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森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準について

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12林野治第790号
平成12年4月27日
令和元年12月24日付け元林整治第691号

各都道府県知事

農林水産事務次官


 

   地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による森林法(昭和26年法律第249号)の一部改正により、同法に基づき都道府県が行う保安林及び保安施設地区関係事務のうち、民有林の保安林であって同法第25条第1項第1号から第3号までに掲げる目的を達成するためのもの及び国有林の保安林並びに保安施設地区に関する事務が地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とされたところである(森林法第196条の2参照)。
 これに伴い、森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係の法定受託事務について、地方自治法第245条の9第1項の規定に基づく処理基準が、別紙のとおり定められたので、御了知の上、今後は、本基準によりこれらの事務を適正に処理されたい。
 以上、命により通知する。

別紙

森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準

 森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)第196条の2各号に掲げる法定受託事務の処理については、法令に定めるもののほか、この基準に定めるところによるものとする。

第1 保安林の指定

1 保安林の名称

 

法第25条の2第1項の規定に基づき都道府県知事が指定する保安林の名称は次の[1]から[3]まで、法第25条の規定に基づき農林水産大臣が指定する保安林の名称は次の[1]から[17]までに掲げるとおりとし、都道府県知事が本基準に定めるところにより行う事務の処理に当たっては、当該名称を用いるものとする。

  • [1]水源かん養保安林
  • [2]土砂流出防備保安林
  • [3]土砂崩壊防備保安林
  • [4]飛砂防備保安林
  • [5]防風保安林
  • [6]水害防備保安林
  • [7]潮害防備保安林
  • [8]干害防備保安林
  • [9]防雪保安林
  • [10]防霧保安林
  • [11]なだれ防止保安林
  • [12]落石防止保安林
  • [13]防火保安林
  • [14]魚つき保安林
  • [15]航行目標保安林
  • [16]保健保安林
  • [17]風致保安林

2 指定施業要件

都道府県知事が法第25条の2第1項の規定に基づき行う保安林の指定に伴い定める指定施業要件(法第33条第1項に規定する指定施業要件をいう。以下同じ。)については、森林法施行令(昭和26年政令第276号。以下「令」という。)別表第2に準拠するほか、次によるものとする。

(1)伐採の方法の基準

  • ア  主伐に係るもの
    • (ア)  指定施業要件として定める伐採の方法は、別表1により定めるものとする。
    • (イ)  伐採をすることができる立木は、標準伐期齢以上のものとする旨を定めるものとする。
    • (ウ)  保安林の機能の維持又は強化を図るために樹種又は林相を改良することが必要であり、かつ、当該改良のためにする伐採が当該保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼさないと認められるときは、前記(ア)及び(イ)によるほか、これら以外の方法によっても伐採をすることができる旨(以下「伐採方法の特例」という。)を定めることができるものとする。伐採方法の特例は、当該保安林の樹種又は林相を改良する必要が現に生じている場合又はこれが10年以内に生ずると見込まれる場合に限り定め得るものとし、指定の日から10年を超えない範囲内で当該特例の有効期間を定めるものとする。なお、伐採方法の特例のうち伐採種については、択伐とする森林については伐採種を定めないとすることができるものとし、禁伐とする森林については択伐とすることができるものとする。
    • (エ)  伐採種は、当該森林の地況、林況等を勘案して、地番の区域又はその部分を単位として定めるものとする。
  • イ  間伐に係るもの
     間伐の指定は、主伐に係る伐採種を定めない森林、択伐とする森林で択伐林型を造成するため間伐を必要とするもの及び禁伐とする森林で保育のために間伐をしなければ当該保安林の指定の目的を達成することができないものについて定めるものとする。

(2)伐採の限度の基準

主伐に係るもの

  • (ア)  指定施業要件として定める立木の伐採の限度は、指定の目的に係る受益の対象が同一である保安林又はその集団を単位として定めるものとする。
     この場合において、水源かん養保安林について受益の対象が同一である保安林又はその集団とすべき単位区域の範囲は、林野庁長官が別に定める「単位区域概況表」によるものとし、土砂流出防備保安林についても原則としてこれを用いることとする。なお、これを用いることが不適当な場合においては、個々に定めるものとする。
  • (イ)  指定施業要件として定める立木の伐採の限度のうち1伐採年度において皆伐による伐採をすることができる面積に係るものは、指定施業要件を定めるについて同一の単位とされている保安林又はその集団のうち当該指定施業要件としてその立木の伐採につき択伐が指定されている森林及び主伐に係る伐採の禁止を受けている森林以外のものの面積を令別表第2第2号(一)イに規定する伐期齢に相当する数で除して得た面積(以下「総年伐面積」という。)に、前伐採年度における伐採につき法第34条第1項の許可をした面積が当該前伐採年度の総年伐面積に達していない場合にはその達するまでの部分の面積を加えて得た面積とする旨を定めるものとする。
  • (ウ)  令別表第2第2号(一)ロの1箇所当たりの皆伐面積の限度は、原則として、水源かん養保安林及び土砂流出防備保安林(ただし、水源かん養保安林については、急傾斜地の森林及び保安施設事業の施行地等の森林その他森林施業上当該森林と同一の取り扱いをすることが適当と認められる森林に限る。)について定めるものとする。
     なお、当該限度は、水源かん養保安林にあっては20ヘクタール以下、土砂流出防備保安林にあっては10ヘクタール以下の範囲内において伐採跡地からの土砂の流出の危険性、急激な疎開による周辺の森林への影響等に配慮して定めるものとする。
  • (エ)  前記(1)のアの(ウ)により樹種又は林相の改良のために伐採種を定めないものとされた保安林に係る1箇所当たりの皆伐面積の限度は、定めないものとする。
  • (オ)  令別表第2第2号(一)ニの択伐の限度は、伐採の方法として択伐が指定されている森林及び伐採種を定めない森林に対して適用するものとする。
  • (カ)  保安林又は保安施設地区の指定後最初に択伐による伐採を行う森林についての択伐率の算出に用いる係数は、当該森林における標準伐期齢以上の立木の材積が当該森林の立木の材積の30パーセント(伐採跡地につき植栽によらなければ的確な更新が困難と認められる森林につき、保安林又は保安施設地区に指定後最初に択伐による伐採をする場合には、40パーセント)以上である森林にあっては当該森林の立木度、その他の森林にあっては当該森林の標準伐期齢以上の立木の材積が当該森林の立木の材積の30パーセント(伐採跡地につき植栽によらなければ的確な更新が困難と認められる森林につき、保安林又は保安施設地区に指定後最初に択伐による伐採をする場合には、40パーセント)以上となる時期において推定される立木度とするものとする。この場合において、推定立木度は、保安林の指定時における当該森林の立木度を将来の成長状態を加味して±10分の1の範囲内で調整して得たものとする。
     なお、立木度は、現在の林分蓄積と当該林分の林齢に相応する期待蓄積とを対比して10分率をもって表すものとする。ただし、蓄積を計上するに至っていない幼齢林分については蓄積に代えて本数を用いるものとする。

(3)植栽の基準

  令別表第2第3号は、立木を伐採した後において現在の森林とおおむね同等の保安機能を有する森林を再生する趣旨で設けられたものであるから、植栽以外の方法により的確な更新が期待できる場合には、これを定めないものとする。この場合において、人工造林に係る森林及び森林所有者が具体的な植栽計画を立てている森林については、原則として、定めるものとする。
  また、令別表第2第3号(三)の「経済的利用に資することができる樹種」については、当該保安林の指定目的、地形、気象、土壌等の状況及び樹種の経済的特性等を踏まえて、木材生産に資することができる樹種に限らず、幅広い用途の経済性の高い樹種を定めることができる。

3 指定の手続

  法第25条の2第1項の規定に基づき都道府県知事が行う保安林の指定の手続及び法第25条の規定に基づき農林水産大臣が行う保安林の指定に関し都道府県知事が行う手続については、次によるものとする。

(1)申請書の受理・進達

  • ア  法第27条第1項に規定する保安林の指定に直接の利害関係を有する者は、次のいずれかに該当する者とする。
    • (ア)保安林の指定に係る森林の所有者その他権原に基づきその森林の立木竹又は土地の使用又は収益をする者
    • (イ)保安林の指定により直接利益を受ける者又は現に受けている利益を直接害され、若しくは害されるおそれがある者
       なお、(イ)における「保安林の指定により直接利益を受ける者」については、別表2を基本的な考え方とし、現地の実態をも踏まえながら適切に対処するものとする。
  • イ  申請者が当該申請に係る指定に直接の利害関係を有する者であるか否かについては、前記ア及び次に掲げる書類により判断するものとする。
    • (ア) 当該申請者が当該申請に係る森林の所有者である場合

    a 当該申請に係る森林の土地が登記されている場合
      (a) 当該申請者が、登記簿に登記された所有権、地上権、貸借権その他の権利の登記名義人(以下「登記名義人」という。)である場合には、登記事項証明書(登記記録に記録されている事項の全部を証明したものに限る。)
       (b) 当該申請者が、登記名義人でない場合には、登記事項証明書(登記記録に記録されている事項の全部を証明したものに限る。)及び公正証書、戸籍の謄本又は売買契約書の写しその他当該申請者が当該森林の土地について登記名義人又はその承継人から所有権、地上権、貸借権その他の権利を取得していることを証する書類

    b 当該申請に係る森林の土地が登記されていない場合
     固定資産課税台帳に基づく証明書その他当該申請者が当該森林の土地について、その上に木竹を所有し、及び育成することにつき正当な権原を有する者であることを証する書類

     

  • (イ)  当該申請者が当該申請に係る森林の所有者以外の者である場合
      当該申請により森林の保安機能が維持強化又は弱化されることによって、直接利益又は損失を受けることとなる土地、建築物その他の物件(以下「土地等」という。)につき権利者であることを証する登記事項証明書その他当該土地等について正当な権原を有する者であることを証する書類
  • ウ  都道府県知事が、申請を農林水産大臣に進達する場合には、その補正が不適法であって補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、法第27条第3項ただし書の規定により却下するものとする。また、都道府県知事自らが指定の権限を有する保安林の指定申請があった場合には、その申請が不適法であって補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、却下することとする。なお、これらの却下は、申請者に対し、理由を付した書面を送付してするものとする。

(2)指定に係る調査等

  • ア  都道府県知事が行う保安林の指定に際しては、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、次の書類(様式は林野庁長官が別に定める。)を作成の上、指定の適否を判断するものとする。
    • [1]指定調書
    • [2]指定調査地図
    • [3]位置図
    • [4]その他必要な書類
  • イ  都道府県知事が、保安林に指定しようとする区域が1筆の土地の一部であるときは、当該区域の実測図を作成し、又は調査地図に地形地物を表示し、後日において現地を明りょうに確認できるようにしておくものとする。

(3)保安林予定森林の告示等

  • ア  法第30条又は第30条の2の規定に基づく掲示の内容は、保安林予定森林の告示の内容に準ずるものとする。
  • イ  法第30条又は第30条の2の規定に基づく森林所有者等への通知には、次の事項を含めるものとする。
    • (ア)  同一の単位とされる保安林において伐採年度ごとに皆伐による伐採をすることができる面積(保安林の面積の異動等により変更することがある旨を付記する。)
    • (イ)  伐採種を定めない森林においてする主伐は、皆伐によることができる旨
    • (ウ) 標準伐期齢
    • (エ)  指定施業要件に従って樹種又は林相を改良するために伐採するときは、伐採跡地の植栽について条件を付することがある旨
    • (オ)  その他必要な事項
  • ウ 保安林予定森林に係る区域が1筆の土地の一部である場合には、法第30条又は第30条の2の規定による通知書に当該部分を明示した図面を添付するものとする。
  • エ  指定の申請に係る森林について所在場所の名称又は地番の変更があったときにおいて、当該変更が法第30条又は第30条の2の規定による告示がなされる以前であるものであって当該変更前の所在場所の名称又は地番により告示がなされている場合にあっては、当該告示の訂正を行うものとする。
  • オ  指定目的の変更のためにする指定は、現に定められている指定目的に係る保安林の解除と同時又は解除前に行うものとする。この場合において、法第30条及び第30条の2の規定による通知書には、指定目的の変更のためにする指定である旨を付記するものとする。
  • カ  現に保安林に指定されている森林についてその指定の目的以外の目的を達成するため重ねて保安林に指定する場合(以下「兼種保安林の指定」という。)における法第30条及び第30条の2の規定による通知書には、従前の指定目的に新たな目的を追加するための指定である旨を付記するものとする。
  • キ  保安林の指定の申請に対し、都道府県知事が指定をしない旨の処分をした場合には、遅滞なく申請者に対し指定をしない旨及びその理由を記載した書面を送付して通知するものとする。
  • ク  保安林予定森林について、事情の変更その他の理由により指定を取り止める場合には、当該保安林予定森林に係る告示、掲示及び通知を取り消すものとする。

(4)意見の聴取

  • ア  意見書を提出しようとする者が当該意見書の提出に係る保安林の指定に直接の利害関係を有する者であるか否かの判断は、前記(1)のア及びイによるものとする。
  • イ   法第32条第1項に規定する意見書は、意見に係る森林及び理由が共通である場合に限り連署して提出することができるものとする。
  • ウ   都道府県知事は、法第32条第1項の規定に基づき農林水産大臣又は都道府県知事宛てに提出された意見書が、森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号。以下「規則」という。)第51条に規定する提出部数が不足するもの、同条に規定する直接の利害を有する者であることを証する書類の添付がないものその他不適法であって補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求めるものとする。
  • エ   都道府県知事は、法第32条第1項の規定に基づき都道府県知事宛てに提出された意見書が、法第32条第1項に規定する期間の経過後に差し出されたものその他不適法であって補正することができないものであるときは、これを却下することとする。なお、当該却下は、意見提出者に対し、理由を付した書面を送付してするものとする。
  • オ   法第32条第2項の規定に基づき都道府県知事が行う意見の聴取については、規則第52条の規定に準じて行うものとする。
  • カ   法第32条第3項の通知書には、同項に規定された事項のほか、次の事項を記載する。
    • (ア)  意見聴取会の開始時期
    • (イ)  意見書提出者が代理人をして意見の陳述をさせようとするときは、 代理人1人を選任し、当該選任に係る代理人の権限を証する書面をあらかじめ提出すべき旨
    • (ウ)  陳述の時間を制限する必要があるときは、各意見書提出者又はその代理人の陳述予定時間
    • (エ)  意見聴取会当日には当該通知書を持参すべき旨
  • キ   法第32条第3項の規定に基づき都道府県知事が行う意見の聴取の期日等の公示は、都道府県公報に掲載してするとともに関係市町村の事務所及び意見の聴取の場所に掲示してするものとする。

(5)指定の通知

  • ア  法第33条第3項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定に基づく森林所有者等への保安林の指定の通知(以下「指定通知」という。)に当たっては、あらかじめ当該指定に係る森林所有者が法第30条又は第30条の2の規定による保安林予定森林の通知をした森林所有者と同一人であるかどうかを確認し、森林所有者に異動があった場合には新森林所有者を通知の相手方とする。
  • イ  指定通知の内容が法第30条又は第30条の2の規定による保安林予定森林の通知の内容と同一である場合には、森林所有者に異動があった場合を除き、通知書に保安林予定森林についての通知の内容と同一である旨を記載すれば足りるものとする。
  • ウ  指定に係る森林が1筆の土地の一部である場合には、指定通知に当該部分を明示した図面を添付するものとする。ただし、森林所有者に異動があった場合を除き、当該区域が保安林予定森林の区域と同一である場合には、この限りでない。
  • エ 指定目的の変更のためにする指定及び兼種保安林の指定に係る指定通知については、前記(3)のオ及びカを準用するものとする。

第2  保安林の解除

1  解除の要件

法第26条の2第1項又は第2項の規定に基づき都道府県知事が行う保安林の解除の要件は次のとおりとする。


(1)指定の理由の消滅

法第26条の2第1項に規定する「指定の理由が消滅したとき」とは、次の各号のいずれかに該当するときとするものとする。

  • ア 受益の対象が消滅したとき
  • イ 自然現象等により保安林が破壊され、かつ、森林に復旧することが著しく困難と認められるとき
  • ウ 当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設等が設置されたとき又はその設置が極めて確実と認められるとき
  • エ 森林施業を制限しなくても受益の対象を害するおそれがないと認められるとき

(2)公益上の理由

  法第26条の2第2項に規定する「公益上の理由により必要が生じたとき」とは、保安林を次に掲げる事業の用に供する必要が生じたときとするものとする。

  • ア 土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法令により土地を収用し又は使用できることとされている事業のうち、国等(国、地方公共団体、地方公共団体の組合、独立行政法人、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社をいう。以下同じ。)が実施するもの
  • イ 国等以外の者が実施する事業のうち、別表3に掲げる事業に該当するもの
  • ウ ア又はイに準ずるもの

(3)転用を目的とする解除

  前記(1)又は(2)による解除のうち、保安林を森林以外の用途に供すること(以下「転用」という。)を目的とするものについては、それぞれ次のア又はイに掲げる要件を備えなければならないものとする。
  なお、保安林は、制度の趣旨からして森林以外の用途への転用を抑制すべきものであり、転用のための保安林の解除に当たっては、保安林の指定の目的並びに国民生活及び地域社会に果たすべき役割の重要性に鑑み、地域における森林の公益的機能が確保されるよう森林の保全と適正な利用との調整を図る等厳正かつ適切な措置を講ずるとともに、当該転用が保安林の有する機能に及ぼす影響の少ない区域を対象とするよう努めるものとする。

ア 「指定の理由の消滅」による解除

  • (ア)  級地区分
    別表4の第1級地に該当する保安林については、原則として、解除は行わないものとする。
    同表の第2級地に該当する保安林については、地域における保安林の配備状況等及び当該転用の目的、態様、規模等を考慮の上、やむを得ざる事情があると認められ、かつ、当該保安林の指定の目的の達成に支障がないと認められる場合に限って転用に係る解除を行うものとする。
  • (イ)  用地事情 
    保安林の転用の目的に係る事業又は施設の設置(以下第2及び別紙において「事業等」という。)による土地利用が、その地域における公的な各種土地利用計画に即したものであり、かつ、当該転用の目的、その地域における土地利用の状況等からみて、その土地以外に他に適地を求めることができないか、又は著しく困難であること。
  • (ウ)  面積 
    保安林の転用に係る土地の面積が、次に例示するように当該転用の目的を実現する上で必要最小限度のものであること。
    • a  転用により設置しようとする施設等について、法令等により基準が定められている場合には、当該基準に照らし適正であること。
    • b  大規模、かつ、長期にわたる事業等のための転用に係る解除の場合には、当該事業等の全体計画及び期別実施計画が適切なものであり、かつ、その期別実施計画に係る転用面積が必要最小限度のものであること。
  • (エ)  実現の確実性 
    次の事項のすべてに該当し、申請に係る事業等を行うことが確実であること。
    • a  事業等に関する計画の内容が具体的であり、当該計画どおり実施されることが確実であること。
    • b 事業等を実施する者(以下第2において「事業者」という。)が当該保安林の土地を使用する権利を取得しているか、又は取得することが確実であること。
    • c  事業者が事業等を行うため当該保安林と併せて使用する土地がある場合において、その土地を使用する権利を取得しているか、又は取得することが確実であること。
    • d  b及びcの土地の利用、又は事業等について、法令等による許認可等を必要とする場合には、当該許認可等がなされているか、又はなされることが確実であること。
    • e  事業者に当該事業等を遂行するのに十分な信用、資力及び技術があることが確実であること。
  • (オ)  利害関係者の意見 
    転用の目的を実現するため保安林を解除することについて、当該保安林の解除に利害関係を有する市町村の長の同意及びその解除に直接の利害関係を有する者の同意を得ているか又は得ることができると認められるものであること。
  • (カ)  その他の満たすべき基準
    • a  転用に係る保安林の指定の目的の達成に支障のないよう、転用に伴って失われる当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設(以下「代替施設」という。)の設置等の措置が講じられたか、又は確実に講じられること。
      この場合において、代替施設には、当該転用に伴って土砂が流出し、崩壊し、又は堆積することにより、付近の農地、森林その他の土地若しくは道路、鉄道その他これらに準ずる設備又は住宅、学校その他の建築物に被害を与えるおそれがある場合における当該被害を防除するための施設を含むものとする。
    • b  当該事業等が別紙に示す基準に適合するものであること。
    • c  転用に係る保安林の面積が5ヘクタール以上である場合又は事業者が所有権その他の当該土地を使用する権利を有し事業等に供しようとする区域内の森林の面積に占める保安林の面積の割合が10パーセント以上である場合(転用に係る保安林の面積が1ヘクタール未満の場合を除く。)であって、水資源のかん養又は生活環境の保全形成等の機能を確保するため代替保安林の指定を必要とするものにあっては、原則として、当該転用に係る面積以上の代替保安林とすべき森林が確保されるものであること。

イ「公益上の理由」による解除

  • [1]国等が行う事業による転用の場合
    • (ア)  級地区分
      別表4の第1級地については、転用の態様、規模等からみて国土の保全等に支障がないと認められるものを除き、原則として、解除は行わないものとする。
      同表の第2級地については、前記アの(ア)と同様とする。
    • (イ) 用地事情。
      前記アの(イ)と同様とする。
    • (ウ) 面積

      前記アの(ウ)と同様とする。
    • (エ) 実現の確実性
      前記アの(エ)のaからdまでの事項のすべてに該当し、申請に係る事業等を行うことが確実であること。
    • (オ) その他の満たすべき基準
      前記アの(カ)に準じた措置が講じられるものであること。
  • [2]   [1]以外の場合
    • (ア)   級地区分
      前記[1]の(ア)と同様とする。
    • (イ)   用地事情
      前記アの(イ)と同様とする。
    • (ウ)   面積
      前記アの(ウ)と同様とする。
    • (エ)   実現の確実性
      前記アの(エ)と同様とする。
    • (オ)   利害関係者の意見
      前記アの(オ)と同様とする。
    • (カ)   その他の満たすべき基準
      前記アの(カ)に準じた措置が講じられるものであること。

2  解除の手続

法第26条の2の規定に基づき都道府県知事が行う保安林の解除の手続及び法第26条の規定に基づき農林水産大臣が行う保安林の解除に係り都道府県知事が行う手続については、次によるものとする。

(1)申請書の受理・進達

  • ア  法第27条第1項に規定する保安林の解除に直接の利害関係を有する者は、次のいずれかに該当する者とする。
    • (ア)  保安林の解除に係る森林の所有者その他権原に基づきその森林の立木竹又は土地の使用又は収益をする者
    • (イ)  保安林の解除により直接利益を受ける者又は現に受けている利益を直接害され、若しくは害されるおそれがある者
    •   なお、(イ)における「保安林の解除により現に受けている利益を直接害され、若しくは害されるおそれがある者」については、別表2を基本的な考え方とし、現地の実態をも踏まえながら適切に対処するものとする。
  • イ  申請者が当該申請に係る解除に直接の利害関係を有する者であるか否かの判断は、前記ア及び第1の3の(1)のイに掲げる書類により判断するものとする。
  • ウ  申請書に添付する転用の目的に係る事業又は施設に関する計画書は、次の事項を記載した書類、転用に係る区域及びそれに関連する区域並びにそれらの区域内に設置される施設の配置図、縦横断面図その他実施設計に関する図面並びに土量計算等に関する書類とし、これらの書類が添付されていない場合には、遅滞なく、申請者にその補正を求めるものとする。
    • (ア)  転用の目的に係る事業又は施設の名称
    • (イ)  事業者の氏名(法人及び法人でない団体にあっては名称及び代表者の氏名)及び住所(法人にあっては本店又は主たる事務所の所在地とし、法人でない団体にあっては代表者の住所とする。)
    • (ウ)  事業等の用に供するため当該保安林を選定した事由
    • (エ)  事業等を実施する者が当該保安林の土地を使用する権利の種類及び当該権利の取得の状況
    • (オ)  事業等に要する資金の総額及びその調達方法
    • (カ)  事業等に要する経費の項目(用地費、土木工事費、建築工事費、諸掛費等)ごとの員数、単価、金額及びその内訳
    • (キ)  事業等に関する工事を開始する予定の日、当該工事の工程並びに当該工事により設置される施設の種類、規模、構造及び所在
    • (ク)  その他参考となるべき事項
  • エ  申請書に添付する代替施設の設置に関する計画書は、次の事項を記載した書類及び代替施設の配置図、縦横断面図その他実施設計に関する図面とし、これらの書類が添付されていない場合には、遅滞なく、申請者にその補正を求めるものとする。
     なお、申請者が転用に伴って当該保安林の機能が失われないとして代替施設の設置に関する計画書を添付しない場合において、審査の結果当該書類を添付する必要があると認めるときは、遅滞なくその提出を求めて補正させるものとする。
    • (ア)  代替施設を設置する土地を使用する権利の種類及び取得の状況
    • (イ)  代替施設の設置に要する資金の総額及びその調達方法
    • (ウ)  代替施設の設置に要する経費の項目(用地費、土木工事費、建築工事費、諸掛費等)ごとの員数、単価、金額及びその内訳
    • (エ)  代替施設に関する工事を開始する予定の日、当該工事の工程並びに代替施設の種類、規模、構造及び所在
    • (オ)  その他参考となるべき事項
  • オ  事業等及び代替施設の設置について行政庁の免許、許可、認可その他の処分(以下「許認可」という。)を必要とする場合の添付書類は、次によるものとし、これらの書類が添付されていない場合には、遅滞なく、申請者にその補正を求めるものとする。
    • (ア)  行政庁の許認可に係る申請の状況を記載した書類は、次のとおりとする。
        a  申請中の許認可については、許認可の種類、申請先行政庁及び申請年月日を記載した書類
        b  まだ申請していない許認可については、許認可の種類、申請先行政庁及び申請予定時期を記載した書類
    • (イ)  許認可があったことを確認する書類は、当該許認可を行った行政庁が発行した証明書又は許認可の写しとする
  • カ  ウからオまでに掲げるもののほか、都道府県知事が、申請を農林水産大臣に進達する場合には、その申請が不適法であって補正することができるものであるときは、直ちに補正を求め、補正することができないものであるときは、法第27条第3項ただし書の規定により却下するものとする。また、都道府県知事自らが指定の権限を有する保安林の指定の解除申請があった場合には、その申請が不適法であって補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、却下することとする。なお、これらの却下は、申請者に対し、理由を付した書面を送付してするものとする。

(2)解除に係る調査等

都道府県知事が行う保安林の解除に係る調査等については、前記第1の3の(2)を準用するものとする。

(3)解除予定保安林の告示等

解除予定保安林の告示等については、前記第1の3の(3)(イ、オ及びカを除く。)を準用するものとする。この場合において、「保安林予定森林」とあるのは「解除予定保安林」と読み替えるものとする。

(4)意見の聴取

  • ア   意見書を提出しようとする者が当該意見書の提出に係る保安林の解除に直接の利害関係を有する者であるか否かの判断は、前記(1)のイを準用するものとする。
  • イ   アのほか、意見の聴取については、前記第1の3の(4)(アを除く。)を準用するものとする。

(5)代替施設の設置等の確認

都道府県知事は、以下の転用に係る解除予定保安林について、法第30条の2第1項の告示の日から40日を経過した後(法第32条第1項の意見書の提出があったときは、これについて同条第2項の意見の聴取を行い、法第30条の2第1項に基づき告示した内容を変更しない場合に限る。)に、事業者に対し、代替施設の設置等を速やかに講じるよう指導するとともに、当該施設の設置等が講じられたか、又は確実に講じられることについて確認を行うものとする。
 また、法第32条第2項の意見の聴取を行い、法第30条の2第1項に基づき告示した内容を変更する場合には、法第30条の2第1項に基づき改めて告示を行うなどの手続きを行うことが必要であり、事業者に対し、代替施設の設置等に着手しないよう指導するものとする。

  • ア  法第26条の2第1項の規定による解除
  • イ   法第26条の2第2項の規定による解除であって令第2条の3に規定する規模を超え、かつ、法第10条の2第1項第1号から第3号までに該当しないもの

(6)解除の告示等

  • ア   転用を目的とする解除に係る法第33条第6項において準用する同条第1項の規定による解除の告示は、前記(5)の確認を了した後に行うものとする。
  • イ   法第33条第3項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定に基づく森林所有者等への保安林の解除の通知(以下「解除通知」という。)については、前記第1の3の(5)(エを除く。)を準用するものとする。この場合において、「指定通知」とあるのは「解除通知」と、「保安林予定森林」とあるのは「解除予定保安林」と読み替えるものとする。

第3  保安林の指定施業要件の変更

法第33条の2及び第33条の3の規定に基づく保安林の指定施業要件の変更に関する事務については、次によるものとする。

1  指定施業要件の変更を行う場合

  • (1) 災害の発生等に伴い保安林に係る指定施業要件を変更しなければ当該保安林の指定の目的を達成することができないと認められるに至った場合又は指定施業要件として植栽の方法、期間及び樹種が定められていない保安林において植栽が行われた場合には、法第33条の2第2項の申請がなくても、同条第1項の規定に基づく指定施業要件の変更を遅滞なく行うものとする。
  • (2) 指定施業要件として植栽が定められている保安林については、法第34条第2項の許可を伴う場合であって保安機能の維持上問題がないと認められるときは、当該指定施業要件を変更し、当該許可の際に条件として付した行為の期間内に限り植栽することを要しない旨を当該指定施業要件とすることができるものとする。

2  指定施業要件の変更の手続

(1)申請書の受理・進達

   法第33条の2第2項並びに第33条の3において準用する第27条第2項及び第3項の規定に基づく指定施業要件の変更に係る申請書の受理・進達については、前記第1の3の(1)を準用するものとする。


(2)指定施業要件の変更に係る調査等

   都道府県知事が行う保安林の指定施業要件の変更に係る調査等については、前記第1の3の(2)を準用するものとする。


(3)指定施業要件変更予定保安林の告示等

   法第33条の3において準用する第30条及び第30条の2の規定に基づく指定施業要件変更予定保安林の告示等については、前記第1の3の(3)(オ及びカを除く。)を準用するものとする。この場合において、「保安林予定森林」とあるのは「指定施業要件変更予定保安林」と読み替えるものとする。


(4)意見の聴取

法第33条の3において準用する第32条の規定に基づく意見の聴取については、前記第1の3の(4)を準用するものとする。


(5)指定施業要件の変更の通知

   法第33条の3において準用する第33条第3項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定に基づく森林所有者等への保安林の指定施業要件の変更の通知(以下「指定施業要件変更通知」という。)については、前記第1の3の(5)(エを除く。)を準用するものとする。この場合において、「指定通知」とあるのは「指定施業要件変更通知」と、「保安林予定森林」とあるのは「指定施業要件変更予定保安林」と読み替えるものとする。


第4  保安林における制限

1  立木の伐採の許可

法第34条第1項の規定に基づく保安林における立木の伐採の許可については、次によるものとする。

(1)皆伐面積の限度の算定

    令別表第2第2号(一)イの皆伐面積の限度を算出する基礎となる伐期齢は、指定施業要件において植栽の樹種が定められている森林にあっては当該樹種の標準伐期齢とし、それ以外の森林にあっては更新期待樹種の標準伐期齢とするものとする。ただし、同一の単位とされる保安林に樹種が2以上ある場合には、次式によって算出して得た平均年齢とし、当該年齢は整数にとどめ小数点以下は四捨五入するものとする。

u=au1+bu2+cu3+・・・・・
     u・・・・・・・・・・・・:平均年齢
     u1、u2、u3・・・・・・・:各樹種の標準伐期齢
     a、b、c・・・・・・・・・:各樹種の期待占有面積歩合

 

(2)許可申請の適否の判定

  • ア   令別表第2第1号(一)ロの択伐とは、森林の構成を著しく変化させることなく逐次更新を確保することを旨として行う主伐であって、次に掲げるものとする。
      (ア)  伐採区域の立木をおおむね均等な割合で単木的に選定してする伐採又は10m未満の幅で帯状に選定してする伐採
      (イ)  樹群を単位とする伐採で当該伐採によって生ずる無立木地の面積が0.05ヘクタール未満であるもの
  • イ   令別表第2第1号(二)イの樹冠疎密度は、その森林の区域内における平均の樹冠疎密度を示すものではなく、その森林の区域内においてどの部分に20メートル平方の区域をとったとしても得られる樹冠疎密度とするものとする
  • ウ   令別表第2第2号(一)ロの1箇所とは、立木の伐採により生ずる連続した伐採跡地(連続しない伐採跡地があっても、相隣する伐採跡地で当該伐採跡地間の距離(当該伐採跡地間に介在する森林(未立木地を除く。)又は森林以外の土地のそれぞれについての距離をいう。)が20メートル未満に接近している部分が20メートル以上にわたっているものを含む。)をいう。ただし、形状が一部分くびれている伐採跡地でそのくびれている部分の幅が20メートル未満であり、その部分の長さが20メートルにわたっているものを除く。
       なお、形状が細長い伐採跡地であらゆる部分の幅が20メートル未満であるもの及びその幅が20メートル以上の部分があってもその部分の長さが20メートル未満であるものについては、令別表第2第2号(一)ロの規定は適用されないものとする。
  • エ   規則第56条第1項の「前回の択伐」には、規則第60条第1項第1号から第9号までに掲げる伐採は含まれないものとする。
  • オ   規則第56条第1項の「前回の択伐を終えたときの当該森林の立木の材積」が不明である場合には、同項の択伐率は、当該森林の年成長率(年成長率が不明な場合には、当該伐採年度の初日におけるその森林の立木の材積に対する当該森林の総平均生長量の率)に前回の択伐の終わった日を含む伐採年度から伐採をしようとする前伐採年度までの年度数を乗じて算出するものとする。
  • カ    国有林の保安林の立木で主伐をすることのできるものは、当該国有林の所在する市町村における当該国有林の近傍類似の民有林の当該樹種に係る標準伐期齢以上のものとする。
  • キ  伐採跡地に点在する残存木又は点生する上木の伐採は、間伐に該当する場合を除き皆伐による伐採として取り扱うものとし、その面積は伐採する立木の占有面積とするものとする。
  • ク  許可に係る伐採の方法が前記第1の2の(1)のアの(ウ)の伐採方法の特例に該当する場合は、当該保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼさないと認められるときに限り許可をするものとする。ただし、許可に条件を付することによって支障を来さないこととなる場合は、この限りでない。

(3)許可申請の処理

  • ア    法第34条第1項に規定する立木の伐採の許可の申請があったときは、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、申請が不適法であって、補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、申請者に対し理由を付した書面を送付して却下するものとする。
  • イ    令第4条の2第5項の規定による通知は、決定通知書を送付してするものとし、不許可の通知に当たっては、不許可の理由を付するものとする。
  • ウ    許可申請に係る立木の伐採行為について他の法令により行政庁の許認可を必要とする場合であって、当該許認可がなされる前に許可したときは、当該許認可を必要とする旨その他必要な事項を許可の通知書に付記するものとする。

(4)許可の条件

法第34条第6項の規定に基づき立木の伐採の許可に付する条件は、次によるものとする。

  • ア   伐採の期間については、必ず条件を付する。
  • イ    伐採木を早期に搬出しなければ森林病害虫が発生し若しくはまん延するおそれがある場合又は豪雨等により受益の対象に被害を与えるおそれがある場合その他公益を害するおそれがある場合には、搬出期間について条件を付する。
  • ウ    土しゅら、地びきその他特定の搬出方法によることを禁止しなければ、立木の生育を害し又は土砂を流出若しくは崩壊させるおそれがある場合には、禁止すべき搬出方法について条件を付する。
  • エ    当該伐採の方法が前記第1の2の(1)のアの(ウ)の伐採方法の特例に該当するものであって前記(2)のカのただし書に該当する場合には当該条件を、当該伐採跡地につき植栽によらなければ樹種又は林相を改良することが困難と認められる場合には植栽の方法、期間及び樹種について条件を付する。

(5)縮減

  • ア    皆伐による立木の伐採の許可申請(2月1日の公表に係るものを除く。)について、令第4条の3第1項第1号の規定により縮減するに当たり、令第4条の2第4項の残存許容限度が当該申請に係る森林の森林所有者等が同一の単位とされる保安林等において森林所有者となっている森林の年伐面積の限度の合計に満たない場合には、当該合計に対する残存許容限度の比率を森林所有者の年伐面積に乗じて得た面積を令第4条の3第1項第1号の年伐面積とみなして計算するものとする。
  • イ    令第4条の3第1項第4号の規定による縮減は、少なくとも次の事項を考慮して行うものとする。
  • (ア)    当該箇所に係る申請が1である場合には、保安機能が高い部分の立木を残存させること。
  • (イ)    当該箇所に係る申請が2以上ある場合には、申請面積に応じてすること。ただし、保安上の影響の差が明白な場合にはこれを考慮すること。

(6)届出の処理

  • ア    法第34条第8項又は第9項の届出があったときは、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、届出が不適法であって、補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、届出者に対し理由を付した書面を送付して却下するものとする。
  • イ    許可の条件として付した期間が経過したとき(立木の伐採について法第34条第8項の届出がなされている場合を除く。)は、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、申請に係る行為がなされたかどうか確認するものとし、立木の伐採について法第34条第8項の届出がなされていない場合は、許可を受けた者に対し届出をするよう勧告するものとする。
  • ウ   択伐による立木の伐採がなされた場合には、当該択伐を終えたときの当該森林の立木の材積を把握し、当該材積を保安林台帳に記載すること。

2  土地の形質の変更等の許可

法第34条第2項の規定に基づく保安林における土地の形質の変更等の許可については、次によるものとする。

(1)土地の形質を変更する行為

法第34条第2項の「土砂若しくは樹根の採掘」には、砂、砂利又は転石の採取を含むものとする。
また、同項の「その他の土地の形質を変更する行為」は、例示すれば次に掲げるとおりである。

  • ア   鉱物の採掘
  • イ   宅地の造成
  • ウ   土砂捨てその他物件の堆積
  • エ   建築物その他の工作物又は施設の新築又は増築
  • オ   土壌の理学的及び化学的性質を変更する行為その他の植生に影響を及ぼす行為

(2)許可申請の適否の判定

  • ア   申請に係る行為が次のいずれかに該当する場合には、法第34条第2項の許可をしないものとする。ただし、解除予定保安林において、法第30条又は第30条の2の告示の日から40日を経過した後(法第32条第1項の意見書の提出があったときは、これについて同条第2項の意見の聴取を行い、法第29条に基づき通知した内容が変更されない場合又は法第30条の2第1項に基づき告示した内容を変更しない場合に限る。)に当該解除に係る事業等及び代替施設の設置に関する計画書の内容に従い行う場合並びに別表5に掲げる場合は、この限りでない。
    • (ア)   立竹の伐採については、当該伐採により当該保安林の保安機能の維持に支障を及ぼすおそれがある場合
    • (イ)   立木の損傷については、当該損傷により立木の生育を阻害し、そのため保安林の指定目的の達成に支障を及ぼすおそれがある場合
    • (ウ)   下草、落葉又は落枝の採取については、当該採取により土壌の生成が阻害され、又は土壌の理学性が悪化若しくは土壌が流亡する等により当該保安林の保安機能の維持に支障を及ぼすおそれがある場合
    • (エ)   家畜の放牧については、当該放牧により立木の生育に支障を及ぼし又は土砂が流出し若しくは崩壊し、そのため当該保安林の保安機能の維持に支障を及ぼすおそれがある場合
    • (オ)   土石又は樹根の採掘については、当該採掘(鉱物の採掘に伴うものを含む。)により立木の生育を阻害するか又は土砂が流出し、若しくは崩壊しそのため当該保安林の保安機能の維持に支障を及ぼすおそれがある場合。ただし、当該採掘による土砂の流出又は崩壊を防止する措置が講じられる場合において、2年以内に当該採掘跡地に造林が実施されることが確実と認められるときを除く。
    • (カ)   開墾その他の土地の形質を変更する行為については、農地又は宅地の造成、道路の開設又は拡幅、建築物その他の工作物又は施設の新設又は増設をする場合、一般廃棄物又は産業廃棄物の堆積をする場合及び土砂捨てその他物件の堆積により当該保安林の保安機能の維持に支障を及ぼすおそれがある場合
  • イ   申請に係る行為を行うに際し当該行為をしようとする区域の立木を伐採する必要がある場合で、当該立木の伐採につき法第34条第1項の許可を要するときに当該許可がなされていないときは、許可しないものとする。

(3)許可申請の処理

  • ア    法第34条第2項の許可の申請があったときは、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、申請が不適法であって、補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、申請者に対し理由を付した書面を送付して却下するものとする。
  • イ    法第34条第2項の許可の申請に対する許可又は不許可の通知は、書面により行うものとし、不許可の場合は当該不許可の理由を付するものとする。
  • ウ    許可申請に係る立竹の伐採その他の行為について他の法令により行政庁の許認可を必要とする場合であって、当該許認可がなされる前に許可したときは、当該許認可を必要とする旨その他必要な事項を通知書に付記するものとする。

(4)許可の条件

   法第34条第6項の規定に基づき土地の形質の変更等の行為の許可について付する条件は、次によるものとする。

  • ア   行為の期間については、次により必ず条件を付する。
    • (ア)  前記(2)のアのただし書に該当しない行為

         a 当該保安林について指定施業要件として植栽の期間が定められている場合は、原則として当該期間内に植栽することが困難にならないと認められる範囲内の期間とする。

         b 当該保安林について指定施業要件として植栽の期間が定められていない場合は、下草、落葉又は自家用薪炭の原料に用いる枝若しくは落枝の採取、一時的な農業利用及び家畜の放牧にあってはそれらの行為に着手する時から5年以内の期間、それら以外にあっては行為に着手する時から2年以内の期間とする。

    • (イ)  解除予定保安林において当該解除に係る事業等及び代替施設の設置に関する計画書の内容に従い行う行為については、当該計画書に基づき行為に着手する時から完了するまでの期間とする。
    • (ウ)  別表5に掲げる行為

         a 当該保安林について指定施業要件として植栽の期間が定められている場合は、原則として当該期間内に植栽することが困難にならないと認められる範囲内の期間とする。

         b 当該保安林について指定施業要件として植栽の期間が定められていない場合は、別表5の1及び2にあっては、当該行為に着手する時から5年以内の期間又は当該施設の使用が終わるまでの期間のいずれか短い期間とし、別表5の3及び4にあっては、当該施設の使用又は当該行為が終わるまでの期間とする。

  • イ   行為終了後、施設等の廃止又は撤去後、植栽によらなければ的確な更新が困難と認められる場合(指定施業要件として植栽が定められている場合を除く。)には、植栽の方法、期間及び樹種について条件を付する。
  • ウ    家畜の放牧、土石又は樹根の採掘その他土地の形質を変更する行為に起因して、土砂が流出し、崩壊し、若しくは堆積することにより付近の農地、森林その他の土地若しくは道路、鉄道その他これらに準ずる設備又は住宅、学校その他の建築物に被害を与えるおそれがある場合には、当該被害を防除するための施設の設置その他必要な措置について条件を付する。なお、当該行為が解除予定保安林において当該解除に係る事業等及び代替施設の設置に関する計画書の内容に従って行われるものである場合に付する条件の内容は、当該計画書に基づいて定めるものとする。

(5)届出の処理

   法第34条第9項の届出があったときは、実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行い、届出が不適法であって、補正することができるものであるときは、直ちにその補正を求め、補正することができないものであるときは、届出者に対し理由を付した書面を送付して却下するものとする。


3   立木の伐採の許可及び土地の形質の変更等の許可を要しないものの範囲

   規則第60条第1項第1号及び第63条第1項第1号の保安施設事業、砂防工事、地すべり防止工事及びぼた山崩壊防止工事には、当該事業又は工事の実施上必要な材料の現地における採取又は集積、材料の運搬等のための道路の開設又は改良その他の附帯工事を含むものとする。

第5  監督処分

法第38条の規定に基づく監督処分については、次によるものとする。

1  監督処分を行うべき場合

  • (1)    法第38条第1項又は第2項の中止命令は、立木竹の伐採その他の行為が法第34条第1項又は第2項の許可を受けずに行われた場合のほか、当該行為が同条第1項若しくは第2項の許可の内容若しくは許可に付した条件に違反していると認められる場合、同条第1項第6号若しくは第2項第4号の規定に該当するものでないと認められる場合又は偽りその他不正な手段により同条第1項若しくは第2項の許可を受けたものと認められる場合に行うものとする。
  • (2)    法第38条第1項又は第3項の造林命令は、立木の伐採が法第34条第1項の許可を受けずに行われた場合のほか、立木の伐採が、同項の許可の内容若しくは許可に付した条件に違反していると認められる場合、同項第6号の規定に該当するものでないと認められる場合若しくは偽りその他不正な手段により同項の許可を受けたものと認められる場合又は法第34条の2第1項の届出をせずに行われた場合であって、造林によらなければ当該伐採跡地につき的確な更新が困難と認められる場合に行うものとする。ただし、違反者が自発的に当該伐採跡地について的確な更新を図るため必要な期間、方法及び樹種により造林をしようとしている場合はこの限りでない。
  • (3)    法第38条第2項の復旧命令は、立竹の伐採その他の行為が法第34条第2項の許可を受けずに行われた場合のほか、当該行為が、同項の許可の内容若しくは許可に付した条件に違反していると認められる場合、同項第4号の規定に該当するものでないと認められる場合又は偽りその他不正な手段により同項の許可を受けたものと認められる場合であって、当該違反行為に起因して、当該保安林の機能が失われ、若しくは失われるおそれがある場合又は土砂が流出し、崩壊し、若しくはたい積することにより付近の農地若しくは森林その他の土地、道路若しくは鉄道その他これらに準ずる設備若しくは住宅若しくは学校その他の建築物に被害を与えるおそれがある場合に行うものとする。
  • (4)    法第38条第4項の植栽命令は、指定施業要件として植栽の方法、期間及び樹種が定められている保安林において立木の伐採が行われ、当該植栽期間が満了した後も当該指定施業要件の定めるところに従って植栽が行われていない場合に行うものとする。

2  監督処分を行うべき時期

   中止命令及び植栽命令は違反行為を発見したとき、造林命令及び復旧命令は当該命令を行う必要があると認めるとき、それぞれ遅滞なく行うものとする。

3   監督処分の内容

  • (1)   造林命令の内容は、当該保安林について指定施業要件として植栽の方法、期間及び樹種が定められている場合はその定められたところによるものとする。
  • (2)   法第38条第2項に規定する期間は、原則として、命令をする時から1年を超えない範囲内で定めるものとする。なお、同項に規定する「復旧」には、原形に復旧することのほか、原形に復旧することが困難な場合において造林又は森林土木事業の実施その他の当該保安林の従前の効用を復旧することを含むものとする。
  • (3)   法第38条第4項に規定する期間は、原則として指定施業要件として定められている植栽の期間の満了の日から1年を超えない範囲で定めるものとする。

4  監督処分の方法

   法第38条の規定による命令は、次に掲げる事項を記載した書面を送付してするものとする。なお、(4)には当該命令の内容の実施状況の報告をすべきこと及び保育その他当該保安林の維持管理上注意すべき事項を含むものとする。

  • (1)命令に係る保安林の所在場所
  • (2)命令の内容
  • (3)命令を行う理由
  • (4)その他必要な事項

第6 標識の設置

法第39条第1項の規定に基づく保安林の標識の設置については、次によるものとする。

1 標識の様式

  • (1)   保安林の標識に記載する保安林の名称は、前記第1の1の[1]から[3]までに掲げるとおりとする。
  • (2)   保安林の標識の色彩は、次のとおりとする。
    • ア 第1種標識の地は白色、文字は黒色
    • イ 第2種標識の標板の地は黄色、文字は黒色
    • ウ 第3種標識の標板の地は白色、文字は黒色、略図の保安林の区域の境界線は赤色

2 標識の設置の時期

標識の設置は、保安林の指定について法第33条第1項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定による告示がなされた日又は法第47条の規定により保安林として指定されたものとみなされた日以降遅滞なく行うものとする。

3 標識の設置地点

標識は、次のいずれかに該当する地点に設置するほか、その他特に保安林の境界を示すに必要な地点に設置するものとする。

  • ア 道路に隣接する地点
  • イ 広場、駐車場、野営場その他人の集まる場所に隣接する地点
  • ウ 農地、宅地その他森林以外の土地に隣接する地点

4 標識の維持管理

損壊等により設置した標識の効用が減じた場合には、修繕、再設置その他の所要の措置を講じるものとし、また、保安林が解除された場合には速やかに標識を撤去するものとする。

第7  保安林台帳

法第39条の2第1項の規定に基づく保安林台帳の調製及び保管については、次によるものとする。

1   調製の時期

法第39条の2第1項の規定に基づく保安林台帳の調製は、保安林の指定について法第33条第1項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定による告示がなされたとき又は法第47条の規定により保安林として指定されたものとみなされたときに遅滞なく行うものとする。

2   台帳の訂正

  • (1)   保安林台帳の訂正に当たっては、土地登記簿の閲覧等の方法により保安林の所在場所の変更を的確に把握するよう措置するものとする。
  • (2)   記載事項の訂正を行った場合には、訂正の年月日及び原因を付記するものとする。
  • (3)   保安林の解除があったときは、保安林が解除された年月日及び当該保安林の解除に係る法第33条第1項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定による告示の番号その他必要な事項を記載するものとする。
  • (4)   指定施業要件の変更があったときは、指定施業要件が変更された年月日及び当該指定施業要件の変更に係る法第33条の3において準用する第33条第1項(同条第6項において準用する場合を含む。)の規定による告示の番号その他必要な事項を記載するものとする。

第8   保安施設地区

1   保安施設地区の指定又は指定施業要件の変更

  • (1)   保安施設地区に係る指定施業要件の変更の申請書の受理・進達
    法第44条において準用する第27条第2項及び第3項並びに第33条の2第2項の規定に基づく保安施設地区に係る指定施業要件の変更の申請書の受理・進達については、前記第1の3の(1)を準用するものとする。
  • (2)   保安施設地区予定地等の告示等
    • ア    法第44条において準用する第30条の規定に基づく告示に掲載する保安施設地区予定地又は指定施業要件変更予定保安施設地区(以下「保安施設地区予定地等」という。)の所在場所は、原則として、標柱番号及びそれぞれの標柱が設置された土地の地番により表示するものとする。
    • イ    法第44条において準用する第30条の規定に基づく保安施設地区予定地等の通知には、当該指定に係る区域を明示した図面を添付するものとする。
    • ウ    法第44条において準用する第30条の規定に基づく保安施設地区予定地等の告示、掲示及び通知については、前記第1の3の(3)(オ及びカを除く。)を準用するものとする。
  • (3)意見の聴取

       法第44条において準用する第32条の規定に基づく意見の聴取については、前記第1の3の(4)(エからキまでを除く。)を準用するものとする。

  • (4)   指定又は指定施業要件の変更の告示等
    • ア    法第44条において準用する第33条第1項の規定に基づく保安施設地区の指定又は指定施業要件の変更(以下(4)において「指定等」という。)の告示については、前記(2)のアを準用するものとする。
    • イ    保安施設地区の指定等の通知には、当該指定等に係る区域を明示した図面を添付するものとする。ただし、当該指定等に係る区域が保安施設地区予定地等の区域と同一である場合は、土地所有者に異動があった場合を除き、図面の添付を省略することができるものとする。
    • ウ    保安施設地区の指定等の通知については、前記第1の3の(5)のア及びイを準用するものとする。

2  保安施設地区における制限

   法第44条において準用する第34条の規定に基づく保安施設地区における制限については、前記第4を準用するものとする。

3  標識の設置

   法第44条において準用する法第39条第1項の規定に基づく標識の設置については、前記第6を準用するものとする。

4  保安施設地区台帳

   法第46条の2第1項に規定する保安施設地区台帳は、地区ごとに調製するものとし、その保管及び調製については、前記第7を準用するものとする。

関係資料

別表1~5(PDF : 246KB)

別紙「保安林の転用に係る事業又は施設の設置の基準」(PDF : 278KB)