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農林水産省

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特集1 海に挑む。(2)

海を守り、育むために 今、漁業の現場では

漁船漁業の場合 獲れた魚をすべて活かしたい


海に生きる者として、水産資源を大切にしたい。そんな思いから「一魚一会」を理念に掲げる若き経営者。
愛媛県八幡浜市昭和水産・宮本英之介さん
海に挑む

漁労長 浜田淳二さん
漁労長 浜田淳二さん。漁の責任者です。

頼もしい海幸丸の乗組員
頼もしい海幸丸の乗組員
夏場の2~3カ月は禁漁を守る

愛媛県佐田岬半島のつけ根に位置する八幡浜漁港は、魚種豊かな宇和海の漁業の基地として栄え、四国一の規模を誇る魚市場があることでも知られています。

昭和水産はその八幡浜漁港を拠点に、沖合底びき網漁を操業している老舗の網元。代表取締役の宮本英之介さんは昨年2代目を亡くし、3代目を継いだ漁業の若い担い手のひとりです。所有する第1516「海幸丸」は、漁期間である9月から5月の間、高知土佐湾沖、から日向灘沖、種子島・屋久島沖に至る海域で操業しています。

「かつては50余隻もの船が底びき操業をしていましたが、ずいぶん減りました。さまざまな原因があるのでしょうが、魚価が安くなったのが一番の原因でしょうか」
底びき船の乗組員も20~30代の新規就業者はなく、ほとんどが50~60代だといいます。

「乗組員は漁期中、ほとんど船上ですごします。1週間に2~3回の割合で八幡浜港に帰港し水揚げをしますが、すぐにまた出港し、今日も出漁中です。過酷な仕事ですが、乗組員たちは誇りをもって仕事をしてくれています」

漁期が決められている漁法の漁師は、基本的には季節労働者ということになります。休漁期にも雇用契約を結んでいる漁師は、その間、船のメンテナンスや漁具の修理を行っているそうです。

資源一つひとつに価値を見いだしたい

底びき網漁は魚を一網打尽、というイメージがありますが、昭和水産では漁期の厳守はもちろん、幼魚が群れをなしているポイントでは操業を止めたり、根絶やしにするような獲り方はしないといった配慮をし、資源管理に努めているといいます。



「沖合まで船を出して大きな網をひく漁だから、小型船に比べればかなりまとまった漁獲量があることは確かですが、1年のうち数カ月も休漁期を設けているし、実際には一網打尽といったイメージとは程遠い。私たちだって水産資源が減ってしまっては困ります。ち ゃんとそのことを考えて操業していますよ」と宮本さん。

また、昭和水産では独自の流通システムを確立し、産地市場や中央市場を介さずに、消費者や業務店に直接鮮魚を届けています。網にかかった、いわゆる「雑魚」と呼ばれる魚や流通に乗らない規格外の魚にも付加価値を与えて、商品化しています。

今、各地でこうした新たな産直の取り組みが始まっています。漁業協同組合の数支所が大手小売業者と直接取引を行い、定置網や底びき網などで漁獲された「ひと網すべて」を買い上げてもらうシステムを確立しました。普段は流通しない魚介類も取引され、スーパーの担当者が漁師から食べ方を聞き、消費者にアドバイスしながら販売しているといいます。

「なじみのない魚でも加工して届けたり、食べ方を教えたりすれば、手に取りやすいですよね。食用に向かない魚や傷んだものは肥料にするなど、有効利用する方法はあります。私たちは水揚げした魚介類を無駄にしたくないのです」
若い網元の言葉に水産資源に対する熱い思いが感じられました。

宮本英之介さん
「流通事業に取り組んで10年余。水産資源に付加価値を見出し、提供していくことは生産者企業の役割であり、使命であると考えています」と語る宮本英之介さん

おさかな直売所
独自の流通システム

産地市場や中央市場を介さずに、鮮魚を直接届ける流通システムを確立したおかげで、地魚や雑魚も数多く各地に届けられるようになったといいます。食べやすいように処理して一夜干しにしたり、パン粉をつけて揚げるだけの状態でパックにしたり。調味料や化学薬品は一切使わず、少しでも消費者が手に取りやすい形に手作りで商品化を行っているほか、遠方の料理店にも足を運び、調理法や美味しい食べ方を教えています。

昭和水産 http://www.uwakai.com

左・宇和海一夜干し 右・海の幸Bセット
左・宇和海一夜干し/右・海の幸Bセット