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農林水産省

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令和元年度第4回畜産部会議事概要

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1.日時:令和元年8月21日(水曜日)13時00分15時20分

2.場所:三番町共用会議所2階大会議室

3.出席委員:加藤委員、砂子田委員、三輪部会長、石澤委員、小野寺委員、金井委員、小谷委員、里井委員、須藤委員、藤嶋委員、松永委員、西尾委員(有田委員、前田委員、大山委員、釼持委員、築道委員の5名は欠席)

4.ヒアリング協力者:瀧澤義一氏(ホクレン農業協同組合連合会)、隈部洋 氏(九州生乳販売農業協同組合連合会)、髙橋雄幸氏(有限会社那須高原今牧場)、西尾啓治氏(一般社団法人日本乳業協会)

5.概要

 

【ヒアリング協力者からの発表概要】

(瀧澤氏)

○日本の生乳生産は平成8年度をピークにして減少が継続。本会受託戸数は25年で半減したが、規模拡大により生乳生産量は増加あるいは維持基調で推移。家族経営は戸数全体の8割を占め、生乳生産量の維持・拡大、地域コミュニティの維持に直結する重要な位置にある。

○平成26年にJAグループ北海道として目指す姿を策定。全道の共通目標として掲げた所得確保を含め、様々な取組を行ってきた。過去には生乳需給の緩和に伴う乳価の低落や減産型計画生産によって生乳生産基盤が弱体化し、その後の生乳生産への大きな影響があった。持続的な酪農経営の確立に向けては一定の所得水準の維持継続が極めて重要である。

○生産基盤強化・増産が期待される中、本会としても独自の振興策を立ち上げ取り組んできた。生産現場の省力化に向け、スマート農業についての情報収集・発信・実証実験を進めている。人材育成としては、酪農研修生の受入れ、農業経営塾「酪農経営管理者コース」を開設した。酪農ヘルパーの利用日数は伸びているものの、人手不足は課題となっている。

○北海道の衛生的乳質は、極めて高いレベルを維持している。近年は生乳の品質データを蓄積し、客観的な安全安心の担保等に取り組んでいる。

○本会出荷生産者の拠出により、北海道牛乳普及協会等と連携して消費拡大事業を継続的に実施している。東京の自由が丘のアンテナショップや地チーズ博など、北海道酪農への消費者の理解醸成を重点として取り組んでいる。

○需要に対し生乳生産が追いつかない状況が続いたが、様々な取組により、後継牛の増頭等、今後増産が期待できる環境となりつつある。酪肉近における地域別の生産目標および生乳需要の長期見通しについては、次の4点を踏まえた設定をお願いしたい。

(ア)展望ある酪農乳業の未来に向けて前向きで意欲的なものであること

(イ)酪農家の生産意欲の後押しとなるものであること

(ウ)食の安全保障の観点を考慮すること

(エ)飲用向と乳製品向双方の国産需要に応える内容とすること

なお、国内における需給調整機能を確保していく観点からも検討を加え、生乳の用途毎の目標を設定すること

また、安定供給に向けた増産型生産目標数量の達成には、JAグループ北海道自らの取り組みに加え、これを後押しする政策的支援をお願いしたい。

○都府県の生乳生産量の減少が続く中、飲用向けの安定供給を図るため、本年、生乳移送の船舶を入れ替え、積載能力が23%増加した。しかし、ドライバー不足等、需要に応じた輸送は困難になりつつあり、都府県の生乳生産基盤の立て直しが重要。今後も生乳移送に取り組むが、関係者への理解醸成、輸送効率化に向け支援をお願いしたい。また、乳製品工場の稼働率の低下により、需給調整機能が脆弱化しつつあり、業界全体の課題として国には適切な関与をお願いしたい。

○生乳生産基盤の強化と中長期的な安定供給のためには、各酪農家がコンスタントに投資可能となる所得水準を維持・継続することが重要。過去の経験を鑑み、需給緩和時の出口対策の強化が必要。将来を担う酪農家が不安を抱かずに営農できるよう支援をお願いしたい。

○本会は「相互扶助の精神」のもと酪農の発展に取り組んできた。法改正後も指定団体の機能が発揮できるよう、また、生産者間の公平性が維持されるよう取り組んでいる。都合の良い部分委託等、個人主義的な動きが強まれば、指定団体の機能が損なわれ、国内酪農全体の衰退に繋がる恐れがある。国には、改正畜安法の目的に照らし、指定団体及びその機能を酪肉近に位置付けるとともに、機能拡充への支援をお願いしたい。

 

(隈部氏)

○生乳受託戸数は平成12年度の3,133戸から31年度には1,332戸へ減少。受託乳量は平成16年度の78万トンから29年度には60万トンへ減少したが、30年度は前年から微増した。経産牛の飼養頭数は平成12年度の11万頭から30年度には7.5万頭に減少した。

○平成30年度における全国の指定団体受託乳量に占める九州の割合は8.7%で、そのうち40.9%を熊本県酪連が占めている。

○平成30年度の用途別販売実績は飲用70.2%、はっ酵乳15.0%、生クリーム4.8%、チーズ0.2%、加工10.1%となっている。17.1%は中国、関西等の域外へ販売している。なお、九州外からの生乳の移入はない。

○九州生乳販連の役割は、価格交渉能力の強化、輸送コストの低減、需給調整力の強化、安心安全の担保である。平成28年の熊本地震の際には、県内の工場が被災し生乳の受け入れが不可能になったところ、関係者と連携し、集乳車の手配や域外への移送等、需給調整機能が発揮された。

○生産基盤強化の取組として、平成30年度から増産奨励措置を実施している。この取組により、対象期間中に生乳出荷を継続した生産者1,327戸のうち、半数を超える689戸が年間で増産を達成した。生産者のモチベーションの一つになっており、令和2年度まで継続することを決定したところ。

○熊本県酪連の取組としては、性判別精液・受精卵移植の活用への助成、乳用牛出生頭数や育成牧場の増頭に対する助成、自家育成奨励、供用年数の延長支援、優良乳用牛導入への助成、乳用雌牛の輸入・供給に係る助成を実施。この結果、平成30年には出生頭数は400頭以上、2歳以上の乳用雌牛は200頭以上増頭した。

○生産数量目標は、増産を基本としつつも現実的な数値に政策的な支援効果を含め決定する必要がある。

○需給緩和による減産や乳価下落への不安を払拭することが重要。このためにも取引価格や需給調整に関して、指定団体が果たす機能の重要性を酪肉近に位置づけるべき。自分のことだけを考えた都合の良い部分委託をこのまま放置すれば受託量が減り、指定団体が果たしてきた機能が崩壊する恐れがある。

○現状、ナラシと調整保管しか需給調整対策がない。生産者が投資をし、安心して生産に取り組めるよう、例えば、乳製品の委託加工や、調整保管品の輸入品との置き換え、海外輸出等の出口対策や、需給緩和時にも生乳廃棄を生じさせないよう、国内乳製品工場の処理能力を維持すること等をあらかじめ位置付けておく必要がある。

○指定事業者が取り組む、広域的な生乳検査体制の効率化、集送乳車の大型化、バルククーラーの大型化による隔日集乳、貯乳施設の再編整備等への支援のさらなる拡充が必要である。

○都府県の生乳生産基盤強化として、以下のような対策が必要。

  ・持続可能な地域資源循環型酪農の推進

・大規模化にあたってボトルネックとなっている家畜糞尿対策として、耕畜連携による広域での堆肥センター構築の取組への支援

・育成牧場建設への補助

・ヘルパー事業への支援対策の継続と拡充

・ヘルパー及びコントラクターの要員確保への対策

・暑熱対策の拡充

R22フロンガスの製造中止に伴い、R22フロンガスを使用するバルククーラーの交換や更新についての補助

・新規就農者と離農者とのマッチングを全国で情報共有する等の対策

・廃業農家の施設や機械等を継承する際の支援

・新規就農者の乳牛導入に対する補助

・広域流通を行い需給調整をしている団体の送乳経費の一部助成

・船舶燃料環境規制(SOx規制)による、フェリー運賃の上昇への対策

 

(髙橋氏)

○平成6年8月に法人化し、チーズ工房は加工部門として、平成24年4月に国の6次産業化の認定を受けて開始した。現在、牛は170頭、山羊は33頭搾乳している。

○チーズ作りは、牛乳消費の低迷が長期化する中、付加価値をつけて経営を安定化したいと考えて始めた。山羊は、差別化が図れること、山羊チーズの製造経験があったこと、牛より飼いやすいことから、山羊チーズの製造も開始した。

○日欧EPATPP11等、国際化の進展により、初めは不安が募ったが、早い段階で政府から対策が発表されたことで追い風に変わった。補給金・奨励金、チーズ工房の施設整備事業、品質向上対策、輸出へのサポート等の過去に例のないチーズ対策が打ち出されており、酪農・加工の双方で意欲が出てきている。

○補給金・奨励金制度は、事業開始時は事務処理が煩雑に思われたが、実際にやってみると日常的な事務処理で対処可能であり、奨励金も合わせれば経営的にも大きなプラスになっている。金銭的な支援だけでなく、生産者の意欲の向上にもつながっている。

○自身も北海道の共働学舎でチーズ製造の勉強をしたが、これまでは師弟関係の下で技術を教わってきた。しかし、現在ではインターネットを通じて独学で学んでいる人が多い。

○フランスには国立乳製品学校があり、1トンの生乳を用いて研修を行っている。日本でも今年の4月から、宇都宮の調理師専門学校で「発酵醸造科」が開校し、チーズについて1年間を通して学べるようになったところ。

○海外コンテストで受賞した経験もあるが、更なる上を目指すには、海外からの技術者の招聘が必要。高品質なチーズを安定して出荷できることで収益の増加にもつながる。

○大きな部屋で研修するのではなく、工房の中で指導を受けることが大事。当社では毎年フランスから来て頂き指導を受けているが、費用が大変かかる。家族経営レベルだと指導を受けたくても受けられないのが現状である。

○生産者同士が切磋琢磨して情報発信をすることで、品質の向上、ロスの低減、利益の増加、販路の拡大につながる。

○これからは、攻めの日本産チーズ。地元のホテルやレストラン、旅行者の気持ちに応えられるよう、生産を増やして販路を拡大していきたい。また、海外コンテストへ出品し、チーズの本場で勝負をしたい。海外コンテストでの受賞はチーズ生産者としても搾乳者としてもやる気が出る。

○チーズ生産者の新たな組織として法人化を準備しているところ。生産者自ら品質の向上に取り組み、海外に出せるチーズ製造に向けて頑張ろうとしている。

○今後とも継続して国からの支援をいただきたい。海外からの技術者を招聘し、現場で指導を受け品質の高いチーズを作り、経営としても利益が残せるよう指導いただきたい。また生乳がなければチーズを生産できないので酪農家の基盤整備にしっかり取り組んでいただきたい。

 

(西尾氏)

○世界の牛乳乳製品の消費人口は2050年には現在より約20億人増え、98億人になると見込まれている。一方、近年、環境に対する規制や水資源確保の問題、アニマルウェルフェア、SDGsへの対応等、生産の制約要因が増えている。

○国内の生乳生産量は1996年の866万トンをピークとして、20年以上減少し続けている。我が国には1200万トンの需要があるにも関わらず、また高品質な国産牛乳乳製品への強い需要があるにも関わらず、応えられていないことは残念である。

○官民の協力で生産回復の芽がやっと出てきた。長期的には海外からの輸入がだんだん難しくなることも考えると、酪農乳業の未来に希望の持てる意欲的な基本方針を定める必要がある。

○乳業の役割としては、消費者への安全・安心な牛乳乳製品の安定的な供給が最も重要。また、他の農畜産物と異なり、生乳はそのままでは販売できるものではないので、乳業が様々な乳製品に処理・加工し、付加価値を付けて販売している。

○酪農無くして乳業は存在できない。牛乳乳製品の需要は季節や嗜好の変化に応じて増減するが、生乳は牛という生き物を介して生産されるため、需要の増減に応じて生産量を増減することができない。こうした中で酪農家が安心して生乳生産できるよう、乳業は生乳が余剰の時も不足の時も安定的に受け入れ、牛乳乳製品の製造、販売に努めており、乳業は酪農振興にも重要な役割を果たしている。

○酪農家が安心して生産するには酪農関連制度が安定して信頼できることが大事。新たな酪農制度の運用は生産者、乳業者の公平性が確保される仕組みとなっているのか。需給の安定、集送乳の合理化、安全性の確保など、指定団体の機能が維持される仕組みとなっているか。これらを検証して必要に応じて制度の運用改善を図ってほしい。

○生産基盤の維持・強化には、後継者、新規参入者が魅力を感じる産業であることが大事。労働時間等の課題を解決するには、搾乳ロボット等の新技術の導入、外部支援組織の活用が大事。廃業された方の施設が有効活用できるよう第3者への資産継承が円滑にできる仕組み作りが重要。また、肉用牛の頭数を需要に応じて増やすことで、乳用後継牛を安定的に確保できる仕組みにすることが大事である。

○北海道の生乳生産量は着実に増加しているが、都府県は毎年減少している。一方、人口が多いのは都府県で飲用需要は堅調。北海道から都府県への生乳移送量は年々拡大し、ほぼ限界に達している。都府県酪農の生産基盤強化は我が国酪農乳業にとって最大の課題である。

○都府県の飲用需要へ生乳が仕向けられることにより、北海道の乳製品工場では、乳製品向けの生乳が確保できず、消費者から大変需要の強い国産バターを十分に供給できない状況である。

TPP11や日EUEPAの発効により乳製品の輸入が増え、乳用後継牛が今後増える中、何も備えなければ中長期的には需給緩和の事態も想定される。生産調整による対応が難しい中、こうした事態を未然に防ぐために対応の方向性を明確にしておく必要がある。

○都府県の酪農家戸数は減少しており、地域の酪農支援組織も統廃合により合理化され事業の受け皿として十分に機能していない実態がある。国で事業が措置されても活用されていない状況もある。酪農支援のための組織の在り方や活性化の方法について検討する必要がある。

○少子高齢化や外国人の増加により消費者の行動は変化している。こうした変化に対応して新商品開発等、乳の価値向上に努めたい。

○学校給食用牛乳では風味変化がしばしば問題になる。研修や食育活動を通じて発生抑制に努めたいが、国においては事案発生時には迅速かつ適切な指導をお願いしたい。

○「適正取引推進ガイドライン」、小売団体による「自主行動計画」を踏まえ、適正取引を推進し、適正な付加価値が確保されることが重要。引き続き、乳業者の自主的な取組への支援、小売側への働き掛けや指導をお願いしたい。

○国際環境の変化としてはTPP11等による輸入圧力の増大だけでなく、SDGsへの対応、アニマルウェルフェア、環境配慮等、様々な国際的なルールへの対応が必要。HACCP制度化に伴い、衛生管理水準の向上に努めることも重要。乳業工場の再編にも取り組み、牛乳乳製品の競争力強化や乳製品輸出など海外需要の拡大にも努めたい。

○生乳生産基盤の回復の芽を伸ばして生産回復を本格的な軌道に乗せる必要がある。これまでの基本方針の目標に沿って、乳業もチーズの生産能力を増強してきた。生乳生産の長期見通しは、国産牛乳乳製品に対する消費者の強い需要、生産意欲の喚起、生産が回復した場合の国産回帰にも配慮し、前回の水準以上の800万トンとすることが適切。20年以上も減少し続けてきた生産を回復させることが次期基本方針のテーマと考える。

 

【意見交換】

(三輪部会長)

〇乳業業界の立場から生乳生産数量について800万トンという示唆をいただいたが、生産者団体はどのような考えか。

 

(瀧澤氏)

〇現状を踏まえて増産の概ねを北海道が担っていくと想定すると、増産をしたときに所得の低下につながらないか、増産のために投資をした時に投資額を回収できるだけの所得が担保されるか、という点が酪農経営者の最大の心配事である。北海道で500万トン以上ということになれば、そう簡単ではない。

 

(隈部氏)

○現在、都府県の目標は320万トン。北海道で450万トン、都府県で350万トンと考えると難しいのではないか。増産の目標数量とするのは良いと思うが、現実的な目標数量がいいのではないか。

 

(金井委員)※三輪部会長より代読

〇西尾氏について、800万トンの根拠となる用途別の需要をどのように考えているのか。TPP11や日EUEPAなどかつてないほど国際化が進展する中で、バターや脱脂粉乳、チーズなどの乳製品において今後の輸入量や国産需要の見通しをどう考えているか。また、生産現場には需給緩和への根強い不安がある。生乳生産が拡大してもしっかり引き受けていただけるメッセージがあれば生産現場もより前向きに生産拡大に取り組めるが、乳業側の考えを聞きたい。国産牛乳乳製品の需要拡大については、生処一体となった取組をお願いしたい。

 

(小野寺委員)

〇西尾氏について、過去の生乳需給の逼迫と緩和の繰り返しの中で生産現場は懸念を持っている。万全な出口対策について農水省とも議論を深めて欲しい。飲用需要と乳製品需要に対し、どのようなバランスで応えていくかは非常に大きな問題。短期的な需給緩和時の委託加工や調整保管等に係るコストの負担の在り方などについて議論することが重要である。

 

(小谷委員)

○隈部氏について、増産奨励措置には報奨金のようなものはあるのか。

○所得や乳価といった経済的指標以外で生産意欲をかき立てるには何が必要と考えるか。例えば髙橋氏のようにチーズ製造に取り組んでいると、自分の技術の向上や評価されることに喜びがある。生乳生産の性格上、顔の見えない生産にならざるを得ないと思うが、どのようなことが考えられるか。例えば、酪農教育ファームや放牧に、酪農を外に見せて外部とつながることで、続ける意欲や誇りを取り戻す仕組みとしての希望があるように感じているが、どうか。

 

(加藤委員)

○昨今、気象条件が厳しくなっているが、生乳生産は安定しているのか。どういう生産環境が望ましいのか。

○北海道からの生乳移送については、船の便数を増やせば解決するのか。物流費も高騰しているが、物流の苦しさにはどのようなものがあるのか。

 

(西尾氏)

○数量目標を現行の750万トンから800万トンへ引き上げることについて、高すぎる印象を持っている方もいると思うが、これまで国産がないために実需者がやむなく対応してきた需要については国産に回帰する可能性が高いと考えている。

○また、液状乳製品や直接消費用ナチュラルチーズは需要の伸びが期待できる。乳業メーカーにはまだ活用されていないチーズの生産設備もあるので、増えた乳量の加工は十分に可能である。

20年で140万トン減った生産を、10年かけて半分の70万トン増やそうという目標が800万トン。乳業者としての需要拡大は、魅力的な商品の製造にもかかってくるが、乳業者の意欲も非常に旺盛である。

 

 

(髙橋氏)

○生乳生産量は平均30kg/頭/日であるが、この暑さで29kg/頭/日前後に落ちている。定期的に獣医や飼料メーカー等と数字を出して個体管理を行っている。昨夏、栃木県内では70頭近くが暑さで死亡した。暑熱対策は1頭ずつ牛を見ていくことから始まるが、個人の農家では難しいところもあるので、引き続き国からの支援を賜りたい。

○加工は、全部自分でやらなければいけないという大変なところはあるが、直接消費者に情報発信ができる。生産者が消費者に直接安心を届ける、高品質を届けるということを発信していきたい。

 

(隈部氏)

○増産奨励措置については、生産規模を大中小にわけて行っている。額としては総額400万円弱。

○熊本の農協はプラントを持っているので、そこで利益が出る。その利益で酪農家へいろいろな事業を実施し、刺激を与えている。

○若い後継者に魅力ある酪農にしていかなければいけないと考えている。休みを取るにはコストが掛かるが、休みの取れる酪農になれば若い人も参入してくるのではないか。

 

(瀧澤氏)

○北海道に各メーカーの乳製品工場が進出し、乳製品加工をするという前提で北海道酪農は急速に生産を伸ばしてきた。生産拡大に向けては安定的な処理・販売が極めて重要で、今後もこれがしっかり維持されることが酪農家の意欲につながる。

○北海道という寒地で土地を利用しながら挑戦できたのが有畜農業。酪農家の生産意欲は、国民に食料を安定供給するというプライドである。

○世代交代が進むなか、いかに労働時間を減少させつつ所得・生産量を確保するかといった点が大切であり、人手不足のなか機械投資等も必要になるわけで、それを担保するための所得が重要だと捉えている。

○生産者の6次化については、法改正以前からホクレンでは受け入れてきており、放牧、有機、NONGMO飼料給与等に取り組む生産者については、以前から個別にプレミアム乳価で販売支援をしてきた。

○生乳生産は暑さに弱い。今年は北海道でも8月の盆前から生乳生産量が落ちた。乳牛は、マイナス25度よりプラス25度の方が、生産性が落ちる。

○物流については、ほくれん丸2船が毎日運行しているが、移出経費については移出乳量当たり1980銭。集乳経費は、受託乳量当たり1円85銭。クーラーステーションと工場間の輸送は、全体の受託乳量当たり83銭。関連費用合計で受託乳量当たり4円87銭かかる。輸送管理費用は総額で約187億円。

 

(砂子田委員)

○酪農ヘルパーや従業員、実習生がなかなかいない。酪農では働き方改革がうまくいっていない。

○畜産クラスターで規模拡大した方は多くいるが、技術が伴っていないために事故が増えたり、計画通り生産できていないなど、施設を活かしきれていない方をたくさん見かける。指導に力を入れるべき。

○規模拡大しなくても一頭当たり乳量を上げれば出荷乳量は増える。規模拡大が全てではない。

○後継者がいないために離農せざるを得なくなった人の施設を借りやすい環境が整えば、新たに酪農を始めようという人も出てくるのではないか。

 

(須藤委員)

○生乳生産、販売だけでなく、その先にある、髙橋氏のような経営の選択肢を持ち得るということは酪農後継者にとって大きな魅力。大規模奨励だけでなく、小規模な多角経営を育成するような方向に政策誘導することが重要である。

○酪農家のモチベーションアップが重要。リタイヤしていく人はお金ではない。そこをしっかりリサーチして政策に反映してほしい。

○制度が去年変わったが、これまでの指定団体の役割は大変重要。しかし、一方的なルールや枠で酪農家の多様性を阻害するものであってはならない。

○補助金を投入するのも大事だが、補助金に頼らない楽しい酪農を築くための酪農教育をオールジャパンで構築することが今こそ大事。若い人同士がつながるテーブルをつくっていく必要。そこで新しいバターやチーズが生まれてくると思う。

 

(里井委員)

○チーズは消費者の中で大変流行っているという位置付け。特に北海道チーズのブランド力は高い。国産バターもみんな欲しがっている。しかし、食べているチーズが国産でなくても、特に気にしていないのが実情である。

○今後10年間で800万トンということは目標にしたい。チーズは消費者側から見ても明るい希望のあるジャンルである。

○国産の食材を使ってフランスの技術者から研修を受けるというのは願ったり叶ったり。牛乳やチーズの価値そのものは、まだまだ伸びると思う。

 

(松永委員)

○生乳の流通についてはある程度自由にできるようになったが、これによって二股販売をして、いいとこどりをする人がいるという話を聞く。流通コストをある程度みんなで負担してきたこれまでの流通が壊れるのではないか。自由な販売は否定しないが、これによって家族経営がつぶれるような流通形態はよくない。酪農家と乳販連が意思疎通を図り、流通を考えるべきではないか。

○国は大規模化を進めるが、大規模経営と家族経営の所得格差が出てくるのは問題。国は家族経営を守ってほしい。

 

(藤嶋委員)

〇増頭に伴う問題は糞尿。環境を考えれば、北海道以外で増頭するのは無理ではないか。熊本では堆肥を使う農家がいない。糞尿をリサイクルするシステムを作る必要があるが難しい。関東においても増頭したくても糞尿処理ができない。これは行政と一体で考える必要がある。

 

(瀧澤氏)

〇後継者教育について、北海道では「北海道酪農人材育成協議会」を昨年立ち上げ、「酪農経営管理者コース」を開設した。経営・財務・労務管理・マーケティング等を学んでいただき、専門人材を育てレベルを上げる塾となっている。

 

(三輪部会長)

〇目下の貿易構造、需要トレンドをみると日本の生乳生産はビジネスチャンスが非常に大きい。一方、単純に増産をすると価格弾力性等に伴い価格が下落してしまう。そこが懸念されているところだと思う。本日は、そこの認識や考え方に地域や立場で違いがあるということがわかった。

〇評価の高いチーズなどは、全く違う次元で取引される。増産すると価格が落ちるので輸入で致し方なし、というわけではない世界観になっている。いろいろな打ち出し方ができて、それが消費者に認められる市場構造になっている。10,20年前とは異なる購買行動が出ている。前向きな議論を引き続きお願いしたい。

 

(以上)

お問合せ先

生産局畜産部畜産企画課

代表:03-3502-8111(内線4893)
ダイヤルイン:03-3501-1083
FAX番号:03-3501-1386

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