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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会企画部会(令和元年6月20日)議事概要

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日時:令和元年6月20日(木曜日) 10時00分~12時29分
場所:三番町共用会議所大会議室
出席委員:大山委員、大橋部会長、近藤委員、染谷委員、中嶋委員、中家委員、三輪委員、柚木委員(有田委員、伊藤委員、栗本委員、佐藤委員、髙島委員、十倉委員の6名は欠席)
ヒアリング協力者:香月弘 (株)香月農園元代表、香月涼子 (株)香月農園代表取締役、紫藤康二 農事組合法人ガイアとなみ前代表理事組合長、中島一利 農事組合法人ガイアとなみ代表理事組合長、古沢和夫 いなほ総合農園前代表(欠席)、古沢昌子 いなほ総合農園代表、松本康明 肉用牛繁殖農家、岡本量次 ながさき西海農業協同組合畜産課
概要:
【ヒアリング協力者からの発表概要】
(香月弘氏、香月涼子氏)(いちご・米・麦・大豆、佐賀県)
  • 平成12年にサラリーマンをしていた夫が経営継承し、妻である自分も就農。平成30年に法人化し、そのタイミングで夫から自分に経営継承し、代表取締役に就任した。
  • 経営継承のタイミングで法人化したことにより、家族内で農作業、加工、経営等の役割分担が明確化された。また、次の世代への経営継承の土台作りにもなったと考えており、子どもたちも将来農業に従事する意向を示してくれている。
(紫藤康二氏、中島一利氏)(米・大豆・大麦等、富山県)
  • 現代表は平成12年に当法人に就職。平成24年に後継者候補として責任者に抜擢され、取引先との関係構築や技術の継承を行い、平成29年に代表理事組合長に就任。前代表が経営継承を見据えて後継者の育成を計画的に進めたことにより、スムーズな継承ができた。
  • 継承者が借金返済を気にせず新しいことにチャレンジできるよう、継承時には負債を極力減らしておくことが重要。
  • 継承者と前経営者の両者に対し関係機関のサポートがあれば、より継承しやすくなる。
  • 農業者だけではなく農地所有者も世代交代しており、次の世代は農地に関心を持たない者もいる中、農地をどう引き受けて地域農業を維持していくのかを懸念。
(古沢和夫氏(欠席)、古沢昌子氏)(米・麦・大豆等、栃木県)
  • 現代表はもともとは他産業で働いていたが、結婚を機に実父のところに就農し、平成29年に経営継承。
  • 親子間継承のメリットとして、新規就農に比べて初期投資が少なく、JAや地域の協力も受けやすいこと、また、経営判断等を引き続き親に相談できることがある。
  • 経営継承の前に一緒に働きながら仕事を覚えること、初めに行政に相談して必要な手続きを把握することが重要。
  • 行政等により経営継承に関する分かりやすいサポートがあるとありがたい。
(松本康明氏、岡本量次氏)(肉用牛、長崎県)
  • 管内の肉用牛農家のうち、60代以上の高齢者が約7割を占めており、生産基盤の衰退を懸念。「JA畜産経営継承支援事業」により、リタイアする畜産農家と、規模拡大志向の畜産農家や新規就農者等をJAがマッチング。JAが一次継承者となり、円滑な第三者継承に取り組んでいる。平成24年度から本格的な取組を開始し、現在までに5件の経営継承を実現した。
  • 経営中止者の経営資源を活用した経営継承により生産基盤や地域を維持するとともに、後継者の投資リスクを抑制させることが可能。そのために、JAがリスクを負って第三者継承を支援している。
  • 「JA畜産経営継承支援事業」の他に取組をカバーする事業がない。また、経営継承時の急激な規模拡大のため、無収入期間の資金繰り対策が必要。
  • 高齢化により離農する生産者が増加しており、地域を維持するためにも経営継承をコーディネートする役割の重要性は増しているが、継承支援を担うJAの職員は減少しており問題。地域ぐるみで計画的な経営継承の準備ができるような仕組みづくりが必要。
【意見交換】
(染谷委員)
  • 「JA畜産経営継承支援事業」によって、今までにどの程度の経営継承をコーディネートしたのか、また、今後の展望について、岡本氏にお聞きしたい。
  • 使い勝手の良い制度資金があるので、自分は若手には経営を発展させるための融資を勧めている。ガイアとなみでは無借金経営をやられているとのことだが、融資についてどのように考えているのか。
(大山委員)
  • 経営を継承した際の経理や財務等の指導については、誰から受けたのか、また、どのような指導があれば良かったか、香月氏、中島氏、古沢氏にお聞きしたい。
  • JAは現状で経営継承にどの程度注力しているのか、岡本氏、松本氏にお聞きしたい。
(中家委員)
  • JAでは、20年前より「JA畜産経営継承支援事業」を実施、平成30年度までに累計278件の実績。高齢化のすすむ中で、件数はここ2、3年で急激に増加。経営継承は、産地を維持するために非常に重要である。
    コーディネーターの役割が重要。今後、JA、他の民間・行政がどう機能を果たすかが大きい。経営継承を次期基本計画の一つの柱とし、具体的な方向性を示すべき。
    家族内継承の場合、継承後も親が経営に口を出し揉めるケースを聞くことがある。家族経営協定の締結や、家族での仕事分担や給与のことなど、話し合いで解決しないようなトラブルへの対応についてはどうか、香月氏と古沢氏にお聞きしたい。
    「関係機関のサポート」について発表されていたが、具体的にどのようなサポートを期待しているのか、中島氏にお聞きしたい。
(香月氏)
  • 自分の実家が商売をやっていたこともあり、商業簿記についてはある程度知識があったものの、農業簿記は異なる所もあるので、県が開催する勉強会に参加した。また、参加したメンバーで勉強会を立ち上げ、活動を行っている。農業委員会でも簿記の勉強会をやっていると聞いたことがある。
  • 家族経営協定について、義父と夫と自分との間では結んでいないが、夫と自分との間では結んだ。
(中島氏)
  • 経営継承に関して望むこととして、自分は法人に就職して18~19年たっており、生産面や技術面については日々、法人内やJA、県からサポートしてもらっている。一方、資金面については、細かい部分は知らないことが多く、継承時に最も負担であり、不安であった。専属の税理士や社会保険労務士に教えてもらいながらなんとかしたが、そういった資金面でのサポートがあるとありがたい。
(紫藤氏)
  • 無借金経営について、自分が法人を立ち上げたときには、機械の購入等により9,000万円の借金があったが、次の世代に引き継ぐ際に負担をかけないように、20年かけて負債をなくした。現在は農業経営基盤強化準備金を活用させてもらっている。
(古沢氏)
  • 経営継承に関して望むことについて、法人化と継承とどちらにするか悩んでいた際に、県の経営継承の勉強会に参加したが、分かりにくかったので、書類上の手続きが分かりやすくなると良い。また、農地中間管理機構を活用しているが、まだ十分に集約できておらず、より使い勝手が良くなると良い。
  • 経営継承前にも家族経営協定を結んでいたが、休みがない等の問題もあったので、継承後に結び直して休みを確保したりした。
  • 父は借金を返してから継承したい意向であり、自分も同様に借金は次の世代に残したくないと思っている。
(岡本氏)
  • JAながさき西海での「JA畜産経営継承支援事業」の実績は今までに5件あり、今年度は新たに1件を予定している。
  • 経営継承に関して、制度資金は時間もかかるので、JAが独自に営農支援資金を準備している。畜産クラスター事業はよく活用させてもらっており、後継者は非常に喜んでいる。本事業でこれまで18件の施設を整備させていただいた。可能な限りの手続き上の支援を実施している。
(松本氏)
  • 自分はもともと葉タバコと野菜の生産をしており、パートを5~6人雇用していたが、高齢化により継続した雇用が難しくなり、少ない人手でできる畜産に参入した。その際にJAや県が協力的であり助かった。
  • 自分が父から経営継承した際は、好きにして良いと言われたため、経営に口を出されてトラブルになることはなかった。直接相談するのが難しければ、例えばトイレのカレンダーに互いの予定を書き込んだりすると良い。
  • 農地中間管理機構については、地域全体で参加しようという気運を作ることが大切。
  • 基盤整備については、農家ではなく建設業者の方に多くの補助金が流れているように感じる。自前で工事ができればそんなに費用はかからないのではないか。
  • 口蹄疫が韓国で発生しているが、農家は非常に不安に思っており、国内に入ってこないように検疫を強化して欲しい。
(経営局審議官)
  • 農地中間管理機構について、当初は農地が少しずつしか出てこないこともあったが、今年度から改めて制度を見直し、取組の強化を図っている。
  • スーパーL資金について、中心的な経営体であれば、当初5年間は無利子で融資を受けることが可能なので、活用いただきたい。
  • 事業承継について、農業経営相談所を県段階に設置しており、事業承継や法人化の支援を行っているが、政策が現場に行き届いていない部分もあると思っており、周知に努めていきたい。
(古沢氏)
  • スーパーL資金について、機械が故障したので急ぎで使いたい場合でも、購入は来年度にしなければならないと言われたことがある。もう少し柔軟に使えるものがあればありがたい。
(柚木委員)
  • 経営継承に際し、経営の内容をしっかり見えるようにすることが重要と感じた。また、第三者継承については、地域レベル、全国レベルでのマッチングが必要と感じた。
  • 岡本氏・松本氏より、譲る側、譲られる側双方が納得する条件を整備することが重要とのことだったが、資産の評価の際にはどう評価したか伺いたい。
  • 紫藤氏・中島氏より、農地を預けている方が農業との関わりが少なくなってきているとのことだったが、農地を預けている方と、貴法人との関わりについて伺いたい。また中島氏には、さらに次の世代の継承をどう念頭に置いているか伺いたい。
  • 古沢氏には、農業者年金に加入しているかについて伺いたい、
  • 香月氏には、法人化の際、いちご加工部門のみを切り離して法人化した理由について伺いたい。
(近藤委員)
  • 家族と法人では継承の仕方が違う。特に家族では、経営の継承以外に相続の課題もある。農業法人協会としても経営継承は重要だと考えているが、いかにこれまで日本農業は家族経営が中心だったかと改めて感じる。今の時代に合ったやり方で、揉めないような経営継承のパターン作りが必要。新たに作ってもらった経営サポート事業もまだ浸透していないようなので、浸透させていきたい。法人の継承の経験がまだ伝わっていないので、経験を受け継いでいくことが重要と感じた。
  • 岡本氏・松本氏の例については、経営全般に農協が関与したという点で、農協の役割が大きかったと感じた。農協は品目ごとに農家に関与することが多いが、経営全般として農家に関与することが重要。
  • 結局、農業で十分な所得を確保できないことが経営継承においても一番の課題。
  • 4名の方に共通して、経営継承に関する課題の中で、行政に期待することは何か、伺いたい。
  • また紫藤氏・中島氏には、次世代の農地について、農地中間管理機構や農業委員会に期待する役割について伺いたい。
(三輪委員)
  • 古沢氏に、スマート農業やデジタル技術によって経営継承を早めるムードになり得るか、伺いたい。
  • 岡本氏に、今後はJA単体ですべてカバーするのは難しくなってくると思うが、国や地方自治体にどのような連携を望むか、伺いたい。
(中嶋委員)
  • 岡本氏に、牛舎や放牧地は前の経営者が所有権を持ったままだと思うが、継承に当たって牛舎の保護改修等を行っているが、所有権がない中でどのように進めたのかについて教えたい。
  • また、経営継承について様々な手続きのパターンがあると思うが、それぞれにおける税負担のメリットデメリットなどがあるのか、農林水産省に伺いたい。
(岡本氏)
  • 資産等の評価について、農地の賃借料は固定資産税相当額としている。牛の資産評価は全国和牛登録協会による牛の評価で決める。機械は、当JAの農業機械担当が間に入り、中古で下取りした際の価格で評価。すべて明確に貸借契約を結んでスムーズに移行している。
  • 現在、JAの経営継承事業を活用しており、継承期間中はJAが資産を保有し、継承者に貸しているが、継承後は継承者が買い取り、所有することになり、その資金が必要となるため、スーパーL資金の活用など、県の職員による上手な指導を期待。
  • 牛舎等の改修と所有の問題については、経営中止者には口出しさせない一方、災害等で施設が壊れても、経営中止者は直す義務はない形の契約としており、支障なく行っている。
(松本氏)
  • 地元の行政に期待することとしては、特に親子間で継承する際に、どういったタイミングで何をするのが適切か、そのスケジュールが分かるようにしてもらいたい。また、地域外から入りたいと思う方の受け皿を発信することが重要。その際、単に土地があるというだけでなく、生産部会や詳しい先輩や農協のサポートの結びつけなどが行政で出来るとよい。
  • 経営中止者との関係は、良い人間関係を保っておくことが重要。自分のところでは、今でも代わりに牛の世話などを手伝ってくれている。
  • 自分の地域にも所有者不明農地はある。圃場整備はおおよそ3ha位を単位で行われているが、自分たちの地域は中山間地域なので、もう少し小さいところ、例えば1ha単位などでもやってもらえるとありがたい。
  • 儲かる農業というのはなかなか難しい。JAの購買事業については、JA職員も高齢化し、負担が大きくなっているので、JAの上部組織で、タブレットから直接注文できるような仕組みを作ってもらえればいいのではないか。
  • 畜産クラスター事業については、牛舎を建てていただいて大変有り難いが、耐震性の関係もあり、建設コストが高騰している。実際に入るのは人ではなく牛なので、もう少し簡素にしてコストを下げられないか、という思いはある。
(古沢氏)
  • 農業者年金については、就農した時点で入った。父と母は受給対象者だが、母の所に毎月申請を出す必要があるという通知が来たが、なぜ必要なのかと思った。
  • 家族経営における継承と相続の問題について、勉強会の時にもそういった話はあったが、結局うやむやで終わってしまった。自分の地域は既に経営移譲された農家の方が多いので、話を聞こうとしたが、お金が絡む問題のせいか、なかなか教えてもらえなかったので、県や町でサポートしていただけるとありがたい。
  • 本題と別の話になるが、HACCPやGAPについて推奨されているが、そのためにかかる費用分、売価を上げることが難しいので、何らかのサポートがあればありがたい。
  • 経営継承のタイミングについては、祖父から父へは60歳で継承されており、元気なうちに継承したいという思いがあったようだ。スマート農業が継承の後押しになるかどうかは、タブレットなどは年配の方の対応が難しいので後押しになる可能性はある一方で、機械やアシストスーツで農作業が楽になるとなれば、高齢でも続けられるということにはなってしまう。
(紫藤氏)
  • 自分が立ち上げ当初は、4~5軒の受託から始まったが、今は270軒にまで拡大している。古いのは50年近く預かっている。圃場をきれいにし、作業をきちんとすることが必要であり、農家は財産を預けているという認識なので、安心して預けてもらえるようにすることが重要。
  • 現状は無借金状態だが、5~6年前からスーパーL資金や準備金積立を活用し、出来るだけ貯めて大いに利用するということで維持している。
(中島氏)
  • 地権者との関係について、今の世代の方は、農地は財産という認識があり、自身でやっていたときと同じようなほ場の状況になるよう当組合でも努力をしているが、次の世代もそのように思うのかどうか。
  • 自分は隣の市から来ているので、出来るだけ地区の会合に出たりして、自分を知ってもらえるよう地道にコミュニケーションをとっているが、どのように思われているか気になるところはある。
  • 次の後継者については、自分も2年前に受け継いだばかりだが、やはり農業はその地区の方が代表をやるのがすんなりいくと思う。出来れば地元の人にやってもらうということが良いかと思う。
  • 行政に期待することとしては、行政やサポートする方が、生産者にとって身近な存在になることがポイントかと思う。
  • 今回の前に、地元の富山でも経営継承のフォーラムがあって発表したが、農家出身ではない人でも、掘り起こせばまだまだ農業をやりたいという人がいるので、まず経営を継承させる側の方に促していくことで話が進んでいくのではないかと思う。
(香月氏)
  • 経営移譲したが、農地の名義は父のままになっている。水田は集落で法人化しているので、切り離していちご部門だけを法人化した。いちごは主人と2人でやっているが、人手がかかるので、逆にありがたかった。
  • 農業分野の行政は手厚くありがたいと思う。JA出荷から切り替え、個人で出荷する際の商談先なども県や市町からのサポートがあった。
(経営局審議官)
  • 税の関係について、農地については、相続税・贈与税の納税猶予の仕組みがある。また、個人経営の場合、施設についてはこれまでは手当てがなかったが、今年通った事業承継税制を活用し、事業承継計画を作って認定を受ければ、償却性の資産については納税猶予の仕組みが出来た。ただし、肥育用の牛や豚などは棚卸資産に相当するものなので、相続税の対象となる。法人については、個人が相続時に持っているのは株の持ち分になるので、法人に内部留保があれば、それに応じて株の評価が発生するので、それに応じて相続の問題が発生する。これについても、事業承継計画を作り、認定を受ければ、相続税、贈与税の納税が猶予される。事業承継税制については、今年だいぶ拡充された。家族にせよ法人にせよ、計画的に事業承継することが重要。
(岡本氏)
  • 団塊の世代がいよいよ引退の時期。そのままリタイアすれば、数百頭の牛が減ることになる。様々な手立てが必要になるかと思う。当JAでは、数年前に経営支援室を立ち上げ、営農の支援だけでなく、経営分析も行っており、利用者も増えてきている。
(消費・安全局)
  • 口蹄疫はじめ、豚コレラ、アフリカ豚コレラなどの対策として、水際の対策として、感染の可能性のある肉製品を日本に持ち込ませないような対策を強化しているところ。
(以上)

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