアに入って、それからヨーロッパで広がりが見えております。とても口蹄疫に比べましても熱にも強いということがございますので、現在、農研機構の動物衛生研究部門のほうで感染試験なども行っておりますし、また、今度、例えば加熱した畜産物、ハムとかソーセージ、こういったものについて感染性がどの程度残るのかと、こういった追加の試験も現在進めるような段取りになっておりますので、周辺で起こっている脅威、リスクに対してしっかりと武器を持つという意味でも、そういった研究を進めていきたいというふうに考えております。
    それから、資料の5ページに飛びます。
    5ページ、現在海外からお客様もたくさん来て、日本の滞在を楽しんでいただいているという状況でありますけれども、動物検疫の水際の現場では、畜産物の持ち込みが禁止されているもの、あるいは農場に入る際の注意事項など、こういったものをアナウンスしております。あわせて検疫探知犬ということで、全国で28頭が活躍しているということでございます。最近では中部の空港と福岡の空港に、それぞれ漢字の名前がついておりますけれども、蘭と次郎ということで、国内で育成された犬ということで、名前もちょっと和風な感じで、この2頭が新たにデビューしておりますのでご紹介しておきたいと思います。
    それから、下段のところにアヒルの肉などの写真が載っています。お客様の中には、日本の制度を知らず、友人、家族にお土産という形で、こういった生の形でアヒルの肉なり鶏肉を持ってきて、その中には、実は動物検疫所の検査によりウイルスが実際に分離されたケースがあります。こういった意味では、こういうエビデンスというか、科学的なデータも示しながら、持ち込みのできない理由をしっかりと周辺国にも情報を発信していきたいというふうに思っております。
    それからまた、ページを飛びまして7ページの下段の資料でございます。韓国で平昌のオリンピック・パラリンピックが行われたわけですけれども、こういった開催に合わせまして、韓国に訪れる方、また逆に韓国を中心としてアジアから日本に訪れる方に対しても、わかりやすいポスターを使った情報発信に努めております。きょうもこの会議室の入り口のほうに実際のポスターを掲示させていただいております。こういったいろいろな手法を使って、また、わかりやすい情報発信ということに努めていきたいというふうに考えております。
    それから、8ページ、9ページ、この辺も農林水産省の動物検疫所だけではなくて、都道府県とも連携した広報を行っております。具体的には、8ページの下段にありますように、外国人の技能実習生ということで研修制度がありますので、そういった方々に対しても日本の動物検疫の仕組み、あるいは持ち込みのできないものを、母国語を使った情報発信といったものも進めております。
    それから、9ページの下段に、昨年の11月1日から乳製品に関する動物検疫を始めております。おかげさまで順調に周知もできて、流通にも混乱のない形で今進められております。こういった取り組み、日本から乳製品を輸出する際にも有効な手法ですので、しっかりと制度を運用していきたいというふうに考えております。
    それからあとは、11ページでございます。
    ちょっと小さい字で恐縮でございますが、11ページの上段の左側の中段あたりにウルグアイとアルゼンチンという国名が載っております。これはそれぞれ、ウルグアイの場合はバスケス大統領、またアルゼンチンの場合はマクリ大統領と安倍首相が面談した際に、それぞれ獣医当局、獣医研究機関の研究交流、すなわち越境性の感染症、口蹄疫、あるいはアフリカ豚コレラも入りますけれども、こういった病気の研究に関する交流をしっかりしようということでトップレベルでも合意しているということをご紹介しておきたいと思います。
    また、新しいところでは、ウルグアイのちょうど右側になりますけれども、中国との間で動物検疫に関する覚書ということで、これに仮調印しております。きょうご出席いただいております小川審議官と先方の副局長との間で覚書が結ばれておりますので、今後、閣僚級の面談などがあった際には、これが本調印ということで考えております。いずれにしても、国際的に連携をしっかりと深めて、水際対策、あるいは研究交流をしっかりしていこうということで現在進めておりますので、ご紹介しておきたいと思います。
    それから、ちょっとページを飛ばしていただきます。16ページでございます。
    16ページの上段に、こちらのほうは急性の感染症、口蹄疫とか鳥インフルエンザだけではなくて、農家の方々の実際の生産性、あるいは収益向上につながるような病気対策について地域一体となって取り組むということで、例えば豚でありますと呼吸器症、下痢症、また子牛の場合も肺炎とか乳房炎、こういった生産病が非常に課題になっております。こういった生産者にとっても、生産性が上がったり、またみずからのバイオセキュリティーの向上によって経済的なメリットもあるというものも、しっかり数値化して示しながら取り組んでいきたいということで、現在強化している内容でございます。こちらのほうもご紹介しておきたいと思います。
    それから、21ページまでちょっと飛ばしていただきまして、恐縮でございます。農場HACCPという言い方で、生産段階でも衛生管理、あるいは注意すべきコントロールポイントをしっかり決めて取り組むということで、平成23年から進めてきたわけですけれども、この21ページの下段の棒グラフを見ていただいてわかりますように、最近認証を受ける農家が非常にふえております。これはまさに安全性、食品となって最終的に畜産物が消費者に渡る、その段階で、農場段階での管理をしっかりしようということで、取引先、あるいは消費者からの求めや、また輸出という動きのある中で、認証を受ける農場がふえていっているということをご紹介しておきたいと思います。
    また、次のページ、22ページでございます。
    2020年に東京オリンピック・パラリンピックがあるわけですけれども、そういった中で食材の供給という段階でGAPを取っていく。生産段階のGAPシステムの認証を受けていることが要件になるということになっておりますけれども、現在、JGAP家畜・畜産物ということで進めております。その中で、そういった意味では、先ほど申し上げました農場HACCPを取った方々であれば、22ページの上段の黄色い囲みの部分ですね。衛生管理以外の部分、この部分の、申し上げれば差の部分ですね。農場HACCPでカバーされていない部分を試験というか、その部分の受験をすることによって、現在JGAP家畜・畜産物ということで認証を受けられるようなシステムになっていまして、既に17農場受けているわけですけれども、これは全て農場HACCP取得農場だということをここでご紹介するとともに、その取得推進に当たって行政的にも支援していきたいというふうに思っております。
    それから、輸出の話、先ほど小川審議官からもございましたけれども、26ページ、27ページに資料のほうを掲げさせていただいております。26ページの下段は、棒グラフで見ていただきますように、これは牛肉のケースでございます。また、ほかの畜産物についても、27ページの下段にさまざまな商品、アイテムがあります。乳製品なども14%、対前年輸出額がふえているという、こういう動きがありますので、牛肉にとどまらず、各畜産物の輸出促進に向けて取り組んでいきたいと思っております。
    それから、最後でございます。30ページに香川県で起こった鳥インフルエンザのケースでございます。先ほど小川審議官からご紹介、ご挨拶があったとおりでございます。初動については、1日判定に時間が余計にかかったような形にはなっておりますけれども、四国で初のケースということ、また地元の善通寺という駐屯地、自衛隊の協力も得て防疫措置が非常に順調に行われております。あとまた、風評被害等もなかったというふうに私どもも感じております。
    いずれにしても、渡り鳥が帰るシーズンの4月、あるいは5月ぐらいまで注意が必要な時期ですので、農家の方々に情報発信しながら、みずからのバイオセキュリティーの向上に努めていただきますとともに、また国民の方々にも、この病気の特性をよく理解していただきながら冷静に対応していただくように情報発信に努めていきたいというふうに思っております。
    私のほうからのご紹介は以上でございます。
    それでは、これより議事に入りたいと思います。
    ここからの議事進行につきましては松尾部会長にお願いしたいと思います。それでは松尾部会長、よろしくお願いいたします。
  • 松尾部会長
    議事進行を務めさせていただきます松尾です。きょうはよろしくお願いいたします。
    それでは、まずは議事(1)、アルゼンチン・パタゴニア地域について口蹄疫の地域主義、清浄性が確認された地域からの輸入を認める措置を適用して牛肉及び羊肉を輸入することについて、まずは事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    皆さん、こんにちは。動物衛生課国際衛生対策室長の伊藤でございます。
    本日ご審議いただく議事の(1)のアルゼンチン・パタゴニア地域について口蹄疫の地域主義を適用してからの生鮮牛肉の輸入を認めることについてご説明をさせていただきます。
    皆様から見て右手、または正面のスクリーンをご覧いただきたいと思います。
    このスライドは、南米のOIE口蹄疫ステータス及び各国の口蹄疫の最終発生の年を示したものでございます。
    このアルゼンチンは、南アメリカ大陸の南端東側に位置していまして、南北約3,700キロに及ぶ細長い国でございます。この地図でアルゼンチンのうちの南、下のほうの濃い部分の地域が口蹄疫のワクチン接種清浄地域でございまして、北のほうの薄い緑の地域がワクチン非接種清浄地域でございます。また、最終発生年につきましては、アルゼンチンでは2006年以降14年間、ウルグアイでは2001年以降17年間、ブラジルにおいても2006年以降14年間、口蹄疫の発生がありません。なお、チリ及びペルーにつきましては、口蹄疫の清浄国となっております。
    これに比べまして、先ほど熊谷課長からもご説明をさせていただきましたが、日本の近隣国では口蹄疫のワクチン非接種清浄国は我が国のみとなっておりまして、ワクチン接種清浄地域は台湾で、その他の韓国、中国、モンゴルなどにつきましては、ワクチンを接種しているにもかかわらず発生が続く非清浄地域となっております。南米と東アジアでは、口蹄疫のステータス、清浄度に大きな違いがあるということが言えると思います。
    これはアルゼンチンにおけるOIEの口蹄疫ステータスです。色付けしていますのがアルゼンチン全土でございまして、今回審議をお願いしておりますのはパタゴニア地域ということで、南からですね。下のほうから青色、緑色、黄色で色付けされた地域でございまして、それぞれ下から南パタゴニア、北パタゴニアB、北パタゴニアAというふうになっています。なお、オレンジ色の北部地域は、今回の審議の対象地域ではございません。
    それと、地域主義、ゾーニングということなんでございますけれども、疾病発生国であっても国全体ではなく、清浄性が確認できる地域単位で輸入を認めるという概念でございまして、我が国では口蹄疫については、これまでにブラジルのサンタ・カタリーナ州について口蹄疫の地域主義を適用し、その地域からの生鮮豚肉の輸入を認めているところでございます。今般、アルゼンチンよりパタゴニア地域からの生鮮牛肉及び生鮮羊肉の対日輸出の解禁要請があったことから、アルゼンチン当局からの情報提供のほか、技術的協議及び現地調査を行いまして、情報を収集した上で輸入のリスク評価を行いました。
    本件につきましては、2017年5月に本家畜衛生部会において諮問を行った後、同年12月に牛豚等疾病小委において議論いただきました。その結果は、後ほど村上委員長からご報告をしていただきたいというふうに思っております。
    それでは、ここからは、皆さん、お手元の資料1-2のアルゼンチン・パタゴニア地域からの生鮮牛肉及び羊肉の輸入に係るリスク評価報告書の概要に従いまして、評価内容についてご説明をいたします。
    ローマ数字2の評価事項をご覧いただきたいと思います。
    1の「獣医当局及び法制度」でございます。
    獣医当局につきましては、アルゼンチンでは農業省の国家農畜産品衛生管理機構、これは通称SENASAというんですけれども、ここが家畜衛生及び食品安全分野を所掌する中央当局となります。SENASAは、全国14カ所の地域センターと377カ所の地方事務所を有しておりまして、それぞれに獣医師を含む職員が配置され、管轄地域における家畜衛生・公衆衛生業務を実施しております。また、口蹄疫の検査及び診断はSENASAの管轄する動物研究所が実施し、その体制が整備されております。
    法制度といたしましては、家畜衛生全般に関する法令のほかにも、口蹄疫の防疫対策のための法ですとか、発生時の封じ込め計画が規定をされております。
    獣医当局及び法制度に関する考察ですけれども、これらのことから、アルゼンチンにおいては平常時及び緊急時に実効的に口蹄疫対策を講じるために必要な獣医組織体制や法制度が適切に整備されていると考えられました。
    次に一般状況でございます。
    スライドをご覧いただいて、この図はアルゼンチンにおける牛及び羊の分布図です。アルゼンチンでは、牛が約5,500万頭、羊が約1,500万頭飼育されております。
    左の図を見ていただきますと、牛の約7割が北東のパンパ地域と呼ばれる平坦で肥沃な土地に集中しており、今回評価対象であるパタゴニア地区は降水量が少なく、牧草の生産性が悪いために、牛の飼育頭数はアルゼンチン全体の2~3%ということに過ぎないということです。一方、アルゼンチンで飼育される羊の約6割弱がパタゴニア地域で飼養されています。
    日本では、アメリカの登山用品の会社にパタゴニアというのがあって、ブランドイメージから、とても自然豊かで肥沃な土地ということをイメージされている方がいると思いますが、アルゼンチンの人に聞くと「枯れた土地だよ」というような認識だということでございます。
    と畜場及び食肉処理施設の管理運用体制につきまして、アルゼンチンでは全てのと畜場・食肉処理施設はSENASAの認定を受けることとなっております。と畜場で今、SENASAの検査員が配置され、と畜前後検査として、蹄とか鼻とか口腔内の水疱の有無など、口蹄疫に特徴的な病変の確認を行っております。また、輸出用の施設におきましては、輸出先国が求める要件を満たすことについてSENASAの職員が確認した上で認定をいたしまして、定期的な査察を行っているというところでございます。
    次に、個体識別及びトレーサビリティーシステムでございますけれども、アルゼンチンでは、全ての農場はSENASAに登録されておりますので、固有の番号がそれぞれついております。また、さらに全ての牛についても個体識別番号が付与されまして、農場番号や個体識別番号等の情報が含まれた耳標が装着されます。この耳標は、口蹄疫の清浄性のステータスにより色分けをされております。なお、羊につきましては耳介への切り込みによって農場単位の識別が行われています。
    農場の所在地やワクチン接種歴等の動物衛生関連情報は、動物衛生管理システムに登録され、家畜を移動する際にはこのシステムを通じて発行される移動許可書の携行が義務付けられています。また、と畜段階では、と畜場に搬入された群単位での識別がされまして、食肉段階まで群単位のトレーサビリティーが確保されているというところです。
    このように、アルゼンチンのと畜・食肉処理施設では、生前・生後の検査等、適切な管理が行われているとともに、牛及び羊については家畜の移動情報が適切に管理され、生体段階から食肉段階までのトレーサビリティーが確保されると考えられました。
    次に国境措置、国境の検疫措置でございますけれども、アルゼンチンは、口蹄疫ワクチン接種または非接種清浄と認定された国及び地域由来の動物及び畜産物に限り輸入を認めています。なお、ワクチン接種清浄国由来の生鮮牛肉については、脱骨・熟成処理が行われたもののみの輸入を認めています。輸出入検疫に当たりましては、SENASAが国際空海港及び陸路や橋などの国境検疫ポイントに職員を配置しまして輸入検疫を実施しております。
    なお、近隣国において口蹄疫の発生があった場合や、発生が疑われた場合には、直ちに国境措置の強化、発生地域からの輸入が停止されます。
    輸出検疫については、輸出用と畜場に常在しますSENASAの獣医官及び畜産物を輸出する空海港のSENASA事務局の2段階の確認を経て輸出検疫証明書が発行される仕組みとなっています。
    なお、アルゼンチンにおいて口蹄疫が発生した場合は、直ちに畜産物の輸出が一時停止されることとなっております。
    これらから、アルゼンチンにおいては、輸出入について適切な国境検疫措置がとられているとともに、近隣諸国において口蹄疫が発生した際には速やかに当該国地域からの輸入を停止する体制が構築されていると考えられました。
    次に、国内防疫措置でございます。
    口蹄疫ワクチンの接種政策につきまして説明をいたします。アルゼンチンの北部地域では、全ての牛及び水牛に対して年に1回、または2回のワクチン接種が義務付けられています。ワクチンは国家検定に合格したもののみを使用して、生産者や団体ですとかSENASA地方獣医官等をメンバーとした地方家畜衛生組織であるENTEが、ワクチンの購入、保管、接種、記録の作成を担っております。接種地域ではワクチン接種により抗体の保有状況を確認するとともに、ウイルス循環の有無を確認するための血清学的サーベイランスが実施されています。
    なお、今回の評価対象であるパタゴニア地域のうち、北パタゴニアA地域では、2012年までワクチン接種を行っていたため、過去にワクチン接種を受けたことのある高齢繁殖牛が約19万頭、北パタゴニアA地区で飼養される牛の頭数の25%程度残っております。これらの牛につきましては、南パタゴニア地域及び北パタゴニアB地域に移動することは認められておりません。また、耳標の色によりまして過去にワクチン接種を受けた牛は明確に区別されております。
    家畜に口蹄疫を疑う症状が見られた場合には、SENASA獣医官により直ちに動物や車両の移動制限が課せられるとともに、確定診断のためのサンプルを動物研究所に送付します。確定診断された場合には国家動物研究衛生緊急システムが発動しまして、OIEや諸外国への通報、移動制限、患畜等の殺処分、疫学調査、緊急ワクチン接種等の防疫措置が講じられることとなります。緊急時に備えた防疫演習も行われております。
    次にサーベイランス状況を見てみましょう。口蹄疫についてはパッシブサーベイランス及びアクティブサーベイランスが実施されております。
    パッシブサーベイランスにつきましては、ワクチン非接種清浄国では主要なサーベイランスとなっております。と畜場や家畜市場におけるSENASA獣医官による臨床検査のほか、民間獣医師や家畜の生産者、家畜の輸送者からの通報により行われます。アルゼンチンでは、SENASAによるマスメディア等を活用した口蹄疫に関する啓蒙・啓発活動が行われておりまして、口蹄疫の過去の発生の経験から、家畜の飼養者間でも、家畜の観察を通じた水疱性の病変の早期発見ですとか通報に対する意識が非常に高いということでございました。また、通報を怠った場合には罰則規定が法により定められております。これまでの通報事例につきましては、検査の結果、口蹄疫が否定されているということでございます。
    一方、アクティブサーベイランスにつきましては、1年から数年の単位で対象となる地域や農場を設定した血清学的サーベイランスを計画して実施をしております。2013年から15年は北パタゴニアA地区において、2016年にはパタゴニア全域を対象といたしまして、ハイリスク農場、すなわち家畜の導入の多い農場ですとか、家畜市場やごみ捨て場に近い場所にあります農場において、ウイルス循環の有無を確認するための血清学的サーベイランスを実施しております。検査は、NSP-ELISAをスクリーニングとしまして、ウエスタンブロットであるEITBを確認検査として実施し、検査の結果、陽性となったものについてはフォローアップ検査を行い、全て口蹄疫が否定されているということでございます。
    次に、特に重要と思われますワクチン接種と非接種の境界における動物及び畜産物の移動制限について説明をいたします。
    北部地域からのパタゴニア地域への口蹄疫感染性の動物の移動は、法律により、ワクチン接種歴の有無にかかわらず、これは禁止されています。また、北部地域の生鮮牛肉及び羊肉は、SENASAによる特別な登録を受けたと畜場において生産され、リンパ節の除去、脱骨、2℃以下での24時間以下の熟成によりpHが6.0未満になっていることが確認されたもののみ、パタゴニア地域への搬入が認められております。
    両地域はバランカス川、コロラド川により隔てられておりまして、そこにかけられた橋、同境界を横切る全ての道路上に衛生防疫境界ポイントが計12カ所設置されておりまして、通行する全ての車両について必要書類の確認のほか、貨物の目視検査やエックス線検査が行われています。この写真がその境界となっているところでございます。
    これらのことから、アルゼンチン国内では、口蹄疫の早期摘発のための通報体制や発生時の防疫体制の整備がなされているほか、感染の摘発やウイルス循環を確認する上で適切なパッシブサーベイランス及びアクティブサーベイランスが実施されており、また、パタゴニア地区へのウイルスの侵入を防止するための動物及び畜産物の移動管理が厳格に実施されているものと考えられました。
    結論となります。
    以上の事項をまとめますと、口蹄疫の防疫という観点において、アルゼンチンの獣医組織体制、国境検疫措置、国内防疫措置等が適切であると確認されました。これまでに実施されたサーベイランスにより、パタゴニア地域に口蹄疫の発生やウイルスの循環がないことが確認されており、さらに、衛生防疫境界ポイントにより同畜産物の移動管理が厳格に実施されていることから、パタゴニア地区における口蹄疫の清浄性が維持されていると評価できると考えました。したがいまして、パタゴニア地域への同畜産物の移動管理等の現行の措置が今後も継続されるならば、アルゼンチン・パタゴニア地域からの生鮮牛肉及び羊肉の輸入により口蹄疫が我が国に侵入するリスクは極めて低いと考えました。
    しかしながら、北パタゴニアA地区には過去のワクチン接種を受けた牛が残存していることから、パタゴニア地域からの生鮮牛肉の輸入を認める場合には、念には念を入れまして、これらの牛に由来する牛肉の取り扱いを含めたリスク管理措置を検討すべきと考えられました。
    以上でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    引き続き、牛豚等疾病小委員会における審議結果につきまして、同委員会を代表して、牛豚等疾病小委員会、村上小委員長様からご報告をお願いしたいと思います。村上委員長様、お願いいたします。
  • 村上委員
    座って失礼いたします。
    ただいま事務局から説明がありましたが、平成29年12月22日開催の第27回牛豚等疾病小委員会にて、アルゼンチン・パタゴニア地域における口蹄疫の地域主義を適用して牛肉及び羊肉を輸入することについて審議いたしました。
    小委においては、事務局から、アルゼンチンにおける獣医組織体制、国境検疫措置、国内防疫措置等について説明を受け、これについて審議を行いました。
    この結果、パタゴニア地域では、これまでに実施されたパッシブ及びアクティブサーベイランスにより、口蹄疫の発生や口蹄疫ウイルスの循環のないことが確認されていること、同地域の動物及び畜産物の移動制限が厳格に実施されていることから、パタゴニア地域における口蹄疫の清浄性が維持されていると評価できると考えられ、パタゴニア地域への動物及び畜産物の移動制限等の現行の措置が今後も継続されるならば、アルゼンチン・パタゴニア地域からの生鮮牛肉及び羊肉の輸入により口蹄疫が我が国に侵入するリスクは極めて低いと考えられました。
    なお、委員より事務局に対し、北パタゴニアA地域には、ワクチンを過去に接種した高齢牛が残っているということに対して、念のために講じるリスク管理措置について確認したところ、日本向けの生鮮牛肉はワクチンを接種していない牛に由来するものに限るとの要件を課すことを想定しているとの回答を得ました。
    以上のことから、小委員会としては、アルゼンチンにおいてパタゴニア地域の動物及び畜産物の移動制限等の現行の措置が今後も継続されることを前提として、口蹄疫について地域主義を適用し、同地域からの生鮮牛肉及び羊肉の輸入を認めることについて了承しました。
    以上で、牛豚等疾病小委員会からの報告を終わります。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。 それでは、本件につきまして委員の皆様からのご意見、ご質問がありましたらお願いしたいと思います。
    じゃ、こちらからすみません。西委員様、ご質問とかございませんでしょうか。
  • 西委員
    すみません。アルゼンチンの今回については、羊と牛肉で、羊のほうはワクチンは打っていないですよね。それから、先ほども出ましたように、ワクチンを接種した牛がいるので、それは入れないことを想定しているということで、向こうからもそういうアナウンスだったということで、我が国としてもそういう方向で考えているということでよろしいでしょうか。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    さようでございます。
  • 西委員
    ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    ほかにご意見とかございませんでしょうか。
    ご質問等ございませんようなので、それでは、アルゼンチン・パタゴニア地域について口蹄疫の地域主義を適用して牛肉及び羊肉を輸入することにつきまして、適当であるとの答申を行うということでよろしいでしょうか。よろしいですか。

(「はい」の声あり)

  • 松尾部会長
    ありがとうございました。それでは、答申の手続を進めさせていただきます。
    続きまして、議事(2)のウルグアイ(口蹄疫ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めることにつきまして、まずは事務局からのご説明をお願いいたします。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    続きまして、議題(2)のウルグアイ(ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めていくことについてご説明をさせていただきます。
    再びですけれども、南米のOIE、口蹄疫ステータス及び各国の口蹄疫の最終発生年のスライドをご覧いただきたいと思います。
    ウルグアイにつきましては、かつては口蹄疫のワクチン非接種清浄国としてOIEに認定をされておりますけれども、2000年から2001年にかけての口蹄疫の発生を受けまして、ワクチン接種による防疫手法に切りかえたという国でございまして、2003年5月以降はOIE口蹄疫ワクチン接種清浄国として認定をされております。ワクチンを接種しておりますけれども、2001年以降、16年以上口蹄疫の発生がないということでございます。
    再びまたアジアに戻っていただけると、南米と比べまして、アジアにつきましては、ワクチンを接種しているにもかかわらず発生が続いているということで、日本における口蹄疫の発生の最終年は2010年ということで、ウルグアイにおいてはワクチンは接種しておりますけれども、それより以前から発生がないということでございます。
    スライドを戻してもらいまして、2011年にウルグアイ当局からウルグアイ産の生鮮牛肉の輸入解禁の要請があったことから、標準手続に従いまして、ウルグアイ当局との質問票のやりとりや現地調査を通じて情報収集を行いまして、ウルグアイ産生鮮牛肉の輸入を認めた場合の我が国への口蹄疫の侵入リスクについて評価を行いました。
    本件につきましては、2016年3月に家畜衛生部会において諮問を行った後、同年3月及び翌年の7月の2回にわたりまして牛豚等疾病小委において議論をいただきました。また、2017年7月の2回目の小委員会における検討結果を受けまして、同年10月には、本日ご出席の西委員に小委員会を代表して現地調査を行っていただいております。小委員会の結果については、後ほど委員長のほうからご報告をいただきたいというふうに思っております。
    それでは、ここからは資料2-2、ウルグアイからの生鮮牛肉の輸入に係るリスク評価書の概要に従いまして、評価内容についてご説明をいたします。
    ローマ数字2の評価事項をごらんください。
    獣医当局及び法制度でございます。
    獣医当局、ウルグアイでは、農牧水産省畜産総局が地方獣医行政も直轄で管理しておりまして、地方におけるサーベイランスやワクチン接種等の現場の業務は動物衛生課の支所、19カ所ありますけれども、それと25カ所の出張所の職員が実施しております。また、口蹄疫の検査及び診断は、畜産総局の獣医研究所が実施する体制が整備をされております。
    法制度としましては、家畜衛生全般に関する法令のほかにも、口蹄疫の防疫対策のために個別に防疫手続マニュアルを策定をしております。
    これらのことから、ウルグアイにおいては口蹄疫の国内への侵入防止、防疫対策対応等に必要な獣医組織体制の法制度が適切に整備されていると考えられました。
    次に一般状況でございます。
    ウルグアイにおける家畜の飼養頭数ですけれども、肉用牛は約1,130万頭、乳用牛は約75万頭、豚は17万頭、羊につきましては800万頭ということでございます。牛と羊はほとんど放牧による飼養でございます。ウルグアイは年間23万トンの牛肉を輸出しておりまして、アメリカとかカナダ、EU、中国などに牛肉を輸出をしております。
    ウルグアイにおける口蹄疫の最終発生は、先ほどもお話ししましたとおり2001年で、16年間以上発生がありません。南米全体では2017年にコロンビアで発生があったものの、広範囲に拡大することなく直ちに収束を見ております。
    ちなみに、ウルグアイから最終発生のあったコロンビアまでは距離としては4,600キロということで、東京からタイのバンコクまでの距離に匹敵するというところでございます。また、それ以前の発生となりますと、2012年のパラグアイでの発生ということで、その前には4年間発生がなかったという状況でございます。南米全体で一体的に口蹄疫の撲滅計画に取り組んでおりまして、ウルグアイも将来ワクチン非接種清浄化を目指しているというところでございます。
    次に、スライド、と畜場・食肉処理施設の管理でございます。
    全てのと畜場・食肉処理施設は国の認可が必要で、十分なトレーニングを受けた獣医検査官が常駐して、水疱性病変に着目した生前・生後の検査を行っております。
    さらに、輸出用のと畜場では、全てのと体が2度以上、24時間以上の熟成工程を減ることとされておりまして、一体ごとに公的獣医師及び技師が背中の背最長筋の中央にありますpHを確認しております。これによりましてpHが5.8以上まで低下したことが確認をされ、頭部、四肢、内臓等が除去され脱骨されたものが輸出されているということです。
    肉製品中の口蹄疫のウイルスの不活化ということですけれども、筋肉内に含まれる口蹄疫ウイルスはpHが6.2よりも下がりますと不活化されるということでございます。一般にと畜された動物では、一定の温度を保つことによって、筋肉内のグリコーゲンがピルビン酸と乳酸に代謝されることによって筋肉中のpHが低下するというものでございますが、筋肉組織以外のリンパ節とか骨髄とか血餅、大きな脂肪組織などでは乳酸の生成が起こらないので、ウイルスは不活化されないということでございます。
    次に、個体識別及びトレーサビリティーでございます。ウルグアイにおいては、全ての牛は耳標及び、さらに電子チップが装着されまして、個体識別とともに全ての家畜の農場は国に登録されています。ですから、家畜の飼養状況ですとか移動履歴はシステムを通じて瞬時に把握可能となっています。と畜場では別のシステムによりまして識別情報が管理されておりまして、これらにより農場から精肉までのトレースバック、トレースフォワードが可能となっております。現在の発生状況から、南米全体の口蹄疫のリスクは、例えば日本の周辺国における状況と比較しても低いと考えられます。一方で、ウルグアイにおける過去の発生は、周辺国からの侵入を発端とした過去を踏まえますと、周辺国で発生があった場合には、直ちに発生状況や侵入防止のために講じた措置等の情報が日本に迅速に提供される仕組みが必要であると考えられました。また、と畜場の検査体制が確立しておりまして、何らかの臨床症状を有していればと畜場段階で摘発可能と考えられました。
    その上で、輸出用のと畜場では、熟成後のと体が、酸に弱い口蹄疫ウイルスが不活化されるpH5.8以下まで低下していることを一体ごと、一つ一つを確認しておりまして、輸出される牛肉中に生きたウイルスが残存している可能性は極めて低いと考えられました。さらに、仮に農場で口蹄疫発生が確認された場合に追跡可能なトレーサビリティーが確保されているということも考えられます。
    国境検疫措置でございます。
    国際空海港のほか、陸路の国境地点、11カ所ありますが、検疫所が設置されておりまして、畜産総局の職員が輸出入検疫業務を行っています。さらに、国内で口蹄疫が発生した場合には、24時間以内にOIE及び防疫相手国に通報を行いまして、輸出検査証明書の発行を停止しています。これらのことから、国境検疫措置は適切に講じられているということが確認されております。
    国内防疫措置でございますけれども、口蹄疫ワクチンの接種プログラム、国内防疫の重要なポイントとして、ウルグアイでは全ての牛、水牛に対する口蹄疫ワクチンの接種を義務化しております。ワクチンは品質管理が確実に行われたもののみを使用しておりまして、国家予算で購入し、生産者に対しては無料で配付するとともに、地域ごとのワクチン接種スケジュールの決定やワクチンの保管、実施、監督等を国家獣医当局が行います。過去の口蹄疫の発生経験を踏まえまして、農場主によるワクチン接種に対するモチベーションは非常に高くて、ほぼ100%の接種率を達成しております。
    また、口蹄疫の疑い動物を発見した際の通報の流れや発生時の対応、制限区域の設置等がマニュアルに定められておりまして、口蹄疫に感染していることが疑われる場合には、その時点で移動制限、自粛をした上で、農場への立ち入り調査ですとか情報収集等に対応することとされております。
    次に、パッシブサーベイランス、アクティブサーベイランスですけれども、口蹄疫についてパッシブサーベイランス及びアクティブサーベイランスが実施されております。
    パッシブサーベイランスに関しましては、前述のとおり、と畜段階での生前・生後の検査で水疱性の疾病、病変を確認しているほか、多くの牛が放牧形態で飼育されていますけれども、放牧地ではガウチョと呼ばれる従業員が馬に乗って巡回して、家畜の健康状態を毎日観察しています。
    私も実は10日前ほどにウルグアイの農場へ行ってきまして、ガウチョというのは、いわゆるカウボーイでございまして、この国の主要産業が牧畜ですので、ガウチョは産業の象徴ということで、いわゆる文化的なものも含めて非常に尊敬をされている存在だというふうに聞いております。やはり農場主も一目置いているということでございます。広い農場でも一日に一回は全ての牛を見られると言っていたんですけれども、放牧といっても、全部の広い地域に牛をばっとばらまくということではなくて、しっかり牧区を区切って、いわゆる輪間放牧というやつなんですけれども、草の管理のために牧区を変えていく放牧方式で、いわゆる野放しということではなくて、牛がいるところを制限して、よい草を食べては次の牧区に移るというような措置をとっていると聞いてきました。
    さらに、生産者に対する講習なども実施されておりまして、地域の小学校でも口蹄疫について教えるなど、広く口蹄疫に対する啓蒙活動が進んでおります。さらに、届け出義務を怠った者に対する罰則制限等も整備されておりまして、通報事例については、検査の結果、全て口蹄疫の可能性が否定されております。
    アクティブサーベイランスとしまして、年2回、血清学的サーベイランスを実施しておりまして、検査は、ワクチン抗体と感染による抗体を識別可能なNSP-ELISAであるELISAの3ABC/EITBで行われまして、陽性の結果となった場合はフォローアップ検査を行います。2012年から15年の検査の結果は、そこに記載をされておりますけれども、最終的にウイルス循環が否定をされているというところでございます。
    次に、国内防疫措置に関する考察でございます。サーベイランスの結果から、現在ウルグアイに口蹄疫ウイルスが侵入しているとは考えがたいこと、また、ワクチン接種政策が確実に実施され、さらに口蹄疫の発生時に一連の防疫措置が確実に実施される体制が構築されていることと考えられました。さらに、ウルグアイでは、生産者、地域住民への教育等を通じて非常に高いレベルでの警戒態勢がとられているというふうに考えられます。
    一方、牛に対してワクチンの接種を行っているということによる課題といたしまして、ワクチン接種された牛については、感染しても明らかな症状を示さないことから、ワクチン非接種清浄国と比較すると、臨床症状による早期の摘発、つまりパッシブサーベイランスが必ずしも有効に機能しないおそれがあります。また、血清学的検査についても、例えばキャリア動物になっていた場合に、それを血清学的検査で判断するためには一定の期間を要し、摘発が遅延することも考えられます。このように、ワクチン接種下では、今後、万が一ウイルスが侵入した場合の感染の早期摘発に課題があるというふうに考えられました。こうしたことから上乗せの管理措置が必要と考えられているところです。
    結論をごらんください。
    以上のまとめですけれども、ウルグアイの現在の獣医組織体制、国境検疫体制、サーベイランス体制、検査診断体制、国内防疫体制をそれぞれ、かつ総合的に考慮しますと、口蹄疫が浸潤しているとは考えられませんでした。ただし、口蹄疫ワクチンを接種しているため、ワクチン非接種清浄国と比較をしますと、疾病の早期摘発に課題があると考えられました。このため、万が一ウルグアイに口蹄疫が侵入した場合には、発生が早期摘発できないことにより、口蹄疫に感染しているにもかかわらず臨床症状を呈していない牛が牛肉生産のためにと畜される可能性は完全には否定できないと考えられました。
    以上のことから、万が一のために備えて、ウルグアイからの生鮮の牛肉の輸入に当たっては、現在の獣医組織体制、国境体制、サーベイランス体制、診断体制、国内防疫体制下にあって口蹄疫の発生が確認されていないこと等に加え、一定の上乗せ措置を講ずることについて検討する必要があると考えられました。
    具体的な措置につきましては、資料2-1の別添をご覧いただきたいと思います。
    2ページにわたりまして記載をしておりますけれども、主なものをまとめますと、1番としまして、輸出牛肉を生産する農場については、ウルグアイ当局が指定をしまして、あらかじめ日本の家畜衛生当局に通知をすること。2としまして、輸出用牛肉を処理すると畜場、と畜施設、食肉処理施設については、ウルグアイ当局と日本当局が指定すること。また、これらの農場や施設について日本当局が現地調査を行う権限を有すること。3としまして、輸出用牛肉は、頭部、四肢、蹄、こぶ、内臓を含まず、と畜後、脱骨前に腰の最長筋のpHを測定いたしまして、両側ともにpHが6.0未満に下がっていることについて確認した枝肉由来であり、脱骨されていること。と畜工程において主要リンパ節、確認できるリンパ組織・血餅を除去すること。4つ目としまして、ウルグアイ当局は、周辺国における発生状況等を速やかに提供すること。またはワクチンプログラム等に変更がある場合は、あらかじめ日本当局に情報提供することという条件を付すということを考えておりまして、当然守れない場合は輸入を停止するということを考えております。
    以上でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    引き続き、牛豚等疾病小委員における審議結果につきまして、同委員会を代表して牛豚等疾病小委員会、村上小委員長様からご報告をお願いしたいと思います。
  • 村上委員
    座って失礼いたします。
    ただいま事務局からご説明がありましたが、ウルグアイからの生鮮牛肉の輸入を認めることにつきましては、ワクチン接種を行いながら口蹄疫の清浄性を維持している国に対するリスク評価は初めての事例となるということを踏まえ、平成28年7月28日開催の第25回牛豚等疾病小委員会及び平成29年7月28日開催の第26回牛豚等疾病小委員会の2回にわたり、慎重に技術的な検討を重ねてまいりました。
    初回の小委員会においては、委員より、ウルグアイにおけるワクチン接種の実態、ワクチン接種下のサーベイランス手法の妥当性、南米全域のワクチン非接種清浄化に向けた取り組み等について、さらなる情報収集や技術的分析が必要との意見が出されました。
    これを受け、事務局において追加の情報収集やリスク評価チームによる技術的な検討を行い、第2回の小委において、ウルグアイにおけるサーベイランス手法に対する妥当性に対する分析結果等が示されました。
    その結果として、総合評価としては、現在のウルグアイにおいては、口蹄疫に罹患した牛及びその他の偶蹄類家畜が摘発されることなく、国内に存在している可能性は極めて低いと考えられると結論されました。一方で、仮に新たにウイルスが侵入した場合には、牛にワクチン接種をしているということにより症状が見えにくいということなどによって、発生を早期に摘発することが難しいというような問題が残ると考えられました。また、事務局からは、その隘路を埋めるための上乗せの管理措置、先ほどの資料2-1の別紙でございますが、これにつきまして提案がありました。
    これに対し委員からは、ウルグアイにおいてと畜施設におけると畜前後の検査や、万一牛にウイルスが残っていても確実に不活化される肉の熟成処理や骨等の除去の確認状況など、上乗せの管理措置の実効性が確保されることについて、委員を派遣して調査をしてはどうかとの提案があり、平成29年10月には、小委員会を代表して、本日ご出席の西委員を含む専門家3名により現地調査を実施していただきました。現地調査の結果、ウルグアイにおいては上乗せのリスク管理措置が確実に実施できている体制が構築されていることが確認された旨が第27回牛豚等疾病小委員会において報告されました。
    そこで、小委員会としては、上乗せのリスク管理措置を講じた上でウルグアイからの生鮮牛肉を輸入することについて了承しました。
    以上で、牛豚等疾病小委員会からの報告を終わります。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本件につきまして、委員の皆様からのご意見やご質問がありましたらお願いしたいと思います。
    日髙委員さん、お願いします。
  • 日髙委員
    まず、隣国で発生した場合は、これをどうするのかという話ですね。口蹄疫が発生したときには直ちにどうするのかということですね。
    それと、ウルグアイとアルゼンチンの違いというか、ウルグアイの場合はワクチン接種で今回挙がっているわけですけれども、アルゼンチンの場合は地域主義を使うということは、これは国からの要請の違いなのか。それか、何かそこに違いがあるのかということですね。
    それと、アルゼンチンとウルグアイの輸出用の違いというか、ウルグアイは結構、見ますと、ヨーロッパには輸出しているんですけれども、アルゼンチンの場合にはドイツ以外は余り輸出をしていない。アメリカとか北米にも余り輸出しない。そこの違いは何なのかですね。
    それから、先ほどありました、南米ではワクチンを打っているけれども口蹄疫が発生していない。アジアはワクチンを打っているけれども口蹄疫が発生しているというのがございましたけれども、それを強調する必要性があるのかどうかということも、ちょっとお聞きしたいと思います。
  • 松尾部会長
    では、お願いします。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    ありがとうございます。
    ウルグアイ周辺国における発生など、ウルグアイにおける口蹄疫の発生のリスクが高まっていると認める場合には、ウルグアイ当局は日本当局に対して、当該情報及びそれに講じた、または講ずる措置について情報を提供することということを上乗せ措置の中に盛り込むこととしており、提供された情報を踏まえて、日本当局が必要に応じて一時停止措置ですとか、日本への牛肉の輸出条件の見直し等、必要な措置を求めることを考えております。
    次に、ウルグアイ及びアルゼンチンの地域主義というんですけれども、それぞれおっしゃるとおり、相手国の要請に応じて評価をするというようなこととしているということで、ウルグアイにつきましては全土でワクチン接種をしており、一つのステータスしかありませんので全土ということでありますし、アルゼンチンにつきましては、ワクチン接種清浄地域と非接種清浄地域があるので、まずは優先して非接種清浄地域からの輸入をということで要請があったということです。
    また、輸出の違いにつきましては、おっしゃるとおり、ウルグアイにつきましては中国、アメリカ、イスラエル、オランダ、ブラジルというような、かなり広い範囲に輸出をしております。、アルゼンチンについても、ヨーロッパ、中国とかチリとかドイツとか幾つかの国、ヨーロッパを含めて輸出実績はありますけれども、アメリカにつきましては、今輸出が停止していますが、再開のための協議をしている最中で、この4月にも現地調査にやってくるというふうに聞いております。
    それとアジアの国についてなんですけれども、本来ワクチンを打っておれば防げるはずというところ、ワクチンを打っていても発生してしまう状況も見られます。1つ考えられるのは家畜体制の脆弱さというようなことで、前回、韓国で起きた場合におきましても、ワクチンは打っているといっても、ワクチンテイクの割合を見ると5%だったりして、それぞれの当局がいかにワクチン政策に積極的であるか、徹底しているかというところの違いが大きいのではないかというところです。、南米については、ワクチンを打っていても発生がないこと、非常に長期間発生がないということでアジアと比較をさせていただいたということです。
  • 松尾部会長
    村上委員、お願いします。
  • 村上委員
    1つ補足させていただきますと、アジアと、それから南米ですけれども、やっぱりアジアは圧倒的に豚が多いということです。中国は全世界の70%の豚を生産して、そして消費しています。ワクチンとしては、豚へのワクチンというのは非常に難しいということが技術的にあります。背景、補足でございます。
  • 松尾部会長
    よろしいでしょうか。
    ほかにご意見、ご質問、ございますか。
    西委員、お願いします。
  • 西委員
    質問ではなくて、今、村上委員からも出たアジアとの違い、私も韓国に行ったことがあるんですけれども、実際にやはり脆弱だなということです。実際に向こうの養豚場も見せていただいたんですけれども、やはり出入りする方々も非常にラフなところがあるというのとか、それから、政府の考え方と農場の考え方が違っていて、政府は全てワクチンを打たなければならないと言っておりますが、農場側の管理者サイドは、そこまでの必要はないんじゃないかと、移行抗体があるからいいんじゃないかという、そういう齟齬があったりするというふうにも聞いていますし、それから、ウルグアイはワクチンに対して政府が全額補助をします。韓国はそれが違うというふうに聞いていますので、やっぱりワクチンの接種率がよくないということがあるのかなというふうに、私が、韓国へ行ったときに非常に感じました。
    それから、ウルグアイでは、私、実際にワクチンを接種していながら発見が遅れる可能性がやっぱり高いのかなということで行ってまいりまして、一番確認したかったのは、私自身が家畜保健衛生所の獣医だったので、現場の農場と地元の獣医師、そして国の獣医官とのつながりがちゃんとなされているのかなということを、自分の目で見てみないとわからないなという意識もあったので行ってまいりましたけれども、いろいろとこちらのほうから質問をしても同じ回答が返ってくるというか、「きちんと自分たちは通報する体制になっている。通報を受ける側も受けている」ということでした。
    それと、私自身がちょっと日本よりすごいなと思ったのは、トレサビリティーがと畜場の肉のブロックになるまで全部つながっているということで、日本はつなげようと思えばつながっているんですけれども、それが要所要所で途切れているといいますか、いわゆるお互いにコンピューターで別な確認をしないとつながらないようになっているんですが、それがウルグアイでは全てつながっていて、輸出するために農場からと畜場に持っていくときも、申請をウエブ上でやって、それが戻ってくるという、そのシステムがしっかりされているので、仮に何かあったときも追跡がしっかりできるのかなというふうに非常に感じた次第でございます。
    と畜場のほうも、立派なと畜場で、熟成されて、pHが下がらない肉もやはりあるということなので、それの管理をお聞きしたら、公的な獣医官しかその冷蔵庫の鍵を持っていないというふうに言っておられまして、それも見せていただいて、「私だけがこの鍵を持っています」という、そういったいろいろな措置がされているなというふうに感じました。
    追加のご報告でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    筒井委員、お願いします。
  • 筒井委員
    それでは、質問をちょっとさせていただきたいんですが、意見なんですけれども、日本としてワクチンを打っている清浄国から牛肉の輸入を認めるということは、恐らく今回これが初めてになるんじゃないかなという気がするんですが、恐らく上乗せ措置というのは私は必要だろうというふうには思います。そのときに、その上乗せ措置の実効性を今後どういうふうに確保していくかということですね。相手国がやっていることをどのように確認していくかということ。
    例えば、アメリカとかEUについては、かなりがっちり査察も行いますし、施設要件をかなり厳しくやっていますよね。そのときに、例えば食品衛生も含めてですけれども、かなりの負担をかけて、そういった施設基準を守らせているというような状況にあるというふうに聞いています。その場合、今後日本が制度としてこういうふうに変えていったときに、じゃ、果たしてそういった査察なり、相手国に守らせる、ウオッチしていくような制度、仕組み、例えばアメリカでありますと、大使館に獣医官を派遣するとかというような人の手当て、こういったものを今後どのように考えていかれるのかという点について、少しお話をお聞かせいただければというふうに思います。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    ご質問ありがとうございました。
    先ほど、上乗せ措置の中でも一部掲載しておりますけれども、まず、そういった処理を適切に実施している施設として、ウルグアイ当局及び日本当局が指定した施設であることということを前提といたしまして、そうした施設及び農場も含めて、これについては現地調査を行う権限を日本に有することの上乗せ措置をすることとしておりまして、その頻度とかについては、今後協議をしながら検討していというふうに考えております。
  • 筒井委員
    ぜひ、そのあたりの体制ですね。日本側の体制、恐らく必要になってくると思うんですよね。ぜひその点もご考慮いただいて、適切にやっていただければというふうに思います。
  • 熊谷動物衛生課長
    1点、補足というか、勇気づけられたという意味で申し上げますと、先ほどちょっとめぐる情勢でも申し上げましたけれども、ウルグアイ、またアルゼンチンもそうなんですけれども、首脳レベルで家畜衛生当局、また研究所間の協力連携をするということで、これはトップ同士で位置づけられております。そういった意味で、今回も実際のトレードが動くという場合、日本側も実は2つの国に日本産牛肉の輸出解禁協議を今やっておりますので、そういった中で、そういう枠組みを使いながら、正しい情報、正確な情報をお互いに、これは一方通行ではなくて日本からも提供するという意味で、また、アジア地域にとっても役に立つ情報がむしろ得られるような地域ですので、そういう枠組みを使いながら活用するとともに、あともう一点、ウルグアイの場合、私ども獣医の仲間が大使館に配置されていた。これはもう多分2014年ぐらいまでだったんですけれども、今回、こういう実際に重要な物品のトレードが双方向で動くということですので、ぜひ私どもとしても、そういう人事上の考慮といいますか、外務省とも相談しながら取り組みたいという、これは単に決意というか意思表明ですので、結論までは約束できませんけれども、そういった方向でしっかり考えていきたいというふうに思っております。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    ほかにご意見。
    里井委員、お願いします。
  • 里井委員
    本質的な質問とは離れるかもしれないんですけれども、単純に興味というか、教えていただけたらと思い質問させてください。
    資料2-2で7ページのところです。今、情報について意見があったのでと思ったんですが、真ん中のところ「パッシブサーベイランスについては、的確に通報が行われるための制度、生産者・民間獣医師・公的獣医師間の連絡体制」、これが適切であると考えられたという、この生産者さん、民間獣医師さん、公的獣医師さんの間の連絡体制について。例えば具体的にはメール、電話、ファクスなんですか。何かすごく具体的なあれなんですが、常々私も日本で活動しておりまして、なかなかこの連絡体制というのがスムーズにいくときといかないときで危機管理体制がすごく変わったことというのを経験しておりまして、ちょっと教えていただけたらと……。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    ありがとうございます。
    ワクチンの接種は国と生産者が連携して行うので、そういった中でそういった情報を吸い上げたりしてということで連携をしているのとともに、生産者とも定期的に会合を開いて、この中でいろいろな状況、例えばこんなところでこういう情報があるとかというものの情報交換も密にやっているというふうに聞いております。
  • 里井委員
    では、その会合などの頻度が適切な回数であるというもとでの診断体制が整っているという判断ということですね。わかりました。ありがとうございます。
  • 熊谷動物衛生課長
    ちょっと補足ですけれども、ウルグアイ、非常に畜産大国というか、牛肉の生産がまさに重要産業なんですけれども、例えば小学校とか、あるいはもっと小さいころから、学校でも口蹄疫という病気の恐ろしさと、あと、それがどういうインパクトを地域に与えるかという、こういう教育をずっと小さいころからやっていますので、そういった意味では、日本以上に家庭の中、あるいは地域の中で、その病気に対するチェックする目が、それは大人、家畜の飼養者だけではなくて地域全体である。あるいは年齢層を問わず、そういうチェックする体制になっているという意味では、わかりやすいリーフレットとか、それから広報、あとカレンダーなんかにもそういった情報が載っていたりということですので、そういった点は我々もむしろ参考にしながら、たくさんの目でチェックしているという意味では、そういう社会として口蹄疫を位置づけて取り組んでいるということで、ちょっとご紹介しておきたいと思いました。
  • 里井委員
    ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    中林委員、お願いします。
  • 中林委員
    7年前なんですが、宮崎県で口蹄疫が発生したときに、全頭殺処分ということで私のところの牧場も殺処分になったんですが、そのときにみんなが納得したのは、ワクチンを打ってしまうと輸出ができなくなると、こういうふうな認識があって皆が了解をした。
    仮に今度、国内で口蹄疫が発生したときに、国内対策として今までどおり非接種国の清浄化をずっと貫き通すのか。その辺は、やっぱり今のうちに国内で考えておいたほうがいいと思いますし、それから、もう一点は、こうやって上乗せのリスク管理をしてもらってまで輸入をしようかというからには、やっぱり日本からもウルグアイへ牛肉を買ってくれと、やっぱりこういう要望も国としてはしてほしいなと、生産者の立場からいいますと、そういうのをお願いしたいなというふうに思います。
  • 伊藤国際衛生対策室長
    ありがとうございました。
    口蹄疫ワクチンについては、口蹄疫の症状を抑える効果があるものの、口蹄疫を完全に防ぐ効果はなく、むしろ早期摘発を困難にするというところの課題があるということでご説明いたしました。
    また、日本は、先ほど言いましたように、周辺の中国や韓国といった口蹄疫が継続して発生する国に囲まれておりまして、ウイルスが国内に侵入するリスクはウルグアイよりも高いというふうに考えております。このため、日本においてワクチン接種を行った家畜について殺処分を行い、発生時の早期摘発を行える体制をとるということが、感染のまん延を防ぐために有効というふうには考えております。
    見直しの余地がないかということも今後検討していく可能性がないわけではありませんが、現在の立場はそういったところでございます。
    それとあと、当然アルゼンチン同様、ウルグアイにつきましても、輸出ということでは要請を行って手続が進んでおりますので、なるべく早期に輸出が実現するよう努力をしていきたいというふうに思っております。
  • 中林委員
    お願いしておきます。
  • 熊谷動物衛生課長
    ちょっと前段、誤解のないように。ワクチン非接種、日本の場合はそれを貫き通しますので、そのためのバイオセキュリティー、これは生産者の方々、また流通とか餌を配達する方とか、関連業界全体で取り組んでいきたいと思いますし、周辺国の情報などについては、私どもとしては早く正確な情報を捉えて発信する。それが水際であったり、あるいは国内の生産者の方々のみずから行う防疫措置ということで、しっかり取り組んでいきたいと思います。
  • あと、後段の輸出の関係も、アルゼンチン、ウルグアイに限らず、日本産牛肉のよさをよく知っていただいて、輸出促進、あとほかの牛肉以外の畜産物についても同様に、事業者の要望を聞きながら重点国に向けて解禁協議を進めていきたいと思っております。
  • 日髙委員
    今、中林委員からございましたように、2010年のときのワクチン接種で、私、養豚の仲間がまず最初に動いてくれまして、同意をもらったということを経験しておりますので、今、課長からありましたように、非接種でやるんだと、国はそうやってやるんだという気持ちはわかるんですけれども、やはりこうやってワクチンを打ったというところから出たということが、これから先のもし入ったときの2010年のことが皆さんができるかどうかというのも頭の片隅に置いてもらってやってもらったらいいのかなと思っておりますので、よろしくお願いしておきます。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございました。
    まさに2010年と同じようなことが起きないように、あのときの発生というのは、やはり通報というか確認が少しおくれたということも一つの要因であったと思います。ある程度広がりが出た後だったということで、ワクチンの使い方も、今回の南米で使っているような方法と違うということがありますので、要するに発生した状態の中でのワクチン使用という意味では、ちょっと使う目的も違ったということがあります。ただ、いずれにしても、今、日髙委員のお話などもしっかり頭に入れながら、今後の行政施策を推進していきたいと思っております。
  • 松尾部会長
    ほかにご意見。
    渕上委員、お願いします。
  • 渕上委員
    すみません。この非公開資料の中の2-4の64ページに、ワクチン接種の現場というところで、ちょっと私も現場をしている関係で、ここにワクチン接種の連続注射というところで、一頭一針でしていないところがすごく気になって、わざわざここに書いてある、折れ曲がったら交換するということであるんですけれども、ほかの感染症とか、そういうことなんかを含めて、こういうのはどういうものかとはちょっと思って、事務局等はどうお考えなのか、ちょっと教えてください。
  • 近藤課長補佐
    お答えさせていただきます。
    一頭一針ではないんですけれども、ワクチン接種には必ず認定獣医師が立ち会いまして、一頭一頭の健康観察を行った上で、臨床的に感染症等の症状を呈すようなものについて、そこできちんと確認をするような体制でやっているというふうに聞いております。
  • 渕上委員
    ありがとうございました。
  • 松尾部会長
    よろしいですか。
  • 熊谷動物衛生課長
    ここはウルグアイで1,000万頭以上がいて、やはり何をターゲットにして防疫の優先順をつけるかといったときに、この口蹄疫に注目した場合に、やっぱりワクチンをしっかり確実に打つということが一つ。
    あと、一方で、ほかの感染症、これ、例えばお肉になって問題があるようなものについては、当然と畜場でのと畜前検査、あとと畜後検査、あわせて、先ほどご説明さしあげましたように、生産農場段階は放牧ですけれども、やはりガウチョという、実はすごく病気に対しても、あるいは健康状態の異常に対しても非常にすぐれた目を持った方々がいますので、そういった中でスクリーニングがかかってやっていますので、ワクチン接種も健康畜を対象にしているということです。
    ただ、幾つかの病気をターゲットにして細かくやっていくと、もちろんリスクはあると思いますけれども、口蹄疫を中心にして考えてワクチン接種を確実に行うという行為でやっている。あともう一点は、先ほど、もう一度繰り返しですけれども、輸出される肉については、と畜前検査とと畜後検査を通じて食用としての問題があるような病気はチェックする体制にあるということを、ちょっとご紹介しておきたいと思います。
  • 松尾部会長
    ほかにご意見ございますでしょうか。
    それでは、ウルグアイ(口蹄疫ワクチン接種清浄国)からの生鮮牛肉の輸入を認めることについては、適当であると答申を行うことでよろしいでしょうか。よろしいですか。

(「はい」の声あり)

  • 松尾部会長
    ありがとうございました。それでは、答申の手続を進めさせていただきます。
    次に、議題(3)です。それでは、最後に、新たなサーベイランス制度の検討ということについて、筒井委員からご紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 筒井委員
    それでは、資料3に従いまして簡単に説明させていただきます。
    冒頭説明がございましたように、私どものほうでレギュラトリーサイエンス研究の委託を受けまして、新たなサーベイランス制度の検討ということを行ってまいりました。実際は国内外の状況の調査、それから実施されている都道府県の担当者の方々、こういった方々と検討を重ねてまいりまして、この3月に一応取りまとめでの提案をさせていただいたということです。その内容について少しここでご紹介させていただきます。
    まず1枚目ですけれども、従来のサーベイランスにおける問題点ということで、幾つか挙げさせていただいております。
    まず、余り悪く言うのもあれなんですけれども、サーベイランスの結果が余り利用されていないということが1点目。ここでは、実際の結果が家畜衛生統計、こういったものに掲載されておるんですけれども、ちょっと後で諸外国の例が出てくるんですが、生産者でありますとか、今、現状、先ほどお話がありましたような貿易相手国、こういったところに情報提供が十分できていないんじゃないかということ、それから解析が十分できるような内容になっていないということが、問題点だろうということ。
    それから、サーベイランスの改廃ですね。疾病の発生に伴って、どんどん新しいサーベイランスをやりましょうということで追加されてくるんですけれども、じゃ、いつ終わるのと、どの段階でその結果を解釈して終わっていくんだというようなところが、少しまだ不透明感があるということです。
    それから、報告に係る事務手続が煩雑ということで、実際もう現状においては、インターネットを使ったりウエブを使ったりして電子的にデータをやりとりできるような状況なんですけれども、依然としてまだファイルのやりとりでありますとか、一部ではまだ紙媒体でのやりとりというものが都道府県の中では残っているということ。
    それから、検査の実施から結果が得られるまでにタイムラグがあるということで、現在動物衛生課の担当者の方が、このサーベイランスの結果の取りまとめということをやられているんですけれども、やっぱり防疫対応が忙しくなってきますと、どうしても滞りがちになっているのではないかということで、この点が現状の問題点ということです。
    次、2枚目をめくっていただきまして、じゃ、どういう方向で見直していくかということで、見直しの目的というところに書いております。
    まずは結果の有効な活用ですね。先ほどの問題点にあげました活用といたしまして、やはり生産者を含め諸外国、こういった方々への情報提供ができるようにしっかり解析するということ。それから、データの解析が十分できるような形での検査の報告をしていただくということがまず重要ということです。
    次に、科学的妥当性と透明性の確保ということで、現在は、検査方法についてもどんどん新しい技術ができております。これらについては、積極的にこういったサーベイランスの中に反映していく必要があるということで、臨機応変に迅速に反映させる仕組みが必要でしょうということです。それから、科学的妥当性ということで、サンプリングの方法でありますとか分析の方法、こういったものを明確にした上で、科学的に正しい方法でサーベイランスを実施していくということです。
    それから、先ほどの作業の効率化のところです。これはインターネットを活用した効率的な方法ということで、現在は都道府県の方が一々エクセルにして、またファイルを送信して、それをまた取りまとめるというような、若干非効率な内容になっておりますので、それを効率的にするということ。
    それから、サーベイランスの実施期間の明確化ですね。ここは実施コストの低減と持続性の確保ということです。いかに効率的に人手をかけずにやっていくかということで、新たな検討体制の確立が必要でしょうということになります。
    見直しのポイント、ここで5つの項目を挙げております。1つが検査体制・検査手順の明確化、それからサーベイランス実施要領の作成、報告システムの整備、年次報告書の作成、検討に必要な業務の実施体制の確立、この5点です。
    具体的には、次の図のほうで少し説明をさせていただきます。
    我々が提案した内容といいますのが、現在は農林水産省動物衛生課が立案したものを都道府県に実施していただいて、生産者の協力を得て採材をして、その結果を都道府県が取りまとめて動物衛生課、そこで最後の集計をするという流れになっています。
    ここで我々が一番左のところにサーベイランス検討会というものの提案をさせていただいております。これは、基本的には、例えば疫学でありますとか、その疾病に対する科学者、それから都道府県の実施担当者等、こういった専門家を集めて、まずはサーベイランスを実施するための要領をちゃんと作成して承認をする。それから年報の承認。これはちょっと後でお話が出てきます。それから、一番重要なのはサーベイランスの改廃の検討ということで、やはり限られた人的資源、予算的資源をどのように有効に活用していくかということで、ある一定期間実施したサーベイランスを分析した結果を踏まえて、不必要なもの、また新たに必要なもの、そういった改廃をしていく、こういったことをシステマチックにやっていくような検討会が必要であろうと。恐らくその結果については、こういった部会でありますとか小委員会のほうに動物衛生課を通じて報告していくというようなシステムをつくればいかがかということです。
    もう一点、ちょっと右のほうにサーベイランス報告システムというふうに書いております。それをちょっと下のほうに見ていただくと、これはあくまでイメージ図です。インターネットを通じたサーベイランス報告システム、「新」というふうに書いてありますけれども、これは例えば霞が関にあります政府の共通プラットフォーム、こういったものの中に、都道府県が持っておりますクローズのシステム、これを連携させる。例えば、仮に動物衛生研究部門がこういった分析を担当するとすると、研究ネットワーク、こういったものを接続して、報告システムをすべての関係者が活用できるような、報告と活用同時にできるようなシステムをつくってはいかがかということが、このサーベイランス報告システムの内容です。
    その横ですね。関係業務の実施ということで、動衛研、我々ですけれども、括弧というふうにしております。これは必ずしも動衛研でなくてもいいんですけれども、こういった外部に関係業務の実施を委託するということで、例えば結果の統計解析、それから年報作成、報告システムの管理、動衛研はここで確定検査も実際やっておりますので、それはそのまま引き続きやるとして、こういった業務を外部に委託して、報告システムを通じて農林水産省、もしくは検討会、こういったところに報告させていただくということにすれば、疾病の発生等によってそういったものがおくれることがなく滞りなくいくんではないかということです。
    最後、ちょっとめくっていただきまして、年次報告書の作成ということです。
    ここにちょっと例が書いてあります。我々が、海外に調査に行った国の報告書も参考に写真が出ておりますけれども、こういった国々は、やはり国内の生産者にもそうですし、関係団体にもそうですけれども、こういった国でやったサーベイランスの結果というのを常に意識して、読んでいただけるような形で分析結果を報告している。ちょっと結果を細々書いておりますけれども、日本もこういった冊子なり報告書なりをつくって国内外に提示していくということが、恐らく今後必要になってくるだろうということで、今回提案をさせていただきました。実際のところ、この提案を受けて、農林水産省のほうでいろいろ今後、実施に向けて検討していっていただけるんだろうというふうに思います。我々としても担当者でございますので、全面的に協力はしていきたいというふうに思っております。
    以上です。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    それでは、新たなサーベイランス制度の検討という本件についての委員の皆様からのご意見をお願いしたいと思います。
    村上委員、お願いします。
  • 村上委員
    今、1つは意見と、それから要望をもう一つ、2点について申し上げたいと思います。
    従来のサーベイランスにおける問題点というのは、先ほど筒井委員のほうから指摘されたとおりだと思います。しかしながら、昨今、畜産物の輸出促進という新しい局面が出てきたということで、例えば輸出解禁協議においても、また輸出後の体制についても、要請に応じてサーベイランスの結果を速やかに示す必要があると思います。また、サーベイランスのあり方の見直しというのは、一方において、生産現場での家畜衛生対策への還元といった国内防疫の面でも非常に有効だと思われます。
    このように、畜産物の輸出促進を契機として、今、我が国の畜産、家畜衛生のあり方については、さまざまな面で転換期を迎えているんじゃないかなというふうに思っております。このような状況に対応するために、委員の報告にありましたように、必要な検査・分析を事前に検討して、検査データ収集・分析を行っておく。また、その体制を整備していくということが重要で、このような体制をつくるということについては賛成でございます。ぜひ進めていただきたいというふうに思っておりますというのが意見、1つです。
    それから要望としては、適切なサーベイランスデータというのは信頼度の高い適切な検査手法により得られるというふうに思います。したがって、研究機関はもとより、家畜保健衛生所の現場においても検査手法の精度管理ということが必要になると思われます。このため、これらの精度管理の体制整備の推進もあわせて続けていただきたいと思います。
    以上でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    ほかにご意見ございますか。
    西委員、お願いします。
  • 西委員
    私ども、現場で家畜保健衛生所がいろいろ採材とか採血をやっていますので、このサーベイランス体制の、今、筒井委員から出た内容については賛成です。やはり目的とするのは、先ほど村上委員からもお話があった輸出関係もあると思うんですけれども、まず我々とすれば、現場でとったものを生産者に還元するというのが一番大きな重要な役割でございまして、それの結果がどうだったかとかというよりも、疾病の予察だとかが重要だと思っています。
    例えばワクチンも、今まで打っているワクチンでいいのか、あるいは新たに全体的に抗体価が上がっている、あるいは疾病が出てきている、それから、難しい話になりますけれども、抗原性が変わってきているような疾病もありますから、そういったものもしっかりと生産者に還元できるような形のサーベイランス体制を考えて、いろいろ検討していただければいいのかなというふうに思っています。
    きょうは、このお話をいただきましたので、4月に全国の家畜衛生主任者会議がございます。そのときが一番、全国の家畜保健衛生所と家畜衛生担当の県庁の方が来られるので、その中でもこういった話題も出していただいて、今後に向けたご議論をいただければというふうに思っております。
    それから、こういうサーベイランス体制が整えば、仮にこういう形でやっていくとなれば、将来的には全部現場から、いわゆる牛の1つの個体の情報からデータがつながっていく。必要な部分だけがこういう報告のシステムの中に入っていくような形をとると、一つ一つ途中でとまって、また、筒井先生がおっしゃっているように、もう一回エクセルデータを見てじゃないんですけれども、そういうことをしていると、そこにすごく時間がかかりますので、そういうつながりができてくればいいのかなと思います。そういったサーベイランス体制をつくりながら、あとは私の思いなんですけれども、血清のバンクだとか病原体のバンクをしっかりつくっておいて、何かあったときの遡及調査だとか、そういう形をやっていけば、より迅速な対応ができていくのかなというふうに思っております。
    今現在、トレーサビリティーも非開示の部分がありまして、仮にその農場の疾病情報をとりたいときに改良センターに問い合わせてからでないと、またとれないという、問い合わせればとれるんですけれども、そこも一手間の準備もかかったりしていますので、そういった、何かを減らしていくことによってスムーズにデータの処理ができるかということも、あわせて考えていっていただければと思います。よろしくお願いします。
  • 松尾部会長
    中島委員、お願いします。
  • 中島委員
    中島です。コメントとご要望を1つ申し上げたいと思います。
    まず1つは、こういう新たなサーベイランス、それもサーベイランスの目的から現場への還元まで含めた、多種機関を含めた包括的なサーベイランス、またインターネットなどITを活用した効率的なサーベイランスが構築されるというのは非常にすばらしいことだと思います。ぜひこれを推進して、また透明性を担保するような形で進めていただけるのは、全ての関係者にとって、また国民にとって望ましいというふうに考えます。
    ご要望は、ワンへルスの視点です。昨今、人獣共通感染症、新たな新興感染症を含めてワンヘルスの取り組み、すなわち農水部局、環境部局、公衆衛生部局の連携が叫ばれています。こういうサーベイランスの構築で、私、人の感染症を扱っているものですから、その感染症対策サーベイランスにかかわるものと、なかなかこういう獣医領域のサーベイランスとの連携というのが、今までそんなに太くなかったのではないかという思いもありまして、こういうサーベイランスを構築されるときに多層的な、例えば本庁レベル、本省レベルでの連携しかり、また関係する技術担当部局、試験研究機関等の連携も含めて、このサーベイランスという視点でワンヘルスの連携が進んでいくようなことも先には目指していけるような、またはそういう活動のドメインが確保できるような視点で、これを推進していただければというふうに思います。
    以上です。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    ほかにご意見。
  • 熊谷動物衛生課長
    筒井委員、ありがとうございました。また、委員の皆様方のいわゆる応援といいますか、また、こういうふうにしたらいいんじゃないかというご意見もありがとうございます。
    耳が痛いというよりは、むしろ建設的な助言をいただいたということで、2,000人にわたる全国の家畜保健衛生所の獣医の職員がいて、その方々の協力を得て得られるデータを生かして、かつ生産現場に還元する、その点においては必ずしも十分じゃない点、非常にありましたので、まさに問題点、ご指摘のとおりだと思います。
    限られた資源、これはマンパワーもそうですし、あと予算的な面も含めて、その中で事前に計画的に何をサーベイランスの対象にするか、あと、それをどう生かしていくか、あと、また、それが実際に生産現場でタイムリーに活用できるようになる仕組みを目指せる要素が入っていると思いますので、私ども、ちょうど4月には、全国の家畜保健衛生所の方、また本庁の方々も集まるような会合がありますので、そういった中でもんでいって、また、先ほど中島先生からお話があったようなワンヘルス、まさに家畜衛生もOIE、国際機関のPVSという評価、調査を受けていますし、あと、厚生労働省も、この前WHOの評価を受けたというふうに承知していますので、タイミングとしてもいいと思います。また、AMRの関係でいっても、抗菌剤の使用を減らすという意味で、これは生産者にとっても非常にメリットのあることですので、病気が減ったり、あとはコストが減るという方向で持っていければと、まさにデータとか科学的なエビデンスがあっての話だと思いますので、しっかり今回のご報告を参考にさせていただきながら、関係する適任者の方にご協力いただきながら議論していきたいと思います。大変ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    これで議題の3つが終了いたしました。全体を通して委員の皆様からのご意見とかご質問がございましたらお願いしたいと思います。
    よろしいですか。
    特にないようでしたら、これで終了させていただきたいと思いますが、事務局から何かございますでしょうか。
  • 熊谷動物衛生課長
    本日は、たくさん多くの議題について熱心なご議論をいただきましてありがとうございます。本日ご議論いただいた議題については、畜産物の輸入に係ることですので、訪日外国人の方が旅行客が大変ふえている中で、人・物を介した口蹄疫、あるいはアフリカ豚コレラ、また鳥インフルエンザの侵入防止をするためにも、しっかりとした動物検疫に取り組んでまいりたいと思っております。
    また、鳥インフルエンザについては、渡り鳥がこれから戻っていくという時期でございます。昨年も3月下旬に宮城県、あるいは千葉県での発生ということがございましたので、そういった意味では、生産者の方々を含めてしっかりと防疫対応、また自らのバイオセキュリティーの向上に取り組んでいけるよう、取り組んでいきたいと思っております。これからも委員の皆様方のご指導、ご協力について、よろしくお願いしたいと思います。
    最後になりますけれども、実は、平成23年以降、長らく家畜衛生部会の臨時委員を務めていただきました村上委員と西委員が、今回の家畜衛生部会をもってご退任されるということで聞いてございます。つきましては、貴重な時間でございますけれども、お二人からご挨拶をいただく時間を設けたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
    それでは、西委員、ぜひよろしくお願いいたします。
  • 西委員
    すみません。貴重なお時間をありがとうございます。
    平成23年5月から家畜衛生部会、そして牛豚等疾病小委、プリオン病小委の3つの委員を仰せつかってやらせていただきました。その間、宮崎県の口蹄疫の後ということもありまして、飼養衛生管理基準の見直しですとか、防疫指針ですね。口蹄疫、牛疫、牛肺疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラということで、全てのものについて審議にかかわらせていただいたことは、自分にとっても、そして現場で働く家畜衛生の者にとっても、非常にいい委員をやらせていただいたなというふうに思っております。
    また、昨年ですけれども、ウルグアイという地球の裏側まで行かせていただきまして、目的は、一つは、ウルグアイから牛肉を解禁してしまうということで、日本にとっては決してプラスかどうかは何とも言えないところではあるんですけれども、私自身、やはり見て、向こうの家畜衛生のシステムというのは学ぶべきことがいっぱいあったなというふうに思いました。さすがに輸出大国だけあって、それに対する国の思い入れなりシステム構築なんかがあったのかなというふうに思ってございます。こういったことも、今後とも日本にとってプラスになることはどんどん取り入れていけばいいと思いますし、また、逆に、今輸出入の協議をいろいろやられていると思いますけれども、いいことについては海外に広めていただいて、世界各国が口蹄疫だとか、そういう越境性疾病のないような国を目指していければいいのかなというふうに思っています。
    7年間、本当に長い間お世話になりました。4月からはちょっとだけお休みをいただいて、6月からまた働き出しますけれども、いずれにしても家畜衛生に関する仕事を続けてまいりますので、何かお役に立てることがありましたら、ぜひお申しつけいただければと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    それでは、引き続きまして村上委員、よろしくお願いします。
  • 村上委員
    お時間を頂戴して失礼いたします。
    西委員と同じように、平成23年から審議会、あるいは牛豚等疾病小委員会で7年間務めさせていただきました。委員の先生方、並びに事務局の皆様方のご協力、ご指導、ご支援に厚く御礼申し上げます。
    この間、審議内容というのが、先ほど西委員も申されましたが、口蹄疫発生を契機とした法令改正であるとか指針の改定というふうなことから、最近では畜産物防疫にかかわるものがふえてまいりました。我が国の家畜衛生施策も、種々の国際基準を念頭に、内外の防疫施策を調和させて、良質・安全な畜産物を国内消費者に提供しつつ、一方で輸出促進を図っていくということが大切になってまいりました。当部会での審議が我が国の家畜衛生の向上と畜産振興に寄与し、その結果が生産者から消費者に至る関係者の皆様方に還元されますことを祈念して退任のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございました。西委員、村上委員におかれましては、これまで家畜衛生部会の運営に多大なご貢献をいただき、まことにありがとうございます。お二人のますますのご活躍を祈念申し上げたいと思います
    事務局からは以上でございます。
  • 松尾部会長
    それでは、これをもちまして食料・農業・農村政策審議会第32回家畜衛生部会を閉会いたします。
    ありがとうございました。

午後3時24分   閉会

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