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農林水産省

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令和2年度第1回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会 議事概要

議事概要

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収録日:令和2年6月11日(木曜日)
収録場所:農林水産省国際部第2会議室
配信期間:令和2年6月18日(木曜日)~令和2年6月25日(木曜日)

開会あいさつ(農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課平中課長)

今回は協議会初の試みとして、動画配信にて開催する。
新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大に伴い、人や物の移動が制限され、各国のフードバリューチェーンで混乱が生じている。
世界的にバリューチェーンの再構築が行われている中で、我々も適時適切に関与できるよう準備を進めていきたい。
本日は、COVID-19に関し、(ア)深川代表講演、(イ)副代表との意見交換、(ウ)農林水産省からの報告、(エ)公的機関の支援ツール、の4つの議題を用意している。

1. ポストCovid-19の海外事業展開

(早稲田大学政治経済学術院教授深川GFVC推進官民協議会代表)
COVID-19で世界経済がマイナス成長になり、不安定な状況が続く中、3つの『不都合な真実』が露呈している。1つ目は、WHOの例のように、国際協調が十分機能していないこと、2つ目は、高齢者・基礎疾患保持者のほか、貧困層や非正規労働者、IT弱者などの社会的脆弱層に被害が偏っていること。3つ目は、プライバシーに踏み込んだリスク管理を行うか否か。情報統制と個人のプライバシー・自由とのバランスが問われる時代となった。
時間軸的には、現在は少しずつ経済活動が再開しているが、第2波がいつ来るとも分からない。デジタルサービスが隆盛だが、それのみで世界経済を牽引することは難しく、サプライチェーンの混乱は深刻になってきている。失業と所得低下の拡散は世界的に起きていくため、今後はそれが不動産の下押しになって債務問題が爆発するような構造となり、非常に危ない。
また、先進国の多くは、既に財政・金融面の政策手段が払底してきており、新興国にも拡大しているため、リーマンショックのときのような新興国による需要創出も期待できない。
既存産業をみても、特に人と人とが接触するサービス業のダメージは大きく、イノベーションの期待がかかるワクチンや治療薬等の医療分野でも、開発リスクや貧困層の治療コスト等の問題を抱えている。
空間軸的には、アフリカやインドなど、依然として世界的に流行が拡大しているフェーズであり、安全な場所はない。地域ごとにみれば、比較的持ちこたえている東アジアと、経済回復が遅れている日米欧の差異が表面化してきている。特に、中国はブロック経済的な政策を推し進め回復が早く、これまでのグローバルな時代とは地政学的・空間軸的に異なってくると考えている。
健康の価値が再認識された一方で、経済的活動は止める訳にもいかない。Withコロナの時代、健康と経済活動のジレンマはずっと続いていく。これに伴い、人々の考え方も変わり、働き方やコミュニケーションのあり方は変化している。また、ICT技術の後押しもあり、都市部集中の必要性が薄れて都市集積から地方分散へのモーメントが働いている。
今後は大量のインプット、アウトプットを伴う急激な成長よりも、持続性が重視される時代となるため、グローバルなサプライチェーンについても、集積から分散が進み、一極集中の大量生産から、より安定供給を目指した一定の自給率確保や効率的な備蓄、効率的な供給が重要になってくる。
消費行動についても、例えば、外食よりも食品を購入する、アパレルは日常着・室内着を求める、など、持続性を重視した基本的なニーズに立ち返っていく。また、健康や食の比重が高まれば、相対的に教育や趣味・娯楽の価値が下がっていくし、安心・安全を重視する動きから、遠方へ外出せず、地域への回帰や近隣の相互扶助等の行動が増えてくる。
このような変化の中、GFVC協議会のような官民協調に際して一番重要なのは、官民が互いに情報共有し、これまで気づかなかった新たな価値や可能性を見出していくことである。また、リスクを負って新しいことに挑戦する、成功と失敗の基準を定める、など産業政策を考えていくことも重要。
今後は、特に東アジア戦略が一層重要になり、日本は中国やインド等の新興市場を取り込む必要がある。この際、日本が遅れているデータ開示と広報能力の抜本的強化、日本企業だけで進めない開放性の確保、サプライチェーンのどこに付加価値を付けられるのかの検討、が必要となってくる。
また、例えばデジタル分野など、海外と比べ、日本が遅れている部分もあるので、海外での実験の成果を持ち帰る、または日本での実験と双方向・水平的に進めると言った発想も持つべきである。

2. COVID-19を踏まえた事業展開

各副代表からの説明

(ハウス食品グループ本社株式会社 国際事業開発部長宮戸GFVC推進官民協議会副代表)
・弊社はアメリカの豆腐事業、中国や台湾のカレー事業、アセアンの機能性飲料の事業を主力に、それぞれ異なるビジネスモデルを展開している。全社売上2,900億円のうち、海外食品事業の構成率は12%程度である。
COVID-19の影響は、全体としてBtoBで大きなマイナス、BtoCでプラスとなっている。海外食品事業では、主力3事業で当初予算に対し売上高19億円、営業利益で6億円のマイナスである。弊社は海外食品事業もBtoCの比重が高い。
東日本大震災の経験から、有事前から進行していたトレンドが有事で急速に顕在化する、また、有事の特需は一時的・一過性のである、という教訓を得た。当時は自粛ムードと「きずな消費」を背景に内食回帰と言われたが、実態は食の外部化、即ち時短化や「作らない化」であり、調理型食品から調理済み食品、レトルトや冷凍食品、総菜へのシフトが加速した。今回もCOVID-19以前から進行している事象から、加速して変容するものが現れると思う。
世界的な移動制限と健康不安の中、「新しい生活様式」のような消費意識や行動の変容をどう捉え、事業につなげていけるか、東日本大震災の教訓から、生活者にとってのストレスフリーな利便性が重視されると予測する。
中国では生活様式の変化が見られ、食の衛生意識が高まっている。中国のカレールウは特需となったが、有事特有の一過性か否かを見極め、次の成長につなげたい。
米国ではCOVID-19の感染者数や死者数が多く、予防意識や生活習慣改善の流れから、ビタミンCを含め免疫系の機能性素材、サプリメントやヨーグルトの需要が高まっている。以前からプラントベースドフード・植物性たんぱくへのシフトにより豆腐の需要が上がっており、今後加速する可能性もあるので、事業機会に取り込んでいきたい。

(日本通運株式会社 事業開発部長山﨑GFVC推進官民協議会副代表)
弊社の貨物事業全般では、2月頃から中国で、3月以降は欧米でもCOVID-19の影響が顕著となっている。昨年と比較すると、海外会社の売上は、2月は東アジアで20%弱マイナスとなり、3月・4月は東アジアでは回復したものの、欧米では20~30%マイナスが続いている。海外輸出が減り、海上輸送・航空輸送のいずれもマイナスである。アジアを中心に緊急輸送の需要はあったが、全体的に荷物量は減っている。COVID-19の影響は売上高で42億円、営業利益では13.5億円であった。海外セグメントは12月決算のためこの数値には含まれていない。海外引越や中国向けの港湾輸出入の停止の影響が大きかった。弊社では従業員の安全確保として、海外駐在員の帰国対応を行う一方、人員確保や調整、安全対策を行い、物流業務を継続している。
航空輸送は旅客便のキャンセル拡大によって輸送スペースが減少した。航空運賃はCOVID-19発生前から3~5倍程度に上昇しており、生鮮食品の輸出に影響を及ぼしている。国内では貨物専用臨時便の利用を、5月は4月の約3倍にし、6月はさらに増やす予定である。海上輸送では中国の旧正月延長や欧米のロックダウンによって需要が減ったこともあり、アジア発欧州・米州向けを中心に一部会社の減便が行われているが、こちらは今のところ目立った運賃の高騰等は発生していない。
企業の生産活動は停滞しているため、経済への影響はさらに深刻になると予想している。弊社もまずは各企業の活動や生活の維持のため、各国・地域と連携して流通の支援を行いたい。各企業内部においてBCPの検討や新しい生活様式への対応が進むに伴い、弊社もお客さまの変化に柔軟に対応していきたい。
弊社の有する日通ファーム株式会社では、山梨県で葉物を作り、小売店や外食に卸している。4月・5月の売上で各々13から14%、各々200万円程度、COVID-19の影響を受けている。一方、小売にはほぼ影響なく、ウェブサイトからの受注も伸びており、巣ごもり消費の効果と思われる。
今後の傾向について、食品の個人消費量はあまり変わらないが、購買手段が変わって宅配が伸びているため、販売拠点に関わらず事業を展開できると考えている。世界規模でも同様に各国から実店舗を介さない日本産食品の需要が増える可能性があると言える。サプライチェーンの変化が各国の物流にもたらす影響、輸出入の流れや商品の変化等を注視し、新たなビジネスモデルを模索したい。
官には引き続き、各国地域の情報の収集と提供、特に本協議会での二国間対話を通じた規制の緩和・撤廃の取り組みをお願いしたい。EUや中国等、購買力の高い国や地域の規制が緩和・撤廃されると、日本食の輸出効果が高まると期待している。
 
(株式会社前川総合研究所 代表取締役社長篠崎GFVC推進官民協議会副代表)
私はGFVC推進官民協議会設立から参画し6年になり、その発展の中で弊社の活動に活用させていただいた。皆様にもGFVCを活用いただければと思い、本日参加した。
前川グループは1924年創業で、製氷業から開始し、食品機械や冷凍機、食品以外の用途にも使える技術等を開発し、全世界に展開してきた。BtoBに加え、特殊な分野の特別な機器をニーズに合わせて納め、研究開発・デリバリー・製造・販売・メンテナンスを通じ、お客さまと共に活動することがコンセプトである。
1970年代から海外展開を開始し、営業拠点やメンテナンス拠点が41カ国100カ所超、工場は海外7カ所・国内3カ所と、全世界を網羅している。COVID-19のように全世界的な影響を受ける場合、地域の実状を正確に把握し情報を解析することが重要である。
冷凍技術の活用は、食品関係市場が最大で、水産関係は冷蔵・冷凍が特に重要であるほか、乳業関係や鶏肉の脱骨ロボット等の開発も行っている。食品以外にも、ガス、オイル、ケミカル、レジャー、環境、ロジスティックスの分野にも展開している。コールドチェーンでは、フリーザーで凍らせた各種食品や原材料等を物流倉庫に入れ、冷凍運搬船により各地へ運ぶ。弊社はその起点となる施設の冷蔵・冷凍設備を担っている。フロンではなく自然冷媒を中心に冷凍機を開発している。
COVID-19の影響については、食品の需要と供給のバランスが変化し、食品の保管をするためのバッファ機能が重要になるため、保管する冷蔵設備の場所や規模、温度帯等の情報が重要になると考えている。物の分量や所在を把握することで、冷蔵設備の稼働状況も見えてくる。海外では生産地と消費地を結ぶコールドチェーンが途絶しているケースが多く、食料安全保障も含めたリスク課題となっている。
外食が減り、冷凍食品等の家庭内の需要が増大したので、その製造設備等に投資されるお客さまが増えている。テレワーク等の定着に伴い、家庭内消費は継続すると考えられるため、長期的傾向を見極め、お客さまと相談をしながら設備投資を考えていきたい。
従前の生産計画では、在庫の余剰や不足が生じ得るので、食品保管の観点から、柔軟なフードチェーンの構築が求められる。今後も本協議会で議論を深め、多くの方に参画いただきたい。

質疑応答

質問(深川GFVC推進官民協議会代表)
・BtoBからBtoCへの構造的な変化や、有事以前のトレンドが加速化するという指摘が印象的だった。その変化に対応する商品開発や物流促進のコストについて伺いたい。
アジアではプラントベースドフード、発酵食品等が豊富だが、欧米においてはアジアと聞いてCOVID-19を連想するような差別や偏見の影響がないか。
中国は危機を機会に変えようとする逞しさがあり、外食業の従業員を大量に雇い小売のデリバリーを回しているという報道を目にした。世界に先駆けてCOVID-19が流行した中国から、何か新たなアイデアは得られたか。

回答(ハウス食品グループ本社株式会社 国際事業開発部長宮戸GFVC推進官民協議会副代表)
東日本大震災の教訓を活かし、会社として有事に対応する事業構造の変化に注力している。例えば、スパイスの調達からBtoB、BtoCを含め壱番屋カレーというバリューチェーンを構築しており、概してカレールウは収益性が高い。また、調理済み食品・冷凍食品に拡大するとコストが膨らみ収益構造も変わるので、加工食品の中でもレトルトカレーへの設備投資等により収益力を上げる方向で進めている。
アメリカ東海岸では、実際に弊社従業員が人種差別による危険を感じる場面があり、中国に対するバッシングが影響しているかと思われる。しかし、豆腐を含むプラントベースドフードについては、先般の調査結果によれば、白人の若年層に相当程度浸透しており、アメリカのマーケットの品揃えも充実してきて、これまでの知識層・富裕層に限られない消費意識ができつつある。
中国はデジタルの課題を含めとにかく実行力がある。中国政府は衛生面から「取り箸・分食運動」を進めていて、外食店でも浸透している。また、若者中心に洋食を取り入れる人が増え、特に子どもが好むカレーライスのようなワンプレートは、チャンスがあると思う。自社の努力と世界の潮流とを合わせて、事業の見通しを修正しながら柔軟にコミュニケーションしていきたい。


質問(深川GFVC推進官民協議会代表)
COVID-19の状況下では予測不能の事態で物流が停止することも考えられる中、どうすればレジリエンスを確保できるか。
日通ファームで葉物を作るのは、傷みやすい葉物こそ物流のノウハウを活かせる、といった理由があるからなのか。
日本食に対する規制緩和では、放射能関連の話題がよく報道されているが、現在の経済回復に向けた流れの中、どのような部分で規制緩和すべきか。

回答(日本通運株式会社 事業開発部長山﨑GFVC推進官民協議会副代表)
COVID-19による人の移動制限により、工場が稼働せず、飛行機も動かず、その結果として物流が停滞した。設備投資により改善できる部分もあるが、政治的な要因については対応が難しい。
葉物は水耕栽培なので、農業経験のない運送業の会社にも取り組みやすかったと思われる。葉物は温度によって色が変わりやすく栽培が難しいが、安定運営を目指したい。
規制緩和については、例えば、様々な種類の水産物をアソートして輸出しようとした場合、香港やシンガポールでは可能だがEUでは難しい。また、中国では、日本の牛肉のニーズは高いが輸出条件が厳しいため、カンボジア・香港・マカオ経由で中国に入っている。これらの輸出条件の撤廃や緩和が望まれる。


質問(深川GFVC推進官民協議会代表)
BtoBからBtoCへのシフトで温度管理が重要となる中、コールドチェーンに要するコスト、リスクやチャンスは何か。
新興国はそもそもコールドチェーン等が十分に構築されていないと思われるが、インドのように気温の高い場所ではどのような状況か。

回答(株式会社前川総合研究所 代表取締役社長篠崎GFVC推進官民協議会副代表)
冷蔵設備には大別して常温・チルド・フローズンがあるが、新興国では、まず氷で冷やした状態、次いでフローズン、最後にチルド流通が遅れて整備される、といった傾向がある。新興国でも大手企業は設備投資してコールドチェーンを構築している一方、小売では常温のまま腐らせ、フードロスが50%あるとも言われており、二極化が進んでいる。COVID-19でコールドチェーンが寸断された場合の影響は想定し切れないが、注視していきたい。
また、日本から農産物・食品を輸出するに当たり、現地到着後のコールドチェーンができていないと品質が低下する。本協議会の課題の一つとして、GtoGの二国間交渉により、日本が現地国と農業対話を行う中で政策的に提言していくことや、技術的な問題の解決を図っていくことが重要である。
インドでは、大手企業が行う欧米に輸出されるような特定分野では、見事なコールドチェーンが構築されているケースがあり、例えばエビ等は日本と同等程度のフローズン状態で全世界へ輸送できる。HACCPの対応もできている。


コメント(農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課平中課長)
本年4月、農林水産省に司令塔組織を設け、政府を挙げて各国の規制撤廃に向けて取り組んでいる。動物検疫や衛生基準等、様々な課題があるが、国内外の状況改善に努めており、詳細を今後ご紹介したい。
官民協議会での取り組みについても示唆いただいた。農林水産省も皆さまのお役に立てるよう情報提供・調査などを実施していきたい。この後の農林水産省からの報告で説明する。御登壇の皆さまにお礼申し上げる。

3. 農林水産省からの報告

(1)COVID-19の影響を踏まえた今年度の取り組みについて
(農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課平野国際交渉官)

COVID-19による移動制限および需要減少により、世界的に経済活動が停滞し、本協議会メンバーの海外ビジネスも影響を受けている。経済活動や人の往来の本格的な再開までに一定の時間を要する中、本協議会でも従来とは異なる対応が必要と考えている。今年度はCOVID-19に関する調査結果を皆さまと共有する等、以下4点を中心とした取り組みで、フードバリューチェーン再構築にかかる海外展開を後押ししたい。
1点目は、世界各地のCOVID-19による出入国制限や外出制限等の現状、食品小売店やレストランの営業再開の状況等について現地関係者等から情報収集し、メンバー企業へメーリングリストで毎月共有する。6月5日時点の主要国の経済活動状況を別紙1に取りまとめたので参照いただきたい。
2点目は、我が国政府および政府関係機関が実施する支援策等を随時紹介する。今回も議題4でJETRO、JBIC、NEXI、JICAの各機関から支援ツール等の紹介があるので、参照の上活用を検討いただきたい。メンバー企業から支援策等の相談があれば、協議会事務局で受け付け、関係機関へ取り次ぐ。
3点目は、現地のフードバリューチェーン再構築に向け、各国政府の食関連産業への支援策や現地企業の最新動向、フードロスの発生、食品加工場の生産量低下等の課題について調査し、収集した情報を毎月メーリングリストで共有する。調査希望項目があれば、配信ページの最後のアンケート欄に入力いただきたい。
4点目は、今後の海外展開に向けた対応について、これまで毎年度開催してきた各国・地域別部会は、各現地の情勢等を踏まえながらTV会議方式も含め開催を検討していく。状況が整えば官民ミッションによる海外訪問を再開したいが、今年度は相手国政府や現地企業等とのTV会議の開催も追求する考えである。
また、地方の民間企業の皆様とも協議会として引き続き関係を構築・強化していきたい。TV会議方式等も活用しつつ、地方でのセミナー開催も検討したい。
ASEAN地域における我が国のスマート農業技術の普及に向け、GFVC協議会の下に新たに「スマート農業部会」を設置し、今後モデル事業の実施に向け検討を開始する予定である。詳細は別紙2を参照いただきたい。部会立ち上げの際には改めてご案内する。
COVID-19発生後の我が国の対応や感染状況に関し、世界から日本の習慣・文化等に関心が寄せられており、日本の技術やノウハウを生かせる機会が生まれることが期待される。農林水産省は各種取り組みを通じ、議題4でご紹介する関係機関の協力も得ながら、今後も皆さまの海外展開を支援していきたい。


(2)農林水産物・食品の輸出に関する経済対策の概要
(農林水産省 食料産業局 海外市場開拓・食文化課渡邉課長補佐)

COVID-19の拡大により、輸出事業者から旅客便が減便し輸出物流に影響が出ている。輸出先国の外食の売上は減少する一方、家庭食へのシフトにより、小売・デリバリー等は伸びている。アメリカの状況は依然厳しいが、中国や香港では回復が見られる。経済対策として、既存の輸出商流を維持するための対策や、COVID-19を機に生じている行動変容への迅速な対応を支援する対策を盛り込んでいる。以下、各事業を紹介する。
輸出先国での家庭食シフトに対応した商品の製造に必要となる施設の整備や機器の導入、輸出先の変更を行うための多言語ラベル機の導入等に対し、経費の2分の1を支援する。当事業は都道府県を通じて要望調査を行っている。木材の加工施設の導入、パックご飯の製造ライン等の施設整備にも支援メニューがある。第1次募集は終了した。
食品製造業者等が、輸出先国の志向や規制等に合わせた商品・メニューの開発、国産原料等への切り替えを行う場合に、経費の2分の1を支援する。当事業は執行団体を審査中であり、その決定後に募集開始予定である。
JETROが商談会の開催や海外見本市への出展の企画、オンラインでの商談機会の提供等を行う予定である。詳細は議題4で紹介いただく。
日本産食材の戦略的プロモーションとして、COVID-19の影響を受けている品目について海外販路開拓の取り組みを支援する。実際に輸出を行う事業者には経費の2分の1、それ以外の団体等には定額で支援する。既に1次募集は終了した。追加募集が行われる場合には、農林水産省のホームページの申請・お問い合わせページに掲載する。
海外の小売、外食、輸出商社等と連携した取り組み支援として、1つ目は輸出のための新たな商談にかかる旅費等の経費の2分の1を支援する。現在事業の実施団体を審査中であり、準備が整い次第申請の受け付けが開始される見込みである。2つ目は「日本産食材サポーター店」として、現地の輸入商社と連携した日本産食材のキャンペーンへの支援を、JETROと通じて実施する。詳細を議題4で説明いただく。
各事業の詳細は資料に掲載した各担当課に問い合わせるか、農林水産省トップページから注目情報「説明動画」、個別事業のPR版に進み、20番を確認いただきたい。


4. 政府関係機関のCOVID-19対策に係る支援ツール等

(1)新型コロナウイルス影響下における農林水産・食品輸出の新たな取り組み
(独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO) 農林水産・食品部中部長)

COVID-19により、日本産食品の主要輸出先であった海外の高級和食レストラン向けの需要が減退している一方、巣ごもり消費の拡大に伴い、小売、中食、デリバリー等の市場は伸長している。我が国の農林水産物、食品輸出は全体として前年4月比約10%減と厳しいものの、中国をはじめ増加に転じている市場もある。JETROとして、農林水産省の補正予算を活用し新たな取り組みを開始する。
第1に、JETROが海外事務所に配置している現地の食品流通に精通した専門家、海外コーディネーターを活用し、現地での市場や物の動きを調査する。特に主要な市場ではリアルタイムで状況変化を察知し、皆さまにお伝えしたい。
第2に、海外バイヤーの要望を聞き取り、マッチする商品を国内で募集し、迅速かつ積極的に商談を設定していく。渡航が実質的に困難なため、見本市への出展支援事業や国内外での商談会もリモートへ移行するが、サンプル送付やテレビ画像等を通じ、リアルに近い商談環境を実現したい。この新たなオンラインスキームに奮って参加いただきたい。なお、今後見本市が開催され、かつ、渡航制限も緩和された折には、実際に現場へ渡航いただくことも可能である。
第3に、今後拡大が期待される物については、現地の飲食店、小売店、インポーター等によるプロモーションを支援する。消費トレンドを掴み、輸出増大につなげたい。
今後は、様々なマッチングイベントに参加いただいた事業者の商品情報を、データベース上に蓄積していきたい。海外バイヤーから問い合わせがあった場合には、事業者の確認を得て迅速に情報共有し、商談をセッティングしたい。
今後の具体的な事業実施の告知については、資料中の電話番号やメールアドレスに問い合わせるか、リンク先の本協議会メールマガジンに登録いただきたい。


(2)成長投資ファシリティ:新型コロナ危機対応緊急ウインドウの概要
(株式会社国際協力銀行(JBIC) 産業投資・貿易部 第1ユニット菊池ユニット長)

「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の閣議決定および国会等の審議を経て、新たな融資メニューとして「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」(緊急ウインドウ)を創設した。財務省が保有する「外国為替資金特別会計」(外為特会)のドル資金を有効活用し、JBICが日本企業に低利での融資を提供し、海外事業の資金に利用できる。
対象通貨は、米ドル、ユーロ、円、その他通貨である。金利条件は個別案件毎に決定しているが、通常メニューの金利の半分程度である。融資割合は、総所要資金の上限6割で、残り4割は民間金融機関との協調融資である。融資契約の調印期限は、2021年6月30日である。財源は、融資金額全額を外為特会から借り入れる。
対象案件は、各分野に該当する「コロナ影響等案件」であって、原則として本邦企業の信用による案件、即ちコーポレート与信である。「コロナ影響等案件」とは、COVID-19による影響と資金調達に因果関係があるものであり、例えばCOVID-19に起因する手元流動性不安のために運転資金を調達するケース等である。また、COVID-19の感染防止に資するものや、COVID-19を含む感染症全般への対応強化に資するものとして、検査キット、ワクチン等開発・製造も対象とする予定である。日本企業の皆さまの事務手続の手間は最小限に抑えたいと考えている。
資金使途は、従来融資対象としている設備資金に加え、COVID-19の影響を受けて必要となっている運転資金も取上げ可能である。海外の地場金融機関からの借り換え・借り入れが難しくなったケースも検討対象となる。融資期間は1年超を想定している。

(3)貿易保険制度の概要と新型コロナウイルス感染拡大への対応について
(株式会社日本貿易保険(NEXI) 営業第一部 営業推進グループ五十嵐グループ長補佐)

NEXIは、政府出資100%の公的貿易保険機関として、日本からの海外投資や輸出等について、民間保険会社ではカバーできないリスクを填補する貿易保険の制度を提供し、戦争やテロ、自然災害等によって損失が出た場合に保険金を支払っている。
海外投資保険は、日本企業が出資・投資をした海外の現地法人や工場等に対して掛ける保険であり、出資・投資した資金の減少部分について保証する。COVID-19で1カ月以上の事業休止により発生する、事業休止期間中の人件費、管理費用、減価償却の費用等、純資産部分の減少に対して保険金を支払う。中間会社を介した出資や、不動産等の権利に対する投資等も対象とする。「収用」「権利侵害」「戦争・不可抗力リスク」「送金不能リスク」から、お客さまがカバーを希望するリスクを選び、組み合わせが可能である。保険料の水準は、リスクの対象が所在する国の危険度、保険対象の範囲、補償の範囲により決定する。
輸出保険では、日本企業が行う輸出取引において、輸出代金の回収や船積みができないことで発生する損失をカバーしている。中堅・中小企業や農林水産省の輸出促進は政策的課題でもあり、弊社としてもその支援を重要な取り組みと捉えている。
貿易保険の保険料の水準は概ね輸出契約金額の1%と低廉ではあるが、中小企業向けの専用商品「中小企業・農林水産業輸出代金保険」ではより安価に、NEXIが提携する地域金融機関を通じた申込みでさらに10%の保険料割引を実施している。
貿易保険の利用意義は、カントリーリスクや信用リスクから資産を守ることや、直接貿易・後払契約化による競争力の向上にある。海外取引先の与信の格付けや与信枠についての事前審査を、中小企業1社につき8海外取引先分まで無料で提供する。
海外子会社から第三国に輸出を展開する際、海外の公的保険機関(ECA)と連携し、NEXIが再保険を提供して支援する。
金融市場においてリスク回避の動きが高まる今般の動きを受け、海外で事業活動を行う日系子会社の運転資金支援のために1兆5千億円の引受総枠を用意した。
NEXIは各種保険を通じて、日本企業のグローバルサプライチェーン維持・拡大に向け、より踏み込んだ支援をしていく。海外への輸出や投資について相談いただければと思う。


(4)農業セクターへのCOVID-19の影響、今後の予測とJICAの支援
(独立行政法人国際協力機構(JICA) 経済開発部天目石次長)

2019年は過去最高の豊作だった。世界的には食料は十分あると考えてよい。2020年もCOVID-19の前は豊作と予測されていた。
しかし、現在人口12億から13億人と言われているアフリカの生産量は全世界の7%を切る程度に留まり、食料の3割程度を輸入に依存しているため、極めて脆弱である。
COVID-19を受けた封じ込めによって農業・食料生産に係るサプライチェーンの混乱や労働力不足が発生し、国によっては農業資材へのアクセスが困難になり食料価格が上昇している。今後は需要と供給の関係が崩れ、2014年に西アフリカでエボラ出血熱が流行した時と同様に、農業資材の確保困難や労働力不足に伴う作付面積・収穫量減少、収穫ロス増加、品質低下が起こり得る。WFPは、迅速な対応策を取らなかった場合には急性の飢餓人口が現在の約2倍、2.65億人に達すると警告している。
COVID-19に加え、サバクトビバッタが東部アフリカ・中東・南アジアに広がり、70年に一度の被害とも言われている。FAOは東部アフリカを中心に4,200万人が食糧不足に陥り、1,200万人の国内難民が発生すると予測している。第2波が成虫になる6月は、収穫時期と重なり、食料生産に甚大な影響を与える可能性がある。
JICAの農業分野のCOVID-19の支援策について、各国レベルでは、緊急的・短期的な支援として、物流の混乱による農業生産への影響の最小化、農業資材、種子、肥料の供給、農業投入財の確保、労働力不足に対する機械化等を迅速に展開する。次期作や次年度作が安定的に行えるよう、必要に応じ、生産、栄養改善や衛星に関する物資の供給、生計の多様化、収入創出活動等も取り組んでいく。栄養面では主食中心になり、野菜や肉、乳製品の摂取が減るという指摘があり、積極的に改善を図る。各国・地域状況を注視し、時機に応じて支援したい。
国際・地域レベルでは、中長期的な支援として、食料生産のレジリエンスのため、アフリカにおける食料・肥料の輸入依存度の改善等を考えている。稲作では、アフリカで米生産の倍増を目指すCARD2を進め、農業機械化や労働力確保に取り組んでおり、栄養改善では、アフリカの子ども2億人を対象に、「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ」IFNAを進めている。また、サプライチェーンの再構築・短縮化として、SHEPという農業普及の手法で、マーケット動向を見ながら物を作る取り組みを進めている。これら稲作、栄養改善やサプライチェーンの再構築・短縮化の分野では、日本の民間企業の技術が活かせると考える。


以上

お問合せ先

大臣官房国際部国際地域課

担当者:GFVC推進官民協議会事務局
代表:03-3502-8111(内線3511)
ダイヤルイン:03-3502-8058
FAX番号:03-5511-8773