耐暑性に優れる濃緑色の小ネギ用品種「やまひこ」の育成と特性を活かした灌水方法
ポイント
- 草姿が良く、葉色は濃緑色である。
- 収量性が高い。
- 葉先枯れの発生が少なく、高温条件下でも高い発芽率を有する。
- 品質の高い小ネギ生産のための灌水管理モデルを構築した。
小ネギ用品種「やまひこ」の収穫・調製後の姿
左:YSG1号(山口県オリジナル品種)、中央:やまひこ、右:浅黄系九条
7月4日播種、9月12日収穫。
「やまひこ」の葉身は直立で美しく、葉色は極濃緑色の「YSG1号」に次いで濃い濃緑色品種である。一般の市販品種に比べると明らかに葉色が濃い。
「やまひこ」の特性
5月~7月に播種、草丈50㎝程度(播種後2か月)まで栽培した小ネギの特性
「やまひこ」の葉身はやや柔らかいが、葉身は直立、葉色は濃く、葉折れの発生は少ない。また、収穫時の分げつもほとんどなく、高温下でも葉先枯れの発生は少ないため、品質が優れる。
収量性も高く、収穫・調製がし易い作業効率の良い品種である。
35℃条件下における播種後1週間の発芽率
かみなり、夏彦、浅黄系九条は市販品種、YSG1は山口県オリジナル品種
35℃の高温下においても80%以上の発芽率を維持する。夏季の高温期においても安定した発芽をする。
夏季の濃緑色小ネギ栽培の灌水管理モデル
図の縦左はpF値、縦右は草丈を示す
pF値はテンションメーターを地表面下10㎝に設置して測定
播種時、本葉2葉と4葉の時期に多灌水の管理とする。土壌水分のpF値や播種後日数に合わせた草丈の推移を目安に管理する。
このように管理することで、極端な葉色の低下や徒長による倒伏を低減できる。
農林水産省のコメント
耐暑性と収量性に優れた小ネギ用新品種であり、特に高温期の安定生産に資すると考えられ、栽培マニュアルとともに、広く普及を期待する。【農産局 園芸作物課】
詳細情報
山口県農林総合技術センター研究報告 第12号濃緑色葉ネギ「中山交01」の育成と特性(PDF:760KB)【外部リンク】
山口県農林総合技術センター研究報告 第12号濃緑色葉ネギ品種を活用した夏期の小ネギ安定生産に寄与する栽培方法(PDF:977KB)【外部リンク】
山口県 本部・農業技術部/企画情報室・マニュアル等の成果情報濃緑色小ネギの夏栽培における灌水方法(ハウス栽培)(PDF:1,381KB)【外部リンク】
令和元年度山口県農林総合技術センター試験研究成果発表会発表要旨(PDF:9,562KB)【外部リンク】
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本研究成果は「戦略的プロジェクト研究推進事業](農業分野における気候変動適応技術の開発):平成27年~令和元年(2015~2019)」の支援を受けて得られたものである。
本品種は、山口県農林総合技術センターと中原採種場株式会社(福岡県)と共同育成したF1品種である。
成果に関するお問い合わせ先山口県農林総合技術センター農業技術部 |
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