日本農林規格調査会試験方法分科会議事録(令和4年2月24日開催)
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1.日時及び場所
日時:令和4年2月22日(火曜日)
場所:農林水産省第2特別会議室
時間:14時00分~15時10分
2.議題
(1)日本農林規格の制定について
・魚類の鮮度(K値)試験方法-高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格の制定
・りんごジュース中のプロシアニジン類の定量-高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格の制定
(2)その他
3.議事内容
午後2時00分開会
○長谷規格専門官 それでは、定刻となりましたので、日本農林規格調査会試験方法分科会を開会いたします。
事務局の長谷でございます。
今回の調査会は、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、当会議室とウェブとの併催とさせていただいております。
皆様には御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日の審議に参集いたしました委員7名のうち、折戸委員、桃原委員から欠席の御連絡を受けております。現在、当会議室とオンラインで5名の出席をいただいております。日本農林規格調査会令第7条第1項の規定により、今回の調査会は成立しているということを報告いたします。
なお、本調査会、試験方法分科会は公開で行っております。傍聴希望を募ったところ、約10名の方からお申込みがあり、本日、傍聴なさっていらっしゃいます。
では、議事進行を試験方法分科会長の森光委員にお渡しいたします。
○森光分科会長 どうも皆様、御苦労さまです。外の街宣車に負けないよう大きな声でまいります。
では、まず初めに、基準認証室、西川室長から御挨拶をお願いします。
○西川基準認証室長 皆様、農林水産省基準認証室長、西川です。よろしくお願いします。
今日の開会に当たりまして御挨拶申し上げます。
今、森光先生からもありましたが、外の街宣車に負けずに声を張り上げていきたいと思いますので、ちょっとオンラインの方、聞きづらい等ありましたら、またチャット等で御連絡ください。
今回、輸出に関して、今月の調査会でもお話しさせていただきましたが、やっと、昨年の12月に1兆円を超えたということで、大きな目標を少しクリアしたところです。今後、2030年には5兆円という、また大きな目標を立てていますので、それに向けて輸出を頑張っていこうということで、輸出促進法の改正について、今、検討をしております。
その中で、我々、有機の酒類をJASに入れるということを御説明しましたが、今日、魚のK値の試験方法を議論いただきますけれども、こういったJAS規格をどんどん国際標準にしていこうということも、今回、法律で我々国の責務として規定していこうと思います。そのトップランナーとして、今回、皆様に審議いただくということで、私どもとしてはうれしく思っています。
今回、魚の鮮度もありますし、りんごジュースの話もありますので、二つの試験方法の規格ということで、皆さんにしっかりと議論いただく時間にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○森光分科会長 ありがとうございます。
続きまして、試験方法分科会の議事録署名人の指名を行います。
日本農林規格調査会運営規程第11条第1項により、議事録署名人は分科会長が指名することになっております。今回は松田委員、森委員にお願いしたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いします。
○森委員 了解いたしました。
○松田委員 松田です。了解いたしました。
○森光分科会長 ありがとうございます。
続きまして、早速、事務局の方から資料の確認、審議時の留意事項及び議事内容の公表について、説明をお願いします。
○長谷規格専門官 それでは、資料の確認について御説明いたします。本日の資料は、当会議室にお越しの森光分科会長におかれましては、お手元のタブレットに資料をダウンロードしておりますので、それを御覧いただきたいと思います。また、オンラインで御出席の委員におかれましては、先日、お送りいたしました資料を御覧いただきたいと思います。
続いて、審議時の留意事項についてでございます。今回はウェブ併催ということもあり、オンラインで御出席なさっている委員の皆様におかれましては、御発言いただくときには挙手機能、又はチャットでの書き込みなどで御発言がある旨をお知らせいただきたいと思います。
森光分科会長が発言者を指名しますので、御発言いただくときにお名前を言っていただくことと、御発言の最後に「以上です」とか、発言が終わったことをお知らせいただきたいと思っております。また、御発言以外のときはマイクをミュートにしていただきたいと思っております。また、音声が聞こえない等ございましたら、チャットなどで御連絡いただきたいと思います。
続いて、傍聴の方へのお願いでございます。傍聴募集の際の留意事項にも記載がございますが、音声が途切れるなどのトラブルの原因になりますので、傍聴の際はマイクを必ずミュート、カメラをオフにしていただきますようお願いいたします。
最後に、本日の議事内容の公表についてでございます。本日の議事内容は、御発言いただいた方々のお名前を明記した上で、後日、農林水産省のホームページで公表いたしますので、御了承いただきたいと思います。
以上でございます。
○森光分科会長 それでは、議題について審議を始めたいと思います。
農林水産大臣から、今回、審議する規格に係る諮問をいただいております。資料2を御覧いただきますと、そこにございますので御確認願います。
また、本日、審議のために運営規定第10条4項により函館地域産業振興財団北海道立工業技術センター研究開発部食産業技術支援グループ、吉岡武也研究主幹、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課、新藤千絵課長補佐、玉置裕之係長、独立行政法人農林水産消費安全技術センター規格検査部分析調査課、松田雄一課長、門倉雅史主任調査官、山多晴子専門調査官が出席されておられます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、まず最初の議題でございます「日本農林規格の制定について」、審議を行います。魚類の鮮度(K値)試験方法-高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格制定案について、事務局から説明をお願いします。
○新藤食品製造課課長補佐 食品製造課基準認証室課長補佐を務めております新藤と申します。よろしくお願いいたします。
資料3の4ページ目から御説明させていただきます。
魚類の鮮度(K値)試験方法JASにつきましてですが、こちらに生鮮水産物をめぐる現状、今回提案の規格の概要、この規格制定による効果についてまとめております。
まず、現状ですけれども、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなどによりまして、海外で日本食が非常に普及、拡大しているといった現状において、生鮮水産物の需要が増大しておりまして、輸出額がこれに伴いまして年々増加しているところでございます。
特に、ぶり、たいに関しましては、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の輸出重点品目に選定され、更なる輸出拡大が期待されているところでございます。
鮮度といいますのは、生鮮水産物の最も重要な要素でありますけれども、海外におきまして鮮度は見た目によって評価されておりますので、鮮度維持に有効な「活け締め」が、その傷によりまして正当に評価されていないといった実態がございます。つまり、日本の鮮度保持技術が正当に評価されていない実態がございます。
また、生産・流通現場で適時に鮮度を評価するために、迅速かつ正確に測定可能な簡易分析装置の開発が期待されているところでございますが、その装置の信頼性を裏付ける公定法が望まれている状況にあります。
こういった現状にありまして、今回、こちらの規格を提案いただきましたけれども、概要としましては、科学的な鮮度評価指標であるK値の統一的な試験方法を規定したものです。試験室間共同試験等による妥当性確認を経まして、当該試験方法は、適用範囲、試薬、装置及び器具、試料調整法、測定手順等を含んだものとなっております。
こちらの規格制定による効果としまして、3点挙げてございます。
一つ目は、鮮度評価法の規格化によりまして、日本の鮮度保持技術が科学的に評価され、日本産品が公正に取引されるといったことに寄与するという効果が考えられます。
二つ目といたしまして、今回、こちらのJASができました後に、こちら、国際標準化を目指していくということになりますが、このK値による試験方法がISO規格になりましたら、海外取引においても活用されるようになりますので、日本産品の高鮮度を世界的にアピールしていくことが可能であると考えております。
更に、JASを制定することによりまして、こちらの試験方法を指標としてK値の簡易分析装置の開発が後押しされまして、流通段階においても簡単にK値を測定できるようになり、この結果、生食に適した魚が流通し、和食文化が浸透することが期待されるといったことが考えられます。
次、5ページの方で、こちらに規格原案の概要を一枚図で示しております。具体的な規格の内容につきましては、この後、玉置の方から詳細に御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
○玉置食品製造課係長 農林水産省基準認証室の玉置と申します。よろしくお願いいたします。
試験方法JASについては、専門的な内容を含むことから、パブリックコメントにかけております規格案につきまして、事前に委員に紹介し、御意見を伺っております。資料4-1として、規格案に委員から御指摘のあった部分を灰色の網かけでお示ししております。
また、事務局において修正すべきと判断した部分については、赤字でお示ししておりますけれども、こちらについてこれから御説明してまいります。
まず、最初に、
5.10.2の0.05 mol/L りん酸緩衝液について、5.10.1の0.25 mol/L りん酸緩衝液と同様の注記が必要ではないかという御指摘がございました。5.10.2の部分については、6.1.2のa)のほかに5.12.1の濃度測定用溶液においてカラムの種類によらず、必ず利用する試薬でございますので、特定の項のみに用いる5.10.1と同等の注記は不要と考えております。
続きまして、6.1.2のb)の注記でございます。「オクタデシル基を導入した一部のシリカゲルカラム」という記載について、「基材にポリマーを使用したカラム」の間違いではないかという御指摘がございました。
この事例については、オクタデシル基を導入した一部のシリカゲルカラムで確認されたものでございまして、間違いではございませんが、6.1.2全体に係る注記として記載しておりましたところ、6.1.2のb)の注記として混同されるおそれがございますので、6.1.2のa)の直後に持ってくるように修正したいと考えております。
同じく6.1.2のb)の注記でございます。「オクタデシル基を導入した一部のシリカゲルカラム」の記載について、「一部」という表現では記載された事例が生じるカラムも確認されたというような意味合いが読み取りにくいため、表現を修正すべきではないかという御指摘がございました。こちらについては、規格利用者に誤解を生じさせないよう、資料4-1に赤字でお示ししておりますとおり、表現を修正したいと考えております。
また、同じく6.1.2のb)の注記でございます。「HxR,Hxのピークがきょう雑ピークと重なり、K値が実際より高く算出される事例が確認されている」との記載について、考えられる原因は何かという御質問、また、試験実施前に行うべき性能確認事項を記載しておくべきではないかという御指摘がございました。
こちらの注記は、HPLCの分離カラムの検討段階において、一部のODSカラムで確認された事例を補足事項として記載したものでございます。当該事象の原因の特定には至っていないものの、利用可能であることが確認されたカラムについて、6.1.2のa)及びb)に記載しております。なお、その他のカラムを各試験室において導入する場合、分離度を確認するほか、a)及びb)に例示されたカラムとの比較検証を行うことが想定されますので、現行の記載で問題ないと考えております。
続きまして、9.2.2でございます。(2)式について、末尾の「÷103」の意味は何かという御質問がございました。こちらは、試料溶液中の濃度CXがµmol/Lでございますので、mLが単位である定容量V3を掛ける場合にLに換算するために10の3乗で割る必要がございます。御指摘があったとおり、少し分かりにくかった部分もあるかと思いますので、より明確になるよう、V3の直後に「×10-3」というふうに記載して式を分かりやすく修正したいと考えております。
続きまして、10の精度でございます。現在では10.1になっていますが、この記載について、「この試験室間共同実験から得られた値は、そこで与えられた測定範囲(6.12%~83.7%)及びマトリックス以外では適用できないこともある」との記載について、当該規格の適用範囲は、生鮮魚類(硬骨魚類)であること以外対象となる魚類が限定されておらず、当該記載が共同実験で用いられていないマトリックスを試験する場合に、試験所が自ら妥当性確認、検証を行う必要があることを示唆しているならば、本規格を採用する試験所が何を評価基準にすべきか示す必要があるという御指摘がございました。
本規格案では、ATPの代謝経路が同一である硬骨魚類を適用範囲としております。共同実験試料では主要な商用魚類のうち、たんぱく質、脂質等のマトリックスの違いを考慮して選択されている上、原案検討過程において、その他の魚類による報告例を考慮し、更に詳細なマトリックスの違いによる測定値への影響も確認されていることから、硬骨魚類であれば、マトリックスの差による測定値への影響は限定的と考えております。
また、食用として市場に流通する硬骨魚類のK値は、おおむね共同実験で確認した測定範囲6.12%から83.7%のうちに存在していると想定され、適用範囲から外れる試料を分析することは極めて少ないと考えられることから、特段、評価基準の記載は不要と考えております。
続きまして、同じく10の精度の部分でございますが、硬骨魚類であれば、マトリックスの差による測定値への影響が限定的ということならば、規格利用者に誤解されないよう、「マトリックス」という表現を修正すべきではないかという御指摘が追加でございました。
マトリックスの差による測定値への影響は限定的と考えておりますので、規格利用者に誤解を生じさせないよう、「マトリックス」の記載を削除したいと考えております。
続きまして、11の品質管理の部分でございます。ほかの試験方法JASでは「質管理」となっているが、品質管理と質管理は異なるのかという御指摘がございました。こちらといたしましては、違いはないと考えておりますが、「JISK0211分析化学用語(基礎部門)」において定義された品質管理を参照し、記載いたしております。
最後に、附属書Aについてでございます。これまでの試験方法JASにおいては、妥当性の判断に当たって室間共同実験に関する国際的なガイドラインに基づいて行っていたが、本JASでは技能試験のための評価法であるz-スコアも利用している。分野ごとに慣例的な評価法もあると思うが、補足情報であっても多様な評価法を記載すると規格利用者に分かりにくいのではないかという御指摘がございました。
今回の再現精度の確認にあたっては、z-スコアを参加試験室ごとに算出し、スコアが2以内の報告値の頻度を専門家が確認することによって、当該試験方法は同等な報告値を与える試験方法であると判断されたと認識しております。
本JASの申出に当たっての調査では、IUPAC共同実験ガイドラインに基づく室間再現許容差等の確認を行っていることから、規格利用者の利便性を考慮し、IUPAC共同実験ガイドラインに基づく解析結果を記載するよう修正いたします。また、この修正に伴いまして、「10精度」に、併行精度、室間再現精度の項を追記いたします。
資料4-1の説明は以上でございますが、資料5につきまして、本調査会の諮問にあたってパブコメを募集しておりましたが、パブリックコメントは1件ございました。事前意図公告によるコメントはございませんでした。
パブリックコメントの内容は、附属書Aの試験室間共同実験の結果について、一般に分かるように解説をお願いしますという御質問でございました。
試験方法に関するJASの制定に当たっては、当該試験法が必要な性能を有しているか、例えば、測定値のばらつきが十分に小さいかなどを確認しております。本JASにつきましては、国際的なガイドラインに従い、五つの魚種を用いて11か所の試験室の参加の下、当該試験方法の試験室間共同実験を行い、必要な性能を有していると判断されましたので制定するものでございます。
附属書Aについて実施した試験室間共同実験の概要と結果を附属書Aに掲載しておりますと御回答予定で、特段、規格の内容に影響するものではないと考えております。
事務局からの説明は以上でございますが、規格の申出者である函館地域産業振興財団の吉岡様から申出の目的、背景について御説明、よろしくお願いいたします。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) ただいま御紹介いただきました函館地域産業振興財団の吉岡と申します。よろしくお願いいたします。
まず、私ども函館地域産業振興財団について紹介いたします。
函館地域産業振興財団は高度技術に立脚した地域の産業振興を促進し、北海道の産業経済の発展に寄与することを目的に、高度技術の開発と普及を行う公益財団法人です。1984年に設立され、地域企業の事業活動を支援するために産学官の連携を図りながら各種事業を展開しています。
当財団が管理運営する北海道立工業技術センターでは、地域企業の技術の高度化、新製品の開発、新事業の創出のために食品加工、バイオテクノロジーなどの各分野で地域ニーズに根差した研究開発を行っております。
私は、この北海道立工業技術センターで水産物の鮮度保持の技術開発を行ってきました。北海道で水揚げされる魚介類を新鮮な良い状態で首都圏や海外に輸送する取組を通して、鮮度の試験方法の標準化の必要性を認識し、日本農林規格の申出に至った次第です。
その背景と目的を御説明いたします。
水産物は農産物や畜肉などと比較して鮮度低下が速く、鮮度は価格に大きく影響します。今までは市場の職人、いわゆる目利きが感覚で鮮度を判定して魚の価格が決定されていましたが、目利きを通さない市場外流通と輸出の増加を背景として、科学的な鮮度評価法の標準化が望まれています。
生鮮水産物の科学的鮮度指標としては、筋肉のエネルギー成分であるアデノシン三リン酸の分解産物の比率であるK値が研究分野で用いられています。しかしながら、K値は分析者ごとに異なる分析方法が用いられており、受託検査機関においてもK値は測定項目に収録されているものの、測定法は統一されていません。
そのため、JASとして妥当性が確認された試験方法を整備し、信頼性のある測定結果を得ることによって鮮度が科学的に評価され、客観的評価に基づいた商取引が推進されると考えております。
また、これにより鮮度による差別化を図る漁業者、生産者の活力向上とともに、消費者の適切な購買選択が可能となり、生鮮水産物の消費の拡大が期待されます。
更に、鮮度の維持を目的とした鮮度関連装置やコールドチェーンシステムなどの性能が科学的に評価され、導入が促進されると期待しています。
以上のように、鮮度の科学的な評価手法を提供し、生鮮水産物の生産、流通及び関連産業の発展に寄与することを目的とし、農林水産消費安全技術センター殿などの御協力をいただきながらJAS試験法原案を取りまとめて申出いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森光分科会長 どうもありがとうございました。吉岡さん、どうもありがとうございます。
それでは、魚類の鮮度K値、試験方法の日本農林規格案について御質問や御意見はございますでしょうか。
最初に、委員長でありながら、私から簡単にバックグラウンドのお話で、ちょうど西川室長からもお話があった中で、国際化に向けてという方向で、むしろ最初に御説明いただいた新藤さんにお伺いした方がよいのか、世界に向けて、今、生のものが輸出されていく中で、あまりないのかなと思いながら、どうしても加工用であったり、どちらかというとアジア圏で、先ほど言ったようなお魚だときっと買ってくださっていて、そういうときに生食用の全体に占める割合というようなデータというか、そういったときのニーズですよね。
そういったものはどの程度、今のところは考えたらよいのか。逆に、今、流れているとしたら、そういう方々はもう完全に信頼関係において鮮度のいいものを送っていらっしゃるということで取引をされているかという、すみません、この試験方法とは関係ないところから入らせていただいて、その上でこの試験方法がいかに重要かを知りたいと思って質問しました。いかがでしょうか。
○西川基準認証室長 私の方から答えます。ちょっと、今、データとして生食のものがどれだけ輸出されているかというのは持ち合わせていないんですが、いろいろな事業者さんの話を聞くと、結構、ここ二、三年は生食のものも輸出されていると聞いています。
というのも、この二、三年でコールドチェーンですとか、流通で、冷凍の技術もそうですし、今はもう航空便もすごく飛んでいますし、羽田も24時間化という飛行場の整備なども進んで、かなり早く、迅速に新鮮な生の段階でも海外に運べるという技術が発展しています。生食というのも日本だけではなく、もちろん、アジアもそうですし、航空便であれば生食も出ているという話は聞いています。
このような状況ですので、今回、魚のK値というのも、やはり、国際標準として、日本でだけではなくて、海外へも輸出され生鮮の魚が販売されたときに我が国の水産物の高鮮度をアピールするということで、需要があると私たちは見込んでいます。
○森光分科会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。試験方法について、またその他のところについていかがでしょうか。
あとは、たまたまですが、自分のところの学生実験で、お魚の協会さんが魚を提供くださって、学生実験で実はK値を測らせたことがありまして、ちょっとだけわざと劣化する条件で、低温室ですけれども、そこへ置いておくだけで、ひどい話ですけれども1週間ぐらい置いてK値の変化を見るというものでした。
このK値に対する保証について、時間経過とともに当然鮮度が変わりますよね、そうすると、コールドチェーンが発達してきた中でも、日本を出るときのK値と、物流として流れて、陳列されていくまでの変化という、そこの差というか、日本の出荷時にはとても新鮮だったのが現地までに行くと変わってしまします。このK値を指標にする方法は重要である反面、意外と実験している立場としては、例えば、アメリカにお魚が飛んでいったときに、その変化の度合いはこのK値で、日本を出たときの鮮度を十分担保できるのかどうかという辺りはいかがなものでしょうか。
○新藤食品製造課課長補佐今回は、飽くまでもK値の分析方法の規格となっておりまして、今、ちょうど御指摘いただいた点につきましては、これから分析を重ねてデータを蓄積していくということで吉岡先生の方で進められていると思いますので、吉岡先生から御説明いただいてもよろしいでしょうか。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) 吉岡です。
今、実際はK値の測定には時間がかかりますので、目の前にある魚のK値を、今、瞬時に測るということは技術的にはできないんです。将来的には現場で測定できる鮮度測定デバイスみたいなものも開発されると思います。
今の御質問ですけれども、これは売手側と買手側でどのような契約の下に商取引をするかということに係ってくると思うんですけれども、出荷時の段階でK値の値がこれぐらいであれば、例えば、零度で24時間後にはこれぐらいのK値になるということが推測されますので、そういうデータを基にお互いの信頼関係をつくっていく。
仮にそれが逸脱したような結果になると、輸送中に事故が起こった可能性が高いということですので、それは当事者の方々でそこのところは改善していくような、そういう取引の仕方になっていくのではないのかなというふうに思っています。
○森光分科会長 ありがとうございます。
すみません、審議を、分析の方法に戻らせていただきまして、分科会長自ら興味の質問ばかりしてごめんなさい。
いかがでしょうか。
五十嵐委員、お願いします。
○五十嵐委員 聞こえますでしょうか。
○森光分科会長 はい、聞こえます。
○五十嵐委員 御発表等々ありがとうございました。
それで、ブリーフィングを受けた後にちょっと気づいたので、これは質問なんですけれども、附属書Aの11ページの赤で挿入された併行相対標準偏差、表A.1という表の下から3番目なんですけれども、ここは、わざとRSDrを省略しているっていうことですかね。
一般的に、その前の行はSr、下はrと、両方ともいわゆる国際的な記号を入れていて、そこだけRSDrというものが入っていないので、これは、その次のページの、細かいんですけれども、12ページ目の下から2行目の室間再現相対標準偏差のところも同じで、今度はRSDRだと思うんですけれども、これを入れていないのは、意識してというか、これは実は、プロシアニジンもそうなんですけれども、ちょっと教えてもらえればと思ったんですけれども。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
室間共同実験について、FAMICも関わっています。当該記載について、この後審議するりんごジュース中のプロシアニジン類の定量に関する日本農林規格でも同じ記載になっておりますが、五十嵐委員のご指摘についてFAMICはどういうふうにお考えでしょうか。
○門倉主任調査官(FAMIC) FAMICの門倉でございます。よろしくお願いいたします。
これまでRSDのRであったり、rであったりを入れていたと思いますので、今回も入れた方が利用者の利便性というところでも分かりやすくなると、そういったこともあろうかと思いますので、入れていただいた方がよろしいのかなと、今、思っております。よろしくお願いします。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
また、過去の試験方法JASも参照しながら、こちらの記号の挿入の可否について検討して、規格の利用者が分かりやすいように修正したいと考えております。ありがとうございます。
○五十嵐委員 ありがとうございました。以上です。
○森光分科会長 ありがとうございます。
そのほか御質問、御意見等がございましたら、よろしく挙手等、お願いします。
松田先生、お願いします。
○松田委員 この規格内容に触れることではないんですけれども、レクを受けてから気がついたんですけれども、これ、定義が全部、モルという単位で行われているんですね、K値の定義。当然ながら、検量線もmol/L、µmol/Lとかというので作られているんですが、もし、私がこの試験をしようかなと思うと、検量線を作るときに全部の分子量を調べなくてはいけなくて非常に面倒だなと思ったので、どこか、例えば、表の2の測定波長とモル吸光係数のほかに分子量を書いておいていただくと非常に分かりやすいのではないかというふうに思いました。
以上です。
○森光分科会長 よろしいですか。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
そうですね、吉岡さんは分子量の追記について、問題なさそうでしょうか。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) ATPの分解過程の中で、1molのATPが分解されて1molのADPになって、それが1molのAMPになってという、モルで反応が進んできますので、我々はふだんからK値の計算はモルが使いやすいんです。ですから、この中でもモルで表記していますけれども、ミリグラム表記がいけないということではないので……
○松田委員 そういうことではございません。モルでいいんです。定義上モルで、検量線をつくるときにモル単位の検量線を計算するときのために分子量が入っていると分かりやすいかなと思った次第です。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) 秤量のときに何グラムとかということ。
○松田委員 そうです、そうです。もしくは、つくっちゃったものを何モルなのか計算するときに分子量が必要になりますので、そういう情報がどこかにあると非常に親切かなと思いました。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) はい、分かりました。それは、特に私はこだわりはありませんので、過去の例から確認されていただいて、そちらの方が適しているのであればそれは結構だと思います。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
こちらの追記について、規格の利用者に分かりやすいように追記する方向で検討したいと思います。ありがとうございます。
○松田委員 ありがとうございます。
○森光分科会長 ありがとうございます。
そのほか御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
いいですかね。
○玉置食品製造課係長 先ほどの五十嵐委員の御指摘について、附属書Aの表のA.1の部分でございますけれども、今、過去のほうれんそうのルテイン等の試験方法の記載ぶりを確認いたしましたところ、併行標準偏差の後ろの部分にSrというふうに記載するということでしょうか、すみません。
○五十嵐委員 そうです。先ほど門倉さんも言われたと思うんですけれども、その前と後ろがSrとかrとかと書いてあるので、並びからしてどちらかじゃないかなと思ったんですけれども、要は、入れるか、全部外すか、何かこれで上下はいわゆる国際的な略称表現が入っていてここだけ入っていないというふうに見られませんかねという疑問というか、問いかけです。
以上です。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。表のA.1の部分ですよね。
○五十嵐委員 そうです。
○玉置食品製造課係長 これまでですと、今、K値の表の部分は併行標準偏差、併行相対標準偏差、併行許容差がそれぞれ、行になっていて仕切られている記載になっているので少し分かりにくいのかなと考えております。
ほうれんそうのルテインの方は併行標準偏差と併行相対標準偏差、併行許容差を線で区切らず記載している形になっておりまして、これをまとめるという形であれば少し分かりやすいのかなと考えておりますが、五十嵐委員、いかがでしょうか。
○五十嵐委員 五十嵐ですけれども、そういうくくりの話ではなくて、要するに、国際的な省略記号を入れるか、入れないかの話を聞いているんですけれども、分かりませんかね。
○玉置食品製造課係長 今でも入っているような気がしているんですが。
○五十嵐委員 併行相対標準偏差のRSDrはどこに入っていますか。
○玉置食品製造課係長 それは入っていないですけれども。
○五十嵐委員 RSDr、入っていないですよね。
○玉置食品製造課係長 既に制定しているほうれんそうのルテインの定量に関する日本農林規格でも記載しておりませんですが、今回は入れた方がよいということですかね。
○五十嵐委員 そこが、だから、バランスをどうとっているのかなという。上下はSrとかrとか入っていますよね。併行標準偏差Sr、併行許容差r(r=……)って入っていますよね。それでコンマになっていますよね。併行相対標準偏差が一番、RSDrとか、RSDRは一般的な国際的にも通っている略称表現なので、そこは入れた方が自然なのかなと思った次第なんです。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
○森委員 森です。よろしいでしょうか。
○森光分科会長 お願いします。
○森委員 かつての、過去の分を見てもここのところだけが記号が抜けているんですね。ただし、今、五十嵐委員から御発言がありましたように、ほかの併行標準偏差であるとか、再現性の並びと合わせてラージのRSDというのを入れた方がいいのかなという気もしています。
それともう一つは、以前もちょっと御質問したんですが、特にK値の場合には単位がパーセントなので併行標準偏差等のパーセントと、それから、K値の単位のパーセントがダブってしまいますよね。そういうこともあるので、相対標準偏差を示す記号を入れておいた方が、ここで言っているパーセントはK値のパーセントじゃなくて、相対標準偏差なんだということがより分かりやすいのかなと。
今後、過去JASで出てしまったものがあるとしましても、またFAMICさんの方の分科会等でこの辺りのところも議論されたらいかがかなと思います。
以上です。
○森光分科会長 ありがとうございます。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
両委員の御意見を受けまして、RSDについて追記するように修正したいと考えております。ありがとうございます。
○森光分科会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。御意見、又は御質問がありましたらば、よろしく挙手願います。
それでは、皆様からの御意見が出尽くしたようですので、魚類の鮮度(K値)試験方法の日本農林規格案について、委員の皆様の御意見を踏まえまして、五十嵐委員、森委員が補足してくださいましたように、記号、併行相対標準偏差RSDに関しては、今回、入れさせていただく形で最終案をまとめさせていただき、また、松田委員から出ました分子量の追記に関しましても、うまくここの中へ入れさせていただくという形で、そこを修正することで制定するということでよろしいでしょうか。
よろしいということで。異議がないと判断させていただきます。
では、このように御報告させていただきます。どうもありがとうございました。
吉岡様、どうもありがとうございます。
○吉岡研究主幹(函館地域産業振興財団) どうもありがとうございました。
○森光分科会長 それでは、続きまして、第2番目です。「りんごジュース中のプロシアニジン類の定量-高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格の制定」案につきまして審議を行います。
まず、事務局から説明をお願いします。
○新藤食品製造課課長補佐 資料3の7ページからになりますが、こちらに基づきまして御説明させていただきます。
まず、りんごに係る現状でございますが、りんごにつきましては、うんしゅうみかんに続きまして、国内2番目の果実産出額を占めているところですが、更なる需要拡大のために消費者ニーズに対応した加工品の開発が進められているところでございます。
また、りんごジュースにつきましては、アジア各国を中心に輸出が増加傾向にあるところでございます。りんごジュースに含まれるプロシアニジン類は内臓脂肪を減らすといった機能性が報告されておりまして、当該成分の活用に向けて信頼性の高い試験方法が求められている一方で、統一的な試験方法が存在していないといった問題がございます。
更に、プロシアニジン類につきまして、機能性表示食品の届出も多数なされておりまして、事業者の関心が高いものの、消費者への情報提供のために同制度の更なる活用が期待されております。
この制度では、それぞれの成分の測定方法も届出をする情報に含まれているために、事業者の負担軽減の観点からも、妥当性の検証がなされた公定法が望まれているといった現状がございます。
こちら、今回、提案の規格の概要でございますが、りんごジュース中に含まれるプロシアニジン類の定量に適した試験方法を規定しております。
試験室間共同試験等による妥当性確認を経まして、当該試験方法は、適用範囲、試薬、装置及び器具、測定手順等を含むものとなってございます。
規格制定による効果として三つ挙げてございます。
一つ目としまして、妥当性が確認された信頼性の高いJASの活用によりまして、機能性表示食品の届出を行う事業者の負担軽減に寄与すると考えられます。
二つ目でございますが、市場において機能性を表示した商品が更に増加することによりまして、プロシアニジン類の機能性や、それを多く含む食品としてのりんごジュースの認知度が向上するといったことに貢献すると考えられます。
更に、りんごジュースはアジア各国を中心に輸出が増加しておりまして、特に健康や食品の機能性に対する関心が高まっているアジア各国におきまして、当該JASの活用によりまして日本製のりんごジュースの優位性を示す手助けとなることが期待されます。
次の8ページは規格原案の概要を示した一枚図でございます。
こちらは、測定試料からアセトン及び酸化防止剤を含んだ酢酸水溶液でプロシアニジン類を抽出する、高速液体クロマトグラフを用いてプロシアニジン類の濃度を測定する、といった測定手順がこちらで図示しておるところでございます。
大変簡単ではございますが、こちらで説明を終わらせていただきます。
○森光分科会長 ありがとうございました。
○玉置食品製造課係長 続きまして、先ほどと同様、資料4-2を用いまして事前にいただいていた御意見のあった箇所、灰色でお示ししておりますので、そちらについて御説明させていただきます。
まず、5.10のHPLC移動相でございます。移動相について、メタノール又はアセトニトリルのいずれかには統一できないかという御質問がございました。
本試験方法は複数の重合体から成るプロシアニジン類を短時間かつ、ほぼ一つのピークとして検出する方法でございます。こちらは、移動相の極性非プロトン溶媒アセトニトリルと極性プロトン溶媒メタノールのグラジエントによって実現しておりますので、一方の溶媒で同様の測定をすることは困難となっております。
続きまして、6.5.2のHPLC用カラムでございます。検討段階における結果のとおり、カラムの種類によってはロット間差により測定できない場合があると考えられる。そのため、附属書Bに共同実験で使用したカラムを記載していることを踏まえて、りんごジュースにおいてロット間差が小さいことが検証されているカラムとして共同実験に使用したカラムであるInertsil® 、又はその同等品というように具体的な記載をすべきではないかという御指摘がございました。また、追加で、予備検討を十分に行うなどカラムの使用に当たって、規格利用者に注意を促すような記載をしてはどうかという御指摘がございました。
JASにつきましては、「日本農林規格の規格票の様式及び作成方法に関する手引き」に従って作成しております。装置及び器具については、JISZ8301の箇条18によることといたしておりまして、具体的には、「製造業者が一つだけの試験装置及び試験器具は,規定しないことが望ましい」とされておりますので、本規格案についても汎用性の観点から、カラムをはじめ装置及び器具については、その仕様を規定いたしております。
その中で、規格利用者の利便性の観点から参考として共同実験等で使用したカラムを附属書Bに例示するよう整理しております。
また、単一試験室でカラムのロット間差の影響を検証することは困難で、注意喚起のみを記すと、かえって規格利用者に混乱を生じさせることから現行案のとおりとしたいと考えております。
続きまして、同じく6.5.2のカラムでございます。規格の検討の段階で実施された第1回共同実験において、液状試料にもかかわらずピークのテーリングが大きく、ピーク面積測定における処理の違いが室間精度を大きくしていると考えられる。カラムに関する要求事項として、プロシアニジン類のピークとカテキン及びエピカテキンのピークの分離のみで十分なのかという御指摘がございました。
第1回共同実験結果の検証として、ピーク面積のテーリング処理を変更し、室間精度を確認いたしましたが、定量値の改善は見られませんでした。また、共同実験後の検証から、カラムのロット間差の影響が室間精度の要因と考えております。
プロシアニジン類の機能性には複数の重合体が作用していることから、単量体であるカテキン及びエピカテキンを除く2~7量体をほぼ同じ保持時間に溶出する効率的な試験方法を規定いたしております。
更に、検出に使用する励起波長及び蛍光波長について、カテキン、エピカテキン及びプロシアニジン類のみを検出できることを確認した波長を使用しておりますので、ほかの成分が検出されないことから、これらのピークの分離を確認できれば十分と考えております。
続きまして、8.1.3の部分でございます。
「調製した日に8.2.1及び8.2.2の操作を行う」という現行の記載では8.1が複数日に渡ることを許容することになることから、サンプル調製と測定を同日に行う旨を示すために「8.1と8.2を同日に行う」というような記載が望ましいという御意見がございました。
これまでの試験方法JASでは、試料抽出物の冷凍保存を許容しておりましたが、プロシアニジン類は酸化され減少いたしますので、8.1.3において、当日にHPLC測定を行うよう特段の注意を促すことを目的として記載いたしております。
また、8.1.1及び8.1.2につきまして、試験業務に精通した者であれば、通常、同日に行うことが想定されますので、現行案のとおりとしたいと考えております。
なお、分析業務においてHPLCを終夜運転させることはあり得ると考えておりますので、規格利用者の利便性を踏まえて現行の記載でも8.2.3の同定を試料調製出てしまった当日に行うことは求めておりません。
続きまして、11の質管理でございます。先ほどの魚類の鮮度試験方法のJASでは「品質管理」の用語を使用するということでしたが、用語は統一しないのかという御指摘がございました。
この点について、用語統一のため、「JISK0211分析化学用語(基礎部門)」に定義された品質管理の用語を参照して、修正したいと考えております。
続きまして、附属書Aでございます。試験方法の妥当性確認のために行われた共同実験の結果では、全ての試料がHorRat値が1を超えている上、併行精度と室間精度が大きく異なっているが、JASの試験方法として問題ないかという御指摘がございました。
試験精度の評価については、コーデックスガイドラインに基づいてHorRat値が0.5から2以内であることが妥当と判断しております。また、御指摘のとおり、通常想定される併行精度は室間精度の2分の1倍から3分の2倍のところ、10分の1倍から10分の3倍となっております。
この原因としては、前処理工程が少なく、併行条件の変動要因が極めて少ない点、再現条件中の同一カラム内のロット間差が比較的大きい点が挙げられます。しかしながら、本規格案は室間精度が一定の水準内にあること、迅速に測定結果が得られること、当該試験方法の活用によって機能性表示食品への届出を検討する事業者等の負担軽減となることを考慮すると、室間精度を示すことでJASとして制定するのに十分な性能と必要性を有すると考えております。
最後に、規格の内容についてではございませんが、共同実験結果において学会誌への投稿予定はあるかという御質問がございました。
こちらは申出者のFAMICに確認しましたところ、今回の原案の検討において実施した妥当性確認調査の内容は公表したいと考えており、今後、関係者と相談した上、投稿先を決めたいという旨、伺っておりますのでお伝えいたします。
資料4-2の説明は以上でございますが、続きまして、資料5につきまして、こちらもパブリックコメントが1件ございましたので御紹介いたします。事前意図公告によるコメントはございませんでした。
意見の内容といたしましては、本JASに基づいて測定された個々の製品の数値はどこかで公表されるのでしょうかという御質問でございました。
回答といたしましては、本JASにつきましては、機能性表示食品の届出を行う事業者に利用され、市場においてプロシアニジン類の機能性を表示した商品の更なる増加に寄与することを想定しております。
事業者の意向によって、本JASに基づいて製品のプロシアニジンの測定結果を機能性表示食品の届出に利用したり、プロシアニジン類含有量として製品に表示していただくことは可能ですという回答をいたしたいと考えております。
こちらも、特段、規格の内容に影響するものではないと考えております。
資料4-2と資料5について、以上でございます。
○森光分科会長 ありがとうございました。
それでは、りんごジュース中のプロシアニジンの定量法の日本農林規格案について、御質疑、御意見等がございましたらよろしく挙手願います。
どうぞ、五十嵐先生、お願いします。
○五十嵐委員 日本食品分析センターの五十嵐ですけれども、机上配付資料の2-2の中に、3番目の質問に対して、カテキン、エピカテキンを除く2から7量体と同じ保持時間に溶出する云々というのがあるんですけれども、ということは、これは、本文の、規格案の3.1のプロシアニジン類といったときに2量体以上の重合体となっているんですけれども、これは7量体程度とか、そういうことを書く必要はないのかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
○玉置食品製造課係長 ありがとうございます。
プロシアニジン類は、複数の種類があると考えておりますけれども、同一ピークとして検出される重合体と、定義における重合体に関する御質問かと思います。
この点、FAMICはいかがでしょうか。
○山多専門調査官(FAMIC) FAMICの山多でございます。
こちら、回答のところで、2から7量体というふうに書いているところでございますけれども、プロシアニジン各量体の調製は難しく重合度の高い標準品は市販されているものではございません。飽くまで分析者がマトリックスから抽出、単離したものを使って確認するというところになるんですけれども、8量体とかそういうのがなかなかとりづらいということで、ここの確認においては2から7量体の確保できた重合体で、とったデータがあるということでございます。
○五十嵐委員 五十嵐です。理解しました。モル吸光係数とか、その辺のデータは最後の論文化するときなどには入れていただけるということでよろしいでしょうか。
○山多専門調査官(FAMIC) その点については検討して分かりやすいように書きたいと考えております。
○五十嵐委員 ありがとうございました。理解しました。
それと、もう一つ、森光先生、よろしいでしょうか。
○森光分科会長 お願いします。
○五十嵐委員 先ほどのK値と同じように、7ページのところは、くどくて申し訳ありませんが、RSDrとRSDRを、ここは3行ずつなので、なおさらちょっと抜けているんじゃないかなと感じたところですので、御検討いただきたいなというふうに感じた次第です。
以上です。
○玉置食品製造課係長 御指摘、ありがとうございます。
○森光分科会長 ありがとうございます。
そのほか御意見、御質問ありましたらお願いします。
それでは、ありがとうございます。意見は特にこれ以上はないということで、りんごジュースのプロシアニジン類の定量法の日本農林規格案について、特に先ほどの案と同じように附属書Aの部分、あそこにつきましてのRSDrとRSDRのところの追記という修正をもちまして、皆様方、お認めいただいたということでよろしいでしょうか。
異議がないということで、そのように報告させていただきたいと思います。ありがとうございます。
ここまで諮問をいただきました二つの案、ともに附属書Aの部分の記号の表記、特に最初の方のK値の方に書きました分子量の追記をかみ合わせまして皆様方に了承していただきましたということでございます。
この試験方法の結果につきまして、私の方から中嶋会長へ報告させていただきます。この形で報告しますが、よろしいでしょうか。
では、このように進めさせていただきまして、なお、農林水産大臣への諮問事項についての報告につきましては中嶋会長の方から行いますので、御承知おきください。
また、今後、細かな手続をしていく中で、内容変更を伴わず字句等だけの変更が必要になった場合には、事務局と調整することを部会長の私に一任いただいてよろしいでしょうか。
ということで、ありがとうございます。
○五十嵐委員 結構です。
○森光分科会長 どうもありがとうございます。
次の議題でその他でございますが、事務局の方から何かございますでしょうか。
○長谷規格専門官 事務局ですけれども、その他については特にございません。
○森光分科会長 ありがとうございます。
では、本日の議事は全て終了いたしました。委員の皆様方におかれましては、円滑な議事の進行に御協力いただき、誠にありがとうございました。
議事進行を事務局の方へお返しします。
○長谷規格専門官 本日は御審議いただき、誠にありがとうございました。
本日、御審議いただきました二つの日本農林規格案につきましては、いただいた修正の箇所、そこを修正した上で公示の手続を進めてまいりたいと思っております。
それでは、以上をもちまして、日本農林規格調査会試験方法分科会を閉会いたします。皆様、どうもありがとうございました。
午後3時10分閉会