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農林水産省

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令和元年度獣医事審議会 第1回計画部会 議事録(令和元年5月21日)

1. 日時

令和元年5月21日(火曜日) 14時00分~16時00分

2. 場所

農林水産省第2特別会議室

3. 出席者

委員12名   臨時委員4名   合計16名

〔委員〕
伊沢綾子、大塚昭、大橋邦啓、落合由嗣、金子美香子、川手日出子、柴内晶子、須藤陽子、砂原和文、長田三紀、水谷哲也、村中志朗

〔臨時委員〕
安齊了、岡本真平、落合成年、酒井淳一

4. 概要

14時00分   開会

開会

(丹菊課長補佐)来ていない先生、実は交通機関の遅れなどで岡本先生、柴内先生、ちょっと遅れていらっしゃいますが、定刻になりましたので、ただいまから獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針を議題とし、令和元年度獣医事審議会第1回計画部会を開催いたします。それでは、議事進行につきましては、砂原部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(砂原部会長)砂原でございます。よろしくお願いいたします。まず初めに、畜水産安全管理課の石川課長から、ご挨拶がございます。

あいさつ

(石川課長)こんにちは。畜水産安全管理課長の石川でございます。令和元年獣医事審議会の第1回計画部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。

委員の皆様におかれましては、本日大変お足元の悪い中、またご多忙にもかかわらずご出席いただき、まことにありがとうございます。また、日頃から獣医事行政の円滑な推進に多大なるご協力とご理解を賜りまして、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
5月から新しい元号令和の時代が始まりましたが、新元号には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております。農林水産省としても、世界に誇る豊かな食文化と地域空間を次の時代に継承できるよう、農林水産新時代の名にふさわしい政策を展開してまいりたいというふうに考えております。

さて、最近の家畜衛生をめぐる情勢について簡単に申し上げますと、昨年9月、我が国では、26年ぶりとなります豚コレラの発生が確認されております。これまでに23例の発生が確認されております。農林水産省としても、危機感を持ち、対応をしているところでございます。防疫におきましては、発生府県の獣医師のほか、全国の家畜保健衛生所の獣医師、産業動物診療獣医師の方々にも疫学調査、飼養衛生管理の現地指導に貢献いただいております。また、農場のバイオセキュリティー向上のため、新規対策について協議を進めるなど、豚コレラの蔓延防止と経営再開に向けた総合的な支援を講じることによりまして、その終息に向けて、尽力しているところでございます。

本日は、昨年度に続きまして、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針についてご審議いただくこととしております。 産業動物診療分野及び公務員分野における獣医師の確保状況やその課題等について、3名の委員の皆様からご説明いただきます。各委員の皆様には、活発なご審議をお願いすることを申し上げ、簡単ではございますけれども、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いします。

出欠及び資料確認

(砂原部会長)どうもありがとうございました。報道関係者の方の冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。なお、本日は16時30分の終了を目途といたしておりますので、審議が円滑に進みますよう、ご協力お願いいたします。
では、委員の出欠状況につきまして、発表をお願いいたします。

(丹菊課長補佐)獣医事審議会計画部会の委員の定数は20名となっております。本日は、西村審議会長、廉林委員、束村委員、大屋臨時委員より欠席のご連絡をいただいており、ご出席は16名でございます。今、柴内委員がお着きになりました。また、長田委員は業務のご都合により、途中で退席されます。
獣医事審議会令第5条で定める定足数の過半数を充足していることを、報告させていただきます。事務局からは以上でございます。

(砂原部会長)定足数は満たしているということでございます。配付資料の確認をお願いします。

(丹菊課長補佐)お手元の配付資料一覧の順に確認させていただきます。まず、議事次第、獣医事審議会計画部会委員・臨時委員名簿、資料1、大橋委員説明資料、資料2、岡本委員説明資料、資料3、川手委員説明資料、参考資料といたしまして、計画部会での主な論点、これは先日の審議会での意見を踏まえて修正したものでございます。資料につきましては、以上でございます。不足や乱丁等があれば、会議の途中でも結構ですので、事務局担当者にお知らせください。
また、平成30年度第1回計画部会及び第2回計画部会の資料については、タブレットから閲覧できるように設定しております。また、今日の資料につきましても、タブレットのほうにも入れさせていただいております。どちらかご覧になりやすいほうをご活用していただければと思っております。資料の確認は以上でございますが、本日の部会の議事録につきましては、前回同様資料とともに当省ホームページに掲載させていただきますので、ご承知おきいただければと存じます。以上でございます。

議事

(砂原部会長)それでは、議事に入らせていただきます。 本日は平成30年度第2回計画部会でございます。ご案内を申し上げましたとおり、産業動物分野、公務員分野の委員から、それぞれの分野における獣医師確保等の状況、またその課題について説明をいただき、審議を進めてまいりたいと考えております。各委員からのご説明の後に質疑応答を行いたいというふうに考えておりますので、まずは産業動物分野の大橋委員から、ご説明をお願いをしたいと思います。

(大橋委員)大橋でございます。よろしくお願いします。座ったままで説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
スライド番号の1番です。産業動物分野における管理獣医師の役割と題して、いろんな現状、それから問題点、その辺についてご説明したいと思います。
畜産人の究極の使命というのは、全ての国民に安全な畜産物を十分量供給するということで、食の安心・安全と生産性の向上の両立でございます。私たち臨床獣医師は、生産性の向上もさることながら、食の安全も担保しているんだということでございます。
現場の臨床獣医師の活動としては、法令遵守、伝染病の侵入防止・蔓延防止、農場HACCPの構築・認証取得と衛生管理指導、家畜の健康管理、飼育管理の指導等やっているわけですが、近年はフードチェーンの中での一部門であると。生産現場、これがやはり食に結びつくんだということを重点にして、活動してまいっております。
そして、農家数の減少と飼育規模の拡大ですが、もういろんな統計、皆さんご覧になってご存じと思いますけれども、農家数はどんどん減少する。そして、飼育規模はますます拡大していくということで、獣医師による往診距離が非常に延長してきている。それから、規模の拡大とともに、農場の求める要求の変化あるいは高度化というものが、最近起こっています。規模の大きい農場ですと、農場従業員のいる時間内での診療というのが結構重要になってきて、家族労働であれば夜遅く行ってもいいんだけれども、そういうわけにもなかなかいかないと。そしてまた、新規参入農場というのもあるということで、いろんなことで時代が少しずつ変わってまいったわけでございます。
そこで、現状の認識でございます。産業動物分野での獣医師不足。これはもう以前から叫ばれておりますが、1つにはこれがあるんじゃなかろうかと。所得水準と労働時間でございます。
所得水準というのは、実は診療料金、非常に安うございます。例えば、同じ埼玉県内でも、犬猫病院でわんちゃんの歯を1本抜いてくださいというと、大体4万円から6万円。それは医療の質によってなんですけれども、産業動物の場合には開腹手術をして、大変な思いをしてそのくらいの金額になると。
というのは、全てこれ、NOSAI制度が基本になっていまして、農業災害補償法は農家の損失を減らす保険です。農家の損失を減らす保険なので、どういうわけか自然と安い診療料金体系になっているんじゃなかろうかなというふうに推察しているんですけれども。
それから、往診時間でございますね。タクシーの場合は、大体お客さんが乗っていて、実車で走るというと1km 300円ぐらいいただくわけですけれども、大体少ない人でも100kmぐらいは1日タクシーに乗っていると。獣医師は大体産業動物の先生というのは、1日100kmぐらい往診します。私も100kmぐらい往診の時間にとられるわけですけれども、自分の家を中心にして、半径15km圏内には8割ぐらいの農家がいます、15km以内にね。ところが、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりでやっぱり2時間半から3時間ぐらいは車に乗っているんです。遠方の農場へ行くときには、1軒に行くために1時間、1時間半、片道でですね。そうすると、行ってくるだけで3時間かかると。ということで、獣医師1人の受け持つ農場数に限界があるということになります。
お客さんを待っていて1カ所で診療できればいいのだけれども、自分で運転して出かけていくという、その運転している時間というのは、獣医師の本来の仕事とはまたちょっと違う仕事なんですね。それなので、どうしても一般診療だけでは限界があると。だから、開業さんの場合には、25年ぐらい前から、一般診療を少しずつ減らして、それ以外の収入を求めているという状況でございます。
さて、そこでスライド番号の6番ですね。
保険診療に依存しない獣医療ということで、産業動物専門に動いている先生はこんなことをやっていらっしゃると。一般診療メインからの脱却です。生産獣医療、それから予防獣医療に力を入れ始めたと。そして、専門性をもって農場をサポートしていく。繁殖管理、乳房炎の指導、それから衛生指導、飼料設計と、こういうものは緊急性はなくて、予定を立てた行動ができるので休日の確保ができる。あるいは、定年後の再雇用で1日いっぱいは働きたくないのだと、週のうち何日か予定を立てて働きたいんだという人の再雇用になるというふうなことで、NOSAI以外では25年前から徐々にこれが増加してまいっております。ただ、一般診療というのは必ずもう必要なんですね。
そしてここに、次のスライドに繁殖管理というのがありますけれども、一般診療をやっているほかに、開業さんはこういうことをやっていると。一般的に月3万円から、これが月1回とか2回の往診をして、そのときにきっちりとたっぷり時間をとって、繁殖の状況を確認してチェックしていきましょうということです。多頭飼育では、1頭700円ぐらいもらっている人が大変多いですね。そうしますと、100頭乳牛がいました。月7万円、それから繁殖障害の治療費、それも加算になります。ということで、お金はかかるのだけれども、繁殖成績が向上することによって、生産性に寄与していくんだということでやっていらっしゃる先生が結構最近多い。
それから、乳房炎ですね、乳房炎のコントロール。バルク乳の検査等による牛群の状況診断、乳房炎牛の早期摘発とそれに対する対応、そして廃棄乳を減少させて、生産性に寄与しようと。だから、料金はどういうふうに決まるかというと、廃棄乳の減少よりも料金が安ければ、取り組んでいくというふうな形になっています。
それから、衛生管理指導ですね。農場HACCPを推進しましょうと。大体月2万円から、それ以上というふうな形でやっていらっしゃるところが多いんですけれども、この中で大事なのは、農場のデータを総合的に検証して、生産性向上の見える化を図ると。これぐらい投資して、これぐらいのリターンがありましたよというふうなことですね。
ということで、開業獣医師は産業動物専門でやっている人たちというのは、一般診療以外にいろんなことをやっている。それも、ちゃんと料金を求めてやっているということでございます。これは、NOSAIの家畜診療所の先生方もやっているのですけれども、主に診療に付随したサービス、保険の事故を減らしましょうということで、サービスとしてやっていらっしゃいます。
さて、農場を管理する獣医師とはどういうのかというと、農場との契約で家畜の健康管理をします。それから、獣医学的な知識・技術で生産性に寄与します。その根底にあるのは、遵法精神と指導でございます。最近、その管理獣医師に対する要求というのは非常に高まってきておりまして、一獣医師が顧客農場の全ての部門に対応できなくなった。農場がいろいろ考えて、うちはもう少し繁殖成績を上げたいんだ、乳房炎の廃棄乳を減らしたいんだということになってくると、どうしてもその専門家を雇うような形になってまいります。それから、一般診療でも、多頭飼育の場合にはほぼ毎日獣医師が行く。毎日どれかしら、治療がいるということになります。
そこで、常に農場を見る獣医師、私たちはこれを管理獣医師というふうに定義しているのですけれども、全ての中核となって、地方行政や、地元の行政ですね、それから指導機関と連携がとれ、一般診療を通じて農場の状況を熟知する獣医師と。それから、もう一つは定期的に訪問する獣医師です。これはもう専門性を高めて、定期的に農場へ行って、いろんな指導をしてくると。こういうふうなことが必要になってくる。そこで、連携の必要性が出てまいるわけです。
臨床獣医師は移動時間が長い。だから、診療自体は予定が全く立たないです。さっきまで暇だと思っていたら、急に忙しくなったみたいなことは結構ありますね。そして、診療に付随した指導・助言でじっくり腰を据えて、長い時間とって、その農場のためにいろんなことができないということがあります。
それから、産業動物獣医師不在地域が出てきていると。それはもう県境を越えた連携をとっていくしかない。それから、専門性に特化した獣医師数が最近徐々に増えてまいります。繁殖管理だとか、高度な衛生指導ですね。ということで、血液検査は近隣の農場に近いところの動物病院あるいは検査センター、そういうところと連携したりとか、それから、感染症や病理は、これはもう家畜保健衛生所等指導機関と連携しないとだめだということで、非常に獣医師の活動というのは忙しく、目まぐるしく毎日毎日が過ぎていくわけです。
そこで、大橋の試みとここにありますけれども、獣医師の連携についてちょっと、私が今どういうことをやっているかということを、皆さんにご説明したいと思います。肥育農場だとか、私は肥育をメインで診ていますんで、酪農はあまり、今はほぼ診ていないです。肥育農場あるいは一貫経営の繁殖検診以外の部門、これはもうワクチネーションから一般診療、それから農場全体の把握。農場に関する全てのことについて、対応していると。
それから、農場は専門性を持った獣医師もやはり定期的に来てもらわなくちゃいけないなと。そうすると、繁殖検診なんかは、専門性を持った、それ専門にやっている獣医さんに頼む、あるいは衛生指導は、専門性を持った獣医師にお願いすると。検査等は外部委託でやっております。運営はこんな感じですね。肥育農場と管理獣医師契約というのを必ず結びます。そして、法令遵守、農場の衛生管理、家畜の健康管理を行うと。全員の意思疎通がうまくいかないと困るので、情報を一元化するようにしているんだと。そして、正社員は労使契約を結んで、社員として行う。それから、非正規社員は完全フレックスタイムです。農場のいろんな出来事がある。例えば、何月何日導入します。導入したときには、導入牛を検査しなくちゃならないと。そういうときには、その日に合わせて、働きたいときに働いてもらうというふうなやり方ですね。それから、外部委託は雇上げプラス歩合給でやってもらっている。
ということで、大規模化した農場への一貫した指導体制の要件としては、とにかく各獣医師間で緊密な連携がとれること。連絡・報告・相談がきちんとできることですね。それから、管理獣医師が全ての中核となって、指導機関だとか行政、それから農場との橋渡し役をきちんとできないとだめだと。そういうことがあるので、農場には管理獣医師が請求書を起こします。そして、農場からお金をもらって、専門性を持った獣医師に支払うという、そういうことをやっています。そして、何か指示書を発行して、農家に何かさせなければならないときには、必ず連絡・報告・相談、きちんとそこで話し合って、管理獣医師によって行うという体制をとっています。
これが機能しないと、指導体制が丸っきりばらばらになってきます。外部から、遠くからやってくる人が、その農場の過去・未来・現在、現状、そういうものをあまり理解しないままに何かをやられると、指導体制がうまくいかないということになります。あくまでも、指導体制というのは、家保だとか行政だとかと連絡のとれる獣医師が中心になって行うべきだというふうに考えています。
スライド番号16です。
そこに一例を示しました。ここに書いてあるところの、真ん中の管理獣医師というのが、これが私なんですね。A獣医師は専門性に特化しています。毎日仕事しません。繁殖管理専門で動いています。土日は必ず休みです。それから、Bの獣医師、これは農場HACCPの導入だとか衛生指導に歩いてもらうのですけれども、毎日来ません。農場の都合のいい日、自分の都合のいい日、それをうまくマッチングして、農場に出向いていって指導するというふうなことです。それから、E獣医師グループ、これは受精卵の採卵に特化しています。採卵するときはこの人たちを頼むということで、私は何をするかというと、農場全般の把握、それから全ての一般診療ですね。餌の設計とか、そういうのがあれば、必ずそれは病気として悪い面で出てきたり、乳が増えるとか発育がよくなるとかいい面で出てきたりということがあります。私は農場全般に対応するんだと。そして、左にあるように、家畜保健衛生所だとか食肉検査所、税理士、弁護士、それから市町村・環境事務所、この辺は全て管理獣医師を中心として対応をしていくということでございます。
私は開業の立場でNOSAI制度に入っていない農場を対象に診療しているので、こういう形なんです。だけれども、NOSAIに何かしらの形で絡んで仕事をしている人が、7割近くの産業動物獣医師がNOSAIと絡んだ仕事になっているわけですね。それから、職場でいえば、全国の家畜共済の家畜診療所で活動している産業動物の獣医師が圧倒的に多いわけです。ということで、産業動物獣医療の今後をどうするかは、NOSAI制度にかかわる獣医師の今後であるというふうに私は考えています。
開業獣医師というのはNOSAI制度外での活動が大きいので、大動物は診ているけれども、犬猫病院もやっていますよだとか、という人も結構います。何でもかんでも動物は診ていると。そして、NOSAI制度に入っていない農家というのは、「獣医療は受益者負担」という考え方が浸透しています。これを頼んだからいくらかかる、治療費もこれを治療してもらっていくらかかりましたと、という考え方が浸透している。
NOSAIでは、NOSAI制度内での活動です。いずれにしても、保険制度の中での活動ということになります。それなので、開業獣医師ほど活動の幅が広くはないと。それから、処遇改善だとか魅力ある職場つくりによって、雇用の確保を図ったり、いろいろやっていらっしゃるわけですけれども、今度制度が改正されると。そして、家畜診療所は独立採算性に移行するのだという局面になってまいりました。
そのときに一番困るのは、加入農家にとって「獣医療は保険加入の対価」であると、保険に入っているから診てもらうんだというふうな考え方がやっぱり加入農家では大きく、その考えが主流を占めているわけですね。そして、NOSAI制度の今までは、NOSAIの獣医師は本当によく働いています。全ては農家さんのためにと。夜も往診に行く、難産でも何でも一生懸命、みんな頑張ってやってくださると。
ところが、農家の意識はどういうふうに僕らから見えるかというと、掛金をきちんと予算化して、掛金は払う。そして、治療費というのは保険加入の対価というふうに捉えている人が多いように感じます。獣医師の治療は現物給付で損害をカバーしているわけですね。早く治れば事故にならないということですね。だから、農場によっては、保険点数残がある限り、治療は目いっぱいやってほしいと考える人もいるし、それから、NOSAIの獣医師は事故を減らすために、損害防止活動を一生懸命やっていて、有償無償で事故を減らす努力をしています。それをやはり当然視している人もいらっしゃると。開業の場合には、これは完全にNOSAIに加入していない農場の場合には、有料なんですね。ということで、予防・事故防止意識の希薄化みたいなことも、やはり見え隠れすると。
結果は、頼んでも獣医師が来てくれないとか、すぐ来ないとかね。治療点数がなくなると、今度は実費ですよと言うと、どうもちょっと今までの治療費が高かったのではないかとかというふうに考えちゃう。それが保険制度の中で、そんなふうに長い間培われてきた風土のような気がします。
じゃ、ここで過去の例について、私、こういう経験があります。NOSAI加入農家が、NOSAI非加入農家になるとどういうことになるかと。診療・往診回数は、大体70%前後減少します。もう極端なことを言うと、本当に診療頼まれなくなります。加入農家が非加入農家になるとね。ところが、診療費というのは、大体今までの50%前後を確保できるんです。じゃ、何でかというと、手術はこれは農家が自分でできないから獣医さんに頼む。それから、ちょっと牛が下痢した、市販薬でできるものは自分で薬を飲まして治療して、それでも治らなかったら獣医師を頼むとかというふうに、牛の観察・飼養管理・事故の防止のための配慮、その辺が少し芽生えてきます。ということで、治療費が減るんですね。農家も努力するから、治療費が減る。そうすると、繁殖管理に少し力を入れて、繁殖回転率をよくしてみようかとか、予防衛生に力を入れて、ワクチンの回数をふやそうかとかと、そういうふうに考え方が変わっていくと。そして、生産性に寄与していくんです。
結果は、獣医師は利益率の高いものが残って、効率化が図られます。そして、農家は損失回避の経費の予算化によって、生産性が向上します。従来は、損失が出た場合には、それは保険で補償したんですけれども、実は考えてみると、損害を補償で回避するというのは、損失の一部しか、実は回避されていないんですね。
ということで、次のスライドに行くと、20ページですね。私、大体こんな感じです。20年前は、ほぼその治療費って8割を占めていました。私の収入の中でですね。それから、現在までの間に農家数は半分に減りました。自分の持ち分ですね、農家数は半分に減りました。だけれども、飼育規模は当時の2.5倍になっています。だから、残った農家は5倍に規模が増えているということです、平均して5倍に規模が増えていると。
そして、そんな中で、現在はどんな内訳になっているかというと、治療費は大体全体の40%です。そして、生産獣医療、予防衛生、その他が占めているわけです。昔から、産業動物に特化せずに、産業動物も診ますよ、犬猫も診ますよという先生は、実はこの上の部分、黄色い部分だとか、オレンジの部分、その辺が小動物診療という形になってきますね。だから、治療費は非加入農家だと、必ず将来的には圧縮されていきながら、予防衛生に力を入れていくという流れが、恐らくこれ、きちんとできているのだと思います。
ということで、10年後はこんな感じになるのじゃないかなということを予測しているんですけれども、実は治療が多ければ多いほど、やっぱり損失が大きいですよね、農場はね。予防をきちんとしていかなければだめだと。
そこで、農業共済の家畜診療所が独立採算制へ移行するということなんですけれども、一般的に産業動物の開業獣医師、産業動物のみでやっている獣医師を見ると、やはり1日1人当たり4万円、売り上げから仕入れを引いて4万円ないと、車の維持、診療所の維持、福利厚生、いろんなものがなし得ないと。ということで、25日働いたら、100万円はその人が仕入れを引いた分で稼いできてくれないとだめですよと。そうでないと、診療所の運営ができないということになるかと思います。治療費を削減して、生産性を向上しながら、農家から別途お金をもらっていくようなことを考えないと、無理なんじゃなかろうかと。
そこで、共済に加入しない農家の言い分です。うちはそんなに事故がない。これは掛金が高いと言っています。うちはそんなに事故がない、掛金は高い。事故の多い農家は加入します。事故の少ない農家は入らないのが保険です。全く事故がなければ、保険は成り立たないですよね。ということで、事故の多い農家だけが残っていくという形になります。そして、また、治療費1割負担、農家負担を導入するということで、手続が煩雑だから、ちょっとどうしようかなと思っている農場もあると。NOSAI加入頭数は減少しているけれども、日本にいる家畜の相当数というのはそんなに大きく減少しているわけではないと。だから、この辺で抜本的な見直しが必要なんじゃなかろうかなというふうに思います。
さて、ここからです。総合的な農場バックアップ体制の構築。家畜診療所内でのスペシャリストの育成だとか、加入農場の一般診療も含めたバックアップ体制、この辺はもうNOSAIさんはちゃんとこのスペシャリストも育成しているし、バックアップ体制もきちんとできているんです、完全にできているんです。ところがその下ですね。農場の要求に応じて別途契約するだとか、契約メニューを細分化するだとかということが、ちょっと今のところできていないと。
結局、個々の獣医師が診療のついでに行っていた繁殖検診とか、そういうものを独立させて、より専門性を持たして、指導していくような体制と、それにまつわる料金の設定ということが恐らく家畜診療所がきちんと運営していくためには必要になるんじゃなかろうかなということを感じます。保険診療以外での収入源の確保と、農場生産性の向上を図っていかなければだめだと。
さて、そして、ここに期待される獣医療提供体制というのがありますけれども、これはもうずっと農業共済制度の中で定年まで長きにわたってやられていた、今日この場にお見えの酒井臨時委員につくっていただいたスライドです。このスライドについて、ちょっと説明したいと思います。
行政、それから関連団体及び消費者と一番左にありますが、農場管理獣医師は、農場の必要なスキル、情報等を管理し、双方向、行政及び農場に対し、適切な指示を出す存在として位置づけられていると。農場管理獣医師というのがあって、農場がいる。そして、専門獣医師によるスキル提供を得ながら、農家を指導していくわけです。
さて、ここでこの色のついているところ、オレンジの部分。今NOSAIの家畜診療所がどういうことをやられているかというと、1番から9番まで。これは農場にまつわるいろんな出来事の中で、農場の生産性を高めて、事故防止に努めようということでやっているわけです。また、食の安心・安全のためにもやっているわけですね。ところが、その中で収入に結びついているのは3番、家畜診療、診断・治療・看護、ここらあたりです。それから、食品衛生・薬剤耐性防止のための指示、この辺ですね。そのほかは、全て料金をもらわずに今まではできていたということになります。サービスとしてやっているのが損害防止活動だとか、それから生産獣医療、それから臨床獣医師の育成・指導、この辺はサービスですね。それから、今後力を入れていかなければならないということは、はっきりしている分野として、1番の家畜防疫指導、2番の家畜衛生指導、食の安全、それから農場HACCP及びGAP認証のための指導と、こういうことで、全部で9項目ある中で、利益に結びついているのは2つだと。ということで、これを何とか利益に結びつけていかないと、うまくいかないのではなかろうかなと。
産業動物臨床獣医師の新しい収入源の考え方として、農場管理獣医師は、家畜防疫、家畜衛生面などを含む多角的視点で、常日頃の農場と家畜の状況を把握し、適切な指示を農場に提示することが求められていると。これは、日本獣医師会の産業動物臨床・家畜共済委員会で決めたことですけれども、産業動物臨床獣医師(NOSAI家畜診療所等)は、農場への往診頻度並びに農場の把握状況などから信頼性が高い。常に農場とコミュニケーションをとっています。それが中核となって、いろんなことをする管理獣医師としての活動に適した存在であるというのが、まず1点。それから、産業動物臨床獣医師(NOSAI家畜診療所等)は、求められた技術・情報に対し、適切に提供・指導を行っていると。行っているんですけれども、これについては、全く収入に結びついていないということですね。 新たな収入源として、この辺が必要だろうと。4番、損害防止活動、5番、生産獣医療、6番、食の安全、8番、農場HACCP及びJGAPのための指導、それから9番、臨床獣医師の育成・指導と。この辺を新たな収入源として、今までやっていることなのだけれども、サービスでやっていたことをきちんと対価をもらったらどうかなという、そういうことでございます。
そして、次のページ行きます。27ページです。これを簡単にいうと、NOSAI家畜診療所の業務と収入です。
現在の業務、これは診療がメインです。そのほか、緑色のところに書いてある損害防止活動だとか、そういうのはほぼ、これはサービスの分野に属するわけですね。それから、収入としては、家畜共済の診療収入というのが圧倒的に大きくて、一部有償だけれども、多くはサービスで行っていると。それを将来に向けて、今まではNOSAIに加入する農家がいて、掛金が入った段階で、きちんと農業共済の家畜診療所の運営費が確保できたんですけれども、これからはそれがなくなって、家畜診療所は自分で仕事をして稼いできなさい、そして、自分たちの給料はその中から出しなさいというふうに制度が変わってまいります。そうすると、やはり適切な収入としては、家畜共済の診療収入、それと農場管理獣医師契約、そして、あとは衛生指導、繁殖管理、ワクチネーション、飼料設計、その他を有償にしてきちんとやっていきたいと。そうでないと恐らく、外から見ていて、日本中の家畜診療所は、NOSAIの直営の家畜診療所というのは大変苦しい時代を迎えて、獣医師の確保どころではないんじゃなかろうかなということで、今から危惧しているわけでございます。
さて、ここから私の私見なんですけれども、それではその方向性を現実に移行できるかというと、なかなかそれは難しいと。目的としては、無償のサービスを有償にして、獣医師の所得を向上させる。それから、畜産農家の事故率の低減、農家経営の安定、NOSAI加入率の向上ということを、私はこれが目標になるのだろうと思っているんですけれども、今までの掛金のほかに損害防止ですよ、どうしますよといって、新しいメニューを追加してお金をもらうというのは、相当に抵抗が予想されるので、お金をもらわないで何とかこれがうまくできないかと思ったのが次のページでございます。
これは全く私の私見です、ご提案です。現行は、農業共済、家畜共済に加入すると、治療費のB点数というのが自動的に割り振られると。そのB点数、これは全て今まで診療だけで使っていたんです。診療だけで使っていて、そのほかは家畜診療所がサービスとして、いろんな有償、無償のことをやっていたと。それは全ては農家のためになるだろうということでやっていたんですけれども、それを時代に即した獣医療のあり方というふうに視点を変えますと、管理獣医費、それから繁殖管理費、衛生指導、そういうもので、B点数の中からあらかじめそれを確保しておいて、そして純粋な治療費のB点数は減りますけれども、農家がもっと生産性を上げながら予防衛生に力を入れてくれれば、病気自体必ず減ってきますんで。必ず減っていくと、これで大体追いついてくるんじゃなかろうかと、そんなふうな気がします。病気だったら治してあげますよ、事故があったら補償してあげますよ、だけでは、生産者は前へ一歩が踏み出せないということで、生産者に果敢にチャレンジしていただきたいと思って、こんなことを私は今考えてみました。
まことに僭越な話でございますが、最後に農場管理獣医師の責務というのは、生産性の向上と食の安心・安全の追求だと。だから、農場で起きる全てのことを熟知している管理獣医師は、必ず農場にいなければだめだと。そして、NOSAIこそは、その管理獣医師の要件を十二分に満たしているというふうに私は考えております。それなので、きちんと生産者も生産効率を上げながら、大きく羽ばたく。そして、獣医師もサービスで行っていた部分をきちんと有料化して、お互いがウイン・ウインの関係で成り立つような、そういうふうな方向性を模索していっていただきたいと思います。皆さんのお知恵を拝借しないと、獣医療の今後というのはなかなか成り立たないと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
以上でございます。すみません、長くなりました。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。ただいま、大橋委員からご説明がございました。内容等につきまして、何かご意見、ご質問等がございますでしょうか。どうぞ。

(岡本臨時委員)NOSAIへの提言、ありがとうございました。
私も北海道NOSAIという立場なので、北海道は状況が違うかもしれないのですが、1つ、スライドの19、18くらいから流れている、保険に入っているから事故が出てくるんだという論調が……。ちょっと制度が変わりまして、今、危険段階が義務化されていまして、無事故だとかなり掛金が安くなってくるんですね。事故の多い人と少ない人で、上と下で20倍くらいの掛金の差があるので、保険を使わなければ、どんどん掛金が安くなるという構図があるので、そこはちょっと昔とは環境が違うのかなと思っています。

(大橋委員)わかりました。私の認識不足でございました。ありがとうございます。

(岡本臨時委員)それともう一つ、スライド19にある、実際NOSAIをやめた農家さんが自ら予防衛生しなきゃならないということで事故が減っていくと、このパターンもあるとは思うのですが、全てこのパターンということではなくて、実際に私も経験しているのは、NOSAIをやめて、病気があっても獣医を呼ばなくなった。どんどん病気が増えて、廃業していくと。このパターンも確かにあるので、一概にこういうことばっかりではないんだと思います。以上です。

(大橋委員)ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。これはほんの一例で、全部がそうじゃないという話です。確かに、獣医師が来ない農家はやめていくしかないんですよね。

(砂原部会長)それでは、今の意見も参考にしていただいて、まとめていただければというふうに思います。ほかにございませんでしょうか。それでは、ないようでございます。
先ほど説明がございました、長田委員におかれましてはこの後退席される予定でございます。事務局から事前に送付しております委員説明資料等について、何かご質問等がございましたら、ここで伺っておきたいというふうに思いますが、何かございますでしょうか。

(長田委員)ありがとうございます。専門家ではない一般の消費者からすると、まだよくわかっていないこともありまして、今ここですぐにご質問させていただくことがないので、また改めて次の機会にと思います。よろしくお願いします。

(砂原部会長)わかりました。どうもありがとうございました。それでは、先に進めさせていただきます。同じく産業動物分野から、岡本委員からご説明を願いたいと思います。

(岡本臨時委員)北海道NOSAIの岡本といいます。よろしくお願いします。
私の題名にあります、NOSAI家畜診療所の運営に関する現状と課題ということで、一応、私は北海道のNOSAIですが、NOSAI全国のほうでいろんな会合とか、これからのNOSAI診療所の運営をどうしようかというお話し合いがございまして、その中で全国のご意見等をいただいた中で、若干1(NOSAI家畜診療の運営)はまとめてございます。それで、全国的な傾向という形です。
(1)ですが、NOSAI家畜診療所ということで、最初にNOSAI家畜診療所というのは、農業共済組合が運営する診療所ということで、組合員への診療所でございます。したがいまして、農家さんは組合員でありまして、そこが運営している診療所という意味で捉えていただきたいと思います。これが全国に231カ所、1,716名の獣医師が産業動物診療件数の全国の66%近くを担っていると。うち、北海道は800人くらいなんで、半分近くは北海道の獣医師かもしれません。我が国の産業動物診療の太宗である、国の農業保険制度の普及推進、それから疾病・死亡家畜の検査。ここが基本的に伝染病の防止の原点だと思うのですが、必ず死んだ家畜はNOSAIの獣医師が検査をしています。怖い伝染病じゃないかどうかというところも、そこで見ているわけです。それから、損害防止、家畜の防疫・衛生。北海道の場合なのかもしれないですけれども、届出伝染病のかなりの部分はNOSAI獣医師が管理しているというような意見もございました。それから、畜産振興、公衆衛生、臨床獣医師の育成等に重要な役割を果たしているということでございます。
(2)近年、産業動物診療獣医師の高齢化が進んでいます。その中で、獣医師の地域偏在と職域偏在によって、獣医師が不足しています。実際には、定年退職者の補充ができない地域も存在しています。
(3)ですが、将来にわたって、安定的に地域獣医療を担うためには、待遇改善とか労働環境の改善、そういう組織的な対策が必要でございますが、畜産農家が減少し、それから農場の大規模化・点在化、それに伴いまして、往診距離が年々長距離化しています。極端な県では、1日300km往診しているという県もございました。さらに、離島や中山間地、離島なんかはフェリーで往診するわけですから、診療効率が著しく悪いと。そういうところでは、基本的には開業獣医師は単独経営できない。それで、家畜の希薄地帯などを主にNOSAI家畜診療所が担当せざるを得ないということでございます。診療効率と収益性の低下は一層顕著となって、なかなか処遇改善、労働環境の改善は進んでいないという現状がございます。
(4)また、NOSAI家畜診療所に勤務する女性獣医師、平成20年度は165名でございました(9.8%)。平成30年度は384名ということで、年々増加してございます。これは、平成20年度くらいから、採用する獣医師の半分が女性ということで、必然的に年々女性の割合が増えています。急速に増加しておりまして、産前産後の休暇・育児休業等に加えまして、往診を仕事としてございますので、妊娠が判明した時点で内勤に移っていただく。さらに育児期間中はやっぱり夜間当番から外れていただくとか、そういうところの課題も多い。ここはデスクワークとはちょっと違うと思います。女性の働きやすい職場環境とするためには定員の増加ですね。常時の定員をある程度ふやしておかなきゃ対応できないというところがあるんですが、なかなか、人件費が増加するということで、課題が大きいところでございます。
(5)ですが、29年度におきましては、NOSAI家畜診療所の全国の4割以上が赤字経営ということになってございます。さらに、大橋委員のお話にもありましたが、制度改正で独立採算というか、今までは保険会社が運営している診療所ということで、掛金を収入にできたんですが、そこは切り離して、保険と診療は切り離して、診療所は診療だけの収入でやっていくという流れになってございまして、そこのところでも一層の赤字が見込まれている。そのため、一部地域では、診療所の廃止、撤退ですね、これを余儀なくされる。そういうところは無獣医地域になりますから、農家さんも困るということでございますが、経営できないということで存続が困難な状況になっている。
それと、獣医師の確保については、都道府県でかなり環境が違います。一応北海道の例で、ここは述べさせていただきます。
(1)北海道では、50歳代後半の獣医師が多い。さらに、恒常的に中途退職者が存在します。これは後ほど説明します。それらを考慮すると、毎年50名前後の獣医師採用を確保していかなきゃいけない。
(2)ですが、採用試験の学生旅費を全額負担している、優遇しているということもあって、都府県のほうからもたくさん受験者が来ていただきまして、受験者数は50名前後確保しているんですが、8割が道外から来ていただいております。ただ、かけ持ち受験の内定辞退も恒常化しておりますし、勤務地の偏在化ですね。あそこは嫌だという地域もございまして、特定の地域は定員を確保できないということでございます。
それから、2ページでございますが、(3)北海道の場合、8割以上が北海道外の出身者なんで、Uターン転職される方も多いです。定年まで勤められない方が多いということで、年間約30名は中途退職します。それで、中途退職の抑制対策というのも課題となってございます。したがいまして、50名採用しても30名やめていくという構図はやっぱりちょっと安定確保が難しいのかなということで、後ほど、そのところも触れてございます。
それから、(4)地域別の個別課題ですが、僻地あるいは過疎地域ですね。僻地というのは、都市部から遠いという意味で僻地と使ってございます。過疎地域は人口が少ない。離島等ですね。
まず、アですが、大型スーパーがない、育児や教育環境が整っていないと。先ほど言いましたように、8割は北海道外の出身者でありますし、さらに言えば、そのうち半分以上が都市部の出身者でございます、関東圏ですね。それらの方については、勤務地選定ではマイナス要因となる場合が多い。
それから、イですが、そのため家族は都市部、札幌近郊で生活して、獣医師が単身赴任という場合は生活費の、かまどを2つ持つということで増加がございます。
ウのほうでは、子供に高等教育をさせるために中学・高校からは別居、子供だけ都市部に住まわせるというパターンもある。
エのほうですが、女性獣医師の場合は、これも真剣にこういうことあるんですが、地方に行くと、高学歴のためというのもあるんですが、適当な結婚相手が見つからないという悩みが実際にございます。婚活のため離職しますという方もいる。やっぱり僻地・過疎地域というのは、こういう難しい問題もある。
オですが、募集しても応募者が少なく、獣医師も定着しない。
2のほうですが、家畜希薄地域、逆に都市近郊地域。都市近郊地域は、家畜の希薄地帯でありますので、そこで課題がある。
アのほうですが、診療効率が悪いです。都市部の診療をやるので、往診距離も長くなる。要するに、農家が点在しているんですね。診療収入は少ない。円滑な当番業務に必要な定員を確保するだけの収入は得られていない。診療収入が不足しているので、なかなか給料上げられない、あるいは高度医療機械も導入が遅れているというところは、都市部は都市部で悩みはございます。
それから、3ですが、獣医事審議会計画部会、この計画部会で提案するというのはちょっとおこがましいですが、考えていただきたいと思うのは、基本方針へNOSAI家畜診療所の役割を明記いただきたい。地域獣医療においては、NOSAI家畜診療所が果たしている全国的かつ公共的な役割、これを明記いただきたい。都道府県の計画におきましても、明記いただくよう指導していただきたい。
まず、家畜診療とか損害防止、先ほど大橋委員の言われた役割、これはやっております。さらに、なかなか見えてこないんですが、家畜衛生・家畜防疫、こちらのほうも死んだ家畜を全頭検案しているというのはかなり大きいんだろうなと思います。それは、地域に獣医師がいるからできるということの意義。さらに、先ほど言いましたように、届出伝染病の管理はほとんどNOSAIがやっている。
それから、3で畜産等生産現場における役割、これは生産指導等も行いますし、4では食品衛生・薬剤耐性等公衆衛生分野での役割、それから5産業動物診療獣医師の育成分野での役割と、この辺のところは果たしている。
それから、(2)ですが、国・都道府県で行うべき獣医師偏在対策。こちらのほうについても、考えていただきたい。獣医師の地域偏在・職域偏在につきましては、大学入試で高偏差値化になってきているということと、受験者数の大都市圏集中、班長さんは人口相関という言葉を使われましたけれども、人口問題など医師分野と類似した要因に加えまして、医師の場合は必要資格数と人口に正の相関があっていいんだと思いますが、獣医師の場合は必要資格数と人口とあまり関係ないんじゃないか、飼育動物数には正の相関があると思います。伴侶動物でありましたら、人口に比例していいのかもしれないですが、産業動物の場合、北海道、牛馬で80万頭ぐらいいますが、人口が少なくてそういう牛が多い、牛のほうが人口より多い地域とか、そういうところは、どうしても産業動物の獣医師の不足が一層深刻なものとなっています。
したがいまして、医師分野を参考に、獣医学大学入試における地域枠の設定などの検討をしていただけないでしょうかと。全国的な視点での調整措置を検討いただきたいということで、こちらのほうは別添でございます。
4ページに載せてございますが、全国的な視点での偏在対策というのは都道府県単位ではできないという意味での、全国的な視点という言葉を使っておりますが、(1)のほうで医師偏在対策、こちらにつきましては、僻地への医師供給を目的として、自治医科大学、47年に設立され、さらに17年度以降は医学部の入試に地域枠、地域医療の従事者枠等の設置、さらに地域枠を導入した大学には定員の増加というようなことで、全国的な視点で入学枠の調整措置が行われてきた。その結果、平成28年には、自治医科大学を除く79大学のうち、71大学(90%)で地域枠が設定されている。医学部の場合は、入学定員の8,000名のうちの2割が地域枠ということになっているということで、こちら資料の1ということで、7ページでございます。全国の医学大学でどれだけの地域枠あるいは地元出身枠があるかということで、これは厚生労働省のホームページより抜粋しました。9割の大学が地域枠を持っている。ここの言葉ですが、地域枠というのは地元出身者枠という意味ではないというのが、8ページのほうの脚注に書いていますが。アスタリスクの3ですね、地域枠には地元出身者のための地域枠に加え、出身地にとらわれず、地方に勤務するという意味なんですかね。そういう方を含めているということで、この表の見方としましては、入学定員のうちの地域枠が何名、そのうち地元出身枠ということになっておりますので、必ずしも大学がある県の出身者を多くとっているという意味ではないように読み取れました。
医学のほうはこういうことをやっているんで、獣医師にもできないでしょうかということで4ページに戻りますが、(2)で先ほど言いましたように、獣医師のほうでは、少なくとも地域枠を持っている大学が若干あるとしても、ここまで大幅な都道府県間の調整はやっていないだろうなと。特にやっぱり酪農畜産地帯での、人よりも牛のほうが多い地域ですね、そういうところでは獣医師がかなり少ないという、困っているという状況もございます。
 (3)そのため、都道府県ブロックという大きな単位、都道府県単位ではちょっと小さいと思いますので、都道府県ブロックで見ても、かなり必要獣医師数と地域出身者の需給比率に大きな格差が生じているのではないか。特に、北海道、東北、中国におきましては、地元出身者の充足が極端に低いということで、新卒採用が困難なばかりでなくて、Uターン転職、中途退職も多い。慢性的な、獣医師不足が累積していくということで、こちらのほうは9ページのほうにも、調査しましたが、一応獣医学大学の入学者数を都道府県別に聞き取りしました。9ページの脚注にございますが、出身者につきましては、北海道NOSAIのほうで各獣医学大学へ聞き取りしました。回答は、東京大学、鳥取大学、宮崎大学以外は回答いただきました。その隣にあります現存獣医師数Aというのが、獣医師法22条に基づく届出者でございます。ですから、産業動物獣医師だけじゃなくて、小動物、伴侶動物、公務員も全部入った数字でございます。3ですが、更新必要獣医師数というのはその隣の列に計算してございますが、一応どんな職種であっても、60歳で退職補充が出てくるという仮定した場合でございますので、獣医師が24歳で卒業するとして、36年間勤務して、60歳で交代になるとすればということで、36で割りました。北海道でいいますと、定年退職の補充という意味では、大体94名なのかなと。全国でいきますと、1,060名と。一方で、入学者数は全国で、東京大学と鳥取、宮崎除きまして1,059ですから、充足率としては100%なんだろうなと、全国平均でいけば。100%超えていますね、3大学の卒業生を加えれば。ただ、出身者のブロック別の過不足で見ていただきますと、大体北海道で地元出身者で占める割合は5割切っている。東北で68、中国でいきますと57。当然ですが、関東、関西では100を超えているということで、ここを必ずブロック別に100とは言いませんが、あまりにも少ないんじゃないかなと。ここで毎年の定年退職者の更新をしていくのは、なかなか大変なものがございます。
10ページのほうで、人口当たりの学生数。先ほどの入学者数を人口で割りました。大体、北海道を見ていただきますと、100万人当たりの獣医学生8.4人ということで、全国平均が8.3人ですから、人口相関としては北海道は平均だろうなと思ってはおりますが、先ほど言いましたように、人口と必要獣医師数に相関がない。産業動物の分野で、そう思いますので、普通に試験してたらこれ以上はふえない。全国平均が8.3ですから、北海道出身者の8.4は、それは、これ以上ふえないんだろうなと。そうなると、ずっと必要獣医師数に比べて5割を切るような出身者しか、今後ずっとこれしかないということで、やはり地域枠みたいなものは考えていただけないかなということを提案してございます。
それから、4ページに戻ってきまして、(4)ですが、実際に北海道のNOSAI団体、毎年50名以上の募集があるんですが、30年度の募集は59名でありました。新卒で採用できたのは47名で北海道出身者はうち10名であります。さらに、年間約30名の中途退職、これはUターン転職もかなり多いです。都市圏出身者は、僻地の診療所には応募しない。慢性的な獣医師不足が生じている地域が存在してございます。
(5)ですが、獣医師の地域偏在・職域偏在、根本原因と考えられますのは、やっぱり出身地域です。必ず100じゃなくてもいいと思うんですけれども、ある程度の格差を是正しなければいつまでもこの状態なのかなと思います。都市圏集中ですかね。都道府県では解決不可能な課題ではないかなということで、医師のものを参考にある程度何か考えていただけないかな、獣医師国家資格を管理する国としての調整措置、これを考えていただけないかなと思います。
(6)ですが、なお、そういう地域枠ができたとしても、都道府県ブロック単位の出身地格差が若干でも縮小しても、それであっても僻地対策は必要です。それは都道府県で考えなきゃいけないと思いますし、NOSAIで考えなきゃいけないと思います。さらに、5ページになりますが、処遇とか労働環境改善、これらについても都道府県なりNOSAI団体が取り組まなきゃいけないと思います。
2のほうですが、具体的な獣医師偏在対策の提案ということで、(1)から(3)まで提案してございますが、これ、先に言っちゃいますけれども、アスタリスクに書いております「医師偏在対策について」というのが厚生労働省のほうの医政局需給分科会のほうで答申されてございます。そちらのほうを参考にしますと、まず、国のほうが「ものさし」をつくらなきゃいけない。都道府県偏在あるいは都道府県管内の地域偏在、これを統一的にはかる「ものさし」を設定しなきゃいけない。
(2)ですが、(1)の「ものさし」に基づきまして、今度ははっきり不足しているとわかっている都道府県は、まずアのほうで、医学大学を例に、ある程度地域枠が獣医学大学にあるとしたら、イのほうで、近郊の獣医学大学に対して、要請する制度をつくりなさいと、これが医学のほうの僻地対策の基本のようでございます。 ウですが、さらに獣医師が不足している都道府県の知事は、遠い大学についても地域枠をつくってくださいという要請をするよと。このイとウをやっていかなきゃ、医師のほうの地域偏在も解消しないというような見通しになってございました。
(3)ですが、さらに都道府県管内の地域偏在ですね。これはもうはっきり僻地対策でございます。知事は管内の獣医師の偏在の度合いに応じまして、「獣医師過少地域」を設定すると。これも医師のほうでもそうらしいです。医師過少地域を設定すると。そこに対しては、都道府県、市町村と協力しまして、人的支援あるいは経済的支援、こういうことを都道府県がやりなさいというふうな提案でございました。獣医師の地域偏在なり、職域偏在も似たようなものではないかなということで、(1)から(3)を提案させていただいたところでございます。
3番目、現行の修学資金貸与事業ですね。こちらのほうについても、やっていただいてはございますが、北海道のNOSAIでは使ってございません。 一応使っていない理由ですが、(1)独立採算による診療所経営が不可能である僻地・離島等の経営できない地域、家畜希薄地域、こういうところで診療・防疫・生産指導の地域獣医療を担えるのは、基本的にはNOSAI団体だけでございます。一部の地域では、家畜保健衛生所もやっていると思いますが、本当の僻地に診療所を持っているのは、獣医師がいるのはNOSAIだけかなと。
6ページでございますが、(2)で、当然でありますが、個人開業の病院、伴侶を含めまして、独立採算ができない地域では経営しません、できないんです。経営ができるような地域を開業獣医師がやって、周りのドーナツ型に僻地のところをNOSAIが診るという構図はだんだん定着化してきています。したがいまして、実際に僻地等の地域医療を担っているのは、都道府県単位の組織でございます。所属する獣医師は転勤族であります。さらに、獣医師の募集・採用単位も都道府県単位での募集でございます。
(4)現行の修学資金貸与事業につきましては、実際の僻地獣医療の担い手が、都道府県単位の転勤族ということは前提としてはいないのかなと。転勤族ですから、僻地にも行きますが、先ほど言いましたように、経営のできるいい地域にも転勤します。獣医師が不足する特定の地域と特定の学生を結びつける今のやり方であれば、転勤族は難しい。必ずそこの地域に配属するということも、組織としてはできませんので、なかなか僻地の獣医師を確保するという効果は低いのかなと。
(5)ですが、また、北海道におきましては、年間の募集人数が道庁と合わせて120人です。今年も多分120人くらいになると思いますが、北海道全体という単位で120人の募集に対して、全員を修学資金の対象にするのは無理です。100万円掛けても、1億2,000万ですか。それはちょっと無理だと思います。したがいまして、ごく一部の学生、2名、3名に修学資金をあげるよということもできないです。そういうことであれば、活用できないと。
(6)ですが、経営困難地域、ここを何とかするということでございます。経営できる地域は放っておいても、獣医はいると思うんですね。そうでなくて、本当に経営できない地域にいかに獣医療を定着させるかということを考えていくのであれば、都道府県単位で運営している組織がやっぱり転勤族という形で僻地獣医療をやっていくしかないと。子供がいない時期だとか、逆に子供がもう手を離れて、夫婦2人になった年代、そういう方は僻地に行っていただけます。そういうところが実際に僻地獣医療を担っているのだということであれば、NOSAIへの経営支援なり就職誘導方策が最も効果的ではないのかな。地域偏在なり職域偏在、都道府県単位の調整をある程度やっていただけないかなと。極端な需給格差を縮小していただければ、全員がもう北海道出身だというのは無理だと思っておりますが、もうちょっと何とかならないかなと。大学入試における、都道府県地域枠をある程度行って、知事が必要と思えば要請できるという制度はつくっておくことは必要ではないかなと考えております。
それから、最後に3ページですが、やっぱり大橋委員が言われたように、いろんな収入源開拓だとか、新しい獣医療の提携とかをやっていっても、結果的にNOSAIは経営困難地域から撤退はできないんですね、絶対に、組合員組織でありますし、そこに開業さんはいませんし。公務員も、そういう本当の僻地はなかなかないので。そこはNOSAIの家畜診療所への公的支援ということは必要ではないかなと。1から3のようなところにつきましては、公的支援も考えなさいということを、ある程度何か、提供体制の中でご指導いただければと考えてございます。
私の説明は以上です。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。ただいま、岡本委員からご説明がございました内容につきまして、何かご意見、ご質問等がございましたら。どうぞ。

(水谷委員)水谷と申します。大学で教育している立場から、ちょっとご質問とご意見を述べさせていただきたいのですが、基本的に、私も地域枠というのは設けられたらいいなと思って賛成なんですけれども、医療の場合は地域枠があって、それで地域診療に最後向かっていくということですよね。ですから、教育内容は同じだと思うんです。この今おっしゃった地域枠は、産業動物に特化した地域枠という理解でいいんですよね。

(岡本臨時委員)私は、先ほど資料のほうで見せましたが、9ページですね。ここの、例えば北海道であれば、3,396人の中には公務員も、伴侶動物の小動物の開業も入っているんです。全体として地域に従事する出身者が少ないということで、ここがある程度伸びてくれれば、別に産業動物じゃなくてもいいと思っているんですね。はっきり言って、伴侶はもう飽和状態なんですよ。札幌で伴侶動物の開業したいといっても、誰かがやめなきゃ入れませんから。そうなると、地元に戻って獣医師として仕事をしようというときに、公務員とか産業動物の選択肢もあるんだろうなということで、必ずしも産業動物ということで考えてはおりませんでした。地域として、ある程度の出身者枠があればいいなと。

(水谷委員)これ、実際に獣医療、獣医大学でそういう地域枠というのがないので、私も予想でしかないんですけれども、恐らくそういうふうに設けると、今までのパーセンテージと同じように半分ぐらいは小動物、そういう状況がありながらも半分ぐらいは小動物臨床、あと公務員、そして10%ぐらいが地域にということであまり、もしかしたら効果は少ないかなと、そういうふうにしたら。
一方、そうすると、例えば産業動物に限ってというふうにすると、これはもう先はすごく困難で、やはり今現状は小動物の臨床を、中心とは言いませんけれども比重を置いて教えているわけですよね。その先に獣医の国家試験があって、小動物の比率が高いところでの試験があると。これをまた、別個で教えていかなきゃいけないと。大動物枠で入った人には大動物のことを多く教えて、国家試験も変えなきゃいけないという、かなり困難ですね。ですから、おっしゃることに基本的には賛成なのですけれども、やはり全体で地域枠を設けても、私個人的な見ている予想では、やはり今まで同様、小動物に行く人が増えるし、地域枠について産業動物を中心にしても、今度は教育試験が困難になるであろうと。いずれも結構難しいかなというのが感想でございます。

(岡本臨時委員)そのとおりだと思います。簡単だったら、もうやっているんだと思うんですね。何かしなきゃならないとしたら、少なくともこういうことを考えなきゃいけないのと、効果は低いにしても、例えば関東であれば、産業動物、困っていないんですよ。出身者が120%いますから、地元で就職しようとしたときに、当然NOSAIなり、公務員の選択がでてきます。逆に狭き門ですね、NOSAIであっても。千葉NOSAIなんか、本当に狭き門だと思います。ですから、ある程度この地域出身者の格差が埋まっていけば、若干の効果は出てくるのだろうなと。何もしないよりはましかというか、そこは考えていかないと。

(砂原計画部会長)ほかに何かございますか。

(安齊臨時委員)よろしいですか。臨時委員の安齊といいます。私、ちょっと専門は馬なもので、ちょっとピント外れのことも言うかもしれないんですが、今お話になっている地域枠というお話の例の中で自治医科大学等が出てきたと思うんですけれども、私の古い知識では、自治医科大学の場合は、都道府県別にいわゆる地域枠のようなもので採用すると同時に、いわゆる授業料なり生活費なりを全部無償にして、そのかわり卒業後に、その都道府県のいわゆる僻地医療に10年なら10年従事するというのが前提だったと思うんですね。それを参考にして、もし考えられるのであれば、やはり奨学金なり、あるいは就職先の地域なりもセットにして、とる枠、それから就職する枠、それから奨学金のような金銭的な補助、そういうものをセットでやらないと、なかなか難しいのじゃないかなという気がして。
あと、そう工夫したところによると、実際にもう私立大学の一部の大学では、県なりと連携してそういうものも考えているようなところもあるというふうに、ちょっと詳しくは知りませんが、ありますので、その辺は具体的にやっていかないと、今後の10年というのの計画部会ですか、やるんであれば、その辺はどうかなというふうに考えております。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。

(丹菊課長補佐)事務局からです。今、安齊委員がおっしゃられたのは、国のほうで獣医療提供体制整備推進総合対策事業という事業を組んでおりまして、その中で、地元とその当該私立大学が地域枠の入試を経て採用しますよということで、ある程度その了解を得たものについて、国の事業を活用して、例えば地域なり県なりが2分の1、国が2分の1を負担して奨学金、授業料、生活費相当で、上限が私立大学の学生になりますので18万の授業料を給付するというものをやっておりますので、そういう事業のことを指しているのかと思います。ただ、岡本委員がおっしゃるのは、それもあることを承知しつつ、十分それが活用できていないのじゃないかと。そのあたりのことをご指摘いただいていると。
ただ、実はこれ医学部の地域枠、地元枠、岡本委員の資料を見ていただければわかると思いますけれども、各都道府県に1個ずつ医科大学があるという中で、獣医の養成大学というのは国立、私立合わせて今17大学、要は各県に1個ずつあるというわけではないので、そのあたりの違いを踏まえて、我々としても産業動物の獣医師の就業誘導というので今考えられているのが、私立大学の地域枠試験を活用した、地元の都道府県とお金を国が2分の1ずつ出し合ってやるという仕組みに至っているということなので、この審議会の意見なども踏まえて、どういうふうにやっていくと一番効果的なのかというのは、今後も引き続き、改善に向けて検討していかなきゃいけないなというふうには考えております。

(砂原計画部会長)よろしいでしょうか。ほかにご意見ございますか。なければ、次に進みたいと思います。農林水産分野の公務員分野といたしまして、川手委員からご説明をお願いしたいと思います。

(川手計画部会長代理)それでは、東京都の川手と申します。よろしくお願いいたします。
日頃から、先ほどありましたNOSAIですとか、管理獣医師の皆さん、いろいろと私ども公務員の仕事を支えていただきまして、またご協力いただきましてありがとうございます。この場をおかりして、お礼をさせていただきたいと思います。
それでは、資料に従いまして、説明をさせていただきます。初めに、地方公務員の獣医師の職場ということで大きく3つございます。今日説明させていただくのは、この農林水産分野になります。そのほか、公衆衛生分野、それから動物園など、その他の分野もございます。それでは、農林水産分野について、この順に沿ってご説明をさせていただきます。
3ページ目になります。1つ目、農林水産分野の一番獣医師の多いところというのが、私どものいる家畜保健衛生所になります。この家畜保健衛生所につきましては、家畜保健衛生所法という根拠法令に基づいて、ここにありますように、各都道府県に必ず設置される機関でございます。畜産振興のために、家畜の衛生向上を担う機関ということで定義づけをされております。
次のページでございます。設置状況。全国に今家畜保健衛生所は168カ所。これは昨年2月1日現在になります。病性鑑定の施設も含んだ家畜保健衛生所が118カ所、病性鑑定だけを担っているところが50カ所ということで、合計168カ所になってございます。東京とか大阪のようなところは1カ所ですが、北海道には14カ所。都道府県によって、その数が大きく変わりますが、必ずどの県にもあるという施設になっております。
職員数でございます。これは昨年の4月現在ですけれども、2,000名強の獣医師がいます。その中で女性が約800名。最近はやはり家保に採用される職員の中で女性が約半数で、最近5年間の統計を見ますと、平成29年度は50%を若干割っているんですが、あと4カ年はいずれも半分以上は女性となっておりまして、現在も全体で4割弱の女性が勤務しております。第1回の資料にもございましたように、年齢的にもかなり偏在がありまして、やはり若い層には女性のほうが多いということで、家畜保健所の中も最近女性が増えている状況です。
次のページです。ここからは、簡単に私ども家畜保健衛生所の業務について、ご説明をさせていただきます。いくつか業務がある中で、まず家畜防疫。こちらは家畜伝染病予防法に基づく伝染病の予防とか蔓延防止ということで、通常は定期的な検査と家伝法に基づいた定期検査を行っています。かつては、牛のブルセラ病と結核病、それから馬の伝染性貧血などもこの定期検査に入っていたのですが、現在は清浄化が進んだということで、ブルセラ、結核についてはサーベイランスを実施して、それから、馬の伝貧については定期検査がなくなりました。ヨーネ病についてはまだ継続しておりますけれども、こちらの家伝法に基づいた検査の状況も、随分変わってきたなと思います。また、皆さんご存じのように平成22年の口蹄疫、あるいは昨年から発生している豚コレラ、毎年のように発生している鳥インフルエンザ等など、こういった家畜伝染病の発生時の対応というのが、最近は一番クローズアップされている業務かと思います。ただ、発生がない場合の通常の業務といたしましては、いざというときのための防疫訓練ですとか、関係自治体あるいは警察、関係機関等に対しての講習・演習なども行っています。先ほど言いました突発的な家畜伝染病の発生も重要なんですけれども、最近は牛の白血病ですとか、BVD-MDですとか、慢性病の増加に伴いまして、損耗率の高いような疾病の対策、あるいはPED、豚流行性下痢などの対応もかなり重要なウェイトを占めております。
次のページになります。次のページからは、これは最近の報道からとった、私どもの仕事の一部でございます。鳥インフルエンザにつきましては28年度、これは新潟県と青森県における発生時の対応です。こういった、農場の中でどういう仕事をしているかということもかなり報道機関に出ているような状況かと思います。
次は、昨年の豚コレラの対応状況です。一旦家畜伝染病が発生しますと、昼夜を問わず対応が必要になるということで、全国から、あるいは国の先生方もたくさん応援に来ていただきまして、自衛隊等とも協力しながら、家畜防疫の措置を行っているところでございます。
次になります。次のページは、もう一つ大きな柱になります家畜衛生指導で、農家の家畜衛生に関する情報収集ですとか、各種指導を行っております。 東京都では、家畜伝染病の浸潤状況等あるいはワクチンの状況などを調査するための抗体保有状況調査、鶏とか豚の抗体調査などを実施しております。そのほか、飼養衛生管理基準の遵守状況の確認ということで、遵守できていない項目の対策指導等、こちらのほうが最近は非常に大きなウェイトを占めてございます。そのほか、東京都では家保通信などを出して、情報提供を行っているところです。
次のページになります。病性鑑定ということで、こちらは家畜伝染病の診断と各種病気の原因究明のための専門的な検査を実施しているところです。ここにありますように、ウイルス、細菌、病理、生化学の分野に分かれた、専門的な非常に重要な検査です。家畜保健衛生所の診断結果というのが、行政命令、例えば殺処分等の根拠となりますので、非常に責任が重大で、技術の向上維持ということについては、私どもも大変気を使っているところです。 また、今年4月からは、家畜保健衛生所法の施行令改正に伴いまして、診断に係る精度管理の実施が義務づけられております。これを踏まえまして、精度管理の実施という業務が増えているところであります。それから、最近家畜保健衛生所も全国的に施設整備が行われているんですけれども、そういったときにバイオセキュリティーの重要性あるいは周辺住民の方との関係性を含めまして、建て替えにもいろいろなところで気を使っているところです。
その次のスライドは、各種検査の様子でございます。
その次、11ページになります。これは参考ですが、東京都には島に支所がございまして、現在は八丈島に1カ所支所がございます。支所には、今八丈には2名が常駐しているんですが、八丈島と青ヶ島村という2つの離島を管轄しています。島の共済獣医師が八丈町に1名いますが、青ヶ島村は獣医師がいない状況です。このため、家保の通常業務のほかに、人工授精ですとか家畜診療を引き受けることがあります。離島で獣医師がいないところは、家畜保健衛生所の獣医師がいろいろな業務をやらざるを得ないということで、総合的に診療などいろいろな対応をしています。ただ、夜間とか休日の対応が結構多くて、この辺が派遣された職員は負担に感じているところかと思います。
次になります。次は行政系の、家畜衛生とか畜産振興の主務課の仕事です。これは県によって、かなり業態が違いますので、東京都の組織の例をとってございます。都庁では、産業労働局というところが、農林水産関係の対応をしています。産業労働局の農林水産部の中で、食料安全課というところで、動物薬事衛生担当が家畜衛生に関する主務課になっています。家畜衛生に関する対策ですとか予算化、関係機関との調整、国の窓口等を行うとともに、東京都の場合には、獣医事の担当ということで飼育動物の診療施設の指導監督、立入検査等もかなり業務量が多くなっております。あと、動物用医薬品等の取締りで、薬機法に基づきます許可、届出、立入検査等も行っています。業者数が非常に多いので、東京都は薬事関係と獣医事関係、仕事が多いんですが、現在は非常勤を含め6名で対応してございます。
それから、畜産の振興主務課ということで、農業振興課の中の畜産振興担当がございます。東京都の場合には、畜産振興担当4名で都内全体の畜産振興関係の施策、立案、予算化を行っております。また、団体指導等も行っているという状況です。 2にございます、これも県によっていろいろな名称があるかと思うんですが、東京都の場合は農業振興事務所という行政の出先で、畜産振興事業ですとか関係団体の指導等を行っているところです。
次のページになります。試験研究機関など。東京都の場合には牧場がないんですが、農林水産関係の試験研究機関、畜産試験場という名称が多いかと思います。東京都の場合には公益財団法人に一元化して、試験研究を現在農林総合研究センターというところで行っています。その中の畜産技術科というところで、畜産物の安定した生産技術、あるいは畜産環境改善技術というものに関する研究を行っています。
2番として、東京の場合には、この公益財団法人農林水産振興財団の中に、東京のブランド家畜、トウキョウX、東京しゃもとありますが、そのほか東京うこっけいというのもあるんですけれども、こういったブランド畜産物の種畜の配布ですとか、生産の維持を行っています。他の県ですと、こういった事業も畜産試験場が行っていると思います。また、県によっては、地方自治体が公共牧場を持って管理しているところもあります。平成29年度の統計で、都道府県が持っている公共牧場というのは39牧場あります。そのほか、市町村が持っている牧場としては426牧場あるという統計もございます。
次のページになります。これは参考ですけれども、公務員分野ということで、地方公務員以外、国家公務員もこのようにいろいろなところに獣医師が配属されています。その中でも、特に動物検疫所というのは、外国からの病原体の侵入防止の最前線、水際の防疫をやっていただいているところで、私どもとも非常に関係の深いところでございます。また、動物衛生研究部門につきましては、私どもの日頃から研修等を行っていただくとともに、最終的な家畜伝染病の診断等も行っていただいているというところで、家畜保健衛生所と一番密接に関連しているところでございます。
では、次の15ページになります。ここからが、現在の地方公務員の課題ということで本題に入るわけです。まず、先ほどからいろいろなところで出ていますけれども、産業動物関係の農林水産分野の公務員の問題として、やはり獣医師の不足ということがございます。これは、昨年の統計でありますが、47都道府県で採用がございました。1次の合格者数が411名で、採用できたのが255名。追加募集を実施したのが29道府県で、2次、3次と試験をしましたが、最終的に4月の段階で欠員数が88名あったということです。やはり地方のほうが欠員数は多いということもありまして、各都道府県、みんな頭が痛いところですし、先ほどもありましたが、偏在もあろうかと思います。また、募集の年齢要件もここにありますように、通常の公務員ですと大体30歳前後まで、あるいは40歳までぐらいの年齢要件というのがあると思うんですが、県によっては60歳未満、あるいは年齢要件なしという条件で募集しているところもございます。それだけ緩和しているのにもかかわらず、充足ができていないということでございます。ちなみに、東京都の昨年30年度の採用は、採用予定13名のところ、最終合格者は19名。うち13名が女性でした。採用倍率があることで、ほかの県からうらやましいですねという声もあるんですが、でも実際の採用者数は11名で、公務員の場合、国とかほかの県を重複して受験する方が多くて、実態としては奪い合いなのかなというふうに感じております。
次の16ページになります。家畜保健衛生所の業務ですけれども、実際現場での仕事はかなり増えている。それから、重要性も増していて、緊張感も高まっているということがございます。先ほど、課長のお話にもありましたけれども、豚コレラの発生以来、全国からも応援行っていますが、いまだ終息していないということで全国的に緊張が高まっている状況です。それから、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、30年度は幸い農場での発生はありませんでしたが、ここにありますように28年度には9道県12戸で発生、大体毎年発生があり、30年度は奇跡的に発生がなかったのかと思います。 それから、口蹄疫の発生が、宮崎県でございました。こういった発生が最近続いておりまして、家畜防疫に関しての業務が多くなってきて、重要性を増していると考えております。
それから、2番、海外からの家畜伝染病の侵入リスクということで、報道もありますし、国からの説明もいろいろとあると思うんですけれども、海外からの肉製品の不法持ち込みが空港等で摘発されています。それに加えまして、訪日外国人の数も2018年には3,000万人を突破した状況で、過去最高。今後も国はさらに訪日外国人を増やそうと宣伝をしたり、観光の誘致をしたりしております。特に東京の場合、2019年のラグビーワールドカップがある。それから、来年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会があるということで、さらにたくさんの方が外国からいらっしゃると思います。また、今年4月から改正入国管理法に基づいて、海外から国内に働きに来る方も増えると、人と物との海外交流が増加して、ますます海外からの侵入リスクが増大していると、毎日緊張しながら仕事をしているところです。
次のページになります。そういった海外からの侵入リスクがあるということで、農場におけます飼養衛生管理基準の徹底が、今非常に大きな課題になっています。農場への侵入をできるだけ低減するためには、この飼養衛生管理基準の遵守ということが重要であることは、もうこれは農家も家畜保健所の職員も十分認識しているところです。ただ、この遵守事項のハードルがどんどん上がっていくことで、現場では実態と合わないという、いろんな声が生じています。
これは全国の家畜保健衛生所の方からの情報として聞いていただきたいと思いますが、農家に改善指導を行っているんだけれども、少しでも遵守状況を上げて、万が一発生した場合、農家に罰則が適用されないように、家保の獣医師が農家で手が足りないところについては、例えば畜舎の修繕ですとかネット張りなど、そこまで家保の獣医師が作業を手伝っているということも、実態としてあるそうです。獣医師として就職したのに、何やっているのかなというようなため息をついているというような声も聞こえてきます。
また、チェック表、本来もちろん獣医師がきちんとチェックして、具体的な指導をしていくということが基本ですけれども、農家にどんどん行って回って、チェックだけをするという単純作業が多くなってくると、そもそもこれを家畜防疫員が行う必要があるのかといった声も上がっていると聞いています。
畜産業の振興のための組織だったはずだと、自分たちは畜産業のためにやっていると言っているのですが、農家に負担をかけていることに矛盾を感じているというような意見もございました。長年、先輩方から引き継いできた農家との信頼関係が揺らいでいると感じている方も多いようです。このような状況が続くと、家保の獣医師が疲弊していくのではないかという危惧も聞かれます。最初に言ったように、飼養衛生管理基準は非常に重要だということは、農家も獣医師もみんな認識していると思うんですけれども、やはり畜産振興に貢献できないと、獣医師としてのやりがいが持てないということで、魅力を感じてもらえないのではないかと懸念する声も多く出ております。
その次4番目になりますが、病性鑑定の信頼性向上のための精度管理。こちらをやるために、労力的に今こちらにも力を注いでいるということで、その辺の仕事も、事務的なことも多くなっているのが現状でございます。さらに5で、最近は家畜衛生指導だけじゃなくて、乳質改善ですとか繁殖指導ですとか、あるいはここにありますように代謝プロファイルテストなどというような生化学的な指導など、生産性の向上対策などの仕事も多くなっています。
次のページになります。それでも、私どもは公務員なので、安定した給与がもらえるということで非常に職場としては安定しているんですけれども、獣医師の処遇、給与面について若干触れさせていただきたいと思います。これは、最初に適用される給与表で、ちょっと役所的な話なのでわかりづらいところもあるかもしれないですが、獣医師の給与表は、何が適用されているかということです。福岡県が平成29年度に、家畜保健衛生所とと畜検査員は高い専門性と技術力を必要とする業務だということで、特定獣医師職給与表というのを新設しました。非常に画期的なことでした。ただ、福岡県1県にとどまっておりまして、多くの県はここにありますように、医療職(二)というところですね。それから、その他の県、これは東京都も含みますが行政職で5県。獣医師であっても、本庁の家畜衛生の主務課に勤務する場合には、35県が行政職を適用されています。
そのほかに、初任給の調整手当を支給している県が平成30年度には33県ありました。これ、東京都の初任給の比較を載せていただいて、これも県によってすごく差があるんですが、よく比較されるのが薬剤師。同じ6年制ですけれども、薬剤師よりも初任給が低いということがよく話に出てくるところでございます。
次のページになります。公務員に関しては、育休ですとか産休、それから病気による長期病欠というようなことも制度としてはかなり整ってきておりまして、女性が働きやすい環境というのは整いつつあるかと思います。ただ、実際にはここにありますように、代替職員の雇用状況というのは大変厳しい状況になっています。代替の制度がある県は、それでも43道府県ございます。その代替職員の雇用形態も臨時職員でほとんどは賄われていますが、現実には、例えば、育児休業ですとか長期休業などで欠員が生じた場合に、十分な対応ができていないというのが実態かと思います。女性が増えてくる中で仕事も増えてくる。現場では大変な思いをしているところです。
このほか、先ほどちょっとお話がありましたけれども、修学資金制度などもあって、特に県単独だけでやっている、そういった修学資金制度も30年度には14県に上っております。しかし、それでも小動物志向に対抗できるだけの魅力がないのか、先ほどのような欠員が生じている次第です。
次のページになります。畜産農家の減少で、やはり行政対象が減っていくと、当然ですけれども、職員の定数、それから予算の削減圧力が非常に強くなっています。これはどこの県でも、予算とか職員の定数について、農家数が減っているのに、行政対象が減っているのに、なぜ維持するのかというようなことを、予算措置を毎年行う中で説明をしているところです。先ほど言いましたように、家畜伝染病が出ているときは特別なのですが、行政対象が恒常的に減っていくという中では、予算というのは非常に厳しいものがございます。それでも家畜防疫関係は国からの負担金ですとか交付金があって、それを活用しながらやっているんですが、基本となるベースの畜産農家の数の減少というのは、県の予算に反映をさせられるというところもございまして、苦しい状況が続いています。
その次のページです。これはさまざまなものを、その他ということで書かせていただきました。産業動物の獣医師が不足している地域、先ほど言いました離島ですとか山間地について、家保が診療をやってくれないかという意見もあります。実際、長崎県ですとか和歌山県などは地域によって、家畜保健衛生所が診療を担っている地域もございます。ただ、先ほど言いましたように、いろいろな業務が増えている中で、なかなか産業動物の診療にまで業務を担うだけの余力がないというのも現実でございます。
また、ワンヘルスの推進など、公衆衛生分野とか、野生動物の分野との連携も必要だとは思うんですが、役所の組織というのは縦割りで、この辺が十分対応できていないのかなと思います。先ほど言いましたように、農家対応だけだと定数の維持とか難しい中で、ワンヘルスという言葉を出して、いかに私たちの仕事が人間の公衆衛生にも貢献しているかという話をしても、県庁の事務の方に、何ですかそれは、というような冷たい態度をとられるという話もよく聞きます。
それから、第1回の計画部会の中で、産業分野とか公務員分野に、実際に実習に行って、志望を変えたという意見が多かったかと思います。体験型家畜衛生実習の取組について、これも獣医科大学のほうから要望もあって、私どももできるだけ協力したいというふうに考えていますし、また、これをきっかけにいろいろな仕事を知っていただいて、私どもの仲間になっていただきたいと考えています。ただ、実際には中央畜産会が実施しているインターンシップとか、都道府県が行っているインターンシップの事業、あるいは大学が独自に行っている実習制度など、いろんな制度が入り乱れていて、いろんなところから学生が来るということで、家畜保健衛生所で受け入れるキャパシティーが限られている中、もうちょっと整理をしていただけないのかなというのが現場の声です。学生受け入れをどこかで一本化していただいて効率的に、地方にもなるべく研修に行っていただけるような制度があるといいという声もあります。ぜひその辺はご検討いただければと思います。
それから、体験型家畜衛生実習ということで、何をしたらいいのか、受け入れる側からすると、どんなカリキュラムをしてほしいのか、大学のほうからもぜひ具体的な提案をいただきたいと思います。とにかく実習をしてほしいと言われるのが、私ども一番困ってしまうことで、統一的な大学のカリキュラムとか、都道府県に依頼するときの統一的なものがあれば、私どもも効率的に実習に対応できるんじゃないかと思っています。あと、先ほど言いましたように、各県、財政的にも苦しい中で、実習にかかる経費負担、これについても、大学と負担を分担するのか、あるいはほかの制度があるのかわかりませんが、そういった経費負担などもいろいろと検討していただければ、ありがたいと思っています。こういうものを通じて、ぜひ公務員の現場に多くの学生に来ていただいて、現場を知っていただければと思っております。
縷々述べましたように、たくさんの課題があるということなんですけれども、次のページ。現場では本当に多くの方が、獣医師が一生懸命やっている、現場で悩みながらやっている。その悩みながら頑張っている姿を、学生の皆さんにも知っていただきたいのが、私どもの願いです。先ほど言いましたように、インターンシップの制度なども活用しながら、ぜひ大学の皆さんと協力しながら、私たちの仕事を知っていただいて、公務員を目指していただきたいと考えております。以上です。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。ただいま、川手委員からご説明のありました内容につきまして、ご意見、ご質問等がございましたら、受けたいと思いますが、何かございますでしょうか。ございませんか。

(須藤委員)須藤牧場の須藤陽子と申します。千葉県館山市で酪農を営んでおります。川手先生のお話だけではないんですけれども、よろしいですか。今日お三方の委員の先生のお話を聞いて、ちょっと感想もまじえての、川手先生へのちょっとご意見でも大丈夫ですか。

(砂原計画部会長)今の説明について、その後に全体のを伺いたいと思います。すみません。

(須藤委員)じゃ、今のだけですね。承知しました。では、今、川手委員のみのお話にさせていただきます。
酪農家の立場で、まず、お三方の先生初め、いろんな方々にお世話になっての畜産業を日々やっている立場から、本当に皆様方に頭が下がる思いなんですけれども、では、川手先生のお話の中では、やはり一番関係があるところとしては、現場の戸数が減っています。日本全国の中で、やっぱり畜産の農家が減っているというのが一番のネックだと思いますので、そういった中で、やはりどうして減っていくかというと、やっぱり高齢化であったりとか、畜産業そもそも、畜産業の収入源というのが確保されてこなければ、なかなか共済の先生だったり、公務員の先生だったり、ほかの方々への関連した経費というのが流れていかないというのが現状だと思うんですね。なので、畜産の関係でも、やはり牛乳の乳価であったり、対価というものを、そういうものを上げていかなければ、もっていかないというのは根底にあるとは思うんですけれども、そういうのを置いておいても、やはり酪農家の立場でも、働いてくれる方々が少ないと、やっぱり従業員の不足であったりとか、家族労働だけでは成り立たない産業であるので、そういったところに学生さんが実習に来てくれたりとか、そういうこともあるんですけれども、そういった面で酪農であったり、畜産であったり、知っていただいて、どんどん公務員さんになってもらったりとか、獣医さんになってもらったりとか、そういう道があるかとは思うんですけれども、今までも何人も受け入れをさせていただいて、やってはきておるところなんですが、やはり受け入れをする側になりますと予算がかなりかかりますので、先生、川手さんがおっしゃっていらっしゃったように、予算の確保は農場側としても、やはり考えていただいて、農場側の負担にならないように考えていただいて、国をもって支えていただけたら、もうちょっといい体験、受け入れにもなるのかなと思いました。すみません、簡単ですけれども。

(砂原計画部会長)これについては、ありますか。

(丹菊課長補佐)農場にいろいろな獣医師の卵の方とかそういう方が行かれて、それで、これは多分2つあって、いわゆる獣医師の体験実習的な、農場への体験実習というのと、あと東京都さんとか、あとNOSAIさんでも受け入れをいただいているんですけれども、いわゆる獣医師としてのトレーニングとして、そういう診療施設に行くのと二通りあって、農場に行かれるほうは大学のほうでいろいろご対応はされているもの、生産者への方への謝礼とかは払われているところと払われていないところ、いろいろあると思うので、ちょっと国が何をできるというのは、なかなか今ここで申し上げるのは難しいのかもしれないんですけれども、そういう中で、例えば、我々も獣医師の学生に対する実習とかについては一定額をご負担するという事業も今仕組んでいますんで、そういう中でそういう将来畜産を支える担い手を、獣医師も含めてどうするかというのは、国としてもいろいろ考えていかなきゃいけないなとは考えています。だから、やれることは今対応させていただきますんで、そういうことをどこまで何ができるかということを、今後も引き続き考えていきたいというふうに考えております。

(砂原計画部会長)よろしいでしょうか。

(須藤委員)現場といたしましては、その受け入れる際に仕事だけではなくて、食事から住まいから全部提供しなければならないという、すごく負担があるので、その辺をちょっと情報共有をお願いしたいかなと思いまして、発言させていただきました。

(丹菊課長補佐)そういう実態があることを、この審議会で委員のほうからおっしゃられたので、そういう課題があることは、我々としてはきちんと認識をさせていただきたいと思います。

(砂原計画部会長)ほかに、何かございますでしょうか。

(落合委員)落合と申します。大学の立場のほうから、ただいま先ほどその他ということで、体験型家畜衛生実習のところでの大学との調整ということで問題提起がありましたので、そちらに関して、大学側の立場からちょっとコメントできることについて、申し上げたいと思います。大学のほうでは、現在コアカリキュラムって皆さんご存じかと思うんですけれども、それに沿った実習というのがされているんですけれども、その参加型実習というものに関しては、現状ではそのコアカリキュラムに入っているのは小動物、犬猫の参加型実習と、それから大動物、産業動物の参加型実習が入っていますけれども、現在公衆衛生、それから衛生に関する参加型実習のカリキュラムは組まれていないというのが現状です。
現在、コアカリキュラムの改定というのが行われている段階で、だんだんその中でも獣医衛生、衛生と公衆衛生の参加型実習をどうしようかという話がだんだん出てきておりまして、そこら辺をどうしようかという話が現在進んでいる段階です。どこまで進んだかとかいうことに関しましては、私は残念ながら情報を持っていませんので、そういった話が出ているということだけ、ご承知おきくださいということです。
それから、どのような実習をやるということに関しまして、確かに、先ほど先生からのお話で、ごちゃごちゃしているということがあったんですけれども、それは事実だと思います。そこら辺のちょっと調整をしなきゃいけないねということで、例えば、VPcampという組織ですね、東大の中にでき上がっていまして、その中でだんだん意見調整をしているということもありますし、それから日本獣医師会の中でも、何か大学側と、それから受け入れ側のほうで話し合いをしているということがされているのが現状だと思います。以上です。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。

(川手計画部会長代理)よろしいでしょうか。VPcampは公衆衛生が今主体になっていて、多分家畜衛生の関係のVPcampのほうがうまく動いていないのかなという感じがするんですけれども。言いたかったのは、VPcampもありますよね、それから団体、獣医師会もそうだし、中央畜産会もそうだし、それぞれ事業をやっていて、都道府県に、いろんなところから毎年春に受け入れていただけませんでしょうかと来るんですよね。だから、窓口を一本化してくれれば、もっと効率的に、あるいはほかの県に、東京なんかは来やすいんで割と学生さんが集まるけれども、もっと地方にもきちんと行ける、派遣できる。ただ、その派遣するのも、大学の皆さんがおっしゃるには、首都圏出身の方が多いと、地方に派遣するときにはその宿代をどうするんだとか、食事代をどうするんだとなる。中央畜産会のインターンシップではそういうのも面倒見てくれるけれども、どこか一本化して、うまく派遣して、お金の負担も平準化してやっていただくと、さっき言いましたように、地方にもっと学生さんが研修に行っていただけるんじゃないかなと思っています。

(砂原計画部会長)よろしいですか。

(丹菊課長補佐)今、川手委員からお話があった、派遣元が複数あって、それが個々に各自治体さんへアプローチをしているという現状についてご意見をいただいたと認識しています。
各実習主体の切り口というのがあって、ちょっとお手数をおかけしているのは、国としても産業動物獣医師なり、そういうその担い手を都道府県のほうでいろいろお骨折りいただいているのは重々承知しつつ、ちょっとどういうふうにできるか。実際、これ、窓口になっている、例えば、中央畜産会では各県の畜産協会と各県との関係とか、そういうのもいろいろ、どこに行かすとか、そういう調整がなかなか手間取っているというところもあるやに聞いていますので、それも含めて、できるだけ各都道府県さんの現場のご負担にならないような形については事業実施主体に、あと、我々、大学のほうともいろいろVPcampの話とか、一応情報はあるので、ちょっと主体的にうちが何ができるというのはないんですが、こういう状況になっていますよということはきちんとお伝えした上で、できるだけ現場にご負担がないような形でやられるように工夫をしていきたいと思っておりますので、すいません、よろしくお願いいたします。

(川手計画部会長代理)よろしくお願いします。

(砂原計画部会長)よろしいですか。

(水谷委員)VPcampは、あれは文科省の事業ですよね。それで、農水省もVPcampとの何か連携をされているということですか、今のお話だと。

(丹菊課長補佐)直接は連携をしているということじゃなくて、そういうことで動いているということの情報を得ているという、そういう趣旨でございます。なので、うちが直接、文科省から来ているお金について、ああせいこうせい当然言えるわけじゃないので、状況については、情報を得ながら、現場に負担のないようにやれればなというふうに考えています。

(水谷委員)多分、川手先生の言われていているのは、国も何かやっている、大学も何か個別で。中央畜産会、個別かわからないですけれども、何かこう、いろんなところから、それを全て一本化できるようにしてほしいということですよね。

(川手計画部会長代理)なかなか現実は難しいと思うんですけれども。やっぱり受ける側は、例えば中央畜産会は5月中に、何人受けられるか出してください。大学はもうちょっと後に今年何人行きたいんですけれどもとか、それぞれで来ると、年度初めに、じゃ、1本で誰かが声をかけてくれれば、今年は10人なら10人、こういう時期に研修しますよということが組みやすいんです。まさにおっしゃるように文科省があり、団体があり、大学がありというのを本当は一本化してほしいなとは思っているんですけれど、難しいかなとは思っています。

(水谷委員)少なくともVPcampと大学は一体化してやったほうがいいのかしれないですよね、そこは。

(川手計画部会長代理)よろしくお願いします。

(砂原計画部会長)よろしいでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。時間も押してきておりますが。なければ、次へ進みたいんですが、よろしいでしょうか。
それでは、全体を通してのご質問、ご意見等を伺いたいと思います。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ないようでございますので、今日ご説明いただきました3名の委員の方々、どうもありがとうございました。次回は、小動物分野から村中委員、獣医師の職業意識の醸成に関する大学の状況については水谷委員にご説明をいただきたいというふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。それでは、ほかの事項といたしまして、何か事務局からございますでしょうか。

(丹菊課長補佐)次回の開催でございます。事前には日程調整を始めさせていただいておりますが、正式なご連絡については、別途また文書でさせていただく予定でございます。
それから、冒頭にご説明したとおり、本日の議事録につきましては、前回同様、資料とともに当省のホームページへ掲載させていただきます。また、毎回のお願いで大変恐縮なのですが、後日議事録の内容の確認をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

(砂原計画部会長)ありがとうございました。本日は長時間にわたり、熱心にご討議、ご発言をいただきまして、ありがとうございました。 次回の開催につきましては、別途調整をさせていただくということで、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

(丹菊課長補佐)本日は以上でございます。ありがとうございました。

16時00分閉会

お問合せ先

消費・安全局畜水産安全管理課

代表:03-3502-8111(内線4530)
ダイヤルイン:03-6744-2103
FAX番号:03-3502-8275

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