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食料・農業村政策審議会 第40回家畜衛生部会・第52回牛豚等疾病小委員会 合同会議 議事録

1. 日時及び場所

令和2年1月31日(金曜日) 9時59分~12時3分
農林水産省本省   第2特別会議室

2. 議事次第

  1. 開会
  2. あいさつ
  3. 議事
    (1) 飼養衛生管理基準の見直しについて(答申)
    (2) ロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性認定について(答申)
    (3) 豚コレラ及びアフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針について
  4. 閉会

3. 議事録

午前9時59分   開会

  • 熊谷動物衛生課長
    皆さん、おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会第40回家畜衛生部会及び第52回牛豚等疾病小委員会の合同会議を開催いたします。
    委員の皆様におかれましては、本日はご多忙中にもかかわらずお集まりいただき、まことにありがとうございます。
    私は、本合同会議の事務局を担当します動物衛生課長の熊谷でございます。よろしくお願いいたします。
    それでは、開会に当たりまして、消費・安全局長の新井からご挨拶申し上げます。
  • 新井局長
    皆様、おはようございます。朝早くからお集まりいただきありがとうございました。
    本日、第40回の家畜衛生部会と、それから52回の牛豚等疾病小委員会の合同会議ということでございまして、委員の方々に広くお集まりをいただきました。
    本日の議事は3つでございまして、いずれも大変重要なものでございます。
    まず1つ目が、飼養衛生管理基準の見直しということでございます。一昨年来からのCSFの発生に伴いまして、今回、豚とイノシシを先行して議論いただいておりますけれども、やはり農場にウイルスを入れないために、どのようにしていけばいいのかということで、この小委員会で非常に活発なご議論を賜りました。それ以前、小委員会に出す前に私どもが考えましたものは、何回かにわたっていただいております疫学小委員会の結果、それから、農家の方々にどのように守っていただけるか、そういう観点から、今までの飼養衛生管理の基準を立体的なものにしたいというのが私どもの思いでした。そういう点で、バイオセキュリティーということでございますので、ハザードマップをどうやってつくっていくかということと、基本的にウイルスなり細菌を入れないというHACCPの考え方、どこで何をポイントにするのがいいだろうかということで、めりはりをつけた飼養衛生管理の基準にしたいということで、事務方として案をつくらせていただいたところでございます。
    この小委員会、それから、昨年から行っておりましたパブリックコメントの結果もいただきました。そういう意味で、今回、最終的にご議論いただきましてできる飼養衛生管理基準は、今までのいろいろな各種の通達でありますとか、各種の経験を全て織り込んだもの、そういう形にして、これから施行に向けて取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。本日最後のご議論を賜りたいと思っております。
    それから、2番目は、ロシア連邦のトゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性の認定ということでございます。これにつきましても、これまで家きん疾病小委員会においてご審議いただいた結果をご報告いただきまして、ご議論の結果、答申をいただきたいというふうに考えております。
    3番目が、豚コレラ及びアフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病の防疫指針でございます。昨日、国会におきまして、議員立法によりまして家畜伝染病予防法の一部を改正する法律が成立をいたしました。その中で、アフリカ豚コレラ、名称も同時にアフリカ豚熱ということになりますけれども、それにつきましての予防的殺処分ができる。加えまして、野生イノシシでASFが発生したときも予防的殺処分ができるということになりました。それに伴いまして、正式な答申は法律が公布されてからということでございますけれども、本日、それに先立ちまして、防疫指針の考え方、内容につきましてご議論を賜りたいというふうに思っているところでございます。
    アジアの中でも台湾と日本が残された、ASFが白い国というか、発生していない国ということでございまして、水際、それから農場周辺も含めまして最大限の防御をしていくためにどうすればいいのかということで、本日の課題は特に重要だと思っております。先生方のご経験を踏まえまして、活発なご議論をいただきまして、最終的に答申なり考え方をまとめていただき、これから私どもはそれを踏まえて実践の方向にしっかり歩んでいきたいと考えておりますので、本日はよろしくお願いいたします。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございました。
    本日は、家畜衛生部会の委員数19名に対し16名、牛豚等疾病小委員会の委員数10名に対し8名にご出席いただいております。食料・農業・農村政策新議会令第8条第1項の規定により、定足数を満たしていることをご報告申し上げます。
    また、事務局は、新井局長を初め11名の職員が参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
    なお、本日の予定でございますけれども、12時を目途の会議進行をしていきたいというふうに考えてございます。
    恐れ入りますけれども、カメラはご退出いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
    本日使用する資料は、資料1~3及び参考資料1~6でございます。資料が不足している、あるいは落丁等ございましたら、審議、あるいは会議の途中であっても、お近くの職員のほうにお申しつけいただければと思っております。
    次に、本日の会議の進め方についてご説明いたします。
    まず、議事の(1)として飼養衛生管理基準の見直しについて及び議事の(2)としてロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性認定について、ご議論をいただきまして答申をいただきたいと考えております。その後、議事の(3)としまして、豚コレラ、これから豚熱となりますけれども、今日はこういう旧称で紹介させていただきますけれども、豚コレラ、アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針について、諮問及び答申に必要な議論を行っていただきたいと思っております。
    このことにつきまして、若干ご説明させていただきます。昨日の30日、先ほど局長からご挨拶があったとおりでございますけれども、議員立法において家畜伝染病予防法の一部を改正する法律が成立してございます。これに合わせまして、豚コレラ及びアフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針も変更する必要があります。ただし、正式な本審議会の諮問は法律の公布を待つ必要がございますので、それを待ってからの諮問、答申ですと、法律の施行と指針の施行に時間的なすき間が生じてしまいますので、本日、部会と、また牛豚等疾病小委員会の委員の皆様にお集まりいただきまして、正式な諮問に先立つ形で改正案について議論をいただきたいと思ってございます。後日、正式な諮問に基づく答申をいただくという予定にしてございます。
    それでは、これより議事に入りたいと思っております。ここからの議事進行につきましては、松尾部会長にお願い申し上げたいと思います。松尾部会長、よろしくお願いいたします。
  • 松尾部会長
    皆さん、おはようございます。松尾です。本日もよろしくお願いしたいと思います。
    それでは、議事(1)、飼養衛生管理基準の見直しについて、まずは事務局から説明をお願いします。
  • 山野室長
    動物衛生課の山野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、資料に基づきまして、飼養衛生管理基準の改正につきましてご説明させていただきます。
    飼養衛生管理基準の見直しにつきましては、昨年の10月3日に本部会におきまして諮問がなされまして、その後、牛豚等疾病小委員会のほうで議論をされました。11月21日と12月4日にそれぞれ小委員会を開かせていただきまして、その時点で牛豚等疾病小委員会のほうの議論の結果としての改正案が提示されたということでございます。
    資料1-1をご覧ください。飼養衛生管理基準の改正概要でございます。
    1つ目は、生産者及び関係者から、飼養衛生管理基準につきまして各項目の意義がわからないというような声がございまして、取り組みの目的ごとに体系を見直しております。1(ローマ数字の1)~4(ローマ数字の4)に体系化しているということでございます。
    また、それぞれの体系について、対象とする感染源の種類ごとに項目を分類しております。1つは家畜防疫に関する基本的な事項、2つ目は衛生管理区域への病原体の侵入防止、3つ目が衛生管理区域の衛生状態の確保、4つ目は衛生管理区域からの病原体の散逸予防というようなことでございまして、それを、先ほど局長のほうからありましたように立体的にということでございますが、体系化した中で、さらに感染源の種類、あるいはハザードマップということで、それぞれの飼養現場での場所での対策というふうなことが目に見えるような形で具体的に規定をしていったということでございます。
    2つ目でございますが、家畜衛生部会委員や関係者から提起された論点を踏まえて、1つ目、「家畜防疫に関する基本的事項」において、家畜の所有者の責務、あるいは飼養衛生管理マニュアルの作成など、本基準を現場で徹底するための取り組みを規定し、また、3つ目でございますが、具体的な防疫措置を定める2(ローマ数字の2)~4(ローマ数字の4)の内容については、国内でのCSFの発生やASFの侵入リスク増加への対応として、これまでの基準に加えて追加的に推進してきました飼養衛生管理基準の手引であるとか各種通知ということ、そういったもの、指導内容について反映したということでございます。一昨年来のCSFの発生状況などで通知等で指導してきたものについても、網羅的にこの中に入れ込んだということでございます。
    主な改正については、4番でございますけれども、それにちょっと補足する形で、参考資料でございます。参考資料の2をご覧いただければと思います。
    参考資料2が、昨年の家畜衛生、本部会での論点、それから2回開きました牛豚等疾病小委員会でのご意見、それと、それに対する対応ということを整理した紙でございます。
    対応方向をご覧いただければということでございますが、参考資料の2の1でございます。飼養衛生管理に関することということで、(1)番、韓国でのアフリカ豚コレラ発生については、国内で発生したと同等の危機意識を持つべきという論点が部会のほうでございまして、そういったことにつきましては、対応をご覧いただければ、基準のほうでは家畜所有者の責務規定と発生リスクの高まりを受けた追加措置への準備を記載ということで、この「(1,7)」というのは、それぞれ資料1-2の改正案、資料見直し案のそれぞれ項目が書かれております。1から順番に書いてありますけれども、その項目を指し示しておりますが、そういったところ、1と7にこういったものを記載しております。
    (2)が、豚は飼養衛生管理が複雑なため、ハード面だけでなくソフト面の対策が重要ということでございまして、それにつきましては、基準のほうでソフト面を明確化するということで、マニュアルの作成などについて規定をしております。例えば飼養衛生管理基準の3番の項目になるわけですけれども、3番では、飼養衛生管理マニュアルの作成と従事者等への周知徹底というようなことで規定をさせていただいております。
    また、(3)のところで、ソフト面での穴を埋めるために従業員教育の徹底が必要という論点がございました。それにつきましては、基準によりマニュアル作成や従業員への周知徹底・強化ということで、先ほどご紹介したところにも従業員の周知徹底ということを基準に盛り込んでおります。
    また、4つ目でございますけれども、IT等を活用した衛生管理の評価制度など、農家がみずから利用できる自己点検の仕組みを参考として工夫すべきであるということで、ここにつきましては、基準というよりも、その後、基準をどういうふうに利用して守っていくのかということでございますが、自己点検の仕組みを、自己点検ツールについて今後検討していきたいというふうに考えているところでございます。
    5つ目については、自衛防疫など地域全体で衛生管理の意識を高め、養豚農家同士が最新の飼養衛生管理に関する情報を入手できる情報交換の場が必要ということで、これについては、今までもいろいろ研修会を行ってきているということでございますけれども、さらに優良事例の発表会、あるいはセミナー、あるいは講習会といったようなことを積極的に開催をしていこうということでございます。
    2つ目で、飼養衛生管理の基準に関することということでございますが、(1)で、飼養衛生管理基準は何を遵守すべきか明らかにするため、細部まで明示することが必要であるということでございます。ここにつきましては、各飼養衛生管理基準の各項目でできるだけ具体的に書けるようにということで、具体的な取り組み内容を追記しているというふうにございます。
    また、現場でわかりやすく周知できるようにということで、パンフレットや動画など、具体的な周知をしていきたいということでございます。また、指導する側にとっても、指導者向けの手引なども作成、今既にあるものがございますが、それを改訂するなどして指導にも役立てていただこうということで考えてございます。
    また、(2)でございますが、飼料会社やと畜場等関連業者の衛生管理対策が重要であるということで、飼養衛生管理基準に書き込むことができないかということです。飼養衛生管理基準そのものにつきましては、飼養管理者、飼養する者の基準でございますので、直接的に書けない部分もございますので、生産者から関連業者への働きかけということを記載するような形、また、ステッカーなどのツールを使って関連事業者に周知できるような検討をしております。また、直接関係業者に関する責務だとか、そういったことにつきましては、この飼養衛生管理基準とは別にというか、家畜伝染病予防法の改正なども今検討しているわけでございますので、そちらのほうでも規定していこうというようなことでございます。
    (3)でございますけれども、ここはハザードを決め、リスクを分析してリスクに応じたバイオセキュリティーとする。それから、発生地域や非発生地域などの基準について同等でいいのかどうかの検討。また、飼養衛生管理基準自体は平時における対応を基本とすべきなんではないかというような論点がございました。そこにつきましては、対応といたしまして、基準に発生リスクの高まり、これは具体的には野生イノシシの浸潤状況とか、そういったことによるリスクの高まりに応じた追加措置ということで、そういった高まっている場合には上積みしてお願いするというようなことを基準として追記させていただいております。
    (4)でございますが、養豚場の規模の大小に応じた規制とすることが適当かよく検討すべきということでございます。大規模での通報体制などにつきましては、やはりそのまま大規模要件を継続するということでございますけれども、消毒などの防疫措置であるとか、あるいはかかりつけ獣医師の健康管理指導などについては差を設けないようにというような形で整理をさせていただいております。
    飼養衛生管理基準が細かくハードルが高いので、現場で十分に理解されていないのではないかというご指摘がございましたので、そういったところにつきましては、先ほどありましたようにマニュアルの例を示したり、あるいはパンフレット等で具体的に周知をしていきたい。また、指導者が細かく指導ができるような形に手引を改訂していきたいということでございます。
    それから、CSFの発生農場の調査が、農家の穴を探すことが目的にように見えるということで、疫学調査結果の伝え方について配慮し、本来の活用目的が伝わるよう工夫すべきというようなご意見がございました。各種通知を発出するときに、しっかりと考え方を明示しながら、具体的なことで理解醸成を図りたいというふうに考えております。
    3番、飼養衛生管理基準の遵守徹底のあり方ということでございますが、(1)は、生産者が主体的に高い意識を持って取り組めるようにすることが大事であろうということで、これについては責務規定などを記載するということで対応しております。
    また、(2)でございます。放牧を推奨しているという中で、ウイルスの侵入防止というところと政策の整合性を整理すべきだろうということでございますが、ここで、やはり野生イノシシのリスクということを考えたときには、どうしても放牧を制限せざるを得ない局面というのは出てくるということで、放牧制限に適用できる、対応できるように、準備措置ということをお願いするということで追加をしているということでございます。
    (3)でございますけれども、飼養衛生管理基準の実効性を担保するためには、家畜防疫員が不足しているのではないかということでございます。そこの部分につきましては、各都道府県での防疫員の確保を推進していただくということでございますけれども、さらに産業動物獣医師全体の確保の議論ということも必要だろうということでございます。飼養衛生管理基準の推進という観点からいえば、教材であるとか自己点検の取り組みというような形で、できるだけ効率的な指導ができるような形で行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
    すみません。今ご説明しているのは参考資料2でございます。その4ページの(4)でございますけれども、飼養衛生管理基準を農場従業員一人一人が理解できるようにかみ砕いたツールをつくり、また段階的に体験させるなど末端まで行き届かせる仕組みが重要であるということでございます。先ほど来ご紹介していますように、動画の発信であるとか教材作成等の検討ということをしていきたいというふうに考えております。
    (5)でございますが、農家が発生予防のためにどのような対策をすればよいか容易に理解できるような伝え方を工夫したほうがいいということで、実際に基準の運用のところでは、やはり周知が大事だということで、そこにつきましては具体的に周知していきたいというふうに考えております。
    5ページ目でございます。
    最後、5番目でございますけれども、小委員会のほうでその他の議論ということでございますが、食品循環資源を原料に利用する際の取り扱い基準ということでございます。CSFの国内発生、またASFの近隣諸国での蔓延の状況ということを踏まえまして、食品循環資源を介した伝染病の感染拡大リスクの増加への対応ということでございまして、いわゆる残飯、あるいは厨芥残渣、こういったものの加熱処理の基準につきまして、現行の基準を加熱処理の国際基準と同等の水準まで引き上げることということにつきまして、小委員会での議論が行われております。結論といたしましては、国際基準の90℃、60分間以上の加熱処理、または同等以上の処理条件での加熱処理ということを採用するということで、肉を扱う事業所から出てくるような食品残渣につきましては、この加熱処理基準を満たすような形で運用すべきであるというようなご意見でございました。
    この食品残渣のご議論につきましては、参考資料の3の第50回農業資材審議会飼料分科会ということでございますが、「食品残さ利用飼料(エコフィード)等に関する規格・基準の設定について」ということで、飼養衛生管理基準の改正とあわせまして、こちらのほうは飼料安全法の省令改正のほうでも同様の改正をするという議論が行われているということをご紹介させていただきたいと思います。
    資料1-1にお戻りいただければと思いますが、改正の主な項目というのは、今ご紹介したとおりの事柄がございまして、それぞれ、例えば資料1-1の1ページ目、一番下の4番の(1)の所有者の責務の新設であるとか、あるいは(2)のマニュアルの作成、また、野生動物での発生リスクの高まりに応じた追加措置の新設というようなこと、それから、2ページ目の(8)でございますけれども、肉を扱う事業所等から排出される食品残渣の飼料利用時における処理と管理の方法の改正と、こういったことを規定させていただいております。細かな規定ぶりにつきましては、資料1-2のほうをご覧いただければと思います。
    5つ目でございますが、5ですね。資料1-1の5番目でございます。本部会の答申後、改正の手続を経まして、本年2月ごろに基準を公布しまして、一定の周知期間を設けて施行したいというふうに考えております。また、本基準施行後、一部の取り組み、ここに括弧で書いていますけれども、防護柵や防鳥ネットの設置につきましては11月、また食品循環資源の飼料利用に係る加熱処理の条件であるとか、あるいはマニュアルの作成や放牧制限の準備措置については来年の4月を施行予定という形で、一定の猶予期間を設けての施行ということとしたいというふうに考えておるところでございます。
    私からの説明は以上となります。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    引き続き、牛豚等疾病小委員会における審議結果について、同委員会を代表して津田委員長からご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 津田委員
    津田でございます。
    私のほうから、牛豚等疾病小委員会での議論について簡単にご報告したいと思います。
    牛豚等疾病小委員会では、11月21日の第43回でまず検討いたしました。ここでは、一番大きい事項となりましては、この飼養衛生管理基準を生産者にいかに遵守してもらうかということの工夫等について議論いたしました。具体的には、詳細まで記載し、守るべき水準を明確化した上で、生産者にとって理解しやすく受け入れやすいような形にしたほうがいいんじゃないか。簡易版や手引書等が作成されるといいという話もありました。それから、基準の遵守徹底のために従業員の教育訓練の義務化、あるいは動画による講習の受講履歴がわかるような仕組みも必要である。さらに、家畜保健衛生所の指導用の手引を詳細を示すべきと、そういった議論がございました。
    それから、各項目の内容についてでございますけれども、飼養規模にかかわらず、かかりつけの獣医師を確保すべきという話もありましたし、さらに、そういった管理獣医師が基準の遵守状況を確認して家畜保健衛生所に報告するような取り組みというのも規定したらいいんじゃないか。それから、野生イノシシとの接触リスクの高い放牧等の対策としては、二重柵を設置すること等、あるいは今回のCSFの発生で、いくつかありましたけれども、公道、道によって分断された農場などで管理区域が適切に設定できるような具体策を示したほうがいいとか、あるいは、病原体を持ち込むリスクが高いために、猫等の愛玩動物の管理区域の飼養禁止について言及すべきと、そういった議論もございました。また、洗浄・消毒について、何をすることが有効であるのかをよりわかりやすく明示すべきであるというような意見等もありました。
    こういった意見を踏まえまして、12月4日の第44回の牛豚等疾病小委員会では、生産者が作成すべきマニュアルというもので、例えば遵守事項等について具体的な整理が必要であるとか、それから、消毒方法を反映させたマニュアルが必要であるとか、それから、統一的なSOPや重要な危害ポイント等、マニュアルの標準例を国が示した上で、それを参考に各農場が実情に合わせてマニュアルを作成すればいいというような議論がありました。
    それから、消毒方法の重要なポイントにつきましては、この飼養衛生管理基準とあわせて、視覚的な、あるいは動画を使ったような普及・啓蒙用の資料をつくればいいというような議論がありました。
    また、獣医師による指導の全頭数規模への適用拡大につきましては、これは日本が養豚先進国となるためには必要な取り組みであろうということから、やっぱり獣医師の各農場における指導が必要であろうと。ただ、指導できる獣医師が足りるかどうかが懸念されますし、あるいは、地域によっては獣医師も不足するということがありますので、そういったものについてはどうするかという議論もありました。それから、獣医師による農家向けの研修会を開いて、そこで相談・指導を受けるようなことで、ある程度獣医師数の足りなさをカバーできるんではないかという議論もございましたし、それから、現在の民間の獣医師だけでは対応し切れないために、家畜保健衛生所やNOSAIの獣医師の方も、こういったマニュアル作成や農場指導が担えるようにすべきであるというような議論もありました。
    いずれにしましても、牛・鶏まで含めてきますと、獣医師が足りるか、あるいは獣医師がどこまで担うかということになってきますので、補佐する者がこういったものを担える範囲があるかどうかについて議論が必要であろうということから、牛豚等疾病小委員会の中では、やっぱりそういった指導のできる専門的な獣医師育成を支援する必要があるというようなことも意見としては出されております。
    それから、食品残さの利用飼料の加熱処理対象につきましては、牛豚等疾病小委員会の中では、食品残さについては、肉を扱う事業所等の範囲に例外を認めるべきではないということで、肉については動物種によらず一律の加熱対象とすべきであろうということを議論しました。それから、食鳥処理場の残さなど、鶏の肉に限定して豚の飼料にする場合には、加熱基準強化の対象外としてもいいのではないかという議論もありますし、それから、同一事業者で肉を取り扱わないラインのものを加熱するかどうかについて、どう交差汚染防止を担保するかということもしっかり定めるべきであるというようなことも議論いたしました。
    いずれにしましても、この加熱処理につきましては、国際基準に合わせた処理の基準の強化というものについては、牛豚等疾病小委員会では同意したというところでございます。
    それから、この基準を農家の生産者の方に遵守してもらうための工夫について、やはり日常的にこういった基準を守ることが日常的な疾病対策に有効であるということを、いろんな形で示していけば、生産者の方に伝わりやすいだろうということで、いろんな農場の事情、あるいは地域の事情に応じた適用をお願いしたいということで議論がまとまったところでございます。
    以上のような牛豚等疾病小委員会の議論を踏まえて、今回事務局が提出した案というものは、私ども牛豚等疾病小委員会の議論を適切に踏まえているというふうに考えております。
    以上でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本件について、委員の皆様からご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。
    日髙委員、お願いします。
  • 日髙委員
    今度の飼料衛生管理基準の中で、獣医師の関与というのが大変重要になってくると思っておりますけれども、現行として家畜防疫員、県の家保の職員がやるということになっておりますけれども、このあたりをもう少し広げまして、例えば国でマニュアルの研修を行った獣医師さんに関してもできると、例えば先ほどの話の中で、NOSAIの獣医さんとかJAの獣医さん、あと餌会社、飼料会社の獣医なども養豚にかかわっている獣医さんたちがいらっしゃるので、その辺を活用していくことも必要じゃないかと思っているし、現状としてCSFのワクチンとか、あとは、この飼養衛生管理基準をするための家保の職員の方々が、ほかの家畜畜種に対する指導がおろそかになっている話も聞きますので、そこあたりも含めた獣医師の活用ということをやっていったほうがいいのではないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  • 熊谷課長
    日髙委員、ありがとうございます。
    おっしゃるとおり、今、獣医のリソース自体も、特に産業動物に向けて従事をできる方ってかなり限定されています。それで、家畜保健衛生所、行政、地方の都道府県の職員ですと約2,000人強でございます。それで一方、今おっしゃったようにNOSAI関係、恐らく1,700人強の方々、それで牛を担当している方もいますけれども、もちろん他の畜種、豚も含めて対応できると思いますので、この辺、今日も呉先生がいらっしゃっていますけれども、JASVの、いわゆる養豚の専門の産業獣医師の方々の知見などもかりながら、あと研修であったり、あるいはマニュアル化というのも、ちょっと先生方に対してマニュアルというのもあれかもしれませんけれども、やはり今課題となっているものに対して指導できるような人材、日本にあるリソースをうまく協力を得て取り込めるようにしたいと思っています。大変ありがたいご意見だと思います。
    他の疾病、あるいはリスクのある要因というのは、今、CSF、ASFに目が向けられておりますけれども、ほかの畜種のウイルス病、あるいは細菌感染症もありますので、ご意見賜ったことをできるだけ早く反映できるように、また時間をかける部分については研修なども使ってということで対応したいと思います。ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    日髙委員、よろしいですか。
    ほかにご意見ございますでしょうか。
    筒井委員、お願いします。
  • 筒井委員
    すみません。これはもう言わずもがななんですけれども、私が気にしているのは、やっぱり残渣、いわゆる残飯と言ったらよくないのかな。食品残渣を与えるということについて、やはりバイオセーフティーを一生懸命例えばやったとしても、一番直接豚に行く、動物に行くところの、いわゆるリスクが減じられていないということについては、大変私は懸念をしています。そういった意味では、今後、このASFについても周辺の殺処分をするというような規定を改正するのであれば、せっかく一生懸命頑張っておられるのが、ただ近隣にあるということだけで殺処分の対象になってしまうという可能性があるということからすると、ぜひ、この食品残渣の問題、加熱処理をしていくということはいいことだと思うんですけれども、ぜひこれをしっかり実効性のあるものにしていただきたいというのが私の要望です。
  • 小倉審議官
    食品残さの処理については、今回のこの基準の中でも盛り込まれますけれども、さらに飼料安全法の中の規格基準にも盛り込んでいこうということで、そちらのほうでもいろいろご審議をいただいて、先ほどのお話ししているような交差汚染というんですか、分別の話も含めてしっかり議論をしていきたいと思います。
  • 松尾部会長
    山口委員、お願いします。
  • 山口委員
    筒井委員の意見と関連しますが、実際、現場の家畜保健衛生所では、今回の沖縄県での発生を受けて、改めて立ち入り検査等をして、食品残渣の加熱の確認を行い問題のないことを確認したところですが、確実に加熱処理がなされていることの実効性を持たせ、絶対に発生がおこらないようにする意味で、いろんなところから残飯を集めてきて自分で鍋で煮沸するなど目で見てわかる場合はいいですが、残渣の購入先で肉は入っていませんと言われると、性善説に立てば、加熱しなくても問題ないことになるんだと思いますが多少肉が混じった残飯でも、入っていないと言われると信じるしかなく、私としては肉の含んだものを加熱するというのではなく、食品残渣は全て加熱するようにした方がいいという考えです。
    もう一つは、先ほどの参考資料の中で、農場に来る前の食品資源の工場などで、きちんと加熱処理されているかについては、FAMICや都道府県が確認するなど、今回の沖縄県での発生を踏まえて我々も確認しているところですが、農場内で加熱している場合についても、家保だけじゃなく、飼料の監視員も確認するなど家畜保健衛生所、飼料監視員など複数の機関や人で、監視することで、飼料製造と農場間の狭間が曖昧となって発生のリスクが生じる事のないように、飼料安全法の中できちっと確認できるようにしてもらいたい。
    以上です。
  • 山野室長
    ありがとうございます。
    やはり狭間だとか、どこからどこまでがどうでというようなところはよく整理して、現場の指導でそごがないような形で実効性を持たせるような形で、研修なり何なりということもしていきたいというふうに考えております。
  • 熊谷動物衛生課長
    あと、ちょっと補足させていただきます。
    やはり手元に来る、餌として利用しようとする農家の判断、あるいは専門の事業者、その前の段階の、いわゆる原料といいますか、そういう状態の段階を扱う事業者の方もいらっしゃいますので、決してそこは、その段階で用途が決まっているわけではないので、そういった意味で、やはり環境部局、今回も沖縄のケースの場合は環境部局の協力を得て、いわゆる他法令でいいますと廃掃法の関係の規制などもありますので、そういった部局とも、よく自治体の中でも連携できて、あとは事業者の方も、農業をやっている方の場合は一般的にそういうのをとらないケースがあって、自己完結ですと問題ないんですけれども、そういった部分も法令的なもの、あとは任せるべきところはプロに任せるように、そういうことの優良事例などもお示しできればなというふうに感じております。
    やはり今回の沖縄のケースというのが、非常にリスクがどこにあるかという点に関していいますと、エコフィード、かつ、それが加熱が不十分、あるいは加熱していないということがございましたので、この辺は急いで対応、またわかりやすい優良事例なども展開していきたいと思っております。
  • 松尾部会長
    嶋田委員、お願いします。
  • 嶋田委員
    宮崎の嶋田です。
    今回の家畜衛生部会での論点等への対応方向の中で、従業員さん、現場の方への周知の徹底を強化といったところがございますけれども、今、養豚の生産現場でも、ベトナムなど海外からの研修生の皆さんとか、非常に多くいらっしゃっているという背景がございます。当然ここの従業員という言葉の中には、その辺も想定されているのかなと思いますが、改めて、やっぱり衛生的なところのイメージを伝えたりとか、そういったところで、やはり農場の場長さんであったり経営者の方、あとは我々獣医師もお伝えする際に非常に苦慮するときがございます。そういった背景も、ちょっと念頭に置きながら、例えばマニュアルの標準例を作成されることであれば、例えばベトナム語であったりとか、多言語で標準例をつくっていただけるといいのかなというふうに考えています。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございます。
    研修生、これは畜産のほうに入って従事、あるいは研修される方だけではなくて、他産業にもたくさんの方がいらっしゃいますので、そういった点、現在国際研修協力機構ということで、多業種の方々の研修を受け入れする機関とも連携して、今おっしゃったように、実はこれは日本豚事協、いわゆる日本養豚事業協同組合さんのほうで、ベトナム語、中国語、フィリピン語ということで、あと大事な点は、なかなか活字を完全に読むというのは難しいものですから、こういった絵、あるいはよく使う用語を対比表みたいなものをつくっている事例もございます。こういったものも参考にしながら、あと、私どもの修正管理基準のサイドも、重要事項をわかりやすく発信して、あと、例えば韓国の事例で申し上げますと、どうも7割ぐらいの養豚事業者の方が外国人の方を雇っている。それで、やはりこのような形で、事前研修のような形で基礎的な衛生の情報も共有していると聞いておりますので、そういったものも参考にして、周知を早く、あと、かつそれを継続的にできるようなことを直ちに取り組んでいきたいと思います。
  • 里井委員
    里井です。よろしくお願いします。
    今のご質問とご返答を聞けて、すごく安心したと申し上げますか、意見としてちょっと1点だけつけ加えさせていただけたらなと思ったのがありました。
    今回、飼養衛生管理基準の厳守徹底ということで、非常にわかりやすく、現場の方もわかりやすく工夫をされているという点が多数感じられたことが、すごくよかったと思うんですが、一方で、写真ですとか動画、例えばその言葉遣いがすごくたくさん出てきたんですね。文字を減らし、写真を多くしたり動画にするということで、生産者さん、または何かを伝えるということは非常に効果があります。私もフードジャーナリスト、それから情報を発信する立場として、非常にそれは有効である一方で、その写真が過度になった場合は逆効果になるという可能性も非常に高いです。言葉の意味というものと、そこでの文字というものが連動しないと、なかなか人には通じません。
    今そのお話で伺ったときに、この部分は絵で、この部分は言葉でということでのご配慮を伺えたのでよかったんですが、例えば、若者は今もう動画しか見ないよとか、若い方はこうであるよみたいな先入観から、例えばこれはもう全て写真のほうがいい、動画がいいという大ざっぱな考えではなく、そのあたりの厳選というのは思われている以上に慎重になられたほうがいいのではないかなという、ちょっとこれは老婆心的な意見なんですが、私自身も日々食べ物というものを発信している立場におきまして、常々考えていることでもございましたので、ちょっと気になりましたので、意見として申し上げさせていただきました。ただ、先ほどのである程度安心はしております。
    以上です。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございます。
    アドバイスいただきながら、また、農水省全体も実はそういう取り組みを、写真であったり動画であったり、やはりターゲットにする対象をちゃんと考えてやりたいと思いますので、またご助言いただきながら、早くいいものをつくり上げたいと思います。ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    それでは、ご意見が出尽くしたようなので、次に行きたいと思います。
    それでは、農林水産大臣から諮問のありました飼養衛生管理基準の見直しについて、今後軽微な修正があった場合は、部会長一任とさせていただき、全体としては適正であるとの答申を行うということでよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。それでは、答申の手続を進めさせていただきます。
    次、議事(2)です。ロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性認定について。
    まずは事務局から説明をお願いしたいと思います。
  • 沖田室長
    それでは、ロシアの高病原性鳥インフルエンザの清浄性、2州に関するリスク評価のことについてご説明をさせていただきます。動物衛生課国際衛生対策室長の沖田でございます。よろしくお願いいたします。
    ロシアから家きん肉を入れる、輸入するに当たって必要となるリスク評価でございまして、このリスク評価を行った背景でございます。資料2-1をご覧いただきたいと思います。説明は資料2-1、これがリスク評価の概要となっておりますので、これを使ってご説明をさせていただきます。資料2-2、それから資料2-3、これがリスク評価の全体像になっておりますが、これはお手元、委員の方の机上にだけ配付をさせていただいているものでございます。概要に従ってご説明をさせていただきます。
    まず背景でございます。背景は、ロシアから生鮮家きん肉の輸入解禁要請を受けました。それは2012年12月ということだったんですが、その後、ロシア全土、高病原性鳥インフルエンザが各州で発生をしているということもあって、全体から入れることはやはり難しい。一定の地域からでないとやはり難しいということで、どの州にするかということを2018年12月にロシア側から、トゥーラ州とブリャンスク州という、この2つの州からの生鮮家きん肉の輸入をしてほしいという要請を受けてリスク評価を行っております。これら2州は、鳥インフルエンザが発生していないことはもちろんですが、鳥インフルエンザのワクチンも使用をしていない2州でございます。これら2州について、リスク評価のための書面での情報収集、デスクスタディーを行いました後、2019年3月に現地調査を行い、さらに現場での情報も収集した上で、このリスク評価の報告書を取りまとめ、定性的なリスク評価を行ったところでございます。
    まず、この2州の状況ですけれども、この2州は、資料2-2の地図を見ていただきますと、広大なロシアの全体の中で西側の、もう国境に近いようなところにある2州でございます。トゥーラ州はモスクワ州の南側に隣接をしている。それから、ブリャンスク州は、そこからちょっと西側にあるところということで、地理的にはトゥーラ州がモスクワの南側に隣接で、ブリャンスク州はモスクワから南西に350km離れたところで、ベラルーシに西側で接しているという、この2州でございます。先ほど申しましたとおり、発生もワクチンもない2州ということになってございます。
    家畜衛生体制についてですが、全体の中央の獣医当局があり、これはFSVPSというふうに言っていますが、そこが家畜衛生に関する実際の行政執行機関というふうになっております。そこは本部と、それから地域の事務所を持っております。これが中央の体制でございます。中央では、そのFSVPSは地方にも職員を持ち、全体で3,521名の職員がいるということで、地方で行われる防疫措置を監視監督している。一方、地方、各州におきましてですが、獣医当局がございます。ロシア全体ですと、全体で獣医官が5万5,000名余りいるという状況で、その中でトゥーラ州においては847人、それからブリャンスク州においては584名という担当官が従事をしているということになってございます。その他、AIの診断機関、中央にある家畜衛生研究所があります。そのほか、国内各地に診断施設があるということになっております。
    法律というか、指揮命令系統ですが、中央において、基本的な法律として獣医法があります。AIに関しましては、AI指令というAIの防疫に関する指令、これが定められておりまして、このAI指令に基づいて、各地方においてFSVPSの地域の事務所と連携した上で、地方レベルでAI防疫に関する規則を策定します。それに従って、各地方において防疫体制がとられておるところでございますが、また、その防疫計画に沿いまして、商業用の農場においては、各農場が自分たちの農場に合った計画をつくるという形で、国レベル、州レベル、それから農場レベルできちんとした計画を持って防疫体制を構築しているということになります。
    家きんの飼養状況ですが、大規模な商用の農場、それから小規模、あるいは裏庭の養鶏というものが体系としてはございます。基本的に流通するものは商用の農場のものです。ですので、日本が輸入をするということになりますと、この商用の農場からの肉だけが来るということになります。先ほど言いましたとおり、商用農場においては州の防疫規則に基づく計画をつくって、しっかりとした対応をしているということになっております。
    次のページには、トゥーラ州、ブリャンスク州、ロシア全体で、それぞれの農場カテゴリーにおける生産量についても数字を載せております。
    それから、農場の数ですけれども、商用の農場というのは極めて大規模で数が限られているということになっております。トゥーラ州及びブリャンスク州では、商用家きん農場はそれぞれ9農場、それから4農場ということで、それらが大規模に持って生産をしているということになってございます。
    食鳥処理場につきましても、これも各地方の獣医当局の検査を受けて営業を許可されているということになっております。基本的に農場が限られておりますので、食鳥処理場は、その農場にいわゆるひもづいているというか、それと連携して営業しているという形で、1対1という関係では必ずしもないですけれども、1つの農場から出される、そことひもづいて営業しているというような状況でございます。日本と同じように、食鳥処理場において、生体を食鳥処理する前後での検査等もきちんと行われております。それらについて確認をしてきております。
    それから、輸出入の検疫体制でございますけれども、まず輸入の検疫については、FSVPSの地域事務所の監督のもとで、各地方の獣医局が輸入の検疫を行っているということで、入ってくるエントリーポイントというのは、輸入できるのは228のエントリーポイントがございますが、そこでしっかりとした検疫を行った上で入ってくるという形になってございます。
    それから、輸入・輸出の現状につきましては、2-3の詳しい資料のほうに輸入・輸出の実績等を載せております。後でご参考に見ていただければと思います。
    輸入の検疫はそういう形になっており、それから、輸出の検疫につきましても、これもFSVPSの地域事務所が発行主体となって証明書を発行して輸出をしているという形になっております。
    家きんに関する国内の防疫措置でございますが、基本的に、発生があった場合には、その周りに移動制限をして封じ込めて、その外側にはサーベイランスエリアを設定するということで、これは日本と同じような体制をとっております。その範囲は日本とはちょっと異なります。発生農場から5kmが封じ込めのエリア、その外側5kmにサーベイランスエリアを張るというのが発生した場合の対応ということでございますが、基本的に発生時の対応としては、日本と同じような仕組みをとっておるところでございます。
    それから、ワクチンの接種の状況でございますが、先ほど申しましたとおり、リスク評価を行った2種についてはワクチンは接種していないということでございますが、ロシア全土においては裏庭の農場、それから小規模の農場に関してはワクチンの接種ができますが、商用の農場においては基本的にワクチンを使わないということになってございます。この裏庭の家きん農場、当然こういったところは流通を制限されておりますので、ワクチンを打ったものはむやみやたらには流通がされないという形でございます。
    それから、ロシアで行われておりますサーベイランスの状況でございますが、サーベイランスにつきましては、症状の報告をするパッシブサーベイランス、それから、積極的にサンプルをとって捕まえていくアクティブサーベイランス、それから野鳥におけるサーベイランスということで、サーベイランスの対応を実施をしておるところでございます。
    パッシブサーベイランスにつきましては、農場から異常通報がされまして、それを地方の獣医当局が通報を受けて対応するという形になっておりまして、トゥーラ州及びブリャンスク州におきましては、2017年にトゥーラ州の裏庭のアヒルの農場で1件通報があったということで、それを検査しましたところ、H3、H9ということで、通報対象のAIではないということだったということですが、そういったパッシブサーベイランスの通報もされておるところです。一方で、ブリャンスク州においてはパッシブサーベイランスの事例が、2016年から18年の間ですが、パッシブで通報はなかったというふうな報告を受けております。
    それから、アクティブサーベイランスにつきましては、国レベルでガイドラインをつくりまして実施をしております。この中でロシアにおきましては、トゥーラ州、それからブリャンスク州を除いたロシア全体ですが、2018年で約95万サンプルが採取をされ、そのうち413サンプルが陽性となっていたという報告がございます。トゥーラ及びブリャンスクの2州におきましては、2018年、合計で2,319サンプルの採集があり、それらは全て陰性であったという報告がございます。
    また、野鳥のサーベイランスにつきましては、ロシア全土で2018年採材された924のサンプルについて、通報の対象となるAIの陽性例はゼロであったということです。トゥーラ及びブリャンスク州については231サンプルを検査いたしまして、全て陰性であったという形で、サーベイランスにつきましても、パッシブサーベイランス、それからアクティブサーベイランス、そして野鳥のサーベイランスについて実施をされているということを報告及び調査によって確認をしてきております。
    これらの点を踏まえまして総合的な評価でございますが、家畜衛生体制についてはロシア全土、全体としての組織体制、それから保護体系としても整備されており、また、地方についてもそういった形の州の政府できちんと対応がとられている。また、中央政府の地方の出先との連携もとれているということが確認ができております。これはトゥーラ州及びブリャンスク州において確認ができておるところです。
    それから、家きんの農場ですけれども、基本的に輸出の対象となるような商用家きん農場においては、州の規則のもと計画を定めて衛生管理をきちんと実施をしているということ、また、商用家きん農場においては州の獣医師が常駐をし、監督を行っているということでございます。また、食鳥処理場も適切に検査を行っているという形になっております。また、国境検疫についても、FSVPSの責任のもと、検疫が適切に行われているということ、それから、サーベイランスについても適切に実施がされ、早期通報ができる体制は整えられているということで、そういうことが確認できた。また、発生時の対応についても、日本と同じように通報から措置をして、移動制限をかけ、それからサーベイランスを実施するといったような措置がとられているということでございます。
    これらを総合的に勘案をいたしまして、トゥーラ州及びブリャンスク州の輸出用の家きん肉については、日本が輸入した場合にあっても侵入するリスクは極めて低いと考えられるということでまとめまして、家きん疾病小委の先生方にご議論をいただいたところでございます。
    説明としては以上です。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    家きん疾病小委員会における審議結果について、同委員会を代表して、委員長代理、中島委員からご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 中島委員
    中島でございます。
    伊藤委員長にかわりまして、先月、12月19日に開催された第69回の疾病小委での議論について簡単にご報告させていただきます。
    ただいま事務局からリスク評価結果について説明を受けて、第69回の委員会、12月19日の委員会においては、ロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性認定について審議をいたしました。具体的には、事務局からロシア全土並びにトゥーラ州及びブリャンスク州における家畜衛生体制、家畜衛生に関する法令、畜産の概況、輸出入の検疫体制、家きんに関する国内防疫措置、鳥インフルエンザ発生時の対応やサーベイランスなどについて説明を受けて、これについて審議をいたしました。
    その結果、家畜衛生体制については、ロシア全体として組織、法制度ともに十分に整備されており、実際、トゥーラ州及びブリャンスク州においても、州政府と中央政府が協力して高病原性鳥インフルエンザの発生予防及び蔓延防止ができる体制がきちんと整っているということ、また、国内防疫措置として、高病原性鳥インフルエンザに関して、地方をステータスに分けて、異なるステータスを有する地方間の移動に関して、移動に伴うリスクに応じた条件を設けていること、また、サーベイランスも十分なアクティブサーベイランスが実施されておりますし、パッシブサーベイランスにおいても十分機能しているということが説明を受けて確認されたと考えられるということですね。
    また、輸出用の食鳥処理場では商用農場の家きんのみが取り扱われており、そのバックヤードの個人消費のものが入ってこないという体制から、当該2州からの生鮮家きん肉の輸入を解禁した場合であっても、当該2州で出生及び飼養された家きん由来の肉であることを、いくつかの条件を確認してリスク管理防疫措置が講じられればという条件を設けましたが、その条件の内容としては、まず当該2州で出生及び飼育された家きん肉由来であること、2番目に、当該2州における由来農場及び食鳥処理場を商用のもののみに限定すること、3番目に、ロシアにおいて高病原性鳥インフルエンザまたは低病原性鳥インフルエンザが発生した場合に、ロシア政府から迅速に情報提供がなされること、この条件を確認した上で、当該2州からの家きん肉の輸入を介した我が国への高病原性鳥インフルエンザの侵入リスクは極めて低く、当該2州の高病原性鳥インフルエンザ清浄性を認定することは妥当である、適当であるというふうに判断いたしました。
    以上のことから、家きん疾病小委員会としましては、ロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州の高病原性鳥インフルエンザの清浄性を認定することについて了承いたしました。
    以上で家きん疾病小委員会からの報告を終わります。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本件について委員の皆様からご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
    橋本委員。
  • 橋本委員
    橋本です。
    先ほど、沖田室長のご報告と、今の中島委員長代理の家きん疾病小委員会におけるご審議を伺いまして、何ら疑問はありません。よく徹底的に調べられて、きちんと検討されています。何ら疑問はない。
    私からのお願いでございますけれども、委員にしか渡されていない資料が、リスク評価報告書がございますが、これを拝見して、大変によくできている。デスクワークをきちんとまとめられたのは、それはなれた仕事で、よくわかりやすくまとめられているんですが、それ以上に感心したのは現地調査です。現地調査がよくここまで入れたなと。ロシア側がそれだけ協力したということなんでしょうが、商用のブロイラー農場のケージ飼育をしている現場まで入って、鳥がいる状態で観察されていますし、裏庭飼育農場では、鳥がいる現場まで入って、その農家から聞き取りをしているんですね。これは貴重な情報なんです。なかなかこのレベルの情報というのは、私のような養鶏関係者、獣医師ですけれども、めったに手に入らないし、防疫体制も具体的な消毒方法も事細かに観察されていますね。
    ですから、この報告書は、逆に言えばあまりにも具体的な社名や何やらが明らかになっているから非公表の扱いをされているんだと思うんですが、我が国の養鶏関係者とか家きん疾病の防疫に携わる人たちに、何らかの形で、このリスク評価報告書の詳細な部分が明らかになるようにご検討をお願いしたいと、そういうふうに考えております。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございます。
    事務方の仕事を評価していただいたということと、あと、あわせて、まさにおっしゃるとおりで、養鶏あるいは養豚の実際の生産の現場の中に入り込んで、またヒアリングまでできるというのは非常に貴重なデータになっております。ご指摘を踏まえまして、少し公表できるものにまとめ上げて、何らかの形でお示ししたいと思います。特に衛生対策について、今、国内的にはCSF、あるいはASFが海外でということで、養豚が中心に目が向けられておりますけれども、やはり養鶏、とてもウイルス病、あるいは細菌病、寄生虫病に対しての対応というのが、各国、取り組みがすぐれた点、見習う点もむしろあるということでございますので、よく整理して公表したいと思います。
    あと、また1点補足させていただきますけれども、ロシア側の当局と私ども家畜衛生当局の関係も、まさに推察いただいたとおり、大変緊密に連携がとれるような状態になっておりますので、こういった点は、今目の前に来ているASFの対応についても、行政あるいは研究部局との間でも交流ができるように、また取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。
  • 橋本委員
    ひとつよろしくお願いします。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    山口委員、お願いします。
  • 山口委員
    何点か確認したいのですが。
    この2州の食鳥処理場ついては、先ほどの説明の中で、輸出を希望する時には国の機関により特別な査察を受けるということですけれども、日本では輸出を認められた屠畜場では高い衛生基準を求められるため、HACCP対応はもちろんのこと、さらに基準があるのはないかと思いますが、ロシアでは輸出用ではどのような基準が求められるのか教えていただきたいのと、もう一点は、食鳥処理の検査では、獣医師もしくは獣医補助者が検査をしているということですが、日本では食鳥検査員として獣医師が行いますが、獣医補助者というのは、アメリカのように特別に講習を受けた人が獣医と一緒に行っているのか、わかれば教えていただきたい。また、ロシアのHPAIの発生を見ると、毎年のように発生していますが、この2州は発生がないということでしょうか。最近、ヨーロッパでは、低病原性の発生はみられていますが、日本のように野鳥の飛来ルートがあって、ヨーロッパ側に近いこの2州はルート上になく、発生のリスクは少ないとか 、養鶏も盛んな地区だということで、輸出をしたいということなのか、理由もわかれば教えていただきたい。
  • 熊谷動物衛生課長
    では、私のほうから。私、2016年11月に実は訪問しておりまして、それで、はっきり言いまして、獣医とその補助者の関係はとてもシステマティックです。ですから、アメリカとかの牛のと畜場とまさに同じような形で、責任者である獣医がキャップの色が違っていて、そこのピラミッドの形で補助員がいるという形です。ですから、内臓系の臨床所見があるようなものを補助者が上げて、それをあと、全部見渡せる範囲の中で、しかも複数の獣医が配置されている。あと、従業員は、まさにその事業所専用で、朝来て、食事もレストランがその中にあって、帰るときまで一切外部との出入りがないというような形ですので、教育とか管理については、やっぱり企業ごとにかなり厳格なSOPを持って行っているという形で、どちらかというと行政的に何か指示されてというよりは、企業として、やはり当然いい商品を出すために、ですから、ファーム・トゥー・テーブルをまさに実践している企業が、まさに商用ということでございます。
    あともう一つ、インフルエンザの、もう中島先生のほうがお詳しいと思うんですが、営巣地が、例えば青海湖とかというと、もう中国とモンゴルの間。ロシアといって一つの国でございますけれども、何千kmと離れていますので、そういった意味では、もちろんモンゴル、中国─中国といっても広いですね。東アジア寄りの部分については、当然営巣地ということで、そこのいわゆるウイルスの分離状況、野鳥からも含めて、そういう研究もとても進んでおりまして、その研究機関との交流も、恐らく農研機構のほうでもそういう交流ができているような形になっていると思います。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    若干時間が押しているんですけれども、ほかにご意見なければ。よろしいですか。
    それでは、農林水産大臣から諮問のありました、ロシア連邦トゥーラ州及びブリャンスク州における高病原性鳥インフルエンザの清浄性認定については、適当であるとの答申を行うことでよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。それでは、答申の手続を進めさせていただきます。
    続きまして、3つ目の議題であります、豚コレラ及びアフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針について、まずは事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 伴課長補佐
    動物衛生課法令検討室の伴です。
    私のほうから、最初、局長からの挨拶にもありましたけれども、昨日成立しました議員立法による家畜伝染病予防法の一部改正の内容を踏まえましたCSFとASFの防疫指針の改正につきまして、正式な諮問につきましては改正法の公布を待たなければいけませんけれども、指針改正の方向性と内容につきまして、本日ご意見を頂戴したいということで、現在の事務局の案についてご説明させていただきます。
    まず、資料3-1でございます。
    今回の議員立法の内容についてということですけれども、まず背景につきましては、ASFにつきまして、近隣諸国の発生状況などから、我が国に侵入するリスク、脅威が非常に高まっているということを踏まえまして、万が一ASFが侵入した場合の対応方針を法律上措置する必要があるということで、現在、当省が検討しております内閣提出法案に先立ちまして、議員立法の形によりまして措置するというものでございます。
    その改正の内容ですけれども、まず1番のところ、「豚コレラ」、「アフリカ豚コレラ」の名称変更ということで、日本獣医学会からの提案を踏まえまして、それぞれ国際的にも使用しております名称に倣いまして、「豚熱」、「アフリカ豚熱」に変更するというものでございます。
    次に、今回の改正のポイントでございますアフリカ豚熱に係る予防的殺処分についてでございます。
    まず1番のところですけれども、現在の現行の口蹄疫に加えまして、アフリカ豚熱についても家畜、これは豚とイノシシを指しますけれども、予防的殺処分の対象にするというものでございます。
    次に2番のところでございますが、予防的殺処分を実施するトリガーとしまして、家畜で発生した場合だけでなくて、野生動物、野生イノシシで陽性が確認された場合でも実施できるというものでございます。
    次に3番目、予防的殺処分を実施する指定地域の指定ということにつきましては、野生イノシシをトリガーとして指定する場合は、周辺における野生イノシシの生息状況、ウイルスの拡散状況、また農場の飼養衛生管理といった状況を考慮しまして、必要最少限度の範囲で行うということでございます。その際には、都道府県知事と本審議会の意見を聞くというものでございます。
    次に、4の丸囲み数字1でございますけれども、野生イノシシをトリガーとした野生イノシシ間における蔓延防止対策としまして、家畜の移動制限、放牧等の制限、消毒ポイントの設置、通行の制限等の措置を講じることができるということでございます。
    その下の丸囲み数字2のところですが、農場における飼養衛生管理基準の遵守につきまして、アフリカ豚熱が発生していて蔓延防止が必要があるというときは、法律上の指導・助言といった段階を経ずに勧告・命令といった協力な措置を講じることができるということでございます。
    その議員立法の内容を踏まえましたCSF及びASFの防疫指針の変更の概要が資料3-2でございます。
    資料3-2、まず1番目の背景でございますが、我が国におけるCSFの発生、ASFの侵入脅威が高まっている状況を踏まえまして、昨年の10月10日に本部会で答申をいただきまして両指針を見直したところでございます。ただ、2番目のところですけれども、その後、さらにASFの脅威が高まっているという状況を踏まえまして、昨日、議員立法により家伝法の一部改正の法律が成立した。この法律を踏まえまして、3番のところですけれども、両指針も変更する必要が生じたという状況でございます。
    次のページでございます。
    変更の方針でございますが、4の(1)が豚コレラの防疫指針でございます。当然ですが、名称を豚熱に変更しまして、また、防疫指針の前文を時点更新という意味でございまして、3ページ、次のページでございますが、別添1をご覧ください。前文のところ、3番目のところですが、発生状況の更新ということで山梨、沖縄を追加しまして、また10月15日の本指針の変更以降、予防的ワクチン接種を開始しているということで、今後の我が国の国際上のステータスの見込みにつきましても追記しているということでございます。
    前のページに戻っていただきまして、2ページ目のASFの防疫指針のところでございます。
    (2)番のところですけれども、ASFの防疫指針につきましては、1番目の丸囲み数字1のところ、名称をアフリカ豚熱に変更。
    次に、予防的殺処分、丸囲み数字2のところでございます。先日、1月15日に牛豚等疾病小委員会を開催しまして、この予防的殺処分につきましてご意見を頂戴したところでございます。その中で、家畜で発生した場合にあっても、野生イノシシで陽性確認された場合であっても、防疫指針の中で一定の予防的殺処分の範囲を示すべきであると。その際には、隣国の韓国での対応が参考になるとのご意見をいただいております。それを踏まえまして、豚農場で発生した場合、また野生イノシシにおいて感染が確認された場合には、原則としましては豚、野生イノシシにおける感染拡大に係る要素を考慮した上で、半径500mから3km以内の区域において予防的殺処分を実施するということを明記しております。これにつきましては、後ほど詳しく説明させていただきます。
    次に、丸囲み数字3番目、野生イノシシにおいて陽性が確認された際の防疫対応でございますが、先ほどご説明した技法の内容を踏まえまして、アのところでは、まず必要に応じて、速やかに、確保地点周辺への不要不急の立ち入りの制限、近隣農場周辺の通行の制限・遮断を行う旨を追記したいということでございます。
    イのところですが、CSFにおけるこれまでの防疫対応を踏まえまして、野生イノシシの病性判定後、その確保地点を中心とした半径10kmを移動制限区域として設定して、消毒ポイントを設置する。
    また、ウのところですけれども、イで設定された移動制限区域においては、ウイルスの浸潤状況を把握するため、死亡イノシシ及び捕獲イノシシのPCR検査を強化するということでございます。
    また、エのところですけれども、設定された移動制限区域の農場に対しましては、家畜防疫員が立ち入り検査を行って異常の有無を確認。必要に応じてPCR検査等の病性鑑定を実施するということでございます。
    最後、オですけれども、立ち入り検査、またこれまでの飼養衛生管理の遵守状況調査の結果によりまして、移動制限区域内の農場を中心に速やかに飼養衛生管理の状況を確認するということとでございます。
    以上が大まかな変更のポイントになりますけれども、先日、都道府県に対しましても防疫指針の変更につきまして意見照会のほうを実施しております。その主な意見と、それに対する当省の考え方を取りまとめたものが資料3-3でございますので、ご紹介のほうをさせていただきます。
    資料3-3の1つ目の丸でございますが、予防的殺処分を実施する豚の屠殺の方法については、防疫指針の中で言及されているけれども、その後の死体の処理などについても防疫指針の中で言及すべきではないかといったご意見がございました。これにつきましては、屠殺後の死体の埋却、また消毒、また飼料・精液といった処理等につきましては、先行して口蹄疫のほうで予防的殺処分を実施することになっておりますけれども、それと同様に、予防的殺処分を実施する際に緊急防疫指針を策定して、その中で記載をするということでございます。
    次の丸で、平時からの取り組みとしまして、発生時の資材、重機等の調達が円滑に進むよう、防疫協定を締結しておくべきではないか。また、防疫作業従事者のリストアップにつきましては、フォークリフトといった重機の操縦が可能な者も含めるべきではないかといった意見がございました。これにつきましては、いただいたご意見のとおりだということでございますので、追記をさせていただくということでございます。
    3番目の丸でございますが、農林水産省が所有する移動式レンダリング装置といった大型の防疫資材の流用につきましては、平時からの取り組みとして念頭に置いておくべきではないかといったご意見がありました。これにつきましては、基本的には平時から焼却施設などの発生時の利用につきまして、その所在地を管轄する市町村と調整するということでございますけれども、その調整が困難な場合につきましては、大型防疫資材の活用についても検討するということになるかと思います。
    また、最後のご意見としまして、ワクチン開発につきまして都道府県から意見をいただいております。これにつきましては、現行の防疫指針の中でも動物衛生研究部門などが実施するASFに関する研究を推進していく旨、記載が既にございますけれども、これにASFワクチンに関する研究という文言も追記したいと考えております。
    以上が都道府県からの主な意見でございますけれども、これらを含めまして、ASFの防疫指針の詳細な変更点につきまして資料3-4を準備しておりますので、ご説明させていただきます。
    資料3-4の1ページ目でございます。
    まず、全体的な内容でございますけれども、2つ目の丸、防疫指針の構成を、先行して改正しておりましたCSFの構成に倣いまして、章立て、節立てに変更したいと考えておりまして、これにつきましては、この資料の一番最後でございますけれども、6ページ目、別添2を準備しております。6ページ目の別添2でございますけれども、赤字が変更箇所となりますけれども、防疫指針の全部変更の骨子でございます。まず構成を前文、第1章の基本方針、第2章の発生予防対策、第3章のまん延防止対策、第4章のその他としておりまして、その中で、第3章のまん延防止対策につきまして、第1節の豚等における防疫対応と、第2節の野生イノシシにおける防疫対応ということで、豚と野生イノシシで分類いたしました。その上で、第4と第17、第5と第18といった形でそれぞれ対応させているということでございます。
    こういった指針の構成を念頭に置いていただきまして、今回の変更点をご確認いただきたいということでございまして、1ページ目に戻っていただければと思います。
    1ページ目でございますが、前文、第1章につきましては特に変更ございません。
    第2章につきましては、第2節の浸潤状況調査でございますが、これは平時におけるウイルスの浸潤状況調査になります。1つ目の丸ですけれども、都道府県は原則として年1回、農場に立ち入り検査を行って、臨床検査によって異常豚を摘発する。PCR等の病性鑑定を実施するということを追記したいということではございますが、これにつきましては、既にCSF、豚コレラのほうで同様の規定がございますので、ASFにつきましても、CSFと同様に、立ち入り検査の際にあわせて確認していただきたいということでございます。
    その下の丸でございますが、ウイルスの浸潤状況を監視・把握するということで、積極的に野生イノシシから検体を収集して、感染の有無の調査を強化・徹底するというものでございますけれども、これにつきましては、既に都道府県で実施していただいている野生イノシシの検査につきまして、もっと検体数をふやすべきであるといった指摘が専門家の先生方からございましたので、そういった指摘を踏まえて強化するというものでございます。
    次に、第3章、まん延防止対策でございますが、まずは第4のところですけれども、異常豚の発見及び検査の実施でございます。これまで異常豚の通報がありまして、ASFの疑いが強い場合には、動物衛生研究部門にのみ検体を送って検査を実施するとしておりましたけれども、今回は、やはり防疫措置の起点を前倒しする必要があるだろうということで、動物衛生研究部門の検査に合わせて県段階でも同時並行で検査を実施するということでございます。
    次のページ、2ページ目でございますが、その動物衛生研究部門に検体を送った場合は、発生の確度が非常に強いということで、発生確定後、移動制限区域に入ってくる半径3kmの農場につきましては、家畜等の移動を自粛をするということを追記しているということでございます。
    次に、第12の発生確定後のウイルスの浸潤状況の確認でございますが、疑似患畜、患畜確定後、速やかに、制限区域内の農場を中心に飼養衛生管理の状況を確認するということを追記します。その結果、下の丸でございますが、飼養衛生管理に不備がありまして、直ちに改善しなければウイルスが蔓延する可能性が高いと考えられる場合は、改善すべき旨の勧告を行う。その勧告にも従わない場合は、さらに改善について期限を定めて命じる、命令という措置を行うということを明記する予定でございます。
    また、その下の丸でございますが、発生後、発生農場の周囲10kmを想定しておりますけれども、その中で野生イノシシの感染確認検査を実施するということを明記する予定でございます。
    その下、第13が予防的殺処分ということでございますが、これにつきましては実際の本文のほうをご確認いただきたいと思いますので、資料3-5でございます。ちょっと分厚い資料になりますが、資料3-5の52ページでございます。52ページをご覧ください。
    52ページ、第13でございます。1番のところ、予防的殺処分の実施の判断でございます。
    (1)でございますが、予防的殺処分は、アフリカ豚熱に感染していない健康な豚を対象とするものであるということでございますので、真にほかの手段がない場合や、同処分が蔓延防止のため最も効果的であることが明らかな場合の措置として実施するというものでございます。
    このため、(2)ですけれども、農水省は、下に書いてある丸囲み数字1または丸囲み数字2の要素を考慮して、発生農場における屠殺及び周辺農場の移動制限等の蔓延防止対策または第1の5、24の1の野生イノシシ対策、これは具体的にいいますと、捕獲の強化、消毒、通行制限、移動制限といった対策のことですけれども、これらによっても感染の拡大の防止が困難と考えられる場合に予防的殺処分の実施を決定すると。その際、原則として、発生農場または陽性となったイノシシを確保した地点などを中心とした半径500mから3km以内の区域の中で設定する。この500m、3kmといった区域につきましては、先ほど申し上げたとおりですけれども、韓国における事例などを参考にしているというものでございます。
    具体的に、その指定地域を決定する際に考慮する要素としましては、まず、この丸囲み数字1  豚等で発生した場合の要素につきましては、アのところ、予防的殺処分以外の通常の防疫措置の有効性ということで、具体的には発生農場における屠殺、埋却、消毒、または周辺農場の移動制限、通行の制限、遮断といった措置が有効かどうかということでございます。次に、イとしましては、感染の急速な広がりということで、周辺農場や野生イノシシに感染が広がっているかどうか。また、ウのところ、ウイルスの浸潤状況ということで、上のイにも関連しますけれども、周辺環境などに既にウイルスが浸潤しているのかどうかといった要素を勘案するということでございます。
    次に、丸囲み数字2番、一方、イノシシのほうでございますが、野生イノシシで陽性が確認された際には、飼養豚と同様のアからウの要素に加えまして、飼養豚と比較しましてコントロールがしにくい、感染リスクに不明な点が多いということで、そういったイノシシの特性を踏まえまして、このエのところですが、野生イノシシにおける状態ということで、病変といった解剖所見、またPCR、血清抗体検査といった検査結果、またオのところですが、環境要因としましては、周辺のイノシシの生息状況、周辺の農場数や飼養密度、また山、河川といった地理的状況を考慮するということでございます。また、カとしましては、周辺農場の飼養衛生管理の状況ということで、周辺の農場のバイオセキュリティーレベルがウイルスの侵入を防げるレベルのものかどうかといった要素を考慮するということでございます。
    そのようにして設定した地域につきましては、2のところですけれども、ウイルスの拡散の状況などを見て、必要に応じて拡大するということでございます。
    また、指定した地域につきましては、予防殺が終了した場合は、当然その全部を解除する。また、仮に通常の防疫措置でも有効的であると考えられる場合につきましては、その一部を解除するといったことも想定しているということでございます。
    また、4番、予防殺の実施の手順ですが、口蹄疫の予防殺の場合もそうですけれども、緊急防疫指針を策定しまして、53ページの丸囲み数字1から丸囲み数字4に掲げるような実施時期、地域、対象家畜といったことを指定するというものでございます。
    最後、(2)のところでございますが、屠殺の方法につきましては、発生時と同様に行って、また、その後の評価につきましては、発生農場と同様に、命令を下した時点での評価を行って、基本的には予防殺を実施した家畜全額、評価額の全額について手当てするというものでございます。
    以上が予防的殺処分についてでございますけれども、その他の変更のポイントにつきましては、再度資料3-4に戻っていただきまして、3-4の3ページでございます。資料4、3ページ目の第14からでございますが、ワクチンにつきましては、現状、実用化されているワクチンはございませんので、ワクチンは使用しないということで内容の変更はございません。ただし、先ほど都道府県からの意見もあったように、ワクチンを含めたASFの研究は進めていくということでございます。
    その後、第2節の野生いのししにおける防疫対応でございますけれども、第17のところ、野生イノシシで感染の疑いが生じた場合には、直ちに確保地点の消毒を徹底して、陽性が確定した場合を想定しまして、半径10km以内の区域の農場の戸数、飼養頭数といった、また防疫作業が生じる場合に必要になる人員といったものの確認を事前に行うというものでございます。
    その後、第18によりまして、動衛研における確定検査の結果、病性が確認された場合につきましては、4ページ目で病性判定時の措置ということでございますが、野生イノシシで陽性が確認された場合につきましても、農林水産省のほうでは防疫対策本部を設置して、対策の防疫措置の方針を決定するというものでございます。
    第20、通行の制限・遮断でございますが、今回の議員立法の内容を踏まえまして、必要に応じて確保地点への不要不急の立ち入りの制限、近隣農場への通行の制限・遮断を行うというものでございます。
    第21は移動制限区域ということで、病性の確定後、半径10kmを移動制限区域に設定して防疫措置を徹底する。ただし、必要に応じて病性判定前に移動制限区域を設定することもできるというものでございます。
    続きまして、第24ということで、最後、5ページ目でございます。
    ウイルスの浸潤状況の確認ということで、野生イノシシにおいて陽性が確認された場合は、まずは確保地点周辺、半径10km、これは移動制限区域と同様のことになりますけれども、10kmの移動制限区域の中で死亡イノシシ、捕獲イノシシのPCR検査を実施する。特に、2つ目の丸のところですけれども、半径3km以内の区域につきましては、死亡した野生イノシシを積極的に捜索しましてPCR検査を実施する。3kmの外側の区域につきましては、死亡イノシシだけではなくて、積極的に捕獲を進めて検査を実施するとともに、個体数の削減を図るというものでございます。この考え方につきましては、ウイルスが確認された地点で捕獲を強化しますと、むしろそのウイルスを外に拡散してしまうということで、専門家からの指摘を踏まえて、3kmと、その外側でちょっと濃淡をつけるというものでございます。
    また、2つ下の丸、4つ目の丸でございますけれども、イノシシにおけるウイルスの拡散防止ということで、イノシシの確保地点につきましては、消毒を徹底して、個体の速やかな焼埋却などによりまして適切に処理するよう、猟友会等の関係者に対しまして指導を徹底する。
    これにつきましては、ちょっと今日はご説明する時間がありませんけれども、参考資料の6として、当省と環境省のほうで「野生イノシシの捕獲等に関する防疫措置の手引き」というものを策定して公表しておりますので、これを周知徹底して、そういったイノシシの防疫対策というものを周知徹底していきたいと考えております。お時間のあるときにご覧いただければと思います。
    最後、5つ目の丸でございますけれども、今回、議員立法の改正内容を踏まえまして、陽性イノシシが見つかった場合でも、飼養豚で発生した場合と同様、速やかに周辺農場の飼養衛生管理の状況を確認して、ウイルスを蔓延させる可能性があるような場合は改善に係る勧告を行い、それでもだめな場合は行政上の命令という強力な措置をとっていくということでございます。
    すみません。以上、駆け足になりましたけれども、今回のCSF、ASFに関する防疫指針の変更内容の事務局の案をご説明させていただきました。
    以上でございます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    また、本日の会議に先立ちまして、先日15日に牛豚等疾病小委員会において予防的殺処分を中心とした防疫指針の見直しについての意見交換が実施されました。この内容につきまして、津田委員長からご報告いただきたいと思います。津田委員長、よろしくお願いいたします。
  • 津田委員
    津田でございます。
    先ほど事務局からASF防疫指針の変更案について説明がございましたが、私からも簡単に、小委員会で議論しました内容についてご報告させていただきます。
    今般の議員立法の内容を踏まえたアフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針の見直し、特に予防的殺処分につきましては、1月15日に開催されました第49回牛豚等疾病小委員会において議論いたしました。その中で、予防的殺処分を実施することとなった場合の実施範囲の考え方、それから、飼養豚で発生した場合、野生イノシシで陽性が確認された場合のウイルスの浸潤状況の把握、それから野生イノシシで陽性が確認された場合の通行制限、移動制限区域の設定、消毒ポイントの設置等の考え方について意見交換を実施しました。
    委員からは、1、農場で発生した場合はもとより、イノシシで陽性が確認された場合にも予防的殺処分の実施は必要である。2、イノシシで陽性が確認された場合、まず500mに設定し、感染の状況等を踏まえ、3kmに拡大する等、柔軟性を持って個別に判断できるようにする必要がある。3、半径で区切る考え方に加えて、水路や山海のような地理的要因や疫学的な関連を考慮することも重要になる。4、予防殺の実施に当たっては、既に実施しているイノシシ対策やバイオセキュリティー等についても考慮する必要がある。5、消毒ポイントの設置について、交差汚染を防ぐためにワンウエーにする仕組みや、1つの道に2カ所ポイントを設置する等、工夫すべき等の意見がございました。事務局の案は、これらの委員からの意見を踏まえたものになっております。
    さらに、指針の変更に当たりましては、実際に防疫指針を運用する都道府県の意見を求めることとされております。本日配付されております案については、都道府県からの意見の提出のあったワクチン開発、それから大型防疫資材の活用等に係る意見も踏まえて、より実践的なものになっていると考えております。
    以上を踏まえまして、本小委員会といたしましては、本案は、万が一の際の予防的殺処分の円滑な実施や、その範囲、野生イノシシで陽性が確認された際の移動制限区域の設定、消毒ポイントの設定等について、科学的知見や都道府県の実情を踏まえた内容になっており、迅速な初動対応及び蔓延防止が確保できるものというふうに考えております。
    以上、簡単でございますけれども、牛豚等疾病小委員会からの報告とさせていただきます。
  • 松尾部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本件について委員の皆様からご意見、ご質問がありましたら、お願いいたします。
    日髙委員、お願いします。
  • 日髙委員
    先ほど説明の中で、アフリカ豚コレラの予防殺、予防的殺処分の対象となった豚などの評価を行うということで書いてあるんですけれども、口蹄疫のときの川南のワクチン接種の場合には、餌の部分はワクチン接種で処分されたところは入っていなかったんですよね、餌のもろもろは。このアフリカ豚コレラの場合には、感染したときと一緒の同等の評価がなされる。豚以外の餌の分もですね、なされるのかどうかというのをお聞きしたいんですけれども。
  • 伴課長補佐
    お答えいたします。
    今回、ASFが予防的殺処分の対象になるということで、実際、その予防的殺処分が実施された場合は、ご理解のとおり、豚そのものの評価額に加えまして、餌とか精液、受精卵といったものにつきましても、汚染したおそれがある物品ということになりますので、家伝法の第23条の第1項の規定に基づきまして、これを当然焼却、また消毒するということになります。その分につきましては、家伝法の世界の中で特別手当金という形になりまして全額交付されるということでございますので、ご指摘の餌とか、そういったものにつきましても家伝法の中で補償・補填されるというものでございます。
  • 日髙委員
    今回はそういうふうになるということですね。前のときとは違うということですね。
  • 伴課長補佐
    ええ。以前の口蹄疫の2010年の場合は、家伝法にその規定はございませんでしたので議員立法の形で手当てしておりましたが、今は、家伝法の改正後、今回、これは口蹄疫で出た場合に加えてASFで発生した場合も、家伝法の世界の中で、餌とか精液、受精卵といった部分も読めるということでございます。
  • 日髙委員
    それから、もう一つ要望というか、予防的殺処分ということがあった場合に、今、再開するための互助基金がありますよね。それがCSFのやつで養豚農家のほうに3倍の積み立てがされたわけですけれども、もしASFが入ってきた場合に、予防的殺処分がふえた場合に、やはり互助基金が枯渇するおそれがあると思うんですね。ですから、国のほうに、多分ASFの場合にはワクチンはもう今のところないので、再開するのには結構な時間がかかると思いますので、やはりこの互助基金のあり方というのをいま一度考え直してもらいたいなと思っているところなんですけれども、いかがでしょうか。
  • 小倉審議官
    ありがとうございます。
    予防殺に対しても、今説明したとおりのような対応をしていきながら、また経営再開に向けては、今おっしゃった互助基金の話もございますし、あと融資の話もありますし、また衛生管理の強化のためのいろんな支援措置というのもありますので、農家に寄り添う形で再開できるように手当てしていきたいと思いますし、今おっしゃった互助基金の部分についても、今日ご意見として承っておきたいと思います。
  • 松尾部会長
    ほかにご意見ございますでしょうか。お願いします。
  • 呉オブザーバー
    牛豚等疾病小委員会のオブザーバーの、日本養豚開業獣医師協会の呉と申します。
    予防的殺処分ということで、非常に重い判断になると思います。万が一発生したときに、迅速かつ適正な判断をしなければいけないということがありますので、やはりその地域地域の事情をよく知っている臨床獣医師の関与というのが一つは重要だろうというふうに思いまして、我々の協会の仲間であるとか、NOSAIの先生であるとか、もし発生した場合は、そういう先生を、そういうタスクフォースなんでしょうか、そういうところに極力参加させていただくと、勝手に約束はできないんですけれども、そういうことが必要かなというふうに思っていますし、生産現場をよくわかっている我々のような獣医師もご活用いただければというふうに思います。
    それから、最終判断を下すに当たって、やっぱり疫学の専門の先生も入っていただくと思うんですけれども、機会あるごとに平時から養豚場にも出向いていただいて、養豚の現場を知っていただくということも大事じゃないかなと思って、そういうことに関しては、我々、協力はできますし、惜しみませんので、よろしくお願いしたいというふうに考えます。
    以上です。
  • 熊谷動物衛生課長
    ありがとうございます。
    昨日も参議院の予算委員会の農水委員会のほうでも、大臣からもご発言がありました。まさに呉先生がおっしゃったとおり、予防的殺処分、個人の財産を、かつ健康、まっさらな状態の家畜になりますので、その実際の実施に当たって、当然農家の皆さんはもとよりですけれども、事前の段階から生産者団体、また行政機関の関係者全体の理解と納得というのが大事だと思っております。この点について、丁寧にまた情報提供とあわせて、その地域地域でシミュレーションといいますか、どういうふうに具体的に動けるかというものを、まさに生産者、また実際に現場を指導されている開業養豚獣医師の方々の協力も得ながら、そういう作業に早く当たっていきたいと思います。備えという意味では、それぞれの地域で現実にどこに入ってもおかしくないというつもりで準備をしていく必要があると思いますので、ご助言、またご協力をお願いしたいと思っています。ありがとうございます。
  • 松尾部会長
    ほかにご意見ございますでしょうか。
    日髙委員、お願いします。
  • 日髙委員
    今、予防的殺処分が500m~3kmということで決められて、おおよそなるわけですけれども、例えば都道府県なんかをまたいでした場合の─道はないですね。県をまたいだときの防疫演習とかいうのは、国のほうは県に対しては防疫演習はやりなさいという話をされていると思うんですけれども、またいだ場合の合同の云々という話のやつはどうなっているのか。
    もう一つ、CSFの沖縄の疫学調査のほうが、ウイルスが同じという話を聞いておるんですけれども、疫学調査の委員の権限というか、例えば法的な権限はないと思うんですけれども、じゃ、その食料残渣の材料がどこから入ってきたのかまで踏み込んだ部分の調査ができるのか、できないのかという……。そうしないと、口蹄疫のときもそうですけれども、今回のCSFもそうですけれども、なかなか疫学調査が進まない。特に沖縄はあれだけ飛んだところで出ている。疫学調査は結論をやはり出してほしい。遺伝子レベルの云々じゃなくて、どういうものがコンタミされたことによっての発生かを、やっぱり私たちとしては情報が欲しいと思っておりますが、その2点についてお伺いします。
  • 加藤委員
    関連でよろしいですか。帯広市の加藤です。
    野生イノシシの予防的殺処分を行った場合の死体の処理については、どのようにこれは進めるのかは出ていないような気がするんだけれども、その辺、お願いします。
  • 伴課長補佐
    ただ今のご質問は、野生イノシシで陽性になった場合に実施する予防的殺処分について、家畜防疫員がその周辺の農場の豚を、殺処分して、その死体の処理という主旨だと思うんですけれども、そこの予防的殺処分を実施した農場の死体につきましては、通常発生したときと同じように、基本的には埋却なり焼却ということになりますので、他の病気が実際に発生したときの防疫作業と全く同じでございます。それでもし埋め切れない場合は、先ほど申し上げたような大型の防疫資材などを活用して実施するということになります。
  • 加藤委員
    イノシシも同じ対応でよろしいでしょうか。
  • 伴課長補佐
    イノシシというのは、飼われているイノシシという……。
  • 加藤委員
    いや、野生イノシシを予防的殺処分したとき。
  • 伴課長補佐
    予防的殺処分と我々が言っているのは、飼われている農場を対象に殺すということですので、野生のイノシシを殺すとか、そういうことではありません。周辺の野生イノシシにつきましては、積極的に捕獲をして数を減らしていくということなので、そこで殺したものにつきましては、今、環境省とやっているような、配付資料でお配りした参考資料6にあるような方法で適切に埋却なり、あるいは市町村の焼却施設とか、そういったところを使って、ウイルスをほかにまき散らさないような防疫措置をしていくということでございます。
  • 松尾部会長
    加藤委員、よろしいでしょうか。
    ほかにご意見ございますか。
  • 熊谷動物衛生課長
    日髙委員のブロック、県、県境を越えた、これはとても大事ですが、具体的にそういう場面も想定されますので、これまでもいくつかブロックでは地域一体になって、例えば殺処分の方法、移動式レンダリング車を使ったようなものも研修をやったりしていますけれども、まさに今回のケースは、県境を越えて範囲をぽんと置いたときに、県境がありますので、農政局単位、あるいはもっと小さいレベルでの隣県同士の協力ができるようには、実際に演習できるようなものを進めていきたいと思っています。
    あと、もう一点、沖縄のケースでございます。これは非常にゲノムの関係で、かなり本州で流行していたものとは一致している。海外から入ったものではない。ただ、さらにどれが原因となった食品、あるいは残渣かという、そこまでは特定できていませんけれども、ただ、とても大事なことは、エコフィードが使われていて、それが加熱不十分、あるいは生の状態であるとリスクがあるということは、これは飼養衛生管理基準の中でも、そういう意味で70℃、60分を規定して分けたわけですけれども、今回の事案からすると、やはりエコフィードを使っている事業者、あるいは農場の場合は熱管理、時間、これをきっちりかけないといけないということを、その対策をリスク管理としてしっかりやるべきことを、まずは今周知しているところです。原因については恐らくお詳しいと思いますけれども、侵入した時期のタイミングなどを考慮すると、原料となった食材等が残っているというのはかなり可能性が低い状況ですので、我々としては、対策としてのリスク管理措置を現在既に周知して、また全国の事業者の方々に、その利用に当たっての取り組みをお願いしているということでございます。
    もし津田先生、何かございましたら補足いただければと思います。
  • 津田委員
    疫学調査自体が、別に警察権があるわけではないものですから、細かいところの証拠をとって証明するということはなかなか厳しいんですけれども、もともと疫学調査の目的が、ウイルスの侵入の原因がどこにあるかということを挙げて、それが防げるものはすぐ防いでいくということが目的ですので、今回は、これまでも言われていましたように、食品残さの生での給与、特に汚染された肉の非加熱の給与というのは非常に感染のリスクがある。特にCSF、ASFについてはリスクが高いということは言われておりましたし、今回も同じようなことが観察されたわけですね。また、そのウイルス自体が本州での発生地域から行ったんだろうということからすると、恐らく国内で食肉処理されたものの中にウイルスが入っていたという可能性はあると思います。ただ、それが多く、かなり大量に汚染されたわけではなくて、非常に少ないものだったかもしれないですけれども、今回1例で終わっていますから。そういったことからすると、加熱処理を確実に行っていただきたいということで今回出しておりますので、これでほか所でもそれが徹底されれば、今回の発生原因についてはある程度対応できるのかなと思っています。
    以上です。
  • 松尾部会長
    よろしいですか。
    ほかによろしいでしょうか。
    それでは、ご意見ないようなので、事務局から説明いただいた内容にて、本部会及び牛豚等疾病小委員会にて了承ということでよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    この諮問、答申の手続について、事務局よりご説明をお願いします。
  • 熊谷動物衛生課長
    ただいまご了承いただきましたので、議員立法が公布されるタイミングに合わせまして、これは具体的に2月5日を目途に今作業を鋭意進めているところでございます。このタイミングで持ち回りで家畜衛生部会を開催させていただいた上で、本案について正式に答申をいただきたいと考えております。
  • 松尾部会長
    ありがとうございます。
    全体を通して、委員の皆様からご意見、ご質問等ございますでしょうか。
    特にないようですので、終了させていただきたいと思いますが、事務局からは何かございますでしょうか。
  • 小倉審議官
    それでは、最後にご挨拶をさせていただきます。審議官の小倉でございます。
    今日は3つの議題、飼養衛生管理基準の見直し、またロシア2州のHAPIの清浄性認定、また、このCSF、ASFの防疫指針ということで、熱心なご議論ありがとうございました。今、課長のほうから説明したとおりの手続もまだございますけれども、速やかな施行に向けて手続を進めていきたいと思います。
    また、最近は、このCSF、ASFの話が中心になっておりますけれども、家畜衛生、いろいろ課題がございますので、またこれからも引き続き委員の方々のご助言をいただきながら推進していきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。
    今日はありがとうございました。
  • 松尾部会長
    それでは、これをもちまして、食料・農業・農村政策審議会第40回家畜衛生部会及び第52回牛豚等疾病小委員会の合同会議を閉会させていただきたいと思います。
    皆さん、ありがとうございました。

午後0時3分   閉会

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