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農林水産省

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新たな多層断熱資材「ナノファイバー断熱資材」利用マニュアル

ポイント

  • 多層断熱資材の中綿にナノファイバーを使用した断熱資材の利用マニュアルである。
  • ナノファイバー断熱資材は施設園芸における冷・暖房負荷の軽減効果がある。
  • 従来の多層断熱資材と比べて軽量・薄型化され取扱性が向上している。

多層断熱資材の断面の比較と保温資材の熱貫流係数の比較

多層断熱資材の断面の比較と保温資材の熱貫流係数の比較のグラフ

A:ガラス、B:農PO、C:アルミ入り割布 ※熱貫流係数は数字が小さいほど断熱性が大きい(熱を通しにくい)ことを示す。

ナノファイバー断熱資材の熱貫流係数(断熱性能)は、一般に使用されている保温用被覆資材の約01月03日であり、現行の多層断熱資材と同等である。

ナノファイバー断熱資材と現行品の比較

ナノファイバー断熱資材と現行品の比較表

:多層断熱資材は実勢価格、ナノファイバー断熱資材は想定価格 目付:単位面積当たりの重さ。

ナノファイバー断熱資材は、現行の多層断熱資材と比較して重さは約80%、厚さは約40%にまで軽量・薄型化され、低価格である。

ナノファイバー断熱資材が温室の暖房負荷に及ぼす影響

断熱資材の温室の暖房負荷比較グラフ

丸屋根温室(外張りは農PO・0.15mm)、軒高2.6m、間口5.2m×長さ8.1m、暖房時において(12月~2月)、慣行(内張りは農PO・0.075mm)との比較。

ナノファイバー断熱資材を設置した温室における暖房時のエネルギー消費量は、慣行の保温資材(農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(農PO、0.075mm厚)を設置した温室と比べて35~51%減少し、暖房負荷軽減効果が高い。一方、夏季のヒートポンプによる夜間冷房時のエネルギー消費量は暖房時の場合に比べ軽減効果は小さいものの、消費電力量は約10%の削減効果が期待できる。

ナノファイバー断熱資材の利用によるガーベラにおける所得向上効果

所得向上効果のグラフ

燃油価格を70円/L、ナノファイバー断熱資材の単価を1,000円/m2(耐用年数5年)と仮定し、静岡県磐田市において夜間暖房設定温度(12月~3月)を18℃、暑熱期(7月~9月)の夜間冷房設定温度を20℃に設定して試算(10aあたり)。導入後利益(対導入前比)137%。

夜間冷房によりトマトおよびガーベラの品質および可販収量は、それぞれ向上する効果が見られる。冷・暖房コストの削減と可販収量の向上により、例えばガーベラでは最大で30%の増益効果が期待される。

農林水産省のコメント

施設栽培における重油使用量の低減に向けて有用な技術として期待できる。
【生産局園芸作物課】

平成30年度統計データ(統計部公表)においても、原油価格の高騰に伴う光熱動力費の増加等が生産コストを押し上げる主因と公表されるなど、光熱動力費の削減は喫緊の課題となる中、本技術は、省エネ資材として園芸産地の農業所得の安定化に加え、品質向上や安定供給による所得向上が期待される技術であり、行政的な観点からも当マニュアルによる普及拡大を期待。なお、園芸先進県である高知県等から当技術導入の有効性が評価されており、一定の普及効果も期待されると評価。
【生産局技術普及課】

成果に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
西日本農業研究センター畑作園芸研究領域施設野菜生産グループ
電話番号:0877-63-8125


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お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3127)
ダイヤルイン:03-6744-0408

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