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農林水産省

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令和4年度第2回議事録

1.日時及び場所

日時:令和4年10月21日(金曜日)13時30分~15時30分
場所:農林水産省第3特別会議室

2.議事

(1)土地改良施設管理基準-ダム編-の改定について

(2)農業水利施設の機能保全の手引きの改定について


3.議事内容

議事録(PDF : 262KB)

瀧川計画調整室長  ただいまより食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会技術小委員会、令和4年度の2回目を開催いたします。

  委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。

  計画調整室の瀧川でございます。

  本日は、弓削委員、坊垣委員、中委員、竹田委員、それから越山委員、そして西村委員長に御出席いただいております。竹内委員は本日初めての御出席となります。どうぞよろしくお願いいたします。石黒委員にはウェブで御出席いただいております。緒方委員、増本委員におかれましては所用により欠席と伺っております。

  それでは、開会に当たりまして農村振興局次長の安部より御挨拶申し上げます。

  次長、よろしくお願いします。



安部農村振興局次長  委員の皆様におかれましてはお忙しい中でお時間を頂き、ありがとうございます。また、日頃から農林水産政策、とりわけ農業農村整備、農村振興施策につきまして御理解と御助言、御指導いただいていることに御礼を申し上げます。

  農業農村整備事業の来年度予算の概算要求は対前年度比118.4%の5,273億円を要求させていただいておるところでございます。一方、先月30日ですけれども、総理からエネルギー・食料品等の価格高騰を踏まえた総合経済対策の策定が指示されたところで、食料安全保障の強化、防災・減災、国土強靱化対策に取り組むこととしております。

  こういう機会も捉えまして、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っておるところでございます。

  また、食料・農業・農村基本法の検証・見直しの検討について食料・農業・農村政策審議会に諮問がなされ、基本法検証部会で議論がキックオフされたところでございます。農業農村整備関係につきましても、これと併せて検討を進めていきたいと思うところでございます。

  一方、土地改良事業の技術基準等につきましては、自然的、社会的、経済的な情勢変化に合わせて不断の見直しをする必要がございます。引き続きの御協力、御助言を頂ければと思っております。

  本日の委員会では、土地改良施設管理基準-ダム編-と農業水利施設の機能保全の手引きの改定案につきまして、前回頂きました御意見を踏まえて御説明させていただきます。

  委員の皆さんにおかれましては、限られた時間でございますけれども、それぞれの御専門のお立場から、また、そのお立場を超えて忌憚のない御意見を頂けるようお願い申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。

  誠に失礼ですが、補正予算の編成作業がありまして、御挨拶のみとさせていただきます。

  よろしくお願いいたします。



瀧川計画調整室長  それでは、進めてまいります。

  まず、この委員会の資料、御発言等の公表についてでございますが、資料につきましては既に農林水産省のホームページで公表しております。議事録につきましては、後日、先生方に内容を確認していただいた上で、発言者を明記し、同じくホームページで公表することとさせていただいております。御承知おきください。

  それでは、議事に移りたいと思います。

  本日は15時半までを予定しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  カメラ撮りについてはここまでで、よろしくお願いします。

  以降の議事進行につきましては西村委員長にお願いいたします。

  委員長、お願いいたします。



西村委員長  西村です。よろしくお願いいたします。

  前回3人ほどが対面だったんですけれども、今日は大部分の方が対面ということで、オンラインの石黒委員の方では、大変まどろっこしい思いをされるかもしれませんが、会場の委員の皆様、よろしくお願いいたします。 対面の方は、こちらの方が多分タイミング的にはいろいろな意見を言いやすいと思いますので、是非忌憚のない御意見をお願いいたします。

  では、会議次第に従って進めさせていただきたいと思います。

  最初は、土地改良施設管理基準-ダム編-の改定について、事務局から御説明いただきます。説明の後に委員の皆さんから御質問、御意見を頂くと思いますが、委員の数も多いので、目安として3分ぐらいでお願いできれば有り難いと思います。

  では、吉田施設保全管理室長、説明の方よろしくお願いいたします。



吉田施設保全管理室長  施設保全管理室長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。

  それでは、私の方から資料に基づきまして説明させていただきます。

  お手元の資料1-1、通しのページでいきますと4ページからになります。

  まず、ダムの管理基準の改定についてでございます。通し番号でいきますと6ページ以降になります。

  前回のおさらいになりますけれども、まず、ダムの管理基準の改定の課題、方向性ということで前回、御説明させていただきました。

  そこにあります七つの課題に基づいて、前回の管理基準以降、18年が経過したことを踏まえて、その下にございますような基準でありますとか基準の運用、あるいは運用の解説、技術書を改定していくという御説明をさせていただきました。

  7ページ、8ページは左側に現行の管理基準の項目、右側が改定案ということで、赤字で示しておりますところは、先ほど申しました七つの改定項目に従いまして項目の追加あるいは文言を変更したということでございます。これは前回と変わりはございません。

  通し番号9ページは、先ほど申しました七つの改定課題に対しまして、それぞれの基準等での項目ごとに基準、運用、解説のどの部分が変更に該当するのかを整理させていただいたものでございます。これも前回お示ししたものです。

  通し番号10ページ以降は、前回の技術小委員会で頂いた御意見、指摘事項への対応方針を簡単に整理させていただいております。後ほどそれぞれの箇所でも触れさせていただきますけれども、ここで簡単に御説明いたします。

  まず、指摘事項の1番目でございますが、土木構造物の基本項目について、運用9.1の解説においてダムの土木構造物について記載しておりました。これについて、放流設備の記載がないが、放流設備の土木構造部分についても重要な役割を果たしているので、しっかり記載した方がいいのではないかという御意見を頂きました。これを踏まえまして、放流設備についても記載を追加したということでございます。

  指摘事項2でございます。ダムの安全性評価に関しまして、管理基準において施設管理者が実施する内容あるいはダム設置者に提供する部分、こういった役割についてしっかり記載すべきではないかという御指摘がございました。これにつきましては、後ほど説明しますが、施設管理者が実施する内容として安全性評価に用いた前歴事業等の資料を適切に保管、集積するといったこととか、安全性評価等で作成された緊急点検マップの活用、こういったことも技術書にしっかり記載していきたいと考えているところでございます。

  3番目、情報管理についてでございますが、こちらにつきましても非常に重要な事項であるということで、基準の中で義務的に書く部分があってもいいのではないかという御指摘でございました。こちらにつきましても、運用11.2の解説に、こうした情報を管理・蓄積することを明確に記載したということでございます。

  4番目の省力化と省エネルギー化についてですが、、前回の御説明の中では省力化と省エネルギー化を同じ項目で整理させていただいておりましたが、背景等が違うので、これは分けて記載すべきではないかという御意見でございました。こちらにつきましては、分けて記載させていただいているところでございます。

  次のページになります。

  用語関係で、用語の統一が取れていないという御指摘がございました。例えば、1点目は「施設管理者」と「管理受託者」という言葉を使っているが、どういう使い分けなのかということでございました。これにつきましては、一般的な施設の管理に関する事項は「施設管理者」と記載しておりますが、特に土地改良財産の管理委託に関する事項の記載につきましては「管理受託者」という記載にさせていただいております。

  それから「長寿命化を図る」と「長寿命化し」という表現でありますとか「土地改良区従業員」という書きぶりがございましたので、こちらについても訂正させていただいたところでございます。

  通し番号12ページ以降は、前回も御説明したところもございますが、改定課題ごとにどのような書きぶりにしたかを整理させていただいております。

  まず、改定課題1「大雨・豪雨の増加傾向に対応した操作管理」でございますが、こちらにつきましては、既存ダムの洪水調節機能を発揮させることが重要になってきておりますので、こういったことについて記述の見直しをしたということでございます。

  通し番号12ページで言いますと、特段前回から変えているところはございません。

  13ページ以降に同じように書いておりますが、13ページの一番下、こういった取組をしっかり進めていく中で、技術書において、治水協定の内容とか事前放流を行う際の判断基準となる貯水位や降雨量、関係機関への通知、こういったことを定めた事前放流実施要領に従って行う、あるいは必要に応じて関係機関と協議の上、取組内容の見直しを行うことが望ましいというような記載をすることを考えてございます。

  続きまして次のページ、改定課題2「施設の長寿命化を図る保全管理」でございます。

  こちらにつきましても今回、新たに施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図る保全管理を進めるということでありますとか、機能診断といった項目を盛り込むことにしております。

  そういった中で、特に前回から変わった点といたしましては、この14ページで申し上げますと、下の基準の運用のところ、先ほど用語の統一で少し触れさせていただきましたが、「施設の長寿命化を図り」といった文言を修正させていただきました。

  また、次のページに同じようにありますが、基準及び運用の解説のところで、同様に「施設の長寿命化」の文言でありますとか、あるいは運用9.1のところで、先ほど指摘事項にもありました「放流設備(土木構造物部分)」という表現を入れたということでございます。

  更に16ページ、一番最後の技術書のところに「長寿命化を図る保全管理」ということで、ダムの長寿命化を図るためにしっかりライフサイクルコストを低減し、維持管理を計画的に行って保全管理を実施していくでありますとか、あるいは標準耐用年数というものが施設区分ごとに定められておりますが、こういった耐用年数は環境や維持管理状況等により差異が生じるとか、あるいは点検整備の頻度が影響するといったことを記載させていただいております。

  次のページも同じように、技術書に土木構造物の機能診断ということでしっかり書いておりまして、この中では、施設管理者が行う日常の管理業務の中で実施する点検結果から変状を早期に発見することが重要であるとか、ダム設置者は、そういった日常点検の結果等から施設監視計画を含めた機能保全計画を作成し、施設管理者は、その計画に基づき適時適切な管理を行う必要があるといったことを記載させていただいております。

  続きまして18ページになりますが、改定課題3「省力化、省エネルギー及び再生可能エネルギー利用の推進」でございます。

  これにつきましても前回指摘事項でございました、省力化の推進と省エネルギー化、再生エネルギーの利用推進を一つの項目にしていたのを、分けて記載しているということでございます。黄色で色掛けした部分になります。

  次のページに具体的に、基準の運用等々に書かれていることを補足する技術書で、省力化の推進について具体的にどういったことをやっていくのかということで、省力化・効率化が重要となっており、ドローン等の技術を活用した点検、機能診断などを進めていく必要があるということでありますとか、あるいは省エネルギー化のところで申しますと、ダムにおける省エネルギー化の取組として、具体的に休止可能機器への通電停止とか省エネルギーに配慮した施設の改修といったこと、あるいは再生可能エネルギーのところでは落差をいかした小水力発電とか太陽光発電の導入、こういったものを記載させていただいています。

  20ページは小水力発電の例ということで、笹ヶ峰ダムについて技術書に記載してはどうかと考えてございます。

  通し番号21ページ、改定課題4「業務継続計画(BCP)の整備」でございます。こちらも新たに追加した項目でございます。

  こちらにつきまして前回と変わったところとしましては、このページで申しますと、先ほどの「土地改良区の従業員」といった不適切な表現がありましたので、そこを修正したということでございます。

  また、こういったBCP─業務継続計画をもう少し詳しく説明するということで、次のページになりますが、技術書におきまして、業務継続計画でどういったことを考えてやっていかなければいけないのか、例えば3.5.1に書いておりますように「業務に著しいダメージを与えかねない重大災害を想定した計画を策定する」とか「優先業務を絞り込み、対応手順を計画する」こういったことに留意して計画する必要があるということでありますとか、その下の3.5.6の四角に書いてございますが、「施設管理者は貯水機能や取水機能が低下した場合を想定し、業務継続計画について、関係者と調整しながら検討しておく必要がある」こういったことを記載させていただいております。

  続きまして次のページ、改定課題5「安全性評価を踏まえた点検」でございます。

  こちらにつきましては、ダムの安全性評価が大分進展してきたということで、これに対する記述を追記しております。

  23ページにつきましては前回の説明から大きな変更はございませんが、次のページに、前回の安全性評価に対する指摘も踏まえまして施設管理者が行うべきこと、役割分担を示す必要があるということで、先ほど技術書に記載するといった説明をさせていただきましたが、それがこの部分になります。

  具体的には、真ん中ぐらいに黄色で色掛けしておりますが、「施設管理上の対応」ということで、前歴事業あるいは補修等整備で作成しました設計・施工図書を適切に保管・整理こととか、漏水量、間隙水圧等の観測データを整理しまして農業水利ストック情報データベースに集積し活用するといったこと、あるいは右側にありますような緊急点検マップをダムの安全性評価の際に作っていることがございますので、こういったものも活用しながら管理していくといったことを記載しております。

  続きまして25ページ、改定課題6「管理記録の整理、保存、利活用」でございます。

  こちらにつきましても前回の委員会では、情報の管理、保存、利活用は非常に重要であるということで、義務的といいますか、少し強めた言い方をした方がいいのではないかという御指摘がございました。このことを踏まえまして、「基準及び運用の解説」のところで黄色で色掛けしておりますけれども、こうした記録の共有、蓄積が重要であること、あるいは農業水利ストック情報データベースシステムに蓄積して、しっかり活用して取り組んでいくというような表現に修正させていただいております。

  次のページですが、更に技術書にも、こういった記録をどういった形で保存していけばいいのか。例えば「記録の形態」のところに書いておりますが、当然紙ベースだけでなく電子化した上で系統的に整理・保存しておく、あるいは保存の形式としましても、「電子媒体によるデータ保存」のところに書いておりますが、汎用性がある形式とすることによって活用しやすくする、あるいは必ずバックアップを取るようにして何かがあったときにもちゃんと使えるようにしておく、あるいは必要なデータについては大学、研究機関と共有して、新技術の開発あるいは管理の向上につなげていくといったことを記載させていただいております。

  次のページ、最後の改定課題7「利水調整規程の策定、土地改良施設の資産評価」になります。これも平成30年度の土地改良法改正を踏まえて新たに記載したところでございます。

  利水調整規程や、貸借対照表に取り組み、更新計画等に役立てていくといったことを書いております。これも前回と基本的に変わってございません。

  最後にスケジュールでございます。

  本日が技術小委員会の2回目の審議でございまして、今回の審議を踏まえまして12月上旬頃にパブリックコメントをいたしまして、次回、2月に予定されております技術小委員会で3回目の審議を頂いて、年度内に答申させていただきたいと思っております。

  説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。



西村委員長  ありがとうございました。

  今日、御欠席の緒方委員、増本委員からは何か御意見ありましたか。



吉田施設保全管理室長  特に意見は聞いておりません。



西村委員長  分かりました。

  ただいまの吉田室長の説明について、御意見、御質問などありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。



竹内専門委員  全体として異論があるわけではないのですが、言葉の使い方についてちょっと教えてください。

  「確認する」とか「点検する」と止まっている文章と「~しなければならない」という文章、「~することが重要である」といった文章が結構入り交じっていて、どこまでが「しなければならない」という意味の文章になるのか見えにくいかなという感じを受けましたが、この辺りの用語の使用方法に関して、何か統一的な基準みたいなものがあるんでしょうか。



吉田施設保全管理室長  統一的に「こういう言い方ですと義務であるとか、やらなければいけない」といったことが明確にされていないところはあるかもしれません。「しなければならない」というのは当然義務と理解しますが、竹内委員がおっしゃるように、例えば「重要である」という言い方はそれが義務なのか、義務でないのか。私の理解では、重要だからやった方がいいんでしょうけれども、それは必ずやらなければいけないのかというと、多分そうではないと取られる可能性があるので、そこはもう少し明確にした方がよいのではないかという御意見だと承りました。



竹内専門委員  ありがとうございます。

  土木学会の標準仕様書を書くときは、その辺りの文言を結構厳密に使い分けているので、そういった設計書等を参考にしていただけるといいのかなと感じました。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかの委員からございましたら。



中専門委員  農業農村工学会の中でございます。

  前回の委員会で私が意見を申し上げましたことと今の竹内委員の御発言と、少し関連しますので、若干コメントさせていただきたいと思います。

  私、前回、特に管理記録の保存、活用が非常に重要だということで、この基準書又は技術書に義務的な形で「行わなければいけない」といったことを入れたらいかがでしょうかというお話をさせていただきました。

  今回いろいろ言い方等を工夫していただいて、「重要だ」とかそういう言葉を使っていただいて、すぐにこの基準の中に義務的なことを多く入れるというのはなかなか難しいかと思いますけれども、今、竹内委員が言われたように、その辺の文言等も含めて今後更に、正しくこの管理、特に記録の保存、それをいつでも関係者が取り出して活用できる、行政なり実際の事務、管理業務に適用できるような方で対応すること、今、竹内委員が言われたことは非常に重要かと思いますので、そこをうまく書き分けていただいて、再度整理していただければと思います。

  基本的には今日御説明いただいたところで、前回、私が指摘させていただいたことについて前向きに対応していただいたことは理解しましたので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかの委員もどうぞ、何かございましたらお願いします。



弓削専門委員  佐賀大の弓削です。

  前回の指摘に対して適切に修正、追記などいただいて、どうもありがとうございます。非常に分かりやすく、よりよいものになったという印象を受けました。

  現行のものに特段異論はないんですが、今回の改定課題を拝見しますと、主に貯水施設としての機能性とか安全性、長寿命化というところを大きな目標にされていますので、これで充実したものになったとは思います。

  ただ、個人的にもう一つ、水利施設として求められる要件として環境との調和というところも大きいのかなと感じておりまして、今回の改定ではそれは対象になっていないような印象を受けております。これは恐らく次のステップ、この改定が終わって、また様々な現場の課題等を洗い出した上でのお話になるかと思うんですが、今、使われている水利施設は環境に配慮して造られたとは思っていますが、それがその後、適切に運用されているんだろうかとか、維持管理がうまくいっているんだろうかと個人的に感じるようなケースもあります。例えば、当初は生態系に配慮して造ったものがだんだん機能を失ってきたりとか、景観に配慮して造られたものが劣化していくとか、そういう点で、現場での維持管理に関する手法も求められるのかなと感じております。

  ただ、この問題は非常に難しくて、様々なケースや現場が抱えている事例も本当に多岐にわたると思いますので、早い段階からそういった情報収集ですとか現場の課題をくみ上げていただいて、次の改定の機会にそういったものも組み込んでいただけるとよりよい基準になるのかなと感じました。



西村委員長  ありがとうございます。

  もうお一方ぐらい御意見を頂いてから事務局に回答いただければと思いますが、何かございますか。



石黒専門委員  改定課題6「管理記録の整理、保存、利活用」のところですが、「ダムの管理の記録は、適正な管理のため電子化等により活用しやすいように整理、保存しておくとともに、」と書かれています。また、次のページに(1)記録の形態として「活用範囲の拡大のために、紙ベースだけでなく、電子化した上で系統的に整理・保存しておくことが有効である」ということですが、この紙ベースの扱いというのは、必須なのか、現在、紙ベースの扱いとしてはどのような方向性で考えられているのかを教えていただきたい。

  それからもう一つ、その3行下の「紙媒体によるデータ保存」のところで、「保存スペースの確保が大きな問題となる」と書いてありますが、過去の紙媒体のデータの電子化という方向性はあるのでしょうか。

  この2点、教えていただけますでしょうか。



西村委員長  ありがとうございます。

  それでは、今の弓削委員と石黒委員のコメントに対して、事務局から何かございましたらお願いします。



吉田施設保全管理室長 

  弓削委員から頂いた意見ですが、環境に関する部分は確かに今回の管理基準の中では余り見えてきていない部分はあるかもしれません。正にそういった環境に配慮して造られた施設がちゃんと機能しているのか、運用されているのかといったことは当然大事だと思いますし、改めて管理基準の中にそういったことを入れ込むべきなのか引き続き検討していきたいと思いますし、情報収集もしていきたいと思います。

  特に、次に手引きの話も出てきますが、前回も環境の話等の御意見を頂いていますので、そういうところともリンクさせながら、必要な項目や、記載の充実等を検討していきたいと思っております。

  それから、石黒先生から情報の記録のところで2点御質問がございました。

  一つは、紙ベースの扱いはどうなっているのかということでございます。

  確かに紙ベースでいろいろな工事の記録とか、膨大な量になっていると思います。これにつきましては順次、電子化ができるところはしていると認識しておりますが、やはりどうしても紙ベースで持っておきたいというところもあるかと思います。全国的に順次電子化していると思っておりますし、逆に電子化することによって、正に今回、これも手引きの話とも関連してきますが、情報の活用、共有につながっていくと思いますので、御意見も踏まえまして、整理していきたいと思っております。



西村委員長  大体お答えになったと思うんですけれども、多分、今もまだ紙ベースで取っているところがあるわけですよね。今後、新しく出てくる紙ベースのものは電子化されていくと考えてよろしいんですか。



吉田施設保全管理室長  工事の図書とかは、かなり電子化されてきていますので、基本は電子化されてきていると認識していますが、どうしても昔の資料とかは紙ベースで残っているのが現状だと思います。全体として電子化するという流れになっているのは間違いないと思うんですが、そういう方向に進んでいくべきだと思います。



西村委員長  弓削委員、石黒委員、いかがでしょうか。よろしいですか。



石黒専門委員  了解いたしました。



西村委員長  ほかに何かございましたら。



中専門委員  もしお分かりになれば教えていただきたい。ダムについての関係の諸元とか管理記録等が、この資料では「農業水利ストック情報データベース」に蓄積しという形で今後、進められるかと思うんですけれども、現状として、私の理解ですと、この農業水利ストック情報データベースというのは機能保全の手引きの工種のものが対象になっているように理解しています。現状ダム等もここにデータが入っていくシステムになっているのかどうか、今、どのぐらいの情報量があるのか、もしお分かりになれば教えていただければと思います。

  そういう面で、この農業水利ストック情報データベースシステムに蓄積するというのは今後の進展に関わるというような形で、今後進める形になるのかなということで、その辺でこの運用の書きっぷりも少し変わってくるのかなと感じましたので、お分かりになれば教えていただければと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかの委員から何か。

  なければ、私から一つお伺いしてもよろしいですか。

  BCPのところですけれども、先ほどの竹内委員の言葉遣いの話とも関連するのかもしれませんが、BCPを検討しておく必要があるということは書いてあるんですけれども、これは結構1かゼロかで、プランがなければ全く機能しない話になると思います.こういう検討をしているか、していないかをこちらでフォローするような、そういう計画は何かあったりするんでしょうか。それとも、ここの段階で「やってくださいね」と各団体にお伝えして様子を見る、そういうスタンスなんでしょうか。その辺りをお伺いできればと思います。

  ほかに何かございますか。



竹内専門委員  東京農大の竹内です。

  通し番号で言ったら16ページに書いてあるところにも関わるんですが、ライフサイクルコストを低減する、これはもうマストだと私も思いますが、具体的に技術書の中で「このように計算するんだ」という事例は今後、示されていくことになるのか。この辺りは私がやっている舗装の世界でも、どうやって計算するか、どの時点を基点にしてどこまで計算するのかというところで結構変わってくると思いますので、何かそういった事例を記載される御予定はあるのかどうかをお聞きしたいと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  今の3点ぐらい、まとめてお願いできますか。



吉田施設保全管理室長  まず、1点目の中委員からの御質問でございますが、ダムについての情報がストック情報データベースシステムに入っているのかということでした。

  これにつきましては前回も少し触れたかもしれませんが、ダムのデータも当然入っておりまして、こうした情報を共有、公開していくという流れの中で、ダムにつきましては令和3年度に、一般的な諸元については公開させていただいておりますし、令和3年度で申しますと水路も結構数がございますが、整ったところについては一部公開させていただいている状況にございます。

  頭首工や機場、そういったものも当然データベースの中に入っておりまして、これらについても、どういった情報を公開していけばいいのか検討を進めておりまして、整ったところから順次公開していきたいと思っている次第でございます。

  それと、西村委員長のBCPの話でございますが、おっしゃるとおり、ここに「こういうことで、BCPを作りましょう」ということになっておりますが、基本的に施設造成者、国営であれば国の方で、施設管理者や関係者の意見も聞きながら作っていくような体制になっております。そういった中で、当然どれくらい作られているかといったことは我々としても適宜把握していきたいと思っております。

  それと、竹内委員からライフサイクルコストの事例の話がございました。

  今のところ管理基準の方では、ライフサイクルコストの事例を載せることは考えていませんが、別途、この後議論しますけれども、農業水利施設の機能保全の手引きの方で、今回は総論編ですが、ライフサイクルコストを計算してシナリオを作って、どれが最適シナリオかといった議論を進めていくような中味になっております。そこでは総論的なことを書いていますが、更に機能保全の手引きの中で頭首工編とか開水路編とかパイプライン編といった工種別編がございます。残念ながら、ダム編については今はない状況でございますが、そういったものも今後、整理していく必要があると思っておりますので、今、頂いたような意見も踏まえながら検討していく必要があると思っております。



竹内専門委員  ありがとうございます。



西村委員長  ほかに何かお気付きの点、ございますか。



越山専門委員 寒地土木研究所、越山です。

  青い四角の16ページ、BCPのところで、下の緑色の「基準及び運用の解説(案)」の真ん中ぐらいにある「業務継続計画を整備し……」という文章は、業務継続計画を整備することそれ自体の意義について書かれていると思いますが、それが土地改良区組合員や職員から「高く評価されることであり、」「信頼性を高めることができる」とあって、施設管理者への信頼性を高めることはすっと入るんですが、前の部分、施設管理者が作成する業務継続計画に対して、土地改良区の職員等も含んだ方から高く評価されるというふうに言うのに違和感を感じましたが、いかがでしょうか。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかに何かございましたら。

  そうしたら、今の越山委員のコメントについてお願いします。



吉田施設保全管理室長 

  ここで言いたいことは、何かがあったときに業務継続計画をしっかり作成しておくことは大事であり、万が一重大な災害等が起きたときに、それがあることによって被害を最小限に抑えられることにつながるので、関係者の方としっかりやっておくことは皆さんから評価されるという意味で書きました。今の越山委員の御指摘も踏まえまして、もう少し我々の言いたいことが適切に表現できるよう、改めて検討させていただければと思います。



越山専門委員  分かりました。

  すみません、地域のいろいろな話合いが地域の安全性向上にすごく役に立つというのは伝わりますが、施設の管理者側の視点で示すならば別の書き方があるのでは、という印象を受けたものですみません、表現が悪いかもしれませんが。



吉田施設保全管理室長  趣旨はよく分かりましたので、改めて検討させていただきます。



西村委員長  管理基準-ダム編-の改定について、ほかに何かございますか。よろしいですか。

  特に御意がないようでしたら質疑はここまでで締めさせていただいて、次に進めたいと思います。

  2番目は、農業水利施設の機能保全の手引きの改定についてということで、こちらも吉田室長から御説明いただければと思います。

  お願いいたします。



吉田施設保全管理室長  続けて私から御説明させていただきます。

  資料は通し番号で言いますと68ページ、資料2-1からになります。

  まず、前回の技術小委員会における各委員の皆様からの御意見を踏まえた対応方針について簡単に触れさせていただきまして、その後、資料2-2の中で全体の補足をさせていただきたいと思います。

  69ページを御覧いただければと思います。

  まず、1番目でございます。先ほども環境という話がございましたが、今回の機能保全の手引きの見直しの中に「環境」という言葉が少ないのではないか、農業水利システムの中で農業用水、水環境の保全に関わる部分は対象とされていないのかという御指摘でございました。

  こうしたことも踏まえまして、右側に「検討方針(案)」を書かせていただいておりますが、2.6.2の「影響度と管理水準の考え方」、詳細は資料2-3の73ページにございますが、リスク管理における農業以外の面(施設周辺環境等)への影響としまして、これまでは住環境でありますとか、鉄道とか道路が交錯するようなところで事故が起きた場合の影響、あるいは他種利水への影響、こういったことを念頭に置いて検討してきたわけでございますが、施設の機能停止に伴って懸念される施設周辺地域の水環境に与える影響も重要だということを記載させていただきました。

  また、水環境の保全というところで、2.6.7.4「環境との調和や歴史的価値への配慮」の項目においても、水環境への影響についても総合的に勘案すべきだというように記載を充実させていただいたところでございます。

  指摘事項2番目でございます。水利用機能診断について、課題の整理、対応検討の場に地方公共団体、施設管理者、土地改良区が入って打合せすべきではないかということで、記載が少し不十分なところがございました。農業水利施設全体の話をするのであれば、早い段階で国の職員以外の方も含めて検討するのではないかという御指摘がございました。

  これはまた後ほど触れさせていただきますが、施設造成者、施設管理者等の関係者との関わり方を記載するとともに、イメージ図を修正させていただいております。

  3番目の指摘でございます。機能保全の概念のところで、概念的なところは良いが、具体的な事例も盛り込んでいく必要があるのではないかという御指摘がございました。これにつきましても、右側の「検討方針(案)」にございますように、2.1「ストックマネジメントの実施項目と流れ」において、機能保全の概念をしっかり示した上で、具体的な事例につきましては、先ほどもありました機能保全の手引きの工種別編、これも順次、今回の総論編の改定を踏まえまして改定していく必要がございますので、工種別編に具体的な事例をしっかり盛り込んでいきたいと思っております。

  4番目の指摘でございます。機能診断のサイクル図がちょっと見づらい、分かりづらいという御指摘がございました。今回、農業水利システム全体の視点を追加したわけでございますが、御意見を踏まえまして改めてサイクル図を修正させていただきました。これも後ほど説明させていただきます。

  5番目の指摘でございます。水利用機能の診断をストックマネジメントのサイクルに位置付けること、あるいは施設管理における新技術の活用、こういったものについても触れるべきではないかということでございました。これも後ほど詳しく説明しますが、日常管理でありますとか水利用機能診断、あるいは新技術の導入というところに、こういったシミュレーションをしっかり活用していくといった記載をしております。

  次のページになります。

  6番目の指摘事項ですが、標準的な劣化曲線でございます。曲線は一つに決まるものではなく、不確実性を含んだものであることが分かるようにしっかり書くべきではないかという御指摘でございました。これにつきましては、劣化曲線の対象とするデータ、劣化曲線の描画方法あるいは基となるデータの分布状況、こういったものを示しながら、不確実性があることを記載したということでございます。

  次に、資料2-2になります。

  前回は機能保全の手引きの検討の方向について御説明させていただきましたので、今回は、具体的な記載も含めて御説明させていただきます。

  通し番号で言いますと、73ページから具体的な説明になります。

  まず73ページは、前回説明しました主な検討事項と検討の方向ということで、こちらにございますように六つの検討事項を示しております。これにつきましては前回の説明と変わっておりません。

  74ページからが、実際の手引きの本文と関連してくる内容になります。

  まず、74ページにおきまして手引きの全体的な説明といいますか、趣旨ということで、手引きの目的でありますとか機能保全、ストックマネジメントの取組ということを書いております。

  まず1.1「手引きの目的」としましては、長寿命化とライフサイクルコストの低減を図るために必要となります基本的な考え方と実施方法の枠組を示したものであることを書いてございます。

  その下の解説のところで、こういったことに至った背景ということで、農業者の高齢化・減少、農業水利施設の老朽化等が一層進行するとか、施設を長寿命化し、ライフサイクルコストを低減する戦略的な保全管理を推進していく必要性が高まっていることを書いております。

  右側の1.2には「農業水利施設の機能保全とストックマネジメントの取組」ということで、機能保全とは、農業水利システムの一要素としての農業水利施設の機能に要求される性能が発揮されるよう、機能の維持又は回復するためのすべての取組を指すこと、ストックマネジメントは機能保全の取組として、施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図る具体的な管理手法であるということ、そして解説のところに、それを補足するような形で説明を入れております。

  左下は、1.3「手引きが扱う対象範囲と関連図書」ということで、今回の手引きでは、機能保全の基本的な考え方と実施方針の枠組を整理しており、具体的な実施方法については工種別編で更に整理していくこと、ストックマネジメントの取組の結果として実施する対策につきましては、こういった手引き等の技術書によるもののほか調査計画マニュアル、計画・設計基準等によって必要な対策を講じていくといったことを書いております。

  75ページ、機能診断の基本事項の見直しです。

  これまでも健全度評価をしていたわけでございますが、今回少し変えましたのは、右側の表にありますように、施設の状態を見ながら健全度指標S-1からS-5を判定しておりました。これにつきまして、もともとは健全度指標に対応する対策の目安として、例えばS-3であれば「補修、補強が必要」ということを書いていましたが、補修、補強とか更新といった対策の必要性が健全度評価の予断とならないように、今回の手引きでは、対応する対策の目安という項目をこの表から削除しているということが一つです。

  2点目といたしましては、特に管内調査ができないパイプラインや、定期的なオーバーホールがなかなか難しいような機場については、状態監視保全ができないため、時間計画保全の適用も検討する必要があると書いております。

  次のページからは、改定の検討の方向性に沿った記載になります。

  まず、76ページが検討の方向の1番、農業水利システムの観点から「機能保全」を実践するということでございます。

  これは先ほどの第1回委員会での指摘事項の4番目あるいは5番目に関連してきます。特にサイクル図のところになります。

  ここでは、繰り返しになりますが、機能保全の定義ですとか、特に今回、農業水利システム全体の視点で評価、機能診断を行う必要があるということで、その場合の留意点について書いております。

  特に今回、サイクル図について、左側が現行の手引きに描いてあるものでございまして、どちらかというと個別施設、構造的なところに偏ったものになっておりますが、今回の手引きの一つの大きな話としまして、水利用機能に農業水利システム全体の視点で取り組んでいくということで、右側の図の機能診断のところに、当然構造機能とか水理機能の診断も行うわけでございますが、水利用機能を今回、改めてしっかりと位置付けるということで、「水利用機能の診断」を明確にしております。

  この水利用機能の診断を行いまして、何か問題がある場合は水利用機能に関する機能保全の方向性、どういったことを考えていかなければいけないのかを整理し、次の機能保全計画策定のところに、その方向性の検討結果を考慮していく、こうしたことをしっかり行う必要があるという形でサイクル図の見直しを行っております。

  次のページになりますが、そういった中で、今回、機能保全計画につきましても重要であるため、前回の手引きには項目としてはありませんでしたが、2.6「機能保全計画」として項目立てさせていただいております。

  ここの説明書きにありますように、機能保全計画は、施設造成者が個別施設ごとに策定するものであり、機能診断の結果に基づき、施設管理者の意向を踏まえて、施設状況調査、機能診断調査の結果とその評価、機能保全対策、こうしたことをしっかりやっていく必要がある。その中に、括弧書きで農業水利システムの視点を踏まえた機能保全の方向性といったものを取りまとめていく必要があるということを記載しております。

  具体的にはその下の【解説】に書いておりますように、農業水利システム全体の水利用機能の診断結果を踏まえて、必要に応じて施設を集約や再編・統廃合する、そういった考えられる方向性を別途、整理し、その結果について機能保全計画に位置付けていくということです。

  2.6.6「機能保全計画の見直し」につきましても、施設が供用開始された後、最初の機能診断はおおむね10年後に実施する。あわせて、その後も施設の日常点検・監視等の状況を踏まえながら適期に機能診断を行っていくといった必要性を記載しております。

  右側に、具体的に機能保全計画を策定していく上でのプロセス図をイメージとして記載しております。

  78ページ、2番目の検討方向である「水利用機能の診断をストックマネジメントのサイクルに位置付け」についてです。

  先ほどの1番目とリンクしてきますが、農業水利システム全体の視点での水利用機能診断を先ほどストックマネジメントのサイクルにも位置付けました。個別施設の視点と農業水利システム全体の視点、この関連性を右側にありますようなフロー図で整理しております。個別施設の視点につきましては、中ほどにありますように機能診断、そして機能保全計画を策定していくということですが、それに対応する農業水利システム全体の視点としましては、現地調査の必要性でありますとか水利用機能に関する現地踏査・調査、シミュレーション等も含めて、こういった時期に個別の施設の検討と併せてやっていく、そういった関連性を整理したものになります。

  こうした結果等につきましては、施設造成者、施設管理者がしっかり情報共有し、シミュレーション等も活用してしっかり取り組むという位置付けで整理しております。

  次のページでございます。

  水利用機能の診断をする際に、農業水利システムをどのように捉えるかというところでございます。

  具体的な例としまして、農業水利システムとして捉える範囲は様々あります。右側に描いてありますように事業単位で捉える、あるいは用水ブロック単位で捉える、施設管理者単位で捉える、いろいろな場合がございますが、現場の状況に応じて柔軟に設定していくということ。

  あるいは施設管理者への問診のイメージということで、先ほども指摘事項のところにありましたが、施設管理者との関係も含めてイメージとして、施設管理者と実際に問診を実施する施設造成者、あるいはそれ以外の施設造成者等、こういった関係を分かりやすく整理しております。

  次のページでございます。個別施設のみの対策では機能の回復が見込めない場合に農業水利システム全体での機能保全の方向性を検討することの必要性を改めてこちらに書いております。一番下に、複数の機能保全の検討案の記載イメージを整理しております。例えば、ある用水機場で営農変化に伴い用水需要が減少して、既存の施設規模のままでは過大であることが判明した場合、その周辺の用水機場と集約することを検討するとか、用水需要を精査してダウンサイジングすることを検討する、こういったことを機能保全計画に記載していくということで、イメージを整理しております。

  81ページになりますが、3番目の検討方向「農業水利システムの機能停止を招かないリスク管理」でございます。

  これにつきましては、リスクの評価を踏まえた管理水準の設定ですとか、施設管理者の意向を踏まえた機能保全計画の策定が重要であるということで記載を充実しておりまして、例えば2.6.1「リスク管理」で言いますと、リスクの評価を踏まえた管理水準の設定あるいはリスクコミュニケーションにより施設管理者の意向を踏まえた機能保全計画の策定が重要であること、2.6.2では「影響度と管理水準の考え方」ということで、施設が機能停止した場合の影響度を評価する、その際の評価としましては、農業及び農業以外に与える影響を総合的に評価して適切な管理水準の考え方と照らし合わせて設定するということを記載しております。

【解説】のところに、冒頭の指摘1に関連して「周辺地域の水環境に与える影響等を踏まえて評価することができる」といった記載を充実しております。

  次のページになりますが、リスク管理をするときに、リスクコミュニケーションが重要だということで、コミュニケーションする際のリスクマトリックスを活用した例と対話のイメージを2.6.3に充実して書いておりますし、右側に、リスクマトリックスの活用のイメージということで整理しております。

  続きまして83ページ、4番目の検討方向「標準的な劣化曲線の適切な活用」でございます。

  標準的な劣化曲線、これまでの手引きの中にもございましたが、手引きを作成してから標準的な劣化曲線を作成するデータも充実してきたことを踏まえまして、記載ぶりも変更しております。

  まず、2.6.5「対策時期の検討」でございますが、劣化予測につきましては、その予測手法が確立されている場合には経験式などの手法を用いて行うことが妥当ではありますが、経験式などの手法が確立されていない場合等につきましては、現場条件を踏まえて、標準的な劣化曲線を活用しつつ、機能診断による実測により行うことを書いております。

  【解説】に書いておりますが、先ほども申しましたように健全度の評価の結果が大分整ってきているところもございますので、こうした機能診断の結果、複数の健全度評価を基に劣化曲線を作成する例として、データが複数回ある場合や、最新の結果を使用する場合について記載の充実を図っております。

  次のページになりますが今まで使っておりました標準的な劣化曲線につきましても、前回は平成19から23年度の6,000余りのデータで劣化曲線を作成しておりましたが、データ数を1万2,000に更新しまして、標準的な劣化曲線として新たに整理して掲載しております。

  その際に、これも指摘事項の6番目にございましたが、元になっているデータは、ある程度幅を持ったものであることを理解した上で活用していく必要があることを説明しております。

  次のページになりますが、5番目の検討方向「新技術の導入」でございます。

  これも指摘事項5番でシミュレーションの話等もございましたが、シミュレーション等の技術等も活用しながら、新技術についても順次取り入れていく必要があることを記載しております。

  2.5.9にストックマネジメントの取組をより高い精度で実施していくためには、新技術を導入し点検、機能診断等の高度化・省力化を図ることが重要であること、新技術の導入・標準化に当たっては、PDCAサイクル等をしっかり検証しながら技術書等にも反映していく、あるいは【解説】の一番下、これも指摘を踏まえてですが、シミュレーション等をしっかり活用していくたことを書いております。

  次のページが、6番目の検討方向「情報の保存・蓄積・活用」でございます。先ほどのダムの管理基準とも少しラップしますが、しっかりこうした情報を蓄積し、共有し、活用していくことです。

  農業水利ストック情報データベースには様々な情報が入っております。これに更に工事や業務の完了図書といったものもリンクさせながら、ここでは「情報システム」という書き方をしておりますが、情報システムに蓄積し機能診断など様々な形で活用していく必要があるということを記載しております。

  次のページでは、具体的にストックデータベースと工事の完了図書等の電子ファイル、こうしたものも含めて情報システムということで整理し、こうした情報については、【解説】にも書いておりますが、適切な管理手法、対策の共有、新たな知見の獲得、新技術の開発等を図る上で有用と考えられる一部情報を段階的に公開していくことの必要性についても書いております。

  最後はスケジュールでございます。

  これも先ほどの管理基準と同様に、本日の議論を踏まえ、11月下旬頃にパブリックコメントをいたしまして、12月に農業水利施設の戦略的な保全管理に係る検討部会を予定しております。緒方委員に部会長になっていただいておりますが、こちらに諮りまして、そこでの議論を踏まえて2月の技術小委員会でまた御説明させていただき、農業農村振興整備部会へ審議結果の報告というスケジュールを考えてございます。

  以上でございます。



西村委員長  ありがとうございました。

  ただいま説明のありました農業水利施設の機能保全の手引きの改定について、御質問、御意見などお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。



竹田専門委員  御説明いただき、ありがとうございました。

  資料2-3の新旧対照表に書かれていることについて少しお伺いしたいんですけれども、2点あります。

  一つ目が、通し番号で言うと94ページになるかと思いますけれども、最初に言葉の定義が書かれていまして、「ライフサイクルコスト(LCC)」とはということで下から2番目の「・」に御説明があって、そしてLCCの代わりに機能保全コストを用いるということが書かれているかと思うんですけれども、その記載の一つ上の「・」に「将来の保全管理コスト」という言葉もありまして、この「保全管理コスト」と「機能保全コスト」の使い分けがもしあれば教えていただきたいということが一つでございます。

  もう一点は、少し後ろの方に飛んで148ページになりますけれども、施設の状態評価表の部分で、評価区分をS-1、S-2、S-3のような形で標準的には設定されているかと思うんですけれども、それとは違う独自の評価区分の設定を行ってもよいということで、その方が適している場合はその方がよろしいのではないかと思うんですけれども、一方で、データを活用していくとなったときに余り独自の設定が増えてくるとデータを分析するときに区分がいろいろあり過ぎてうまく活用できないということがあるのではないかという気もしまして、そういった独自の評価区分がどれぐらい出てくるかは分かりませんけれども、S-1、S-2みたいな標準的な区分とつなげられる形で独自の評価区分を書いていただくなり、活用の面からも少し評価区分の在り方を補足されると、データが蓄積されてきたときに、より分析がしやすいのではないかと思いました。

  最後は感想ですけれども、以上2点でございます。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかにどなたか。



中専門委員  御説明いただいたサイクル図の水利用機能の関係ですが、機能診断のところで、新しくはこの機能診断の枠の中に水利用機能の診断を、何といいますか、特記していただいている。

  その後にサイクルが左の方に回っていくんですが、私の理解としては、今の既存の手引きにも書いてございますけれども、この水利用機能診断は、正しくこの機能保全の手引きの中で範疇としている機能診断、特に構造機能と水理機能ですね、ハイドリックの機能と一緒にこの水利用機能の診断も一緒にやれば、非常に経済的に、工期も短期間で行える。要はこのストックマネジメントサイクルの左の方に行くのではなくて、水利用機能の診断結果というのは、右側の外に出て行く矢印、すなわち点々の矢印になると思うんですね。

  それは今の既存の手引きにも書いてございますように、一般的なかんがい排水事業とかそちらの新規事業、今、新規でも2期、3期の事業になりますけれども、そこで例えば調整池を増設するとか、水利的な制御もチェックゲートを改良したり、また末端では下流制御にすることによってパイプライン化を進めるたり、それによって送配水の弾力性が非常に上がりますし、24時間水を使えるという事業展開もできますので。

  この水利用機能の診断の中で、左に行く部分はあると思うんですね、水理機能と構造機能、そして水利用機能もきちんと保全されるという部分もありますけれども、先ほど言いました調整池を造成したりするというのは、この機能保全の手引きが対象とする事業、ストックマネジメント事業からは少し事業スケールも異なり、それから見る視点も変わってくると思います。これは右の方に出していただいて、他の事業である地区調査とか、全体実施設計まではちょっと早いんでしょうけれども、地域整備方向検討調査等を調査管理事務所の業務でやられていますので、そちらの方向に矢印を点々か何かで左の方に作っていただいた方がいいのかなと思います。

  もう一点、2の「手引きの目的と関連図書」でこの機能保全の手引きの目的を定義していただいておりますけれども、水利用機能の診断を新たに入れていただくとなるとこの定義も「機能保全により、長寿命化とライフサイクルコストの低減を図る」というのがこの手引きの目的となりますので、それプラス、この事業の範囲内で水利用機能の改善の方策も検討できるとか、そのような文言も入れておいていただいた方がいいのかなと思います。長寿命化とライフサイクルコストの低減というのは、どちらかというと構造機能と、あと水理機能である粗度係数を上げるという部分になるかと思いますので、そこのリンクをちょっとまた御検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。



西村委員長  ありがとうございます。

  今のお2人のコメントに対応がありましたら、お願いできますか。



吉田施設保全管理室長 

  まず、竹田委員からございました用語の話です。用語の定義のところに書かれている「ライフサイクルコスト」と「機能保全コスト」、これを使い分けているけれどもということだと思うのですが、そういうことでよろしかったでしょうか。

  「ライフサイクルコスト」につきましては、用語の定義に書かれているように、施設の建設に要する経費、供用期間中の運転、保守、補修等の維持管理に関する経費ということで、その施設が存在する期間ずっと、という意味で整理しておりまして、「機能保全コスト」はその中で、例えば10年とか20年とかもう少し短い期間で見た場合にどういった対策を講じていくのか考えるということで、使い分けているというのが1点目でございます。

  2点目の、施設状態評価表のところで独自の評価区分の設定を行うことについて、実際のS-1とかS-2の評価と補足する部分をもう少し検討した方がいいのではないか、独自の設定が多過ぎるとというお話だったと思いますけれども、そこはおっしゃるとおりだと思いますので、改めてどういう形がいいのか検討したいと思います。



竹田専門委員  御説明ありがとうございました。

  1点目ですけれども、ちょっと私の説明が悪くて申し訳なかったんですが、「機能保全コスト」と、その一つ上のパラグラフに「保全管理コスト」という別の言葉が書いてございまして、そこの使い分けのようなところが少し気になりました。同じことということですか。



吉田施設保全管理室長  はい。記載を見直しさせてください。私の理解が追い付かなくて、申し訳ございませんでした。

  続きまして、中委員からの御指摘が2点ございました。

  一つは、サイクル図の中の水利用機能の話です。資料で言いますと76ページの右側のサイクル図で水利用機能を加えさせていただいたところです。非常に見づらいのですが、水利用機能のところは緑の色掛けをして整理しております。水利用機能の診断を機能診断の中で行い、これを受けて水利用機能に関する機能保全の方向性を別途、検討することになりますが、正にここの部分を点線で囲んでおり、中委員も御案内のことかと思いますが、機能保全の手引きで対応するというよりは、委員御指摘のとおり地域整備方向検討調査とか、ほかの事業で事業化に向けて検討していくという意味です。機能保全の手引きの範疇外であることを点線表示という形で示しております。

 その辺りの関連性をもう少し分かるようにすべきではないかという御指摘だと理解しておりますので、どういった表現がいいのか、ここも非常に悩んで、極力複雑化しないようにと思って今回も整理させていただいたところですが、引き続き検討させていただきたいと思います。

  2番目の目的の話も、今の件と似たような話だと思います。手引きの取り扱う範囲について、水利用機能の診断については、もともと位置付けられていますが、改めて打ち出しているところであり、記載ぶりについても併せて検討させていただければと思います。



西村委員長  よろしいですか。



中専門委員  サイクル図のところで点線で、「機能保全計画の策定」というところに太い線で左に行ってしまっているので、ちょっと誤解を招くのかなと。

  私の理解としては、機能診断というのは調査して、評価する、そこのところで水利用機能の評価まではできると思うんですね。それを実際に事業化するには、保全計画の方に緑の矢印が行ってしまうとストックマネジメント事業の中で取り組むという位置付けになりますので、これは逆に外に遠心力で振られていくというんですかね、別の事業─たしか今の手引きの中にもほかの事業に行くというフロー図があるので、それを参考にしていただいてはと思います。

  ちょっとこれを見ると、やはり手引きがかなり変わってしまったなという印象をユーザーは受けると思うんですよね。だから、水利用機能の保全計画まで立てなければいけないのかなという誤解を受けるかと思います。ただ、具体的には保全機能計画の策定は、たしか構造機能とかそちらの方しか書き込まれていませんので、そこの整理だけしておいていただければという意見でございます。



吉田施設保全管理室長  承知いたしました。



西村委員長  ほかの委員から何かございますか。



坊垣専門委員  兵庫県土地改良連合会の坊垣でございます。

  内容について異論があるわけではないんですけれども、1点は、先ほど新旧対照表が出ましたけれども、現行と改定案の欄がダム編と逆になっているんですよね。普通左に現行の方がいいのではないかなと思うんですけれども、もしあえてそういう形にされているなら、何か理由があるんでしょうか。単純に、両方とも揃っている方が見やすいといえば見やすいので。

  それから、手引きというのは全体的に言えば使う人が使いやすいようなものにしていただきたい。そのことについてどこに異論があるというわけではないんですけれども、そういうことを念頭に置いて、もし今後、修正がある場合はお願いしたいと思います。

  それから、サイクル図が出ましたけれども、76ページと86ページ。先ほど中委員からも御指摘ありましたけれども、単に字の使い方の話なんですけれども、「機能診断」の緑の枠の次、点線の緑の枠の中に「水利利用機能に関する……」とあるんですけれども、これは「水利用機能に関する……」の単純な間違いなのか、あえて「水利」を使われているのか教えていただければと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかに、ございますか。



弓削専門委員  前回これについても幾つかのコメントをさせていただいて、特にサイクル図ですね、大変御苦労されて工夫いただいたと思います。

  私が前回指摘いたしましたのは、個別の視点と全体の視点の関係がちょっと分かりづらいというところでしたが、その関係性については、この図で分かりやすくなっていくように思いました。

  ただ、守備範囲といいますか、先ほど中委員からも御意見があったと思いますので、その辺を御対応いただけると、よりよいものになるのかなと感じております。これは感想です。

  質問といたしましては、通し番号でいくと214ページの用語の定義になります。私、個人的にこの手引きの用語の定義がとても親切で、ユーザーにとってかなり使いやすいのではないかと思うんですが、まず単純な質問として、この並び順が五十音順ではないような気がして、どういう順番になっているのかなと一つ感じております。恐らくユーザーの視点からすると、例えば「リスクコミュニケーションって何だったっけ」とかそういう使い方をされると思うので、五十音順に並べた方が使いやすいのかなと感じました。

  それと、幾つか削除された用語があるようなんですが、例えば一番最初でいくと「アセットマネジメント」が削除されて、そのほかにも幾つか削除されてものがあるように思うんですが、これはなぜなのか単純に不思議に思いましたので、教えていただければと思います。

  それと、先ほど竹田先生からコストの言葉の定義のお話があって、215ページに機能保全コストに関する定義は記載されているんですが、もし先ほど御指摘があったようにコストの使い分けをされているようであれば、それについても追記いただいた方がいいのかなと感じました。

 


西村委員長  ありがとうございます。

  ほかに何かございますか。



竹内専門委員  一つ教えていただきたいんですけれども、私がやっている道路の場合には、標準的に使用する年数を定めて、それはパフォーマンスカーブから定めるんですね。大体これくらいの年数で機能が低下するので、そこを一応目標の年数と定めて、その目標の年数に達せずに早期に劣化した場合はこういった手だてが必要だとか、例えばこの中に書かれている─目次だけぱっと見せていただくと、「アル骨反応がありましたよ」といったことになると、かなり早期に劣化するものが出てくることが想定されているような感じだと思うんですけれども、そういった早期劣化区間というか、早期劣化箇所に関する対策は何かこの中で考えていらっしゃるのか、まずはお聞きしたいです。



西村委員長  今の弓削委員、坊垣委員からのコメントと竹内委員の質問がありましたので、まとめてお願いします。



吉田施設保全管理室長 

  坊垣委員からも御指摘を頂きました表の整理の仕方について整合が取れておらず申し訳ございません。整合が取れるように整理したいと思いますし、手引きを使われる方が使いやすいよう、引き続き検討していきたいと思います。

  サイクル図の「水利利用機能」につきましては、これは誤字でございますので修正させていただきます。

  弓削委員からございました用語のところは、確かに五十音順になっておりません。多分これは出てきた順番で並べているということだと思いますので、確かに五十音順の方が引きやすいと思いますので、検討させていただきたいと思います。

  また、削除されているものがあるという話がありました。アセットマネジメントの話がありましたけれども、今回「アセットマネジメント」という言葉を手引きの中で使っていないため、これについては削除してございます。それ以外にも削除されている部分がありますが、議論の中で「これは今回の改定では要らないのではないか」ということで削除させていただいたということです。

  それとコストのところ、先ほど竹田委員からもございましたが、当然用語の統一は極力図らなければいけませんし、図った上で必要なものについては改めて定義付けするなど、引き続き検討していきたいと思います。

  竹内委員からは、標準的に使用する年数より早期に問題が起きた場合の対策を考えているのかということでございました。

  正にストックマネジメントの取組というのが、状態を適時適切に把握して、リスク管理の話等も当然ありますが、機能保全コストが最小化できる、ライフサイクルコストが最小化できるような形でやっていくということでございますので、例えば40年の耐用期間があるものの中で、先ほども少し話をしましたが、供用して10年後には機能診断をする、そこでしっかりと状態を把握した上で必要な対策を講じていくことになります。適時適切な時期にしっかり診断して、必要な対策を講じていくという考えだと御理解いただければと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  今のでよろしいですか。



竹内専門委員  補足というか、追加の質問なんですけれども、よろしいですか。

  多分これを読んで現場でやられる方は、うちの水利施設は標準よりも早く壊れているのか、標準的なのか、それとも長持ちしているのかといったところを気にされると思うんですね。何かそういった標準的な値とか標準的なパフォーマンスカーブとか、あるいは全国平均でも構わないので、そういったものを参考にするとよいとか何とか、そのようなことは書かれないのでしょうか。それとも、もう書かれているということでしょうか。



吉田施設保全管理室長  今は先ほど言ったような考えでやっています。そういう表現も出てきておりませんが、意見があったことも踏まえて、検討部会の委員の御意見も踏まえて考えていきたいと思います。



西村委員長  ほかに、どうでしょうか。



越山専門委員  コメントですが、前回、水環境という視点についてコメントさせていただきました。随所に反映していただき、ありがとうございます。

  特に、2.6.7.4に、対象施設の多くが造成から大分時間がたっていることから、以前とはまた状況が変わっていることも記載されていたので、そういった視点も現場の方で取り入れていただけそうだと感じました。



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかに何かお気付きの点があればお願いしたいと思います。



石黒専門委員  目次番号4の「農業水利システムの観点から……」のサイクル図について、今回、システムとしての機能診断の緑色の矢印が一部分付け加えられたわけですけれども、それに合わせて対策のところに「集約、再編、統廃合」の黄色の部分が追加されております。目次番号1(1)においては集約の前に「機能向上」というような説明が出ているんですが、例えば機能停止を招かないリスク管理で代替施設を造るというようなものであれば、この「機能向上」に相当するのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

  それからもう一点お伺いしますが、目次番号4の「農業水利システムの観点から「機能保全」を実践(02月02日)」の2.6.6「機能保全計画の見直し」で「供用開始後、最初の機能診断をおおむね10年後に実施」と書いてありますが、多くの施設はもう既に供用されている状態ですが、既設の構造物の場合の見直しの考え方はどのようになるんでしょうか。

  この2点でございます。



西村委員長  ありがとうございます。

  もうお一方ぐらい伺ってから事務局に回答を頂きたいと思いますけれども、もし何かあれば。



竹田専門委員  一つ、また手引きの新旧対照表で恐縮ですけれども、通し番号で言いますと112ページに「性能の管理」ということで、性能指標の種類を書いていただいていると思うんですけれども、表2-1の「社会的機能」のところに環境性が入っていて、右側の旧の方だと、多分この環境性の指標のところに「生物の生息の有無」が例として入っているかと思うんですけれども、左側の新しい方には環境性の生物の生息の有無が入っていないということで、この辺りはどういった御判断があったのか、ちょっとお伺いできればと思います。



西村委員長  ありがとうございます。

  では、石黒委員と竹田委員のコメントに回答をお願いできますでしょうか。



吉田施設保全管理室長  石黒委員から2点ございましたけれども、一つは機能向上についてサイクル図に「集約、再編、統合」が入っていて「機能向上」が抜けているのではないかということでした。こちらにつきましては改めて、どういった記載ぶりが妥当なのか検討させていただきたいと思います。

  2点目は、供用開始後おおむね10年で機能診断するということに対して、もう既にあるものはどうするかということでした。これにつきましては、現行の手引きの中においても健全度指標ごとに調査頻度の目安を定めており、今回の改定においても同様になると思っております。例えばS-3の指標でありますと、大体5年を目安に機能診断するとか、S-4からS-5でしたら10年、例えばS-2だったら3年から5年ということで示しておりますので、もう既に供用開始されていて年数がたっているものについては、健全度指標に応じて、こうした調査頻度の目安を踏まえて調査していくことになろうかと思います。



石黒専門委員  分かりました。



吉田施設保全管理室長  竹田委員からございました「生物の生息の有無」が消えたことにつきましては、改めて確認させていただきたいと思います。



西村委員長  確認はお願いいたします。



中専門委員  前回の委員会でも私の方で、環境性能について御紹介させていただいたんですが、今、議論していただいている性能指標のところで、水利用機能に、たしか狭い意味での環境性能が文献で定義されていると思います。それは例えば流水音、落差工で音がして、振動がして周辺の住民の方から対処してほしいというようなこともありますし、あとは親水機能とかそういうものもありますので、文献を確認していただければと考えます。水利用機能の中の環境性能と、それから社会的機能のところの、これはたしか広い意味での環境性という形で文献で整理されて、そこでは生物多様性とか─ただ、この事業とか機能保全の対策工事でそこまで、何といいますか、事業として発揮できるかというのはなかなか難しいので、そこはこの機能保全の手引きで対応する事業にある程度絞り込んでいただくのがよろしいのではないかと考えます。以上、情報提供させていただきました。

  文献等をまた確認していただければと思います。 



西村委員長  ありがとうございます。

  ほかに何かございますか。



竹内専門委員  最初のダムのところでも質問させていただいた事項と重なるんですけれども、この手引きの中で「しなければならない」という言葉の縛りの強さというか、そういったものは、例えば上位図書があって、上位図書では「しなければならない」、そしてこの手引きの中では「こういう方法でやる」と多分書かれているんだろうなとは思うんですけれども、その辺りの言葉の使い方は、整合は既に取れていると考えてよろしいでしょうか。上位図書の中でしなければならなければ、この中で、例えば解説で「こんな方法がある」と書いても結局は縛りが相当強い話になるので、その上位図書との言葉の使い分けというか、そういったところはチェックされているのでしょうか。



吉田施設保全管理室長  正にこうしたストックマネジメントをしっかり進めていく必要があるということで、平成19年だったと思いますが、一番最初に手引きができました。もともと上位図書といいますか、基準的なものがあって、それを説明するためにつくったというよりは、これが一番最初の基本となる図書であります。竹内委員の御指摘は、基準のところでもあったように、やるべきことは、ちゃんと「やった方がいい」という表現で記載した方がいいということだと思いますが、こちらはどちらかというと、基準というよりは「こういうことに配慮してやる必要がある」とか、「必ずこれをやりなさい」という基準とはやや違うと思っております。重要な視点だと思いますし、特に今後、工種別編も併せて改定していく必要があり、ここで書かれたことを受けて工種別編にいかしていく形になりますので、改めてそういう目で確認したいと思います。



竹内専門委員  よろしくお願いします。



西村委員長  ほかに何かお気付きの点があればお伺いしようかと思いますが、いかがでしょう。



竹内専門委員  ちょっと教えていただきたいんですが、通し番号で言うと84ページ、パフォーマンスカーブが描かれているところに生データの分布が出ていて、これがS-4とS-3だけなんですけれども、S-2のデータあるいはS-1のデータは現在存在しているものなんでしょうか。



吉田施設保全管理室長  S-2とかS-1のデータもありますが、そこに至るまでに当然対策を講じるのがほとんどですので、かなり少ない状況であり、こうした曲線を描く上では、信頼度が低いと考えております。既にS-3、S-4でも大分ばらついているではないかという御指摘はあろうかと思いますけれども、ある程度データが整っているところで整理すべきだろうということで、S-3、S-4で整理しております。ですから、S-2、S-1は若干データはありますが、S-3、S-4から推定した線ということで点線表示をさせていただいているということでございます。



西村委員長  最後に何かあれば。

  では、質疑はこれで終わりにさせていただいて、もし全体を通して、若しくは初めのダムの方で後からお気付きの点があったら御発言いただければと思いますけれども、何かございますか。

  特になければ審議は終わりにさせていただいて、事務局にお返ししたいと思います。



瀧川計画調整室長  西村委員長、委員の皆様方、長時間にわたり御審議ありがとうございました。

  後でお気付きのこと等ございましたら直接役所の方にお申付けいただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

  次回の開催ですが、2月頃を予定しておりますので、また追って連絡・調整させてください。よろしくお願いいたします。

  以上をもちまして、本日の技術小委員会を閉会させていただきます。

  誠にありがとうございました。

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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