安土桃山時代から続く用水を日々管理
鹿妻穴堰土地改良区 越場 紀寿氏(岩手県盛岡市) 取材年月:平成28年9月
【鹿妻穴堰土地改良区】 鹿妻穴堰土地改良区は岩手県盛岡市にあり、盛岡市南部から紫波郡矢巾町及び紫波町に広がる約4,600haの水田、畑地を受益地とする用排水施設の管理等に加えて、歴史教育、アドプト活動、水源涵養林の保護など幅広い活動を展開しています。 |
|
1.水管理と施設管理における経験の中で ■越場さんは、かんがい期は水管理のため毎日管理水路を巡回し、悲かんがい期は施設点検、補修工事に係る設計、工事の施工管理まで、様々な業務を一手に担っています。 ■様々な経験をした中で、渇水で受益者に番水を協力してもらう時が一番辛かったそうです。しかし、田畑に水が届いた時に受益者から『ありがとう』と声を掛けてもらう事が、非常にやりがいを感じる瞬間になるそうです。 |
|
揚水機場でのポンプ開度操作 | |
2.鹿妻穴堰の歴史教育を通じて ■鹿妻穴堰のことは、小学校の社会科副読本に掲載されているため、岩手県の小学生は皆、鹿妻穴堰の歴史を学習します。そのため、毎年2,000人以上の小学生が施設見学に訪れます。 ■現在の農業が築かれたのは、先人たちが水を引く功績を残してくれたおかげであり、次の世代にこの財産を残すことが土地改良区の使命と感じているそうです。 |
|
鹿妻頭首工見学 | |
3.非農家を含めた維持管理活動「アドプト(※1)」 ■平成6年から盛岡市立太田小学校等の協力で、鹿妻穴堰頭首工下流の水辺公園の花壇整備や、鹿妻本堰での草刈を続けています。 ■維持管理に関わった施設や農業用水路が憩いの場として景観が保たれると、地域の財産として農業用施設を大切にする気持ちが芽生え、地域住民との連携が構築されるため、少しずつ土地改良区の意義が浸透しています。 (※1)アドプト 市民と行政が協働で進める清掃活動をベースとしたまち美化プログラム。アドプトとは英語で「~を養子にする」の意味。一定区画の公共の場所を養子にみたて、市民がわが子のように愛情をもって面倒をみ(清掃美化を行い)、行政がこれを支援する制度。 |
|
アドプトによる花壇整備 |
|
4.水源涵養林の育成・保護 ■土地改良区では雫石川の水源を保護するため、所有する山林で水源涵養林の育成・保護も行っています。 ■小学生を対象に植樹体験や枝打ち体験を実施して、「水源涵養林の役割」や「水がもたらす恩恵により農業が成り立っていること」を学ぶ場として毎年開催しています。 |
|
枝打ち体験 | |
5.今後の抱負 ■世代交代で、受益者の意識が大きく変わってきていると感じており、土地改良区の意義を伝える啓発活動の必要性を感じているそうです。 ■地域の農業発展の源として築かれた歴史のある鹿妻穴堰。それを守る鹿妻穴堰土地改良区。日々の水管理・施設管理のみならず、現状の課題を踏まえた土地改良区の取組は継承されていき地域社会に浸透しています。 |
|
盛岡南部地区全景 |
添付資料
☆インタビュー記事です!☆安土桃山時代から続く用水を日々管理(PDF : 377KB)
関連ホームページ
鹿妻穴堰土地改良区(外部リンク)お問合せ先
農村振興局整備部設計課
代表:03-3502-8111(内線5561)
ダイヤルイン:03-3502-6204