岐阜県海津町
交流会の概要
開催日
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平成15年10月30日(木曜日) |
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主催
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農村振興局、東海農政局、岐阜県、水土里ネットぎふ |
開催場所
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岐阜県海津郡海津町 海津町歴史民族資料館3階能舞台の間 |
語り部等参加者数
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平野啓子氏(コーディネーター)他5人(うち土地改良関係者 1人) |
傍聴者数
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20人(主な職種:文学の会、水土里ネット等) |
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語り部交流会の様子
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語り部による語りの様子
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語り部の概要
氏名 | 語りの概要 |
活動実績等
(職業、職歴)
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井島大 | 関市で語り継がれている民話「神光寺の天邪鬼」を語られた。 神光寺上棟の日、大工達は棟木が上げられず悪戦苦闘としていた。その時、天邪鬼がやってきて大工達をからかい、「こんなもの俺なら一人で持ち上げられる」と言ってヒョイと持ち上げてしまった。その瞬間、大工達がツンバリを取ってしまったので、今でも神光寺の棟木は天邪鬼(の木像)が担いでいる。 |
毎年、年二回程度図書館、公民館にて、地域住民を対象に関市の民話や善光寺(長野の分院)にまつわる歴史などを語られている。(歴史研究家) |
瀬古尹宏 | 輪中地域における水との闘いや「堀田」と呼ばれる独特の田んぼが発達した理由を語られた。 輪中の水田では、周囲を川で囲まれ、水位も高く、水田がすぐに水に浸かってしまうため、今から280年前から、周囲の土を一部水位より高く盛り上げて、水田をつくり、そこでお米を作っていた。これを堀田という。水たまりに囲まれたような水田のため、常に水の中での作業となり重労働であった。また面積が狭く、普通の水田の6割くらいしかお米が取れなかった。 |
年間を通じて、資料館に社会見学等に来た小学生に対し、高須藩の歴史、輪中の歴史について語られている。(海津町歴史民俗資料館 嘱託職員) |
武山武司 | 岩野田で語り継がれている民話「お救い畑」を語られた。 昔、岩野田は荒れた畑しかなく、農家は飢えに苦しんでいた。それを見たお殿様が、農家に日当を与えて新たに畑を造成し、それを農家に与えた。それ以降、岩野田の農家は豊かになり、その畑を「お救い畑」と呼ぶようになった。岩野田では現在も「お救い畑」と呼ばる畑が存在している。 |
岩野田の歴史を語る会の主催で「ふるさと探訪ウォークラリー」を7回実施し、その行程の中で地元の民話を語られている。(岩野田の歴史を語る会 会員) |
原美千代 | 池田町で語り継がれている「盛り枡騒動」を語られる。 大垣藩では、米を枡で計って年貢を納めていたが、運ぶ途中こぼれるため、米を枡に盛って納めるよう農家に指示した。これに困った農家達が大垣藩に押し掛け、その数が数千人におよぶ騒動となった。お殿様はこの騒動を収めるため年貢を元どおりに戻した。その農家の代表者は、地域で尊ばれ、今でもお粥を捧げる行事が行われている。 |
20年間にわたり、小学校や老人施設等において、池田町の民話や伝説、歴史などを語られている。 また、子供たちに紙芝居による民話を伝えたり、語りによる観光ボランティアを行っている。(池田町郷土史研究会郷土史の会 代表) |
山田安彦 | 「曽代用水の歴史」などについて語られた。 曽代用水の開削の歴史は、寛文3年(1663)まで遡る。尾張藩の浪人喜田吉衛門、林幽閑と地元旧家柴山伊兵衛の三氏が私財を投じて開削を行い、地域に大恩恵をもたらした。その後、用水利用の村々は開削を行った三氏を神に祀り下有地に井神社を作って感謝の誠を捧げるようになった。 |
年間を通じて、小学生に対し、曽代用水の歴史等について語られている。(曽代用水土地改良区 理事長) |
(職業等は開催当時のもの)
意見交換の概要(主な意見等)
- 輪中地帯という水に悩まされてきた地域の開発の歩み、低い土地に住む人々の工夫や努力は、後生に伝えていかなければならない。
- 昔は地域で一斉に田植えを行っていたが、今は一斉に行うこともなくなり、共同意識を稀薄にしている。
- 貧しくてお米が食べられなかった時代があったことなど、昔の話を今の子供に実感として捉えさせることが難しくなっている。
- お米を量る「枡」など世代間で言葉が通じなくなっている。
- 語る側はのどかな田園風景が頭の中にはこびり付いているが、今は大型トラクターによる近代化された農業が行われており、昔の農業風景というものを今の子供たちに説明することが難しくなっている。
- 先人が苦労して開削した用水路の歴史や恩恵を、子供達にも良く知ってもらいたい。また、小学校の先生からも子供達に語り伝えて欲しい。
- 昔の文献を調べることも大事であるが、現在残っている町並みや寺院といった地域の風景を写真に残すことも必要と考えている。
- 子供達にどうやって伝えていくか工夫しないと、貴重な財産である民話や伝承を一生懸命に語り伝えても、将来に伝えていくことは難しい。
お問合せ先
農村振興局設計課広報G
代表:03-3502-8111(内線5561)
ダイヤルイン:03-3595-6338