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食料・農業・農村政策審議会農村振興分科会第5回農業農村整備部会 議事録

日時:平成16年3月26日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:農林水産省 4階 第2特別会議室


○林田事業計画課長 本日はお忙しい中、委員の皆様におかれましては、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから、食料・農業・農村政策審議会農村振興分科会第5回農業農村整備部会を始めさせていただきます。
それでは、開会に当たりまして、太田農村振興局長からごあいさつ申し上げます。
○太田農村振興局長 おはようございます。第5回農業農村整備部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつをさせていただきます。
委員の先生方におかれましては、年度末のご多忙中にもかかわりませず、本日はご出席を賜り、ありがとうございます。
まずはこの機会に、最新の農政の動き、特に農村振興施策にかかわる部分につきまして、ご報告をさせていただきます。
現在、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた取り組みを進めております。昨年12月に基本計画の見直しにつきまして、食料・農業・農村政策審議会に諮問いたしまして、この審議会の企画部会におきまして、大臣からご指示のあった3点の事項、1つ目は、品目横断的な政策への転換。2つ目として、担い手・農地制度の改革。そして、3つ目として、農業環境・資源保全政策の確立。この3課題を中心にご議論いただいておりますが、特に、農業環境・資源保全政策の確立に関しましては、農村振興局がその取りまとめという役割を担っている状況であります。当然、担い手・農地制度の関係、あるいは品目横断的な政策への転換とも密接にかかわることでありまして、それぞれかかわりながら検討を進めております。
それから、お手元に資料があるかと思いますけれども、農村を美しい形で次の世代に引き継いで行こうではないかということで、美しい農山漁村づくりの実現に向けまして、「水とみどりの『美の里』プラン21」というのを昨年9月にとりまとめまして、公表いたしております。このプランでは、景観配慮の原則化などの推進を行うことによりまして、個性ある魅力的な農山漁村をつくっていこう、そして次の世代に引き継いでいこうということでございますが、これが今国会では、国土交通省と連携して、景観法の制定にもかなり協力していただいて、景観法制定の動きへとつながっているような状況がございます。
さて、本部会に直接かかわりますものとしては、昨年10月に閣議で決定されました、新たな土地改良長期計画がございます。これも小さなパンフレットをお配りしておりますけれども、平成13年の土地改良法の改正を踏まえて、これからの農業農村整備事業の実施方向を示そうということで、これまでは、どちらかというと生産基盤に限るような記述であったわけですが、今後は農業者だけではなくて、消費者も含めた国民全体に対する成果を念頭に、「いのち」「循環」「共生」この3つの観点から、環境との調和に配慮しながら、効率的かつ効果的に事業を実施することにいたしております。そうした意味で、この中には生産性の向上等々、従来の目標ももちろん掲げておりますけれども、循環型社会の構築に向けた取り組みであるとか、自然と農業生産が調和した環境の創造であるとか、さらには、個性ある美しいむらづくりといったことが盛り込まれた内容になっております。
計画設計基準の改定につきましては、こうしたことも踏まえた位置づけになっておりますので、ぜひそういったことも含めてご審議をお願いいたしたいと思います。多様化する社会情勢や技術の進歩に対応して、地域条件に則した計画設計手法を盛り込んだ改定内容といたしております。その他、小委員会における審議状況のご報告ということで、ご議論いただきました結果についても報告を行いたいと思います。
ひとつ限られた時間でございますが、委員の先生方におかれましては、幅広い観点から忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げまして、開催のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○林田事業計画課長 本日は、阿部委員、小澤委員、中西委員、鷲谷委員におかれましては、所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。
続きまして、このたび本部会の臨時委員に指名され、本日より審議にご参加いただくことになりました委員をご紹介申し上げます。自然環境研究センター副理事長・小林光委員でございます。
○小林臨時委員 小林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○林田事業計画課長 それでは、以降の議事進行につきましては、中村部会長にお願いいたします。
○中村部会長 それでは、会議次第に従いまして議事を進めたいと存じます。
まず、「土地改良事業計画設計基準〔計画:排水〕」、それから「土地改良事業計画設計基準〔設計:農道〕」についての改定でございます。これにつきましては、本日の当部会での審議の後、食料・農業・農村政策審議会会長より農林水産大臣あてに答申する予定になっております。ご承知とも思いますが、基準の改定につきましては、この委員会を行きと帰りで、2度通ることになっておりまして、行きは大臣からまいりましたものを、ここで意見をつけて小委員会にお願いするということ。それから、今度は逆向きで、小委員会で出ました結論を、ここでの意見をつけまして農林水産大臣に答申する。今回の排水と農道は帰りの方でございまして、これで本日のところでよろしければ、農林水産大臣あてに答申することになっております。
では、この2つについてまとめまして、検討を行っていただきました技術小委員会の岩崎委員長からのご報告をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岩崎臨時委員 では、昨年3月に開催されました当部会におきまして、本件に関する検討は技術小委員会に付託され、今年度、技術小委員会におきましては、改定案の検討を進めてきたところでございます。本日は、技術小委員会でとりまとめました改定案を報告させていただきます。
詳細は事務局から説明をお願いします。
○澤田資源課長 資源課長でございます。それでは、私からご報告させていただきます。
まず、土地改良事業の計画基準類の体系について若干ご説明させていただいた上で、先ほど話のありました計画基準の話にいきたいと思います。
資料3をお出しいただきたいのです。1枚紙でございます。これは1年前ですが、整備部会で三野委員からご質問があった、基準とか指針とか手引といったものの位置づけについてということでございます。図で整理いたしました。
技術基準類が2つに分かれていまして、基準に関係するものということで、基準本文、基準の運用とか解説、技術書というところが並んでございます。あと、基準以外の技術参考資料ということで、指針とかその他ということで分かれている、こういう体系になっております。
その下でございますけれども、もう1つ図がございますが、これは事業の流れと今いいました基準類の適用についてということで、かん排事業を例に示してございます。左側から、土地改良事業計画設計基準・計画という計画基準なのですが、これが適用される。事業最初の段階での、計画をつくるという意味で調査をやる。そこで、これをちゃんと配慮してやりなさいということで、守るべきところを定めているのが計画基準。真ん中が、構造物の詳細設計をやるということで、設計基準というところがございます。あと、右にいきますと、できたものの施設の管理ということで、管理基準というものがございます。その下は例で、環境との調和に配慮した手引というのがございますが、そういうものも全体にかかるような形で手引というのがつくられています。いろいろな手引がございますけれども、この場合は全体にかかるような形で全体を運用しているということでございます。
次に、資料-4-3をごらんいただきたいと思います。これが「土地改良事業計画設計基準・計画『排水』の改定について」でございます。それと、関係資料として、基準本体の案は、資料-4-1というのがございます。それと「新旧対比表」というのが資料-4-2。あと、参考資料-4という分厚い資料がございまして、これをお手元に置いていただきたいと思います。説明は資料-4-3でやらせていただいて、時々参考資料-4を開いていただければということでお願いいたします。
まず、資料-4-3の2ページをお開きいただきたいと思います。
これが、今回の改定の背景と必要性ということで書いてございます。排水路というのは末端支配面積が100ヘクタール以上のもので、総延長が1万キロメートルほどあります。今回改定しようという排水の基準については、昭和53年につくったということで、四半世紀が過ぎている。その間、いろいろな変化がございまして、土地利用形態ですとか、地球温暖化ですとか、降雨形態の変化、排水の流出形態の変化とかいろいろあります。それから、コンピュータの発展で、計算手法が適用できるようになってきたということがございます。
あとは、平成13年に土地改良法が改正されまして、環境との調和に配慮するという原則が位置づけられたということでございまして、そういったことをいろいろ踏まえて、今回改定をさせていただいたということで考えておりまして、下に項目が4点ございます。計画基準降雨についての記載の充実、流出解析手法についての記載の追加、環境との調和への配慮についての記載の追加、あと、構成についても変えております。ということが、今回の内容、アウトラインでございます。
3ページでございますけれども、これまで審議いただいた先生方でございます。実は平成10年度から検討を重ねてきております。
4ページをみていただきたいのですが、いろいろな委員会のリストがございます。アンダーラインを引いたところですが、この審議会での検討のスタートが昨年、平成15年3月11日から始まっております。小委員会を経て、パブリックコメントを行ったというところで、今回ご報告申し上げるということでございます。
次の5ページでございますが、これが全体の構成の話でございます。先ほどの4点目の話ですけれども、下の方をみていただきますと図がございます。左側に現行の基準がございますけれども、現行の基準の書きぶりが、囲み記事を書いて、囲みに事務次官通知を書いて、その下に解説を書くというページの構成になっていたのですが、どれが守るべき基準かというところが、それぞれの位置づけがはっきりわからないとか、技術的なことというのは日々進歩しますので、そこら辺の改定をやりやすくしようということで、右にありますような構成に変えさせていただくということです。[1]の基準本文、[2]の基準の運用、その解説といったものは、基準書ということで、先ほどご紹介した参考資料-4の形でございます。それから、技術書は別にしまして、技術の進歩に応じて編さんできるように切り離している形にしてございます。
6ページでございます。ここからが内容の変更点についてみていただくところでございます。まず、基準書本体です。これは、先ほどの参考資料-4のどこでも開いていただきますと、一番左側に基準がございまして、基準、運用、解説というように並んでいます。一番左の基準のことでございます。ここがかつて6章にわたっていたのですが、これを3章にして、構成をわかりやすく変えたということでございます。それから(イ)、書き方もわかりやすくさせていただきました。真ん中に改定(案)がございますが、この基準の目的を明記する。従来は、取り扱う範囲ということで、目的というところの記述はなかったのですが、この基準は何でつくるのかという位置づけをはっきりさせました。「土地改良事業計画の作成に当たり必要となる調査計画手法の基本的事項を定め、土地改良事業の適正かつ効率的な施行に資することを目的とする」ということでございます。従来の範囲について、右側の備考に書いてありますように、解説の方に移させていただいたということです。
7ページでございます。(ウ)ですけれども、排水事業の目的を明確化。ここもしっかり書かせていただきました。農地の過剰な水を排除するというように、農業の生産性の向上とか農業構造の改善に資するということで、防災のことも書いてございます。
(エ)ですが、これが今回の改定の大きな内容を占める部分です。平成13年の土地改良法の改正で、先ほどご紹介した環境との調和に配慮ということでございます。ここは基準にしっかり書いて、あとは先ほどの解説とか運用とか、そこに具体的にどんどん書いていくという形にしてございます。
これが基準でございます。
次の8ページでございますが、基準についている諸通知ということでございます。先ほど開いていただきましたように、基準だけでは内容がわかりませんので、その基準の運用とか解説とか、ここをまとめて今回ご審議いただければということで考えております。諮問事項は基準本体でございますけれども、その中身について意味するところもあわせてみていただければということでお願いします。
まず、表がございますが、左側、「基準」というところに「総論」と書いてございます。これは基準の第1章に当たる部分でございます。上の方の(ア)に書いてありますけれども、ここでは環境との調和への配慮に関する記載を追加したということで、以下の表の内容をご紹介させていただきます。
まず、[1]の部分でございますけれども、これは排水に関する他のいろいろな基準類がありますので、今回は排水の基準ですが、ほかの基準類とか手引とか、先ほどご紹介したようなものがございまして、これを組み合わせて適用するというようなことを書いてございます。その中で、ここに具体的に書いてございますけれども、「農業農村整備事業における環境との調和への配慮の基本方針」ですとか、その下の手引といったものも組み合わせて、よく読んで、そこら辺の内容に沿って行うという内容になってございます。
[2]でございますが、これは事業計画の作成に当たっての留意事項というところにも、環境への配慮の記述をしております。それから、調査計画への地域住民などの参加や意向の反映といったような記述も加えてございます。
その下の「調査」。これは第2章に当たるわけでございますけれども、[3]をみていただきますと、概査という項目がございまして、ここにも環境に関する資料収集や聞き取りを行うようにという記述を設けました。
9ページ、「計画」でございます。これは第3章に当たる部分でございます。[5]は基本構想という項目でございます。2段目でございますけれども、4というところで、環境との調和への配慮方針の概定という項目を立てて記述をしてございます。
[6]ですけれども、これは一般計画でございます。ここにも3.3.8、環境との調和への配慮ということで記述をしております。
[7]でございますけれども、これは主要工事計画がそれぞれございまして、いろいろな種類があるのですが、そこにできるだけ環境配慮の技術的な記述を多く入れたと。これは、先に行われました技術小委員会で、各委員から総論だけではなくて、各工事計画それぞれに技術的に十分書き込むようにということがございまして、ご意見を十分反映させていただいて、いろいろ充実させていただきました。右の方にページが数多く書いてあるのですけれども、例えば参考資料-4の 113ページに排水路の配置というのがあるのですが、上から7行目に、「生物の生息・生育状況などの自然的条件なども十分調査して」といったような記述をしてございます。
あと、 117ページ、排水路の構造というのがありまして、 119ページの設計断面につながるのですけれども、一番下の最後の方の「さらに、環境との調和に配慮する場合は、計画常時排水時等において、生物の生息・生育に必要となる水深等に留意して断面を検討する」といったようなことで、逐次、各項目ごとに技術的な記述を加えております。護岸工、落差工、急流工等にもこのような記述を入れてございます。
また、資料-4-3に戻っていただきまして、10ページの(イ)は、流出解析の手法の追加ということでございます。これは、現行基準策定時にコンピュータの解析がなかなか難しかったのですが、現在は技術も進歩したということで、遊水池モデルとか、低平地タンクモデルとか、そういったものを加えております。これは、参考資料-4の97ページにこれと同じ表があります。こういうところでこういうものを追加させていただいております。
あと、10ページの(ウ)でございますけれども、計画基準降雨に関する内容の追加ということでございまして、個々の特性も大分変わってきていると。ただ、いろいろデータをとってみますと地域ごとに違うということで、一律に何十年のデータを取るのは難しいということで、そこら辺の記述を十分して、技術屋さんがわかりやすくと考えて記述しています。詳しい内容は最後の行に書いてありますけれども、「『技術書』に記載する」ということで、今後も整理していきたいということでございます。
私からは以上です。
○石川施工企画調整室長 続きまして、設計基準の農道の改定につきまして、ご説明いたします。資料-5-1と5-2をごらんいただきたいと思います。資料-5-2を中心に説明いたします。
1ページでございます。背景と改定の必要性ということでございます。現在の農道の設計基準につきましては、平成10年度に基準書と技術書の再編と、内容につきましても全面改定が行われてございます。その後の技術の進歩、あるいは土地改良法に環境との調和への配慮が原則として位置づけられたこと等を踏まえまして、今回改定するものでございます。改定の中身につきましては、1ページの下に3項目でまとめてございます。地域や目的に応じた農道設計手法の明記。環境との調和に配慮した農道設計手法の追記。3つ目としまして、関連技術基準類の改定にかかる見直し。この観点から改定を行うものでございます。
2ページ、現在までの検討経緯ということでございます。昨年の3月、本部会にご紹介しまして、その後、農道についての専門的な学識経験者の方から検討委員会を開いていただきまして、ここで課題の整理と改定原案の検討を行っております。先月の技術小委員会において、内容を説明して了承されたものでございます。検討に当たりましては、国、県、市町村等で実際に農道の設計、あるいは管理を行っております方のアンケート調査、あるいは国民の一般の方からのパブリックコメントを経て、現在の改定案をつくってございます。
3ページから中身に入らせていただきます。1は、地域や目的に応じた農道設計手法の明記ということで、ここでは (1)としまして、地域条件に応じた弾力的な運用を可能とする緩和条件の明記として、農道の幅員、線形等の決定の仕方につきまして、例として紹介してございます。従来ですと、農道幅員等の決定に当たりましては、計画の交通量に応じて標準値というものを定めてございまして、これを採用するのが一般的だったわけでございますが、これに加えまして、下限値に当たるものを設けまして、地域の特性とか経済性、地域住民の方の意向を踏まえまして、標準値と下限値の間で弾力的に決定できる。これは、いわゆる 1.5車線的農道整備ということで呼んでございます。同様の考え方を設計速度とか平面線形等の決定に当たりましても導入してございます。
次の4ページ目では、特に舗装の設計につきまして、性能規定化というものを導入したいということでございます。性能規定化につきましては、日本の技術基準類につきまして国際的な規格に整合させていく。そういう流れに沿ったものということが意味の1つとしてございます。性能規定化になりますと、どういう変化があるかということでございますが、従来ですと、舗装工事につきまして、発注者が舗装の材料とか施工の仕方、構造につきましては、あらかじめ明示した上で、それに基づいて受注者が施工するという方式をとっていたわけですけれども、性能規定化になりますと、舗装に求められます要求性能、例えば設計期間と申しますけれども、何年間利用ができるか、あるいは、ひび割れ、壊れにくさの程度、へこまない程度、平らな程度というものを要求性能として示す。それに基づきまして、受注者はそういう要求性能を満たす範囲でみずからの技術提案をつくりまして、その際、照査と申しますが、発注者はその提案が実際に性能を満たすかどうかを確認します。そういう手続を経て施工を行うというスタイルになるわけでございます。
基準の中で、どのように改定に盛り込むかということでございますが、1つには、今申し上げました舗装の設計期間とか、求めます性能指標というものを具体に、これは基準の運用と解説の欄において明記いたします。また、性能指標につきましては、その基準値というものを設定する必要があるわけですけれども、基準値のとり方につきましては、一般道路の方も同様に性能規定化をうたっておりまして、そちらの方で使っています構造基準も参考としまして、農道の性能指標の基準値を定めていく。特に、交通量の少ない農道につきましては、農道独自の性能指標値を定めようということで、これは現在、実際に過去に農道舗装を行って10年程度たった地区について、ひび割れの状況等を調査分析しておりまして、その結果に基づいて、特に壊れにくさの程度について基準値を定めるということで検討してございます。
検討結果につきましては、先ほどありました改定委員会に諮りまして、結果がまとまったところで、再度技術小委員会に報告したいと考えてございます。
次のその他ということでございますけれども、小規模農道橋の適用につきまして、従来の基準では必ずしも具体的な考え方が示されておりませんでしたので、これを明確化いたします。
それから、ゼロエミッション。建設副産物のリサイクルでございますが、これに関連する事項についても追記してございます。
また、農道設計についての新技術・新工法につきまして、技術書で参考として紹介したいというものでございます。
5ページにまいります。「環境との調和に配慮した農道設計手法の追記」ということで、平成14年度に「環境との調和に配慮した調査計画・設計の手引」の農道編がまとまってございますので、この内容について関係の箇所に盛り込んでいく。あるいは、景観への配慮ということで、冒頭、局長から紹介がありました「水とみどりの『美の里』プラン21」の中で、事業の実施原則として景観配慮ということがうたわれてございまして、この観点を盛り込んでいくというものでございます。具体には、資料-5-1の4の「設計の基本」というところで表現を修正してございます。見え消しで、現行基準の中にも「自然環境との調和に配慮」とか「景観」という言葉があったわけですが、表現をより適正化するということで、このような表現で書いてございます。
今の資料5-1の最後のページですが、18の「施工」のところで、農道施工に当たって、「環境負荷の軽減に配慮して」という趣旨を盛り込んでございます。これは、基準本文の改定に当たる部分でございます。
その他、5ページの (2)ですが、設計をするに当たって、地域住民等の意向の把握とか、地域住民参加に配慮するということです。これも関係箇所に盛り込んでございます。
(3)は、先ほど申し上げました環境との調和への配慮の手引から関係箇所を引用しまして追記してございます。
(4)としましては、附帯構造物としまして緑地帯の設置ということにつきまして、新たに項目をつけまして追加してございます。
6ページにまいります。3の関連技術基準類の改定に係る見直しでございます。農道の設計基準の関連技術基準ということで、ここに列記してございます。これの改定内容に基づいて、必要な箇所を改定するということでございます。
(1)がSI単位系と、いわゆる国際単位系に一部修正する。特に、設計の自動車荷重の表記の仕方につきまして改訂してございます。
(2)が、限界状態設計法への移行に伴う修正ということですが、先ほど舗装のところでもありましたが、道路橋示方書とかコンクリート標準示方書につきまして性能規定化が導入されている。性能規定化に伴いました設計手法としまして、限界状態設計法というものを用いてございます。これらを踏まえ、農道の設計基準の中でも、特に橋梁とか擁壁、暗渠の設計の部分におきまして、限界状態設計法を原則とするということを明示してございます。
最後のページでございます。その他関連基準の改正に伴う改定ということで、特に交通安全施設につきまして基準が改定されておりますので、改定分につきまして引用してございます。
以上です。
○中村部会長 ありがとうございました。
それでは、今の事務局からのご説明につきまして、どうぞご自由にご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
――特にございませんでしょうか。ここを修正しろというようなご意見がございませんでしたら、このまま答申という運びにしたいと思います。
それでは、土地改良事業計画設計基準・計画の排水及び土地改良事業計画設計基準・設計の農道の改定案につきまして、改定案のとおり審議会長より農林水産大臣に答申する運びといたしますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。それでは、そのように取り計らわせていただきます。
続きまして、ポンプ場の改定につきまして、これは先ほど申しましたように、行きと帰りの行きの方でございまして、本日付で農林水産大臣より食料・農業・農村政策審議会長あてに諮問をいただいたということでございますので、事務局から説明をお願いいたします。
○石川施工企画調整室長 それでは、資料-6に基づきまして、設計基準「ポンプ場」の改定について説明させていただきます。
1ページをごらんいただきたいと思います。改定の背景、必要性についてでございます。ポンプ場の設計基準につきましては、当初の基準が昭和57年に制定されてございまして、その後、技術の進歩等を踏まえまして、平成9年に全面改定が行われております。この際、基準書と技術書に再編も行われているということでございます。その後、7年間が経過しまして、先ほどもありました土地改良事業に環境との調和への配慮が原則として盛り込まれ、それから、施設の維持管理を含めまして、地域や目的に応じた設計が求められている。あるいは、公共工事のコスト縮減に向けましたさまざまな設計・施工の合理化が進められている。あるいは、関連技術基準におきましても改定が進められている。こういうものを踏まえて、今回改定したいというものでございます。
主要な改定内容を整理しますと、1ページの下に並んでおります4つの項目で整理しております。各検討項目ごとに、次の2ページから内容について書いてございます。
1)の「環境との調和及び景観に配慮した設計手法」ということでは、先ほどもご説明しましたけれども、環境との調和への配慮と景観の配慮ということが事業の原則として設定されておりますので、これに基づいて、実際に事業現場で参考となるような実施例を紹介したり、あるいは基準の中で留意事項を整理し、内容を充実させていきたいというものでございます。
2)の「関連技術基準類の改定に係る見直し」ということですが、ポンプ場の関連基準類ということで、主なものをここに列記してございます。これらの基準類が改定されてございますので、改定内容を踏まえまして、ポンプ場設計基準についても改定を検討していきたいというものでございます。
3ページ、3の「コスト縮減に係る新技術・新工法の追記」ということでございます。ここに図で1つ例が示してございますが、大口径の排水機場の場合ですけれども、原動機といたしましてガスタービンエンジンを用いる場合、従来ですと、横型のガスタービンエンジンを使いまして、ポンプとつなぐところに、直交の減速機というものを設ける必要があったわけですが、近年、この減速機と一体になりました立軸のガスタービンエンジンというものが開発されてございまして、こういうものを使うことによりまして、全体に小型化が図れるというものでございます。こういう新技術基準について、技術書を含めまして、基準の中に盛り込んでいきたいというものでございます。
4ページ。4としまして、「維持管理を考慮した設計手法の追記」ということで、これも事例を載せてございます。これも排水機場の場合でございますけれども、洪水時の排用用の機場におきまして、定期点検時にポンプを動かす必要があるわけですが、洪水時以外は給水側の方に水が十分無く試験稼働が難しい状況がございます。従来ですと、手動で動かして油をなじませるということなどをしていたわけですけれども、これに対しまして、吐出水槽から戻り配管というものを設けまして、水を循環的に利用する仕組みを入れることによりまして、そういう定期点検のときでも、洪水時の状態に近い形でポンプの試験運転ができる。これが、維持管理を考慮した設計手法の1つということで、例えばこういうものについて技術書等に追記していきたいというものでございます。
以上が主要な検討事項の考え方でございます。
5ページでございますが、今後の改定スケジュールということで、本日の農業農村整備部会にあわせまして、食料・農業・農村政策審議会に改定について諮問いたしまして、新年度、16年度に小委員会で審議を行っていただくことを考えております。そして、16年度末には答申をいただくことを予定してございます。
検討に当たりましては、下の方にございますけれども、ポンプ場の設計について専門的な知識をもっておられます学識経験者の方からなる改定検討委員会、これは既に設けておりますが、こういう検討委員会において課題の整理とか改定原案の作成をお願いすることといたしております。
最後、6ページには、具体のスケジュール表の案をつけてございます。
以上でございます。
○中村部会長 ありがとうございました。
これにつきまして、何かご意見ございますでしょうか。生源寺委員。
○生源寺委員 特に意見ということではないのですけれども、参考までにもしお聞かせいただければということなのです。
1つは、この計画設計基準の改定の作業、きょうは帰りが2つ、行きが1つということでございましたけれども、ほかの分野の状況はどうかということについて、もしお聞かせいただければということ。
もう1つは、こういったしっかりした基準に基づいて仕事をしていくシステムというのは、例えばアジアのほかの国々にも制度としてあるものかどうかというあたり、本当に参考までにお聞かせいただければありがたいと思います。
○中村部会長 事務局の方でどなたか。
○石川施工企画調整室長 他分野と申しますか、農業農村整備で扱っている他の工種という意味でございますが、これは、計画的にといいますか、順次それぞれの工種に関係する技術の進度に応じまして改定を行っておりまして、例えば、昨年4月にはダムにつきまして改定されたものを発刊してございます。全体的にいわゆる基準につきまして、順次必要なところから改定を行っています。
○齋藤設計課長 生源寺先生からお話がございましたけれども、過去にやったものと、現在予定しているものと、ちゃんと一覧表をつくって、後日送らせていただくようにさせていただければと思います。
○國安海外土地改良技術室長 海外につきましては、東南アジアにもおきましても、かなり技術の進んだ、例えばタイであるとかインドネシアとか、そういう国は政府で決められた独自の基準をもって使っております。ただ、それ以外の、例えばカンボジアであるとか、ラオスとか、そういう国につきましては、世界銀行のプロジェクトがあれば、世界銀行の基準に基づいてやる。あるいは、日本の援助であれば日本の基準に基づいてやるというようなことがまだ行われておりまして、それに対しましては、我が国におきましても、技術センターのような技術協力をいたしまして、例えば日本の基準を翻訳して相手に渡して、相手の方でそれを消化し、自分たちの国の基準にするというような作業を行っておりまして、それに対する技術協力というのも現在実施しております。
○中村部会長 松田委員、どうぞ。
○松田臨時委員 こういう基準をつくると、その技術的なポイントについては、精密につくられると思うのですけれども、最近よくある話で、肝心の洪水、水害のときに排水ポンプ場が水没して動かなかったという事例は各地にあります。排水ポンプというのは大抵低い土地につくりますから、いうなれば一番最初に水につかるところで、立地のこととか、もう1つあるのが、その排水ポンプ場に通ずる道路が遮断されてしまうということもあるので、ポンプ場に焦点を当てた議論ばかりではなくて、ポンプ場を設置する周辺の土地条件みたいなものも総論のところで議論するようなことを入れておいたらいいのではないかということが1点。
それから、これはやはりお金のことになりますが、終戦直後の屋根がトタン板で、壁がスレートというわけにもいかないのでしょうけれども、例えば3ページの絵などでみると、天井走行クレーンがついているけれども、今、進入路だけしっかりして、広場をつくっておけば、トラッククレーンの優秀なのがあります。走行クレーンをつけるとポンプ場の建物が立派になってしまって、建物の値段の方がポンプより高いというアンバランスな設計になりかねません。そういうアンバランスになりますから、そういった従来の標準スタイルにとらわれないで、基本的にがらっと変えるのだという勢いで議論されたら、いろいろなアイデアが出てくると思います。
それから、サージタンクなども河川管理者と議論してなかなか答えが出ないのだけれども、サージタンクが必要かどうか。けちるわけではないけれども、昔からやってきたからついているというのではなくて、これを取り除いたらどうなるのかという議論もやっていただいたらおもしろい――おもしろいというと語弊がありますけれども――と思います。
○中村部会長 ありがとうございました。当局の方で。
○石川施工企画調整室長 ただいまご指摘いただきました点につきましても、十分検討を行っていきたいと思います。また、最近のポンプ場についても、新しく用いられています技術とか工法について、基準書のほかに技術書というのもございますので、その中でできるだけ盛り込んでいきたいと考えております。
○中村部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
――それでは、特にこれ以上ございませんでしたら、ただいまちょうだいいたしましたご意見などをつけまして、技術小委員会にこれから付託したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、次の議題になりますが、「各小委員会の審議状況について」、事務局より報告をお願いいたします。
○林田事業計画課長 それでは、3つの小委員会についてそれぞれご報告させていただきたいと思います。
資料-7でございますけれども、企画小委員会での審議状況についてご報告いたします。
企画小委員会は、三野小委員長の方で運営をお願いし、進めてきていただいているところでありますけれども、事務局からかわってご説明させていただきます。
資料-7の1ページ目でございます。今年度は2回開催いたしました。1回目が6月5日でございます。このときは、土地改良長期計画の策定の最終段階ということで、新たな土地改良長期計画の策定のあり方についての最終とりまとめをいただきました。
2つ目には、農業農村整備事業の事業評価ということで、総合的な評価手法が1つ。それから、国営土地改良事業等の再評価、それから事後評価という2つの評価についての費用対効果分析の導入、その手法について検討いただきました。2回目は、平成16年2月5日でございましたけれども、農業農村整備事業の事業評価については、引き続き総合的な評価手法について1つ。それから、国営土地改良事業の再評価、それから事後評価における費用対効果分析の導入については試行いたしましたので、その結果についてご議論いただきました。また、国が行う補助事業の再評価、事後評価の進め方についてもご議論いただいたところです。
大きく2つ目の柱としては、圃場整備事業の総合評価というものについてご検討いただきました。それぞれを簡単にご説明したいと思いますけれども、最初に2ページ目、土地改良長期計画について土地改良企画課からご説明いたします。
○井上土地改良企画課長 同じ資料の2ページ目でございます。小委員会におきます審議の内容につきまして、簡単にご報告いたします。
新しい土地改良長期計画のベースとなりました「新たな土地改良長期計画の策定のあり方について」につきましては、分科会、部会におきます議論、それからパブリックコメントの結果を踏まえまして、平成15年9月に小委員会としての最終的なとりまとめを行っていただいております。その資料は、参考資料-7-1でございます。後ほどお読みいただきたいと思います。
その後の経緯でございますが、小委員会としての最終的なとりまとめを受けまして、省内で土地改良長期計画の素案の作成の作業を行いました。それにつきましては、9月3日から12日にかけてパブリックコメントの募集を行っております。それを踏まえまして案を作成し、知事、関係行政機関との協議、それから審議会での議論を踏まえまして、平成15年10月10日に閣議決定されております。閣議決定された本文そのものは、参考資料-7-2でございますが、時間の関係もございますので、本日はお手元にパンフレットを配付させていただいておりますので、それをもとにしまして、内容を簡単にご説明させてご説明させていただきます。
計画の基本的な考え方でございますが、新しい計画では、食料・農業・農村基本法の基本理念を中心に据えております。開いていただきますと記載がございますように、食料の安定、供給の確保、多面的機能の適切かつ十分な発揮、農業の持続的な発展、農村の振興という基本法の4つの理念を中心に据えまして、それを国民、消費者に対してサービスを提供していく観点からとらえ、「いのち」「循環」「共生」という視点に立って、計画がつくられております。「いのち」は、国民のいのちを守る、「循環」は、農業用水でございますとか、有機性資源の循環を基調とした社会にする、「共生」につきましては、人と自然でございますとか、都市と農業の共生を実現するという意味での「いのち」「循環」「共生」の視点に立ちまして、環境との調和に配慮しながら、計画的かつ総合的に土地改良事業を進めていくことにしております。
新しい点、従来の計画との相違などでございますが、従来の計画は、事業費の目標を立てておりましたが、その点を、成果目標を立てて、数値目標化してそれがどのように達成されているかで政策を評価していくという手法になっております。政策目標は7つございまして、パンフレットにもございますように、「意欲と能力のある経営体の育成」を始めとして、最後7つ目、「個性ある美しいむらづくり」まで指標を導入しております。具体的な数字の目標としましては、お開きいただきますと、例えば「意欲と能力のある経営体の育成」に関しましては、整備を実施した地区において農地の利用集積率を20%以上向上するという目標などを立てております。このように具体的な数値化された目標を、計画の評価のもとに据えているという新しい考え方を取り入れているということでございます。
そのほかにも、施策の実施に当たっての留意事項がそこに書いてございますように、他の計画との連携を強化する、具体的にいいますと、国土交通省の事業を中心にして策定されております社会資本整備重点計画でございますとか、廃棄物処理施設の整備の計画など、他の計画との十分な連携を図るというような視点、既存ストックの有効活用という視点なども盛り込みまして、計画を作成しているところでございます。
計画策定後の状況につきまして、若干ご説明を補足させていただきますと、この計画につきましては、いろいろな機会をうかがいまして、幅広く関係者の方々に周知徹底を図っております。お手元のパンフレットで申し上げますと、4万部印刷いたしまして、いろいろな機会に配付、説明をしておりますし、パンフレットの配付だけではなくて、説明会、シンポジウム、講演会を行ったり、あるいは広報紙、雑誌などへの投稿もしておりますし、テレビ、ラジオによる広報活動もしております。そのような広報関係の努力をしております。
また、先ほど申しました政策目標、成果の目標でございますが、これにつきましては、農林水産省が実施しております政策評価における評価指標に位置づけております。したがいまして、毎年行われます政策評価の中で、成果の達成状況を検討することとしております。そのような取り組みをしておりまして、新たな土地改良長期計画の目標の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○林田事業計画課長 引き続きまして、資料の3ページ目でございますけれども、農業農村整備事業の事業評価について、検討状況をご報告いたします。
農業農村整備事業では、土地改良法に定められておりますように、昭和24年以来、基本的な満たすべき要件として費用対効果分析を行ってきておりますけれども、政策評価法が施行されたことを踏まえまして、さらなる効率性、透明性の向上を図るために、評価手法の一層の充実を目指した検討を行っております。
大きく3つの観点で実施いたしておりますけれども、1つ目が、農業農村整備事業の総合的な事業評価手法についてということであります。事業による効果ですとか実施環境、例えば地元の取り組み状況といったような環境を評価項目として体系化いたしまして、現段階では貨幣化が困難な効果を含めた項目ごとの評価点と項目間の重みによって事業を総合的に評価する手法について検討を行っている途中でございます。今年度におきましては、国営かんがい排水事業の事例地区を対象といたしまして、実験的に本手法を適用し課題の抽出等を行いました。資料は参考資料-1につけておりますけれども、時間の関係もあり、省略させていただきたいと思います。
2つ目には、再評価、事後評価における費用対効果分析の検討でございます。現在、事業実施の各段階において評価を実施しているわけでありますけれども、国の直轄事業等におきましては、事業採択後、原則として着工いたしましてから5年ごとに再評価を行っています。それから、事業完了後、おおむね5年に達した段階で事後評価を実施しております。それらに対しまして、これまでは費用対効果分析の算定基準の要因の変化などを評価してきたところでありますけれども、事業の効率性の一層の向上を図るために、それぞれの評価時点での特性を踏まえた費用対効果分析の検討を行っております。今年度におきましては、再評価、事後評価時点での費用対効果分析を確立するために、代表地区において試行を行いました。これは、事前評価で土地改良法に基づいて行ってきておりますような、精緻な費用対効果をそれぞれの時点で毎回行いますと、それなりの時間と経費を伴うことになります。したがいまして、政策評価法の世界でも、その評価自体が非経済的であってはいけないという条件もついておりますので、経済性、効率性と評価の精度といったものを、バランスをとりながら、いかに実施していくべきかといった観点で企画小委員会の方で今、検討をいただいている途中ということでございます。
3番目には、国が行う補助事業の再評価、事後評価の進め方でございますけれども、補助事業の再評価、事後評価につきましては、一般的に事業実施主体が行うことが基本となります。したがいまして、これまで国は都道府県等の事業実施主体に対しまして、自主的に取り組むよう要請してきたわけでありますけれども、政策評価法の導入に基づきまして、農業農村整備事業等の効率性、事業実施過程の一層の向上、透明性の向上を図るために、昨年度から国がみずから、補助を行うという立場からの評価を行うことといたしました。今年度におきましては、国が行う事業評価の視点を明確にして、評価手法のさらなる改善を図るための取り組みを評価することといたしました。
それぞれ細かい資料については、別添でつけております。
4ページ目には、もう1つ別の切り口でございます圃場整備事業の総合評価について説明をさせていただきます。
総合評価は、政策評価における評価方式の1つであります。時々の課題に対応するために特定の課題を設定いたしまして、さまざまな角度から掘り下げて総合的に評価を行うということであります。農林水産省の政策評価実施計画、これは平成15年3月に大臣決定しているものでございますけれども、ここでは平成15年から16年の2ヵ年にわたりまして、土地改良事業の代表的な事業であります圃場整備事業を対象に、総合評価の方式によって評価を行うことといたしまして取り組みを始めたところでございます。ちなみに、農林水産省の行う15年度の総合評価は、農業農村整備事業の圃場整備事業とともに、技術会議で行っています研究事業についても同じように総合評価を行っているところであります。
概要でございますが、1つ目は、総合評価の手法であります。圃場整備事業及び関連して実施してきたソフト対策、流動化への条件づけ、ハード事業を行わすときのソフト事業等でございますけれども、それらの実績を踏まえまして、我が国の水田農業、農村社会への影響を総合的に評価するという観点で、これまでに整備された既存のストックの高度利用、国民の共有財産としての美しい農村づくりとの観点から、目指すべき方向性等について検討を行っているところでございます。
総合評価につきましては、導入されて新しいということもありまして、統一的な評価手法が確立されておりません。対象となる政策に応じて、その特性を踏まえた適切な評価手法の検討というものが求められております。このため、本評価におきましても、評価手法等を検討しながら、試行錯誤しながら評価を行っているというところでございます。平成15年度は必要性、有効性、効率性の3つの観点から評価を進めていく上の評価の全体的な枠組みと方向性を中心に検討を行いました。進め方でございますけれども、企画小委員会における農業農村整備事業の特性を踏まえた専門的な見地から、本評価における評価事項及び評価手法を中心に審議を行っています。
また、政策評価の客観性を確保し、多様な意見の反映と評価手法の向上を図るために、農林水産省政策基本計画に基づいて設置されております第三者機関の農林水産省政策評価会というのがございますけれども、そちらにおきまして、総合評価書(案)の報告をさせていただき、意見をいただいているというところでございます。先日ご議論いただきましたけれども、主に圃場整備事業の行ってきたことによるプラス面の効果ばかりではなくて、マイナス面ですとか、問題発見等についても十分議論すべきではないかといったようなご意見をいただきまして、2年目でございますけれども、16年度、引き続き検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。詳細は参考の方につけさせていただいております。
以上でございます。
○中村部会長 続きまして、国際小委員会の方を。
○林田事業計画課長 では、続きまして国際小委員会での審議状況につきまして、説明をさせていただきます。
国際小委員会は、高橋小委員長のご指導のもと、ご審議をいただいているところでありますけれども、資料の1ページ目で審議状況について簡単にご説明いたします。
今年度は2回開催いたしました。第1回目は9月9日でございますけれども、1つ目に、アフリカにおける農業農村開発分野の協力の方向について。2つ目には、ICID第54回国際執行理事会の対応方針について。3つ目には、国際水田・水環境ネットワークについてご審議をいただきました。
また、第2回は、つい先般、3月23日でございましたけれども、アフリカにおける農業農村開発分野の協力の方向についての詳細。それから、ODA大綱が改定されておりますけれども、ODA大綱の改定を受けた農業農村開発協力の転換方向の見直しの基本的な考え方について。また、ICID第54回国際執行理事会の参加の結果報告について。また、国際水田・水環境ネットワークの検討の進み具合について、ご審議をいただいたところでございます。
詳細は担当の方からご説明いたします。
○國安海外土地改良技術室長 続きまして、2ページから、アフリカにおきます農業農村開発分野の協力の方向についての審議状況をご説明させていただきます。
まず、検討の背景でございますけれども、農業農村開発分野の国際協力につきましては、当然外務省等が主体となって事業を行っているわけですが、農村振興局におきましても、そこを技術的にサポートしていくということで、種々の調査を行って、現在では平成10年10月に国際部会でとりまとめていただきました農業農村開発協力の展開という方向に基づきまして、各種の協力をしているところでございます。平成10年時点の展開方向の内容につきましては、2つ目の丸にあるような視点、展開方向になっております。
その後、いろいろな国際情勢の変化等ございまして、それを受けて平成13年、14年度には、本小委員会におきまして、東南アジア地域の検討を行っていただいております。それに続きまして、平成15年度におきましては、貧困にあえぐサブ・サハラアフリカにおける農業農村開発分野における協力の取り組み方向ということでご検討していただきました。
具体的には、第1回小委員会におきまして、サブ・サハラアフリカにおきます農業農村開発協力の可能性が高いと考えられる国及び先進事例として考えられる国、合わせて9ヵ国の現状分析を通じまして、現状と特徴を概観しております。次のページに続きますけれども、それに基づきまして、第2回小委員会におきまして、サブ・サハラアフリカ諸国の開発程度や水・土地資源の状況等、開発課題が類似の国ごとに4つのグループに分けまして、それぞれの農業農村開発分野の協力の方向についてご検討をいただいております。
さらに、これとは別でございますけれども、平成15年8月に、外務省を中心としてODA大綱の改定がされておりますので、それに基づきまして、先ほど紹介させていただきました農業農村開発協力分野におきます展開方向――平成10年のものでございますけれども――につきましても、ODA大綱改定内容との整合を図り、新たに追加された概念等を含めた協力の方向について見直しの必要性ということでご検討をいただいております。
今後につきましては、ただいまご紹介しました展開方向の見直しの基本方針を作成いたしますとともに、各地域の協力の方向を検討し、改定が見込まれるODA中期政策――これも外務省が中心にご検討されることになりますけれども――の内容を踏まえつつ、それらの成果に基づきまして、新たな農業農村開発協力の展開方向を策定していきたいと思っております。そのため、16年度の段階としましては、これまでの東南アジア、アフリカの検討に引き続きまして、復興支援等の必要性も踏まえて南西アジア、中東地域等における協力の方向のとりまとめというものを実施する予定になっております。
以上でございます。
○林田事業計画課長 続きまして、4ページでございますけれども、国際かんがい排水委員会(ICID)第54回国際執行委員会のご報告でございます。9月14日から19日まで、フランスのモンペリエで開催されました。参加者は52ヵ国以上の国々と10国際機関の約 450名以上の参加者がございました。出席者としましては、中村日本国内委員会委員長、ICID本部の副会長をしております谷山副会長、それから農林水産省からも参加いたしたといったようなことでございます。
内容につきましては、細こうございますので、簡略にさせていただきますけれども、一部の規約の改正、それから9人の副会長について、3年が任期でございますので、3名ごとの副会長の改選。それから、技術的な活動を行っております委員会の今後の運営方針、方向について活発な意見が提案され、それぞれ前向きに進めていくといったようなことが了解されたということでございますし、6ページにございますように、昨年日本で開かれました第3回世界水フォーラムについての報告ですとか、総括といいますか、評価等についての報告がなされ、その場で日本からは感謝の意を表明したということでございます。
今後の開催予定については、6ページの下の方にございますように、2009年までおおむね決定されているという状況にございます。
ICIDの関係につきましては、以上でございます。
○美濃水利整備課長 水利整備課長の美濃でございます。
続きまして、国際水田・水環境ネットワークについてご説明させていただきます。9ページをお願いしたいと思います。
国際水田・水環境ネットワークは、2003年3月に第3回水フォーラムが日本で開催されたわけでありますが、そのとき「水と食と農」大臣会議を開催いたしまして、その中で、背景の中にも書いておりますように「食料安全保障と貧困軽減」「持続可能な水利用」「パートナーシップ」、この3つのチャレンジに基づく大臣の勧告文が採択されました。大島前農林水産大臣のご提案でもあるわけですが、農水省といたしましては、この3つのチャレンジを実現するということで、コンソーシアム、共同作業グループの創設を提案いたしまして、特に水田関連技術の経験を生かした研究と対話の推進ということで、まず、アジアモンスーン地域におけるネットワークの構築を目指したところであります。それが国際水田・水環境ネットワークということで、INWEPFという略称で呼ばれております。
概要でありますが、特に今、水をめぐる議論といいますのは、欧米の中においては、乾燥地や半乾燥地ということの議論が非常に主流というような状況でございますが、アジアモンスーン地域における水事業についても、十分国際的なスタンダードになるように、そういう方向での対応が必要ではないか。そして、先ほど申し上げました、この3つのチャレンジを実現する活動を行っていくという内容でございます。
このINWEPFの設置につきまして、準備会議を2月4日に三田共用会議所で開催いたしました。また、2月4日の前の3日に、国際機関を中心に専門家会議を開催いたしまして、中村部会長に議長をお願いいたしまして、いろいろな議論をなされたという状況にもなっております。
参加国につきましては、ここに書いております10ヵ国、国際機関につきましては11機関、国内機関6機関が参加いたしました。
10ページに移っていきたいと思いますが、政府機関はこのような関係の機関が出席しております。
結果につきまして、全般の課題につきましては、先ほど申し上げた3つのチャレンジという課題をそれぞれ分けてその課題を設定し、それぞれについての情報交換、情報共有、パートナーシップの促進を目指しております。
形態でありますが、枠組みにつきましては、11ページをお開きいただきたいと思います。下の図に、国際水田・水環境ネットワークの活動の概要を整理しております。基本的に、運営会議、バーチャルミーティング、ワーキンググループ、拡大会議という4つの活動を中心に、研究分野、政策活動分野、国際協力分野という3つの大きな分野について情報の提供、あるいは支援、行動というような双方の形の中で、この活動を進めていくということにしております。
具体的テーマにつきましては、研究分野に書いております、いわゆる効果的かつ持続的な水利用と最適な水配分以降、aからfの課題。そして、政策・行動分野につきましては、特に、水、農地及び環境に留意したコメ生産システムの持続的管理の向上という政策に力を置いていってはどうかというような方向になっております。
11ページをお開き願いたいと思います。国際協力分野につきましては、aに示しておりますように、主にプロジェクト管理への農民等の参加、そして研究の成果、パートナーシップの促進ということでの国際分野について、情報交換議論を実施していきたいと考えております。
また、3分野の連携ということでありますが、シンポジウムの開催、そしていろいろな活動分野のテーマの設定、優先づけ、そして具体的には、第4回世界水フォーラム、あるいは持続可能な開発に関する世界首脳会議ということで、議論を促進してまいりたいと考えております。
今後、16年11月に正式に発足させるべく運営会議の開催を行いたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長 いろいろご説明はありましたけれども、ここまでが国際小委員会のお話だと思います。
続きまして、技術小委員会の方をどうぞお願いいたします。
○林田事業計画課長 それでは、資料-9でございます。
技術小委員会の審議状況につきましては、岩崎小委員長にご議論を進めていただいているところでございますけれども、事務局から説明させていただきます。
1ページ目でございますが、3回のご審議をいただきました。内容的には第3回に入っており、「環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き(第3編)」について検討いただきました。あと、設計・計画基準等につきましては、冒頭に説明させていただきましたものと重複いたしますので、ここでは「環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き」についてご説明させていただきます。
2ページ目でございます。既に技術小委員会の方で、また、こちらでもご説明いたしましたけれども、土地改良法が改正されて以降、末端の技術者の環境配慮への具体的な指針といたしまして、手引を策定してまいりました。最初は水路を中心とした配慮事項について。昨年度はため池、農道、外来種といったものについてのとりまとめをいたしましたけれども、平成15年度は第3編といたしまして、既に行いましたものの集約といいますか、それを有機的に組み合わせた形としての面の整備における配慮の視点というものが必要なのではないかというご指摘もいただきまして、検討していただきました。これにつきましては、現在、策定の途中でございまして、先般パブリックコメントを実施し、二百数十件の意見をいただきまして、パブリックコメントをどのように反映させていくか現在整理を行っておりまして、もう数ヵ月を経て取りまとめにしたいと考えております。
簡単に要点をつまんでご説明しますが、2ページの上の方でございます。目的のところでは、特に事例の蓄積が十分でないということから、地域特性に応じて弾力的に運用するということで、手引をつくっていくということにしたということ。水田につきまして、特徴というところがございますけれども、空間的にさまざまな環境がある。それらが他の要因、雑木林ですとか、ため池等々有機的につながっているということ。それから、水田は当然のことながら、農作業による人為的攪乱で固有の生物が生きているということ。生態系の現状といたしましては、多面的機能の発揮ですとか、耕作放棄の防止などに寄与している反面で、圃場整備が生態系にマイナスの影響を与えていたのも事実であるということ。しかし、一方で耕作が放棄されて、農地が実際になくなりますと、自然に近くなるわけですが、自然に戻るというよりは、むしろ病害虫が発生したり、鳥獣害が発生するといったような、周辺にも悪い影響を及ぼすような環境の変化が起こるのではないかといったようなこと。
3ページ目では、環境に配慮した圃場整備の考え方といたしまして、特に末端の技術者が明確に意識できますように、未整備地区と整備地区でさらに整備を行う場合で違うということを明示しております。未整備地区では、当然大きな自然環境の改変があるわけですので、影響をできるだけ小さくするという観点で努力する。一方、整備済地区におきましては、かつての整備水準のあり方にかんがみまして、そこで失われた自然環境を戻す、回復するといった観点で検討を進めるということであります。
3章の「調査、計画」のところにありますけれども、「環境情報を効率的に把握し、適切な環境配慮対策を検討する」。委員の皆様からは、例えば、だれがその地域の生物について特筆した情報をもっているのかといったような情報を知ることも重要である。昨今、ある地域に特殊な生物がいるという情報が開示されますと、残念ながら、とられてしまうことが起きることから、そのような情報は極力公開されないこともありまして、事業を実施する際に、だれがそういうことを知っておられるかということについて、技術者に提供するということで、そういう問題を解決できないかといったようなことであります。
4ページ目には、計画に当たっての検討事項が書かれておりますけれども、圃場整備事業は地区全体を面的に整備するということですので、また、換地もできるということですから、水のネットワークのほかに、農道ですとか水路に沿った植栽、畦畔とかのり面などを活用した緑のネットワークを確保するという強力な環境配慮の手段にもなるわけですので、そういった観点をきっちり理解させるということを中心に書いております。また、環境配慮の整備を行いますと、将来的にだれがどのような体制で管理していくのか。また、その費用負担はどうなるのかといったことについても、前もった十分な議論、合意形成が必要であろうといったこと。
それから、これはかなり具体的ですけれども、計画から設計に至るまでの段階で、担当者がかわった際に、従前から調査されてきた地域の環境の情報等が十分に引き継がれていないことがあるのではないかというご指摘をいただきまして、末端の技術者レベルでの引き継ぎというものを、きっちりと明示して書いていくといったことも提案しているところでございます。
最後のページですけれども、施工における留意事項の中では、生態系に配慮して段階的な施工というものもあるであろうといったこと。それから、維持管理に加えまして、モニタリングを行うというご指摘。これまで行ってきたような、もしくは先進的に取り組んできたような環境配慮の整備によって、どれぐらい生態系に回復に兆しがみられるのかといったことについてのモニタリングを今後は充実していき、それらを今後の計画、実施に反映させていくことが今回の手引の中には盛り込まれております。
先ほど申しましたように、パブリックコメントの反映等を踏まえまして、次回までには完成させてご報告させていただきたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長 ありがとうございました。
ここまでで、議事 (2)のご説明が終わったところです。いろいろご意見はあろうかと思いますけれども、時間も押しておりますので、 (3)の今後の審議予定について、どうぞお願いいたします。
○林田事業計画課長 資料-10に基づきまして、16年度の審議の概要につきまして、お諮りさせていただきたいと思います。
部会は、例年のとおり小委員会における検討の進捗に応じて開催させていただきたいと思います。
小委員会のうち、企画小委員会におきましては、今年度も検討いただきました農業農村整備事業の事業評価手法について、一層検討を深めていきたいと考えております。
圃場整備事業の総合評価につきましては、先ほど申しましたが、15年、16年の2ヵ年で行うということが決まっておりますので、今年度はとりまとめに向けて圃場整備事業の評価について一層検討を進めていきたいと考えております。
国際小委員会では、今年度、モスクワで開催される予定になっております。ICID第55回執行理事会に向けての対応方針等の検討。
農業農村開発分野の国際協力に関することといたしましては、今年度の最後に基本的な考え方をご審議いただきました、新たなODA大綱に基づく農業農村開発協力の展開方向の見直しについて議論を深めていただきたいと思いますのと、東南アジア、アフリカ両地域については、その協力のあり方について詳細なご検討をいただきました。次年度は南西アジア、中東地域にそれを拡大し、検討を行っていただきたいと考えております。
3つ目の柱といたしまして、技術小委員会では、先ほどお諮りしましたポンプ場の改定についての検討。さらに、環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引につきましては、先ほどの圃場整備の実施についての最終的なとりまとめ。さらには、新しい課題についての検討をいただこうと考えております。
以上です。
○中村部会長 ありがとうございました。
それでは、ご説明がございましたけれども、この議事の (2)、小委員会の審議状況及び (3)の今後の審議予定、全部ひっくるめまして、何かご意見ございましたら、どうぞご自由にお願いいたします。
○松田臨時委員 総合科学技術会議というところで、3年ほど前に今後の科学技術研究の重点課題ということでいろいろ議論されたときに、環境の分野で、自然共生型流域圏:都市の再生というサブテーマで、国立試験研究機関、あるいは大学など研究者レベルで重点的に研究していこうということで、今日までやってきております。しかし研究者レベルの話にとどまって、国の行政として、土地利用とか都市問題とかをどう考えていくかという反応が、私の感じではいまいち鈍い。
一方で、この研究は、環境省とか農林水産省、あるいは国土交通省等でやっているわけですが、今後日本の人口が減っていくとか、きょうもお話がいろいろあったように、環境中心型で何かやっていくというときに、例えば将来、どれくらい日本の自然保護のために保留していく土地が必要であるかとか、食料自給のために、どれぐらい農地が要るかとか、最近、一部ではっきり現象として出てきているのですが、都市もかつてのように無際限にやたら拡大するということではなくて、都心居住とか便利なところに住むというようなことで、都市の人口は増えているけれども、だんだんコンパクトに住んでいこうというような時代になってきている。
その中で、農地のあり方をどう考えるのかと。例えば、水田も生産調整とか耕作放棄で3割、人によっては4割ぐらい耕されていないのではないかという話。そういうときに、平野における農地で、例えば自然環境型というようなことで、生産効率との関係があると思うけれども、農地と樹林が入り乱れている農地があってもいいのではないかとか、一方で、これは諸外国、先進国ですけれども、湿地の回復を図れとか、水鳥の飛んでくるところを確保しろとか、潮流としては、そのような話がいろいろ出ている中で、農林水産省として、この審議会の中で、どこでそういうことを考えていただけるのかということを、質問という形でお尋ねしたいのです。
○中村部会長 どうぞ。
○林田事業計画課長 日尾野次長からお答えいたします。
○日尾野農村振興局次長 今、申し上げました環境と農政、農業、それから農地の問題、実は先ほど局長のごあいさつにもありましたように、食料・農業・農村基本計画の議論の中で、生源寺委員に企画部会長をやっていただいておりますけれども、その中で農地問題のありようというのは大きな課題でございまして、実は総面積のありようですとか、単純に今、農地を農業としてだけということで色づけしているのですけれども、果たしてそれでいいのかというのが大きなテーマだと思っております。
実は先般、企画部会でもいろいろな資料を出していただいて、議論を始めたところでございますし、特にこういった時代でございますので、農業サイドだけではなくて、都市農業のありようとか、そういったことも視点に織り込みながら、食料自給率といった問題とも絡めつつ議論しなければいけないと思っているところでございまして、我々全体としての農政の見直しの中で、しっかりそこをやっていこうということで議論を進めている最中でございます。
○中村部会長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでございますでしょうか。――このご報告にありましたのは、土地改良長期計画を初め、極めて高反発が起きる余りに大きな問題で、簡単には論じ尽くされるものではないと思います。またいろいろご意見がございましたら、本日のみにとどまらず、この審議会のことを所管しております事業計画課に、最近のことですからメールもございますし、電話もございますし、いろいろご意見をお寄せいただくということで、本日はここら辺にさせていただこうかと思います。どうもありがとうございました。
そのほか、事務局から何かございましたら、お願いいたします。
○林田事業計画課長 若干お時間いただきまして、資料の最後の方でございますけれども、農業農村整備事業の平成16年度予算の概算決定のポイントについて設計課から。そして、農村の地域資源に関する研究会の中間とりまとめについて、私の方から5分ぐらいずつ説明させていただきたいと思います。
設計課からよろしくお願いいたします。
○齋藤設計課長 資料-11をごらんいただきたいと思います。平成16年度の農業農村整備事業概算決定の概要でございます。
14ページをお開きいただけますでしょうか。農業農村整備の新たな展開方向として、まずコメ政策改革への対応がございます。当然、コメ政策改革をにらんで、水田農業のあり方、それから産地づくりを支援する水利施設対策、基盤づくりを進めていくということでございます。
コメ政策改革大綱では、団体によるコメの生産調整と産地づくりの推進がございまして、地域水田農業ビジョン、つまり地域みずからがそういう産地づくりのあり方を決めていただく。その中で、農業農村整備としても一翼を担って、多様な水田農業を支える水利施設対策と基盤づくりを行っていくということです。一番下が維持管理対策、2番目が畑地転換、それから有機物等そういったものを投入して土づくりを進める。それから、産地づくりとか農地の貸し借り、担い手への農地の集積というようになりますと、農地情報を整備しなくてはいけません。これはGIS等を活用して、ハード、ソフト一体となった情報を共有化するということが行われる。
次のページは、先ほどの次長の説明とも関連するのですが、3つの大きな改革の中に地域資源保全をどうするかというのがございますけれども、地域資源の保全管理された農業農村づくりを進めるということでございます。その場合に、1番が、先ほど申し上げた構造改革を推進するための生産基盤の整備。2番目、地域資源の利活用による循環型社会、バイオマスとか地域全体で取り組みましょう。3番目は、先から出ていますが、国民共通の財産として美しいむらづくりを進めるということで、ハード、ソフト一体となってやるということです。その真ん中に、我々が大切にする農地、水利施設、環境といったものがございます。そのときには、単独ではなかなかできません。土地改良区とか農家とか市町村、農業委員会、NPOも含めていろいろなところと連携を図りながら進めていくということでございます。
16ページ以降は、ポイントだけ説明させていただきますと、ハードだけではなくて、ソフトを担い手に農地を集積するとか、きめ細かな生産基盤の整備をする。ハード、ソフト一体となってやるということでございます。それから、土づくり等に関しましては、機動的にできるということがポイントです。そういった事業を進めてまいりたい。
18ページが、水管理を効率的に進めるために、新農業水利システム保全対策と書いていますが、地域で省力化を実現するような計画をつくっていただきましょう。それから、省力化等、分水施設の自動化といったことをやる。さらに、右側でストックの緊急調査といったことやりながら、タイアップして地域水田農業ビジョンを実現させていきましょうということです。
19ページは、先ほどちょっと申し上げましたが、そういった施策を推進するための基礎的な情報、データを整備するということでございます。
20ページは、バイオマスの利活用ということで、意欲的にやろうとしていますけれども、例えばバイオマスプラスチックの導入を支援とか、PFI手法の導入、それからバイオエタノール製造システムの構築に向けた実証といったことも行おうとしています。
21ページは、環境農業への取り組みを行う。
22ページは、美しい村づくりで、ハードはもちろんございますし、ソフトもNPOとかワークショップを開くとか、横型の統合補助金等も活用して、地域の自主性を重んじた施策を講じるということでございます。
あちこち飛んで申しわけございませんけれども、1ページをごらんいただきまして、そういう方針のもとに予算編成を行って 8,345億円、対前年度比95%ということで、各項目につきまして、先ほど申し上げたような観点から柱を立てて、予算編成を行っているということでございます。
6ページをごらんいただきまして、予算の各項目はともかく、ごらんいただいておわかりになりますように、国営の方に少し手厚くしております。といいますのは、三位一体改革で、例えば地方自治体等、財源の確保ということもございますので、補助の方を低目にしているという方針のもとに予算編成をしているということでございます。
以上でございます。
○林田事業計画課長 最後にもう少し時間をいただきまして、最後の資料-12でございます。「農村の地域資源に関する研究会 中間取りまとめ」という小冊子がございます。後ろから2枚目に研究会の委員名簿がついておりますけれども、今年度、局長の私的な諮問機関ということで研究会を設置させていただきました。林前東京大学農学部長に座長になっていただきまして、後ろから2ページ目にあります委員の皆様方にご議論いただきました。きょうご出席の生源寺委員、三野委員にもご参画いただき、ご意見いただいたところです。
その次のページの最後のページに審議の経過がついております。6月2日が第1回目でございました。その後、毎月開催いたしまして、2月19日には第8回目、最後の検討をいただき、その場でのご意見を踏まえて、3月4日に報告としてとりまとめをいただいたところでございます。
内容ですが、時間がありませんので、お読みいただければと思いますが、38ページだけご説明いたします。38ページ、39ページのところにいろいろな議論の集約的なものが一部入っておりますけれども、38ページの下から6行目ですが、太字になっています。本研究会としての方向といたしまして、今後の資源といいますのは、農地ですとか、水ですとか、環境、文化というものをすべて含むのでありますけれども、施策の展開に当たっては、効率的な農業の推進と自然環境豊かな農村空間の形成の両立を図るべきであるということを提言いただいております。下から3行目ですが、農政改革に伴う地域農業構造の変化に適切に対応する。効率的な農業経営を行う農家に着目した経営安定対策を進める。構造施策を強力に進める。
一方で、地域資源の保全にかかる今後の施策展開を、次の具体的方向に沿って進めていく必要があるということです。右側に3つ、その具体的な進め方が書いてありまして、1つ目が、きれいな水、元気な土づくりなど食の安全安心に資する生産の場づくりである。2つ目が、豊かな地域資源の利活用による国民に開かれた美しい農空間づくりである。3番目が、今の2つの施策を推進していくためには地域の連携が不可欠であるということで、既存の共同組織を基本としつつも、多様な主体の連携を推進する新たな政策手法を導入する。そのことによって、地域として積極的な環境の保全と農地・農業用水等の保全等を一体的に推進することが必要だということで、新しい政策手法の導入が必要だという提言をいただいております。
そのほかにも、そのための切り口ですとか、たくさんの細かいご意見をいただいておりますけれども、お時間のございますときにお読みいただければと思いまして、ご説明とさせていただきます。
ありがとうございました。
○中村部会長 どうもありがとうございました。
ただいまのは、その他といたしまして、事務局からいろいろご説明があったということで、これは承っておけばよろしいということでございましょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
以上をもちまして、本日予定しておりました議事はすべて終了ということでございます。まことにご協力ありがとうございました。
それでは、議事進行を事務局にお返しいたします。
○林田事業計画課長 本日はお忙しい中、ご出席いただきまして、誠にありがとうございました。これをもちまして、第5回農業農村整備部会を閉会させていただきます。

――了――


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