このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

平成30年度獣医事審議会第1回計画部会議事録

1.日時

平成30年10月17日(水曜日) 13時30分~16時30分

2.場所

農林水産省第2特別会議室

3.出席者

委員15名  臨時委員5名  合計20名

〔委員〕
伊沢綾子、大塚昭、大橋邦啓、落合由嗣、廉林秀規、金子美香子、川手日出子、柴内晶子、須藤陽子、砂原和文、束村博子、長田三紀、西村亮平、水谷哲也、村中志朗

〔臨時委員〕
安齋了、大屋英樹、岡本真平、落合成年、酒井淳一

4.概要

午後1時29分開会

司会


(砂原部会長)定刻になりましたので、ただいまから平成30年度の獣医事審議会第1回の計画部会を開催いたします。本日の進行を務めさせていただきます砂原でございます。よろしくお願いいたします。初めに、事務局の畜水産安全管理課、石川課長より御挨拶を申し上げます。

あいさつ


(石川課長)ただいま御紹介にあずかりました畜水産安全管理課長の石川でございます。よろしくお願いします。御挨拶の前に、今年は夏場の異常気象に加えまして、豪雨ですとか台風、また北海道胆振東部地震と自然災害が多発しております。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に、まずはお見舞い申し上げたいと思います。それでは、獣医事審議会第1回計画部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。本日お集まりの委員の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず審議会にお集まりいただき、まことにありがとうございます。また、日頃から獣医事行政の推進に多大なる御協力、御理解を賜りましてありがとうございます。この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。

最近の家畜衛生をめぐる情勢、2つばかり御紹介したいと思います。1つ目でございますけれども、先月9日に、26年ぶりとなりますが、岐阜県で豚コレラの発生が確認されております。今月10日をもって全ての防疫措置が終了しました。しかしながら、野生イノシシでの豚コレラの陽性反応の確認が続発しております。野生イノシシ等から養豚農家への感染が拡大しないよう、岐阜県と連携して対応に万全を期しているところでございます。2点目でございますけれども、海外では今年の8月以降、特に中国でございますが、アフリカ豚コレラの続発が確認されております。これらの伝染性疾病の対処には、農場での衛生管理が必要不可欠でございます。この点につきましても、各都道府県を通じまして指導の徹底を図っているところでございます。

それでは、本日は、9月7日の獣医事審議会におきまして農林水産大臣から獣医事審議会に諮問しました、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針について御審議いただくこととなっております。現行の基本方針でございますけれども、後ほど事務方から御説明がございますが、平成32年度を目標年度としまして、平成22年に策定、公表しました。現行の方針策定以降、8年が経過しております。この間、家畜の飼養頭数や犬・猫の飼養頭数が減少傾向となっておりますけれども、産業動物の獣医療に関しましては、当方が支援しております修学資金等の活用によりまして産業動物獣医師の確保を図っているところでございます。ただし、地域によっては獣医師の確保が困難なところがあるという状況でございます。また、小動物の獣医療に関しましては、高度化、多様化が進んでおります。診療技術のさらなる向上が期待されるところでございます。本計画部会におかれましては、このように獣医療をめぐるさまざまな状況を踏まえつつ、今後の獣医療のあり方について御審議をいただきまして、平成31年度中をめどとして、国としての獣医療の提供の確保に関する方向性について取りまとめをお願いしたいと考えております。

委員の皆様方におかれましては、長期間にわたる検討をお願いすることとなりますが、それぞれ御専門の立場を踏まえつつ、活発な御審議をいただくことをお願い申し上げまして、私から、簡単ではございますけれども御挨拶とさせていただきます。

本日はよろしくお願いします。

出欠及び資料確認


(砂原部会長)どうもありがとうございました。なお、報道関係者の方々は、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。それでは、この獣医事審議会の計画部会は、獣医事審議会長の付託を受けまして、獣医療法の第10条に基づく獣医療を提供する体制の整備のための基本方針の策定に関すること、また、獣医師法第16条の2に基づく臨床研修施設の指定に関することについて御審議をいただく部会でございます。本日は、本年9月の委員改選後の新しいメンバーでの初めての開催でございます。獣医療を提供する体制の整備を図る基本方針の見直しにつきまして御審議を願うことになっております。なお、本日は、おおむね16時30分をめどとして審議をしたいというふうに考えておりますので、円滑に進みますよう、御協力、ひとつよろしくお願いを申し上げます。それでは、委員の出欠状況につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

(丹菊課長補佐)事務局を務めます畜水産安全管理課課長補佐の丹菊と申します。本日はよろしくお願いいたします。委員定数20名でございます。現在18名の御出席となってございます。柴内委員及び酒井委員からは、事前に欠席の連絡をいただいております。獣医事審議会令第5条第3項の規定による定足数を満たしていることを御報告申し上げます。

(砂原部会長)ありがとうございました。定足数を満たしておりますので、議事に入っていきたいと思います。次に、配付資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

(丹菊課長補佐)配付資料一覧を御覧いただきながら、資料の確認をいただければと存じます。配付資料、まず議事次第、獣医事審議会計画部会委員・臨時委員名簿。委員・臨時委員の御紹介ですが、先日の獣医事審議会の際に御紹介をさせていただきましたので、本日は御紹介を省略させていただきます。それから資料1、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針についてということで、枝番で1-1、1-2、1-3、1-4、1-5と資料がついてございます。それから、横の資料となります。資料2、獣医事をめぐる情勢。それから資料3、産業動物獣医師確保等の実態把握のための調査結果。資料4、計画部会委員による現地調査報告書、縦書きのものでございます。それから資料5、獣医学生に対するアンケート調査概要。資料6、計画部会での主な論点(案)。資料7、今後のスケジュール(想定)と、参考資料1、2ということで、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、家畜改良増殖目標、鶏の改良増殖目標、獣医事審議会計画部会関係法令、以上でございます。落丁、乱丁等、あと不足等ございましたら、挙手いただきまして事務局にお申しつけいただければと思います。なお、委員限りの資料といたしまして、資料3別紙及び資料8を配付してございます。資料については以上でございます。資料の確認は以上でございます。

議事

(砂原部会長)資料、ありますでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。まず、議事次第(1)の獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針についてでございます。
基本方針については、平成30年9月7日付で農林水産大臣から獣医事審議会宛てに諮問されたところでございます。関係する事項について事務局から説明を願いたいと思います。

(丹菊課長補佐)それでは、資料1、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針について御説明します。資料1を御覧ください。まず、1枚おめくりください。資料1-1でございます。これはまず獣医事審議会の概要ということでございます。獣医事審議会、3つの部会で構成されてございます。試験部会、免許部会、計画部会。試験部会については、獣医師国家試験に関する事務を処理することとされております。それから免許部会。免許部会は、獣医師免許に関して欠格要件に該当する者に対する免許を与えるかどうか等、あるいは行政処分に関する事項を処理することとしております。計画部会につきましては、先ほど砂原部会長から御説明がございました、獣医療提供体制整備のための基本方針の策定または変更、それから臨床研修施設の指定について処理することとされております。1枚おめくりください。資料1-2でございます。ここには獣医療計画制度の概要について記載されてございます。簡単にかいつまんで御説明をさせていただきます。獣医療計画制度の導入背景として、産業動物開業獣医師の高齢化、家畜疾病の多様化・複雑化等を背景として、質・量ともに大きく変化してきた獣医療需要に的確に対応し、畜産業の発展、公衆衛生の向上に資するため、国と都道府県が地域における実態を踏まえて、計画的に獣医療を提供する体制の整備を図るということが求められたという状況でございます。このため、平成4年に獣医療法を制定し、この中で農林水産大臣が獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針を獣医事審議会にお諮りした上で定めて、都道府県は、当該基本方針に即して、地域の実態を踏まえた計画をつくるということでございます。法令上の規定は後ほど御説明をさせていただきます。3番に基本方針の見直しということでございます。農林水産大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更することが規定されてございます。また、基本方針を定め、変更しようとするときは、獣医事審議会の意見を聞かなければならないということとされております。現在の状況でございますが、先ほど石川課長の挨拶にもございましたが、平成22年8月に、平成32年度を目標年度とする第3次の基本方針が公表されてございます。今般、新たな基本方針を作成するため諮問が行われているところでございます。

1枚おめくりください。

獣医療計画制度の仕組みということでございます。まず、国、農林水産大臣が獣医事審議会に諮問をして意見を求めて、その上で基本方針を、右側になりますけれども制定・公表するということでございます。これに基づき都道府県知事が各県の計画を学識経験者の意見を聞いて策定するということですが、その際、基本方針達成のための助言、援助、指導等を行う。それから、各都道府県の獣医師団体、農業団体は、都道府県計画達成のための獣医療の提供・研修等の協力要請を都道府県知事が行うということとされております。それから、都道府県の計画に位置づけられた診療施設の整備計画をつくることができるとされておりまして、それを作成する際には助言等を都道府県知事から行うということとされており、これに関して診療施設の整備の必要な資金の貸し付けが日本政策金融公庫から行われるという仕組みになってございます。国として方針を定めて、各県が計画を定めるといった形となってございます。1枚おめくりください。これは、先日の獣医事審議会におきまして農林水産大臣から獣医事審議会会長宛てに諮問した諮問文でございます。1枚おめくりください。

続きまして、現在の獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針の概要について簡単に御説明します。獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針というのは、定める事項は定められておりまして、この資料で申し上げますと、ゴシック体で書いた1、2、3、4、5、6の項目が法律で定められたこととされており、その内容について簡単に御説明させていただきます。まず、獣医療の提供に関する基本的な方向につきまして定めておりまして、最近の獣医療を取り巻く情勢の変化、それから基本方針の重要事項、産業動物及び公務員分野における獣医療の確保、小動物分野における獣医療の確保、獣医療に関する技術開発、その他重要な事項ということでございます。

続きまして、2の診療施設の整備及び獣医師の確保に関する目標の設定に関する事項でございます。1つ目が診療施設の整備に関する目標ということで、都道府県計画でどのようなことを定めるかについて規定してございます。それから、獣医師確保に関する目標。現行の目標では、都道府県計画では産業動物獣医師について獣医師の確保に関する目標を設定するということとされておりまして、後ほど御説明させていただきますが、各県は、この方針に基づいて産業動物獣医師の確保目標を定めて、それに基づき確保を図ってきたというところでございます。この考え方ですが、目標年度における畜種ごとの飼養頭数または飼養戸数を目標年度における畜種ごとの獣医師1人当たりの年間診療可能頭数または戸数で除した数を確保目標ということとされてございます。また、都道府県に勤務する公務員獣医師についても確保を図ることとするとされており、例えば公務員獣医師等の確保に関して各県が計画で定められているといったところでございます。1枚おめくりください。獣医療を提供する体制の整備が必要な地域に関する事項ということで、都道府県で設定した目標を達成するために計画的な取組が必要と見込まれる地域を設定するということとされております。それから、4といたしまして、診療施設その他獣医療に関連する相互の機能及び業務の連携ということで、地域の実情を踏まえた、例えば組織的な家畜防疫体制の確立ですとか、診療施設・診療機器の効率的利用、獣医療情報の提供システムの整備、あるいは衛生検査機関との業務の連携等に配慮して、獣医療関連施設の相互の機能及び業務の連携を行う施設の内容及びその方針を定めるということとされております。それから、5といたしまして、獣医療に関する技術の向上に関する基本的事項ということで、地域の実情に応じた研修への計画的な参加を促進する等、技術の向上に関する事項を定めることとされております。6といたしまして、その他獣医療を提供する体制の整備に関する重要事項ということで、必要な事項を定めるということとされておりまして、基本方針、次のページに全体の詳細版がございます。必要に応じて御参照いただければと思います。資料1に関する事務局からの説明は以上でございます。

(砂原部会長)ただいま事務局より説明がございました。この件につきまして御意見、御質問等がございましたら受けたいと思いますが、何かございますでしょうか。特にないようでございますので、次に進みたいと思います。制度の全体像について御説明をいただき、続きまして、現在の獣医師、獣医療の状況につきまして御説明を願えればと思っております。資料2、獣医事をめぐる情勢、資料3、産業動物獣医師確保等の実態把握のための調査結果、資料4、計画部会委員による現地調査の報告、資料5、獣医学生に対するアンケート調査概要について事務局から説明を願いたいと思います。これらの資料によりまして、委員の皆様方には、我が国の獣医師の就業状況、あるいは獣医師の確保に関する状況等があらあらお分かりいただけるものと思われます。資料5まで説明をいただいた後で10分間の休憩を設け、休憩後に各委員の方から御意見、御質問をいただき、事務局からお答えいただくという形で進めさせていただきます。

(丹菊課長補佐)それでは、資料について御説明させていただきます。少し長丁場になりますので、お付き合いいただければと思います。まず資料2、獣医事をめぐる情勢。1枚おめくりください。
この資料は、獣医師法第22条の届出をもとに獣医師の就業状況を我々が把握しているところでございますが、そのもとに資料を作成してございます。まず、全体の状況について御説明いたします。
獣医師の活動分野はさまざまな分野がございます。左手を御覧ください。(ア)といたしまして産業動物診療、具体的には家畜や家きんの診療に従事している方々ということでございます。それから、(イ)は公務員。家畜伝染病の予防や蔓延防止などの農林水産分野、あるいは食肉検査などの公衆衛生分野、動物の愛護・管理などに従事する方々がこの公務員分野であります。それから小動物診療。犬、猫等のペットの診療に従事するといった方がこの分野でございます。その他の分野といたしまして、大学の教員、動物用・人体用医薬品の開発、海外技術協力などに従事している方々でございます。それから、獣医事に従事しない方。無職の方も含めて獣医事に従事していない方、これらと別の分野にいらっしゃる方について整理をしてございます。具体的な人数でございます。獣医師全体が3万8,985名で、うち活動獣医師が3万4,536名で、無職を含む獣医事に従事していない方、4,449名でございます。うち産業動物の診療獣医師が4,710名、割合としては11%で、公務員のうち農林水産分野が3,409名、割合といたしまして8.7%、公衆衛生分野に従事する方が5,430名、割合として13.9%、その他の公務員の方々が511名、1.3%。それから、小動物診療に従事されている方が1万5,330名、39.3%。その他の分野が5,586名、14.3%で、ちょっと繰り返しになりますが、獣医事に従事していない方が4,449名、11.4%ということになってございます。次のページを御覧ください。これは1986年、昭和61年から平成28年、2016年までの獣医師法第22条届出の推移、分野別の経年変化を見たものでございます。グレーのグラフが棒グラフ軸ということで全体の人数を、折れ線グラフのほうが分野別の人数の推移を示したものでございます。実は、例えば2004年から2006年にかけて急激に数字が伸びておりますが、これは届出の中で把握しているということでございますので、この間に獣医師が急激に増えたということではございませんので、そのあたりを御留意いただければと思います。昭和61年には小動物の診療の獣医師と、緑の線の産業動物診療獣医師、ほぼ同数であったといった状況でございました。それ以降、小動物診療獣医師はどんどん増えていく中で、産業動物診療獣医師は横ばい、ないしは減少といった傾向にございます。それから、農林水産分野の公務員獣医師は4,000人から漸減といった状況にございます。それから、獣医事に非従事の方々、無職等の方々が徐々に増えていっているという状況にございます。1枚おめくりください。続きまして、獣医師法第22条の届出の解析(イ)ということで、男女別の就業比率はどうなっているのかということについて整理した表でございます。平成28年12月31日現在、公務員の農林水産分野の男性比率が67%、女性が33%、公衆衛生分野の比率が男性59%、女性41%。産業動物診療では男性87%、女性が13%。小動物診療では男性が67%に対し女性が33%。その他の分野につきましては男性73%に対し女性が27%で、獣医事に従事していない方について男性が78%、女性が22%。それで、就業比率で見ますと、女性の就業比率が最も高いのは小動物診療なんですが、その次に多いのが公務員の公衆衛生分野といったようになっているということで、こういう形で分野ごとの女性の比率について整理をさせていただいています。それから、4ページ目、次のページを御覧ください。続きまして、男女別、年齢別の構成がどのようになっているかということについて整理をさせていただいております。公務員(農林水産分野)においては、男性の60歳前後がピークになっていて、その後、定年の関係もございまして急激に減少しているという状況にございます。女性につきましては40代中盤から下の年齢の方については一定のボリュームがあるということでございます。それから、産業動物診療に関していいますと、男性で60歳前後の方が1番多い。他方、女性のほうは若い方、30代より下の方のボリュームが多い。小動物診療でございますが、このような男女とも50歳前後、男性では50歳前後をピークとしている。女性のほうは40歳少し上あたりをピークとした分布になっているということでございます。それから、その他の分野(教員・民間会社)でございますが、60歳前後がピークになっていて、若い方、30歳以下のところにも山が見られるといった状況で、男性ではそのような状況でございます。それから、女性に関していいますと、45歳以下のあたりが一定のボリュームがあるという状況でございます。それから、獣医事に従事しない者(無職等)ということでございますが、これは会社の定年等があるという事もございまして、60歳以降急激に増えている。一方で、男性も女性もあるんですが、60歳以下の方でも獣医事に従事していない方が一定程度いるということで、獣医師全体の状況としては右下の分布の状況であるということでございます。これを見ますと、50歳以下につきましては男女ほぼ、かなり人数的には近い状況にあるということでございます。もう少しそれが具体的人数が分かるようなもので整理したのが解析(エ)でございます。ここに示させていただいているのは、2006年と2016年、つまり今から10年前と現在、平成28年になりますが、その比較ということで、どのように変化したかということが分かるように整理をさせていただいております。公務員(農林水産分野)に関していいますと、20代、30代に関しては10年前も現在も男女比はかなり拮抗しているということでございます。40代以上になりますと、過去は、10年前は女性の比率が低かったのが、現時点ではかなり40代の方が女性も増えている。これは10年前の年代がそのままスライドしているということでございますので、そのあらわれかなということでございます。産業動物診療に関して申し上げますと、50代以降は女性がほとんどいないのに対し、40代以下に関しては女性が一定程度いるんですが、最近になって女性の比率がかなり高まっているという状況にございます。それから、小動物の診療でございます。小動物診療につきましては、10年前と現在と比較して、それほど大きな傾向に差はないようですが、50代、60代になると若干女性の比率が低く、また従事者についても減少しているという状況でございます。その他の分野(教員・民間会社等)ということでございますが、現時点では20代、30代、40代とも女性が3割、4割といった状況でございます。10年前はそれよりずっと低い、少ないという状況にございます。それから、獣医事に従事しない者を具体的に整理しますと、やはり30代、40代あたりで女性の比率が高いということで、これは妊娠、出産等で御退職された方なりがいらっしゃるのかなということが伺えるということでございます。獣医師全体の現在と10年前の状況について整理したものが右下の表でございます。

続きまして、都道府県別の状況について御説明させていただければと思います。まず、1番分かりやすい真ん中の小動物診療をちょっと見ていただければと思います。小動物診療は、東京、神奈川、愛知、大阪等々人口密集地、人口が多い県で多いということでございますので、これはおおむね人口の多いところで開業されている方とか勤められている方が多いのかなといったことが伺えるということでございます。それから、左に移っていただきまして産業動物診療、北海道は1,000人を超えてございますが、やはり家畜畜産が盛んなところ、鹿児島、宮崎もそうなんですが、そういうところが多いということでございます。それから、1番右の都道府県の公務員分野、これは産業動物診療ほど都道府県ごとの差が大きくはないんですが、ここでも家畜保健衛生所の獣医師が中心になりますので、やっぱり畜産県で、北海道ですとか鹿児島ですとか、そういうところが比較的多いということでございます。これ、都道府県の公務員だけにしたので、例えば東京ですと我々のように国家公務員の方とか、そういう方も含まれておりますので、畜産の実態としてはかけ離れているということがございますので、ちょっとこういう形で整理をさせていただいております。それから、次の資料、7ページをおめくりください。いわゆる動物病院なり家畜の診療所を開設した場合には、獣医療法に基づいて届出をすることになってございます。これは各都道府県から届出の状況についてデータをいただいて、これについて整理をしたものでございます。産業動物の診療施設、これは従事者にも関係あるんですが、北海道で500を超える施設がある。また、鹿児島でも200を超える施設があるということでございます。それから、小動物等の診療施設でございますが、これは先ほどの小動物の獣医事状況に比較的近い分布となってございまして、東京、神奈川、埼玉、大阪等々、人口が多いところで多い傾向にあるということでございます。1枚おめくりください。この獣医療法第3条の届出、平成19年と29年の比較ということでございます。これは10年前に比べてどれぐらい飼育動物診療施設が増えたか、減ったかということについて整理させていただいているということで御理解いただければと思います。産業動物の診療施設、北海道、千葉等々で10年間で増加をしているということでございます。北海道では農業共済組合が多くの診療シェアを持っているということでございますが、農業共済組合をお辞めになって開業される方がそれなりにあるということを見聞しておりますので、そういうことが影響しているのかなと。他方で、10年間で減少しているところを見ますと、長野、岩手、宮城といったところがございますが、これは同じように農業共済組合の診療所の統廃合、あるいは開業の産業動物獣医師の方が御高齢になって廃業なりをされているということと関連があるのかなというふうに考えております。それから、小動物等の診療施設の増減につきましては、やはり東京、埼玉、大阪等々で増えている。これらの人口が多いところで御卒業された方、ないしは卒業されてしばらく勤務医だった方が開設をされるという傾向にあるのかなというふうに考えてございます。1枚おめくりください。少し視点を変えて、獣医師国家試験について簡単に御説明をさせていただきます。過去10年間の主な変更点ということで、平成20年度から29年度ということでございます。2010年から適用したものといたしまして必須問題の導入ということで、これは獣医師の社会的側面や倫理的側面に関する問題、あるいは獣医師の職務、権限等に関する法律に関する問題、あるいは飼育動物の診療や公衆衛生に関して重大な影響を与える、例えば口蹄疫ですとかBSEとか、そういうものに関する重要な、かつ基本的な問題を出すということで必須問題が導入されたということでございます。それから、2016年から見直しがございまして、これは獣医学教育の充実を図るため、全国統一の獣医学教育モデル・コア・カリキュラムが定められて、その中で科目の追加・細分化が行われたということを踏まえて、獣医師国家試験についても見直しを行ったということでございます。それから、新たな疾患が教育の対象とされていること、また、疾患名について、科目によっては表記が異なっているので、用語集等々を参照して疾患名の統一・追加が図られたということで、見直し等を行っているということでございます。それから、過去10年間の試験の受験者数、合格者数を整理してございます。若干合格率が上下してございますが、おおむね80%前後に推移しているということでございます。合格者は毎年度1,000人、あるいは1,000人を切るときもありますけれども、そういう水準になっているということでございます。10ページ目を御覧ください。獣医大学の卒業生の進路について、各大学に聞き取りによって調査をさせていただいております。これは平成29年3月の卒業生ということで調査させていただいております。公務員(農林水産分野)は106名、公務員(公衆衛生分野等)で75名、産業動物診療には94名、小動物診療445名、会社等103名、その他(大学院進学)等は111名、未定・不明、この中には国家試験に不合格だった方も含まれるというふうに考えております。男性、女性の比率を申し上げますと、公務員(農林水産分野)は男女ほぼ同数、同じような傾向にございます。公衆衛生分野では、むしろ女性のほうが69%で多い。産業動物診療は4割が女性、小動物診療は53%が女性、会社等は43%が女性、その他大学院進学が37%が女性、未定・不明は、これは約半々となってございます。これを見て特徴的なのは、公衆衛生分野の公務員に行かれる女性の比率が結構高いのかなというような傾向にあるということです。続きまして、獣医大学卒業生の進路について(イ)ということで、これは過去10年ほどの変化を捉えたものでございます。男女別区別はしてございませんが、卒業者の合計と、これは絶対人数でございますが、小動物の診療に行かれる方が若干減少傾向にあるのかな、ただ、ここ2年ぐらいは増加している。他の分野でございますが、例えば緑の線の産業動物の診療に関してはほぼ横ばい、それから、公務員(農林水産分野)については若干の増といった傾向にあるということでございます。それから、獣医学生の出身地と就職先ということでございます。これも獣医系大学に聞き取りをした状況でございますが、まず出身の都道府県。これは赤いところに着目していただけると、やっぱり獣医学生さん、出身県はどこですかと聞くと、東京、大阪、愛知、埼玉、神奈川、千葉といった人口が比較的多いところ、その次に北海道という形でございます。一方、就業先、就職先について確認しますと、100名以上いっているところにつきましては、例えば東京都、それから神奈川、北海道が50名以上100名未満といったことで、この濃い40名以上50名未満のところを見ますと、やはり人口が多いところ、これは小動物の分野に就業される方の傾向にある程度リンクしているのかなという感じがしますが、そういう傾向にあるという状況でございます。それから、次のページを御覧ください。続きまして、出身地、大学所在地及び就職先の関係を御紹介をさせていただきます。まず右上のところを御覧ください。獣医学生の大学の所在地と就職先の関係ということでございます。まず大学所在地の都道府県に就職した方、どれぐらいいるかなということでお聞きしていると、約2割。大学所在地以外の都道府県以外に就業した方が約8割といった状況でございます。それから、逆に左側、獣医学生、出身都道府県と就職先の関係ということを見ますと、出身都道府県に就職した方は、大学の所在地よりは多くて38%、出身都道府県以外に就職した方は62%。

では、地域、いわゆるブロックごとで少し考えてみるとどうなのかなというふうに見ますと、出身した地域に就職した方は全体の6割を超えているといった状況にあるということでございます。これを見ますと、当然個々の方々がいらっしゃるので一概には言えないんですが、大学所在地と就職先はあまりリンクがないけれども、出身都道府県、出身地域と就職先は一定の関連があるのかなということは言えるのかなというふうに考えてございます。1枚おめくりください。それから、当省で措置しております産業動物獣医師の修学資金の活用状況ということでございます。赤いところが1番多い。これは宮崎県ですが、それ以外に次に多いのが群馬県ということで、平成23年から国の事業として実施しておりますが、これまでにかなりの人数がこの制度を今活用していただいているというところでございます。1枚おめくりください。処遇改善についてということでございます。これは全国家畜衛生職員会の会報から、ちょっと借用させていただいております。都道府県では、農林水産分野の公務員獣医師の確保対策の一環として初任給手当等の処遇改善を実施しているということで、初任給の調整手当の導入状況でございますが、平成21年は17の都道府県が導入していたのが、平成30年には33の都道府県が導入されている。このやり方、パターンとして2つございまして、例えばA県では初年度3万円、10年目まで据え置きで11年目以降5,000円ずつ減額といった、10年目まではある程度額を確保する。B県のほうは初年度3万5,000円なんですけれども、2年目以降2,000円ずつ減額といった形で措置をされている。大きく分けてこの2つのパターンがあるという状況でございます。それから、この初任給調整手当のほかに、例えば家畜保健衛生所の業務手当ですとか給料の調整額、これは調整額の基本額に調整数というものを掛けて算出して、それを本俸に加算すると、そういうことで処遇をしているということでございます。資料2の説明は以上でございます。

すみません。私からの説明がしばらく続きます。よろしくお願いいたします。

それから、続きまして資料3ということで、これは各県に御協力いただきまして、産業動物獣医師確保等の実態把握のための調査ということで、昨年の10月に実施させていただきました。調査目的は、この検討に向けて、現在の都道府県計画の検証の一環として産業動物獣医師の確保状況を調査したものでございます。どのようなことを調査したかと申し上げますと、産業動物診療獣医師及び農林水産分野の公務員獣医師の確保状況、それから、産業動物獣医師の確保と獣医療にどのような影響があるか。それから、産業動物診療獣医師、公務員獣医師の確保に関する現場の事例、対応及びそれに対する生産者等の要望ということで調査をさせていただいております。調査の結果の概要、最初にこれを御説明してしまうのもと思いつつ、概要を御説明しますと、各県は獣医師確保に向けた取組を進めている。一方、県によっては、退職者に応じた職員を確保できないことなどにより、現状の産業動物獣医師数は平成32年度の確保目標数を達成していないところがあるという状況でございます。それから、家畜診療や家畜保健衛生所の業務への影響などが生じているとした県においては、業務上の工夫を行うことにより影響を抑制しているという状況でございます。それから、産業動物獣医師の確保目標が未達成であっても業務への影響等が生じていないとする県がある一方で、確保目標が達成されているんだけれども業務への影響等が生じているという県もあるということで、状況はさまざまということでございます。1枚おめくりください。まず、これ、目標期間は平成32年ということでございますが、調査が昨年の10月ということでございますので、29年4月現在ということでお考えいただければと思いますが、その時点の確保目標が達成しているか、達成していないかということでお聞きしております。産業動物獣医師、これは診療所獣医師ですね。いわゆる家畜共済ですとか開業獣医師の獣医ですが、目標を設定するということをお願いしているんですが、この目標を設定している41の道府県のうち、確保目標を達成しているのが18府県で、未達成は23府県ということでございます。それから、農林分野の公務員獣医師の確保目標を設定して、24県のうち確保目標を達成しているのは10県、未達成14県ということでございます。ここに佐賀県は平成30年3月に計画を策定して、この調査の時点ではまだ計画を策定していなかったということで、未策定というふうにさせていただいております。今、これ、赤と青で達成、未達成が分かるようにしているというところでございます。次のページをおめくりください。実際に、じゃ、その確保を達成している、していないというものは、白か黒かしかないんですが、確保目標の達成割合、つまりどれぐらいの割合で達成できているか、できていないかということで、その調査をしたところでございます。マイナス10%以下というところで、要は達成率の低いところを見ますと、産業動物診療獣医師というのは東北、北陸、九州南部で達成率の低い県があるということでございます。それから、農林分野の公務員獣医師については、半数の都道府県で確保目標未設定ということで、ちょっと白抜きが多い状況にはございますが、ここに示したような形になってございます。なので、産業動物診療獣医師、青いところで結構達成しているところもあるということではあるんですが、赤になっていて達成できないところがある。同じく農林分野の公務員獣医師も同じような形というふうになってございます。

じゃ、その達成できている、達成できていないが、実際の病気の発生とか、それらに影響があるのかないのかということについて調査させていただきました。事故の発生状況、これ、牛を代表に、要は家畜共済の加入率が高いということがございまして、牛が1番調べやすいということもございました。産業動物獣医師不足により、獣医療上の影響が生じているか確認する指標として、農業共済に加入している乳用牛の難産と第四胃変位による死廃、それから肉用牛の難産における死廃の県ごと、年ごとの発生率について調査させていただいております。これを見ますと、例えばグラフが青、これは1つのグラフの線が1つの県というふうにお考えいただければと思います。確保目標を達成している県が青の線で、未達成の県は赤の線といった状況になってございます。乳用牛の、例えば難産の発生率を見ますと、達成している5県であっても高い県もありますし、未達成であっても低い水準にある。第四胃変位ですと、達成しているところがむしろ高くて、もちろん低いところもあるんですけれども、未達成のところが高いとも限らない。肉牛でいいますと、達成していない県が高い傾向にはあるんですが、達成している県が必ずしも低い、全てが低いかというと、かなりでこぼこがある。データのばらつきの関係がございまして、乳用牛、肉用牛の飼養頭数の上位のところを選んで、ちょっとこうやって整理をしていますので、これを見ると、この上の囲みの中の1番下の2ポツにありますとおり、上記2つの事故の発生率について、確保目標の達成状況によって差が生じているとは言えないのではないかなというのが我々の見立てでございます。次のページを御覧ください。これは客観的な数字ということで聞いておりますが、まず産業動物診療獣医師の確保と獣医師への影響ということで、産業動物診療について、まず家畜共済加入頭数の牛難産や第四胃変位による死廃事故、(イ)として家畜伝染病及び届出伝染病の発生について、獣医師が確保できている、または確保できないことにより影響が生じているかについてアンケートを行っております。これ、影響がないというふうにした都道府県は3分の2でした。ただ、影響がある、なしというのは何をして答えるかというのはちょっとあるんですが、業務の増加により時間外勤務を行っている等の影響があるというふうにお答えになっている県があるということで、結局影響がないとした県であっても、休日出勤や診療外業務の縮小により影響を抑えている。あと、影響があるんだけれども、家畜疾病の発生件数が増加している状況ではない。先ほどのグラフを見ていただければ分かると思うんですが、獣医師が確保できていないからといって病気が増えているというふうには皆さんお感じになっていないというような状況でございます。影響がないとした都道府県が約3分の2ございまして、これは青く塗ってございます。それから、影響があるとした都道府県が16ございまして、これは赤く塗ってございます。どのような具体的な御意見をいただいているかといいますと、影響がないとした都道府県からの主な意見として、現時点では影響がないが、産業動物診療獣医師の高齢化により、今後影響が出る可能性が否定できない。また、一部地域では産業動物獣医師は不足しているが、診療外業務の縮小とか、時間外勤務や休日出勤などで疾病の発生は抑えられていますよと。それから、産業動物診療獣医師が減少しているけれども、農家戸数・飼養頭数も減少しているといった声、それから、疾病の発生と獣医師不足は直接リンクするものではないと考えると、そのような御意見もいただいております。それから、影響があるとした都道府県について、家畜疾病の発生に大きな影響はないが、産業動物診療獣医師1人当たりの業務が増加し、時間外勤務や休日出勤で対応している。また、勤務ローテーションや夜間・休日当番の編成に苦慮している。疾病治療以外の繁殖指導に時間をかけることができず、繁殖成績の低下が見られる。あるいは、産業動物獣医師の確保目標は達成しているものの、高齢化が進んでおり、今後影響が生じる可能性があるといった御意見をいただいております。続きまして、農林水産分野の公務員獣医師の確保と獣医療への影響といったことでアンケートをとらせていただいています。農林水産分野の公務員獣医師については、例えば家畜保健衛生所における立入検査、病性鑑定検査について、獣医師が確保できている、または確保できていないことによる影響が生じているかについてアンケートを行いました。その結果、影響がないとした都道府県は約3分の2であった一方、業務の増加による時間外勤務を行っている等の影響があると回答した都道府県がございました。先ほどの診療の分野も同じなんですが、影響がないとした都道府県においても意見を拝見したところ、時間外勤務の増加や非常勤職員への業務委託の増加により影響を抑えているということ、また、影響があるとした都道府県においても、立入検査や病性鑑定に対して対応しているということに留意するという必要があるかなと。実際に塗り分けを見ますと、影響があるとした都道府県は、この赤く塗られているところ、影響がないとした都道府県は約3分の2ございまして、青く塗られているところでございます。先ほどと同様、都道府県からの主な御意見について御紹介させていただきますが、欠員が生じているが、業務縮小・時間外勤務の増加・非常勤職員の活用により、影響の発生を防いでいる。畜産振興業務に携わる獣医師を減らし、防疫業務に振り分けるなどを行い、影響を最小限にしている。現時点で影響はないが、若手職員が少なく、今後影響が出る可能性は否定できない。立入検査や病性鑑定は、獣医師不足によって件数を減らすものではないため、影響がないとしたが、職員1人当たりの負担は増加しているといった意見が影響がないとした都道府県から出されております。それから、影響があるとした都道府県からの主な御意見として、家畜伝染病発生時に、家保の職員のみでは対応できず、他部署の獣医師に対応を依頼することになった。立入検査や病性鑑定等を実施するため、時間外勤務が増加。また、早急に結果を求める病性鑑定の場合について、これは急ぐ場合ということですが、検査の都合がつかず断る場合があった。それから、家保の業務が多様化しているが、定数増加が認められないため、1人当たりの業務が増加。さらに育休職員が増加し、非常勤職員等で対応しているものの、勤務時間の制限があるため、正規職員への負担が増加といった意見をいただいております。実際に次のページで確保目標の達成状況と獣医療上の影響の有無についてマトリックス形式で整理をさせていただいています。これ、冒頭御説明をさせていただきました、産業動物獣医師の確保目標が未達成であっても業務への影響等が生じていないとしている県がある一方、確保目標が達成されているが業務への影響が生じているという県があるなど、状況はさまざまということでございます。具体的にどこが達成して、影響がある、なしをおっしゃっているかということの整理をさせていただいております。続きまして現場の対応。実際に影響を生じている、生じていないについてどんな対応をしているか、どういう状況になっているかについて、各分野ごとについて御説明をさせていただきます。8ページでございます。現場の事例と対応(都道府県農林水産分野)でございます。現場の事例として、例えば飼養衛生管理の遵守状況の確認とか、鳥インフルエンザの発生時の危機管理対応が優先されるということで、生産性向上対策に取り組むことが難しい。畜産農家と十分なコミュニケーションがとれない。解剖後に組織検査を含む病性鑑定の回答に時間を要している。少人数の職員で現場対応するため、職員の安全面に不安がある。職員の1人当たりの負担が増加。技術を継承する時間の確保が難しい。待遇や職場環境の改善が必要。獣医師の不足感があるかどうかについても回答を求めていますが、この獣医師の不足感があるといった回答をしたところでは、これは選択式で回答を求めたんですが、「退職者等に応じた職員を十分確保できていない」という回答が最も多かったということでございます。これらの事例に対してどうやって対応しているかということで、再任用職員や非常勤職員の活用。それから、新規の採用活動の強化、初任給調整手当の処置。獣医師以外の者が実施可能な業務、検査とか飼料指導、人工授精等を他の畜産職や一般職員が実施している。開業獣医師を家畜防疫員に任命し、調査の協力を依頼。それから、若手職員の育成を目的とした技術研修やサポート職員制度により早期離職を防ぐということでございます。これ、参考でございますが、獣医師の不足感を感じていないところはどういうような御意見があったか、不足感を感じていない理由で何がありますかと聞いたところ、定数を採用できている。それから、業務の効率化等で対応可能な状況。欠員が生じた場合、臨時職員を早急に確保できているというようなことが理由として挙げられました。

それから、続きまして市町村、現場の対応ということで、同じように現場の事例、何が起こっているかということでございます。動物の愛護業務や普及啓発業務の体制強化が難しいとか、動物愛護業務が増えている。市職員が診療を実施しているが、夜間・休日等の緊急的な往診依頼への対応が難しい。獣医師の配属先が限られるため、業務へのモチベーションが落ちている。先ほどと同様に、不足感があるかないかについても選択式で回答を求めておりますが、ここもやっぱり退職者等に応じた職員を十分に確保できていないという回答が最も多かったということでございます。現場の事例の対応として、再任用職員や臨時職員を採用し、欠員補充ですとか、新規採用活動強化、初任給調整手当の支給といった、先ほどの都道府県と同様な対応がとられているという状況でございます。それから、獣医師の不足感を感じていない場合の理由として、おおむね定員数を採用できているというのは先ほどもありましたが、やっぱり飼養頭数が減少している。飼養頭数に見合った獣医師は確保しているといった声もあったということでございます。1枚おめくりください。農業協同組合。これ、全ての都道府県じゃないんですが、農業協同組合に診療獣医師を置かれているケースがあるということもございまして、そこについて聞いております。事例として、組合に所属している獣医師が退職すると、診療に従事する獣医師がいなくなってしまう。卒後教育を受ける時間がない。これ、多分体制で人数が多くないということだと思いますが、スキルアップが難しい。それから、これに関連するんですが、休日出勤の振替休日が取得できない。これもやっぱり獣医師の不足感について回答を求めているところですが、その不足感があるといったところ、これもやっぱり退職者に応じた職員を確保できていないというのが最も多かったという状況でございます。それから、現場の事例への対応として、診療業務の縮小。それから採材・検査等を外注。再任用職員や臨時職員の活用。個人開業獣医師や農業共済組合との連携ということも対応としてある。それから、やっぱり新規採用活動の強化をするということも対応としてある。獣医師の不足感を感じていない場合。これは限られた業務のみ実施しているという農協が増えているということだと思います。続きまして、現場の事例と対応。これは、産業動物診療のかなりのウエイトを占めている農業共済組合について各県から聞き取っていただいております。現場の事例としてどのようなものが挙げられているかといいますと、急患への対応が難しい。畜産農家と十分なコミュニケーションがとれない。農家戸数・飼養頭数減少、制度改正により診療所の経営が悪化。収支改善が求められる中、人員増が困難。それから、卒後教育を受ける時間がなく、スキルアップが難しい。診療が優先されるため、乳房炎の発生防止や繁殖管理指導など損害防止への取組が難しい。長距離の移動や休日出勤により、職員に負担。インターンシップ等の受け入れが難しくなっている。それから、同じように不足感の有無について回答を求めたところ、業務多忙により残業・休日出勤で対応、または退職者に応じた職員を確保できないとの回答が多かったということでございます。次に、人員不足で農家の依頼から診療までに時間を要しているというのが多かった。現場の事例への対応。やはり採用の強化とか、再任用職員とか臨時職員の活用。あと電子カルテの導入による業務の効率化。それから診療所の統廃合による診療所当たりの人員規模の拡大ということと、あと、採用できていないことと関連があるんですが、待遇の改善を検討。それから、人数が限られていることで業務の縮小を検討。獣医師の不足感を感じていない場合は、採用ができている、あるいは飼養頭数が減少している、それから、限られた業務で従事させているといった理由が挙げられているということでございます。それから、民間産業獣医師に対して都道府県から現場の事例を確認していただいたところ、やはり獣医師1人当たりの往診範囲が拡大し、急患への対応が困難。診療が優先されるため、飼養管理指導や乳房炎の発生予防や繁殖管理指導など損害防止への取組が困難。長距離移動、夜間・休日出勤による負担がある。業務多忙により、スキルアップが難しい。不足感の有無について回答を求めたところ、業務多忙により残業・休日出勤で対応ということが不足感があるというふうに感じられた理由となっているということでございます。それから、現場の事例への対応として、他の診療所との連携。それから診療の効率化(エコー、電子カルテ)の導入を実施または検討。予防指導により、できるだけ疾病発生─これは診療してなんぼではなくて、予防指導によって診療を減らしていくという考え方で対応している。それから、休日出勤の増加で何とかしのいでいる。それから採用活動の強化ということが挙げられている。不足感を感じていない場合は、NOSAIと連携としてやっていますよということと、農家戸数・飼養戸数の減少がここでも挙げられているということでございます。

次に、今度は生産者の方々にどういうことが起こっているかという、生産者の側から見た獣医療という観点で調査を行っております。現場の事例として、例えば繁殖指導が不十分、または積極的な治療が行われず、空胎期間が長期化する。獣医師1人が広範囲をカバーしているため、診療を依頼してもすぐに来られなくて症状が悪化した事例がある。獣医師によって診療技術にばらつきがある。診療で手いっぱいとなり、損害防止や衛生管理指導が不十分。獣医師不在時、または獣医師自身の病気により長期に診療ができなくなった場合、代替の獣医がいない。同じように、やっぱり生産者の人にも獣医師の不足感はありますかと聞いたところ、獣医師の不足感があるとしたところでは、その理由として、診療等を依頼してもすぐに来ないという回答が最も多かった。その他として、獣医師の高齢化とか獣医師の業務多忙、繁殖指導が不十分。ニーズとして繁殖指導をしてほしいというニーズがあるということだと思いますけれども、そういうことが挙げられているということで、このような状況に対して獣医療に対する要望として乳用牛農家の方が挙げられているのは、獣医師の確保、労働環境の改善とか後継者の育成。あるいは時間外の診療体制や地域の獣医師が連携できる体制の整備。飼養管理の指導等、予防診療への対応。それから技術の向上ということで、疾病の早期発見、酪農家への繁殖管理指導、人工授精の実施、妊娠鑑定でのエコー利用ということをお求めになっているという状況であります。獣医師の不足感を感じていない方々は、その理由としてどういう理由がありますかと聞いたところ、おおむね希望どおり往診や検査に応じてもらっている。夜間診療もちゃんと対応しています。経営等も相談できる獣医師がいます。具体的に不利益をこうむったことがない。地域的には不足というところもあるけれども、全体としては不足していないというお声があるということでございます。続きまして、肉用牛農家にも同じように県から聞いていただいています。現場の事例として、繁殖指導が不十分。積極的に治療がなされず、空胎日数が長期化する。獣医師1人が広範囲をカバーしているので、診療を依頼しても来られない。急患の症状等の悪化の事例がある。種つけなどにタイミングよく来られない。これは遠距離とか人がいないということに関係あると思います。それから、診療で手いっぱいとなり、損害防止や飼養衛生管理指導が不十分。獣医師の不在時、また獣医師自身の病気等により長期に診療ができなかった場合、かわりがいない。先ほどと同様でございます。それから、獣医師が忙しく診療を依頼しにくい。また、相談する時間がない。不足感がありますかと回答を求めて、不足感があると回答したところについては、診療等を依頼してもすぐに来ないという回答が最も多いということでございます。獣医療に対する要望ということで、獣医師の確保。労働環境の改善、社会的地位の向上、後継者の育成といったことが挙げられております。時間外の診療体制や地域の獣医師が連携できる体制をつくってほしい。飼養管理の指導、予防診療への対応をしてほしい。先ほどもございましたが、技術の向上をしてほしいということですね。それから、不足感を感じていない場合の理由として、おおむね希望どおり診療や検査をしているとか、休日・夜間診療に対応している。牛の導入時の予防診療が充実している。具体的な不利益をこうむったことがない等々、また、肥育農家は獣医師に依頼する機会が少ないという、こういう回答もあったということでございます。次、養豚生産者。またちょっと牛の生産者と声が変わって、現場の事例としてある事項が違いますので、御紹介させていただきます。現場の事例として、迅速な検査対応ができていない。疾病蔓延防止のため、1日1農場のみしか立ち入りできない。これは衛生管理の観点からということで、診療が後日になることがある。県内に養豚獣医師がいないということで、県外の獣医師に依頼せざるを得ない。それから、衛生管理に関係する事項ですけれども、農場HACCPやJGAPについて相談ができる方がいないというふうな状況。不足感の有無について回答を求めたところ、不足感があるなというふうにお答えしたところで、技量の高い獣医師が少ないとか、衛生管理を相談できる獣医師がいない。これは豚特有の状況なのかなというふうに考えてございます。その他としても、診療以外の相談ができる獣医師がいない。多分、養豚農家が獣医師に求める観点と、乳用牛、肉用牛の生産者が獣医師に求めるものがちょっと違うのかなというのが、ここでちょっと明らかになったのかなというふうに考えてございます。獣医療に関する要望として、養豚専門の獣医師の育成、家保への配置。予防診療や繁殖管理、経営等のコンサルティング可能な管理獣医師の育成。農場への巡回指導の回数を増やしてほしい。疾病情報の共有化、獣医師同士の連携強化。やっぱりこれも養豚農家特有のものだと思いますけれども、行政、いわゆる家畜保健衛生所と管理獣医師の連携強化。家畜保健衛生所ですとか食肉衛生検査所ですとか、そういうところとの連携を強化してほしいというお声もあるということでございます。獣医師の不足感を感じていない場合の理由として、契約している管理獣医師や飼料・製薬会社の獣医師で対応できている。それから、養豚農家が少ないのでと、多分これは生産者というよりは県庁さんのお声だと思いますけれども、家保の巡回指導も充実しているという、一方でそういうお声があるという状況でございます。今度は、また畜種をかえて肉用鶏農家。現場の事例として、やっぱり相談できる養鶏専門の獣医師がいない。治療ではなく、予防的指導をできる獣医師がいない。不足感の有無について回答を求めたところ、そこはやっぱり技量の高い獣医師がいない、または衛生管理等を相談できる獣医師がいないとの回答が多かったということでございます。その他として、獣医師の高齢化、養鶏専門の獣医師がいないとか、そういうようなお声もあるという状況です。獣医療に関する要望でございます。養鶏専門の獣医師の育成、疾病発生の原因、対策の相談ができるようにしてほしい。獣医師の社会的な地位向上。それから、管理獣医師指定、これは飼養衛生管理基準に基づく獣医師を置くということをされているということなんですが、飼養管理に精通した家保の対応を期待するという声もあったそうです。獣医師の不足感を感じていない場合、その理由として、契約している管理獣医師や飼料・製薬会社の獣医師で対応。家保が対応できている。獣医師の診療が必要となる機会が少ない。これはまた肉用鶏特有のことかなというふうに考えております。最後になりますが、採卵鶏の農家の現場の事例でございます。これもやっぱり先ほどの肉用鶏と同様なんですが、養鶏専門の獣医師がいない。他県の獣医師や飼料会社の獣医師に相談している状況。家保以外に相談できる獣医師がいない。獣医師の不足感があるとしたところでは、やっぱり技量の高い獣医師がいないとか、養鶏専門の獣医師がいない等の声があるということでございます。獣医療に関する要望として、養鶏専門の獣医師の育成。医薬品に頼らない飼養衛生管理指導。獣医師の社会的地位の向上。先ほどの肉用鶏の生産者からの要望でも同じですが、管理獣医師の指定の見直しをしてほしいという声があります。獣医師の不足感を感じていない場合は、その理由として、これも先ほどと同様ですが、契約している管理獣医師や飼料・製薬会社の獣医師で対応、家保が対応できている、獣医師の診療を依頼する機会が少ないということでございます。少し長くなりましたけれども、資料3については以上でございます。すみません。一応大体3時ぐらいには休憩に入れるように、ある程度御説明をさせていただきたいと思います。

続きまして、資料4を御覧ください。これは、今年の1月30日、31日で、我々事務局と、この3のところの調査参加者、獣医事審議会元委員の神田敏子委員と、あと、今日御欠席の酒井臨時委員とともに長崎県に調査に行ってまいりました。行った場所は、3の(3)長崎県の農林部畜産課でヒアリング、それから長崎県の中央家畜保健衛生所、ここでもヒアリングをしております。それから、3の(6)の長崎県農業共済組合連合会、ここでもヒアリングをしているということでございます。長崎県は獣医療計画を立ててございまして、どういう状況かといいますと、まず長崎の特徴として離島が多い。離島が594あって、長崎県全体の面積の45%ということでございます。それから、畜産が農業生産額の33.2%で、また県内算出額は肉用牛が1位で、肉用牛の繁殖農家の数が非常に多いということで、県内には2,640戸と全国5位の農家戸数を有するという状況にあるというのが、まずそのような状況で獣医療計画を立てるということで、1枚おめくりください。長崎県は、平成24年7月に県計画を立てておられているということで、平成32年度に向けて家畜診療獣医師について獣医師確保目標を地域ごとに設定している。公務員獣医師については計画的な補充に努めるという形ということで定められているということでございます。この2ページに家畜診療獣医師の現在の状況、目標数は全県で88名を確保するということになっております。それから公務員獣医師、農林水産分野に限って申し上げますと、24年の県計画をつくったときは137名で、退職者が38名いらっしゃるということなので、そのあたりを勘案してつくる必要があるということでございます。それから、当時の家畜診療施設の開設状況ですが、家畜診療施設が全県で46。これは3ページでございますが、46あったということでございます。現在の状況について、県庁のヒアリングも含めてあわせて御説明をさせていただきます1枚おめくりください。4ページでございます。平成29年4月現在で、家畜診療獣医師、目標数は先ほど88名と申し上げましたけれども、家畜診療獣医師数は78名ということで、さらに10名の獣医師確保が必要ということでございます。ところが、一方で、平成29年度の家畜頭数は長崎県の計画策定時と比較すると少なくなっているということで、現在の家畜頭数に合わせて考えると、再計算すると83名程度が必要な人数かなということで、そういうことを県はおっしゃっていました。平成24年7月から29年4月までの開業獣医師が37名から30名に減少している一方で、家畜診療所の勤務獣医師が38名から48名に増えているという状況になる。トータルとしては10名が足りないということなんですけれども、家畜頭数は減っているので不足数は5名程度ということが県の御説明でございました。
一方、県の公務員獣医師でございます。現在の農林水産関係の公務員獣医師については、定員に対して2名少ない状況ということでございます。定数について、2名少ない63名が定数に対して農林部は61名になっている。一方、これは参考になりますが、衛生部局関係では獣医師の定員数68名に対して、その定員数にぴったりいらっしゃるということでございました。1枚おめくりください。このような状況で、長崎県はどのような確保対策をとられているかということについて簡単に御説明します。まず、修学資金の貸与事業ということで、平成22年から県の単独の修学資金の貸与事業を実施して、加えて昨年から国の事業を活用しているということでございます。地域枠と大学生に対する修学資金を実施して、修学資金を貸与している学生の数は21名ということで、そのうち、これまで就職した方が7名ということでございます。あわせて、獣医大学の就職説明会を実施しているということでございます。これは長崎県のパンフレットなんですけれども、長崎県庁の若手獣医師が中心となって、県の魅力ですとか職員のライフスタイルとか業務を伝えるために、下のほうに「就職先決めた?」「まだ~」とか、ちょっとおしゃれなポップな感じで、中身も学生に関心を持ってもらえるような形でパンフレットをおつくりになっているということでございます。それから、インターンシップ研修ということで、平成25年から離島地域と、これは長崎に島があるということがあまり認知されていなくて、島で暮らしたいという若い学生もいらっしゃるということで、そのあたりをうまく強調して長崎県の魅力をお伝えしているということだそうです。それから、高校訪問等における事業周知ということで、業務について説明をしたり訪問したりしている。それから、処遇改善ということで、調整数の適用と初任給調整手当の支給ということで御対応されている。それから、採用試験なんですが、まず平成29年度採用予定者から受験資格を39歳から45歳以下に引き上げ、それから、試験地を従前は東京と長崎であったのを、東京、長崎、北海道、福岡というふうに平成29年は増やして、平成30年、実はもう福岡でやるので長崎は採用試験をやらないと、かなり思い切られているなということで思いました。こういう形で採用試験の試験地を工夫されているということでございました。それから、長崎県の取組として、産業動物獣医療の充実を図るということを目的として、年に2回、県と農業共済組合、獣医師会、畜産協会を構成員とした産業動物獣医療懇話会を開催して情報提供、情報交換をしているということでございます。それから、インターネットによる獣医師募集ということで、就業応援サイトをつくったりしているということで、あとは、今度は民間の獣医師等の専門求人サイトを使いたいなということもおっしゃっていました。それから、家畜診療施設の整備についてでございますが、もともと長崎県の計画、今回の計画で、1施設を整備するというのを目標にされていて、実際に平成25年に診療所を設置されており、この目標は達成されているということでございます。それから、家畜伝染病に対する防疫体制ということで、これは各県同様にされていると思うんですが、きちんと対応できるようにマニュアル策定とか防疫演習、防疫資材の備蓄、各団体の支援協定等々を行われている。それから、獣医師会に関して、獣医師会と畜産協会と連携して取組をされているということでございました。1枚おめくりください。家畜保健衛生所でのヒアリングでございます。家保の定員19名に対して17名と、欠員が2名いる状況でございます。それから、家保が家畜保健衛生に関する情報誌を年4回出したりして、地域の畜産の特性に合わせた情報を提供しているということでございます。それから、学生のインターンシップに対応するということもされている。女性獣医師との意見交換では、長崎県では産休の取得事例が少ないといったことがあったので、気兼ねなく産休を取得できる体制の整備が必要という御意見がありました。次のページでございます。長崎県の農業共済組合の家畜診療・研修センターということでヒアリングに行ってまいりました。獣医師の高齢化が進み、獣医療体制の整備が急務の課題ということで、ここの場所には、ここは諫早というところなんですけれども、ここに直営の診療所がなく、開業獣医師の嘱託によって診療体制が維持されていたということでございますが、協議会をつくって、市と関係団体と協議をして家畜診療施設を設置するということで、平成25年に南島原に出張所を1回つくった上で、その診療所を設けたということでございます。平成29年4月で家畜診療・研修センターには4名で、南島原市出張所に3名ということで、7名在籍しているそうなんですが、現在2名の獣医師の募集を行っているけれども、採用に至っていない。大学に出張して説明会も行っているんですけれども、なかなか知名度が低く集まりにくいということでございました。12ページに、この調査結果を踏まえた意見等ということで、県計画と比べて産業動物診療獣医師が少ないということ、また公務員獣医師も少ないということですが、研修や新人教育に力を入れて実施したいが、満足できる時間が当てられない。獣医師確保は待ったなしですと。長崎県がやった学生アンケートなんですけれども、やっぱり地域の魅力が大事だということでお考えのようで、離島の魅力的な生活や長崎の魅力を伝えている。それから、風光明媚な写真を活用したパンフレットをつくっているということでございます。それから、修学資金についても計画的な獣医師の確保に効果的という御意見をいただいています。それから、関係団体の産業動物獣医療懇話会、これは役に立つということで、県計画の実現に向けて地に足の着いた形で進められているということでございます。先ほど御説明しました産休代替職員の確保等の体制整備が重要というふうにお考えということでございます。それから、県計画に診療獣医師と家畜保健衛生所の情報ネットワークのシステムを構築ということが挙げられているんですか、まだちょっと実現できていないということでございます。それから、最後に職場の適切な人数は何人というのは対外的には難しいというか、県の方から切実なというか、本音の話も聞けたということでございます。長崎県における現地報告については以上でございます。

私の説明の最後になります。獣医学生に対するアンケート調査概要でございます。資料を御覧ください。調査概要でございます。目的は、獣医学生の就職についての意識を明らかにするということで、全獣医系大学生の5年生にアンケートをとるという、アンケート実施時には5年生は1,012名いらっしゃったということで、ホームページにてウェブアンケート実施し、各大学の教務課に連絡して協力をお願いしたといった状況でございます。回答数は350名ということで、約35%の回答率で、うち女性の回答は201名、男性が149名で、大学ごとに回答率が結構ばらつきがあるという状況でございますが、当時あった全ての大学から御回答をいただいているということでございます。1枚おめくりください。まず進学した動機ということで、これは複数回答可ということなんですが、これを見ていただきますと、まず上が男女問わずなんですけれども「小動物が好きだったから」とか、「動物園動物・野生動物が好きだったから」という回答が上位を占めている。あと「国家資格がほしかったから」、あと「インターネット・テレビ・本・漫画等で獣医師に興味をもったから」「動物に関する研究に興味があったから」というのが上位の回答。これは複数回答でございますので、合計すると100%は超えてしまいますが、そんなような状況。次のページ、3ページは入学前の志望分野。これは単一回答ということでございます。入学前の志望分野、やっぱり「小動物の診療」が半分以上を占めていて、その次が「動物園動物・野生動物の診療」。つまり、高校生ですと、やっぱり獣医さんというと小動物、あるいは動物園動物、身近に自分たちがこれまで見聞きしてきたところの分野の診療というのが、高校生なりの印象で獣医系大学に進まれるのかなというのが見てとれる。これ、男女比。これは回答の絶対数が、ちょっと男子と女子が違うので一概には言えないんですが、男女とも小動物の回答。それほど大きな差はないのかなというふうに考えてございます。1枚おめくりください。じゃ、5年生の今、第1志望の分野、第2志望分野について答えてくださいというふうにお願いしたところ、まず青いほうが第1希望の分野なんですが、「小動物の診療」41%。相変わらずあまり変わっていないなというふうに思う一方で、第2志望で意外と増えているのが「産業動物の診療」。もともと産業動物が好きだった方ってあまりいないんですが、それなりにある。それから、公務員に関して、入学前は公務員になりたかったというのは非常に少ない、入学前志望分野は非常に少ないんですが、5年生になると一定の数があるという状況にあるということでございます。男女比は、その下段にお示しのとおりでございます。現在の志望分野、これは5年生のときに志望分野を選択した理由。1番多いのは何かと申し上げますと、業務内容がおもしろいからということですね。その次に、これも複数回答可ですから、「診療対象の動物が好きになったから」。「好きになったから」というのは、従前から好きなことも含めて「好きになったから」ということでお考えいただければと思います。あとは「業務内容の社会的貢献度が高いと感じたから」が3番目で、給与が高いということで選んだ方は意外と少ない。これ、給与の話はまた後で出てきますので、ここは給与が高いから選んだわけではないというのがあるということでございます。1枚おめくりください。入学前と現在で志望分野が変化したきっかけは何ですかというふうにお聞きしたところ、きっかけはよく分からないという空白が結構多かったんですが、ここで多いのが「実習・インターンシップを通して」というのが23%、「講義を通じて」18%ということを考えますと、やっぱり実習とかインターンシップの影響が結構あるなということと、やっぱり大学での講義なりカリキュラムが学生の志望分野を変えるきっかけになっているのかなということがあります。じゃ、我々、ちょっと産業動物診療なり農林水産分野の公務員に変えた人って何がきっかけだったのかなということが非常に知りたかったので、これについても聞いております。他分野から産業動物に変わった方は、1番が実習・インターンシップで、2番目が講義を通じて。農林水産分野の公務員についても同じように聞いたところ、実習・インターンシップ、講義ということで、実習やインターンシップというのは、学生の志望とかにそれなりに影響、インパクトを与えているのかなというふうに理解しております。職業選択に重視する点ということでございます。これも、今の志望分野を決めた理由は何ですかと、これは重視する点です。重視する点は「業務内容がおもしろいこと」なんですが、次、これは複数回答可なんですけれども、重視することは「給与が高いこと」がここにやっぱり出てくるんですよね。だから、そこは、今の仕事は別に給与が高いから選んだわけじゃないんだけれども、給与が高いことは重視はしていますよと。「診療対象の動物が好きであること」「業務内容を通じて成長できること」がそれに続いている。男女比については下のグラフを御覧ください。続いてのページです。情報が少なく知りたい分野は何ですかとお聞きしたところ、今度は小動物についてより、やっぱり動物園動物・野生動物の診療の情報が欲しい。これ、実は現在の志望分野に動物園動物・野生動物の診療を第1分野にしている方が非常に少ないこととも関係があるのかもしれないんですけれども、そういうところに関して情報がないという声がかなり多い。また、製薬企業とか食品企業の民間企業についての情報が欲しいという声が結構多かったということでございます。続いて、各分野のイメージ。小動物診療、産業動物診療、地方公務員、農林水産、公衆衛生ということで、各分野のイメージ、複数回答可ということでお聞きしました。やっぱり小動物診療は「業務内容がおもしろい」とか「業務内容を通じて成長できる」ということが多いんですが、今度、産業動物診療になりますと、「業務内容がおもしろい」ということもありますが、「業務内容の社会的貢献度が高い」というふうに明示されているという方が多い。このあたりは、「給与が高い」というのはどなたもおっしゃらないということですね。それから地方公務員。農林水産、公衆衛生、どちらもございますが、公務員となりますと、やっぱり「残業・休日出勤が少なく、自分の時間が多くもてる」というふうに学生さんはお考えのようです。それから「産休等福利厚生が充実している」。業務内容の社会的貢献度、公務員ですから、それはそういうイメージになるのかなということがありますが、こういうようなイメージをお持ちになっているということでございます。その次でございます。産業動物診療を深く知る機会。診療の分野についてでございます。やっぱり実習・インターンシップとか講義について、実習・インターンシップというのは物事を知るきっかけ、あるいはその分野を選ぶきっかけになっているということが伺えるのかなというふうに思います。その次は「産業動物診療の分野に就職したいですか」。「あまり就職したくない」「就職したくない」を選んだ場合、その理由を教えてくださいということで、逆に言うと、就職したくない理由が分かれば、その対策を講じればいいのかなということもあって、こういうような選択肢を設けておりますが、「就職してもよい」という方が47%ぐらいいるということでございます。ただ、「就職したくない」「あまり就職したくない」方は、1番多かったのが「業務内容の身体的負担が大きい」、それはそういう理由がある。もともと関心がない方に対して聞いているので、やっぱり「診療対象の動物が好きじゃない」とか、「業務内容がおもしろくない」とか、そういうような回答。その次にあるのが「残業・休日出勤が多く、自分の時間が多くもてない」というふうに思われているということでございます。続きまして、地方公務員(農林水産分野)に就職したいですかということでお聞きしたところ、「就職してもよい」が41%あったんですが、ここで「あまり就職したくない」、または「就職したくない」を選んだ方の理由は何かといいますと、「業務内容がおもしろくない」というふうにお考えの方、やっぱり就職したくないという方は業務内容を理解されていないかもしれませんし、やっぱりそういうところで御関心がないというふうな御回答なのかなというふうに考えております。この資料の最後になりますが、我々の産業動物獣医師確保の修学資金制度、どれぐらい認知されているのかなということでお聞きしたところ、72%の方が知っていたということで、学生に一定の認知はされていて、その中で活用されている方、そうでない方がいらっしゃるということでございます。すみません。約1時間近くにわたって、私、ずっと御説明をさせていただきました。説明は以上になりますので、ありがとうございました。

(砂原部会長)長時間の説明、ありがとうございました。ここで休憩を挟みたいと思います。3時10分から開催ということで、よろしくお願いいたします。

午後2時57分休憩
午後3時09分再開

(砂原部会長)それでは、時間になりましたので再開をしたいと思います。先ほど事務局から、獣医事をめぐる情勢、都道府県における産業動物獣医師確保の状況、獣医学生がどのような観点で就職先を選んでいるかについて説明がございました。ここで、各委員、臨時委員の皆様方に、現在の状況に関する御意見、御質問をいただければと思っております。今回の部会は今後の検討のベースとなりますので、幅広い御意見、御質問をいただければと思っております。感想のみでも構いませんので、座っている順に指名をさせていただきます。委員の皆様に御発言をお願いしたいと思います。5名ないし4名の委員の御意見をお伺いした後、一旦事務局から回答をいただくこととしておりますので、よろしくお願い申し上げます。それでは、川手委員からお願いを申し上げます。

(川手部会長代理)それでは、東京都の家畜保健衛生所の川手です。今回の資料、とても興味深く見せていただきました。資料2にありました都道府県の処遇改善というのは一定量進んでいるということで資料をいただいているんですが、現実にはまだ依然として不足している状況でして、県のほうで採用の年齢上限を59歳までというような道県もあるということ、また追加試験もかなりやっていて、要件を緩和しているにもかかわらず、北海道、九州など地方では依然として不足して欠員が生じているという実態にあります。先ほど処遇改善の話がありまして、いろんな県が工夫をしていて、特に平成29年度には福岡県で特定獣医師職の給与表ということを適用されたんですが、この給与表が新しくできて処遇の改善も進んでいるんですけれども、その成果は今のところまだ分からないということで、私たちも特に福岡県の推移についてはこれから見ていきたいというふうに思っています。いろいろと学生のアンケートなんかもあったんですけれども、公務員獣医師の重要性というのは、今、それこそ鳥インフルエンザですとか豚コレラですとか話題にはなって、少しずつ認識は広がっているかと思うんですが、農家数が減ったり、そういう中で、県庁の中でも予算、人員については厳しい。先ほど長崎県のお話がありましたけれども、はっきりしたことを言うと、また県庁のほうから厳しい査定が来るというのも現実かと思っています。そういう中で、例えば今後、家畜保健衛生所なり公務員獣医師の家畜衛生分野というのは、例えばワンヘルスの重要性ですとか、もっと社会的な広がりもあるし、重要性も増すんじゃないかというふうな議論をしても、県庁内で全く相手にされないというのが実際のところです。こういった社会的な認識というのをどうやってこれから広げて、特に身内の中と言ったら変ですけれども、そういった都道府県の中にどうやって浸透させていくかというのも私たちの課題かと思っています。1番今回の資料で興味深かったのは、学生に対するアンケートで、志望を変えたのが実習・インターンシップなどとなっておりまして、特に産業分野についてはその辺が大きなウエイトを占めるのかなということで、非常に私どもも心強く思ったところではあります。ただ、都道府県、特に家畜保健衛生所などは獣医学教育に協力したいとみんな思っていますし、ぜひそういう協力をして、なるべく学生に来てほしいというのも非常に切実な声なんですが、一方で、県の財政状況ですとか、あるいは体制ですね。人員的な体制、それから設備の体制を含めまして、受け入れる体制がなかなか十分に整っていないので、限られた中でしか研修ができないというのも実態だと思います。また、大学側から研修についていろいろと依頼もあるんですが、その辺の研修に係る経費負担などの考え方も今後の課題じゃないかというふうに私たちは認識しております。以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、西村委員、お願いします。

(西村会長)審議会長をやっております西村でございます。今日はお忙しいところ、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。今日のお話は、いささか長かったのですが、いろいろ透けて見えてくるところがあり、全体を見ると、アイデアというか、気づきが非常にたくさんあるなという気がしました。まず産業動物に関してですが、これは多分公務員獣医師もそうなのですが、若い人を集めるためには、やっぱり業務内容がおもしろいというか、やりがいがあるというのが非常に重要だと思います。そうすると、業務内容を整理するとか内容を見直す。獣医師じゃないとできないような仕事にどんどん変えていく。これは、個々の機関にこれをやれといっても、人もお金もなくてできないという話が当然出てくると思うのですが、全体としてそういう方向に行きましょうというところは必要なのではないでしょうか。例えば産業動物ですと、ここにもいっぱい出てきましたけれども、飼養管理や伝染病予防、衛生管理など酪農家さんとしては非常に求めているところで、個々の診療も大切なんですけれども、そちらにだんだんシフトしていく。1戸当たりの飼育頭数もはどんどん増えていくと思いますので、そういう方向に向かうために何をすればいいのかというところが必要だし、それがあれば若い人も、「これ、おもしろそうだな」と人が集まる。予防が進めばこれまでの業務を減らせるので、人員を増やさないでも何とかなるというようなことがあるのではないでしょうか。そういうふうに考えると、公務員獣医師と産業動物の獣医って割と近いところに、先ほどワンヘルスという言葉がありましたけれども、非常に近いところにあるので、協力体制ができやすい。そうすると公務員獣医師も魅力が増すということになるのではないでしょうか。これも言うは易しですけれども、夜間とか休日対応というのも広域でやっていくという体制が、現実的に遠いところまで行けるのかというのは、よく分かりませんが、そういったところも含めて、業務体制の改善ということがいろいろな意味で効果的であるいうふうに、今回のお話を聞いて思いました。小動物に関してはあまりお話はなかったんですが、実は今、犬の飼育頭数というのが激減しています。2008年にペットフード協会のデータを見ると、1,300万頭ぐらいいた犬が、今900万頭ぐらいに減っています。10年ぐらいでここまで減っています。5年ぐらい前に、今後どの程度減るかという予想が出たんですけれども、それにぴったり合った形で減っています。そのときに出た数字は、あと5~6年で700万頭ぐらいまでいくんじゃないかというふうに予想されております。ということは、最盛期の半分近くになる。となると、小動物の獣医師ってかなり余ってくる可能性があるんじゃないか。今は高齢な世代の犬のピークですから、件数も増えてマーケットも大きくなっていますが、これからマーケットがシュリンクしていく可能性が高いと思います。ですから小動物獣医師に関しても、真剣に考えていく必要があるのではないかというふうに思います。現状では小動物は獣医師さんが足りないので、給与を上げる方向で何とか雇用を確保するということをやっており、小動物に行く卒業生がやや増えているというかと思いますけれども、そのバランスが崩れたとき、産業動物に行くかどうかという点も含めて慎重に考えていく必要があると思います。小動物の獣医師は数的には圧倒的に多いわけですから、その辺もやっぱり注意していくべき点だと思います。あと、資料に、小動物は専門性を高める必要があるということが書かれていたんですが、実は今、日本の若い獣医さんは専門への志向が高過ぎるということで、海外の先生方で危惧する人が少なからずいますから、かなり指摘を受けている。そこしか知らず、他のことをよく知らないという人が続々出てきているということで、これはよくないんじゃないかと。その辺も注意が必要ではないかなというふうに思います。あとは、今回お話は出なかったのですが、動物看護職という言葉が資料に出てきます。ここのところ情報が錯綜していて、来年には国家試験化されるんだよということを言う人が結構います。その辺もちょっとはっきり、どういう方向性、ロードマップはどういうふうになっているのかということは、示したほうがいいと思いました。以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、次に伊沢委員、お願いいたします。

(伊沢委員)神奈川県横浜市で開業しております、産業動物をしております伊沢と申します。たくさん資料をつくっていただいてありがとうございました。大変おもしろく拝見させていただきました。あまり広いことは言えないんですけれども、資料3の現場の事例と対応の民間産業動物獣医師というのは、まさに私のことなんですが、この件と、この下の乳用牛農家についての調査について、ここに書いてあるようなことが、私、神奈川県なんですけれども起こっているのだとは思いますが、やはり獣医師といえどもサービス業ですので、お客さんのニーズに合ったというか、気に入っていただけなければ呼んでいただけないという状況です。なので、この神奈川県の獣医師の充足状況などを見ると、足りてはいるけれども忙しいというような部分があります。実際、稼働している獣医さんというのは、神奈川県で多分8割程度ではないかと思いますね。若い先生で御病気されて、今働いていないとか、私のように産休を挟むとお客さんがぐっと減ってしまったとか、そういう方もいらっしゃるので、どこに行ってもお客さんの─お客さんと言ってはあれですけれども、農家さんの対応のできる嫌われない獣医師をつくるというのが重要ではないかなと思います。若い子がいて、嫌われて、もう出入り禁止ですと言われてしまった農家さんもありますので、そうすると、やっぱり残っている他の先生方に負担が行ってしまうということになるので、まず牛、動物を診る技術も大事だと思いますけれども、人間を相手にしているということを、まず物の伝え方とか、そういうことも学校でよくお勉強してきてくれるといいのになと実習生などを見て思っております。そのくらいですかね。あまりはっきりしていなくて申しわけないですけれども。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、大橋委員、お願いいたします。

(大橋委員)埼玉で産業動物、主に肉牛を診ています大橋と申します。今おっしゃったように、獣医師1人当たりの往診範囲が拡大したことで一般診療をやっていると、忙しさからじっくり落ち着いた指導ができなくなる。思い起こしてみると、私、20年前に1年間の走行距離というのが2万7,000キロぐらいだったんですね。それが今は4万キロなんですよ。そのぐらい往診距離がどんどん延びていくんですよね。だから、日中仕事をしている時間というのが、車に乗っている時間がその中で3時間とかとられちゃう。そうするとものすごく仕事がやりづらいというのが現状なんです。実は、そんな中で農家のニーズというのが昔から少しずつ変わってきて、一般診療を中心に考えていた農場が、やはり衛生指導だとか、それから繁殖管理、そういうふうに予防に力を入れていこうと、そういうことを言うような農家がどんどん出てくる。それなので、僕のところだと、私は一般診療を中心にやる、それから、繁殖管理専門にやる先生は、もう雇って、その日来てもらって、その農場で丸1日やってもらう。それから、HACCPとか、そういうものを目指している農場は、やはりその専門家の人に来てもらって、1日その農場で仕事をしてもらう。そういうふうにして分業化していかないととても回っていかないというのが現状で、恐らく往診距離が延びるというのが、一般診療をやっている先生がなかなか他の分野に手を出せないということにつながるんじゃなかろうかなと、そんなふうに考えています。例えば埼玉県、群馬県に、乳牛の繁殖管理を、それ専門にやっている先生が何人かいるんですけれども、群馬県から四国や北海道まで行きます。それから、埼玉県から繁殖管理に北海道や九州まで行きますと、そういうふうに繁殖管理専門でやっている先生というのは一般診療を一切やらないですから、もう繁殖管理のみで日を決めていろんな農場へ行ってくる。それから、乳房炎のコントロールをメインにしてやっていらっしゃる先生もいます。そういうふうに、一般診療をやる人たちは狭い距離の中で一般診療ができるような体制、それから、予防衛生がきちんとできるような先生は、やっぱり広範に歩いて予防衛生をやる。そのうまい連携ができないとうまくいかないんじゃなかろうかなと。そして、家保ときちんと連携をとりながらやらないと産業動物の獣医師は成り立たないもので、というのは、具合の悪い牛がいるんだよ、豚がいるんだよと言われて行ったときに、まず判断しなければならないのは、助けようとかどうしようかではなくて、これが伝染病かどうだかというのがまず第一に来ます。もし伝染病だったら即、家保への通報や、伝染病じゃなかったら治療するか、どうしようかというふうな判断になるというのが産業動物の昔からの流れですので、検査にしても何にしても、とにかく家畜保健所に最近お世話になることが大変多いです。規模が拡大してくると、やはり病気も増えてくる。そのためにどういう対策をとるか。それもやはり家保と連携する。それから、最近多いのが肉用牛の白血病でございます。子牛の価格が80万、100万円する、それを買ってきて2カ月もたったら発症しました。検査してみたら地方病型の白血病でしたと、そういう場合、ほとんど家畜保健所の証明書がきちんと、B細胞型の白血病ですよというのが出ると市場が子牛代金を補償するところが多いもので、そういう依頼がどんどん家保に増えていくんじゃなかろうかなと。そして、家畜保健所の仕事もどんどん広がっていくんじゃなかろうかなみたいなことを最近感じています。いずれにしましても、畜産農家のニーズに対応するため、産業動物に携わる獣医師同士の専門分野を超えた連携が今後益々必要になってくると思われます。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、大塚委員、お願いいたします。

(大塚委員)Meiji Seika ファルマの大塚と申します。企業獣医師としての意見ということで、少し述べさせてもらいます。貴重な資料、丹菊さん、ありがとうございました。大変な集計だと思います。毎回会社でこういうものを求められながら苦労しておりますので、大変な作業だなと思って、もうありがたく見させていただいています。企業獣医師、私の背景ですけれども、東京都の生まれでありながら北海道の大学に行きまして、このデータにもありましたとおり大動物に憧れて行ったんですけれども、たまたま私の卒業年、北海道の共済の獣医師の採用が激減して、今の状況が考えられないように、私の記憶では8名、それも大体地元に将来は戻っちゃうということで、北海道の出身者中心に8名だけ募集しますというようなことで、6年間というか、就職の状況ですから5年ほど考えていた方向が一瞬に崩れたと。たまたま東京に戻って小動物の病院の雑用係の手伝いなんかをしていて、そこの先生に「大塚君、小動物をやってもいいけれども、社会に出なさい」と。先ほどもキーワードがありましたけれども、やはり私、企業の採用のほうの部分を見ますと、やはり今の学生はコミュニケーション能力がちょっといま一つ、非常に優秀な学生なんですけれども、人との距離感がうまくとれない、うまく会話が続かないという学生が非常に多くて、そういう部分では、この産業動物なり公務員のニーズ、需要に十分応える学生を供給するという部分でのやはり1番重要なポイントは、大学での方向性なり何なりの雰囲気づくりかなというふうに思っています。このデータでも、入学前と卒業直前での意識もやっぱり変わってきているというところでは、やはり公務員、産業獣医師の魅力というものを、時間をかけても何か説明する手段等が必要なんじゃないかなというふうに思っております。企業の面接をやらせていただくと、当社は非常に獣医師の比率が多い、動物用医薬品をつくっている部門なんですけれども、それでも近年、非常に入社は厳しい状況で、ほとんど採用できない。その背景は、やはり6年制になって非常に専門職意識が高まって、なかなか企業のように、営業に出てもらう可能性もあるよ、開発も可能性はあるけれどもすぐには無理よとか、難しい話をすると、まず無理と。学生から出てくる質問は、まず「給料はいくらですか」というところなので、このデータは非常に正しいところをあらわしているかなと。その次は福利厚生なんですね。「休みがどのぐらいとれるんですか」「時間外労働はあるんですか」とか、いわゆる職場環境なんですね。やはり夢のある業務かどうかというところは、入って自分で見つけていってもらわないと、これはそんなに夢だけで業務は進まないという状況の中では、もう思いどおりの状況の中にはならないと。やはり給料をもらう上では、自分で方向性なり何なりを見出していく、楽しみを見出していくということができないと、やはりそこに定着して活躍してもらうのは非常に厳しいかなというふうに考えています。ですので、今もお話ししたとおり、やはり大学の中での教育、あと前線に出てからの受け入れ体制の充実というところが1つのポイントになるんじゃないかなと。我々企業の立場からしても、公務員、産業動物の先生方、もう少しもらってもいいかなと。ただ、非常に産業動物は特に、なかなか無尽蔵に診療費を上げるわけにもいかない。それであれば「先生、いいです」という話になっちゃいますので、そこのところのバランスが非常に難しいかなというふうに思っています。ぜひその辺のバランスをうまくとれるように、このデータの中でもうれしいなと思ったのは、企業への情報提供の希望が多いということですので、これはちょっと夢があるなと。ただ、やはり大学でのそういう場が持てるかどうか。企業獣医師としての役割はこういうものがありますというのを十分説明できる場があるかどうかというところがポイントかなというふうに思っておりますので、大学教育というところが、もうそこがポイントになるんじゃないかなと、私はそう思っております。あと、データ的に長崎の例をお見せいただいたんですけれども、一応目標に近づいている。いろいろ努力されて目標に近づいているところなんですけれども、同じパイの取り合いになっていないかどうかというところが、いわゆる確保したところはどこかが出ていっちゃったんじゃないかなと。ですので、公務員は公務員の中で動いていて、産業動物は産業動物の中で動いていて、どこかが足るとどこかが足りないという状況があるのかなと。ですので、そのもとの部分のデータもあればよかったかなと、移る前の職種が何だったのかというところのデータがあると、非常にもう少し分かりやすかったのかなというふうに思います。私からは以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、各委員から御発言いただきました内容につきまして、事務局のほうから回答等がございましたらお願いできればと思います。

(丹菊課長補佐)御質問とか御意見と、あと感想的なところもございましたので、御意見等に関して、ちょっと簡単にお答えさせていただければと思います。川手委員から、庁内でいろいろ諸事情があってということのお話でございました。これは、我々、国として何かすごく方針を、各都道府県さんの処遇改善にどんとやれるものはなかなかないという難しい状況であって、これまでも各県の情報提供等もさせていただきました。なので、そういうものにお役に立てるようなものも、できるだけ各県さんの御協力を得ながら引き続きやっていくということかなと。あとは、御意見をいただいたことについて、どういうふうに最終的な取りまとめに反映できるかということも含めて検討させていただくということかなと思っております。それから、西村先生から動物看護師のお話がございました。この後、検討の中身としてチーム獣医療というところでワーディングとして触れさせていただく予定ではございますが、動物看護師については、現在の状況というのは、与党の前回の衆議院選の際の公約に動物看護師の公的資格化ということが掲げられていて、今、与党の中でも検討が進んでいるという状況でございますので、先生がおっしゃられたように、今すぐ何か、来年からとか再来年からみたいな具体的な話があるわけじゃないということをお話しさせていただければなと思っています。伊沢委員のほうからは御感想的な御意見だったので、この後の方針でどのように盛り込ませていただくかについて検討させていただければと思います。大橋委員からは連携の話がございました。家保との連携においては、今、特に生産獣医療等々、あと白血病の話もございました。実際にNOSAIと家保の連携、都道府県によって濃淡があって、やれているところとやれていないところがございますので、前回の基本方針の中でも連携の話は少しありましたが、そういうことをどういうふうに盛り込むかについて、ちょっと今後の御議論を踏まえて検討させていただければと思っております。それから、大塚委員から最後にリクエストで、要は同じパイの取り合いになっているんじゃないかと。そのあたり、志望が変わったときに、さあ、じゃ、どこから移ってきたのかと。例えば産業動物から公務員、公務員から産業動物だと同じカテゴリーの中ということなので、例えばそういうあたりも少し調べることができれば、ちょっとそこまで何でしたというのは聞いていたかどうか確認して、どのお話ができるかということを検討したいと思います。それから、情報提供ですね。企業の情報提供について、各大学さんなり我々がどういうふうにできるかについては、やれること、やれないことがございますので、そのあたり、どういうふうにやれるかということを検討させていただければと思っております。以上でございます。

(石川課長)では、私からもいくつか。今、いくつか御意見をいただきましたけれども、連携の部分については確かにそのようなお話かと思っております。特に大橋委員からございました家保との連携につきましては、特に養豚の関係の獣医師さんから、やはり家保だけじゃなくて、いわゆる行政が持っている病性鑑定のデータだとかと畜場のデータを活用して、そういうものを予防獣医療というんですか、そのような管理獣医療みたいなところにつなげてほしいという要望があるので、その辺も含めて連携というのをきちんとしていかなければいけないのかなというふうに思っています。あともう1つは、西村審議会長からありました、ちょっと興味深いのは、小動物の獣医が今後、いろんな面で余ると言っては変ですけれども、厳しくなっていくんじゃないかという御意見がありました。その部分、今回の基本方針の中でどのように反映していくのかというのがちょっと悩みどころでございますけれども、そういう獣医さんを今後どのようにして産業動物獣医の領域に誘引していくのかという方策についても、ちょっと御議論させていただきたいなというふうに思っております。ありがとうございます。

(砂原部会長)どうもありがとうございました。それでは、続きまして落合委員からも御意見をいただきたいと思います。

(落合委員)それでは、私、日本獣医生命科学大学で教員をしております落合です。そういったことで、私は、私立の東京都の大学で教育をしている立場から、獣医の大学の現状ということですね。私立の大学の現状ということと、それから、二、三、意見がありますので、そちらのほうを申し上げたいと思います。丹菊さんのほうから、いろいろと獣医療をめぐる情勢ということで分析をいただきましたけれども、おおむね僕が抱いている大学の像と結構オーバーラップしているんじゃないかなというところが正直な印象です。当大学の新卒の学生の就職状況を見ると、うちの大学、やっぱり東京都にある私立大学ということで、小動物臨床に進む学生さんが圧倒的に多いのが現状だと思います。私、就職担当をしておりませんので、詳しいことはあまり把握をしておりませんが、大体6割から7割ぐらいの学生さんが小動物臨床のほうに就職をされると思います。残り1割、2割ぐらいが公務員、それから大動物臨床、産業動物のほうの臨床に進むといったような傾向があるんじゃないかなというふうに考えております。なので、こちらのほうで御提示いただいた私学状況とは若干違う。大体首都圏の私立大学、日大さんとか、それから麻布大学も似たような傾向ではないかなというふうに推測しております。あと、今回の話題で産業動物の獣医師、それから公務員獣医師の確保をどうするんだということで、私は公衆衛生のほうの教員を担当しておりますので、公務員獣医師のほうですね。そちらのほうでいろいろと痛感をしております。どうしたらいいんだろうなということで、ちょっと余談になってしまいますけれども、今朝も私、3年生に対して公衆衛生の総論の講義をしてきたんです。今日はこういった公衆衛生の組織のあり方とか法のところをざっと話してきたんですけれども、ほとんど学生さん、7割、8割の学生さんが寝ているという状況でした。これは僕の教え方が悪いというふうに御批判いただければ、もうそれは甘んじて受けなければいけないということもあるかもしれないんですけれども、大体そうです。他の教員がやっていても同じような傾向があるので、そこら辺、どういうふうにして公衆衛生、あるいは家畜衛生に興味を持たせるのかというところは、それは1つ考えなければいけない課題かなというふうに思っております。

ちょっとまた産業獣医師のほうのことについて話をさせていただきたいと思いますけれども、うちの大学では5年生、ちょうど今の時期なんですが、共済実習といって、共済ですね。あるいは、先ほどちょっと話もあったんですけれども、共済のほうでなかなか受け入れがしがたいという状況ですので、民間の大動物臨床、産業動物の臨床さんのほうに受け入れていただいて、5年生全ての学生さん、1週間、産業動物のほうの臨床に行っていただいて、そちらのほうの現場で勉強させていただいています。そういった学生さんに話を聞くと、確かにそういったような産業動物の臨床に触れて、もともとは小動物のほう、犬・猫のほうの診療に興味を持っていたんですけれども、産業動物のほうに興味を持って転向したという学生さん、確かに話を聞いていると、よく聞きます。よくといっても決して数は多くないんですけれども、そういった学生さんが年に数人はいるというのが現状かと思います。なので、確かに現場に行って現場で触れるということを確保するためには、いい手段の1つではないかなというふうに考えております。それからあと、前のほうの御意見でも、大学で教育をすることによって、例えばそういった将来の方向性を決めることができるんじゃないかという御意見があったと思います。確かに先ほど申し上げたように、産業動物のほうの臨床に行って何か学んで方針を転換するという学生さんもいらっしゃるんですけれども、現実問題、ほとんどの学生さんは、特にうちの大学ですと小動物のほうに行きたいということで、なかなか初志貫徹という形で、そのまま小動物をやりたいということで入学して卒業してしまうという学生さんが半分ぐらい、半分以上じゃないかなというのが現状かと思います。そういったところで、大学教育で、例えばアーリーエクスポージャーとか、あるいはその後、ある程度学年がいったところで教育をしても、なかなか効果が上がらないというふうに感じることもあります。私、都の獣医師会のほうで衛生委員会というのに入っておりまして、そちらのほうで、例えば国家公務員の方とか地方公務員の方と話をさせていただいたことがありますけれども、そのときにも、確かに昔からそういうふうに大学教育でアーリーエクスポージャー、あるいは大学教育の中でいろいろそういった現場に触れさせることによって何か変わるということをいろいろと議論されてきたんですけれども、なかなか効果が上がらないといった意見も出てきているかと思います。そこで、かわりにできてきたことなんですけれども、就職をしてから、実際に就職をしてみると、その就職したところで現実というのが分かるかと思います。先ほども、例えば小動物臨床のほう、サービス業という話があったんですけれども、やっぱり現場に出て、そこで初めて現状というのを知って、自分に合っているか、合っていないか、そういったことを感じて、就職したところが自分に合っていないというふうに感じる卒業生というか、そういった方もいらっしゃるかと思います。ですから、卒業をして就職をして合わないといった獣医師の方、そういう人を集めて、他の例えば産業動物、それから公務員獣医師のほうに向けて、どういうふうな仕事内容なのか、そういった方に向けてアピールをするのもいいんじゃないかなというような意見が出ていたかと思います。例えば公務員のほうの就職の話を聞いていると、確かに新卒の学生さんが受けるということもあるんですけれども、それ以上に既卒の獣医師の方、そういった卒業してから2~3年の方が公務員のほうを受け直すという話も結構聞いております。うちの学生さんなんかでも、そういったようにいろいろと変更しているということを聞いたことがあります。だから、どうやってそういった転向したいという方を集めるかというところ、そこら辺のところの課題はあるかと思いますけれども、そういった人に向けて産業動物獣医師とか、公務員獣医師のアピールとか、そういったこともしていくのも確保のための1つの手段ではないかなというふうには個人的に思っております。そういったところで私の意見を終えたいと思います。どうもありがとうございました。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、廉林委員にお願いいたします。

(廉林委員)東京飲用牛乳協会の廉林と申します。前職が地方公務員の公衆衛生というところでやっておりましたので、その立場といいますか、その視点からちょっとお聞きをしたいなというふうに思います。この資料2に、22条の届出に基づいていろいろと解析されたデータが書いてあるんですが、残念ながら、ここに公務員の公衆衛生分野という区分の解析データが入っていないということがあって、主体が産業動物ということなので分かるんですけれども、あったらよかったかなというところです。そういいますのも、ちょうどもう10年前ぐらいになりますけれども、今のこの基本方針にも引用して書いてありますが、農水省で取りまとめられた獣医師の需給に関する検討会報告の検討をちょうどやっていて、私もオブザーバーという形でちょっと出たこともありまして、そこには、将来、産業動物獣医師が大幅に減少するほか、家畜衛生行政や公衆衛生行政に携わる公務員獣医師についても確保が困難になる懸念が示されている、というようなくだりがありますので、要は、その後どうなったかというのを知りたいということで、一応資料が欲しいというふうに思いました。それから、今、落合委員がおっしゃっていましたけれども、採用試験の面接をやりますと、これは一部の例でしかありませんが、中には、小動物の診療勤務をしていた方で、2~3年してから公務員の試験を受けに来るという方が、やはりちらほらおいでになるんですね。私の経験の中では大体が女性なんですけれども、要は、今後、開業するのはちょっと難しいというふうに思っている方で、このまま勤務していても将来が不安だしというような状況で転職というか、公務員のほうを目指してこられるという方がおいでになります。そういう意味では、落合先生がおっしゃったように産業分野のほうに誘導していくとか、既卒の方でも、就職されている方でも、そういうことはあり得るのかなというふうに思いました。それから、10年前程前には、公衆衛生分野も畜産分野と同様に、地方公務員は来手がなくて、その頃もいろいろ考えていて、やはり待遇の問題であるとか、インターンシップだとか、もう言われていること、みんなやろうと思うことは大体同じなわけですけれども、それが本当にどの程度の効果があったかというのはよく分からなかったような状況です。ただ、今回いろいろ資料を見せていただいて、一応、一定の効果はあるのかなという気はいたしまして、若干安心はしたところでございます。意見というか、お願いというところで、以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、金子委員、お願いいたします。

(金子委員)東京都の公務員なんですけれども、今は上野動物園に勤めていますが、動物園で診療をやっているわけではございません。それで、学生さんのアンケートを拝見したんですけれども、私、今、教育普及を動物園の分野でやっていて、動物園でも、飼育係になりたいとか獣医になりたいという学生さんに、夏休みとかに実習生を受け入れしているんです。そうすると、レポートを最後に提出してもらうんですけれども、「こんな仕事だったとは思わなかった」とか、実習を受けて、来る前に希望があるから受けるんだと思うんですけれども、意外とというか、本当に知らないんですね。実際のことを知らない。実習してもらったからその人は分かるので、学生さんは就職、学校にまず入ること、大学に入ることが目標で勉強してきて、大学は学びの場なので、自分のやりたいことをたくさん学んでもらえばいいとは思うんですけれども、大学を出た先、社会に出るんだよというところを、やっぱり大学教育の中で早目のうちに、自分の大学を出た先はどう思うというのを何度も考えさせる場を早いうちから設けるといいんじゃないかなというふうには思います。講義でも分かったと書いてありますので、そのアンケートの人を増やすように、講義の中でも早いうちから、大学に入ったときにキャリア教育じゃないですけれども、「皆さんのその先は社会に出るんだよ。獣医はいろんな役割があるんだよ」というところをまず知らせるのと、我々もそうですけれども、実際に現場で働いている人を大学に呼んでいただいて「こんなお仕事なんです」と、魅力も含め、大変なところも含めて、そういうのを学校で知らせるような機会をさらに設けられるといいのではないかというふうに感じました。以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、次に須藤委員、お願いいたします。

(須藤委員)千葉県館山市で酪農経営をしております。先生方には日頃より大変お世話になっております。毎日獣医さんにもお世話になっている立場で、今日はいろいろ資料を拝見させていただきまして、大変全て興味深い内容でございます。その中で、そもそもというお話からちょっとしてみたいと思うんですけれども、私どもは酪農経営ですので、牛乳を生産しております。農業者の一員として畜産経営をしております。うちの牧場は130頭規模で、成牛80頭、とりあえず会社として従業員もおります。第6次産業のほうもしておりまして、お店も持っております。25年ぐらい前から酪農教育ファームという取組もしておりまして、今まで年間2,000人とか、1年間に90回以上の体験の受け入れをしてきたりとか、そういうこともしてまいりました。そういう立場上、いろいろ思うことがございます。そもそも牛乳を生産しております。食べ物を生産しているわけですけれども、やっぱりこの産業というのは、今やめていく方も多いですし、減少傾向なのは承知の上かと思いますが、やはり日本の国民が食べる食べ物を国産の生産が終わってしまってはいけないという使命感を持ってやっています。それは、本当に酪農家が減ってきたりしているので、獣医さんが減っても仕方がないとか、大丈夫だというふうな考え方もあると思うんですけれども、最終的には生き残らなければならないと思っていますので、獣医さんもこれ以上減らないで、やっぱり守っていってもらわなければいけないということを、そもそも頭に皆さん入っていると思いますけれども考えて、これを根本から獣医さんの確保ということに考えていかなければいけないなというのが1つ思ってはいるんです。千葉県の、私のところは館山市なので南部地区になります。ここの獣医さんのお話を聞いてみると、千葉県の南部地区は大変恵まれていて、農家数も減ってはいるんですけれども、農家さんが固まったところにもいますし、大変人間的にも優しいというか、あまり文句を言う農家も少ないようなので、南部地区の獣医さんはとてもよかったとおっしゃっています。同じ千葉県でも北部のほうだと、やっぱり農家の人間性もちょっと違ってくるので、結構苦情があったりとかという、同じ県の中でもいろんな立場の働き方をしているようです。そういった中でも、南部地区、戸数も減ってきている都合で、獣医さんの数もやはり同じように減ってきています。「先生、どうなの」と聞きますと、やっぱり1日12時間~13時間働いておりますと。先ほど大橋先生のほうからありましたかと思いますけれども、戸数が減ったからといって働く時間が減るわけではない。やっぱり移動時間が、北海道とは違う、狭い千葉県ではありながら、各戸数が減っているけれども、往診に行く時間は本当に1時間走ったり、往復すれば2時間かかる、そういった中で頭数が少ない中で往診するわけですので、乳牛の数が減ったからといって、先生の数を減らして大丈夫というわけでは決してないというのをやっぱり思いますので、先生方がしっかりとちゃんと働けるように、頭数といいますか、もうちょっと農家数が減ったとしても保たなければいけないなと思います。そういった中で、確保目標の達成状況とかいうところが資料の中でありましたけれども、資料3の中の地図の中で千葉県は真っ白い色で、これは確保目標が起こされていないようなんですけれども、そもそもこの確保目標というのが達成されていても満足できていないとか、達成しなくても大丈夫とかという、ちょっとあやふやな文章があったと思うんですね。じゃ、そもそもこの確保目標はどういう基準でできていたのというところがあります。人数に当てはめての確保目標だけでは、これは図れない内容だったのではないでしょうかというふうに思いました。

それが1点と、あと、学生さんを確保する上で、先ほどから何名の方々もおっしゃっていましたけれども、やはり獣医さんのお仕事って本当に頭が下がります。病気の牛を診てくれるわけですので、本当に心が強くないとやっていけないお仕事だなというのを、私は本当に見ていて思います。インターンだったり、体験とか農家に実習に行ったときに、やっぱり学生さんや子供さんが行ったときに、獣医さんのところについて行くと、具合の悪い牛を診るばかりなんですね。なので、本当に牛が好きだったり動物が好きだったりとかして、この職業につきたいと思って、いざ現場に行ってみたら具合の悪い牛ばかり診て、中には死んでしまう、命を助けることができない。1週間現場にいて、そういうことばかりだと。なので、本当に目の前が真っ暗になって、こういう仕事にはつけないというふうに判断するような学生さんもいるようです。なので、本当に命が助けられない場面もたくさんありますし、風邪が治る場面も、それはたくさんあるでしょうけれども、結局産業動物というのは最後はお肉になるわけで、牛乳を生産していても最後はお肉になるわけですよね。そのときに「じゃ、そろそろこの牛さんも出したほうがいいんじゃないですか」とか、そういう判断も獣医さんとはするわけですよね。だから、本当に生優しくないというか、おもしろいだけではやれない職業であって、すごく使命感がないとやり続けられないと思うんですね。そういった意味で、本当に日本の農業であったり食であったり、そういうものを守っていくんだという、そこまでの思いが育つような学生さんを育てることが大事かなと。本当にこのままだと農業がなくなって、外国産のものが入ってきて、みんなの体がいいものでつくられずに不健康なものになってしまっていく。そういうことから日本の農業を守っていくんだ、畜産を守っていくんだ。そのためには獣医になって、いい酪農経営を支えていくんだと、そういうところまで伝えてあげないと、本当に使命感を持った学生さんが育たないんじゃないのかなと思っています。これからもお世話になっていかなければならないので、ぜひぜひそういう学生さんを育てていただいて、日本から酪農業がなくならないようにしていただきたいかなと思いました。以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、各委員から御発言をいただいた内容、御質問等につきまして事務局のほうから御回答がございましたら、お願いしたいと思います。

(丹菊課長補佐)落合委員から大学の教育の話等々をいただきました。大学の教育のお話でございますので、ここは大学の教育をどうすべきかまではなかなか書き込みにくいということもあるんですが、どういう形で学生の関心を向けるかということについてのやり方について、うまくメッセージが出せるかは、またそこはこの後、御議論の中で検討させていただければと思っております。それから、廉林委員からは公衆衛生の部分が抜けているということでございます。これ、もともと獣医療の範囲というのは我々として、農水省の所管の部分ということであるんですが、データとして把握しているものについてどういうふうに出せるかは、ちょっと検討して、次回以降に対応させていただければなと思っております。それから、金子委員から、やっぱりキャリア教育、要は学生のときには職業としてどういうふうに理解していただくか、これも先ほどの落合委員の話とちょっと近いところがあるんですが、そのあたり、どういうふうなことを方針に盛り込めるか。これ、議論の中でうまくやれればなと思っております。それから、須藤委員からはいくつかございました。まず千葉県の設定として、獣医師の確保に関する目標、我々としては目標を設定するということでお願いしていたんですが、これは各県の家畜の飼養状況とか、そういうものを踏まえて、目標年度ごとに畜種ごとの飼養頭数、戸数─戸数が単純に減ったからといって、獣医師の数が少なくていいというふうにはなっていないんですが、千葉県さん、お立てになっていないということでございますので、今回、次の基本方針を出すときに、各県に具体的な数を確保して、要は国産の畜産物をきちんと確保していくというようなメッセージをどういうふうに出してもらえるかということについて、どういう誘導をするかについて検討したいと思っています。それから、日本の畜産を守っていくための獣医師、我々、社会的なインフラだというふうに、畜産業におけるインフラだと思っていますので、そのあたり、どういうふうにしていくかということについてメッセージをどういうふうに出せるかについて検討したいなというふうに考えてございます。

(石川課長)いろんな先生から御意見をいただきましたけれども、総じて言えることは、早い時期に、やはり産業動物獣医師なり獣医師の社会的な使命ですとか役割ですとか、そういうものをきちんと若い頃にインプットして、それをベースに、やっぱり学生生活を送っていただくというのが重要かと思っていますし、また、将来的には、金子委員からございましたとおり、いつまでも学生をやっているわけにはいかないので、最終的には就職ということがあるので、それを見据えて、当方からも各大学に学生を対象に研修会、職場の実態を伝えるための講義等をさせていただいておりますけれども、今後ともそういうような場を活用して、早目早目に学生さんに、現実と、また魅力というものを両面から伝えていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、続きまして束村委員、お願いいたします。

(束村委員)名古屋大学の生命農学研究科の教授の束村です。学部は畜産学科でしたので、獣医ではございませんけれども、畜産の関係も学んできたという経緯があります。本日は、膨大なデータをおまとめいただきまして本当にありがとうございました。これらのデータをベースにした把握というのが今後の課題解決に非常に重要であるということで、大変敬意をあらわしたいと思います。おかげさまで国内での課題はかなり、今回のデータの御説明、膨大なデータを短時間にお話しいただいたことで分かってきたように思います。やはり獣医師が不足しているということを言っている県が41県の中で、例えば産業家畜対象では23県もある。半数以上であるということから、やはり獣医師は絶対的に不足しているのではないかということが今回見えてきたことだと思います。今回のデータで1番印象に残った課題は、どう見ても高齢化ということが1つ大きな課題として見えてまいりました。せっかくですので、データも見せていただいたので、それを一緒に共有させていただければと思うんですけれども、資料の2の4ページの獣医師の届出の解析をしていただいた男女別、年齢別の結果というのは非常に興味深く見ました。その中で、やっぱり高齢化がかなり問題であるということは、その後の聞き取り調査等の獣医師が不足していると言って回答している方の中で、退職者に対して後任確保ができないとか、高齢化が進んでいるとか、そういう回答が複数、何度も出たことから、このデータとの整合性が合うなと思いました。それから、獣医事に従事しない者が、例えばこの4ページのデータを見ると、特にせっかく若年齢層に女性が半数いるのに、獣医事に従事しない者にかなり多い。働き盛りの者が多いということと、あと、産業動物診療をしている女性が30歳までから減少するという課題が見えてきていると思うんですね。つまり、若年齢層というか、50歳以下ですとか男女差というのは年齢は半々に近いフィフティー・フィフティーぐらいあるのに活躍し切れていない。課題はどこにあるのかということを私なりに考えてみました。私は、名古屋大学で男女共同参画センター長も務めておりますので、女性活躍という視点も加えたいと思うんですが、半数ぐらいいる若年齢層の女性に活躍してもらうためには、やはり途中でもいろいろ課題が出てきた育休の取得ができるかどうかという問題が出てきたり、まだそういう人がいないとかという、長崎県でもそういう回答があったし、これまでロールモデルとして出産・育児後に続けられる仕事としてのイメージがまずはない、あるいは前例がないというところがありますし、この産業動物診療にかかわる育児年齢層の女性の減少というのにあらわれているのではないかなと思いますと、逆にここが働き方の改革とか環境が整えば、女性を確保することにより人数はある程度確保できる可能性があるリザーバーのような役目をしてくれる可能性はあるかと思いました。日本の全体で働き方改革を進めようと言われていますけれども、その中でも、この産業動物診療においては、どうも時間外勤務が多いだの、働き方が厳しいだのという意見が実際ここでも今日お示しされたわけですので、そこの待遇改善なり働き方改革を、やはり省庁も挙げて進めていくことが人材確保につながるのではないかというふうに思いました。そうすると、絶対数の獣医師の不足ということを増加させるとともに、働き方が人生のライフイベントにそぐわないのでやめてしまう人たちを確保することによって絶対数を増やせば、長時間勤務が少なくなるということは必ず考えられますし、ワークシェアリングみたいなことを、子育て世代のときには少し時間を短くしてあげるとか、それから、高年齢になっている方でもまだまだ働ける方にシェアしていただくとか、なるべくたくさんの資格を持ったり技量を持った方々が多くの方で短時間なりにシェアをすることで、今の働き方がひどいという問題をある程度改善できれば、人材発掘・確保につながるのかなというふうに提案させていただきたいというふうに思います。それから、もう1つ課題として見えてきたのは、牛、豚、鶏の現場でもいくつかアンケートを出していただいたんですけれども、ちょっと地域別に課題があるのかなという気がしたのですが、地域別、県別のデータが一部に限られておりましたので、そこは、どういう地域、地方ではこういう課題があるというのを、もう少しざっくりでもいいので、県とか地域別に改めていただくと、どういうふうに問題を解決できるのかが見えてくるのではないかなというふうに思いました。件数が減った、増えたのというのは県別で出ておりましたが、それぞれの不足しているとか足りているというところでいくつかの課題が見えていることの、やっぱり過疎地なのか、それはかなり生産する現場と消費する現場が近いような土地なのかがちょっと見えなかったので、そこも少し地域別に、せっかくのデータを見える化していただくと解決策が見えてくるように思いました。それから、もう1つ、教育現場に携わる者として、教育の重要性が非常にはっきりしたので、これは我々の責任は大きいぞというふうに思いました。私どもは獣医教育ではないんですけれども、畜産とか食品とか、そういうところにかかわることに非常に大きな貢献をしてほしいと思って話すと、学生はそれを分かってくれるので、それから、インターンシップの重要性とかが分かりました。それから、社会貢献度が高いものを学生が選ぶということも非常にうれしいことだったと思います。そういうことを割と大学の先生は自分の研究ベースでオタッキーな話をする方も多い中、そういうふうではなくて、やっぱり自分が受けた教育がどうやって社会貢献できるかということを教えられる教員教育も大事なのかなというふうな気が本当にしました。それからもう1つ、教育という面では、西村先生の御意見で、小動物獣医師が今度は余ってくる可能性があるということも興味深いことだったので、例えばですが、簡単かどうか分かりませんけれども、産業動物の獣医師が不足しているものなら、産業動物の獣医師の重要性とか、あるいはインターンをするなどして、現在の小動物にかかわっている獣医師の再教育、リカレント教育も、ひょっとしたら将来的に人材確保につながる1つの有効な手立てになる可能性があるかなというふうに考えました。それから、あともう1つは、家保の話がこのアンケート調査でも出てきたんですけれども、家保が対応できている地域では獣医師が不足している感が少ないという回答もどこかにあったんですが、家保との連携が重要なのかなと思ったのと同時に、家保の対応の地域格差がないかどうかもある程度見ると、どういう課題が見えてくるのかなというふうに興味深く思いました。ちょっと関係して、先ほど公衆衛生の話も出ましたけれども、せっかく基本方針の中で、資料1の、今日参考資料だったのか挙げられませんでしたが、グローバル対応は、ワンヘルス対応についてはあまり今回述べられていなかったのが、私としては少し物足りない部分ではありました。今回の豚コレラの問題もあるし、BSE、口蹄疫では非常にひどい目に遭った分野なので、そちらのほうに対する獣医師の現場としての活躍の部分がもう少し見えると、国民の人たちにも理解していただけるのかなというふうに思いました。ちょっとたくさんでしたが、以上です。ありがとうございました。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、長田委員、お願いいたします。

(長田委員)御専門の委員の皆さんがいらっしゃる中に、ただ1人、何もないただの消費者の立場で参加をさせていただいています。いろいろお話を伺っていて、いろんな課題があるんだなということがよく分かりました。ちょっと私個人のことで申し上げますと、娘は落合先生の大学の看護の学科を卒業して、24時間、365日の動物病院に勤めておりまして、その夫が獣医師です。その2人の暮らしを見ていると、すごく大変だなというのは、夜勤明けでもなかなか帰ってこられないとか、そういう状態はずっと見ています。もしそういう中で小動物の医師をやめて産業とかに行くとなっても、それを勉強する余裕はとてもなさそうだなと感じながら聞いていました。獣医の皆さんのお仕事が、動物を直接治療すること以外にたくさんいろんな場面、私どもが消費者団体として取り組んでいる食の安全のところとか、それから、場合によっては化粧品のところでも、獣医の皆さん、開発のところでは御活躍だと思いますし、さまざまいろいろ御活躍していらっしゃるというところの中で、また国としていろんな課題を持って基本方針を作っていくんだなというのが今やっと分かったというところなので、またこれから勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

(砂原部会長)ありがとうございました。続きまして、村中委員、お願いいたします。

(村中委員)日本獣医師会の立場として話していいのか、一開業医として話していいのか、ちょっと悩むところですけれども、ちょっとお話しさせていただきます。実は私、母校、日本獣医生命科学大学ですが、そこで新1年生、4月に特別講義というのがあって、そこで「獣医師とは」という講義を持っています。それから、5年生になった学生に対して病院経営学という講義もやっています。これはおもしろいんですけれども、1年のときには将来、小動物に行きたい人というようなアンケートをとると、今大体8割以上そうですね。でも、大学5年ぐらいになると、先生がおっしゃった6割、7割も多分ないんじゃないかなと思うんですけれども、今、小動物に行こうという人が、以前と比べましたら大分減ってきた感じはあります。というのは、それは私の病院経営学の講義の影響もあるかもしれません。この業界はよくないんだということを言わざるを得ないんですね。これは客観的なデータを並べて講義をしますので、どうしても西村審議会長がおっしゃられたように、もう今、かろうじて890万頭ぐらい、犬の数もあと10年もすれば、恐らく私は600万頭を切るなというふうに思っています。これはもう人間の人口の構図と全く一緒で、若齢の者がいなければ当たり前のようにいなくなっていくわけですよ。ですから、今1歳未満の犬がもう3.数%しかいないという状況ですから、もう明らかに減っていくと思います。ちょっとそれは置いておいて、そういう意味で、小動物の領域の獣医師がこれからかなり、今の社会の需要に対して減ってくると思いますね。かなり需要がなくなってくると思います。そういったような中で、今、獣医師の地域だとか職域の偏在ということが言われていますけれども、職域の偏在ということよりも、もっと大きなところで我々の想像のつかないことが今起こってきているというふうに感じています。もう1つ、私も病院を始めてもう35年になりますけれども、これまで50人以上の勤務獣医師、要するに卒業して新卒の人を雇い上げてきましたが、感じることは、臨床に向いていない人間もものすごくたくさんいる。極端な話をすれば、臨床に向いている人間は2割以下ですね。8割はやっぱり向いていないんです。向いていない人は、この業界からやっぱり去っていきました。ですから、職業のミスマッチというのがまず学生を不幸にしている。これは雇い上げる側としても不幸なわけですよね。お互い不幸になるというふうな状況がやはり見られる。これは恐らく他の職場でもそういうことがあるんじゃないかなと思うんですね。いわゆる職業のミスマッチがそこにあるわけで、せっかく共用試験が実施されて、参加型臨床実習がこれから行われていくわけですから、もっともっとそういったものを活用して、卒業の段階で自分はどこに進んだらいいのかということを、短期間の実習では分からないかもしれないけれども、そういったことをやる。ひいて言えば、適性試験みたいなものがあれば、もっといいかもしれませんね。客観的に出せるような適性試験みたいなものがあって、自分はどこの職域に向いているのかというのを学生に教えることも私は非常に重要なことかなというふうに思います。これから将来、今、討議しているのは喫緊の課題といいますか、現在抱えている問題を解決するための獣医療の体制というふうな形が主なのかもしれませんけれども、これから人工知能、AIの時代になってきて、我々がやる仕事もAIがほとんど、私は恐らく臨床家として、診断なんかはもう全部AIがやっちゃうと思います。そうすると、益々獣医さんのやることが絞られてくるわけで、そういったような中において、私は1つのキーワードはやっぱりワンヘルスだと思っているわけですね。やはり我々の職域というのは、大きく分けて産業動物、それから公衆衛生、小動物というふうによく3つに分けますけれども、これ全てにおいてやっぱりワンヘルスということで、お互いに連携しなければいけないこともあると思いますし、せっかく今、医師会と獣医師会がいい関係を保っている。これは世界でもそう、日本でもそう、それぞれの都道府県でもそう。今せっかくいい環境ができている中において、やっぱりワンヘルスというのは、非常にそこにヒントが隠されている。ですから、職域も、今既存の公衆衛生の獣医さんはこういうことをしている、産業動物の獣医さんはこういうことをしている、小動物の獣医さんはこういうことをしている、そういうものと全く違う、ワンヘルスから広がる仕事といいますか、役割がやっぱりあると思うんですね。そういったことも中長期的な視野に立って、せっかくこのことを討議するに当たって、そこも含めてお話ができればいいんじゃないかなというふうに思っております。ちょっととりとめのない話ですけれども。

(砂原部会長)ありがとうございました。続きまして、水谷委員、お願いいたします。

(水谷委員)東京農工大学の水谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は、農学部の附属の家畜感染症センターというところにおりまして、獣医学の学生を受け入れるという立場にあります。私自身も獣医学教育を受けてきた者でございます。大学の立場から、ちょっと皆様と意見が逆のことをいくつか申し上げるかもしれませんが、まず最初に、近頃のインターンシップとかに来られて礼儀がないとかというお話があると思います。我々出す側としては大変申しわけないなと思うんですけれども、これ、多分、ちょっと冷静に考えると、昔からある話で、我々が若い頃も、やっぱり「近頃の若い者は」と絶対言われていたと思いますし、今も言われていることだと思います。そういう感じじゃないかなと思って受け取っております。じゃ、かといって大学がこれをちゃんと練習していくというのもどうなのかなと思います。それはどうしてかといいますと、私は今54歳なんですけれども、その頃の大学というのは、やっぱり非常に自由な、大学は自由に学べるんだと、そこの中で自分の好きな学問をやっていくんだという高い志で入学してやってきたわけですよね。それは今の御議論の中では、やっぱり職業をかなり意識させろという御意見、時代の流れでごもっともなんですけれども、やっぱり私─これは個人的な意見です。大学の教員としては、やっぱり学問の楽しさを教えて、学問の自由さを教えたいという気持ちも当然あるんですよね。ですから、その辺が職業を斡旋する大学というところに位置づけられていくと非常に難しい。もう1つは、これは文科省マターでもあるかもしれないんですけれども、その一方で、我々は大学院を持っております。例えば6年制の教育で、その後博士課程がありますよね。やっぱり我々は研究をするために下から上がってくる人を増やしたいわけですよね。何人か、4~5人ぐらいはやっぱり増やしたい。そうすると、どうしても研究に向く。研究に向いていくと、産業動物とか、そういう臨床のところから離れていくという傾向があるというふうに考えて、非常に皆様が思っていらっしゃる御意見と、大学というものを純粋に考えたときの温度差が出てくるのかなという気持ちがあります。失礼なことを申し上げたら申しわけございません。それから、もう1つ、ちょっと失礼なことを申し上げるんですけれども、学生のアンケートですね。私がちょっと考えるには、これは1年生と5年生ぐらいでとっていますよね。

(丹菊課長補佐)5年生の子にとって、その子が入学のときにどうだったか。

(水谷委員)どうだったかということですね。多分インターンシップが終わるのが4、5年でやる。そのときには、やっぱりこれは全てのアンケートがそうだと思うんですけれども、やっぱりそのアンケートの意図を酌み取って答えていく場合が多くて、今の学生は本当に頭がいいので、いいほうに答えていくということがあるのかなと思っています。というのは、これも本当に私の細かい狭い了見でお話ししますと、やっぱりもともと産業動物を志している学生は途中では変わりません。牛が好き、豚が好き、鶏が好きという、もう特化しているんですね。牛が好きな人は豚には行かないみたいな、頑ななんですね。逆に言うと、犬が好き、猫が好きという子は牛とか豚には、絶対とは言いませんけれども行きがたい傾向にあります。ですから、ここのところでインターンシップが終わって「産業動物に行きたいか」と「はい」みたいなことを答える人も、ちょっとアンケートの側の人を酌み取ってやっている傾向があるなというふうに、ちょっと私は感じました。それだけに、給料は彼らは関係ないんですね。私のところ、毎年家畜と感染症というのがキーワードで学生が来るんですけれども、3~4人来て、毎年1人、今回は4人出して2人大動物関係に行く予定なんですね。1人は、もう絶対牛だと牛のところへ行きます。もう1人も牛なんですけれども、鶏の企業様のところに傾きかけたときに、自分がもう1回考えて、やっぱり牛だということで決まりかけた企業様を蹴って、申しわけないんですけれども牛のほうに行きました。ですから頑なですよね。給料は関係ないです。本当に好きだというところで行く。ですから、極論を申し上げますと、途中で教育をしても多分あまり変わる傾向は少ない。我々がすごくいい教育をすればそうかもしれないですけれども、だから、むしろ入るときに教育ですね。村中先生がおっしゃったように、入った直後ぐらいのところに1番インプットしていくのがいいんじゃないかなというふうに思っております。すみません。ざっくばらんな意見ですけれども、大学の一教員としての意見を述べさせていただきました。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、各委員から御発言いただいた内容、質問につきまして、事務局のほうから回答等がございましたらお願いいたします。

(丹菊課長補佐)束村委員からいろいろな宿題をいただいたと認識しています。地域別のお話がございましたので、そこをちょっとどういうふうに分析できるか、県内で細かく地域が分かれている可能性もあるので、そこは県ごとで分類できるようなデータをうまく作れればとちょっと考えております。それから、女性の参画の件で、我々はそういう認識も重々しておって、女性獣医師の例えば産休・育休からの復帰に向けた工夫の事業とかも一応やらせていただいているので、その中で今回の方針についてどういうふうに書き込むかということも検討したいと思います。それから、これはちょっと落合先生のところで言われたんですけれども、我々は、これまでもそうだったんですけれども、やっぱり新卒をどうするかというふうにいつも向けていたんですけれども、1回小動物に行かれて途中でやめた人、やっぱりそういう人材プールがあるので、そこをどう使うかということも重要なヒントかなと思いますので、そのあたりを工夫できればなと思っております。それから、長田委員から、小動物の処遇とか労働環境の話もございました。その中で、食の安全とか、そういうあたりも含めてどのようなふうにまとめ上げることができるか、検討したいと思います。それから、村中委員から、小動物の状況について、当省のめぐる情勢にも犬猫の飼養頭数を出させていただいています。その中で予期せぬようなことが起こる可能性についても言及されました。その中で、やっぱりワンヘルス、複数の委員からワンヘルスの重要性ということがございまして、今までの基本方針でワンヘルスについて言及はなくて、今回も後の論点のところには言及していないんですが、獣医師会と医師会の中で協定を結ばれて取り組まれているという中で、どういうような位置づけ、薬剤耐性の話もございますので、そういうようなことも反映させていかなければいけないのかなというふうに考えてございます。それから、水谷委員から、他の先生とはちょっと、学生の意思が意外と固いというようなことで、実習とかアンケートについても若干疑義が呈されたということでございますが、早い時期に大学の中でやるのがいいのか、そこのあたり、どういうような形で、我々が考えているような就業誘導と言ったら変ですけれども、そういうふうに持っていけるかというのは、ちょっとこれはまた大学教育の話に関係するので、どういうふうな形がいいのかというのはあるんですが、そういうものを意識して議論を進めたいと思っております。以上でございます。

(砂原部会長)ありがとうございました。続きまして、安齊委員からお願いいたします。

(安齊臨時委員)安齊といいます。私、今、所属はそこに書いてあるとおりなんですが、昨年まで日本中央競馬会というところに所属しておりましたので、馬代表ということで委員に任命を受けたのだというふうに理解しております。その視点を含めて少し、3点ほど気がついたことについて感想のようなものを申し上げたいと思います。1つは、仕方ないんですけれども、馬のことについてはほとんど10年前の基本方針の中にも出てこないということなんですけれども、今、僕の感じでは、馬の医療に関して1番問題なのは、例えば競走馬がいる北海道とか、競走馬を実際に競馬に走らせている競馬団体、そこは何も基本的には不自由していない。問題は、それ以外のところ、例えば乗馬施設があるところとか、最近は愛玩用に馬を飼っている人というのもいるんですね。そういう馬を専門的に見ることのできない地域で馬の医療が過疎化している。無馬医療村地域みたいな、そんなところが多いんですね。そういうところをどうしていくか。私、個人的に結論だけ言うと、それはやはりふだん牛や豚を診ている先生方、あるいは、場合によっては小動物を診ている先生方が簡単な馬の医療もできるというようなことしか、多分具体的には方法はないと思うんですけれども、いずれにしても、馬を専門とする獣医師がいない地域の馬の獣医療というのは、小さなことかもしれませんが、考えていただければなというふうに思っております。それから、ちょっと馬を離れてあと2点ほどですが、先ほどから西村先生の発言をスタートに、犬の飼育頭数が減ってきて、小動物医療のほうが若干余裕が出てくるというような話もあって、それから、ちょっと私は中身はよく知らないんですけれども、今年スタートした岡山理科大学、ここの卒業生が6年後に恐らくどんと出てくるんじゃないか。そうなると、今回、今後10年の獣医療整備の基本方針ということなので、需要と供給のバランスということを考えたときに、今言った小動物、特に犬の飼養頭数が減ってくる、飼育頭数が減ってくるということと、新たな獣医師が6年後に大量に社会に出てくるという2つを踏まえた上でどういうことを考えるかということは必要じゃないかなという感想をちょっと持っております。それから3番目ですが、これはもうさんざん先生方からいろんなお話が出ている教育との関係なんですけれども、それも私は非常に重要だと思っています。大学教育、それから、先ほどちょっとどなたか触れられましたが、大学に入る前の学生の意識の問題とか、高校生、中学生だと思うんですけれども、そういうものも含めて、どういう獣医教育をやっていくのか、あるいは獣医師になりたい、どういう社会の仕事があった上で大学を選ぶのかというところまで含めた幅広の議論をしていかないと、なかなかこの問題は解決していかないのかなと思っています。私が言うのもちょっとあれなんですけれども、具体的に言えば、例えば中央省庁レベルであれば文部科学省と農林水産省が合同、あるいは共同で何か会議を設けるような、そういうところまで踏み込んでいけば、この問題は少し進展するのかなというふうに、感想でございます。以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、次に、岡本委員にお願いいたします。

(岡本臨時委員)北海道農業共済組合連合会参事をやっています岡本といいます。私の立場からは、NOSAIということで産業動物について述べさせていただきます。基本方針の中で、もし過去10年にないことを盛り込んでいただけるならということでしたら、やはり口蹄疫があったと思うんです。そのときに、国家防疫ということで全国のNOSAI団体として支援しました。それは今までの基本方針にはなかった部分だと思います。基本方針の中で産業動物獣医師というところに触れていて、NOSAIという言葉が必要ではないのかなと。全国組織ですから、全国連合会もありますし、この組織をどうコントロールするかで日本の産業動物診療の方向性がある程度決まるとすれば、やはりそこに触れたほうがいいんじゃないかなと思います。それと、家畜診療所も、先ほどの口蹄疫とか豚コレラも何か岐阜県のほうではNOSAIが防疫支援しているようですけれども、ちょっと10年間で仕事の内容が変わってきていまして、人工授精だとか受精卵移植とか生産獣医療のほうもやっておりますし、予防衛生ですね。飼養管理指導、管理獣医師、そういうところも10年間で大きく変わっているので、家畜診療所の仕事みたいなものにもちょっと触れて、それを前提に各都道府県において産業動物獣医師というのを考えたほうがよろしいのではないかというふうに感じました。それから、これから産業動物の分野が不足ということで触れられるのであれば、できれば、全国連合会がありますので、NOSAI団体全体の意見を1回取りまとめられてはどうかと。NOSAIとしてどうだというところ。そして、今組織再編が進んでいて、1県1組合なんですよ。ということは、県の産業動物獣医療はNOSAIである程度コントロールできるというふうにも言えるのかなと思いますし、そこも考えていただいたらどうかと。あと、獣医師の採用の不足ですね。そちらのほうも、県単位で採用という形にNOSAIのほうはなってきますので、そういう面ではいろいろありますけれども、獣医師の処遇なんかもNOSAIを県の単位として考えていかなければいけない。あるいは教育研修ですね。教育研修も、北海道は研修所を持っていますけれども、そういうことでNOSAIとして教育していますし、開業さんもいるんですけれども、結局NOSAIをやめて開業されているので、教育研修としてはやっぱりNOSAIで腕を磨いていると思います。そういうところに関して国なり都道府県でどう関与していくのか、産業動物獣医師の育成もNOSAI団体として受けたほうがいいんではないかなと。あと、経営問題ですね。離島なんか経営が成り立たない地域もNOSAIという組織で診療しておりますので、そういう営利を目的としていない診療所としての経営問題、そのことについてもできれば考えていただけないかなと。あと、中山間地ですね。そういうところも、やっぱり開業さんは経営できないと思います。NOSAIという全国団体の組織だからやれるんだというところも考えていただきたいですし、そういうところを位置づけていただくと、国として都道府県としてNOSAIをどう考えているかが明確になると思います。NOSAIは、ただ診療をやっているだけじゃないですから、そういうところをもうちょっとアピールして、学生の方にも社会的貢献、本当に営利団体じゃないので、農家さんのために働くという側面ばかりですので、学生さんにもアピールできるところがもっと増えてくるのかなというふうに思いましたので、意見として言わせていただきました。

(砂原部会長)ありがとうございました。次に、落合委員、お願いいたします。

(落合臨時委員)JA全農の落合でございます。現在、広報部というところにおりまして、直接獣医療と関係のない部門なんですけれども、前職が家畜衛生研究所の所長をやっていたということで、引き続き委員をやらせていただいております。全農は、もちろん畜産だけでなく公衆も含めて幅広く農協の全国団体として活動しているわけですけれども、獣医の仕事という部分においては、畜産の中の1つの重要な部門として位置づけて、20~30年前まではグループ全体で数百人の獣医を擁して、臨床、あるいは検査、そして研究という形で進んでいたんですが、ここ最近は畜産の農家の激減もあり、各JAさんにいる獣医さんを除いて、県域と全国域を合計しますと大体160名ぐらいの獣医がおります。大体研究と検査と、それから現場に出る臨床、営業的な仕事も多いんですけれども、大体3分の1ぐらいずつの割合になっておりますが、現場のほうの獣医の仕事としては、基本的には診療というか治療は行わない。もう100%予防衛生ということで、飼養管理も含めた農家さんの経営の安定のために、いろんな相談をしながら獣医的な知識をフルに活用して仕事をしている。そういうことでやっておりまして、今、私の立場上、毎年全国の─今16ですか、17になったんですか、獣医の大学。ほとんど全部の大学に出向いて学生さんのリクルートとかをして、非常に関心を持って私たちの仕事を見ていただいて、実際に応募もたくさんしていただくんですけれども、皆さん、日本の農業のために、農家さんのためにと言って、すごく志も高く、採用もなかなか判断が難しいような感じもあるんですけれども、ただ、やっぱり実際に入っていろいろ適性を見ると、どなたかもおっしゃっていましたけれども、現場向きの人って全体のやっぱり3割ぐらいなんですよね。なかなかやっぱり学生、いろんなタイプの人がいて、家畜とはうまく付き合えるけれども、人間とはうまく付き合えないみたいな、そんな感じの方も結構多いですし、そういうようなところもあって、中のいろんな仕事で適性を見ながら回していくということなんですけれども、それでも5年間の離職率が40%ぐらいになっています。つまり、5人に2人は5年以内にやめてしまう。やめた先、大体どこに行くかというと、ほとんど県の公務員、県職、県の獣医さんになっていく。その最大の理由は、志とかそういうことではなくて、先ほどあまりお金は関係ないと言いましたけれども、やっぱり就職して彼女ができて結婚ということになると、今の学生は自分の生活が1番大事なんですよね。だから、転勤のあるところは嫌だとか、単身赴任の可能性があるようなところでは長く働けないとか、そういったようなところがみんな前に出てきてしまっているのが実情です。一方、県のほうはもちろん県域に限られていますし、県によっては夫婦同時転勤、同じ県に入っている人がそういうふうな、いろんなお金以外の面でもいい、いろんなことを考えてくださっているような県が増えてきているのかなという印象で、やっぱりどうしてもそういったところへ行ってしまう。一方、私たち、いつも思うんですけれども、ただでさえ産業動物志望の人は限られていくのに、地方では結構JAと県はすごくバッティングしていて、人の取り合いをしてみたり、もともと県のいろんな処遇の話が載っていましたけれども、初任給調整とか、何となく地方へ行けば行くほど待遇がよくなっていくというような印象があって、物価水準が低いほど給料が高くなるという、何かちょっと変わった体系になっていて、地方へ行けば行くほど私たちJAの採用活動とはバッティングしているような状況があるという実情です。そういう中で、やはり本当に農家さんのために体を張って仕事をしていただけるような獣医さんをどうしても確保していきたいという気持ちがあり、また、我々だけではなく、民間のコンサルの方々とか、いろんな場面で、あるいはNOSAIさん、家保の中にそういった人たちがたくさんいてほしいと思うので、大学の教育に期待するところは強いんですけれども、どうしても今のそういう、特に若い人たちの気質というのを考えたときに、どうしたらいいのかなというのがちょっと悩んでしまうところではあります。あと、やはりそういうやめてしまうということは、非常に特に若年層─若年層だけじゃないんですけれども、獣医さんの労働市場というか、流動化していまして、我々も出ていくばかりじゃなくて、いろんなところから受け入れています。NOSAIさんから来る方もいれば、製薬メーカーから来る人もいるし、最近では、先ほどから話に出ている小動物から来る人も結構出始めました。職種が違うということもあるので、慣れるまでに少し時間がかかりますが、徐々にならしていきながら受け入れていっているということで、そういうフレキシブルな市場がだんだんでき上がっていくのではないかなというふうに期待しているところであります。とりとめのない話ですが、以上です。

(砂原部会長)ありがとうございました。それでは、各委員からいただきました内容、御質問等について、事務局のほうから回答がございましたらお願いします。

(丹菊課長補佐)安齊委員から、馬のそういうようなところ、乗馬の診療とかをどうするべきか。なかなかそれって回答があるようでないような形で、牛、豚の担当している獣医さんがいるということは、そのあたり、全体の中で馬の位置づけって、ちょっと今回あまり、すみません。前回の基本方針でもあまり明らかになっていない。ちょっとそのあたり、どういうふうに書き込めるかはよく検討したいと思います。あと、教育の関係。需要の関係の話もございました。需給全体を捉えて考えていかなければいけないということなんですが、後ほど論点の案の中で10年後のあるべき提供体制ということで、当然ながら社会情勢の変化を踏まえながら規定をしていくということになろうかと思います。それから、岡本委員から、今は基本方針、NOSAI、農業共済組合という文言が全くないという状況ではございますが、実際に産業動物診療の多くの部分をNOSAIの家畜診療に負っている部分はございますので、そのあたり、どういうふうに書くべきか。また、全国団体等から個別に意見を聞く。これは後ほどヒアリング等を今回考えたいなと思っていまして、その中でどういう対応ができるかを検討していきたいと思います。それから、さらに落合委員から人材のバッティング等々のお話もございました。また、途中で離職率が高いという話もございましたので、そのあたりの対応についてどういうふうな形で整理できるか、また検討したいと思っています。以上でございます。

(砂原部会長)続きまして、事務局に計画部会での主な論点案を作成していただいております。事務局より説明を願いたいと思います。

(丹菊課長補佐)すみません。時間が超過をしておりますので、ちょっと簡単に御説明をした上で、論点案を作成しております。ただ、今日委員の方々からいろんな御意見をいただいていますので、これは案は案として、ちょっと次回、どういうふうに進めるかについて、今回得られた宿題とともに、少し論点は整理する必要があるのかなというふうに考えておりますので、今日はちょっとこれでお示ししましたけれども、特段これ、御意見、もう少しこういうところをということであれば、ちょっと時間がございませんので、別途事務局宛てに何かいただければなと思っております。そういう進め方でよろしいでしょうか。一応今日のものを踏まえた意見は十分反映させていただきながら、部会長、部会長代理と相談させていただければなと思っております。

(砂原部会長)今、事務局のほうから説明がございましたけれども、今後計画部会の部長と話をしながらということでございますので、そのような方向でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、今後のスケジュールについてでございますけれども、スケジュール案について作成していただいていますので、事務局から説明を願いたいと思います。

(丹菊課長補佐)資料7にスケジュール、想定ということで書かせていただいています。これ、議論の進捗状況によって変わるということでございますので、おおむね来年の秋までの5回ぐらいをめどに考えております。ただ、この人数で個別の議論をしていくのがなかなか難しゅうございますので、この中で論点に合った必要な事項について、例えば委員何人かを選任させていただいて、その中で、例えば先ほどのNOSAI団体ですとか、あと都道府県のもう少し細かいところからヒアリングするとか、そういうような形で進めさせていただければと思っております。第2回の計画部会、ちょっとこの論点、いろいろ多くございますので、なかなかこれから年内は難しいので、年度内に1回開ければ、その年度内に1回開催させていただいて、以降年明け、年度明け以降に3回、4回、5回ということで、検討事項1、2となっておりますが、今日もいろいろ課題をいただいておりますので、そこもあわせて整理した上で、大体こういうようなスケジュール感で動いて、来年の秋には取りまとめてパブリックコメントをかける。31年度中に答申という形で考えさせていただいておりますので、これの全体のスケジュール、回数もこの5回ということにとらわれているわけではございません。いろんな委員の皆さん方の御意見を踏まえて変更があり得るということでございますので、そのあたり、皆さん方と相談をしながらやらせていただければと思っております。以上でございます。

(砂原部会長)それでは、ただいま事務局から説明がございました今後のスケジュール案ですけれども、先ほど議論をいただいた検討の進め方とともに大きく関係いたしますので、先ほどの議論を踏まえて御意見をお伺いしたいというふうに思います。何かございますでしょうか。

(西村会長)今後論点について整理していただく上で、1つだけちょっと申し上げたいのは、私は水谷先生と同じ意見で、小動物が減ったら、その人たちは産業動物に流れるかというと、多分それはほとんどないと思います。どこに流れるかというと、その他に行くと思うのです。今、学生が獣医に関係ない会社にどんどん就職し始めています。小動物が減ったら、大動物が増えると安易に考えるのは、危険だと申し上げたいと思います。

(砂原部会長)ありがとうございました。スケジュールにつきまして、ほかに何か御意見ございますでしょうか。なければ、資料のスケジュールを念頭に置きながら、審議の進捗状況を踏まえて調整をしていきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。続きまして、農林水産大臣の指定する診療施設の名称変更についてお配りしております。こちらにつきましては、農業共済組合の合併等による事務的な報告のみでございますので、資料配付をもって説明とさせていただきたいというふうに思います。事務局から提案がなされていますが、よろしいでしょうか。特段御意見がないようでございますので、進めさせていただきます。その他の事項といたしまして、事務局から何かございますでしょうか。

(丹菊課長補佐)今日はちょっと時間管理がきちんとできておりませんで、すみません。委員で御退席になってしまった方もいらっしゃったんですが、熱心な御議論ありがとうございます。今日いただいた委員の皆さん方の意見を踏まえて論点を再整理する。その上で、今後の進め方も含めて、あといただいた宿題がありますので、そのあたりも含めて次回の開催に向けて準備をさせていただきたいと思います。日程については、また別途調整をさせていただきます。できるだけ早く、第1回の開催までに9月に任命される前から委員をお続けの方には、いろいろ御迷惑をおかけしました。今後はそういうことのないようにいたしますので、よろしくお願いいたします。

(砂原部会長)ありがとうございました。本日は、長時間にわたり熱心な議論、ありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


午後4時55分閉会

 

 

 

 

お問合せ先

消費・安全局畜水産安全管理課

代表:03-3502-8111(内線4530)
ダイヤルイン:03-3501-4094

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader